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講義一覧
6/28(第38回) 競馬学特論「G1予想・宝塚記念編」
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2003年第38回講義 |
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春シーズン最後の競馬学特論ですので、出来れば珠美ちゃんとの対談形式でお送りしたかったのですが、今回もいかんせん、「時間の都合」という厄介なモノが出て来てしまいました。残念ながら短縮講義とさせて頂き、レース回顧に少し多目の時間を割きたいと考えています。 ……それでは、早速出馬表と予想をご覧頂きましょう。
──例年は、この時期になると必ず廃止論や6月開催論が囁かれるほど盛り上がらない宝塚記念ですが、今年に限っては現時点で考え得る限りで最高の豪華メンバーが揃ったのではないかと思います。 ステップレースは、例年なら天皇賞組が圧倒的優位に立つのですが、今年はご存知の通り、空前の低レヴェルの上に波乱の決着とあって、全くアテになりません。ハンデ戦の目黒記念の結果が参考外なのはいつも通りで、唯一トライアルらしいトライアルの金鯱賞も、チャンピオンクラスの馬たちへの挑戦者決定戦という趣がありました。 次に展開です。逃げそうな馬は3頭いますが、思わぬ馬の“奇襲逃げ”がない限りは、恐らくタップダンスシチーが押し出されるように外枠からハナに立つでしょう。 ……それでは、各馬のポイントについて述べていきたいのですが、今日は時間がありませんので、有力馬だけに絞って話をしてゆきます。 駒木の本命はシンボリクリスエス。言わず知れた、今の日本のチャンピオンディスタンスにおける現役最強古馬ですね。今回は有馬記念以来のレースになりますが、調教を十分に積んでいる上、休み明けの成績が抜群に良いという事もあり、ブランクによる悪影響を心配する必要は全く無いと思われます。 対抗にはダービー馬・ネオユニヴァース。昨年のローエングリンの例を見るに及ばず、53kgの軽量は大きな武器になるでしょう。体調も万全ですし、名手・デムーロを鞍上に、6連勝でいきなりの古馬越えを目指します。 3番手評価には昨年の覇者・ダンツフレームを抜擢しました。3歳時代はジャングルポケットと互角以上に戦い、昨年の宝塚記念ではツルマルボーイ以下に完勝した実績からも、そうそう実力的に見劣りする馬とは思えません。天皇賞・安田記念の敗北から人気の盲点になっているようですが、この2レースはいずれも得意範囲外の距離で、思い切って度外視してしまうのも手でしょう。 4番手はアグネスデジタル。言わずと知れたワールドワイドなG1レース6勝馬です。前走の安田記念は八分のデキで見事な差し切りと、さすがは実績馬と唸らされるパフォーマンスでした。 以下は伏兵ということになりますが、最近充実著しいタップダンスシチーは、有馬記念の2着がフロックでなかった事を証明するための正念場になります。個人的にはここまで挙げた4頭のよりも頭一つ下の格付けになってしまうのですが、また展開に恵まれれば今度はアッサリと逃げ切ってしまってもおかしくありません。 ……というわけで、フォーカスです。駒木は馬連BOX・3連複で5、6、13。元返しの押さえで枠連1-3も考えます(笑)。珠美ちゃんは、2-5、2-6、5-6、2-16、2-13、2-17の馬連6点です。 それでは、また日曜夜の回顧編でお会いしましょう。 駒木:「……というわけで、辛いお時間のスタートだ(苦笑)」
駒木:「3番人気までの馬が綺麗に飛んで、中堅どころの馬がワン・ツー・スリーか。まぁどの馬もG1馬かG2馬でG1でも2着の経験ある馬ばかりだから、こうなってもおかしくはないんだよね。ただ、この上位3頭を馬券の軸にする図太い神経は、僕には到底持てないけれどね(苦笑)」 |
2003年第37回講義 |
お約束通り、何とか週内のゼミ実施が叶いました。そのせいで談話室(BBS)の質疑応答が完全に滞ってしまっていましたが、こちらの方も来週からは可能な限り迅速な対応をして行きたいと思っています。 さて、今週は「週刊少年サンデー」30号のレビューとチェックポイントの他に、「読書メモ」として、先日発売になった月刊増刊・「少年サンデー・スーパー」7月号に掲載された『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志)を紹介させてもらいます。 ……それではまず、いつも通り情報系の話題から。今日は「サンデー」来週号の読み切りについてのお知らせです。 来週の「サンデー」に掲載される読み切りは、先日の「小学館新人コミック大賞・少年部門」で大賞を受賞した『ゴッドルーキー』(作画:宇佐美道子)。各種増刊や系列雑誌が充実している「サンデー」では、新人さんのデビュー作が本誌に掲載される事は稀なのですが、今回は大抜擢の本誌デビューとなります。 ……では、「サンデー」今週号のレビューとチェックポイントへ。今週のレビュー対象作は読み切りレビューの1本のみとなります。 ☆「週刊少年サンデー」2003年30号☆ ◎読み切り『暗号名はBF』(作画:田中保左奈) ギャグ系短期集中連載も一段落つき、今週からストーリー系の読み切りシリーズが始まります。 今週の『暗号名はBF』(=コードネームはベイビーフェイス)の作者・田中保左奈さんは、椎名高志さんのアシスタント出身の若手作家さんです。
……さて、無駄話はそこまでにしまして、『暗号名はBF』の内容について述べてゆきましょう。 まず絵からですが、基本的には見栄えの良い好感度の高い絵柄だと思います。キャリアもキャリアですし、このまま即連載に突入したとしても全く問題無いでしょう。 次はストーリー・設定に関してですが、こちらも大筋はマズマズまとまっていると思います。 しかし、残念な事は、 ……というわけで評価。本来、ここまでまとまった作品ならA−からB+くらいの評価を出すところなんですが、やはりシナリオのキーポイントでの矛盾は大きな減点材料になってしまいます。やや辛口ながらB+寄りのBとしておきましょう。
巻末コメントのテーマは、「タイムスリップできるならどの時代で何をしたいか」。連載陣の皆さんは原始時代から未来までバラバラの回答。さすがは発想力溢れるマンガ家さんたちですね。 ◎『史上最強の弟子ケンイチ』(作画:松江名俊)【現時点での評価:B+/雑感】 ◎『MAJOR』(作画:満田拓也)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 先週のこのコーナーで、「これでファールってのはどうよ?」って言ったんですが、完膚なきまでにファールでしたね(苦笑)。まぁ、よく考えたらあそこでホームランだと救いが無さ過ぎますか。 連載開始当初と比べて、勝のキャラが変わり過ぎ(笑)。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 ついにネットアイドルネタまで引っ張り出して来ましたかー。……ていうか、美鳥のサイトはどう考えてもバーチャルネットアイドルサイトだと思うんですが(笑)。 ◇駒木博士の読書メモ(6月第4週後半)◇ ◎『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志/『少年サンデー超増刊』7月号掲載) 先ほどは田中保左名さんの読み切り作品をレビューしましたが、今度はお師匠さんの番ですね。 椎名さんはご存知、長期連載作・『GS美神極楽大作戦!!』を代表作に持つベテラン作家さん。ただ、最近はヒット作に恵まれず、現在は「サンデー」系少年誌を“行脚”して、読み切りや短期集中連載をこなしています。そして、今回の増刊登場もその一環で、今月から3回連続で読み切りを発表するとの事です。 で、今回の3連続読み切りシリーズの第1弾ですが、これがもう、近頃の不振はどこへ行ったんだろうと言うような素晴らしい傑作でした! そして何よりこの作品の凄い所は、まだ1話目だと言うのに、既に以前いくつかのエピソードが描かれているかのような“(良い意味で)手垢のついた完成度”の高さです。既にファンサイトなどでは「この作品で連載を!」…という声も高いですが、確かにこれは今すぐにでも週刊連載で読んでみたい気持ちにさせられます。 “アンチ・アンチエスパー”といった、やや反則気味の設定など、“玉にキズ”的な要素も無きにしも非ずですが、それでもこの作品の圧倒的な完成度を揺るがせるには至りません。評価は文句ナシのA。今の所はシリーズ化の予定は無いようですが、是非とも続編、または連載化を実現させてもらいたいものです。素晴らしい作品を有難う御座いました。 ……というわけで、久しぶりに後味の良いゼミの締め括りが出来ました。この調子で来週以降も傑作揃いだと良いんですけどね。では、ゼミはまた来週。明日は競馬学特論でお会いしましょう。 |
2003年第36回講義 |
ようやく日程がほぼ正常になりました。今週の「現代マンガ時評」前半分をお送りします。 さて、今日は情報系の話題がありませんので、早速レビューとチェックポイントへ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年30号☆ ◎新連載『武装錬金』(作画:和月伸宏) 新連載シリーズも第3弾。いよいよ和月伸宏さんが登場です。先週に連載を開始したつの丸さん同様、打ち切りを喰らった後、長らくのブランクを経ての再起作となります。気分はタイトル奪回に賭ける元チャンピオンのプロボクサーといったところでしょうか。 そんな和月伸宏さんは1970年5月生まれの33歳。そのキャリアは、弱冠16歳にして87年上期の「手塚賞」で佳作を受賞をしたところから始まります。マンガの新人賞において、若いという事はそれだけで受賞への“武器”となりますが、それにしてもかなりの“若年受賞”と言えるでしょう。 待望の連載は94年19号からスタートとなりました。その作品は勿論、『るろうに剣心 ─明治剣客浪漫譚─』です。 これで売れっ子作家のポジションを確固たるものにした和月さんですが、2度目の連載作品となった『GUN BLAZE WEST』は無念の2クール・28回打ち切り(01年2号〜35号)。この時は実績作家の特権で“突き抜け”を免除されていましたので、事実上のストレート打ち切りでした。 そして今回は、本格デビュー以来初となる現代劇のアクション・ファンタジーで2度目のヒットを目指します。果たしてその内容はどんなものになっているでしょうか? ……というわけで、『武装錬金』についてお話を進めてゆきましょう。 まず絵に関してですが、絵柄そのものは以前と変わらないものの、『るろうに』の頃の荒っぽさは影を潜めて、完成度が随分と増しているような気がします。駒木は絵心が全く無い人間なので表現が難しいのですが、人物が人間っぽく描かれるようになった感じがするんですよね。 次はストーリー&設定に関して。 しかしこのパターン、流行している割には連載の成功には結びついておらず、それどころか短期打ち切りや人気低迷といった事態が相次いで発生しています。 ──では、この『武装錬金』の場合はどうでしょうか? まずキャラクターの構築については、とりあえず主人公・サブキャラ共に十分な合格点をあげられるでしょう。 次にシナリオの練りこみについてですが、連載第1回という事でまだ“様子見”の段階ながら、こちらもまぁ及第点は出せる出来具合になっていると思います。 ……というわけで、ややキャラクター偏重で“名作崩れの人気作”に陥る嫌いがあるものの、この『武装錬金』、第1回を見る限りではマズマズの好スタートを切ったと言えると思います。余程シナリオに難が出て来ない限り、長期連載も展望できる期待作になるのではないでしょうか。暫定評価はA−としておきましょう。 さて、今週からは後追いレビューもスタートです。まずは今回の新連載シリーズ第1弾の『キックス メガミックス』から。 あまりクドクドと苦言を呈したくないので、簡潔にまとめてしまいますが、今回に至っても、2週前に指摘した問題点は全く改善されず、それどころかますます泥沼にハマっていってしまっているような感さえ窺えます。 評価は戒めの意味も込めてCにダウンさせます。現在のところ、突き抜け候補一番手と考えて良いでしょう。というか、この作品を2クール以上続けさせたら、駒木は茨木編集長のセンスを本気で疑い始めると思います(笑)。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は、読者投稿コーナー『ジャンプ団』の人気イラストコーナー・『まんが★王』があったんですが、このコーナー見ていつも思うのは、「これに出て来たキャラで本当にマンガ描いたら、メチャクチャつまんなそう」って事だったりします(苦笑)。 ◎『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ◎『HUNTER×HUNTER』(作画:冨樫義博)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今週から登場した昆虫型生物の“女王”、てっきり『レベルE』に出てたマクバク星人かと思ったんですが、容姿を見比べると微妙に違うみたいですね。まぁよく考えたら、マクバク星人はメスしか産まないので、王じゃなくて女王を産むわけですし。 この作品における“ヤムチャ”的ポジションの石田クンも完全勝利。しかし相手が七番隊の序列第4位ってところが、他のメンバーとの微妙な力関係を表しているようないないような(笑)。 |
2003年第35回講義 |
お待たせしました。先週分のゼミ・後半分をお送りします。 次号(30号)に掲載されるのは、『暗号名はBF(コードネームはベイビーフェイス)』(作画:田中保左奈)。 しかし、今年の「サンデー」は「ジャンプ」以上に若手・新人作家さんの本誌登用をやっているのですが、その割には新連載の立ち上げは遅れているんですよねぇ。 ……では、レビューとチェックポイントへ。今日のレビュー対象作は、短期集中連載の総括レビュー1本です。チェックポイントと併せてどうぞ。 ☆「週刊少年サンデー」2003年29号☆
◎短期集中連載総括『ビープ!』(作画:しょうけしん)【第1回掲載時の評価:B】 先週のアオリで薄々とは予測出来てましたが、なんと3回で連載終了です。まさに短期集中ですねぇ。 ちなみに「サンデー」の場合、短期集中連載から本格連載へ移行するかどうかを1〜2週目の段階で決めてしまう事も多いので、3回で終了だからといって冷遇されているとはならないと思います。(駒木も含めて)読者って、表象的なモノから色々と憶測してしまうわけですが、どうもそういうのは大抵外れているみたいですね(苦笑)。 閑話休題。作品の内容について述べましょう。 これは第1回のレビューでも少し触れましたが、今回の連載では、ギャグで笑わせる以外に友情ドラマによる感動(言わば“泣かせ”)を盛り込もうという試みが為されていたように思えます。しかし、その試みは果たして成功したでしょうか? では何故、この試行は失敗に終わったのでしょうか。 ここで“泣かせ”のメカニズムについて詳しく述べる事は控えますが(無粋な行為ですし、駒木も小説家志望の端くれとして、切り札的な手の内はバラしたくありませんので)、読者を感動させようとするのであれば、もっと主人公に親近感を持たせ、3話かけて1本の感動的なシナリオを消化させるようなペースで進行するべきだったと思います。 ……というわけで、評価は“落第点”のB−に後退です。少なくとも意欲だけは窺えただけに、態勢を整えて再チャレンジしてもらいたいところですね。 おなじみ巻末コメントのテーマは、「一番怖かったホラー映画」。“最多得票”は4票で『女優霊』。駒木は未見ですが、筋金入りのホラー映画ファンでも、この映画は心底怖いそうですね。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)【現時点での評価:A−/雑感】 あと、今回忘れちゃいけないのが、モモリの柔道着+ブルマ。これはやっぱり『帯をギュっとね!』で、作者の河合克敏さんがムッツリスケベだという事が判明したあの名シーンのオマージュなんでしょうねぇ。 ◎『MAJOR』(作画:満田拓也)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 さぁ、いよいよ大詰めですね。これで打球がファールって事は、ちょっと考え難い気がするんですが、どうなんでしょうね。 ◎『売ったれダイキチ!』(作:若桑一人/画:武村勇治)【現時点での評価:A−/雑感】 ところで、先週の土曜日に母校の文化祭に行ったんですが、駒木が所属していたSF研究部(実態は文芸部+漫研+TRPG同好会)の後輩たちは、模擬店でマンガ喫茶をやって繁盛させてました。要は、日頃から身内でやっている事──各々でマンガを持ち寄って、茶を飲んで菓子を食べながら読む──をオープンにして金を取っただけなんですが(笑)。
いいなぁ、ごっつぁんゴール(笑)。
……というわけで、最後は訳が分からなくなってしまいましたが(苦笑)、今日はここまで。今週は少し時間が取れそうなので、出来るだけ頑張ってみる事にします。ではでは。 |
2003年第34回講義 |
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お待たせしました。今週前半分のゼミを開講します。 ──ではまず、情報系の話題から。今日の目玉は、4月期から新装なった月例新人賞・「ジャンプ十二傑新人漫画賞」の審査結果発表です。
今回最終候補以上に残った皆さんの過去のキャリアについては以下の通りです。 ◎佳作&十二傑賞受賞の岩本直輝さん…02年7月期「天下一漫画賞」で最終候補。 今回デビューが決まった岩本さん、昨年最終候補に残った時は「オリジナリティ」の項目以外は無印でしたが、今回は4つの項目に“◎”、または“○”印が付くという“躍進”。この1年間で飛躍的に力が伸びたという事でしょうか。若いって良いですねー(苦笑)。 ……それでは、今週号の「ジャンプ」のレビュー&チェックポイントをお送りします。レビュー対象作は、新連載と読み切り各1本の計2本です。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年29号☆ ◎新連載『ごっちゃんです!』(作画:つの丸) 4週連続新連載シリーズも2週目に入りました。ここからは“暗黒期”の「ジャンプ」で活躍した作家さんたちが次々と登場します。 つの丸さんは、第2回「GAGキング」で入賞し、91年春に増刊・本誌で相次いで読み切りを発表してデビュー。当時はサルを主役にしたギャグ作品を得意とし、92年には『モンモンモン』で初めての週刊連載を果たします(93年冬で打ち切られるまで83回連載)。 ……では、内容について述べていきましょう。 まず絵に関して。つの丸さんの画風は、パッと見だけだとメチャクチャ下手そうに見えるんですが、全体を見てみるとキッチリ丁寧な描写が出来ていたりするんですよね。よくよく考えれば、『マキバオー』では難易度の高い競馬シーンを巧みに描いていたわけですから、下手なはずが無いんですが。 次にストーリー・設定の面についてですが、こちらは「かなり実験的な事をやってるなぁ……」という印象を抱きました。 従来のこのスタイルの作品では、部のヒーローに祭り上げられた主人公は、必ず今の自分では周囲の期待に添えない事に苦悩します。そして、そこから努力と友情で這い上がっていく過程にスポットを当ててお話を展開させていきます。見事な少年マンガの図式ですね。 さて、問題はこの“実験”をどう評価するかですが、それはやはり、この作品を読者が「面白い」と思うかどうかにかかって来るのでしょう。が、その判断を下すのは、正直に言って大変に難しいところだったりします。 ……というわけで、今回の時点での評価は保留とします。評価を下せるのは第3回、ひょっとしたら最終回になるかも知れませんね。 今週の読み切り枠は、先日の03年度上期「手塚賞」で最高評点獲得&準入選受賞を果たした新鋭・坂本裕次郎さんの『KING OR CURSE』です。 さて、この作品についてなんですが、“作者紹介”のページに載っている「手塚賞」審査員のコメントが実に的を射ていまして、駒木が敢えて熱弁を振るう必要が無くなってしまいました(苦笑)。というわけで、ここでは審査員諸氏の講評を改めて紹介し、そこへ駒木の解説・意見を付記する形でレビューとしたいと思います。 それでは、まず絵に関しての講評から。
……まぁ、ご覧の通りですね(笑)。 絵に関してのコメントを残した4審査員全員が言及しているように、確かに誌面から飛び出すような迫力を感じさせるパワフルな絵柄だったと思います。 そして、ストーリー・設定について。こちらはさすが「手塚賞」だけあって、審査員全員からコメントが出ています。
まず高い評価を得たのは、「ストーリー全体のまとまりが良い」という事と、主人公に呪いをかけてハンデを背負わせる…というアイディアについてでした。 しかし審査員諸氏の中には、“少年誌のお約束”に甘んじず、シビアに作品の内容を分析した方もいらっしゃいます。さすがはこの辺り、厳しいプロの目という奴ですね。で、その結果、一読しただけでは見落とされてしまいそうな設定部分の矛盾点や、シナリオの自然さを演出するために犯したご都合主義が複数指摘されました。 特に指摘が目立ったのは、主人公・キングタイガーについてのキャラ造形の甘さ。大悪党なのに良い人みたいだ…という、下手をすれば致命傷になりかねない批判がなされています。これは「大悪党なのだが、呪いのせいで悪事を働く事をガマンする」という原則が全編でキチンと守られなかった事を言っているのだと思いますが、確かにそれは指摘の通りでしょう。 この他には「世界観や設定の説明が不足気味」…という評がありましたが、これは駒木が見たところ、説明不足じゃなくて考えて無かっただけ…という気がしています。そうでなければ、同じ“悪”の属性を持つ魔女が大悪党に呪いをかける…などといった、ディディール部分全体に漂う統一感の無さが説明できません。この辺りも今後の課題でしょうね。 ……というわけで総合的な評価なんですが、画力、ストーリーテリング力、共にまだまだ荒削りながら、一応は形になっているということでBとしておきます。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の巻末コメントでは、加地君也さんのコメントがネットで「不遜だ」と批判を受けたようですが、まぁ学校の成績なんてそんなもんですからねぇ。大体、物事を本気で勉強するようになるのは社会に出てからですし。 ◎『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ◎『シャーマンキング』(作画:武井宏之)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 もしかしたら、じゃなくて当たり前のように変態ですがな……と言おうとしたら、KTRさんに先を越されてしまいました(苦笑)。
今日のゼミはこれで終了です。後半分は、やっぱり来週回しかなー、といったところです。ではでは。 |
2003年第33回講義 |
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予告より3日遅れのゼミ後半分実施となりました。最近は謝ってばかりなんですが、本当に申し訳ないです。 最近は、講義と昼間のモデム配りだけならともかく、来月の採用試験の準備やら、来年春までに脱稿目標の長編小説執筆やらで、本当にいくら時間があっても足りない日々が続いているんですよね……。正直、今のところは週2回のゼミと競馬学特論(G1予想)を実施するだけで精一杯といったところです。まぁそういう状況に対応するための業務縮小だったんですが、現実は想定よりも厳しく襲いかかって来ている…というのが本音ですね。 それでは今週のゼミ・後半分を始めます。今日は「週刊少年サンデー」関連の話題の後に、お待たせしていた第2回「世界漫画愛読者大賞」の投票結果総括を実施します。物凄く時期外れかつ意義が薄いのは自覚していますが、一応のケジメとしてやらせてもらいます。どうせ今回限りで事実上廃止になる賞ですし、興味の薄い方はスルーして頂いて結構です(笑)。 ……というわけで、まずは「サンデー」関連のお話から。まずは情報系の話題としまして、月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」の審査結果を紹介しておきます。
今回の受賞者さんの中で、過去の経歴を持っていると思われる方は「あと一歩で賞」の幻素さん。どうやら02年秋の「アフタヌーン四季賞」で準入選を受賞してらっしゃるみたいです。 ……それでは、日付の上ではもう先週になりました、「サンデー」28号のチェックポイントをお届けしておきます。
☆「週刊少年サンデー」2003年28号☆
巻末コメントのテーマは、「自分の漫画がドラマ化されるなら、どのキャラをどのタレントにやって欲しいですか?」 ◎『金色のガッシュ』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 雷句さんって、どんな時にでも笑いを取らなきゃ、本当に気が済まないんですね(笑)。「そこは笑わせるところじゃないだろう」って場面でも無理矢理ギャグに結びつけ、しかもシリアス系のテンションも落とさないと。そこまでこの人を駆り立てるのは一体何なんでしょうか(笑)。 ◎『ワイルドライフ』(作画:藤崎聖人)【現時点での評価:B/雑感】 ウサギが食糞する事は知ってましたが、パンダもやるんですなー。しかも健康管理に影響してたとは初耳でした。 ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 んー……。 「コマネチ!」 ……今度の敵は笑えるが強いんだぞ! ……って、別のマンガになっとりますがな。 それでは、これからは少しトーンを変えて、今日の講義後半、第2回「世界漫画愛読者大賞」投票結果総括に移りたいと思います。 特別企画:第2回「世界漫画愛読者大賞」総括 ……当講座、及び当ゼミの受講生の皆さんは既に十分ご存知でしょうが、改めてこの賞について、簡単ですが説明しておきましょう。 しかし、鳴り物入りで開催された第1回の「世界漫画愛読者大賞」は、業界に旋風を巻き起こすどころか失笑を買うような惨憺たる結果に終わってしまいます。 ……この第1回の詳しい顛末は、昨年実施した「徹底検証! 世界漫画愛読者大賞」に譲りますが、この時に(半ば間違って)各賞を受賞した“栄えある”作品たちのその後もまた、悲惨なものでありました。 そして、今回の第2回「世界漫画愛読者大賞」です。
……ご覧のように、『摩虎羅』が最高得票を獲得したものの、今回新設されたグランプリ信任投票で規定の信任率を得られませんでした。これにより、同作品は準グランプリとなって、グランプリは“該当作なし”という事になりました。 位、逆転を果たした総合人気投票でも得票率が20%強で、最高得票と言えど“辛勝”と言わざるを得ないもの。この程度の支持率では、グランプリ信任の高いハードルは越えられなかったという事なのでしょう。 ……さて、これから今回の投票結果の全体像について多少の検証を加えていきたいのですが、ここで比較対象として、前回の読者投票結果も紹介しておきますね。
──こうして2回分の結果を見比べてみますと、第2回における各作品の得票数が、前回に比べて大幅にダウンしているのがよく分かりますね。 ……で、恐らくこれには2つの可能性が考えられます。 1点目は、単純に「コミックバンチ」の部数そのものが低下した事による影響です。 この業界の公称部数ほど当てにならないモノはないのですが、一時期に比べるとコンビニなどでの「バンチ」の入荷数が目減りしているのは明らかで、実売部数は漸減傾向にあると思われます。 そして2つ目の理由は、最終候補作のレヴェルが低く、読者の支持票を集められなかった事、及びそれに伴って「バンチ」読者に“「愛読者賞」離れ現象”が現れたのではないか…というものです。ちなみに駒木個人としてはこちらの方を重く見ています。 ここで皆さんに注目してもらいたいのは、グランプリ信任投票における投票総数2354票という数字です。 そう考えると、今回の最終候補8作品の中で、個別人気投票において、明らかに過半数の支持を受けていると思われるのは、なんと『軍神の惑星』と『鬼狂丸』の2作品のみ。それにしても得票率は6割以下です。 ここからは蛇足を承知で、2回分の投票結果から見た、平均的「バンチ」読者の好きな作品のタイプ、嫌いな作品のタイプを少しばかり分析してみたいと思います。ネット界隈ではコアな読者の評判に特化されがちですので、ここで一度、ライトな読者を含めた「バンチ読者」の最大公約数的な趣味・嗜好を把握してみるのも面白いでしょう。 で、まず全般的に言える事は、「奇抜さ・斬新さより古臭くても手堅い方を好む」、「暗いテーマの重厚な作品より、明るくてライトなエンターテインメント作品を好む」…という事ですね。 次に絵柄について。こちらでは、キャリアの浅さで絵が雑な作品はある程度“大目に見る”ものの、キャリアを重ねてクセの強すぎる絵柄で固まってしまった作品は全く相手にしない…という傾向が見て取れます。 あと、『華陀医仙』の低迷からは、「バンチ」読者は少年マンガを大人向けにしたモノは求めているが、そのものズバリの子供向けマンガは読みたくない…という事が分かりますね。 ──さて。以上の傾向を総合しますと、「バンチ」読者の最大公約数的な趣味・嗜好とは、
……というものになると思います。 では、ゼミを終わります。6月第3週分のゼミは、明日の深夜から準備にとりかかる予定です。 |
2003年第32回講義 |
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今週からしばらく、ゼミの前半分は修羅場必至の様相を呈して参りました。何しろ4週連続新連載の上に読み切り枠継続ですよ。まったく、駒木を殺す気ですか茨木編集長!(苦笑) 今や仮死状態のバーチャルネットアイドルちゆさんに、カレーライスが大好きな冨樫義博さんを応援してもらいたい気分で一杯です。 ……と、テキストサイト界の古語を駆使したところで(笑)、講義の内容へ突入しましょう。まぁ古語といっても2年しか経ってないんですけどね。ネット界隈の時代変遷って激しいなぁ……。 ──で、今日の情報系の話題ですが、まずはネーム部門が今や人気原作者の登竜門的存在となった、ストーリー作品オンリー・ページ数無制限の新人賞・「ストーリーキング」の審査結果発表からお届けしましょう。
受賞者の皆さんについての情報は以下の通りです。 ◎ネーム部門最終候補の久保咲さん…02年度「ストーリーキング」で奨励賞を受賞。 また、マンガ部門最終候補の岡春樹さんに関しては、02年度前期の「小学館新人コミック大賞・少年部門」の最終候補に同姓同名の名前が掲載されています。ただ、都道府県が違いますし(今回が埼玉で当時が東京)、年齢も微妙(今回が23歳なのに、当時は21歳)という事もあり、同一人物とは特定できませんでした。 ──今回もネーム部門が盛況でしたね。しかし、ネーム部門の受賞者さんたちって、自分でマンガ描いた方が良いくらい画力が高そうに見えるんですが……。 そして最後に残念なお知らせ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年28号☆ ◎新連載『キックスメガミックス』(作画:吉川雅之) いよいよ今週から始まりました“創刊35周年記念超特大新連載”の第1弾は、これが初の連載枠獲得となる若手作家・吉川雅之さんのテコンドー物作品・『キックスメガミックス』です。 で、今回はなんと2年の空白期間を経ての連載獲得です。 ……それではエエ加減にレビューの本題へ。 次にストーリー・設定面についてですが、こちらも課題を抱えてのスタートとなっています。 まずストーリー面について。こちらはまだ様子見の段階ながら、どうにもスケールの小さいのが気になります。 そして、設定にはストーリー以上に大きな問題があります。出て来る主要キャラの大半が読み手に嫌悪感を抱かせる要素をもったキャラである…という部分ですね。 暫定評価はC寄りB−としましょう。 今週は『ROOKIES』(作画:森田まさのり)の休載に伴う代原として、先週結果発表になった第58回「赤塚賞」の佳作受賞作・『そーじの時間』が掲載されました。作者の桜井のりおさんは弱冠17歳(来月誕生日ですが)で、現役高校生とのこと。 ──ではまず絵についてなんですが、これはかなり評価が難しいですね(苦笑)。 そして肝心のギャグですが、まず、ヒシヒシと感じさせられるのは、作者・桜井さんの意欲の高さでしょうね。敢えて労が多くて実りの少ないサイレント物に挑戦し、完璧とは言えないまでも、なかなかの水準まで到達させています。これはパクリ云々は抜きにしても評価できる部分でしょう。 評価は甘めかも知れませんがB評価とします。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今日は情報とレビューで時間を取られてしまったので、ちゃんとしたチェックポイントは1本だけ。 ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)【現時点での評価:B+/連載総括】
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2003年第31回講義 |
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またしても週を跨いでしまいました。本当に最近はどうもイカンですね。 さて、そういうわけですので時間を気にしながら早速、講義の本題へと移りましょう。 まず情報系の話題は、「少年サンデー」系の新人賞・「新人コミック大賞・少年部門」の審査結果発表からです。この賞は毎回「ジャンプ」の「手塚賞」「赤塚賞」と同じ週に発表されるんですが、やはり何か意識したものがあるんでしょうかね?
受賞者の皆さんについての情報は以下の通りです。 ◎大賞の宇佐美道子さん……「サンデーまんがカレッジ」02年12月&03年1月期で「あと一歩で賞」(最終候補)。現在、武村勇治さんのアシスタント(?)。 昨年の前期に、長年出ていなかった大賞が出た…と編集部(だけ)が大騒ぎしていたのが記憶に新しいところですが、今回も大賞が出ましたね。ただし、審査員の満場一致というわけでは無さそうですし、どういう基準で大賞に推されたのか、今一つピンと来ないところが難点でしょうか。 しかし、前回の発表の時も講義で言いましたが、4人の審査員の皆さん、意見が全く噛み合ってませんよね(笑)。あと、2ch掲示板で「あだち充が『悪役や動物達の描き方に勉強不足が目立ちます』と偉そうに言うのは如何なものか」…みたいな意見が出てて吹き出しそうになりましたね(笑)。
◎短期集中連載第1回『ビープ!』(作画:しょうけしん) 年頭の『少年サンダー』から始まった短期集中連載シリーズもこれで第4弾。ギャグヒーロー物、ロボットドタバタ物、サイエンス・ヤンキー物(何じゃそりゃ)と来て今回は、ギャグ作品では定番とも言える動物モノの登場です。 それでは、内容の分析をしてゆきましょう。 まず絵ですが、ギャグ作品を描くにあたっては全く問題ないと思います。及第点ですね。 ギャグに関しては、少なくとも駒木はネット界隈で囁かれているほど低レヴェルであると思いません。理詰め・計算づくでギャグを構成出来るテクニックはあると思いますし、展開にもメリハリが感じられます。登場人物のキャラ描写も一応は出来ていますし、ギャグ作家としての基礎的な能力は備わっていると見るべきでしょう。 現時点での暫定評価ですが、一応Bとしておきたいと思います。次回以降で、どれだけギャグの密度を濃く出来るか、その手腕に注目してみたいと思います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週の巻末コメントのテーマは「どうしても集めてしまう物」。結構人気なのが食玩系でしょうか。生活がコンビニと仕事場の往復になりがちなのがマンガ家という職業ですから、そういう意味では肯ける結果ですよね。そういや以前、桜玉吉さんが1日8個のチョコエッグを食らう生活をしばらく続けてましたっけ(笑)。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)【現時点での評価:A−/雑感】 まさか「サンデー」のマンガでスカイラブツインシュートが見られるとは夢にも思いませんでした(笑)。 ◎『ファンタジスタ』(作画:草葉道輝)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 アテネオリンピック編スタート……と思ったら、もう決勝トーナメント突入。おいおい、せめて予選で1〜2週引っ張ろうよ(苦笑)。そりゃあ、時事ネタが一切使えない辛さとかあるのは分かりますけどね。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 メ、メイド服キタ───ッ!!(狂喜乱舞) さて、第2週の後半はレビュー対象作が無さそうですので、時間があれば…ですが、「世界漫画愛読者大賞」の総括をやっておきたいと思います。ではでは。 |
2003年第30回講義 |
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駒木:「さて、今週は安田記念だ。いよいよ春のG1も“ラス前”ってことになったね」
駒木:「(2人の予想を見比べて)微妙だなー(笑)」
※駒木ハヤトの“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“喜びの声” |
2003年第29回講義 |
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さて、今日の講義はボリュームが大きくなりそうですので、前フリ抜きで行きます。テスト間近になって、試験範囲まで授業が進んでない学校の先生みたいなもんだと……って、そのまんま高校講師バージョンの駒木に当てはまりますね、それ(苦笑)。墓穴掘ったなぁ。 ……まぁそういうわけで、まず「週刊少年ジャンプ」を中心とした情報系の話題から。 今週の注目情報は、なんと言っても次号(28号)から始まる4週連続新連載のラインナップでしょう。
……最近はイレギュラーの上に2作品入れ替えが続いていた「ジャンプ」の新連載入れ替えですが、ここに来て大規模な入れ替えが実施される事になりました。98年春の5本に次ぎ、99年夏の4本に並ぶ、“今世紀最大”規模の大改造ですね。 新連載作家さんのプロフィールに関しては、時間の都合もありますので、それぞれの作品の第1回レビューの際にお届けする事にしますが、今回は初連載となる吉川雅之さんを除く3人が2年以上の長期連載経験者という“実務派”揃いに。新人の読み切りを多数掲載して育成を図りながら、連載作品の質・量を高いレヴェルで安定させようという編集方針が感じ取れますね。 で、4本新連載が始まるという事は、同じ数の作品が消えるという事になります。既に『ジョジョ』と『ヒカ碁』が終了した上に4本終了とは凄い話ですが、これが“英断”となるか“暴挙”となるのかは、今後の結果待ちになるのでしょうね。 次に新人賞の話題を。今週は「ジャンプ」伝統の新人マンガ賞・「手塚賞」&「赤塚賞」の審査結果発表がありましたので、受賞者及び受賞作を紹介しておきます。
受賞者さんたちの過去のキャリアについては以下の通りです。(ペンネームを変えている人の場合は、検索漏れが生じる可能性が有ります) ◎手塚賞佳作の井原顕さん…01年12月期「天下一漫画賞」で最終候補。 ……結果を見る限りでは、今回の両賞はやや低調な結果に終わりましたね。受賞者の皆さんの経歴を見ると、一歩前進二歩後退…といったような人もいて、この世界で成功するまでの道の険しさを痛感させられます。 ……さて、情報系の話題はここまで。レビューとチェックポイントへと移りましょう。ただし、寂しい事に今日のレビューは読み切り1本のみです。その後のチェックポイントも続けてどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年27号☆ ◎読み切り『未確認少年ゲドー』(作画:岡野剛) すっかりレギュラー企画として定着した感のある読み切り枠、今週はベテラン・岡野剛さんの登場です。 ……では、レビューへ。 次に、岡野さんにとって(画力とは逆に)デビュー時から弱点・穴と言われていた、ストーリー&設定についてですが、こちらも今回に限っては比較的よくまとまっていると思います。起承転結が上手く成立していますし、安易にバトル系シナリオに逃げなかったのも評価できるポイントです。 ……が、悲しいかな、細かい部分まで探ってみると、やはり多少の問題点があぶり出されてしまいます。 まず1つ目は、 総合的な評価としては、プラスマイナス諸々を考慮して、B寄りB+辺りが妥当ではないかと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 連載2周年で96回。途中で持病の喘息のために原稿落っことした事もあって、微妙な回数になっちゃいましたね(苦笑)。 ◎『テニスの王子様』(作画:許斐剛)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 181ページ1コマ目の「葵剣太郎データ」、あまりのバカバカしさに全身脱力しました(苦笑)。やっぱり許斐さんは高橋陽一の後継者だ(笑)。 ◎『シャーマンキング』(作画:武井宏之)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 正直、最近のこの作品は「ワケワカラン」状態一歩手前だったんですが、今週のデキの良さには驚かされました。いやぁ、深いわー、コレ。イラク戦争の大義がどう…とか未だに言ってる人に読ませてあげたいですね。っていうか、それは駒木もそうか(苦笑)。 ──と、今日はこれくらいにしたいと思います。後半は週明けになってしまいますかね。一応、頑張ってみますけど(苦笑)。 |
2003年第28回講義 |
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駒木:「今、午前4時前か。ふぅ、やっと2限目の収録が始まるよ。やらなきゃ良かった、こんな馬鹿げた事(苦笑)」
駒木:「……う〜ん、ギャンブルで予想が的中した時って、事後申告だと一気に説得力が無くなるよね(苦笑)」 |
2003年第27回講義 |
本日の講義はダブルヘッダーです。 ……というわけで、まずは第1時限。先週分の「現代マンガ時評」後半分から実施します。 ──では、「サンデー」26号のチェックポイントをどうぞ。 ☆「週刊少年サンデー」2003年26号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週の巻末コメントのテーマは「自分の作品でグッズを作るとしたら何を作りたいですか?」 ◎『史上最強の弟子ケンイチ』(作画:松江名俊)【現時点での評価:B+/雑感】 新島とその取り巻きって、恐ろしく頭が悪いですなぁ(笑)。「オレ様の頭脳と──」とか言ってる割に、丸腰同然で町を練り歩くなんて、
◎『ふぁいとの暁』(作画:あおやぎ孝夫)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 ◎『かってに改蔵』(作画:久米田康治)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今回のお題は「衣だけ変えて中身同じ」。
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