「社会学講座」アーカイブ(競馬学関連・6)

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講義一覧

1/4 競馬学特論 「駒木研究室・2002年G1予想大反省会」(2)
12/28 競馬学特論 「駒木研究室・2002年G1予想大反省会」(1)
12/21 
競馬学特論「G1予想・有馬記念編」
12/14 競馬学概論  「緊急スキ間企画・香港国際競走小史」
12/7  競馬学特論  「G1予想・朝日杯フューチュリティS編」
11/30 競馬学特論  「G1予想・阪神ジュベナイルフィリーズ編(簡易版)」
11/23 競馬学特論  「G1予想・ジャパンカップ編」
11/22 競馬学特論 「G1予想・ジャパンカップダート編」

 

1月4日(土) 競馬学特論
「駒木研究室・2002年G1予想大反省会」(2)

 ※第1回(上半期編)のレジュメはこちらから

駒木:「受講生の皆さん、改めまして明けましておめでとうございます。駒木ハヤトです」
珠美:「私も改めまして、明けましておめでとうございます♪ あ、でも私は日誌の方で前にご挨拶しましたね(笑)」
駒木:「……でだ。今年の“仕事始め”は曜日の関係上、競馬学からという事になったね。講座全体の中では今一つ人気の無い科目なんだけれども(苦笑)」
珠美:「でも、競馬学は仁川経済大学の必須科目ですから、そういう意味ではちょうど良いかもしれませんね(笑)。
 そして、内容は昨年末からの続き。2002年の競馬学特論で実施したG1レース予想を振り返って反省しようという、私たちには辛ーい講義です(苦笑)」

駒木:「特に今日は下半期の回顧だからねぇ。荒れ気味のレースが多かった事もあったんだけど、とにかく成績が酷い(苦笑)。新年早々、苦行のような講義になりそうだね」
珠美:「先ほど駒木博士から説明がありましたように、今回の講義では前回に引き続いて下半期──スプリンターズステークスから有馬記念までの結果と予想を回顧してまいります。皆さんも一緒にレースやご自分の予想を振り返ってみて下さいね」
駒木:「それじゃ、早速本題に移ろうか。何しろ11レースも有るからね。まずは秋のスプリンターズステークスから」

スプリンターズS 中山・1200・芝

着順 馬  名 着差
1着 ビリーヴ

──

2着 アドマイヤコジーン 1/2
3着 ショウナンカンプ クビ
    4着 ディヴァインライト
    5着 ゴールデンロドリゴ 1 1/2
6着以下の“反省材料”
×   8着 サニングデール  
9着 トロットスター  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 結果的には惜しい1着−3着なんだけれど、反省点だらけの予想になってしまったなぁ…。もしも駒木の予想を参考にしていらっしゃった方がいたなら、心からお詫びを申し上げます。
 まず、馬場状態の読み違え。新潟競馬場って、乾きと水はけが良いんだなあ…。まるで甲子園球場みたいだ(苦笑)。
 次にアドマイヤコジーンの取捨選択と展開の読み違え。まさかあそこまで積極的に行った上で2着に粘りきるとは思ってなかった。それにアドマイヤを差す予定だったトロットスターが凡走したのも痛かった。まぁ、何にしろチグハグな予想をやっちゃいました。せっかく良いレースだったのに勿体無い事しました。本当に反省です。出直してきます。

 ※栗藤珠美の“喜びの声”
 本命サイドの決着でしたけど、3連単でも的中していたかと思うと、本当に嬉しいです! やっぱり駒木博士より武豊騎手を信じてて良かったと思います(笑)。
 ……あ、でも「ビリーヴが3着の方が配当金が高いから、それでお願い!」って一瞬考えちゃったのは内緒ですよ(笑)

珠美:「夏の小倉シリーズから3連勝で勢いに乗る1番人気・ビリーヴが3番手から差し切ってG1初制覇。この世を去ったばかりの父・サンデーサイレンスに大きなプレゼントとなりました。高松宮記念2着馬のアドマイヤコジーンは、またしても2着。春の王者・ショウナンカンプは最後で失速して3着でした。馬券の方は馬連5.9倍、3連複も3ケタ配当と、金額的には堅く収まりました。
 私たちの予想は、博士が惜しい1着3着、私は◎○▲のワン・ツー・スリーフィニッシュと、明暗分かれる形となりました(笑)」

駒木:「コメントの時点から反省してるけど、もう馬場状態からして読み違え(苦笑)。有馬記念の稍重もそうだったけど、当日土砂降りになっていない限りは重前提の予想なんかしちゃいけないね。
 あと、予想も何気なく酷いなぁ。いくら穴狙いしたいからって、▲と△の順序はやっぱり逆だよね。こんなケレンを予想に持ち込んじゃいけない。どうしてもトロットスターを狙うなら4点買いにすべきだった」
珠美:「私は3連複買いそびれてしまっているんですけどね(苦笑)」
駒木:「でもまぁ、オッズが10倍切った3連複は狙い辛いよね。1点買いで当てても損した気分になりそうだ(笑)」

秋華賞 京都・2000・芝

着順 馬  名 着差
1着 ファインモーション

──

× 2着 サクラヴィクトリア 3 1/2
  3着 シアリアスバイオ クビ
    4着 カネトシディザイア
  5着 トシザダンサー 1/2
6着以下の“反省材料”
6着 ユウキャラット  
×   7着 オースミコスモ  
8着 チャペルコンサート  
  × 17着 ヘルスウォール  
× 18着 シャイニンルビー  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 うーん、印を“注”に落とした馬が差してくる事、差してくる事(苦笑)。春までならサクラヴィクトリアも5点目の×印くらいにしてたはずではあるんだけど、配当考えたら仕方ないよねぇ。
 でも、それも全て展開とユウキャラット&オースミコスモの能力読み違えから来てるんだよね。う〜ん、深刻なスランプだなぁ……。

 ※栗藤珠美の“喜びの声?”
 秋シーズン連続的中!……なんですけど、払戻金聴いたら、「あれ? 獲って損ですか?」って感じです(苦笑)。お金が減らなくて良かったですけど全然嬉しくありません(苦笑)。来週はもっとスカッとするような的中をしてみたいものですね。頑張ります!

珠美:「今や世代を代表する女傑となったファインモーションのG1デビュー戦は、単勝1.1倍の圧倒的1番人気に応える完勝でした。余裕残しの3馬身半差は圧巻でした。一転して混戦となった2着争いは、サクラヴィクトリアシアリアスバイオを際どく差し込みました。馬連4.7倍、3連複22.6倍と比較的順当な結果となりました。
 予想の方は、博士は2着と3着の馬に「注」の印を打ってはいるんですが、残念ながら不的中私は連続的中となったんですが、馬券的には獲って損でした(苦笑)」

駒木:「ユウキャラット、シャイニンルビー、オースミコスモ……。春に狙って失敗した馬たちを諦めきれずにもう1度狙った挙句に惨敗。未練がましいったらありゃしない(苦笑)。スプリンターズSもそうだったけど、1度狙った馬を追い掛け回すクセがいけないのかもね。1回失敗したら、とりあえず全ての条件をリセットする勇気を持つ必要がありそうだ。
 こんな堅いレースを完膚なきまでに外しているんだから、本当に今年の秋は調子が悪かったんだね」

菊花賞 京都・3000・芝

着順 馬  名 着差
    1着 ヒシミラクル

──

    2着 ファストタテヤマ ハナ
    3着 メガスターダム 1/2
    4着 アドマイヤドン 2 1/2
5着 バランスオブゲーム クビ
6着以下の“反省材料”
  6着 レニングラード  
×   8着 ダンツシェイク  
  × 9着 ヤマノブリザード  
11着 アドマイヤマックス  
  13着 タイガーカフェ  
× × 16着 ローエングリン  
中止 ノーリーズン  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 15時前から雨が土砂降りになって、装鞍所で出走馬が少し暴れてるのを見た時からイヤ〜な予感がしてたんだよねぇ。でも、まさかねぇ…。
 それにしても長い間競馬観てると色々な事がありますなぁ(苦笑)。“猿も木から落ちる”ならぬ“武豊もノーリーズンから落ちる”。馬から落ちても手綱を放さずに、最後まで落馬再騎乗を狙ってたあたり、さすがに武豊…といったところなんだけど、人力じゃ1馬力には勝てんよなぁ。
 で、それに他の騎手が動揺したわけじゃないけれど、レースそのものも、ここ最近のG1レースでは記憶に無いくらい締まりの無い散々なレースになっちゃったしね。逃げ馬は暴走するわ、人気の差し馬は仕掛け遅れちゃうわで無茶苦茶。
 その挙句、ダメモトで早仕掛けしたヒシミラクルが、乗った角田騎手が「奇跡ですね」って言うくらいの恵まれで押し切り。その上、京都巧者なんだか道悪巧者(良馬場発表だったけど、どう考えてもレース直前には稍重〜重まで悪化してた)なんだか知らないけど、他の馬が止まったところへサイボーグ009から加速装置を貸してもらったかのようなファストタテヤマの鬼脚。勘弁して下さい、いやホントに。
 …この馬券を当てた方、もしいらっしゃったら、どういう予想でこの結論に至ったかお教え願えますか? 素直な気持ちで勉強させて頂きたい。
 あ、でも「これはレーシングプログラムの文面から…」とか言われても困りますが(笑)

 ※栗藤珠美の“反省文”

 (余りのショックのため、ノーコメント)

珠美:「……このレースはあんまり振り返りたくないんですけどね(苦笑)。えーと、勝ったのは10番人気のヒシミラクル。3コーナーからのロングスパートが見事にハマった感じになりましたね。2着も人気薄の京都巧者・ファストタテヤマが突っ込んで、馬連で9万馬券、3連複で30万馬券という超大荒れになりました。
 その結果を反映してか、予想は2人とも上位4頭に印が無いという散々なものに(苦笑)。特に私はゲートが開いてすぐにお財布の中身の大部分が溶けて無くなりました(涙)

駒木:「中穴党のスタンスから見ると、この結果ではもうお手上げだね(苦笑)。馬連3点と3連複1点に絞って傷が最小限で済んだだけでも良かったくらい。
 ただ、アドマイヤマックスバランスオブゲームに重たい印打ってるあたり、まだケレンが抜け切ってない。まぁ、あんなタイプの馬を押さえに回して外し続けてきた過去も有るから、仕方ないと言えば仕方ないんだけどねぇ」

天皇賞・秋 中山・2000・芝

着順 馬  名 着差
× × 1着 シンボリクリスエス

──

2着 ナリタトップロード 3/4
×   3着 サンライズペガサス クビ
  4着 エアシャカール 1 1/4
    5着 トーホウシデン クビ
6着以下の“反省材料”
8着 エイシンプレストン  
  11着 ツルマルボーイ  
  × 13着 テイエムオーシャン  
14着 ダンツフレーム  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“戦い済んで……”
 印だけなら×−◎的中だけど、まぁ仕方ない。これまでのG1レース3つで買い目抑えた分だけ負け額も減ってるし、これで“行って来い”と思わなくちゃね。
 今回は、ある程度実力の拮抗した有力馬が揃った時は、細かい能力差とか全体の展開よりも、自分のケイバが出来るかどうかに懸かって来るもんだと痛感。ダンツフレームもエイシンプレストンも道中で後手踏んだら、あっけなくノーチャンスになってしまったし……。
 そういう意味では、結構苦しいレース運びだったナリタトップロードが2着に喰い込んでるって事は、やっぱりこの馬、ここに入ると一枚上なんだろうね。
 勝ったシンボリクリスエスに関しては、“エアダブリン2世”という失礼な表現を撤回しないといけないかな。ただ、今回は先に抜け出せたというポイントがあったので、真の評価は次走だね。

 ※栗藤珠美の“喜びの声”
 6点目ですけど、的中は的中です。素直に嬉しいですねー♪ でもまだ、先週の損害補填にはまだまだなんですけどね(苦笑)。
 あーでも、心臓に悪いレースでしたー(笑)。

珠美:「この年のダービー2着馬で3番人気のシンボリクリスエスが、古馬の強豪相手に一歩も引かないレースでG1初勝利を天皇賞で飾りました。2着には“悲運の名馬”ナリタトップロードで馬連17.2倍、3連複56.4倍という中穴配当になりました。
 予想は2人とも×◎で的中。ただし、博士は買い目を絞っていたために馬券は外れでしたけど(苦笑)」

駒木:「レース直後は強がり言ってるけど、本当は痛かった(苦笑)。2番人気と3番人気の組み合わせで17.2倍は美味しい配当だよなぁ。
 ただ、このレースは調子が悪いなりにベストに近い予想が出来てるんじゃないかな。この頃のシンボリクリスエスに関しては、まだダービーのジリっぽさが気になってたしね。1番人気のテイエムオーシャンを自信持って叩き切ったってのも『よくやってるな』って感じかな。まぁ、例によって金銭的には全く役立ってないんだけれども」
珠美:「(苦笑)」

エリザベス女王杯 京都・2200・芝

着順 馬  名 着差
1着 ファインモーション

──

2着 ダイヤモンドビコー 2 3/4
× 3着 レディパステル 1 1/2
    4着 トーワトレジャー 3/4
    5着 ユウキャラット 1 1/2
6着以下の“反省材料”
8着 ローズバド  
×   10着 ジェミードレス  
  12着 タムロチェリー  
★レース直後のコメント★

 ※駒木博士の“勝利宣言?”
 やっと正真正銘の的中なんだけど……この配当じゃねぇ(苦笑)。
 まさかあそこまでスローペースになるとは思わなかった。レース自体の上がり3ハロンが33秒台じゃ、追い込み馬は用無しだものねぇ。
 それにしてもファインモーション。今日のレースを観てると、“女ナリタブライアン”って感じがする凄い馬。有馬記念の悩みが1つ増えてしまったかな?

 ※栗藤珠美の“喜びの声”
 秋に入ってから4戦3勝です! これで菊花賞の……ああ、もう止めましょう、その事は。実はまだ金額は赤字だって事も含めて(笑)。
 これだけ好調なのに、マイルCSがお休みなのは惜しいです(苦笑)。博士にお願いして、短縮講義でもしてもらいましょうか……。

珠美:「秋華賞馬・ファインモーションがまたしても圧倒的な1番人気に応えて圧勝でG1レース2勝目。2着に2番人気のダイヤモンドビコーが粘りこんで、馬連3.6倍、3連複6.5倍とガチガチの配当になりました。
 それを反映して、予想はまたしても2人とも的中。金銭的には『それほど……』という感じですけど(苦笑)」

駒木:「まぁ、このレースは問題無いよね。敢えて言うなら、馬券の対象から外したレディパステルが3着っていうのが少し冷汗モノだったくらいかな」
珠美:「私もこの頃は気楽な感じなんですけど、次の週から一転して酷いコトになっていくんですよね(苦笑)。調子に乗ったらダメですね、人間って……」

マイルCS 京都・1600・芝

着順 馬  名 着差
    1着 トウカイポイント

──

× 2着 エイシンプレストン クビ
    3着 リキアイタイカン ハナ
    4着 テレグノシス クビ
    5着 メイショウラムセス
6着以下の“反省材料”
7着 アドマイヤコジーン  
  × 8着 モノポライザー  
11着 ブレイクタイム  
× 12着 グラスワールド  
×   15着 ディヴァインライト  
16着 ダンツフレーム  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 本当に笑い者になっただけだったなぁ(苦笑)。やるんじゃなかった、こんな無茶な講義。お蔭で風邪気味になっちゃったし……。
 しかし、有力馬まとめて凡走ってパターン、もう勘弁して頂きたいです。それが競馬って言われればそれまでだけど、絶好の手応えで上がって来た人気馬・実力馬が直線でバッタリ止まってしまうと全身から力が……。
 中穴党の僕にとっては、こういうレースはもうお手上げ。お力になれずに申し訳有りませんでした。ところで3連複当てた穴党の方、ご祝儀下さい(笑)。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 やっぱり調子に乗るといけませんね。完敗でした(苦笑)。博士と本命・対抗がダブった時点で覚悟はしてたんですけどね(笑)。
 来週はG1レースが2つあることですし、頑張って挽回したいです。

珠美:「マイルチャンピオンシップは大荒れ。11番人気のトウカイポイントが有力馬たちの間隙を突いて差し切り勝ち。2着にはエイシンプレストンで、馬連が150倍台の万馬券、3着馬に人気薄のリキアイタイカンが飛び込んだために、3連複はまたしても30万馬券という事になりました。
 この時は休講予定だったのに、急遽短縮講義として予想を発表したんですが、散々な結果になってしまいましたね(苦笑)」
駒木:「トウカイポイントは、この後香港でも好走しているところから考えると、素質そのものは有ったんだろうね。相当成績にバラつきがあるのも確かだろうけど。
 でもねぇ、菊花賞もそうだったけど、有力馬に次々と原因不明の凡走をされるとどうしようもないよ。悔しいけれど、本当にもうお手上げだね」
珠美:「──さて、次はジャパンカップ・ウィークなんですが、これは2レースまとめて振り返ります」

ジャパンカップ・ダート 中山・1800・ダ

着順 馬  名 着差
× 1着 イーグルカフェ

──

× × 2着 リージェントブラフ
3着 アドマイヤドン クビ
  4着 プリエミネンス 1 1/4
5着 ゴールドアリュール クビ
6着以下の“反省材料”
×   6着 トーホウエンペラー  
8着 ハギノハイグレイド  
  × 13着 ダブルハピネス  
※レース直後のコメントはありません

ジャパンカップ 中山・2200・芝

着順 馬  名 着差
× 1着 ファルブラヴ

──

    2着 サラファン ハナ
3着 シンボリクリスエス クビ
  4着 マグナーテン 1 1/2
5着 ジャングルポケット ハナ
6着以下の“反省材料”
  7着 ゴーラン  
× 9着 ノーリーズン  
10着 ナリタトップロード  
× × 13着 ブライトスカイ  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 うー、凄すぎるぞデットーリ!
 今日も馬じゃなくて人が走ってるレースでした。ゾッとさせられました。武豊とかペリエとかデムーロよりも格段に上手い騎手がいるという、信じ難い事実を突きつけられてしまいましたなぁ。
 しかし、惜しかったのはシンボリクリスエス。出遅れるか〜、こんな時に限って……。せめて2着には突っ込んで欲しかったなぁ。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 えーと、ナリタトップロードはどこにいましたか?(苦笑)
 先週から全く冴えなくなっちゃいました。やっぱりまだまだ勉強不足ですね。来週から気を引き締めて頑張ります!

珠美:「今年のジャパンカップ・ウィークは、ランフランコ=デットーリ騎手の独壇場でした。まず初日のダートでは、イーグルカフェが驚きの中団差しでNHKマイルC以来のG1レース2勝目をゲット。2着に人気薄・リージェントブラフが直線強襲で滑り込んで、馬連6万円台、3連複5万円台の大荒れに。私たちの予想は惜しいような惜しく無いような外れでした(苦笑)。
 そして2日目のターフでは10数年ぶりになる外国調教馬のワン・ツー。勝ったのは9番人気・イタリアのファルブラヴでした。デットーリ騎手は2日連続のJRAG1レース制覇です。2着は下馬評で劣勢が伝えられていたアメリカ馬のサラファン。このレースも馬連2万円台、3連複3万円台の高配当でした。予想結果は言うまでもありませんね(苦笑)」

駒木:「もうデットーリ1人のためだけにあったようなジャパンカップ・ウィークだったね。まずダートだけど、アドマイヤドンゴールドアリュールに関しては乗り役が能力を掴みきれてなかったのが敗因かな。多分に『とりあえずやってみよう』的な雰囲気だったものね。予想に関しては、まぁこんなもんでしょう。
 で、ターフ。これはもうデットーリの腕とシンボリクリスエスの出遅れだけで決まっちゃった。どうせなら東京の2400mでこのレースを見てみたかったって気もするね。予想的にはゴーランの不甲斐なさが誤算だったなぁ。体調最悪で強力メンバーの去年より、絶好調で臨んだ今年の方が着順が下ってのはどうよ(苦笑)」

阪神ジュベナイルフィリーズ 阪神・1600・芝

着順 馬  名 着差
1着 ピースオブワールド

──

    2着 ヤマカツリリー 1 1/2
  3着 ブランピュール クビ
4着 シーイズトウショウ
    5着 プラントパラダイス クビ
6着以下の“反省材料”
× 7着 オースミハルカ  
× 10着 ワナ  
× × 11着 アドマイヤテレサ  
16着 トーホウアスカ  
※ レース直後のコメントはありません

珠美:「2歳女王決定戦は、ここまで3戦3勝のピースオブワールドが単勝1.5倍の1番人気のプレッシャーを跳ね返して完勝しました。しかし2着争いは人気薄の馬たちによる大混戦で、結局は安藤勝己騎手のヤマカツリリーが際どく粘りこみました。馬連48.8倍、3連複は200倍弱というやや荒れ模様の配当でした。
 予想の方は2人とも不的中。ただし、博士は3着で6番人気のブランピュールに○印を打ってらっしゃいましたから、かなり惜しい外れですよね」

駒木:「本当に勝負弱いよなぁ(苦笑)。秋シーズン、散々狙って来た穴馬のなかで、珍しくマトモに走ってくれたと思ったら、もっと人気薄の馬にやられちゃうなんてね。でも、ヤマカツリリーの前走って抽選馬限定の平場500万条件3着だろ? いくらなんでも3点買いでそこまで狙えっていうのは無理だよね。これは運が悪かった」

朝日杯フューチュリティS 中山・1600・芝

着順 馬  名 着差
    1着 エイシンチャンプ

──

2着 サクラプレジデント クビ
  3着 テイエムリキサン クビ
× 4着 タイガーモーション 1 1/2
× 5着 ワンダフルデイズ 1/2
6着以下の“反省材料”
7着 マイネルモルゲン  
× 8着 サイレントディール  
×   9着 コスモインペリアル  
  × 10着 ヨシサイバーダイン  
★レース直後のコメント★

※駒木ハヤトの“敗戦の弁”
 よりによって、オッズの美味しさを詳しく説明した挙句に「買わない」と宣言した馬にヤラれるとは……。まぁ、今回のレヴェルなら何でもありなんだけどね。
 今回は勘弁してくれって感じの2着、3着、4着。これ、ワイド3連複とか無いのかな(笑)。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 私の本線馬券は4コーナー回る前に終わってましたね……。しかも挙句の果てにエイシンチャンプ……。
 何とか有馬記念までには調子を取り戻しておきたいと思います。このままじゃ年越せません!

珠美:「朝日杯フューチュリティSは、8番人気の伏兵・エイシンチャンプが、サクラプレジデントテイエムリキサンの猛襲を凌いで優勝。福永騎手は2週連続の2歳G1制覇となりました。2着のサクラプレジデントはスタートの出遅れが大きく響いた悔いの残るレースでしたね。馬連48倍、3連複96倍と、1番人気が絡んだ組み合わせにしてはかなりの高配当となりました。
 予想の方は、特に博士の場合は上位どころにズラリと重めの印が並んでいるんですが1着のエイシンチャンプが“抜け目”。講義で2人して、『エイシンチャンプ、配当的には美味しいよね。買わないけど』なんて言ってたんですよね(苦笑)。……でもこうして見てみますと、私の予想って酷いですね(苦笑)」

駒木:「いやぁ、痛恨のレースだよね。2着3着4着だし。でも、あそこまで勝負付けが済んでいた馬が突然激走するってのは反則に近いよね(苦笑)。まぁしてやられたと。そういう感じかな。
 ところで出遅れをカマしたサクラプレジデントの田中勝春騎手は乗り替わりが濃厚らしい。まぁ、この馬がクラシック戦線でも頭を張れるとは思わないけど、一瞬のミスで惜しい事したね」

有馬記念 中山・2500・芝

着順 馬  名 着差
1着 シンボリクリスエス

──

    2着 タップダンスシチー 1/2
    3着 コイントス
  4着 ナリタトップロード 2 1/2
5着 ファインモーション クビ
6着以下の“反省材料”
× 6着 ノーリーズン  
7着 ジャングルポケット  
  × 13着 アメリカンボス  
★レース直後のコメント★

※駒木ハヤトの“敗戦の弁”
 仕事があるので酒は呑めないけれども、今日のコーヒーは不味い(苦笑)。
 ファインモーションは、あそこまで力んだレースをしてしまうと、ロスしたスタミナの分だけ不利だよねぇ。あれで5着に粘ってるんだから全く通用しないわけじゃないんだけど、今日は全てが裏目に出た感じだね。武豊騎手も馬の実力を少し過信していたのかも。
 タップダンスシチーは、佐藤哲三騎手のギャンブル成功ってところだろうね。だけど、「有馬記念においては奇襲戦法を禁ずる」みたいな内規作ってくれないだろうか。あんなの予想しろってったって無理だよ(涙)。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 シンボリクリスエスが伸びて来た時は「やった!」と思ったんですけど、後ろから何も来ませんでした……(苦笑)。
 この秋は博士も私もボロボロでしたね……。また来年、チャンスがあればリベンジしたいと思います。申し訳有りませんでした。

珠美:「中央競馬の1年を締め括るグランプリ・有馬記念は、2番人気・シンボリクリスエスが天皇賞に続くG1レース2勝目。この数ヶ月ですっかり日本を代表する馬にまで成長した印象ですね。2着には奇襲戦法で他馬を翻弄したタップダンスシチーが粘りこんで大波乱。馬連140倍台、3連複400倍台の大荒れ配当となりました。
 予想の方はやっぱり外れでした(苦笑)。そしてこの下半期全体の成績は、博士が11レース中2的中、私が4的中ということになりました。お世辞にも良い成績とは言えませんね(溜息)」

駒木:「有馬記念はねぇ、良馬場だったらタップダンスシチーに▲打つつもりだったんだよね。それが前日の雨で当日も稍重発表。不ヅキもここまで来ると笑えて来ちゃうね。あと、他の講義が忙しくて情報収集がままならなかったのも痛かった。タップダンスシチー陣営が逃げ宣言してたんだよね。情けない話、全く知らなかったんだよ。
 で、年間総括だけど、今年はなんだかフラフラ、フワフワしていて足元が定まってなかったって感じかな。好不調の波が恐ろしく激しかったし、予想に対する集中力も途切れがちだったような気がする。もう1度改めて予想のスタンスを再構築する必要があるかもね。本当、反省ばかりの1年だった気がするね」
珠美:「私も人前でお見せするには恥ずかしい予想ばかりでしたね(苦笑)。大荒れのレースにしても、博士みたいに一矢報いることくらいは出来るようにならないといけないって痛感させられました」
駒木:「今年は4月からカリキュラムが大幅削減になる予定なんだけれども、G1予想は何らかの形で残すつもりでいるんで、どうぞよろしく。せめて少しくらい参考になれる予想を展開するつもりでいるんで、懲りずに期待していて下さい」
珠美:「それでは、これでお時間という事で。皆さん、お疲れ様でした」
駒木:「珠美ちゃんもご苦労様。来週はまだ未定だけど、名勝負プレイバックか、また別の新企画だね。そちらもどうか何卒」

 


 

12月28日(土) 競馬学特論
「駒木研究室・2002年G1予想大反省会」(1)

珠美:「いよいよ今年も、日付上はあと3日となりました。毎週土曜日にお送りして来ました競馬学講義も、今回が年内最後となります。というわけで今日は、今年のJRAG1レースを振り返る…と言いますか、私たちが皆さんに披露して来た予想の大反省会をお送りします(苦笑)。」
駒木:「G1レースっていう括りなら、まだ明日に東京大賞典が残っているんだけどね。まぁ、この講座ではJRAのレースにほぼ限定して講義をやって来たし、今日から振り返っても良いかな…と。
 ただ、よくよく考えてみたら、今日1日で21レースを振り返るのはどう考えても無理なんで、上半期(フェブラリーS〜宝塚記念)と下半期(スプリンターズS〜有馬記念)とで2回に分けて実施する事にしたよ。だから年をまたいだ反省会だね(苦笑)」
珠美:「2年越しで反省するんですか……。何だか気が重いです(苦笑)」
駒木:「まぁ、それくらい受講生の皆さんには迷惑かけてしまったからねぇ。もう全力で景気の悪い話をさせてもらおうじゃないか」
珠美:「全力で不景気な話ですか(苦笑)。……分かりました。私も頑張ります(笑)。
 ──では、さっそく始めましょう。まずは2月のダートG1・フェブラリーステークスから反省してゆきましょう(笑)」

フェブラリーステークス 東京・1600・ダ

着順 馬  名 着差
1着 アグネスデジタル

──

× 2着 トーシンブリザード
× 3着 ノボトゥルー 1/2
4着 トゥザヴィクトリー 1/2
× 5着 トーホウエンペラー 1/2
6着以下の“反省材料”
× 9着 ウイングアロー  
  × 10着 ノボジャック  
  × 14着 イーグルカフェ  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 えーと、1着-3着、1着-4着、それに2着-3着もか。
 笑うしかないね、こりゃ。まぁ、ノボトゥルーの地力を微妙に読み違えたのが一番大きいかな。競馬って面白いもので、大きな読み違えは“怪我の功名”になるけど、微妙な読み違えは致命的なミスになるからねえ。
 あと、アグネスデジタルの地力と、負けたら言い訳できない戦法で勝負した石崎騎手に脱帽ってところかな。

 ※栗藤珠美の“喜びの声”
 当たっちゃいました♪ しかも、この講座が始まってから、始めて博士に勝つことが出来ました。嬉しいです。10点買いしちゃったんで、当たっても儲からないですけど、嬉しいです(笑)。

珠美:「このレースは、アグネスデジタルが中団差しで1番人気に応えて快勝。海外でのレースとダートグレード競走を含めると4つ目のG1勝利となりました。2着は公営の雄・トーシンブリザードが健闘したんですよね。
 ……そして私たちの予想は、博士が惜しくも不的中、私は◎−▲で的中となりました。とはいえ、10点買いで13.5倍だったんですけどね(苦笑)」

駒木:「1着3着、2着3着、1着4着だもんなぁ。『マトリックス』の弾避けみたいな外し方だよね(苦笑)。
 あと、レース直後は悔しかったせいか、負け惜しみっぽい事を言ってるけど、これはハッキリ言って惨敗だ。アグネスデジタルの調子を読み違え、トーシンブリザードの勝負気配を読み違え、ノボトゥルーの本命に固執し過ぎて……。これだけミスが重なったら、そりゃあ外れるわ。今から考えたら、これはどう考えてもアグネス本命だよなぁ。何考えてたんだろう?」
珠美:「さっそく1つ目の反省ですね(笑)。でも私も要らない印をたくさん打ってしまってますね。ちょっと反省です」

高松宮記念 中京・1200・芝

着順 馬  名 着差
× 1着 ショウナンカンプ

──

2着 アドマイヤコジーン 3 1/2
× 3着 スティンガー クビ
    4着 リキアイタイカン 1 1/2
5着 トロットスター クビ
6着以下の“反省材料”
6着 ディヴァインライト  
  × 9着 サイキョウサンデー  
× × 10着 エアトゥーレ  
  × 14着 メジロダーリング  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“勝利宣言”
 ○▲的中。辛勝だなあ……。
 トロットスターは、ここまで負ける要素が見当たらないんだけど、やっぱり競馬は波乱のスポーツだよね。
 競馬学的に言えば、スティンガーの走りは“中距離以上に適性のある馬が短距離を走った時の走り”だと覚えておいてください。「距離適性が合わない」とは、ああいう事です。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 ううぅ……(涙)。フェブラリーSの時に「博士に勝ちました!」なんて言ってたら、キッチリお返しされちゃいました……。2着3着って、やっぱりショックですね(苦笑)。
 それにしても、いつもは実績不足の昇り馬を軽視している博士が、ショウナンカンプを▲にしているんですね…。この辺りのカンの働きがキャリアの差なんでしょうか…。

珠美:「重賞未勝利の昇り馬・ショウナンカンプが果敢な逃げを打って後続を完封。一躍、一流馬の仲間入りを果たしました。2着は当時復調著しかったアドマイヤコジーンが2番手のまま粘り込み。結局、“行った行った”の決着になりました。
 私たちの予想は、博士が▲−○のタテ目で的中。私は同じタテ目でも悔しい2着3着になりました。まさか重賞も勝った事が無い馬がここで勝てるなんて思っても見ませんでした。もう完敗ですね……」

駒木:「2人とも、トロットスターのスランプが続く事が読み切れてないよね。まぁ1番人気だったんだから、それが大勢を占める認識だったんだろうけど。
 ショウナンカンプの▲抜擢は、今年の僕にしては珍しい好プレーだったね。普通なら『穴人気してる』って言って嫌気するタイプの馬だったんだけど、全体のレヴェルがそう高くない事を考えて馬券の対象に残したんだった。でも、そんな好プレーが全く配当的な所に繋がらないのが僕らしいよな(笑)」

桜花賞 阪神・1600・芝

着順 馬  名 着差
    1着 アローキャリー

──

×   2着 ブルーリッジリバー 1 1/4
3着 シャイニンルビー ハナ
    4着 カネトシディザイア 1 1/4
  × 5着 ヘルスウォール クビ
6着以下の“反省材料”
× 6着 スマイルトゥモロー  
  × 7着 チャペルコンサート  
× 8着 キョウワノコイビト  
11着 オースミコスモ  
12着 タムロチェリー  
  × 16着 サクセスビューティ  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 まぁ、アレだね。山内調教師が「まさか」って言ったくらいだから、こっちが当たるはずないよね、アローキャリー。それに馬体重発表の時点で僕の予想は終わってたから、むしろよく2着3着まで格好がついたな、と。
 今回に関しては、良馬場のブルーリッジリバーについて言及した事と、8枠の3頭を完全に見切った事で勘弁してくださいな。また、皐月賞で頑張るんで、よろしく。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 私の◎と○はどこへ行っちゃったんでしょうか……(苦笑)。またボロボロに外れちゃいました。
 オースミコスモ、散々でしたね。途中で不利を受けた上、一番馬場の荒れた所走らされてましたものね…。タムロチェリーはずうっと後ろのままでしたし……。
 何だか自信喪失しちゃいそうです。これからまだG1レース続くのに、不安です……。

珠美:「13番人気のアローキャリーが、鮮やかな先行抜け出しで大波乱の主役となりました。池添謙一騎手は嬉しいG1初勝利ですね。2着にも伏兵・ブルーリッジリバーが飛び込んで、馬連は3万円台の高額配当になりました。馬単と3連複があったらどんな配当だったんでしょうね(苦笑)。
 予想の方は当然の事ながら2人とも外れ。上のコメントにあるように、私は目も当てられない大惨敗でした。◎−○の組み合わせで11着12着って何なんでしょうね(苦笑)。……あ、でも博士は2着3着だったんですね。良馬場条件で印を変更したのが良かったんでしょうか。あ、良かったと言っても外れなんですけど(笑)」

駒木:「やかましい(笑)。でもこの時のシャイニンルビーは馬体重が−22kgだったからね。その時点で僕の予想は終わっていたよ。せっかくブルーリッジリバーという穴馬を発掘してたのに勿体無いことをした。
 あと、アローキャリーね。この時は同厩舎のサクセスビューティにハナを譲るから、“負け役”を務めるもんだと思われていたんだよね。それがまぁ、直線入ったらスルスルと抜け出して……。コメントにもあるように、管理してる調教師までが『まさか勝てるとは』って言ってたんだから、僕たちに当てられるはずが無いよね(苦笑)」

皐月賞 中山・2000・芝

着順 馬  名 着差
    1着 ノーリーズン

──

  2着 タイガーカフェ 1 3/4
3着 タニノギムレット ハナ
    4着 ダイタクフラッグ
    5着 メガスターダム 1 1/2
6着以下の“反省材料”
× 7着 アドマイヤドン  
× 8着 バランスオブゲーム  
× 10着 ヤマノブリザード  
× 12着 チアズシュタルク  
14着 ローマンエンパイア  
16着 モノポライザー  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 コーシロー、お前ってヤツは……(絶句)。弥生賞の時にヤマノブリザード相手にやった事を逆にヤラれてどうすんだ。マンガのチンケな悪役か、キミは。
 まぁ、こんな結果となってはどうしようもないんだが。安全牌だと思って切ったら国士無双に当たった気分だよ(苦笑)。◎をタニノギムレットにしたところで2着3着だしね。タイガーカフェに印打って、モノポライザーを叩き切ったのがせめてもの抵抗ってとこか。
 2週続けて、伏兵が展開に恵まれて抜け出すレースが続いてるなあ。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしってこの事だね。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 私の推した馬、タニノギムレット以外ボロボロじゃないですか……。いつも競馬学のお仕事をしているのに…。もう、ただただショックです。
 もう、自信喪失気味です。次はどうにか当たりますように……。 

珠美:「桜花賞に続き、このレースも波乱の結末となりました。勝ったのは15番人気のノーリーズンで、2着には8番人気のタイガーカフェ。馬連で5万円台ですから、馬単があればまず10万馬券は間違いないところですね。
 私たちの予想の方は、言わずもがなといったところでしょうか(苦笑)。私のコメントが週を追うごとに悲観的になっていっているのが、今となっては可笑しいですよね(苦笑)」

駒木:「このレースも、抜擢した穴馬が2着に飛び込んだのに、本命馬が沈んで不的中。まるでデ・ジャヴを見てるみたいだったよ(苦笑)。
 元々からして難しいレースだったから、外れるのは覚悟してたんだけど、この時はさすがに寝覚めが悪かったなぁ。コメントで目一杯負け惜しみを言ってるのもそのせいだろうね。けど、今年はこんな風に本命馬が大凡走して、伏兵がスルスルと抜けちゃうってレースが多かった。本命党・中穴党にはとにかく辛いシーズンだったよねぇ」

天皇賞・春 京都・3200・芝

着順 馬  名 着差
1着 マンハッタンカフェ

──

2着 ジャングルポケット クビ
3着 ナリタトップロード 1/2
  × 4着 ボーンキング 1 1/4
5着 サンライズペガサス ハナ
※レース直後のコメントはありませんでした。

珠美:「……と、ここまで波乱続きだった春のG1戦線が、とりあえずの一段落となりましたのが、この天皇賞でした。マンハッタンカフェが前年の菊花賞、有馬記念に続くG1レース3勝目。前走日経賞で汚した名誉を見事に挽回しました。以下の着順も、2着ジャングルポケット、3着ナリタトップロードと順当に収まり、馬連は5.4倍と堅めの配当となりました。
 ここまで堅いレースになりますと、私たちも外しようがないという感じでしたね(笑)。私も博士も久々の的中となりました」

駒木:「3連複があったら2倍とか3倍になっちゃいそうだ。…それにしてもアレなのはナリタトップロードだよねぇ。せっかく1番人気背負っておいてジャストブロンズって(苦笑)。『キミはマンガのネタを提供するために走っているのか』と、吉野家で問い詰めたくなるね(笑)」

 

NHKマイルカップ 東京・1600・芝

着順 馬  名 着差
1着 テレグノシス

──

  × 2着 アグネスソニック 1 3/4
3着 タニノギムレット 3/4
× 4着 メジャーカフェ 1 1/4
    5着 カノヤバトルクロス 1 1/2
6着以下の“反省材料”
×   6着 サードニックス  
  8着 シベリアンメドウ  
14着 タイキリオン  
× × 16着 スターエルドラード  
※レース直後のコメントはありません 

珠美:「このレースは4番人気のテレグノシスが勝ったんですが、この馬の走行について約20分にも及ぶ審議が行われるなど、スッキリしない決着になってしまいましたね。圧倒的1番人気を背負ったタニノギムレットも直線で致命的な不利を受けて3着。馬連の配当は48.3倍とやや波乱の結果になりました。
 私たちの予想ですが、タニノギムレットが連を外した影響が強くて、2人とも1着3着の惜しい外れとなりました」
駒木:「このレースはバタバタしたレースだったねぇ。前半の4ハロンが45秒3っていう超ハイペースで先行馬が全滅。更に直線でインコースの“グリーンベルト”を巡って多くの馬に不利が発生。……このレースは僕らにとっては反省材料と言うより“災難”だったって感じかな(苦笑)。
 あと毎年思うんだけど、このレースをG1でやる意義って、馬券の売り上げを伸ばしたい以外に何か有るのかねぇ? ダービーに外国産馬が出られるようになった今、もうこのレースをやる意味なんて無いと思うんだけど。どうしてもG1でやりたいならダートのレースにするべきだね」

優駿牝馬(オークス) 東京・2400・芝

着順 馬  名 着差
  × 1着 スマイルトゥモロー

──

    2着 チャペルコンサート 1 1/2
× 3着 ユウキャラット 3/4
× 4着 マイネミモーゼ クビ
5着 シャイニンルビー
6着以下の“反省材料”
× 6着 ブリガドーン  
7着 ブルーリッジリバー  
  × 8着 ツルマルグラマー  
× 12着 タムロチェリー  
× 14着 オースミコスモ  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 ……何も言う事ぁございません。完敗です。相馬眼の無さを思い切り痛感いたしました。
 絵に描いたような◎○▲のスリーフォーファイブフィニッシュ。競馬って難しいねえ。うんうん。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 押さえの馬が3頭も掲示板に載ってるんですけど、肝心の本命・シャイニンルビーが……。やっぱり、本調子に戻りきれなかったんでしょうか……。
 でも、博士がおっしゃっていた「スローペースでも差し馬有利」というのは本当だったんですね。私はハイペース予想で考えていたので、正直ビックリでした。

珠美:「3歳牝馬戦線はまたも波乱の決着。直線強襲を決めた4番人気・スマイルトゥモローと、中団から脚を伸ばした12番人気・チャペルコンサートの2頭が上位を占め、馬連はまたも135倍の万馬券決着となりました。
 予想の方ですが、2人とも不的中。私は穴狙いをしたんですが、狙った馬は軒並み着外に沈んでしまいました。もう完全にピントが狂ってますね、このあたり……(苦笑)」
駒木:「このレースに関しては、コメント通りの完敗だから何も言う余地が無いなぁ(苦笑)。
 ただ、こうして観ると、今年はシャイニンルビーに泣かされっ放しの年だった気がする。やっぱり年頃の女の子は何かと気紛れだね(笑)」
珠美:「それ、聞きようによっては誤解されちゃいますよ(苦笑)」

東京優駿(日本ダービー) 東京・2400・芝

着順 馬  名 着差
× 1着 タニノギムレット

──

× 2着 シンボリクリスエス 1 
× 3着 マチカネアカツキ
    4着 メガスターダム
    5着 ゴールドアリュール クビ
6着以下の“反省材料”
×   6着 アドマイヤドン  
  7着 バランスオブゲーム  
8着 ノーリーズン  
  × 9着 ヤマノブリザード  
10着 タイガーカフェ  
  × 11着 テレグノシス  
※レース直後のコメントはありません

珠美:「今年のダービーは、ここまで惜敗続きだったタニノギムレットが1番人気に応えて完勝。武豊騎手は史上初となる日本ダービー3勝ジョッキーとなりました。2着には皐月賞後に台頭して来た後の有馬記念馬・シンボリクリスエスが入って、このレースは馬連8.7倍の平穏な決着でしたね。
 でも私の予想の方は、本命馬の選択を完全に間違えて不的中。もうタイムマシンで戻って当時の私に教えてあげたいくらいです(苦笑)」
駒木:「僕だったらもっと高配当のレースの結果を教えに行くけどね(笑)。
 まぁ冗談はさておき、この時のタニノギムレットは過密ローテーションによる疲れが懸念されていたんだけど、見事に役目を果たしたね。ただ、結果的にはこのレースで燃え尽きたみたいになっちゃったけれども。
 この時は、◎のシンボリクリスエスと▲のマチカネアカツキが勝負馬券だったんだよなぁ。直線半ばまでは最高の結末が見えてたんだけどねぇ。惜しい事をした。
 ……それにしても、このレースの5着・6着がゴールドアリュールとアドマイヤドンなんだね。改めて見てみると不思議な因縁を感じさせるよなぁ」

安田記念 東京・1600・芝

着順 馬  名 着差
  × 1着 アドマイヤコジーン

──

2着 ダンツフレーム クビ
× × 3着 ミレニアムバイオ 1 1/2
× 4着 グラスワールド ハナ
5着 エイシンプレストン クビ
6着以下の“反省材料”
  × 9着 ディヴァインライト  
  × 14着 トロットスター  
× 17着 ダイタクリーヴァ  
18着 ゼンノエルシド  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“敗戦の弁”
 まず、展開の完全な読み違えを反省ね。マグナーテンが逃げる予想というのは、陣営の「スピードを生かす競馬をしてもらう」というコメントだったんだけど、よく考えたら岡部騎手に指示出せるわきゃ無いわな(苦笑)。おまけに3頭出し完全着外で赤っ恥と。藤沢和厩舎には悪夢のようなレースだっただろうね。
 で、直接の敗因。これは最も恐れていた、差し馬の完全不発。去年と同じ展開になっちゃった。まぁ、思ったよりもアドマイヤが渋太かったって事もあったけどね。
 後藤騎手、駒木も色々言った事ありますが、G1初制覇おめでとう。今日みたいに謙虚にしてれば誰にでも愛される人だと思いますんで、これからも今日の気持ちを忘れずに頑張ってください。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 また▲−×の不的中……。もう何点買っても当たらない気がして来ました……。
 宝塚記念は反省も込めて、キッチリと点数を絞って勝負に出ます! 皆さんも応援してくださいね。

珠美:「4年前の2歳マイル王者・アドマイヤコジーンが長いスランプを経て久々のG1レース2勝目を挙げました。2着には前年ジャングルポケットと好勝負を繰り広げたダンツフレームが飛び込んで、このレースは“リベンジ組”のワン・ツーとなりました。馬連配当は58倍。アドマイヤコジーンが7番人気だったんですね。
 予想の方は、またしても2人とも不的中。本命・対抗が重なって共倒れという、辛い結果になってしまいました……。私はもう、何か悪い霊に憑りつかれいてるような無茶苦茶な印ですね(苦笑)」
駒木:「コメントではゴチャゴチャ言ってるけど、ダンツフレームを4番手評価にしてる時点で終わってる。完全に予想のピントがズレてるんだよなぁ。まぁ、エイシンプレストンの5着不発だけはこの時点では予想しようが無かったんだけどね。でも、ゼンノエルシドに危険承知で○印打つくらいなら、ダンツに打つべきだったよね。それだったら外しても後悔してなかったと思う」

宝塚記念 阪神・2200・芝

着順 馬  名 着差
1着 ダンツフレーム

──

2着 ツルマルボーイ クビ
  3着 ローエングリン 1 1/4
× 4着 エアシャカール 3/4
    5着 マチカネキンノホシ ハナ
6着以下の“反省材料”
×   7着 テンザンセイザ  
  9着 ホットシークレット  
×   11着 フサイチランハート  
★レース直後のコメント★

※駒木博士の“勝利宣言&講義の訂正(苦笑)”
 久々に気持ちの良い的中でした。終わってみればいかにも宝塚記念らしい組み合わせの決着と言うか、何と言うか。
 ただ、談話室で受講生の方に講義内容に誤りがあると指摘を受けましたので、訂正しておきます。画竜点睛を欠くとはこの事だ、嗚呼(涙)。
 まず、もう訂正しましたが、5歳世代のマル外はアグネスフライトではなくアグネスデジタルです。デジタルって言ったつもりだったんですけど、レジュメを読み返したら確かにフライトと(苦笑)。お詫びして訂正します。
 あと、3歳馬の宝塚挑戦は99年のオースミブライト(6着)がありました。過去10年の上位5着までの一覧表を見つつ、記憶の糸を辿っていたので完全に頭からぶっ飛んでいました。申し訳ございません。今後は、より一層正確な講義を心がけますのでどうぞよろしく。

 ※栗藤珠美の“喜びの声”
 印を付けた4頭が上位独占! もう最後の直線がこんなに楽しいレースなんてどれくらい振りだったでしょうか(笑)。これでローエングリンとダンツフレームが入れ替わってくれていれば良かったんですけど、それは贅沢すぎる注文ですね(苦笑)。

珠美:「安田記念で復活の足がかりを得たダンツフレームが接戦を制し、G1初制覇を達成しました。2着には逃げるローエングリンを4番人気・ツルマルボーイが直線強襲。馬連は10.6倍の配当となりました。
 予想の方は2人とも的中。特に博士は◎−○の的中ということでしたが……?」
駒木:「今になって印を見たら『ナンダコリャ』だよなぁ(苦笑)。気持ち良い的中って、何言ってんだよ自分(笑)。ホットシークレットだけならともかく、テンザンセイザとフサイチランハートにまで手を伸ばすなよなぁ。
 やっぱり今年はどこかおかしいね。何か勘違いしてたと思うよ。それに気付かないまま秋シーズンに突入したんだから、酷い結果になったのもよく理解できる。
 ……この企画、夏にやるべきだったね。そっちの方も反省だ(苦笑)」
珠美:「結局、春のG1レースでの馬券の戦績は、博士が4勝6敗、私が3勝7敗となりました」
駒木:「4勝って言っても、配当的には当たっただけだね。もう少し気合の入った中穴馬券を当てておかないとお話にならんよ」
珠美:「さて、反省も盛り上がってきたところで申し訳ないんですが、今回はここでお時間となりました。この続きは年明け、1月4日の講義でお送りする事になります」
駒木:「新年早々大反省だね(笑)。まぁ、旧年の過ちを振り返って、新年の抱負を語るという意味では良いんじゃないかな」
珠美:「では、お疲れ様でした」
駒木:「ご苦労様。年末年始、公営競馬で馬券を買われる方、どうか頑張って下さい」 (次回へ続く

 


 

12月21日(土) 競馬学特論
「G1予想・有馬記念編」

駒木:「さぁ、今年の(JRAの)G1レースもいよいよラスト。有馬記念だね」
珠美:「去年は2人とも、テイエムオペラオーに“◎”、メイショウドトウに“○”を打って、敢え無く撃沈しちゃいましたね(苦笑)。博士は年間馬券収支の黒字を賭けての一戦だったんですけど、残念でした」
駒木:「今年は回収率90%前後っていう絶不調なんで、そういうプレッシャーは無いんだけどね、残念ながら(苦笑)。そりゃあ、当日の前座レースで中穴獲って、ここでも一番高目の配当をゲットすれば分からないけど、そんなのが出来るなら1年間苦労してないからねぇ」
珠美:「でもせめて、このレースを当てて良い締めくくりをしたいものですよね。テレビCMの小林薫さんじゃないですけれども(笑)」
駒木:「そうだねぇ。でも筋金入りの人は、次の日の競艇賞金王決定戦とか、公営競馬の東京大賞典とか、今年は開催が微妙とも言われてる競輪グランプリとかに年の締めくくりを賭けてるんだろうけどね(笑)。
 ……まぁ、それよりも今は明日の事が大事だ(笑)。とりあえず有馬記念の出馬表を紹介しておこう」

有馬記念 中山・2500・芝内

馬  名 騎 手
シンボリクリスエス ペリエ
    コイントス 岡部
    ヒシミラクル 角田
    エアシャカール 横山典
    テイエムオーシャン 本田
× ノーリーズン 蛯名
  × アメリカンボス 江田照
    タップダンスシチー 佐藤哲
ジャングルポケット 藤田
    10 イーグルカフェ 田中勝
  11 ナリタトップロード 渡辺
12 ファインモーション 武豊
    13 フサイチランハート バルジュー
    14 アクティブバイオ 後藤

珠美:「昨年に続いて頭数こそフルゲート割れとなりましたが、14頭中G1ホースが9頭で中身は濃くなった印象がありますが、博士の目から見てはいかがですか?」
駒木:「G1レース9頭か……。『よく考えたら、それくらいいたのか』って気がしないでもないけれども(苦笑)。でもG1馬は全部ファン投票選出なんだね。一番順位の低いイーグルカフェでも14位か。まぁ確かに現時点では最高に近いメンバーではあるよね。
 ……でも何だろうなぁ、これは秋シーズンに入ってから毎回言ってるけれども、まだこれでもオペラオーとかが抜けた穴が埋まり切ってない感じがするんだよなぁ。現時点では全体のレヴェルは決して高いとは思えないんだよ、どうしても。勿論、将来オペラオー級まで目指せそうな若駒はいるんだけども……。
 だから、意外とこの有馬記念は波乱含みだと思ってるんだ。去年みたいに大万馬券が炸裂しても決して驚けないね。まぁ、そんなのは中穴党の僕にとっては『勘弁してくれ』だけど(苦笑)」
珠美:「(苦笑)。……ではここで、改めて有馬記念のレースとしての特徴について教えて頂きたいんですが?」
駒木:「コースは中山競馬場の芝内回り2500mだね。2コーナーを曲がる少し手前からスタートするんで、都合コーナーを6回曲がる事になるわけだ。距離が距離だから、あまり枠順の有利・不利は無いだろうけど、コーナーワークの加減で逃げ・先行有利とはよく言われてるね。まぁここ最近は随分と差し馬が届くようになっているけど、それでも4コーナーは差の無い9番手以内で回りたいところだね。純粋な意味の追込みが届いたのは2000年のテイエムオペラオーくらいで、逆に言えばそれくらい強くないと直線一気は無理って事。
 あと、年度最終戦ということで各馬が目一杯に仕上げてくるレースという事も言っておかなくちゃね。このレースに関しては、『このレースに勝つ』以外の思惑は無いと見た方が良い。ただし連戦に次ぐ連戦の影響で、目に見えない疲れが溜まっている馬が多いのも特徴。調教までは完璧だったのにレースで大凡走する馬も多いから、大本命馬だからと言って、全幅の信頼を置いちゃいけないのが難しいところだね」
珠美:「牝馬の優勝が随分途切れているということも時々話題になりますね」
駒木:「1971年トウメイ以来だから30年以上遠ざかってるんだね。そのトウメイの優勝にしても、馬のインフルエンザの流行で有力馬が軒並み出走回避した6頭立てのレースだったから、余程牝馬とは縁の無いレースってことになるね。
 ただ、ここ10年ではヒシアマゾン(94年・2着)エアグルーブ(97年・頭+クビ差の3着)みたいに善戦健闘した馬もいるわけだから、いわゆる“女傑”クラスの馬ならば勝ち負けのチャンスはあるわけだ。だから、そう必要以上に『牝馬だから…』って考えるのもどうかと思うよ。それよりも、出走している牝馬が牡馬に伍していけるだけの実力があるかどうかを分析する方が大事だと思う」
珠美:「ということは今年の牝馬にもチャンス有り、という事ですね。
 あと、レースの展開はどうなるでしょうか? 逃げ馬不在ですが……」

駒木:「アメリカンボスが逃げるというのが有力だね。陣営も先行策を予告してるし。ただ、この馬は厳密な意味で逃げを打った事は無いんだよね。だから出来れば前に馬を置いて2〜3番手を追走したいはずなんだ。
 そういう意味では、これまでの脚質を返上して逃げる馬が出て来る可能性もある。例えばヒシミラクルなんか、平均的に脚を使うタイプだから思い切って逃げ切りを狙って来るかも知れないよね。
 まぁどっちにしろ、ペースはスロー。これがいつもなら瞬発力勝負になるんだけど、今回は道悪が残りそうなんで文字通りの泥仕合になっちゃいそうだねぇ。典型的な前残りのケイバになるのか、3コーナー前からペースが上がってサバイバルレースになっちゃうのかは分からない。チャンスが必ず巡って来るという意味で、やや先行馬に有利という気がするけど、難しいねぇ、正直言って(苦笑)」 
珠美:「──では博士には、今日も出走馬を1頭ずつ枠順に沿って解説して頂きます。
 まずは1枠。いきなり有力馬・シンボリクリスエス登場です。秋の天皇賞優勝・ジャパンカップ3着と、およそ3歳馬らしくない戦績を挙げての登場ですが、いかがでしょうか?」

駒木:「秋に出走した3レースは全部強い内容だったもんねぇ。前走も出遅れが無ければ1着まであっただろうし、並の3歳馬でないのは確か。問題になる道悪にしても、デビュー2戦目に不良馬場で追込み直線一気(2着)を見せてるわけだから、少なくとも下手ではないだろうね。脚質的にも気性的にもスキは無いし、有力馬の1頭であることは間違いないよ。
 ただ、問題はローテーションだよねぇ。秋緒戦の神戸新聞杯から、中3週→中3週→中3週でG1レース3連発。馬の体調管理には定評のある藤沢和雄厩舎とはいえ、さっき言った“目に見えない疲れ”がどうしても心配になる。杞憂に終わってくれれば良いんだけどね」
珠美:「本当、私の馬券のためにも杞憂に終わって欲しいです(苦笑)。
 それでは次に、2枠コイントスについてお願いします」

駒木:「コイントスかぁ。確かにここ何戦かの着順は整ってるんだけど、その着順っていうのが、ハンデ戦やメンバー構成が今一つの重賞ばかりだからねぇ。
 4戦連続1番人気の重圧から逃れた気楽さで大穴を開ける可能性が全く無いとは言えないんだけど、ちょっと現時点では番付が違いすぎる感じかな。さすがにこんな場で平幕優勝を予想するほど僕もイカれてないよ(笑)」
珠美:「続いて3枠ですが、ここから2頭ずつお願いしますね。この枠では新旧の菊花賞馬が同居した形になりましたが、博士のジャッジはいかがでしょうか?」
駒木:「まずヒシミラクル。このレースは菊花賞直行組の戦績が結構良くて、それなりの穴も開けたりしてるんだけど、さすがにこの馬にまでそれを求めるのは可哀想なんじゃないかって気がするね。ズバリ言ってしまうのはどうかと思うけど、菊花賞の勝ちはハッキリ言って恵まれだったからねぇ。どっちかと言えば神戸新聞杯の6着の方が実力を現してると思うよ。
 チャンスがあるとすれば、イチかバチかの逃げを打つかくらいかな。それにしても余程の恵まれが無いと辛いと思うよ。
 ヒシミラクルとは逆に、ギリギリまで脚を貯めて追い込みに賭けるしかないのがエアシャカール。だからこの有馬記念の舞台と道悪は本当にキツいよねぇ。脚を貯めっ放しで撃沈するか、見せ場だけ作って入着止まりになるかのどちらかかな。地力的にもそれほど威張れる馬でもないからねぇ」
珠美:「3枠の2頭については、やや厳し目の見解になりましたね。……では、次に4枠の2頭。ここもG1ホース2頭が同居する形になっていますが……」
駒木:「テイエムオーシャンは、もう天皇賞とジャパンカップの時に散々言ってきたからもう良いよね? このメンバーでは実力不足が否めない。調教師たちのオフレコ談話でも『ファインモーションは分からんけど、テイエムオーシャンには勝てる』って声が漏れ聞こえてくるし、いい加減牝馬路線に戻してあげればいいのに…って感じかな。
 ノーリーズンは、菊花賞の落馬中止が疲労蓄積を避けたって意味では逆にプラスになっているかも知れないね。ジャパンカップより良いコンディションでレースに臨めそうだ。
 懸念は差し脚質と地力の差なんだろうけど、もしも有力馬の内の1〜2頭が凡走した場合は繰り上がりでチャンスが巡って来そうなポジションではあるんだ。言ってみれば“補欠第1位”だね。ジャパンカップの時に比べたら随分と人気の盲点になった感じだし、穴で一考ってところだね」
珠美:「ノーリーズンの差し脚質はマイナスに働きませんか?」
駒木:「皐月賞勝った時は4コーナーから捲ってるわけだから、今回も好走するんなら、そういう走り方になるんじゃないのかな」
珠美:「なるほど、本当に“補欠1位”みたいな存在ですね(笑)。
 では、次は5枠です。この枠は“大穴枠”といったところでしょうか?」

駒木:「出たな、アメリカンボス(苦笑)。あれ、珠美ちゃん、こっそりと×印付けてるじゃないか(笑)。やるなぁ」
珠美:「スローペースの先行馬なので、コッソリと狙ってみました。シンボリクリスエスとの組み合わせでも万馬券なんで……」
駒木:「まぁ、凡走と好走の落差の激しい馬だから、確かに不気味ではあるよね。
 でも、どうだろうね。去年はテイエムとドトウが後手を踏んで凡走した上に、2着争いした相手が末にヘタれることで有名なトゥザヴィクトリーだったしねぇ。恵まれがいくつも重なっての“激走”だったと僕は思っているんだけど。まぁ、珠美ちゃんの勇気に敬意は表しておくよ(笑)」
珠美:「ハイ、ありがとうございます(苦笑)」
駒木:「あと、タップダンスシチーは惜しかったんだよなぁ。良馬場だったら格好の穴馬だと思っていたんだけど、この馬、道悪は駄目らしいんだよ。ただでさえ中山の馬場は痛み始めてるわけだしね。う〜ん、可哀想だけど、レースが始まる前に終わっちゃってる感じかなぁ」
珠美:「では、次は6枠です。この枠もG1ホース2頭という構成になっていますが……」
駒木:「さぁ、また判断に困る馬が登場だね。とうとう年内未勝利のままで来ちゃったジャングルポケットだ。
 前走の5着についてだけど、これはスローペースだったのに加えて、やっぱり休養明けが駄目なんだと思う、この馬は。どうも間隔が開くと末脚が鈍り気味になるんだよね。去年の札幌記念然り、阪神大賞典然り。ひょっとしたら菊花賞もそうだったかも知れない。
 そういう意味で言えば、今回は大きな狙い目なんだよね。詰まったローテーション、ダービーを勝った重馬場、そして地力勝負でも十分通用する相手関係。地力だけだったらシンボリクリスエスよりもまだ上じゃないかと思ってるからね、僕は。
 ただ、脚質がねぇ……。ジャパンカップみたいに一番後ろから行ったんじゃ、お話にならない。これは藤田騎手の腕に期待するしかないんだけど、果たしてどうだろうね。上手い事行けば、1997年のシルクジャスティスの再現になりそうなんだけど。
 この枠のもう1頭はイーグルカフェか。前走はビックリだったけど、それはこの馬にビックリじゃなくて、デットーリ騎手にビックリって感じだったからねぇ(苦笑)。今回は距離も長いし、騎手も戻っちゃうし……。まぁ、普通に考えて苦戦は必至だろうね」
珠美:「デットーリ騎手の凄さは痛いほど目に焼き付けられましたものね(苦笑)。タイムマシンがあったら、もう一度11月に戻りたい気分で一杯です(笑)。
 ……では、講義も長引いて来ましたし、先を急ぎましょう。いよいよ注目の7枠ファインモーションがこのメンバーで通用するかどうかについて。詳しくお訊きしたいと思います」

駒木:「まずは枠順通りにナリタトップロードからなんだけど、本当にこの馬は運が無いなぁ。何だかこっちまで泣きたくなっちゃうよ(苦笑)。よりによって雨が降るかねぇ、こんな時に。地力だけなら勝ち負けなんだけど、馬場が3ヶ月使い込まれて荒れ気味の上にコレじゃあねぇ……。残念だけど、今回も見送りが賢明かな。馬券と関係なしで健闘を祈りたい気分ではあるんだけどね。
 で、ファインモーションだ。ここまで6戦6勝でG1レース2勝だね。普通の牝馬G1勝ちというのは牡馬混合のG3と同価値くらいなんで、実は大した意味は成さないんだけれども、この馬は並クラスの牝馬チャンピオンではないからねぇ。伊藤雄二調教師『(以前管理した)エアグルーヴより能力は上』と言うくらい惚れこんでるらしいし、少なくとも“女傑候補生”である事は確かだろうね。
 僕の見解としても、この馬はエアグルーヴ級の大物だという認識だよ。そして、当面のライバルであるシンボリクリスエスよりも強いんじゃないかと見込んでいるんだ。あと、ゆったりしたローテーションも良いよね。
 心配はやっぱり道悪だろうなぁ。地力の違いでこなしてしまうと思っているけれども、道悪を走った経験が無い以上は完全に信頼する事は出来ないからね。下手をすると足下を取られて大凡走って可能性も捨てきれない」
珠美:「えーとですね、つまり、全幅の信頼は置けないけれども馬券に絡む可能性は一番高い…ということでよろしいですか?」
駒木:「そうだね。そういう事だね」
珠美:「分かりました。それでは最後に8枠です。こちらは一転して人気薄の馬が2頭揃いましたが、いかがですか?」
駒木:「フサイチランハートにしてもアクティブバイオにしても、人気薄で重賞を勝ったのは良いんだけど、その後がイマイチ続いてないんだよね。デキそのものは良いんだけど、後はコイントスと以下同文だね」
珠美:「──ハイ、有難うございました。いよいよ結論ということになりますけれども……」
駒木:「注目の集まるファインモーション、実力は十分ここでも通用すると見て本命に抜擢。対抗するのはこの秋の主役・シンボリクリスエスだけど地力上位のジャングルポケットも全く差は無し。それぞれに死角はあるんだけど、一応は三つ巴かな。
 で、もしもこの3頭のどれかが凡走してしまったらノーリーズンが代わりに台頭しそうな気配。これが一応の穴だね。買い目は馬連で1-12、9-12、1-9、6-12の4点。3連複は、1-9-12のオッズが低すぎるので見送りだね」
珠美:「私は馬連で1-12、1-9、9-12、1-11、1-6、1-7の6点です。1-7だったら万馬券なんで、宝くじを買ったつもりで待つことにします(笑)」
駒木:「それじゃ、講義も終わりだね。受講生の皆さんもグッドラック!」
珠美:「おいしいお酒が呑めると良いですね(笑)。それでは、皆さんお疲れ様でした♪」


有馬記念 結果(5着まで)
1着 シンボリクリスエス
2着 タップダンスシチー
3着 コイントス
4着 11 ナリタトップロード
5着 12 ファインモーション

 ※駒木ハヤトの“敗戦の弁”
 仕事があるので酒は呑めないけれども、今日のコーヒーは不味い(苦笑)。
 ファインモーションは、あそこまで力んだレースをしてしまうと、ロスしたスタミナの分だけ不利だよねぇ。あれで5着に粘ってるんだから全く通用しないわけじゃないんだけど、今日は全てが裏目に出た感じだね。武豊騎手も馬の実力を少し過信していたのかも。
 タップダンスシチーは、佐藤哲三騎手のギャンブル成功ってところだろうね。だけど、「有馬記念においては奇襲戦法を禁ずる」みたいな内規作ってくれないだろうか。あんなの予想しろってったって無理だよ(涙)。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 シンボリクリスエスが伸びて来た時は「やった!」と思ったんですけど、後ろから何も来ませんでした……(苦笑)。
 この秋は博士も私もボロボロでしたね……。また来年、チャンスがあればリベンジしたいと思います。申し訳有りませんでした。

 


 

12月14日(土) 競馬学概論
 「緊急スキ間企画・香港国際競走小史」

 今週は珠美ちゃんがいないので、駒木だけの競馬学講義となります。
 お恥ずかしい話しながら、今週の末まで珠美ちゃんが香港に旅行へ行くことになっていた事を完璧に忘れておりまして、そのせいで用意していた企画が完全にボツになってしまいました。自業自得とはこの事でありますね(苦笑)。

 で、仕方ないんで今日は緊急企画。明日の昼に行われる香港国際競走の簡単な歴史などを紹介してみようと思います。あくまで“代原”なんで、多くは期待しないよう、ご容赦願います。


☆香港競馬と国際競走について☆

 香港で競馬が初めて開催されたのは、アヘン戦争により香港がイギリスの統治下となったばかりの1845年。ただし、初期は開催日数も少なく、規模も草競馬の域を出るものではなかったようです。
 その後にジョッキークラブ(騎手とは関係無い事務組合のようなもの)の設立されて徐々に競馬としての体裁が整って行きましたが、香港の競馬が広く庶民にまで浸透し始めたのは、なんと1940年代の日本統治下においてだったとのこと。香港の競馬がどことなく日本スタイルに似ているのは、ひょっとしたらこの辺りにルーツがあるのかも知れません。よく知りませんが(笑)。
 再びイギリス統治下に戻ってからも大衆ギャンブル路線は継続され、スタンドの増築や電話投票制度の開始などが1960〜70年代に相次ぎます。騎手のプロ化などのハード面の整備も進められ、完全に草競馬色が抜けたのもこの頃です。

 そして1988年、日本がジャパンカップを創設したのをなぞるようにして国際レースを創設し、香港は競馬一流地区としての歴史を踏み出します。
 第1回の香港国際競走は芝1800mの香港招待カップ(後に香港国際カップ、現在の香港カップ)のみで、招待国もシンガポールとマレーシアの2国だけでしたが、翌年以降は招待国数や規模がどんどん拡大して行きました。(現在は11カ国が参加)
 1991年香港招待ボウル(後の香港国際ボウル→香港国際マイル、現在の香港マイル)創設1993年の国際グレード獲得1994年の香港国際ヴァーズ(現:香港ヴァーズ)創設、1999年の香港スプリント創設を経て、ついに2002年度には4競走全てが国際G1格付けを獲得。今や規模においてジャパンカップを凌ぐ、アジア版ブリーダーズカップとして世界の競馬シーンの中で重要な地位を占めるに至りました。
 日本調教馬は1993年春(1992年冬の延期分)から招待枠を得て、日本脳炎の流行で遠征が出来なくなった2000年を除く全ての年に遠征を敢行。近距離で輸送による障害が少ないせいか日本馬の成績は全般的に良く、特に昨年2001年は国際G1レース3競走を完全制覇するなど、日本馬にとっては第二の故郷的な存在となっています。

☆香港スプリント☆

 1999年に創設された、直線1000mの電撃戦。2000年から国際グレード競走となり(G3)、翌01年にG2、そして今年からはG1競走に昇格となりました。
 日本の安田記念(国際G2相当も国際グレード未申請)ですら獲得できないG1格付けをアッサリと取得できたように、歴史は浅いものの、かなりのハイレヴェルのレースとして知られています
 日本勢は昨年から参加。初代直線1000m戦チャンプのメジロダーリングと、1200m戦の副将格・ダイタクヤマトがエントリーし、大いに期待されたものの、それぞれ12着、13着と大凡走してしまいました。
 今年の日本からのエントリーはビリーヴショウナンカンプの、日本2002年度スプリントG1覇者コンビ。イギリスの今年度最優秀スプリンター・コンティネントや、このレース2連覇中の地元馬(また不覚にも間違ってました。訂正します)オーストラリアからの刺客ファルヴェロンなどが相手になりそうです。現地情報ではビリーヴの体調悪化が心配されましたが、土壇場になって復調気配との事。日本馬は共にスタートダッシュが得意な馬だけに、大いな期待が出来そうです。

☆香港ヴァーズ☆

 伝統のクラシックディスタンス・芝2400mで争われるのがこのレース。創設は1994年で、今年が9回目。96年から国際G2、そして00年から国際G1となっています。
 日本馬は第1回の1994年から参加(エイシンテネシー4着)。以後、1995年にタニノクリエイト(4着)、1997年エイシンサンサン(12着)、1999年ローゼンカバリー(4着)と参戦して来ましたが、初めて栄冠を戴いたのは昨年のステイゴールドが初めて。しかもキャリア50戦目の引退レースにしての劇的な追込勝ちという、極めて印象深いレースとなりました。
 今年は残念ながら日本馬の参加は無し。故国フランスで後のジャパンC馬ファルブラヴを一蹴した女傑・アクアレリストが最有力とされています。ジャパンCで人気を集めたブライトスカイの同厩で姉貴分にあたります。

☆香港マイル☆

 1991年、芝1400mの香港招待ボウルとして創設され、
1999年から距離が1600mに延長されて現在の名称となりました。国際格付けは、94年にG3、95年にG2、00年よりG1です。
 日本馬は1993年春のホクセイシプレー(14着)からほぼ毎年参戦していますが、日本では当時、マイルCS→CBC賞→スプリンターズSの路線が確立されていたためか一線級の挑戦が少なく、昨年のエイシンプレストン優勝まで6連敗を喫していました。(他の日本馬の成績……94年ゴールドマウンテン14着、95・96年ドージマムテキ5着・2着、97年シンコウキング3着、98年ロイヤルスズカ4着、99年ミッドナイトベット8着、01年ゼンノエルシド14着
 今年はアドマイヤコジーントウカイポイントの02年春・秋マイル王者2頭が出走。地力的にはやや小粒なコンビではありますが、ここに来て最有力馬ドームドライヴァーらが出走回避するなど運が向いて来た感もあります。果たして日本勢の2連覇はなるのでしょうか──?

☆香港カップ☆

 香港の元祖・国際レースで、創設は1988年(名称は香港招待カップ)。当時は芝1800mでしたが、99年のG1格付け取得を機に2000mの準チャンピオンディスタンス戦に生まれ変わっています(93年春に国際G3、冬に国際G2)。また、現在はワールドチャンピオンシップシリーズの最終戦として、国際的にも非常に重要な地位を築き上げています。
 日本馬は1993年冬から参戦(ナリタチカラ7着)し、95年にはフジヤマケンザンが純内国産馬としては初めてとなる海外での国際グレード競走勝利を達成、98年にもミッドナイトベットが、01年にはアグネスデジタルがそれぞれ勝利し、日本馬と非常に相性の良いレースとなりつつあります。(他の年の日本馬成績……94年フジヤマケンザン4着、96年シーズグレイス9着、97年サイレンススズカ5着
 今年は香港の国際G1競走を2連覇中のエイシンプレストンが堂々の参戦。対する相手は、UAE代表で今年度ワールドシリーズ王者が確定的なグランデラと、ジャパンC2着のサラファンと強敵揃い。果たしてその結末や、如何に──


 ……というわけで、簡単ではありましたが、香港国際競走についてお話をしました。レースの模様は、グリーンチャンネルやラジオ放送、さらには競馬場内のモニターTVなどで中継されると思いますので、競馬に少しでも興味の有る方は、是非その目と耳で日本馬の雄姿を脳裏に焼き付けて下さい。

 では、今日の講義を終わります。来週のこの時間は、有馬記念の直前予想です。

 


 

12月7日(土) 競馬学特論
「G1予想・朝日杯フューチュリティS編」

駒木:「……では講義を始めるけれども、今日は最初に言っておきます。多分、予想は当たりません!(笑)」
珠美:「何言ってるんですか、博士……と言いたいところですけど、確かに今日のレースは難しいですね。去年は私たち2人とも本命・対抗で的中したレースですから、今年も何とかしたいところなんですけど……」
駒木:「まぁ、その辺の話は出馬表を確認してもらってからにしようかな」

朝日杯フューチュリティS 中山・1600・芝外

馬  名 騎 手
    マイジョーカー 村田
サクラプレジデント 田中勝
  テイエムリキサン 池添
× ワンダフルデイズ
    エイシンチャンプ 福永
    パープルクオーツ 勝浦
×   コスモインペリアル 柴田善
    センリツ 柴田大
× タイガーモーション 江田照
    10 シンボリデビル 岡部
    11 キョクイチバンブー バルジュー
× 12 サイレントディール 武豊
  × 13 ヨシサイバーダイン 北村
14 マイネルモルゲン ペリエ
取消 15 エイシンブーン 武幸
    16 バロンカラノテガミ 蛯名

珠美:「8枠15番のエイシンブーンは、枠順発表直後、感冒のために出走取り消しとなりました。皆さんもどうぞご注意下さい」 
駒木:「……さて、さっき言ってた話だけど、今回はメンバー見てもらえば分かるように、重賞勝ち馬が札幌2歳Sのサクラプレジデント1頭だけ。現時点での世代No.1、2が回避しちゃったから、随分と締まらないレースになっちゃったね。
 なわけで、このレースも先週の阪神JFと同じでレヴェルが相当低い。いや、軸馬がいない分だけもっと低いかもね。だから、先週とかマイルCSみたいに人気下位の馬が大駆けするケースが十分考えられる。僕は中穴党だから中穴の予想をするけれども、どうにも穴党の人向けのレースって気がして仕方ないんだよね」
珠美:「博士の推測って、細かい予想に関係無い部分だけ当たりますから、ちょっと心配です(苦笑)。
 ……それはさておき、展開はどうなりますか? 逃げ馬不在みたいですけど?」

駒木:「いや〜、展開も読み辛いんだよね、このレース。ハナ切りそうな馬が2、3頭いるし、先行するのか差すのか判らない馬もいる。多分、遅めの平均ペースになるんじゃないかな…とは思うけれども」
珠美:「未知数な部分が多いというわけですね」
駒木:「多分、実際にレースに乗る騎手の人たちも、まだどうするか決めてないような気がするしね(笑)。本格的な展開予想はゲートが開いてからってことになるんだろうね」
珠美:「それじゃ遅すぎるんですけど(苦笑)。ま、とにかく難しいということですね。
 ……では、今日も枠順に従って1頭ずつ解説していただきましょう。まずは1枠の2頭からお願いします。この枠には、1番人気で博士の本命・サクラプレジデントがいますが──?」

駒木:「まず、マイジョーカーから。レース数の乏しい戦績だけで判断するのは気が進まないけど、デビュー戦でサクラプレジデントに完敗、ここ2走も有力馬の少ない裏街道のレースでワンダフルデイズに完敗しているところから考えると、強くは推せない。前走の2着も上がりタイムは凄いんだけど、レース振りそのものは人気薄の展開ハマりっぽいし。
 そしてサクラプレジデント。たった2戦のキャリアでどこまで判断できるか微妙だけど、新馬や札幌2歳Sで負かした相手の力関係からしてここでも上位クラスのはず。休み明けとはいえ、調教の動きが本当に良いみたいだし、人気するのも仕方ないんじゃないかな。もっとも、単勝2倍台はさすがに買い被り過ぎな気がするけどね。本命打っておいて言うのも変だけどさ(笑)」
珠美:「サクラプレジデントは差し馬ですが、ペースが遅い場合は不利じゃありませんか?」
駒木:「確かに微妙だね。ただ僕は、馬群が固まったら道中の位置取りは大して関係無いって考え。極端な追い込みならともかく、中位程度なら最終コーナーでインを突いたら関係なくなるからね。現に、サクラプレジデントはそうういったレースで札幌2歳S勝ってるし」
珠美:「なるほど、分かりました。でも私は先行馬主体に予想を組み立ててしまったんで、『ヤなこと聞いちゃった』って感じなんですけど(苦笑)。
 ……では、2枠の2頭についてコメントをお願いします」

駒木:「テイエムリキサンは、6月デビューに失敗した後にジックリ立て直したのが良かったんだね。デビュー2戦目からは全く違う馬になってる。
 で、今回のレースだね。今回は3枠5番のエイシンチャンプが出走馬の力量を計る格好の物差しになっているんだけど、この馬も前走の荻Sでエイシンチャンプを豪快に負かしてるんで、十分上位で戦えるはず。ただ、札幌でサクラプレジデントに負かされてもいるんで、評価が難しいところだね。
 ワンダフルデイズはスピードを活かして3戦3勝。ただ、負かして来た相手はマイナークラスだね。今回も勢いに任せて押し切っちゃう可能性もあるだろうけど、この馬にとっちゃ実質“昇級戦”なんで、厳しくなったペースに戸惑わないかって不安の方が大きいかなって感じ」
珠美:「……それでは、次は3枠ですね。ここからしばらく人気薄の馬が続くことになりますが、いかがでしょうか?」
駒木:「エイシンチャンプはさっき言ったように、ここでは他の馬の実力を測る物差し代わりだね(笑)。しかしまぁ、見事なまでに堅実な負かされっぷりだこと(笑)。人気馬とそれほど実力差があるとは思えないんだけど、だからと言って今回逆転出来そうにも思えないんだよなぁ。逆に言えば、だからこそ穴で狙い目とも言えるんだけど。
 パープルクオーツは、どう考えても実力が足りないでしょ。いくら低レヴェルのレースって言っても、この馬にヤラれちゃったら目も当てられないね」
珠美:「エイシンチャンプは前売りで単勝25.8倍ですか。確かに実績の割には人気してませんね。とはいえ、私もこの馬から馬券は買いませんけど(苦笑)。 
 ──さて、次は4枠の2頭ですね。いかがでしょうか?」

駒木:「まずコスモインペリアル。ワンダフルデイズと同じように、裏街道でマイナークラスを負かして来た馬だね。あっちは関西ルートで、こっちは関東ルートだけれど。
 この馬も一気の相手強化がポイントだろうね。人気薄で勝ち続けて来た不気味さは感じるんだけれども……。
 センリツは芝で5戦、新馬・未勝利ばかりで走ってどれも惨敗。ナンボなんでもここじゃ厳しすぎるだろうって感じ」 
珠美:「次は5枠ですね。博士が対抗を打たれているタイガーモーションについて、特に詳しくお聞きしたいんですが……」
駒木:「先週のブランピュール(3着)に続いて○印で冒険してみたってわけなんだけど、今週もまた3着かなぁ(苦笑)。
 で、そのタイガーモーション。現時点での2歳牡馬二強の一角・ブルーイレブンに肉薄した数少ない馬だね。その東スポ2歳Sは着差以上の完敗だったそうだけど、馬体重が+18kgだったっていうエクスキューズもあるからね。そう捨てたモンじゃないと思うんだよ。
 どうも人気は札幌組と関西馬に及ばないみたいだけど、地力で見劣りするとは思えないし、着順では逆転したいところだろうね。
 シンボリデビルは1枠のマイジョーカーの関東版って感じだね。そんなに悲観する成績じゃないけど、少なくとも楽観できる成績じゃあない。大穴で一考ってところかな」
珠美:「確かにタイガーモーションは人気の盲点になっている気がしますね。私も×印を打ってますんで、ソコソコの期待はしたいところです(笑)。
 ……それでは、次は6枠です。トゥザヴィクトリーの全弟・サイレントディールが注目されていますが、博士の見解はいかがでしょうか?」

駒木:「その前にキョクイチバンブー。道営所属だった夏頃は、中央オープンでも互角に戦っていたみたいだけど、秋になって中央へ移籍して来てからはサッパリだね。どうやら典型的な早熟馬だったみたい。今回も見送りが妥当かな。
 そして、サイレントディールなんだけど……。
 う〜ん、正直言って、どうしてここまで人気するのか分からない。確かに大器の片鱗みたいなものが窺えなくはないんだけど、良血と鞍上・武豊ってことで人気過剰になっちゃってる気がするなぁ」
珠美:「あら、そ、そうなんですか?(汗)」
駒木:「ん〜、まぁ今回のレヴェルなら何が起こってもおかしくないけどね。あくまで上位グループ6〜7頭の中に何とか引っ付いてるって感じだね」
珠美:「今回は私と博士の予想印が随分と違うんで、肩身が狭い思いをしています(苦笑)」
駒木:「まぁ、レースが終わったら立場が逆転する可能性もあるんだから、講義中は我慢してくれよ(笑)」
珠美:「分かりました(笑)。では、次は7枠の2頭ですね。この枠は比較的人気している馬が揃っていますが……」
駒木:「ヨシサイバーダインか。微妙な戦績の馬だよねぇ。トップグループから少しだけ遅れをとってる感じ。逆転も有りそうなんだけど、新潟2歳Sで負かされたワナのその後がアレだから、正直、ちょっと辛い気がしないでもない。
 マイネルモルゲンは実績的にもトップグループの一角を占めていると言えそうだね。ただ、差し戦法だとジリっぽい気がしないでもないし、調教の様子が今一つだったのも気になるところ。やや外目の枠から躊躇無く先行策が打てるかどうかがカギだろうね」
珠美:「マイネルモルゲンの調教は私も気になったんですけど、本命にしちゃいました(苦笑)。
 ……では、最後に8枠。エイシンブーンが取り消しになりましたので、1頭だけになりました」

駒木:「バロンカラノテガミね。先週の阪神芝1600と同じように、中山の芝外1600も外枠はメチャクチャ不利なんだよね。15番枠以降は全く出番なし。実力以前の問題だよね、これ。日本のG1レースって、枠順の有利・不利が大きすぎるコースでやる事が多いのが困り物だね。どうにかならんのかなぁ」
珠美:「……ということで、15頭にコメントしていただきました。最後に総括と馬券の買い目をお願いします」
駒木:「そうだね。大混戦だけど、頭一つじゃなくて頭1/4だけ抜けてる存在の3頭をピックアップ。2、9、3の馬連BOXと3連複でささやかに勝負するつもり」
珠美:「私は12-14、4-14、4-12、2-14、9-14、13-14の馬連6点です。ペリエ−武豊馬券に期待です♪」
駒木
:「それじゃ、講義を終わろうか。ご苦労様」
珠美:「お疲れ様でした♪」


朝日杯フューチュリティS 結果(5着まで)
1着 エイシンチャンプ
2着 サクラプレジデント
3着 テイエムリキサン
4着 タイガーモーション
5着 ワンダフルデイズ

 ※駒木ハヤトの“敗戦の弁”
 よりによって、オッズの美味しさを詳しく説明した挙句に「買わない」と宣言した馬にヤラれるとは……。まぁ、今回のレヴェルなら何でもありなんだけどね。
 今回は勘弁してくれって感じの2着、3着、4着。これ、ワイド3連複とか無いのかな(笑)。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 私の本線馬券は4コーナー回る前に終わってましたね……。しかも挙句の果てにエイシンチャンプ……。
 何とか有馬記念までには調子を取り戻しておきたいと思います。このままじゃ年越せません!

 


 

11月30日(土) 競馬学特論
「G1予想・阪神ジュベナイルフィリーズ編(簡易版)」

 こんばんは。今日の競馬学特論は、明日の式典準備のため、駒木1人による簡易版で行います。

 まずは出馬表と予想印をご覧下さい。

阪神ジュベナイルフィリーズ 阪神・1600・芝

馬  名 騎 手
    ソルティビッド 蛯名
× × アドマイヤテレサ 武豊
× ワナ 柴田善
× オースミハルカ ペリエ
ピースオブワールド 福永
    ユキノスイトピー 須貝
    マイネラベンダー 小牧太
シーイズトウショウ 池添
  ブランピュール 本田
    10 テイエムトキメキ 牧田
    11 リリーキャスケード 小林淳
    12 プラントパラダイス 和田
    13 ヤマカツリリー 安藤勝
    14 トーセンリリー 村田
    15 メイプルロード 芹沢
    16 グランドサファイヤ 松永
17 トーホウアスカ 四位
    18 ホワイトカーニバル 小野

《駒木ハヤトの見解》

 秋の牡牝混合重賞レース(府中3歳S、デイリー杯、京王杯)の勝ち馬がいない点から考えると、全体的なレヴェルは昨年並程度のやや低調なものと考えた方が良さそう。1勝馬や裏街道からの参戦馬、または条件次第で爆走するクセ馬にも注意を払うべきと申し上げておく。

 展開は、ソルティビッドかマイネラベンダーがハナを切り、やや縦長の隊列で平均ペースになるのではないか。余程のハイペースでないと先行〜中位で決まってしまう傾向のあるレースだけに、差し馬の過信は禁物だ。

 2歳戦ゆえ、手掛かりが少なくて困惑するばかりだが、本命は正攻法で3戦3勝のピースオブワールドに。他の馬に絡まれてゴチャついた時は心配も、現時点での地力そのものは抜きん出ている。全幅の信頼は置けないにしても、馬券の中心にせざるを得ないだろう。
 対抗には、休養明けのブランピュールを危険承知で抜擢した。余裕残しで1800mのコスモス賞を完勝したパフォーマンスはここでも通用するものと見たい。主なメンバーと全く対戦が無いのが逆に魅力と言えるかも。
 三番手評価は迷ったが、ペリエ鞍上のオースミハルカ。前走−18kg減の反動が怖いが、まともなら上積み十分。ただし、堅実無比のシーイズトウショウも差は無い。
 この他、ワナの巻き返しやアドマイヤテレサの強襲など警戒すべき馬は多くいて混戦模様。とにかく2、3着争いは、ちょっとした事で大きく結果が変わりそうだ。
 ちなみに、実績や調子ならトーホウアスカも優勝圏内だが、17番枠はあまりに過酷。阪神芝1600mの16番枠以降は、キョウエイマーチ級の名牝でなければ克服不可能なだけに、今回は様子見に留めたい。

 駒木の買い目…5、9、4の馬連BOX及び3連複
 珠美の買い目…5-8、3-8、3-5、5-17、4-5、2-5の馬連6点

 ……それでは皆さんの健闘を祈ります。頑張って下さい。

 


 

11月23日(土・祝) 競馬学特論
「G1予想・ジャパンカップ編」

駒木:「というわけで、今日も競馬学特論講義だね」
珠美:「今日はまず先に、今日行われましたジャパンカップダートの簡単な回顧を行います。ジャパンカップダート、1着から5着までの着順は以下の通りになりました」

ジャパンカップダート 結果(5着まで)
1着 イーグルカフェ
2着 リージェントブラフ
3着 アドマイヤドン
4着 プリエミネンス
5着 ゴールドアリュール

駒木:「珠美ちゃん、この他、有力馬の着順を紹介してくれるかな?」
珠美:「ハイ。えーと、人気どころでは6着トーホウエンペラー、8着ハギノハイグレイド…といったところでしょうか。
 それにしても大波乱ですねー。馬連、ワイド、馬単、3連複と、4種類の万馬券が飛び出しました。馬単に至っては10万馬券ということに……(溜息)」

駒木:「配当聞いてたまげたよ。リージェントブラフが人気しなさ過ぎだったんだね。凄い人気の盲点だったなぁ……。今日の馬券、穴党の人なら的中している人が案外多いんじゃないかな。玄人向けの穴馬券だったね」
珠美:「それでは簡単に上位馬の回顧をしていただきたいんですが、まずは1着のイーグルカフェデットーリ騎手の好騎乗が光った形でしょうか?
駒木:「いや、まったく。あのイン突きにはシビれた。追い込み馬の競馬を好位でやられたら、他の馬はひとたまりも無いよね。やっぱりヨーロッパの騎手はイン突きが上手いなぁ。
 今日のレースを観てて、昔、競馬場で知り合ったセミプロの人が、勝負馬券を的中する度『このレースは馬じゃなくて人(騎手)が走ってるんだよ』って言ってたのを思い出した。今日のレースはまさにそれだね。馬には悪いけど、デットーリの騎乗が無かったら今日の勝ちは無かったはず。いやはや、恐れ入りましたって感じ」
珠美:「そして、2着にはリージェントブラフ。ゴール直前で順位が変わった形の2着でした」
駒木:「このレース、3〜4コーナーでアドマイヤドンとゴールドアリュールが早仕掛けしたせいか、最後の直線でペースがバタッと鈍ってるんだよね。まさに展開がハマった形で、他力本願が実った感じ。この馬も実力以上の着順が出せてるんじゃないのかな」
珠美:「1番人気・3着のアドマイヤドンのレース振りはいかがでしたか?」
駒木:「5着のゴールドアリュールもそうだけど、ちょっと乗り役さんが馬の実力を過信してたかなって気がする。まぁ、これまでのレース振りから考えると、それも仕方ないと思うんだけど。
 多分、直線入口でもっと後続を千切れるって感覚があったんじゃないかな。ひょっとしたら、4コーナーあたりまでの手応えは抜群だったかも知れない。けど、それが出来なかったわけだね。
 とりあえず、アドマイヤもゴールドもクロフネにはなり損なったわけだ。後はこれからの成長次第だけど、競馬界全体のことを考えたら、ちょっと残念な話ではあるね」
珠美:「プリエミネンスは4着に健闘しました」
駒木:「そうだね。でも、勝負が決まってからの流れ込みって感じがしないでもない。やっぱり中央のG1だと入着級で終わっちゃうのかな」
珠美:「先ほども少しお話していただきましたが、5着に沈んでしまったゴールドアリュールはいかがでしょう?」
駒木:「懸念してた2つの問題──これまで対戦して来たメンツとのレヴェルの違い、脚を貯めるレースをした時の手応え──が一気に噴出しちゃった感じだね。これならまだハイペースで逃げた方が諦めがついたかも知れない。とはいえ、単勝2倍台の人気じゃ無理か…。まぁ、今日のところは縁が無かったんだろうね
珠美:「そして私たちの馬券も縁が無かったわけですね(苦笑)」
駒木:「僕なんかは後腐れの無い外れ方でスッとしたけどね(苦笑)」

 

珠美:「……さて、それではいよいよ明日のジャパンカップの予想に移りましょう。今年は中山2200mという変則的な条件で開催されます」
駒木:「施行条件が発表になる前は2500mかと思ったんだけど、同条件に有馬記念があるし、コーナーが多くて変なコースだから敬遠されたのかもね。でも、それなら1年くらい京都開催でやってもバチ当たらないと思うんだけどなぁ。2400mでキチンとしたレースが出来るし。…まぁ、東西の縄張り争いが激しいのは、どの業界も一緒だから仕方ないかな」
珠美:「……では、改めて出馬表をご覧いただきましょう」

ジャパンカップ 中山・2200・芝外

馬  名※赤字は外国馬 騎 手
× ファルブラヴ デットーリ
    インディジェナス サンマルタン
  ゴーラン ファロン
    イリジスティブルジュエル スマレン
    アメリカンボス 江田照
    アグネスフライト 後藤
シンボリクリスエス ペリエ
    サラファン ナカタニ
×   ノ−リーズン 蛯名
10 ジャングルポケット 武豊
    11 テイエムオーシャン 本田
× × 12 ブライトスカイ テュリエ
13 ナリタトップロード 四位
    14 ストーミングホーム ヒルズ
  15 マグナーテン 岡部
    16 エアシャカール 田中勝

珠美:「今回のメンバーの、全体的な印象はいかがですか? 下馬評では『日本馬優勢』ということですが……」
駒木:「まず日本勢に関しては、昨日のダートと同じように上位勢の地盤沈下が気になるところだね。去年のメンツからテイエムオペラオー、メイショウドトウ、ステイゴールドが抜けたのに、“新規参入”はシンボリクリスエスだけ。その上、今回はジャングルポケットが休み明けだからねぇ。去年は“5本柱”くらいあったんだけど、今年は弱含みの“3本柱”ってところかな。
 それに対して、外国馬は全般的には去年並ってところかな。最有力馬って言われてるブライトスカイが3歳牝馬っていうのは気になるけど、去年体調最悪だったゴーランが今年は順調にやって来て相殺してるって感じ。
 まぁ、日本馬優勢には違いないけど、去年ほどじゃないね。油断するとヤラれる…くらいの気持ちで考えた方がいいんじゃないのかな」
珠美:「あと、予想が難しいかも知れませんが、展開の方はどうなるでしょうか?
駒木:「うん、難しいなぁ(苦笑)。ダートの方も予期せぬ展開だったしね。
 先行馬が少ないんで、多分、マグナーテンがハナに立って平均ペースじゃないかと思うんだよ。同厩舎のシンボリクリスエスが人気してるから変なレースはできないだろうし、かと言って岡部騎手が乗ってまでペースメーカーやらないだろうってのもある。後は人気馬の動向が複雑に絡み合ってきそうだから、詳しくは何とも言えないね」
珠美:「下手に決め付けると後々大変そうですものね(苦笑)。
 ……では、今日も1頭ずつ解説をしていただきましょう。まずは1枠の2頭から。いきなり外国馬2頭が登場ですね。しかも、デットーリ騎手の馬までいますね。難しいところでしょうが。いかがですか?」

駒木:「ファルブラヴだね。あんな鮮やかなイン突きを決めて見せたデットーリ騎手の馬が最内枠。しかも今、インコースは“グリーンベルト”で走りやすいんだよね。物凄くキナ臭い存在になっちゃったよ(苦笑)。
 馬の実力は、“レヴェルの低いイタリアでG1連勝→フランス遠征失敗”…という、G1挑戦に失敗した昇り馬みたいな存在。勝ったレースの時計が速いところまで“その手”の馬みたいで面白いね。
 展開は、やっぱり内々のインで待機して直線手前で進出…ってところだろうね。ただ、ダートと違って今回は他の馬もインを狙ってるし、2日連続で出し抜かれるもんかって他の騎手もデットーリ騎手をマークして来るだろうからね。そうそう2匹目のドジョウは泳いでない気がするんだけど、う〜ん……」
珠美:「悩ましいところですね(苦笑)」
駒木:「そうだね。穴狙いで一考ってところかな。僕は×印だけ打っておくことにしたよ。
 …さて、1枠のもう1頭、インディジェナスはもうお馴染みだね。日本馬が出走する香港の国際レースでいつも善戦するのが印象に残ってる人も多いんじゃないかな。でも、さすがに今回は荷が重そうだね。もう9歳…昔なら10歳だから、上がり目も薄いだろうし」
珠美:「続いての2枠も外国馬2頭ですね。前売り人気は今ひとつといったところですが……?」
駒木:「まずは外国勢の実績馬ゴーランから。去年も出走したけど、6着に終わって○印を打った珠美ちゃんをガッカリさせてしまった馬だね(笑)」
珠美:「そういうこともありましたね(笑)。何とか押さえで的中したから良かったんですけど」
駒木:「その惨敗振りから印を落としてる競馬記者の人も多いんだけど、去年のこの馬は体調が最悪だったからね。全く度外視していい成績なんだ。前走のブリーダーズCも馬場が合わなくての惨敗だったって言うし、良馬場なら去年以上のパフォーマンスが期待できると思うよ。下手をすれば久々の外国勢優勝かも…とまで、僕は思ってるけど」
珠美:「博士期待の1頭というところですか。でも、最近の博士の期待は……(苦笑)」
駒木:「それが一番心配なんだよね(笑)。まぁ、騎手も日本で実績のあるファロン騎手だし、何とかしてくれる事を祈ってるよ。
 で、次のイリジスティブルジュエル…噛みそうな名前だな(笑)。この馬は3歳牝馬で、後に紹介するブライトスカイに完敗した馬。成長度に賭けたいところだけど、かなり劣勢だね。何といってもこのレースはジャパンカップだからね」
珠美:「3枠から日本馬登場です。実績の割には人気薄の2頭ですが、どうでしょうか?」
駒木:「アメリカンボスは確かに油断ならない馬なんだけど、能力が秀でてるわけじゃないからね。他の有力馬を凡走させる魔力みたいなのを持ってる馬だけど、常識的に考えると劣勢
 アグネスフライトは確かにこの中間、かなりの変わり身を見せているんだけど、元々“谷間世代”のダービー馬だからね。この馬も地力的に問題がありそう。入着級かな」
珠美:「4枠、1番人気のシンボリクリスエスが登場です。博士の◎馬ですね」
駒木:「迷いに迷って…って感じだけどね。僕の見立てでは、天皇賞時点での地力ならジャングルポケットにやや劣る程度だと思ってるんだけど、今回は展開や順調度で勝ってるし、何だか想像以上に成長を続けてる気がするんだよね。ペリエ騎手の起用もメイチ勝負を考えての事だろうし、思い切って狙ってみたよ。早め早めの進出から抜け出して粘り込む形もペリエ騎手に合ってる。
 4枠もう1頭のサラファンは、今年のアメリカ芝中距離では相当上位の馬らしいんだけど、ここ数年、国際的にアメリカ勢の不振が続いてるみたいだし、追込み一辺倒っていう不器用な脚質もプラスじゃないよね。見送りが賢明かな」
珠美:「では次、5枠の2頭…あ、思い出したくない光景が……(苦笑)」
駒木:「大丈夫だ、珠美ちゃん。今度は武豊騎手が乗ってない(笑)。
 ノーリーズンは実質2ヶ月ぶりのレースになるね。まぁ、一度途中で仕上げてるから休養明けって程じゃないだろうけど。ただ、どうだろうなぁ。神戸新聞杯の負かされ方がキレイ過ぎた気がするし、ジャングルポケットやナリタトップロードと互角以上に戦えるとも思えないし……。まぁ、日本勢の4番手ってところじゃないかな。展開やらが紛れた時にはチャンスがありそうだけどねぇ。
 ジャングルポケットは、休み明けだけどまぁ実力の9割方は発揮できそうな感じじゃないかな。ただし、去年の優勝馬を捕まえて言うのもアレだけど、日本最強の看板背負うにしては小粒な印象が無きにしもあらずだなぁ。まぁ、十分強いんだけどね。オペラオーの全盛期には届かない…程度の不満だね。今回も、気がついたら豪脚一閃して差し切ってるかもしれないし」
珠美:「ノーリーズンの調教が今ひとつだと聞きましたが、どうなんですか?」
駒木:「らしいね。実戦タイプだから大勢に変化なし…と言いたいところなんだけど、プラス材料ではないだろうね」
珠美:「一抹の不安が…という感じでしょうか。では、次に6枠の2頭日仏の牝馬代表が揃いましたね」
駒木:「まずテイエムオーシャンは、ここでは力不足だろうと思う。最近じゃ、『テイエムオーシャンには負けないけど、ファインモーションには勝てないね』…みたいな感じで引き合いに出される事が多くなってしまった可哀想な馬だ(苦笑)。未だに結構人気してるのが不思議なんだけど、苦戦は間違いないね。
 問題のブライトスカイ。確かにフリーハンデ値も高いし、フランスでもトップクラスの馬であることは間違いないんだけど、3歳牝馬って事が大きなポイントだね。
 3歳牝馬チャンプって言っても、メジロドーベル・ダンスパートナー級なのかエアグルーヴ級なのかで全然意味合いが違うだろ? しかも今回は初の飛行機輸送だからね。条件は思ったよりも厳しい。まぁ、その辺をよく分かってる人も多いみたいで、意外と人気は伸び悩んでるね」
珠美:「博士は、ブライトスカイをどの位の能力に見立ててますか?
駒木:「メジロドーベルとエアグルーヴの中間ってところかな。これに長距離輸送を差し引いて、やや苦戦という見通し。一応×印は打ったんだけどね」
珠美:「そういえばペリエ騎手も合同記者会見で『能力は高いけど輸送とコンディション維持が心配」っておっしゃってましたね。
 では、7枠の2頭もお願いします。私はナリタトップロードを本命にしたんですが、博士は△印ですね。そのあたりはどうなんでしょうか?」

駒木:「確かに天皇賞は2着とはいえ内容はあったからね。状態も生涯最大のピークと言っていいくらいだし、ここで狙わないでいつ狙うって感じなんだけど……。
 ただ、この馬は注文が多いんだよね。好走までの条件が厳しすぎる。荒れ馬場がダメだとか、馬群に包まれるとヤバいとか。少頭数の前哨戦では強いのに、多頭数の本番ではイマイチなのは、どうもこの辺りから来てるみたい。
 馬券の対象にはなるけど、軸馬にするには、ちょっと慎重にならないといけないかなってのが僕の見解」
珠美:「私は、有馬記念はもう馬場が荒れてしまうので、このレースで目一杯仕上げて来ると読んだんですが?」
駒木:「鋭いね。多分そうだろうと思うよ。ただ、それが勝ちに結びつかないのがこの馬でね(苦笑)。まぁ、走ってみないと分からないか。
 おっと、ストーミングホームを忘れてた。実績はジャパンカップ出走馬にしては低い方だけど、ここ2走はブリンカーみたいな矯正具を着けてレース振りが一変してる。そう考えると怖い部分もあるんだけど、どうも走り方が日本の馬場向きじゃないらしい。それをどう考えるかだね」
珠美:「では最後、8枠の2頭についてお願いします」
駒木:「マグナーテンかぁ。微妙な馬だよねぇ。でもこの馬、本質的にはマイラーだろうから2200mは微妙に長い気がするなぁ。展開はメチャクチャ有利なんだけど、それを活かせるだけの能力があるかどうか。僕はちょっと疑問だね。
 エアシャカールの前走は、生涯最高の末脚を駆使したけど、またも及ばず4着。でも、ギリギリまで脚を貯めたら相当の末脚が使えることだけは確かになったね。
 でも、騎手がテン乗りの田中勝騎手というのがどうかなぁ。悪い騎手じゃないけど、乗り慣れた武豊騎手とは比べられたくないところだろうね。地力面も含めて、少しだけ劣勢
珠美:「……というわけで、全馬の解説をして頂きました。最後に買い目を紹介していただきます」
駒木:「7-10、3-7、3-10、7-13の馬連4点だね。(注:申し訳有りません。予想のみ公開中の際は数字が間違ってました)今回はナリタを絞りきれずに4点買いにさせてもらったよ。これで10-13とかで決まったらアツいだろうなぁ(苦笑)」
珠美:「私は7-13、10-13、7-10、13-15、1-13、12-13の馬連6点です。」
駒木:「それじゃ、後は天命を待つだけだね。何とか当たって欲しいよ(苦笑)」
珠美:「と、博士が不安を吐露したところで講義を終わりにしたいと思います。お疲れ様でした」
駒木:「珠美ちゃんもご苦労様」


ジャパンカップ 結果(5着まで)
1着 ファルブラヴ
2着 サラファン
3着 シンボリクリスエス
4着 15 マグナーテン
5着 10 ジャングルポケット

 ※駒木博士の“敗戦の弁”
 うー、凄すぎるぞデットーリ!
 今日も馬じゃなくて人が走ってるレースでした。ゾッとさせられました。武豊とかペリエとかデムーロよりも格段に上手い騎手がいるという、信じ難い事実を突きつけられてしまいましたなぁ。
 しかし、惜しかったのはシンボリクリスエス。出遅れるか〜、こんな時に限って……。せめて2着には突っ込んで欲しかったなぁ。

 ※栗藤珠美の“反省文”
 えーと、ナリタトップロードはどこにいましたか?(苦笑)
 先週から全く冴えなくなっちゃいました。やっぱりまだまだ勉強不足ですね。来週から気を引き締めて頑張ります!

 


 

11月22日(金) 競馬学特論
「G1予想・ジャパンカップダート編」

駒木:「さぁ、今週はジャパンカップウィークだ。土・日にレースがあるので、講義はどうしようかと思ったんだけど、結局両方やる事にした。去年、オープンキャンパスで扱ったレースだけに思い出深いものがあるしね」
珠美:「そうですね。でも、自信のほどはいかがですか?」
駒木:「それがあんまり(苦笑)。一応、ジャパンカップダートは過去2回とも的中させてるんだけど、難しさは群を抜いているレースだからねぇ」
珠美:「それはどうしてでしょう? やはり外国調教馬が出走するからでしょうか?」
駒木:「それもあるけど、どちらかと言えば、日本馬の力関係を探る方が難しい。何しろどの馬も、思い思いの競馬場へ地方行脚しちゃってるから。実力の比較対照が難しいんだよねぇ」
珠美:「確かに、ダートはG1競走だけでも色々な競馬場の色々なレースがありますものね」
駒木:「そうなんだよね。まぁ、詳しい話は後でするとして……」
珠美:「そうですね、それでは出馬表をご覧いただきましょう」 

ジャパンカップダート 中山・1800・ダ

馬  名※赤字は外国馬 騎 手
  プリエミネンス 柴田善
アドマイヤドン 藤田
× × リージェントブラフ 吉田
×   トーホウエンペラー 菅原勲
    カネツフルーヴ 松永
    レッドサン コーツィー
    リーバズゴールド フローレス
ゴールドアリュール 武豊
× イーグルカフェ デットーリ
× 10 ダブルハピネス 河内
    11 アブリーズ ミグリオーレ
    12 アルアラン 本田
    13 パプウス スポリクス
14 ハギノハイグレイド ペリエ
    15 スマートボーイ 伊藤直
    16 ビーマイナカヤマ 鹿戸

駒木:「あれ? 2人とも結構似た印になっちゃったねぇ」
珠美:「そうですねー。ハギノハイグレイドが▲でダブったのは、少しビックリしました。
 ……ではまず初めに、出走メンバーをパッと見ての第一印象は何かありますか?」

駒木:「まず去年の上位4頭がゴッソリ抜けちゃったね。で、5着のプリエミネンス以下、去年の入着級の馬や、それらの馬とドッコイドッコイのレヴェルの馬が揃った感じ
 それで終わったら寒い話なんだけど、新しく3歳馬からゴールドアリュールとアドマイヤドンの2頭が去年のクロフネの代役を務める勢いでのし上がって来た。この2頭をどう扱うか…つまり、どのくらい強いと見て予想するかがポイントになって来るんだろうね。
 外国馬に関しては、去年のリドパレスのような大物がいなくて劣勢は否めないところだろうね。ただ、日本のダートコースは独特だから、祖国では発揮されようのなかった日本ダート適性が目覚めて爆走するケースも考えられる。一昨年のロードスターリング(3着)みたいなパターン」
珠美:「じゃあ、3連複の3着要員なんか、面白いかも知れませんね」
駒木:「そうなるね。ただ、3連複だからと言って手広く20点も30点もバラバラと買うのはお薦めしないけど。だって当たらんもん、3連複なんて(笑)」
珠美:「それは博士の話じゃないですか(苦笑)。ま、でも、多点数買いが危ないのは夏の馬券学講座でも指摘されてましたものね」
駒木:「そうだね。まぁでも、第一線で活躍してる競馬記者の人たちにも『50点買いで48倍当たって取りガミ』って人がいたりするくらいだから、その誘惑たるや物凄いものがあるだろうけど(笑)」
珠美:「それでは、いつも通り枠順に沿って博士に1頭ずつ解説をして頂きます。まずは1枠の2頭からお願いします」
駒木:「いきなり難しい枠からだね(苦笑)。1番のプロエミネンスは、さっき言った通り、去年のこのレースの5着馬。出走取消明けだったから同情の余地はあったけれども、最後の一押しが足りなかった辺りに上位との格の差が見えなくも無かった。
 今回は、その時に先着された馬がゴッソリ抜けたけど、代わりにアドマイヤドンとゴールドアリュールがいるんで、やっぱり3番手グループかな。
 脚質的には、3〜4番手に待機してジンワリと攻めるのがベストなんだけど、今回は逃げ馬が多くてそれじゃ潰れてしまいそうだ。ただ、6番手あたりから差して勝ったケースもあるし、次善の策くらいは採れそう。それで前がどこまで止まってくれるかにかかってるね。実力はあるけど他力本願ってところかなぁ。少なくとも2強の片割れが凡走してくれないと話にならないね。
 で、そのプリエミネンスを1秒以上千切ったアドマイヤドン。差の広がりやすい盛岡競馬場とはいえ、あのパフォーマンスにはビックリさせられたね。去年のクロフネもそうだったけど、意外なところに才能が埋もれてたもんだ。芝である程度活躍した馬がダートでバケモノみたいに走るケースは、言ってみれば最近のトレンドだから、何ら違和感は無いんだけど……。
 とりあえず、前走のパフォーマンスを地力の現れと認める事にすると、今回も有望だね。クロフネ以上とまではいかないけれども、ヒケをとらないところまでは力がありそうだ。今回は激しい先行争いを直後で眺めつつ仕掛けどころを窺える位置取りが狙えそうだから展開も向く。少なくとも、直線入って既に勝負権ナシってのは考えられないね」
珠美:「では、2頭とも有望ということですね。次は2枠の2頭。どちらもダートG1勝ち馬ということになりますが……?」
駒木:「この枠も扱いに困るんだよなぁ(苦笑)。実力的には、さっきのプリエミネンスと同じ位か、ほんの少し下あたりなんで、3番手グループにいることになるんだけどね。
 まずリージェントブラフ。公営競馬場の深くて重いダートが得意で、今年は冬に川崎記念を勝っている。ただし、その後は堅実ながら少し足りないレースが続いてて、少々心許ない。まぁ前走は馬体重−24kg というのが響いていたと思うけどね。作戦は多分、脚を貯めての後方追い込みだろう。この馬も他力本願で前の馬がタレるのを待つしかないね。
 公営岩手のトーホウエンペラー。東京大賞典と南部杯を勝っている、これも3番手グループの馬だね。ただ、最近の成績を見ると、ちょっとピークが過ぎた感が無くも無いって感じかな。展開に関してはプリエミネンスとほぼ同じ。次善策でどこまで喰い込めるかだろう」
珠美:「リージェントブラフとは逆に、トーホウエンペラーは中央のダートも大丈夫なんでしょうか?
駒木:「去年、札幌の重賞・エルムSで2着に来てるから、こなせないことは無いと思う。この馬、左回りが苦手だったはずだから、中山競馬場に変更されて好都合じゃないのかな」
珠美:「…ハイ、分かりました。では次、3枠の2頭についてお願いします。いよいよ外国馬の登場ですね」
駒木:「その前に、まずはカネツフルーヴからね。今年の春に準オープンを脱出したばかりなんだけど、帝王賞でミラクルオペラに2馬身1/2の差をつけて勝ってるから、力だけなら3番手グループ以上かも知れない。でも、今回は余りにも展開が厳しすぎるよね。逃げるか2番手じゃないと味が無いし、かといって先行争いに巻き込まれると辛いし……。今回はちょっと巡り合わせが悪くて苦戦だと思ってる。
 香港のレッドサンだけど、もともとはアルゼンチンの馬で、向こうのダートG1を勝ってる。とはいえ、アルゼンチンのダートはアメリカ並に軽いから全く参考にならない。むしろ、最近の不振を心配した方が良いだろうね」
珠美:「…それでは続いて4枠を。外国馬とゴールドアリュールという構成ですね」
駒木:「まずはアメリカのリーバズゴールド。逃げ・先行のレースで向こうのG2の3着争いをするくらいの馬。よっぽど日本のダート適性が無いと苦戦だろうけど、強調材料は見当たらないなぁ。展開もキツいしね。
 さて、珠美ちゃんお待ちかねの武豊・ゴールドアリュールだ。僕はこの馬、ダービーの時にはクロフネの廉価版みたいな言い方をしてしまったんだけど、これは訂正しないといけないね(苦笑)。いくら相手が大して強くないとはいえ、ブッちぎりの連続は相当の実力を持っている証だよ」
珠美:「気になるのは、アドマイヤドンとの盛岡2000mコースの持ちタイムの差(2秒5)なんですけど……」
駒木:「まず、馬場が全然別物っていうくらいに違ってたらしい。砂か地盤の入れ替えをやったんだろうね。あと、レースの展開が全然違う。ゴールドアリュールのダービーGPは、前半の1000mを極限までかっ飛ばして全部の馬をバテバテにしてしまったという無茶苦茶なレースだったんだ。で、最後には逃げたこの馬自身も大バテしちゃったんだけど、それ以上に他の馬が超大バテしてた。タイムなんか関係無いよ。
 ただし、今回もその時と同じレースをやったとしたら、多分差し馬の餌食になっちゃうだろうね。武豊騎手もそれは分かってるだろうから、多分中団に控えるレースになるんじゃないかな。ひょっとしたら去年のクロフネの再現を狙ってるかも知れないよ。
 問題は、そうやって道中抑えて脚を貯めた時に、逃げた時と同じようなスピードが出せるかどうか。いわゆる脚質転換のリスクってやつだね。弱点と言えばそこになるだろうねぇ」
珠美:「なるほど、騎手次第ってわけですね。私は特に期待させてもらいます(笑)。
 …では、次に5枠の2頭について解説を……」

駒木:「イーグルカフェは去年の武蔵野S2着。まぁ力的には3番手グループの一員なんで、あとはデットーリの手綱捌きと追い込みが届く展開になるかどうかだね。
 ダブルハピネスは今年の武蔵野S1着馬。現実問題として、地力は若干足りない馬なんだけど、この馬も前崩れの時には脚を伸ばしてきそうな馬だよね。先週のトウカイポイント的存在の馬。大穴党の人は狙うなら狙ってみてはどうだろうか」
珠美:「さぁ、時間がありません。6枠の2頭をお願いします」
駒木:「アメリカのアブリーズは、日本では絶滅寸前の“特攻逃げ馬”。向こうではかなり過酷な展開も克服して結果を残しているみたいだけど、日本式の展開だと、無理して逃げた馬は次から次へと後続馬が襲いかかって来る形になるから大変だろうね。
 アルアランは2〜3番手に控えてもソコソコやれるはずなんだけど、切れ味のある末脚は望めないし、ここ2走の成績が酷すぎる。余程のことが無い限り、先行グループで埋もれてしまってオシマイじゃないかな」
珠美:「それでは次に7枠の2頭を」
駒木:「ドイツのパプウスは、一応ダート実績はあるんだけど、ヨーロッパのダート競馬はまだまだ“オマケ”的存在だからねぇ。ダートのG3が2つ3つあっただけの頃の日本よりもまだマイナーのはず。芝の戦績も冴えないし、苦戦は必至だろうなぁ。
 ハギノハイグレイド。一応、僕は▲を打ったけど、△以下の印がついた馬とはほぼ横一線だと思ってる。展開有利の差し馬にペリエ騎手、それから3番手争いをしている馬の中で若干地力が勝ってそうな印象がある。前走は休み明けのせいか、枠入りの時にてこずって、随分追いムチでヤラれちゃったらしい。今度はそんな事も無いだろうし、プラス思考で考えると有力になって来るんだよなぁ」
珠美:「私は展開が有利なのと、やっぱりペリエ騎手が大きいかなって思いました。
 ……では、最後に8枠の2頭を」

駒木:「スマートボーイは逃げなくちゃ話にならないんだけど、それじゃこのレースは話にならない(苦笑)。
 ビーマイナカヤマは、さすがに8歳では上積みは難しいかな。もともとG3クラスの短距離馬のはずだから、ちょっとここでは辛いだろうね」
珠美:「というわけで、結論ですが……」
駒木:「アドマイヤドン、ゴールドアリュールの2頭が半歩リード。ただし凡走の可能性もあるので、3番手グループから“ヘルプ”が必要になってくるんだが、3番手グループから何を選んでくるのかが難しい。一応、僕はさっき挙げた理由でハギノハイグレイドをその筆頭に据えたんだけど、実力は拮抗しているので、何があってもおかしくない。難しい選択が迫られるレースだよね」
珠美:「…ハイ、ありがとうございました。それでは、改めて買い目を紹介して終わりにしましょうか」
駒木:「僕はいつも通り、上位3頭のBOXだね。馬連BOXと3連複の2、8、14」
珠美:「私は馬連2-8、8-14、2-14、8-9、3-8、8-10…の以上6点です」
駒木
:「それじゃ、また明日だね。明日のジャパンカップ(ターフ)も難しいんだよなぁ(苦笑)」
珠美:「お疲れ様です(笑)。では、また明日お会いしましょう♪」(レース回顧は翌日の講義にて


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