駒木博士の社会学講座
(仁川経済大学社会学部インターネット通信課程)
受講者100万人達成記念式典


記念式典直前のスナップショット(左:一色順子、右:栗藤珠美)

◎ごあいさつ◎

 本日は皆様ご多忙の中、貴重なお時間を割いてご来場いただき、誠に有難うございます。

 今から約1年8ヶ月前の01年11月29日、当講座は仁川経済大学社会学部のインターネット通信課程として産声をあげました。それ以来、現在に至るまで、国内外の受講生(聴講生)の皆さんにインターネットを通じて約400回もの講義を実施し、そのまた一方で、競馬学・ギャンブル社会学及び文化人類学(フードファイト)に関する研究活動も進めて参りました。
 しかし恥ずかしながら、その間の道のりは決して穏やかなものとは言えませんでした。講義担当が専任講師1人のみという脆弱な運営体制の上、知名度ほぼゼロからの見切り発車でのスタート。当然の事ながら、開講から決して短くない間、「成功」と呼ぶには全く程遠い状態に甘んじておりました。
 それでも地道な講義・研究活動を重ねていく内に多くの方からの賛同・支援を頂けるようになり、その結果、現在では1日3000人前後の受講生を抱えるマンモス講座にスケールアップし、そして去る7月23日、ついに累計の総受講者数が100万人を突破するまでに至りました。

 この100万という数字が、果たしてどれほどの価値を持つものであるのか判りません。しかし、ただ1つだけ明らかな事実であるのは、多くの方たちに当講座を支えて頂けなければ、この数字は実現不可能であったという事です。
 そこで、今日は当講座に有形・無形の助力をしていただいた皆様への感謝の印として、記念式典を開催致します。例によって当講座スタッフ総勢3名による手作りの拙いイベントではありますが、せめて一時でも楽しんでいただければ幸いです。

 それでは、今度とも当講座をお引き立ての程、どうか宜しくお願い申し上げます。本当に有難うございました。

仁川経済大学社会学部
インターネット通信課程専任講師
駒木ハヤト


記念式典 プログラム

トークライブ
昼の部


「社会学講座プレイバックpart2〜現在・過去・未来〜」

※昨年12月の1周年記念式典でお送りした、「社会学講座プレイバック」の第2弾。昨年末から現在までの講義について、例によって裏話を交えつつ振り返り、今後の展望についてもお話します。
 ──と、ここまで聞いて、「なんだ、二番煎じかよ。駒木も日和ったな……」などとお考えの貴方、早合点は禁物です。この「昼の部」の最後には重大発表が待っていますので、どうぞお見逃し無く!

トークライブ
夜の部


「無礼講・なんでも質疑応答大会〜今夜は朝までパーティー・トーク〜」

※当講座のスタッフ3人(駒木ハヤト/栗藤珠美/一色順子)が、受講生さんからの質問にお答えしつつ、無礼講・上下関係無視のフリートークを縦横無尽に展開します。
 これまで知られる機会の無かった、スタッフたちの知られざる一面を垣間見る絶好のチャンス。質問を投稿された方は勿論、そうでない方も必見のイベントです。
 栗藤珠美の「体重39kg疑惑」は果たして解明されるのか? それとも駒木ハヤトがまたしても血の海に沈むのか? 全てはこの日明らかに!? 乞う、ご期待!

 お断り:式典との同時開催を予定しておりました学外イベントですが、諸般の事情で実施が延期されたため、また追ってご案内させて頂く事になりました。悪しからずご了承下さい。


記念壁紙・頒布コーナー

(ご使用の解像度をお選び下さい)

800x600(88KB)
1024x768
(132KB)
1280×1024(241KB)
1600x1200(291KB)

◎この壁紙は、1周年記念式典の時と同様、栗藤珠美と一色順子のトータルコーディネートをお願いしている藤井ちふみさんに製作して頂きました。有難うございました。(藤井さんのウェブサイト=Winter GardenAngelCase


仁川経済大学社会学部インターネット通信課程
総受講者100万人達成記念式典

記念トークライブ・夜の部
「無礼講・なんでも質疑応答大会〜今夜は朝までパーティー・トーク〜」

順子:「受講生のみなさ〜ん、こんばんわ〜!一色順子でーす! これから始まるトークライブ夜の部では、わたしが司会をやりますので、よろしくお願いしま〜す!」
駒木:「アドリブ要求されたウド鈴木並にテンション高いなぁ(笑)。……あー、駒木ハヤトです。夜の部も宜しく」
珠美:「栗藤珠美です。よろしくお願いします(微笑)」
順子:「ほらほら、2人とも、もっとテンション上げて行きましょうよ! せっかくのお祭なんですから〜」
駒木:「こんな早いタイミングで全員のテンションがMAXになったら、まるで島本和彦のマンガだよ(苦笑)。とにかく、もうちょっと落ち着いてくれ」
順子:「じゃあ、とりあえずはわたしだけ頑張ります(笑)。
 ──えーと、この夜の部はですね、受講生の皆さんから寄せられた、わたしたち駒木研究室メンバーへの質問に答えながら、無礼講のフリートークをガンガンやっていこうっていう企画です。普段、おしとやかなイメージで売っている珠美先輩にも『ボボボーボ・ボーボボ』のビュティみたいにハジけてもらいますので覚悟してて下さいね♪」

珠美:「えーと……、正直言いますと、こういう雰囲気はちょっと苦手です(苦笑)。答え難い質問が出たらどうしよう、とか、さっきから少し不安で……」
順子:「ダメですよ、珠美先輩。ヤな質問でも、ちゃんと答えてもらいますからね。答えた後で、そんな質問をした困った人をどうしようと勝手ですけど(笑)」
駒木:「えーと、それはさすがに困る(笑)。だから、ちょっとしたルールを決めておこう。どうしても答えられない質問が出て来たら、それは無理して答えなくても良いよ。ただし、その時はペナルティとして、ちょっとしたドリンクを呑んでもらう(と、瓶を取り出す)」
珠美:「え? 博士、それは……?」
駒木:「んーと、まだ未成年の順子ちゃんがいるんで、“ちょっと変わったドリンク”ってことにしておこう(笑)。これをショットグラス1杯飲み干してもらうからね」
順子:「あのーその瓶、『サントリー』とか『オールド』とか書いてあるのが見えるんですけど……?(汗)」
駒木:「いや、気分だけ気分だけ。そういう事にしておこう(笑)。まぁ質問に全部答えたら関係ないんだから、気にしない、気にしない」
順子:「あは、そうですねー(笑)。わたしは珠美先輩と違って、隠さなきゃいけないコトなんてありませんしー」
珠美:「(目だけ睨んだ笑顔で)順子ちゃん、それはどういうことなの? 私がいつ、隠し事をしたかしらー?」
順子:「あ、いやー、そのー……(汗)」
駒木:「まぁまぁ珠美ちゃん、今日は無礼講だから(笑)。……それじゃルールも決まった事だし、ボチボチ質問の方へ行こうか」
順子:「は〜い、分かりました。……で、その質問なんですが、全部で約20人の受講生さんから60弱の質問が寄せられました。その中でも一番多かったのは、駒木博士へマンガについて尋ねたモノでしたね」
珠美:「『現代マンガ時評』は講座の看板講義ですし、普段の談話室(BBS)でもマンガ関連の話題が一番盛り上がりますものね」
順子:「でも、色気のある質問が全然出て来ないというのが、いかにも駒木博士らしいですね(笑)」
駒木:「はいはい。無礼講だから何とでも言ってくれ(苦笑)。…じゃあマンガ関連の質問から片付けていこうかな。普段から講義でマンガについて色々喋ってる割には、個人的な趣味嗜好についてはあまり喋った記憶がないし、ちょうど良い機会だね。あと、真面目な話題は酔っ払わない内に…ってね(笑)」
順子:「それじゃ、しばらくマンガ関係の質問でガンガンいきましょうか。──じゃあ、まずはコレから……
 『購入されている定期コミック雑誌を教えてください。同じく、立ち読みだけの分もありましたら、そちらもお願いします』
 ……というのはFLATさん、27歳男性の方あ、お名前は皆さんハンドルネームですね。あと、同様の質問として、
 『チェックしている漫画雑誌はどれくらいあるのでしょうか?』
 ……こちらはMKGさん、28歳男性の方から質問をいただいてます。ありがとうございました♪」
駒木:「えーと、これはまず先に言っておかなくちゃいけないんだけど、僕は皆さんが想像してるほどマンガを読んでません(苦笑)。マンガを読む時間よりも小説とか歴史の本を読んでいる時間の方が長いだろうし、それ以上に研究室に篭って講義の原稿をコツコツ書いている時間の方が圧倒的に長いです。
 じゃあどうしてマンガを講義の題材に持って来て、レビューまでやっているのかというと、これはまず単純に、小説よりも少年誌のマンガの方が興味を持っている人が多いから。つまり沢山の受講生さんに楽しんでもらえる講義になるからだね。で、もう1つの理由は、マンガは傑作と凡作が玉石混交で入り混じっているので、素直な意味でも反面教師的な意味でも、とても話作りの勉強になる…という理由からだったりする。つまり僕は、マンガのレビューをする事によって小説書きのための研究活動をしているというわけなんだよ。
 だから、普段レビューで偉そうな事を喋っているけれども、これはマンガ家さんにだけじゃなくて、自分自身にも言い聞かせているわけ。自分の小説書く時の戒めだね。言ってみれば、僕は自分で自分の首を毎週真綿で少しずつ締めているようなもんだよ(笑)」
順子:「じゃあ、もうかれこれ1年半以上締め続けてるわけですから、相当キツくなってるでしょ?」
駒木:「うん、もうチアノーゼ状態かな(笑)。でも、それをしないままで自己満足的な話を書いてしまう方が、後で結局キツくなるわけなんだから、それはそれで構わないんだけどね。
 ……さて、チェックしてるマンガ雑誌だったね。えーと、もう1つ先に言っておかなくちゃいけないんだけど、僕のマンガチェックは、ほとんどコンビニの立ち読みで済ませてしまってます(苦笑)。買ってるのは、原則的にはレビューで使う『週刊少年ジャンプ』と『週刊少年サンデー』だけです。ごめんなさい、出版社の皆さん」
順子:「博士、それはセコ過ぎるでしょ〜」
駒木:「いや、聞いてくれ、これにも2つ理由があるんだよ。置き場所が無いというのと、貧乏ってのと」
順子:「うわ、いきなり現実的(苦笑)」
駒木:「まず、ウチには13年分の『週刊プロレス』と10年分の『週刊競馬ブック』が山を作っていて、他の雑誌を置く場所が無い(笑)。基本的に、一度買ってしまった雑誌や本は捨てられない性分なんで、置いておけないモノは初めから買わないようにしてるんだよ。さすがに『ジャンプ』と『サンデー』は2〜3ヶ月に1度、まとめて処分してるけど、それでカツカツ。
 で、僕の収入を考えると、チェックしてる雑誌を全部購入するだけの余裕も無いんでね。そういうわけで、いつも『ゴメンナサイ』と心の中で呟きつつ、コンビニで立ち読みさせてもらってます。
 ……というわけで、まずは週刊と曜日の決まってる隔週刊雑誌からいこうか。お気に入りの数作品だけ読んでる場合は“『週刊○○』を少々”…みたいな言い方にさせてもらうよ。
 月曜日『週刊少年ジャンプ』『ビッグコミックスピリッツ』、それに『ヤングマガジン』を少々火曜日は隔週の『イブニング』『スーパージャンプ』を少々水曜日『週刊少年サンデー』『週刊少年マガジン』少々木曜日『モーニング』『週刊少年チャンピオン』と『ヤングサンデー』をそれぞれ少々金曜日は忘れちゃいけない『コミックバンチ』。で、土・日はナシだね。
 月刊誌とか月2回発行の雑誌で言うなら、『少年サンデー超増刊』は一通り、『サンデーGX』は少々『月刊少年マガジン』も少々『ビッグコミックスペリオール』は半分くらいで、『ビッグコミックオリジナル』は少々。あ、『ビッグコミックオリジナル』の隔月増刊も少々。学生時代は無理して買ってた『近代麻雀』系3誌だけど、今はフリー雀荘で待ち時間に目を通す程度かな。でも『近代麻雀』は良い作品が多いので、忙しい時はコンビニで探して一通り読んではいる。
 他は季刊の『赤マルジャンプ』かな。これはレビューをやる関係上、ちゃんと買ってる。他にも『アフタヌーン』や『コミックビーム』みたいな、“マンガ愛好家御用達”系月刊誌もチェックすべきだと思ってるんだけど、これらは片手間で読めない感じの雑誌なんで、ちょっと手が回りきらないでいるのが現状。話題作は時間が取れた時にマンガ喫茶で単行本を通読したりもするけどね。
 マンガ喫茶でバイトしてた頃とかは、もっと沢山読んでた気がするんだけど、今はとりあえずこんなところ。本当はどの雑誌も全部の作品に目を通すべきなんだろうけど、物理的にちょっと無理かな。ましてや、これだけの雑誌に載ってる全作品をレビュー出来るくらいに気合入れて読み込むのは絶対無理。いつものゼミのレビュー対象作品だけでも、1つ作品について結論を出すまでに物凄い時間をかけてるんだからね。だから、よく『○○という作品が面白いのでレビューして下さい』とか言われるんだけど、これは正直言って勘弁して欲しい(苦笑)
珠美:「えーと、数えてみたんですが、博士がチェックしている雑誌は、全部で20誌ほどという事になりますね」
駒木:「マンガの評論活動をしてる人間にしたらギリギリの最低ライン…いや、そこまで届いてないかな(苦笑)。本当に1日60時間欲しいよ。そうすりゃ何とかなりそうな気がするんだけどねぇ……」
順子:「えーと、これに関連する質問もありますね。
 『マガジンやチャンピオンの漫画はどの程度読んでいますか?』
 ……これはsamuraさん。20代男性の方ですねー。あともう1つ、
 『ジャンプやサンデーを読み始めたのはいつ頃ですか? またそのきっかけはどんなものでしたか?』
 ……こっちはひまひまさん。25歳男性の方です」
駒木:「『マガジン』については前にも言ったと思うけど、『はじめの一歩』『クロマティ高校』は欠かさず読んでるよ。特に『一歩』は、高校時代に毎週買って読んでた頃からの読者だから、結構長いね。で、あとは半分義理で『ネギま!』と、いずれレビューで酷評する予定の『ツバサ』を押さえてるって感じ。他にも注目を集めそうな新連載はその都度押さえてるんだけど、毎週読み続けようと思わせてくれるような傑作には残念ながら出会ってないかな。
 『チャンピオン』は何と言っても『アクメツ』『ORANGE』。この2作品は凄いね。で、あとは『ドカベンプロ野球編』を流し読みして日本の平和さを噛み締めると(笑)。
 ──もう1つの質問だけど、僕は小学生時代は『コロコロコミック』信者だったので、『ジャンプ』や『サンデー』を読み始めたのは中学に上がってからだったりする。『キャプテン翼』じゃなくて『がんばれ! キッカーズ』で育った健全なマンガ少年だったわけだ(笑)。
 毎週買い始めたきっかけは、『ジャンプ』の場合は『BASTARD!!』だったんじゃないかな。まぁ理由は単行本2巻参照とだけ言っておこう(笑)」
珠美:「?」
順子:「?」
駒木:「あー、そこのお嬢さんたちは詮索しないように(笑)。で、『サンデー』はしばらく立ち読み中心だったんだけど、『じゃじゃ馬グルーミンup!』が始まってから毎週買うようになったんじゃなかったかな。まぁ、当時は普通のアンチャンなんだから、きっかけなんて他愛も無いもんだよ。
 ……さて、次の質問行こうか」
順子:「えーと、その前に博士、『BASTARD!!』の2巻って、どういう──?」
駒木:「(黙ったまま“ドリンク”をショットグラスに手酌で1杯飲み干す)
順子:「あー!(笑)」
珠美:「なるほど、そうやって使うんですね(笑)」
駒木:「まぁそういうわけだ(笑)。さー、次行こう!」
順子:「博士のテンションがちょっと上がってきましたね(笑)。では、もう少しマンガについての質問を続けますね。
 『博士が全巻単行本をそろえている漫画はどれくらいあり、どのようなものがあるのでしょうか?』
 ……これはkasa☆haraさん。25歳男性の方です。
 『いわゆる少女マンガやレディースコミックは読まれるのでしょうか?』
 
……というのは、雀バル雀さん。男性の方です。そしてもう1つ、
 『今まで読んだ漫画の中で一番好きな作品を教えてください。また、その作品のどういうところが好きですか』
 ……こちらはkakaさん。23歳の女性の方ですね。以上3つ、続けてお願いします」
駒木:「単行本全部揃えてる作品ねぇ。さっきも言ったように、雑誌を置くスペースも無いくらいだから、単行本も置き場所の都合であまり買えないのが辛いところだね。
 でも一応は、ここで全部挙げたらキリがないくらいにはラインナップ出来てるよ。例えば、ゆうきまさみさんの『サンデー』系作品は、打ち切りになった某作品を除いて全部揃ってるし、珍しいところでは桜玉吉さんの『漫玉日記』シリーズとか、古本屋で一括購入した『リトル巨人くん』とかね(笑)。まぁ敢えて言えばメガヒット作よりも玄人好みの良作を好んで揃える傾向にあるかもね。
 少女マンガは、今のところ手が回りません。マンガ喫茶時代に『動物のお医者さん』、『ぼくの地球を守って』、『お水の花道』、『彼氏彼女の事情』…といったベタなラインナップを押さえた始めたところでバイト辞めちゃったからねぇ。あと半年もいれば、大分ラインナップも充実したんだろうけどね。
 で、最後の質問だね。レビュー的な評価じゃなくて、好きか嫌いかで一番好きな作品と訊かれたら、即答で『りびんぐゲーム』だね。誇張じゃなくて、もう何百回読み返したか判らない。好きな理由としては、僕はエンタテインメントの基本要素は恋愛を絡めた良質なコメディだと思ってるんだけど、この作品はそれを完璧に満たしているからかな。あと、細かいところでは、一角ちゃんの私服が毎回必ず違うっていう変なこだわりが好きだったね(笑)」
順子:「今、好き嫌いとレビュー的評価は違う、みたいな話になってましたけど、レビュー的評価の方でも質問が来てますよ。さっき別の質問を読んだsamuraさんからですけど、 
 『博士が開講前に読んだ漫画の中で、今レビューすれば確実に「A+」の評価を与えられる漫画はありますか?またそのタイトルは?』
 ……っていうモノです。どうですか?」
駒木:「えーと、この質問に答える前に、ちゃんとレビューの評価についての話をしなきゃならないな。
 いつも『現代マンガ時評』でやっているレビューの評価っていうのは、ストーリーテリング力や設定・世界観の構成力──ギャグマンガの場合はギャグの構成力だね──をベースに、絵の上手さやその他諸条件の出来具合で加・減点を加えたモノなんだ。だから僕自身の好き嫌いは一切入ってない。大好きな作品でもストーリーが陳腐だったりしたら評価を落とすし、勿論逆もある。
 以前、『ゼミの評価は出来るだけ客観的なモノになるよう努力してます』みたいな事を言って、変な誤解を受けちゃったんだけど、真意はそういう事なんだよ。テメェ勝手な好き嫌いと作品の良し悪しを混同する事は絶対にやりませんっていう意思表示のつもりだったんだよね。
 ただし、作品の良し悪しを決める価値基準っていうのに絶対的な答えは無いわけで、そういう意味では僕の主観が入ってしまっているのも確かでね。なので『客観的な評価を目指してはいるが、作品の良し悪しを判断する上で譲れない部分は主観が入ります』…みたいな事も言ってるはず。ただし僕が嫌いな人は、何故だかその部分は聞こえないみたいだけどさ(笑)。
 まぁそういうわけで、レビューでやってる作品の評価は、好き嫌い、もっと言えば面白い、面白くないじゃなくて、良いか悪いか、よく出来てるかどうかにかかってるんだよ」
珠美:「そう言えば博士のレビューでは、『面白い』、『面白くない』という言葉がほとんど出て来ないんですが、やはりその辺は意識されてるのでしょうか?」
駒木:「その通り。ゼミの中では、チェックポイントの雑感を除いて、『好き』『嫌い』『面白い』『面白くない』はNGワードにしてる。この単語を使わずに作品の評価を下すよう気を付けてるよ。ただし一度だけ、『しゅるるるシュールマン』のレビューをした時だけ、思わず『面白くない』って言ってしまった事があるんだけど」
順子:「出た、シュールマン!(爆笑)」
駒木:「……まぁシュールマンはともかくとして(笑)、とにかくレビューの評価は、好き嫌い抜き&作品の良し悪しだけで判断するモノってことだよ。
 で、ゼミで使ってる7段階評価についてだけど、最近は開講当初に比べて基準がやや変わって来てるので、ここで改めて各評価の定義づけをしておこうかな。

A+ もはやマンガの領域を越えた、超一級の芸術作品。永久に語り継ぐべき文化財クラスの超傑作。
高度かつ完成されたテクニックに支えられた傑作。作家にとっては代表作になるであろう貴重な作品。
A− いくつかの欠点は見受けられるものの、総合的に見れば長所の方が短所を圧倒している、高い完成度を誇る良作。
B+ 欠点が目立ち、全体的な完成度に不満は残るものの、複数の箇所でそれなりのセールスポイントを見出せる作品。又、いわゆる“名作崩れの人気作”はこのあたり。
長所よりも欠点の方が目立ち、とても佳作とは言えないが、単なる雑誌の中の1作品として割り切って読む分には、さほど問題の無い作品。
B− 一応マンガの形にはなっているものの、全編を通して欠点だらけでセールスポイントがほとんど見つからない駄作・失敗作。この辺りから、「金はともかく、読むのに使った時間を返せ」という野次が飛び始める。
問題外。マンガの文法やお話作りのイロハさえ理解していない、いわゆる「終わっている」作品。作家には「原稿料返上しろ」と非難が浴びせられ、掲載を決めた編集者はその能力を疑われてしまう。

 ……まぁこんな感じ。ただし、絵の出来がストーリー・設定の出来とアンバランスな場合とかは、それなりの上方・下降修正を施すね。また、『△△寄り○』みたいな表現だけど、これはその評価を額面通りに受け取って欲しくない場合に使ってる。例えば、大きな欠点があってB評価にするしかないんだけど、B評価にするには勿体無いセールスポイントがある場合なんかは“B+寄りB”になる。ただ、さすがに乱発すると受講生さんを惑わせる結果になるので、最近は控えるようにはしてるんだけどね。
 あと、7段階の評価の中で、一番格差があるのがB+とA−の間。A−以上の評価になると、年末の『仁川経済大学コミックアワード』の部門賞にノミネートしなきゃいけなくなるから、1年を通じて『今年はこの作品が良かった』と言えるような作品にだけ、A−以上の評価をつけるようにしてるんだよ。
 ──おっと、そろそろ質問に答えないと(笑)。A+評価を文句ナシで出せる作品は、手塚治虫先生の『火の鳥・未来編』だね。『ブラックジャック』や藤子F先生の『ドラえもん』も捨て難いけど、ナンバー1はやっぱりこれ。“未来”というテーマでああいう気が遠くなるような話が描けるっていうのが凄過ぎる
 ちなみに、さっき“一番好き”と言った『りびんぐゲーム』はA評価ってところ。さすがに文化財級って言うのはね(苦笑)」
順子:「今日の博士は語りますね〜」
駒木:「あまりこういう機会って無かったからね。こんなのは喋れる時に喋っておかないと」
順子:「じゃあ、最後にもう1つ。マンガ関連最後の質問です。これもsamuraさんからの質問ですね。
 『ジャンプ連載「いちご100%」のヒロイン4人の中で誰が一番好きですか?(笑) 「B評価」の漫画の割にはかなり気に入ってそうな書き方してるんで・・・(失礼)』 
 ……さぁ、これも博士に思う存分語ってもらいましょう(笑)」
駒木:「何でラストでこの質問なんだよ(苦笑)。……え〜と、まず『B評価の割に気に入ってそう』ってのは当たってるね(笑)。こんなストーリーが場当たり的でグダグダな作品、高い評価あげるわけには行かないんだけど、単純な好き嫌いで言えばかなり好きかな(笑)。
 で、東・南・西・北で誰が一番好きか…か。でも、ゼミでそれとなく言ってるような気がするんだけどなぁ。まぁ、改めて言わせて頂きますと、恐らく最小派閥であろう南戸唯派でございます」
順子:「でも博士、高校の先生やってた人が、奈瀬さんだの斗貴子さんだの唯ちゃんだのって言ってたら、変な誤解されちゃいますよ。エロスはほどほどにしとかないと(笑)」
駒木:「エロスって(笑)。マンガと現実は別なんだから程々もクソもないだろ? ……それに、その『エロスはほどほどに』ってセリフ、順子ちゃんに言われても有り難味ねぇなぁ(笑)」
順子:「あー、ひっど〜い!」
珠美:「まぁまぁ順子ちゃん、無礼講だから(笑)」
順子:「もー、失礼なんだからー。……あ、でも、珠美先輩が言ったら、結構雰囲気出るかも。ちょっと言ってみてくれません? 『博士、エロスはほどほどに』って(笑)」
珠美:「え、えー?(汗) いきなりそんなこと言われても……」
順子:「あー、ほら、男の受講生さんが『是非、是非やってくれ!』って顔で珠美先輩を見てますよ(笑)」
珠美:「いや、ほら、そんなの博士にも失礼ですし……」
駒木:「いやいや、受講生さんのためならねぇ(ニヤリ)」
珠美:「は、博士まで!」
順子:「ほら、博士もそう言ってますし!」
珠美:「えー、でも……」
順子:「ていうか、もう引っ込みつきませんよー」
珠美:「──はぁー……(溜息)。……じゃあ、1回だけですからね!
 ……(表情を作って)……博士、エロスは程々になさって下さいね?

順子:「うわー(笑)」
駒木:「わはは(笑)」
珠美:「もー、ホント、何させるんですかー!(赤面)」
順子:「でも珠美先輩、悔しいけどわたしの負けです(笑)」
駒木:「うん、この辺はやっぱり珠美ちゃんの方が一枚上手だよね(笑)。
 ──さて、僕は喋り過ぎてちょっと疲れたんで、ここで攻守交替。今度は珠美ちゃんと順子ちゃんへの質問を紹介して、2人に答えてもらう事にしよう。お2人さん、心の準備はいいね?」
順子:「はーい♪」
珠美:「分かりました…けど、何だかとても不安です(苦笑)」
駒木:「まぁまぁ。そんな過激な質問は出ないから大丈夫だよ。……じゃあ、まずは本当に大人しい質問から行こうか。キミたち2人への共通質問だ。
 『よく聴く音楽のジャンルやアーティストはありますか? あれば、それを教えて下さい』
 ……これは、さっきマンガについての質問をくれたひまひまさんからだね。駒木研究室のBGMは僕の趣味に合わさせてもらってるから、不思議とこれまで2人の音楽の趣味を知る機会が無かったんだよね」
順子:「えーと、わたしは“おバカさん”系が好きですねー。セックスマシンガンズとか氣志團とか。珠美先輩は?」
珠美:「私は……、博士の影響で椎名林檎さんも好きなんですけど、よく聴いたりカラオケで歌ったりするのは、鬼束ちひろさんCoccoさんですね」
順子:「……(汗)」
駒木:「……(汗)」
珠美:「あれ、どうしました?」
順子:「ど、どうしました? って……」 
駒木:「ゴメン、珠美ちゃん。本当にゴメン。そんなにキミを追い詰めてしまってるとは想像もしてなかった」
珠美:「いや、あのー、そのー、そんなに私の音楽の趣味って変でしょうか?(汗)」
駒木:「いや、変って言うわけじゃないんだよ。違うんだけど、何だ、その……」
順子:「珠美先輩、その組み合わせは心の中に闇を飼っている人の組み合わせです(苦笑)」
珠美:「えー? 心に闇!? …私、そういう風に見えます?(汗)」
駒木:「いや、普段、そういう風に見えないから余計に怖いんだよ(笑)。…まぁでも、本当に心を病んでるんじゃないみたいなんで安心したけど」
順子:「でも、お願いですから徹夜カラオケ行った時は『強く儚い者たち』とか歌わないで下さいね。こっちが泣きそうになりますから(苦笑)」
珠美:「そう言えば、友達と徹夜カラオケした後は、何故かみんな私にやたらと優しくしてくれるんですけど、そういう事だったんですね(苦笑)。今度からちょっと歌を選ぶようにします(苦笑)」
駒木:「……じゃあ、次の質問ね。もう1つオーソドックスなのをいっとこう。
 『お2人の将来の夢は何ですか?』
 ……これもさっき質問してくれた人、kakaさんだね。どうも質問してる人が偏ってる感じだなぁ。まぁ、質問が上手い人って、いくつ質問してもツボを押さえてたりするからね。あ、でも今日のイベントで使えなかった質問にも、ちゃんと後で答えるようにするんで、採用されなかった人もガッカリしないで下さいよ。
 ──じゃあ、お2人さん、将来の夢はって事だけど…?」
珠美:「そうですねー。私は飛び級であっという間に大学を卒業しましたので、将来の夢も何も無いまま社会人になってしまったんですけど、今は出来るならば近い将来に駒木博士みたいに自分も教壇に立って話をする仕事に就きたいと思ってます」
駒木:「嬉しい事言ってくれるねー。まぁ珠美ちゃんなら大丈夫だろ。去年の学園祭でやった特別講義なんか、僕のどの講義より面白かったから(笑)。
 ……で、順子ちゃんは?」
順子:「わたしは今を楽しく生きるだけです(笑)。多分、キャリアウーマンとかにはならないと思うんで、今みたいにごはんが食べられて楽しく生活できたら、何も言うことは無いですねー。
 あ、その究極のカタチって言うなら、玉の輿に乗ることですね。有閑マダムってヤツですか」

駒木:「順子ちゃんの場合は『有閑』じゃなくて『勇敢』マダムって感じがするけど(笑)。まぁそう言ってる子に限って平凡な結婚したりするもんだけど、どうなんだろうね(笑)。
 ……さて、次の質問なんだけど、これは質問って言うより相談だなぁ。心火さん・21歳男性から。
 『博士が不機嫌になった時などは、どういった形でなだめたりしますか? ほったらかし、ということはないと思いますけど…
 イライラしやすい友人の手綱を取る羽目になったことがあるので、駒木博士と博士を支える二人の美女(笑)が、一体どうしているのかをお聞きしたいです…もしかしたら今後の人生の役に立つ機会があるかもしれないので、お聞かせ下さい…』

 ……ということだけど──」
順子:「珠美先輩! わたしたち、
美女ですよ、美女!(笑)」
珠美:「ありがとうございます(微笑)」
駒木:「礼は言っても否定しないね、ウチの“美女”2人は(笑)。……でも、キミら、僕が不機嫌な時に何かしてくれたっけ?」
順子:「ないですねー。基本的に放置プレイですよねー(笑)」
珠美:「……というか、博士が不機嫌になる場面なんて、私はほとんど記憶に無いですからね」
駒木:「まぁ、フリー雀荘で3連続ラスを喰った直後とか、公営ギャンブルで裏パーフェクト達成した直後とかは、さすがにキレ気味になるけどね(笑)。でも、さすがに研究室までそれを引っ張らないからねぇ。
 基本的に、ストレスはそこから逃げようとして逃げられないから苦痛になるんであって、それを真正面から受け入れてしまえば、すぐに気にならなくなるよ。どうしても克服が無理な時は、1日に3000人の受講生さんがやって来て、沢山の人から『面白い』と言ってくれるような講座を開講してみたらどうだろう?(笑) 自分に自信が持てる何かがあったら、少々のストレスは跳ね返せるもんだよ」
順子:「あ、でも1つだけありますよ、研究室で博士が不機嫌な時。朝5時を過ぎても講義の準備が終わらなかった時は、いつも『あー、もう朝かよチクショー』とか言ってるじゃないですか(笑)」
駒木:「あー、それはしょっちゅう有るね(苦笑)。でもそれは不機嫌って言っても、自分で自分に当たってるだけだからねぇ。キミらには迷惑をかけないように配慮はしてるつもりだけど?」
珠美:「えーと博士、私たち、正規の退勤時刻が朝5時ってことを存じてらっしゃいますか?(苦笑)」
順子:「早く帰りたいなーって思っても、博士より先に帰るわけにいきませんし、『帰らせてください』って言おうとしたら不機嫌になってるので言い出しにくいですしー……」
駒木:「うあ、申し訳ありませんでした(苦笑)。ヤブヘビだったかな、この質問……。あ、不機嫌な友達の手綱を取る時には、僕も『さわらぬ神に祟りナシ』だと思うよ。それか、自分のワガママさが恥ずかしくなるように誘導してあげるかだね。
 さて、次は個人戦と行こうか。珠美ちゃん、キミへの質問だよ」
珠美:「え? 私だけへの質問ですか?」
駒木:「うん。23歳というお年頃だけあって、恋愛や結婚に関する質問が届いてる。
 まずこれは20歳の男性・神魔理音さんから、
 『月並みな質問ですが、どんな男性が好みでしょうか?』
 ……って質問が。そして、同じく男性の文左衛門さんから、
 『素敵な出会いがないとお嘆きのようですが、親戚のオバサマあたりから「そろそろあなたの子供も抱かせて欲しいものねぇ」などという言葉と共に見合い写真などか届いておるのではないでしょうか? それとも届いたものは開封せずに焼却炉行きですか? いい男性がいたら走ってしまいそうになりますか?』
 ……という、なんか芸能レポーターみたいな質問が届いてるよ(笑)」
順子:「あーでも、珠美先輩って理想が高すぎますからねー。騎手の武豊が理想って、そんな人、世界に何人いるんですか?(笑)」
珠美:「ま、あくまでも理想は理想ですので(笑)。現実的には、そうですねー……、頼りがいのあるしっかりした人、というところでしょうか(照笑)」
駒木:「頼りがいのあるしっかりした人か。でも、珠美ちゃん自身が筋金入りにしっかりした人だから、その珠美ちゃんが頼れる人となると、やっぱり御眼鏡に適うには相当高いハードルが待ってそうだね(笑)」
順子:「質問であったみたいに、お見合い写真とか届いたりするんですか?」
珠美:「それっぽいのは見せてもらったことはあるんですけど、どうもああいう写真って、その人の本当の姿が写ってない気がして好きになれないんです」
駒木:「確かに、ああいう写真は“奇跡の1枚”だったりするからねぇ(笑)」
珠美:「お見合いが良いとか悪いとかじゃ、決して無いんですけど、私、どうもああいうのは苦手で……。写真だけ見て、初対面の人と結婚を前提にしたお話をするなんて、何だか競馬の繁殖牝馬になったような気がして……(苦笑)」
駒木:「なるほど(笑)。確かにお見合いって、繁殖牝馬の種馬決めるみたいな話だもんねぇ。まぁ、人間の場合には自由意志があるけれども」
順子:「じゃあ、珠美先輩はしばらく仕事一筋ってことになりそうですね」
珠美:「それもちょっと悲しい気もするんですけどね(苦笑)。でも、お仕事が面白いのは本当ですし、今すぐ結婚…みたいな焦りは全然無いですね。ま、しばらくは馬ナリで行きます(笑)」
駒木:「僕にしてみても、有能な助手に結婚引退されても困るんで、そう願いたいもんだね」
順子:「ところで博士、わたしにはそういう質問とか無いんですか?」
駒木:「無いねぇ(笑)」
順子:「うわ、ショック(苦笑)。もー、どういうことなんですか、皆さん!」
駒木:「順子ちゃんの場合、デートしてるところより、麻雀打ってるところの方が想像しやすいからねぇ(笑)」
順子:「まあ、確かに現実もそうですけどねー(苦笑)。でも、11月にはハタチになることですし、もうちょっとこう、女のコって部分を前面に出したいと思ってるんですけど」
駒木:「雀卓の牌の山を前に出すんじゃなくて、か(笑)。でも、現実にはそっち系の質問が届いてるよ(笑)。
 まず、kasa☆haraさんからは、
 『マージャンを一緒にしてみたい芸能人は?』
 あと、MKGさんからは、
 『麻雀漫画は読みますか?お勧めの麻雀漫画があったら教えて下さい』
 ……という質問だね」
順子:「芸能人ですか? ……うーん、芸能人よりは麻雀のプロの人と打ってみたいですね。あ、もちろんノーレートで、ですけど(笑)。
 あと、オススメの麻雀マンガは、やっぱり『ノーマーク爆牌党』でしょー。八崎さん、サイコーです」

駒木:「そういう答えしてるから、恋愛関連の質問が来ないんだと思うよ、順子ちゃん(笑)」
順子:「う〜ん、やっぱりそうなのかなー(苦笑)」
駒木:「まぁ、『お2人に質問』って感じで、その手の話題っぽい質問も無い事はないんだけど……」
順子:「え! そうなんですか?」
駒木:「でも、キミらには絶対嬉しくない質問だと思うよ(苦笑)。匿年齢・男性のknighthawkさんからなんだけど、
 『お二人から見て駒木博士は男性として魅力的な人でしょうか?』
 ……って」
順子:「(爆笑)」
珠美:「(笑)」
駒木:「えーと、この反応を見ての通りだと思います、knighthawkさん(笑)」
順子:「そもそも『男性として』駒木博士を見たことないですもん、わたしは(笑)」
駒木:「そうだろうなぁ(笑)。で、更に困った事に、珠美ちゃんには、
 『(駒木ハヤトは)実際のところ、結婚相手としてはどのようにお考えでしょうか?』
 ……って質問が来てるよ。またこれが、いつもお世話になってるRスズキさんから来た質問だったりする(苦笑)」
珠美:「えーと……、難しい質問ですね(苦笑)。答があるのに答えられない、というわけじゃなくて、答そのものが見つからない…という感じでしょうか」
順子:「そう言えば、博士宛にもこんな質問が届いてますよ。さっきのknighthawkさんからなんですけど、
 『身近にあれだけかわいい娘が二人もいて、なにゆえイベントがないんでしょうか?
 私だったら、即、突っ走っちゃいますけどねぇ(^^;;』

 ……ですって(笑)」
駒木:「ん〜……(と言いつつ、“ドリンク”に手を伸ばそうとする)」
珠美:「!」
順子:「博士、何するんですか〜!(汗)」
駒木:「え?」
順子:「そこで回答拒否したら、まるで何かイベントがあったように思われるじゃないですか!」
駒木:「あ、あぁそうか(笑)。いやー、こういう質問を普通に素で回答しちゃうと、イタい奴だと思われそうな気がしてね(笑)」
順子:「何、わけわかんないコト言ってるんですか?」
駒木:「あ、いや、こっちの話。んー、まず順子ちゃんは一応アルバイトってことになってるけど、どっちかと言えば先生と生徒みたいな関係だからねぇ。何て言うか、普通の女の子とは“別腹”(笑)」
順子:「別腹って、わたしは居酒屋のデザートメニューですか!(笑) まーいいですけど」
駒木:「あと珠美ちゃんとは、初めて会って間もない内から週7日フル稼働という修羅場を一緒に潜り抜けてきたわけだから、こっちは“戦友”みたいなもんかな。気が付いたらお互いの性格や内面とかを知り過ぎるくらい知っちゃってて、そんなイベント云々って話に発展するような間柄じゃなくなっちゃった」
珠美:「そうですね。博士のおっしゃる通り、“戦友”という言葉が一番ふさわしいような気がしますね。質問にあるような関係とは別次元の関係というか……」
駒木:「まぁそんなところかな。どっちにしろ、武豊騎手には森羅万象様々な面で及ばないから、珠美ちゃんの御眼鏡に適うとは思えんけどね(笑)」
珠美:「ま、博士は博士で良い所がありますし……(微笑)」
駒木:「と、こういうフォローをしてくれるのが信頼関係で結ばれた“戦友”ということだね(笑)。
 ……とまぁ、お2人さんへの質問はこんな所かな」
順子:「あ、もう終わりですか。わたしは麻雀の話をちょこっとしただけのような(苦笑)」
珠美:「何とか全部答えられて良かったです(笑)」
駒木:「……(質問を控えた紙を見直して)……あれ? あ、ゴメンゴメン、これを忘れてた! 珠美ちゃんにもう1問だけ質問があったよ」 
珠美:「はい?」
駒木:「さっきも質問を紹介したMKGさんからなんだけど、
 『体重39kgを維持するのは大変かと思いますが、お勧めのダイエット法があったら教えて下さい』
 ……だってさ。その後、『武装錬金』のカズキたちが斗貴子さんに謝るみたいに『申し訳ありませんでした』って書いてあるけど(笑)」
珠美:「…………!(血の気が引く)」
駒木:「と、いうわけだけど、珠美ちゃん?」
珠美:「……え、えーとですね、私は食べても太らない体質ですし、元々が少食ですから普通に生活していたら39kgを維持することが出来るんです。面白みの無い回答で申し訳ないですけど、ウソはつけませんものね(微笑)」
駒木:「えーと、じゃあ順子ちゃん、アレ持って来てー」
順子:「あ、は〜い!(一旦、舞台袖に退場)」
珠美:「何ですか、『アレ』って? ………………!(何かを思い出したらしい)」
順子:「(舞台袖から声だけ)ちょっと重いんですけど、今から“アレ”を持って行きますねー」
珠美:「順子ちゃん、駄目よ、それは絶対に駄目!(汗) 博士、博士は私の戦友ですよね? 戦友は絶対に裏切らないんですよね?(半泣)」
駒木:「最初から正直に言ったら許してあげたんだけどなぁ(笑)。お〜い、順子ちゃん、早く早く!」
順子:「ハーイ!(と、ガムテープでグルグル巻きになったダンボール箱を抱えて登場) 持って来ましたよー。珠美先輩専用・踏み台昇降台ですー」
珠美:「………………(くず折れるように_| ̄|○状態)」
駒木:「お互いの性格や内面とかを知り過ぎるくらい知ってるから“戦友”と言うんだよ、珠美ちゃん(笑)。踏み台の隠し場所くらい、先刻お見通しってことさ」
順子:「珠美先輩、わざわざ踏み台に“珠”ってマークつけてますね(笑)。先輩、小さい頃、ハンカチとかパンツに名前書いてたりしませんでしたか(笑)」
駒木:「さ、どうする珠美ちゃん?」
珠美:「……(無言で“ドリンク”の瓶を掴んでラッパ飲み)……ぷはー!」
駒木:「やっぱりそう来たか(苦笑)」
順子:「珠美先輩、『ぷはー』って、それキャラが違いますよ(笑)」
珠美:「(まだ無言のまま、据わった目でギロリと睨む)」
順子:「……(汗)。は、博士、イベント進行させましょうか……」
駒木:「そうだね(苦笑)」
順子:「あとはまた博士への質問なんですけど、ちょっと時間オーバー気味ですから、ペースアップしていきますね。博士も短めにお願いします」
駒木:「了解。あと珠美ちゃんも、言いたい事は後でキチンと聞くから、とりあえず今はいつもの珠美ちゃんでいてくれないかい?」
珠美:「…………分かりました(ぎこちない笑み)」
駒木:「まだ微妙にいつもの珠美ちゃんじゃないけど、まぁいいか(苦笑)。順子ちゃん、こっちは準備O.K.だよ」
順子:「……じゃ、いきますね。
 『信頼している競馬予想屋(あるいは情報元雑誌、新聞)はいますでしょうか?』
 ……これは3回目の登場、kasa☆haraさんです」
駒木:「僕は誰かの予想に乗っかって馬券買う事は絶対に無いんだけど、園田競馬場の予想屋・『大黒社』の田中さんは信頼というか尊敬してます。競馬新聞は、中央じゃ『競馬ブック』、園田・姫路なら『競馬キンキ』。やっぱりシェア1位の新聞だと、予想印である程度オッズが読めるから便利だね」
順子:「次はhurryさん、29歳・男性の人から、
 『以前、大学別アクセスで東大・京大の比率が高いとの発表があった際にピンと来たのですが、高校時代、何人かの先生から、
 「君の素質からしたら、もっと成績がいいはずだ。しっかり勉強しなさい。」
 と言われたことはありませんか?』
 
……ということですけど?」
駒木:「東大・京大の受講生さんは今年の春であらかた卒業しちゃったみたいで、今は日本文理大学がトップになってるね。
 で、勉強の話だけど、僕は記憶力がダメな人間なんで、大学受験までの“お勉強”は根本的に向いてなかったなぁ。たくさんある情報の要点を抜き出したり、その要点を膨らませて論述したりするのは得意だったんで、大学に入ってからは随分と楽させてもらったけどね。
 あー、予備校時代に、『お前の模試の偏差値で、どうしてココを落ちるかなー』って呆れられた事はあったなぁ(苦笑)」
珠美:「博士って、意外と本番に弱かったんですね(苦笑)」
駒木:「いや、基本的には本番タイプのはずなんだけどね。でも昔から何故か受験とか採用試験だけは本番に弱いんだよなぁ(苦笑)」
順子:「……もう1つ真面目な質問行きましょうか。
 『教員志望とのことですので。現行の「ゆとり教育」について、どのような意見をお持ちでしょうか。博士が受験生だったころと、現在の生徒たちとの違いなど、お感じになられた点を伺いたいです』
 ……これは雀バル雀さんからですね」
駒木:「今の『ゆとり教育』ってのは、結局は正規の授業時間を減らしてるだけだから、実は逆にゆとりが無くなってるような気がする。どの教科も授業時間が足りなくて、結局は教科書の内容もロクにカバー出来てないからね。
 本当の『ゆとり教育』っていうのは、本当に勉強したい事を、時間かけてじっくり勉強できるようにする事なんじゃないかなぁって思う。例えば、世界史に興味のある生徒なら、世界史だけ週に10時間授業を受けられるようにする、とかね。勿論これは現実問題として、学校の枠組みの中でそれをやるのは無理に近いんだけど。
 …そういう意味では『学校で教えたい世界史』は、僕の考える『ゆとり教育』の一環と言えるかも知れない」
珠美:「この講座ほど『ゆとり教育』という言葉が似合う講座も無いんじゃないですか?」
駒木:「う〜ん、でも内容的には『教育』という言葉がとことんまで似合わない講座だったりするんだけどね(苦笑)」
 あと、生徒の質に関しては、何やかんやとは言われるけど、基本的には昔と全然変わってないよ。ワルもいりゃあイイ奴もいるし、真面目な奴もいればグータラもいる。ただ、ジェネレーションギャップだけはどうにもならないので、その分だけ『近頃の若い奴は……』ってのが、いつの時代になっても出て来るんだろうね」
順子:「次、いきます。
 『この「社会学講座」を始めた頃と現在とを比べて、変わったと思う所(講義内容,博士の考え方など)はありますか』
 ……こちらも3回目の登場、kakaさんですね」
駒木:「業務縮小してからは別だけど、講義内容そのものは、時が経つに連れて質・量ともに充実して来たはず…という自負はあるよ。ていうか、最初の頃の講義がマズいだけなんだけど(苦笑)。
 考え方が変わったのは、ストーリーマンガについての価値観かな。開講当初は“ストーリー構成力>キャラクター造型”だったのが、今では“ストーリー構成力≦キャラクター造型”って感じになってる。勿論、キャラクターだけに頼り切ってる作品はダメだと思うけど、ストーリーはキャラクターが出来てないと魂が入った事にならない…と考えるようになって来たね。これはレジュメを通読してもらえるとよく判ると思う」
順子:「次は歴史関連です。ワイルドベリーさん、20代女性の方からなんですが、
 『歴史上の人物で、好き、または尊敬できる人物はいますか?その理由も教えてください。
 あと、歴史マンガで、評価の高いもの、逆に評価の低いものはありますか?』
 
……という質問ですねー」
駒木:「素直に凄いと思えるのは、中国の唐王朝2代目の太宗・李世民と、清王朝5代目・雍正帝かな。アレキサンダー大王も凄いんだけど、あの人は酒癖が悪かったから減点なんだよな(笑)。
 歴史マンガっていうのは、基本的には“歴史を元にしたフィクション”だから、解釈が難しいよね。あ、よくある『まんが世界の歴史』みたいなのは軒並みクズなんで、これは評価が低い。マンガを描いてる本人が歴史を分かってない上に、ページ数の都合で原型を留めないくらいに歴史の流れを端折っちゃうんでねぇ……」
順子:「博士、また話が長くなって来てますよ(笑)。……じゃあ次は簡単な質問を3つ続けて。
 『駒木博士が好きな映画BEST3をあげてください』
 『宮部みゆき作品の中で一番好きな作品は何ですか?』
 『アメフトではどこのチームがお好きですか?』
 ……以上、民芸さん、海保青陵さん、文左衛門さんからの質問です」
駒木:「んー、映画は1位『スタンド・バイ・ミー』、2位『メリーに首ったけ』、3位は『インディー=ジョーンズ』シリーズだね。他にも捨て難い作品はあるんだけど。
 あと、宮部みゆき作品のマイ・フェイバリットは『ドリームバスター』アメフトは、母校に敬意を表して甲南大学レッドギャングという事にしておこうかな」
順子:「フードファイトに関する質問も来てますよ。
 『さいきん大食いの講義が少なく、さびしい思いをしております。過去の名選手風間先生についてはどのような評価をされていらっしゃいますか』
 ……というのは、駒木博士以上にフードファイトに詳しいRスズキさんそして、
 『大食い講義を軽くですが見させていただきました。しかし、大食いには外せない「わんこそば」がない模様です。今のところ取り扱う予定はありますでしょうか?』
 ……こちらは神魔理音さんでした」
駒木:「風間先生ね。実働期間がほんの一瞬だったんだけど、全てにおいてエポックメイキングな選手だったような印象を持ってるね。多分、素質的には今のトップクラスに入っても遜色ないんじゃないかと思うんだけど……。それに、自らの体を実験台にして大食い体質とは何かを解明した事は、競技で残した記録よりも意義深かったんじゃないかと思ってるけど。 スズキさん、これでよろしいでしょうか?
 あと、わんこそば大会みたいなローカル競技会についてね。こういう大会では、食材1個あたりの重さに誤差がかなりある上に、記録の詳細をなかなか知る事が出来ないので、泣く泣く採り上げる対象から除外してるのが現状なんだよね。だから悪く思わないで下さい(苦笑)」
順子:「さて、いよいよ最後の質問です。これは博士とこの講座の今後についてがテーマですね。
 まず、博士に馬券指南をして欲しいという、無鉄砲な
青木@ブルーツリーさんからです(笑)。ちょっと長い質問だったので、割愛させてもらいました。
 『当講座を運営していながら、教員試験と生活費の工面(バイト)を並行させておられることについて、今後のゼミ運営をどのようにお考えでしょうか? 未来永劫この講座が続くとは思いませんけど、そう遠くない将来について先生の想うところをお聞かせください。』
 ……そして、もう1つはぷかぷかさんから。
 『博士の3年後はどうなっていると思いますか? 万が一教員や作家になれなかったらどうしますか? タイムリミットは考えていますか? なれるまで挑戦しますか?』
 ……さぁ、どうですか、博士?」
駒木:「まず初めの質問。確かにこの講座は僕の生活にとっては負担になっているけれども、ちゃんと確固たる目的を持ってやってるんだよ。例えば『現代マンガ時評』は自分自身の審美眼を磨くため…といった具合にね。
 勿論、今後はマンガ時評をやる時間すら確保出来なくなるかも知れないけれど、でもこの社会学講座は、ライフワーク的なものとしてずっと続けたい意思はある…とだけは言っておくよ。
 で、2つ目の質問3年後って言えば31歳か。考えたくないなぁ(苦笑)。……まぁ、巡り合わせが良ければ小説家兼高校教諭として活躍してるだろうね。そうでない場合は、今みたいな生活してるんじゃないかな(苦笑)。
 でも、『なれなかったらどうしますか?』って質問はちょっと心外かな。30歳過ぎたぐらいで諦めちゃうような一生の夢は持ち合わせてはいないつもりだけど。
 あ、どういう運命にしろ、『今年のコミックアワードは、どの作品をグランプリにしよう?』とは考えてると思うよ(笑)。3年後には第5回記念大会を迎える事だしね」
珠美:「記念大会ですか(笑)。私も3年後はどうしているか判りませんけど、その時は是非お手伝いさせて下さいね」
順子:「わたしも3年後には多分大学卒業してますけど、絶対遊びに来ますからね(笑)」
駒木:「……というわけで、これからも社会学講座を宜しく! ……だね」
順子:「なんか、イイ感じの締めになりましたね(笑)。以上、メチャクチャ長くなりましたが、質問大会でした。皆さん、最後までありがとうございました〜♪」
駒木:「今後の予定だけど、とりあえずこの週末から講義を再開します。まずは『マンガ時評』の遅れを取り戻して、それから積み残しの講義を片付けていく事になるのかな。で、次のイベントは12月の『開講2周年記念式典』。今年は『第2回仁経大コミックアワード』が中心になると思う。……まぁ、そんなところだね」
珠美:「私も競馬学の講義を中心に、また皆さんにお目にかかると思いますので、その際はどうかよろしくお願いしますね」
順子:「あ、わたしも頑張ります!」
駒木:「それでは、今日は本当にどうも有難う! では、また講義でお会いしましょう!」
珠美:「ありがとうございました♪」
順子:「それじゃ、また〜♪」

(…本日のイベントはこれをもちまして終了致しました。なお、これで全てのイベントが終了いたしましたが、式典は8月16日深夜まで続きます。どうぞごゆっくりご滞在下さいませ。
 なお、8月17日午後以降も、ページが通常のものにならない場合は、ctrlボタンを押しながら、ブラウザの更新ボタンをクリックして下さい。キャッシュが破棄されてページが更新されます)

 


 

記念トークライブ・昼の部
「社会学講座プレイバックpart2〜現在・過去・未来〜」

珠美:「ご来場の皆様、大変お待たせ致しました。只今から、トークライブ・昼の部を開始します。
 私、この昼の部の司会を務めさせて頂きます、当講座助手の栗藤珠美です。今日は最後までよろしくお願いします(深々と一礼)。
 ……それでは改めまして、トークライブに出演する、当講座のスタッフを紹介します。まずは、当講座専任講師で、このウェブサイトの管理人も兼ねます駒木ハヤトです」

駒木:「皆さんこんにちは。今日のご来場、そしてこの1年8ヶ月間の聴講に心から感謝します! 今日は色々と楽しいイベントにしようと思っていますので、今日は最後まで、是非とも楽しんでいって下さい」
珠美:「──そして、アルバイトスタッフの一色順子です」
順子:「皆さん、こんにちは〜♪ 一生懸命がんばりますので、よろしくお願いしま〜す!」
珠美:「今日は、この後に控えます夜の部も含めまして、この3人で皆様のお相手を務めます。どうぞよろしくお願い申し上げます(一礼)。
 ……では、ここからは少し砕けた感じのトークにさせて頂きましょう。博士、順子ちゃん、よろしくお願いします」

駒木:「はい、よろしく」
順子:「よろしくお願いしま〜す。……ところで博士、このトークライブのタイトルって、かなりJASRACに怒られそうなんですけど(苦笑)」
駒木:「大丈夫。題名は著作権無いし、歌わなきゃ大丈夫だから(笑)。まぁ“♪”マークがつくと、ちょっとヤバいかな。JASRACって、ミッ○ーマウスを取り締まるディズニー並に神出鬼没で野暮な団体だから、そこだけは気をつけよう」
順子:「わかりました(笑)」
珠美:「えーと、よろしいでしょうか?(笑) ……この昼の部では、当講座の専任講師・駒木博士に、昨年12月から現在までの講義内容を当時のエピソードも交えながら振り返っていただきます。開講前後から昨年12月までの回顧をして頂いた『1周年記念式典』でのトークライブの続編…というわけですね」
順子:「まあ、続編というのは得てして失敗に終わるものなんですけど……」
駒木:「やかましい(笑)。確か前の時に『これ1回きり』みたいな話をしたと思うんだけど、その後に改めて考えてみたら、ウチの講座の年表代わりにちょうど良いと思うようになってね。あと、例の『モデム配りレポ』のおかげで、3月半ばから1日あたりの受講生さんの数が2〜3倍になってるわけで、新しい受講生さんに昔の講義を紹介したいという気持ちも出てきたしね」
珠美:「……というわけで、今回も1ヶ月ごとに区切って、当時の様子を振り返っていただきますね」

◆2002年12月◆

珠美:「──では、昨年の12月から振り返っていただきましょう」
駒木:「この月って、1周年記念式典の後は休講ナシで週6ペースのカリキュラムを消化してるんだよね。今から考えると、自分でも信じられない事してると思うけど(笑)」
順子:「最近、講義の準備が進まない時とか、よく言ってますもんね。『3月までの俺って一体、何者だったんだろう?』って(笑)」
駒木:「後でも話すけど、この頃は萎えかけた心身を執念だけで突き動かしてた感じだったね。まぁ12月だから、講師の仕事が冬休みに入って時間が出来た事もあったんだろうけど」
珠美:「この12月は、前月からの続き物や、『現代マンガ時評』関連の講義が目立ちますね」
駒木:「そうだね。言ってみれば年末総括シリーズってところかな。
 まぁ色々あったけど、個人的に気に入ってるのは、

 ◎ギャンブル社会学「toto(サッカーくじ)売上げ低迷、その原因を探る」(全7回/02年11月24日〜12月22日)

 ……これだったりするんだけどね。サッカーくじを中心に据えながら、様々なギャンブルを多角的に分析した講義。パチンコが麻雀以上の“亡国の遊戯”だった…とか、面白い分析結果になってるんで、未読の人は是非レジュメを読んでもらいたいね。
 あと、後々大好評シリーズになる『役に立たない? アルバイト時給案内』も、この月から始まってるのか。まぁこれに関しては、また後で述べよう」
珠美:「そして12月と言えば、5月の『徹底検証! 世界漫画愛読者大賞』7月の「2002年W杯・韓国についての諸問題」に続く“インパクト(=アクセス数の急増)になりました、

 ◎集団心理学特殊講義「悪夢の同時開催 !? 12・29“コミックマーケット”VS“M-1グランプリ”in有明」(全1回/02年12月16日)

 ……が、印象深いと思うのですが……」
駒木:「あぁ、この講義は難しかったねー。開講からずっと、珠美ちゃんと順子ちゃんのトータルコーディネートをお願いしている藤井ちふみさんから依頼されて、急遽予定を変更して徹夜で準備した講義だったんだけど、本当に色々と難しかった記憶があるよ」
珠美:「具体的にはどの辺りが難しいと感じられたのですか?」
駒木:「これは、一言で言えば危機意識を喚起するための講義なんだけど、ヌルい内容にしたら誰も危機意識を感じてくれないし、かと言ってキツく書き過ぎたらパニックになっちゃうしね。
 あと、講義の中で『こうなるかも知れない』って採り上げた最悪のケースが実現しても困るし、それでも現実と乖離し過ぎたらお叱り受けるのも必至だし。言ってみれば“勝ち目まるでナシ”の講義だったよね(苦笑)」
珠美:「それでも、講義から間もなく2ch掲示板を経由して、各同人サークルさんのウェブサイトにリンクを張っていただき、結果的には、この問題に関するガイドライン的なコンテンツという扱いにしていただきました」
駒木:「これまで2ch掲示板と言えば、コミックバンチスレで粘着君に叩かれるくらいしか思い出が無かったんだけど(笑)、この時は随分と破格の扱いをしてもらって、嬉しいやら照れくさいやらね。
 ……まぁ結局はコミケが3日間開催で来場者が分散した上に、『M−1グランプリ』会場に来た人の人数が見込みより少なかった事もあって、混乱なんてまるで起こらなかったんだよねぇ(苦笑)。超ド級の取り越し苦労ってところかな(笑)。後になって『お前ら騒ぎすぎだよ』って批判も受けたけど、それは甘んじて受けないといけないと思っているよ」
順子:「そう言えばこの時は、毎日問い合わせとかのメールがジャンジャン届いたんですよねー」
駒木:「問い合わせっていうか、『あまり危険を煽り過ぎないで下さい!』って苦情のメールがほとんどだったけどね(苦笑)。でも、コミケの事情、つまりコミケの怖さを詳しく知る人ほど好意的な受け止め方をしてくれたんで、間違った事を言ったとは思ってないよ。講義をやった時点では、確かに大事故に繋がる危険性が残ってたわけだからね。まぁでも『お前がやる事じゃねぇ』って言われる余地は残ってるかな(笑)」
珠美:「(苦笑)」
駒木:「……ん、この月はこんなところかな」
順子:「あ、博士、年末の下ネタ・ショートショートについては一言ありませんか?(笑)」
駒木:「ノーコメント……いや、反省してます(笑)」

◆2003年1月◆

珠美:「さて、年が明けて03年1月です」
駒木:「この月も、前半は02年の競馬とかマンガの総括系講義が中心だね。正確に言えば前の月の積み残しってヤツなんだけど(苦笑)」
珠美:「新しいシリーズとしては、競馬のG1シーズンが終わった事に伴う、

 ◎競馬学概論「駒木博士の“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝」(現在10回まで終了/03年1月11日〜)

 ……の開講がありましたね。ビワハヤヒデ、ライブリマウント、フラワーパークといった、実績・実力とも十分過ぎるほどあったはずなのに、現在の評価があまり高くない馬をクローズアップすると言う企画でした」
駒木:「あー、これか。02年の『名勝負プレイバック』に続く、競馬学概論シリーズの第2弾だね。でもこれ、9回目まででそのまま終わっておけばいいものを、無理矢理に最終章・ミホノブルボン編へ突入した挙句、未だに続きが出来てないんだよなぁ(苦笑)。
 他にも尻切れトンボになってるシリーズ物が結構残ってるんだけど、それらも含めて全部、近い内に何とか終わらせなきゃね」
順子:「でも博士、そう言い続けてもう4ヶ月なんですけど……(苦笑)」
駒木:「9月になったら諸々の採用試験が終わるはずなんで、そうしたら大分時間に余裕が出来ると思うんだよ。とりあえず9月には積み残しシリーズの処理を済ませてしまいたいね」
珠美:「……ということですので、もうしばらくお待ち下さいね(苦笑)。
 さて、この月の後半、ここに来て人気が急上昇した講義シリーズが出て来ましたね」

駒木:「さっきも少し紹介した、

 ◎労働経済論「役に立たない? アルバイト時給案内」(全17回/02年12月20日〜03年3月14日)

 ……コレの事だね。人気が出た講義シリーズというのは、大体が初めは題材不足の窮余の策として見切り発車でやり始めて、しばらくする内にテーマにピッタリの題材が見つかって中身が充実して来る……ってパターンなんだよな。この時も、最初は『自分の体験談で何とかお茶を濁そう』としか考えてなかったもの(苦笑)。ところがそれが予想外な好感触だろ? そうなると、どんどん調子に乗って行って、興も乗っていく…みたいなね(笑)」
珠美:「この講義は文字通り、博士がこれまで体験された色々なアルバイトについてのお話でした。その中でも特に反響が大きかったのは、ゲームショップでのお話でしたね」
順子:「ポンカス息子の話には、わたしも爆笑させてもらいました(笑)。今頃、どうしてるんでしょうね〜」
駒木:「店舗の方は、講義の最終回で話した通り選挙事務所になった後、今ではドラッグストアーになってるみたい。いつまで保つか判らんけど(苦笑)。
 それにしても、事実は小説より奇なりってのはポンカスゲーム屋のエピソードみたいな事を言うんだね。あの店でのエピソードは、以前プライベートでやってたウェブサイトの日記でリアルタイムに書いてたんだけど、それをウソにしない範囲で面白おかしくアレンジしたのが、この時の講義ってわけだ。まぁアレンジって言っても、素材が良過ぎるから(笑)、基本的には時系列を入れ替えた他は殆どそのまんまなんだけれども。
 あ、あとは時期的なモノもあったのか、洋菓子店でバレンタインのチョコレートを売るアルバイトの話もいくつかのウェブサイトで紹介してもらえたね。ユメもチボーも無いところが共感を生んだみたいだ(笑)」
珠美:「ちなみに、駒木研究室では“義理チョコ禁止令”が出ています(笑)。ま、2月に色々と考えなくて済む分だけ助かってはいますけど(苦笑)」
順子:「あ、あと、1月の講義と言えば、

 ◎文化人類学「2002年度フードファイター・フリーハンデ」(全2回/03年1月31日〜2月7日)

 ……もありましたね。大食い番組が全部潰れちゃったのに、ちゃんと講義をしちゃうあたり、義理堅いっていうか(笑)」
駒木:「そりゃフードファイト関連講義は、この講座が始まった頃からの研究課題だからね。それに、こういう業界全体が逆風になっている時こそ、支えなくちゃいけないって思いもあったし」
順子:「2回目の総括では、ものすごーく遠回しに“皇帝”岸さんの知られざる悪行をバラしてましたねー。内容は結構キツいはずだったんですけど、反応はサッパリでしたね(笑)」
駒木:「時期が時期だけにねぇ(苦笑)。そりゃ本当は、フードファイトブームの頃に話したかった内容ばかりなんだけどね。でも、その時に喋ったら、大きな揉め事になるのは間違いなかったから仕方ないよ。
 例の『ヒカルの碁』騒動の時もそうだったんだけど、本当の裏事情っていうのは『名前だけは出さないで下さい』って所から入手した情報って相場が決まってるんでね。いくらこっちが信用できる人からの情報だと判断できても、その信用できる人の正体が明かせないんじゃ、説得力が出て来ないんだよなぁ」
珠美:「難しいところですよね」
駒木:「うん。有り難い事に、最近では受講生さんの中に各業界の関係者さんがいたりして、それこそ業界内部の裏話を色々と聞かせて下さったりするわけなんだけど、『これを講義で喋ったら、天地が引っくり返るような騒ぎになるな』…ってネタに限って、『お願いだからオフレコにして。せめて情報源出すのだけは勘弁して』って感じになるんだよね。まぁ当たり前だけど(苦笑)。
 そういう話を興味本位でするわけには行かないけど、それでも『ヒカ碁』の件みたいに、本当の事を喋った方がメリット大きい場面ってあるじゃない? でもそんな、これまでの常識を覆したり、部外者の認識の範疇外にあるような話、情報源も無しに喋ったってウソツキ呼ばわりされるだけなんだよね(苦笑)。
 だから、どこそのウェブサイトみたいに、いかにも本当っぽい“自称・裏情報”をバンバン流してる所ってのは、実は全く信用ならない。本当に裏情報を抱えてるなら、そんなに気軽にネットなんかで流せるはずないって」
順子:「なるほどー……」
駒木:「でも僕は、たまにだけど本当の裏情報を喋っちゃうわけなんだけどね。いや、気軽にじゃなくて慎重にだけど。そうやって、ウソっぽい本当の事を喋って、1人でも本当っぽいガセネタを信じてしまう人が減れば……ってことさ。そうすると、大抵が情報判断力の無いヤツからバカ呼ばわりされるのが悔しくて仕方ないんだけど、まぁそれは仕方ないね(苦笑)」

◆2003年2月◆

珠美:「2月に入りますと、ほとんど新シリーズの開講は無くなって、専ら前月からの続き物と1回限りの講義という構成になっていますね」
駒木:「3月に業務縮小になるのは規定事項だったからね。この月までは『世界史以外の全部のシリーズは、3月までにケリつけよう』って、ちゃんと考えてたんだよ。それが土壇場になって変心しちゃって大変な事になってるわけなんだけどね(苦笑)」
順子:「えーと、こういう時は『博士らしいエピソードですね(笑)』…とか言っておけば良いんでしたっけ、珠美先輩?(笑)」
珠美:「…………(うつむいたまま苦笑)」
駒木:「珠美ちゃんの後輩指導が上手くいってるのは判ったから話を戻そう(笑)。
 ……実は2月だけじゃなくて、1月から3月までは、確かに単発の講義をちょくちょくやってるんだよね。ぶっちゃけ、大抵が講義の直前に題材を掘り出してアドリブに近い形で本番やっちゃってる状態なんだけど、今からレジュメを読み返してみると、我ながらこれが案外面白い(笑)」
珠美:「確かに、そういう時の博士は、とても楽しそうに講義の準備をしてらっしゃる事が多かったような記憶がありますね」
駒木:「シリーズ物の講義って、その時点でのモチベーションに関係なく、いつも平均点以上の出来が望まれるから辛いんだよね。整理しなきゃいけない資料も多くて大変だし。まぁ、その分だけやり遂げた後のカタルシスも大きいんだけど、単発講義の場合は純粋に楽しみながらやれるっていうのがある」
珠美:「ちなみに1月から3月の単発講義と言いますと、

 ◎スポーツ社会学「スポーツ選手・引退の姿あれこれ」(03年1月24日)
 ◎文学と人間心理「福岡で『恋の五行歌展』開催」(03年2月10日)
 
スポーツ社会学「サッカーW杯最下位決定戦・映画化」(03年2月16日)
 
比較文化史概論「23年ぶり『がきデカ』復活に思う」(03年2月19日)
 ◎地誌「楽園亡国記・南海の島国ナウルの破滅」(03年3月9日)
 
政治学概論「統一地方選直前アラカルト」(03年3月16日)

 ……この6つですね」
駒木:「デタラメなカリキュラムなんだから当たり前なんだけど、いざこうして並べてみると、なんか笑っちゃうくらいバラバラなテーマだなぁ(苦笑)。ていうか、こんなどうでもいい題材について一生懸命喋ってたヤツの気が知れないね(笑)」
珠美:「……(苦笑)」
順子:「あ、博士、忘れないで下さいよ! 2月にはわたしの講義が始まってるんですからね!

 ◎ギャンブル社会学特論「麻雀・競技プロの世界」(全5回/03年2月26日〜3月26日)

 ……これです、これ!」
駒木:「んー、これは去年からの約束だったんだよね。この機会を逃したらもうムリってタイミングで始めたんだっけ。狭いターゲットに向けて突貫工事的に始めた割には評判も良かったね」
順子:「あ、でもこの講義、わたしにとっては久しぶりの出番で張り切ったのは良いんですけど、ほとんど相槌打ってるだけで終わっちゃったんですよね(苦笑)」
駒木:「そうだったね。現役の雀荘メンバーっていう部分を上手く引き出せなかった僕のミスだったかも知れない。順子ちゃんには悪い事したかなぁ」
順子:「そう思うなら、またチャンス下さいよー。珠美先輩は競馬学の講義で出番があるから良いですけど……」
珠美:「でも、私も出演機会は大分減ってしまいましたね(苦笑)」
駒木:「こればっかりはねぇ……。講師の仕事してる時は日曜日が必ず休みだったんだけど、今は違うからね。土曜、日曜とモデム配りの仕事が入ってる時なんて、どうしようもなくなるんだよ」
順子:「早く講師の仕事に復帰して下さいよ〜」
駒木:「出来るものなら明日からでもやりたいよ(苦笑)。ただ、こればっかりは欠員が出ない限りどうしようもないからね。しかも、高校社会科の先生は高年齢の男の先生が多いから、産休とか滅多に無いと来てる」
珠美:「あるとすれば病気休職ですか?」
駒木:「そうだね。事実、最初の仕事は心筋梗塞で倒れた先生の代わりだったし」
順子:「藁人形でも用意します?(笑)」
駒木:「そこまでしちゃイカンだろ(笑)。でも、教員の不祥事のニュースを見るたびに、その不祥事起こした教員の都道府県名と校種と教科が気になったり──」
順子:「……え、えーと、博士、それは冗談ですよね?(汗)」

◆2003年3月◆

珠美:「……そして、業務縮小前の締め括りの月、3月です。シリーズ物の講義を随時完結させてゆく一方で、月の後半には4度目の“インパクト”となった、

 ◎社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(全6回/03年3月17日〜31日)「ヤフーBBモデム配りアルバイト現場報告」(現在3回まで終了/03年4月18日〜)

 ……が、“業務縮小前最後のシリーズ”として登場します。やはりこれは、博士にとっても印象深い講義ではないですか?」
駒木:「そうだね。当座の活動資金稼ぎの仕事を探していたら、知り合いからモデム配りアルバイトの情報を聞いて、それなら『アルバイト時給案内』の取材活動も兼ねて実際にやってみよう…っていうのが発端。で、実際に始めてみたら、これがネタの宝庫でねー(笑)」
順子:「(爆笑)」
駒木:「もうこれは特別編として別枠にするしかないと。しかも当時は3月一杯でトンズラするつもりだったから、遠慮無しに喋りまくった」
珠美:「中には『これは機密漏洩じゃないのか?』…というようなご指摘もいただいたりしましたが……?」
駒木:「ん〜、そりゃ勿論、どう考えてもこれは機密事項だろうって情報は講義の中でもNGにしてるよ。講義の中ではいかにもトップシークレットみたいに聞こえる情報は、実は大した情報じゃなかったりする(笑)。まぁ基本的にはあくまで“スタッフ間の噂話”って事で、内部資料をそのまま引き写したりとかはしてないからね。
 ただ、ソフトバンクからの情報って、ほとんどが社外秘扱いになってないんだよね。いや、なってるのかも判らないけど、情報書いたペーパーを大量にコピーしてスタッフ全員に配布してたりするから、その辺の意識って物凄く低い気がする……って、これも社外秘か、ひょっとして?(笑)」
順子:「気をつけて下さいよ〜。博士の巻き添えでわたしたちまで路頭に迷いたくないですからね」
駒木:「まぁ、色々と配慮はしてるから安心してもらって良いよ。それに、この話題もボチボチ旬を過ぎてる気もするから、続編の『現場報告』の方もあと1〜2回で幕を引こうかと思ってるし」
珠美:「なるほど……。でも最後は、やっぱり凄いボリュームの講義になるんですか?」
駒木:「多分ね。機密スレスレの際どいエピソードも一杯あるんで、これをどうしようか迷ってるところなんだけど……。でも、悪いようにはしないよ」
珠美:「ハイ。私も陰ながら期待しておきますね(微笑)
 ……さて、というわけで、当講座は3月末をもって業務縮小ということになりました。その理由としては、博士の健康問題と、より活動の幅を広げるため…というお話でしたが──」

駒木:「早い話が、無茶しすぎて日常生活がグチャグチャになっちゃったんだよ(苦笑)。
 例えば、去年の秋から暮れにかけての標準的なタイムスケジュールはこんな感じ。

04:15〜05:15 就寝
(以下、職場着までの時刻は、日によって−30分〜+3時間)
06:30 起床
07:25 出勤
※通勤はバス、電車等乗り継ぎ。大半の場合、椅子には座れず立ちっぱなし。
08:40 職場着、直ちに仕事開始。
16:30 仕事終了、退勤。
※途中に雑誌・書籍の購入、コーヒーブレイクなど
19:00 帰宅、夕食
20:30〜22:50 仮眠(研究室へ早出の場合アリ)
23:00 駒木研究室に出勤。仕事開始。
※途中に入浴など休憩あり
翌04:00〜05:00 仕事終了
※少々残業の場合も 

珠美:「……私はずっとこの生活ぶりを間近で見てましたけど、改めて振り返ってみると、物凄い生活でしたよね……」
順子:「日によっては仮眠の方が、普通の睡眠時間より長かったりしますもんね(苦笑)」
駒木:「まぁ、こんな生活してるわけだから、昼間はヘマせずに仕事をこなすだけで精一杯。休みの日は睡眠時間を補填したり、カリキュラムの遅れを挽回するだけで終わりだしね。年に何回かは仕事に穴開ける寸前まで体調が悪くなるし、それ以上に駒木研究室以外での社会生活がガッタガタ。時間もそうだけど、講師の給料だけじゃ収入面もカツカツだったから、思うように外出も出来ない。開講から今年春までは、随分とプライベートの友人・知人に不義理して来たと思うよ。本当に申し訳なく思ってる。
 ……まぁつまり、全てを犠牲にしてこの講座にエネルギーを注いで、確かに得た物も大きかったわけだけど、失った物も大きかったってことだね」
珠美:「1日が30時間くらいあれば良かったんですけどね(笑)」
駒木:「いや、60時間くらい欲しい(笑)。そうすりゃ、何とか自分のやりたい事が全部出来るような気がする」
順子:「博士、それはさすがにちょっと欲張りすぎって気がしますけど(笑)」

◆2003年4月〜7月(業務縮小以後)◆

珠美:「そして、4月からは皆さんもご存知の通り、当講座は、『現代マンガ時評』を中心とする、週2〜3回ペースのカリキュラムに業務縮小することになりました。『マンガ時評』以外では、G1レースのある週末に実施する競馬学特論講義や、不定期に実施する『モデム配り現場報告』やフードファイト関連講義などがありますね」
駒木:「他にも頓挫した企画があるけどね(苦笑)」
順子:「4月の頃は、本当に業務縮小したのか判らないくらいにがんばってる時期がありましたよね?」
駒木:「『モデム配りレポ』のお蔭で受講者数がまた一気に増えただろ? そうしたら、またサービス精神がムクムクと首をもたげ始めてさ(苦笑)。
 でも結局、一度緩めた手綱をもう一度引き締めるのはムリだったね。フルタイムワークであるモデム配りの仕事を週4〜5ペースで入れちゃったこともあって、あっという間に心身ともに限界が来てしまったよ」
珠美:「結局、5月からは本当に『マンガ時評』中心のカリキュラムになりましたね」
駒木:「採用試験のシーズンが近づいた事もあったしね。正直言って、ここの講座に費やせるエネルギーがガクンと落ち込んじゃったんだよ」
順子:「でも、本当はまた色々な講義シリーズとか組みたいんじゃありません?(笑)」
駒木:「んー、題材のストックは出来てるよ(笑)。でも、4月の二の舞だけは避けたいから、とりあえずはやらない。劇的に状況が変わらない限りは難しいね」
順子:「劇的に……ですか? 例えば……?」
駒木:「例えば? そうだな、ロト6で一生食えるくらいの金額が当たって、24時間本当に自由に時間が使えるようになったりとか…かな」
順子:「劇的過ぎますって、それは(笑)」
珠美:「……ところで、業務縮小されてからのトピックスと言えば、先ほども話題に出ましたが、やはり、

 ◎メディアリテラシー概論「『ヒカルの碁』終了に関する噂話検証」(全1回/03年5月2日)

 …この講義ではないかと思います。ちょうどこの頃、「週刊少年ジャンプ」連載の人気作品・『ヒカルの碁』が、かなり唐突なタイミングで連載終了になったのですが、この事から連載終了の理由について様々な憶測が飛び、ちょっとした騒動になりました。その件について、博士が検証をしたというわけなんですが……」
駒木:「初めはそんなにご大層な講義じゃなかったんだけどね(苦笑)。その時、ニュースサイト経由で広まりかけていた、『ほったゆみが小畑健に不倫関係を迫ったところから人間関係が決裂し、それがきっかけで『ヒカ碁』が終わった』…という説について、色んな反証を並べて『これ、どうよ?』って言っただけの講義だったんだよ。
 ところが、その直後にマンガ業界内部の人から匿名のタレコミが来たり、“問題外”のはずの韓国陰謀説を信じて疑わない人たちがウチの談話室(BBS)に押しかけてから話がおかしくなっちゃったんだよな(苦笑)」
順子:「でも、どうしてこんなコトになっちゃったんでしょうね?」
駒木:「『ヒカ碁』の終わり方が、あまりに『ジャンプ』的じゃなかったって事だろう。打ち切りじゃないし、円満終了にしては中途半端に見えなくもないし。そこへ絶妙のタイミングで正確な真偽を掴み難いデマがネット界隈に放り込まれちゃったんだろうね。特に韓国に関する話は火に油を注いだように広まるのがネット界隈の特徴だから。
 まぁ、それにこの時は、僕も匿名のオフレコ情報の流し方としては一番やっちゃいけないパターンを踏むミスを犯してるから、自業自得という側面も無きにしも非ずだった。ただ、その割には『他の説よりも説得力がある』みたいな理由で認識してくれる人が多くて、ちょっとホッとしたよ。でも、『駒木ハヤトはサッカーW杯の時に韓国批判をやってる人間で、そいつが韓国陰謀説を否定してるんだから、これは信用に値する』って言い分をされた時は、さすがに苦笑を禁じえなかったけどね(苦笑)」
順子:「熱心な受講生さんでイイ話じゃないですか(笑)」
駒木:「うん、確かにそうだ(笑)。……あ、蛇足ながら、この件についての追加情報をいくつか紹介しておくね。
 1つは、マンガ家のいしかわじゅんさんが朝日新聞主催の手塚治虫文化賞の受賞パーティに行った時、『ジャンプ』の編集者を捕まえて事の真相を問い詰めたらしい。いしかわさんの公式ウェブサイトの巻頭文ログ6月17日分にちょっとだけ採り上げられてるから、チェックしたい人はどうぞ。
 あと、広島のローカル紙『せとうちタイムズ』のウェブサイトに、連載終了直後のほったゆみさんにインタビューした記事が載ってる。作品中で『北斗杯』で韓国を日本に勝たせた理由についても書いてあるから、こちらも興味ある人は是非どうぞ。で、作者本人のコメントを前にして、まだ『これも陰謀だ』とか言うヤツはもう知らん(笑)」

◆そして、これから……◆

珠美:「それでは、最後に今後のビジョンについて、博士にお話していただきましょう」
駒木:「そうだね。さっきも言ったけど、9月になったら少しの間、時間に余裕が出来るので、とりあえずそこで積み残しの講義シリーズを全部終わらせてしまいたい
 で、これはまだ構想の段階だけど、10月になったら、また『マンガ時評』を原則週1にして、その代わりに『学校で教えたい世界史』を復活させようと思ってる。ただし、こちらは不定期になっちゃうかな。あの講義、無茶苦茶しんどいんだよ(苦笑)」
順子:「でもそれじゃ、『そろそろ駒木もマンネリだな』…とか言われたりしません? 最近、ほんのちょっとですけど受講生さんの数も減り気味ですし……」
駒木:「(ニヤッと笑って)…大丈夫。その辺は抜かりないよ。ていうか、順子ちゃん、キミの方が大丈夫かな? また影が薄くなっても知らないぞ?」
順子:「え? え? それ、どういうことですか?」
駒木:「どういうこと? それはこういう事だよ。お〜い、やっと出番だよ、こっちおいで〜!(と、手招きする)」

 ※金髪・白人の少女が、ステージの袖から3人の前へ駆け足で登場。


金髪の少女:「ハーイ♪ みなさんはじめまして! ワタシはリサ=バンベリーと言います! どうかよろしくお願いしま〜す!」
珠美:「!」
順子:「!!!」
駒木:「紹介するね。オーストラリア出身で仁川経済大学付属高校2年生のリサ=バンベリーくんだ。オーストラリアの義務教育期間10年を終えた後すぐ、長期留学という形で来日して来たってわけ。彼女の通ってた学校が何故かウチの学校と業務提携関係にあって、こういう形で引き受ける事になったそうだよ」
珠美:「こ、高校2年生……」
リサ:「ハイ。早生まれでまだ16歳なんですけど」
珠美:「じゅ、16……若……」
駒木:「聞いて驚くな。彼女はファミコン版『ドラクエ2』が発売になった昭和62年生まれだよ、ゲームウォッチ全盛期・昭和55年生まれの栗藤珠美クン(笑)」
珠美:「うー、そんな意地悪な言い方止めて下さい……(半泣)」
順子:「ていうか、日本語ペラペラの方がビックリですよ〜。『早生まれ』って、どうしてそんな単語が(笑)」
駒木:「まぁオーストラリアでは日本語教育がとても盛んだしね。それに、彼女は小さい頃から日本に住む事が夢だったらしくて、物凄く日本語を勉強したらしい。それに来日からもう半年近く経ってるし、日常会話なら全く問題ないぐらいの語学力はもう持ってるよ」
リサ:「ハイ! もう『上がり3ハロン』とか『3連複・軸馬1頭流し』の意味とかも覚えました!」
順子:「それは日常会話じゃないでしょ(笑)。さすがは阪神競馬場のすぐそばにあるバチ当たりな学校、順調に悪い友達が出来てますね(笑)」
珠美:「……えーと、ところで博士、どうして高校生のリサちゃんが駒木研究室に?」
駒木:「彼女はさっきも言った通り、高校2年生なんだけど、どうも世界史が苦手みたいでね。まぁ、日本の歴史教育は日本人向けのモノなんで、仕方ないと言えば仕方ないんだけれども……」 
リサ:「日本の歴史の教科書にオーストラリア史が全然載ってないコトにビックリしました(苦笑)」
駒木:「で、付属高校の世界史の先生が、彼女に僕を紹介したらしい。それだったら講師の職よこせと言いたくなったけどね(苦笑)」
リサ:「今、住んでるトコが、仕事の関係で日本に来てる親戚の家なんですけど、それがココの研究室のすぐ近くなんですよ。だったら、通っちゃおうかなって(笑)」
珠美:「ということは、順子ちゃんみたいにアルバイトスタッフというわけじゃないんですね?」
駒木:「さすがに16の女の子に深夜労働させられないからね(笑)。だからリサちゃんには、秋に再開する『学校で教えたい世界史』に受講生代表として出てもらおうかなって思ってる」
順子:「それじゃ、準レギュラーみたいな感じになるんですか?」
駒木:「そういう事だね。ただ、それだけじゃアレなんで、色々な機会を見つけて他の講義も手伝ってもらおうと思ってるけどね。例えば、馬券は買えないけどG1レースの予想をしてもらうとか」
順子:「あ、ひっど〜い! 競馬の予想はわたしも参加させてもらってないのに!」
駒木:「じゃあ、今年の秋シーズンは駒木、珠美、順子、リサの4人体制で予想をやってみようか。スプリンターズSから有馬記念までの成績で、最下位1名が罰ゲームとかね」
珠美:「えー! そんな、いきなり決められても困ります!(汗)」
順子:「大丈夫ですよ、珠美先輩。多分、最下位は駒木博士が大本命だと思いますから(笑)」
珠美:「あ!(ポンと手を叩く) そうね。そうかも知れないわね(笑)」
駒木:「そこで納得するなよー! ……でも、反論できないのが悔しいなぁ(苦笑)」
リサ:「へー、駒木博士の馬券って、『ヘタの横好き』なんですね」
順子:「(大爆笑)」
珠美:「すごく的確な日本語ですね(笑)」
駒木:「まぁ、ここはスムーズに駒木研究室に馴染めて良かった…ということにしておこう(苦笑)。
 とにかく、一層華やかになった当講座に、これからもご期待下さい…ってところだね。さて、珠美ちゃん、そろそろ時間かな?」
珠美:「ハイ。残念ながら昼の部の終了時刻が迫ってきたようです。
 この後、しばらく休憩時間をいただきまして、深夜よりトークライブ夜の部『無礼講・なんでも質疑応答大会〜今夜は朝までパーティー・トーク〜』をお送りします。そちらの方もご観覧いただけると幸いです」

駒木:「というわけで、また夜の部でも宜しく。あ、夜の部は夜中だから、リサちゃんは参加出来ないけど、これからまた講義の方でよろしくね」
リサ:「ハイ! お願いします! 押忍!」
順子:「リサちゃん、それはちょっと違ったかなー(笑)。……あ、わたしも夜の部でもヨロシクです♪」
珠美:「それでは、昼の部を終了いたします。最後までありがとうございました(深々と一礼)

(トークライブ昼の部はこれをもちまして終了致しました。なお、本日深夜には、この会場にて夜の部『無礼講・なんでも質疑応答大会〜今夜は朝までパーティー・トーク〜』をお送りします。こちらもどうぞ、足をお運び下さいますよう、宜しくお願い申し上げます)