珠美:「ご来場の皆様、大変お待たせ致しました。只今から、トークライブ・昼の部を開始します。
私、この昼の部の司会を務めさせて頂きます、当講座助手の栗藤珠美です。今日は最後までよろしくお願いします(深々と一礼)。
……それでは改めまして、トークライブに出演する、当講座のスタッフを紹介します。まずは、当講座専任講師で、このウェブサイトの管理人も兼ねます駒木ハヤトです」
駒木:「皆さんこんにちは。今日のご来場、そしてこの1年8ヶ月間の聴講に心から感謝します! 今日は色々と楽しいイベントにしようと思っていますので、今日は最後まで、是非とも楽しんでいって下さい」
珠美:「──そして、アルバイトスタッフの一色順子です」
順子:「皆さん、こんにちは〜♪ 一生懸命がんばりますので、よろしくお願いしま〜す!」
珠美:「今日は、この後に控えます夜の部も含めまして、この3人で皆様のお相手を務めます。どうぞよろしくお願い申し上げます(一礼)。
……では、ここからは少し砕けた感じのトークにさせて頂きましょう。博士、順子ちゃん、よろしくお願いします」
駒木:「はい、よろしく」
順子:「よろしくお願いしま〜す。……ところで博士、このトークライブのタイトルって、かなりJASRACに怒られそうなんですけど(苦笑)」
駒木:「大丈夫。題名は著作権無いし、歌わなきゃ大丈夫だから(笑)。まぁ“♪”マークがつくと、ちょっとヤバいかな。JASRACって、ミッ○ーマウスを取り締まるディズニー並に神出鬼没で野暮な団体だから、そこだけは気をつけよう」
順子:「わかりました(笑)」
珠美:「えーと、よろしいでしょうか?(笑) ……この昼の部では、当講座の専任講師・駒木博士に、昨年12月から現在までの講義内容を当時のエピソードも交えながら振り返っていただきます。開講前後から昨年12月までの回顧をして頂いた『1周年記念式典』でのトークライブの続編…というわけですね」
順子:「まあ、続編というのは得てして失敗に終わるものなんですけど……」
駒木:「やかましい(笑)。確か前の時に『これ1回きり』みたいな話をしたと思うんだけど、その後に改めて考えてみたら、ウチの講座の年表代わりにちょうど良いと思うようになってね。あと、例の『モデム配りレポ』のおかげで、3月半ばから1日あたりの受講生さんの数が2〜3倍になってるわけで、新しい受講生さんに昔の講義を紹介したいという気持ちも出てきたしね」
珠美:「……というわけで、今回も1ヶ月ごとに区切って、当時の様子を振り返っていただきますね」
◆2002年12月◆
珠美:「──では、昨年の12月から振り返っていただきましょう」
駒木:「この月って、1周年記念式典の後は休講ナシで週6ペースのカリキュラムを消化してるんだよね。今から考えると、自分でも信じられない事してると思うけど(笑)」
順子:「最近、講義の準備が進まない時とか、よく言ってますもんね。『3月までの俺って一体、何者だったんだろう?』って(笑)」
駒木:「後でも話すけど、この頃は萎えかけた心身を執念だけで突き動かしてた感じだったね。まぁ12月だから、講師の仕事が冬休みに入って時間が出来た事もあったんだろうけど」
珠美:「この12月は、前月からの続き物や、『現代マンガ時評』関連の講義が目立ちますね」
駒木:「そうだね。言ってみれば年末総括シリーズってところかな。
まぁ色々あったけど、個人的に気に入ってるのは、
◎ギャンブル社会学「toto(サッカーくじ)売上げ低迷、その原因を探る」(全7回/02年11月24日〜12月22日)
……これだったりするんだけどね。サッカーくじを中心に据えながら、様々なギャンブルを多角的に分析した講義。パチンコが麻雀以上の“亡国の遊戯”だった…とか、面白い分析結果になってるんで、未読の人は是非レジュメを読んでもらいたいね。
あと、後々大好評シリーズになる『役に立たない? アルバイト時給案内』も、この月から始まってるのか。まぁこれに関しては、また後で述べよう」
珠美:「そして12月と言えば、5月の『徹底検証! 世界漫画愛読者大賞』、7月の「2002年W杯・韓国についての諸問題」に続く“インパクト(=アクセス数の急増)”になりました、
◎集団心理学特殊講義「悪夢の同時開催 !? 12・29“コミックマーケット”VS“M-1グランプリ”in有明」(全1回/02年12月16日)
……が、印象深いと思うのですが……」
駒木:「あぁ、この講義は難しかったねー。開講からずっと、珠美ちゃんと順子ちゃんのトータルコーディネートをお願いしている藤井ちふみさんから依頼されて、急遽予定を変更して徹夜で準備した講義だったんだけど、本当に色々と難しかった記憶があるよ」
珠美:「具体的にはどの辺りが難しいと感じられたのですか?」
駒木:「これは、一言で言えば危機意識を喚起するための講義なんだけど、ヌルい内容にしたら誰も危機意識を感じてくれないし、かと言ってキツく書き過ぎたらパニックになっちゃうしね。
あと、講義の中で『こうなるかも知れない』って採り上げた最悪のケースが実現しても困るし、それでも現実と乖離し過ぎたらお叱り受けるのも必至だし。言ってみれば“勝ち目まるでナシ”の講義だったよね(苦笑)」
珠美:「それでも、講義から間もなく2ch掲示板を経由して、各同人サークルさんのウェブサイトにリンクを張っていただき、結果的には、この問題に関するガイドライン的なコンテンツという扱いにしていただきました」
駒木:「これまで2ch掲示板と言えば、コミックバンチスレで粘着君に叩かれるくらいしか思い出が無かったんだけど(笑)、この時は随分と破格の扱いをしてもらって、嬉しいやら照れくさいやらね。
……まぁ結局はコミケが3日間開催で来場者が分散した上に、『M−1グランプリ』会場に来た人の人数が見込みより少なかった事もあって、混乱なんてまるで起こらなかったんだよねぇ(苦笑)。超ド級の取り越し苦労ってところかな(笑)。後になって『お前ら騒ぎすぎだよ』って批判も受けたけど、それは甘んじて受けないといけないと思っているよ」
順子:「そう言えばこの時は、毎日問い合わせとかのメールがジャンジャン届いたんですよねー」
駒木:「問い合わせっていうか、『あまり危険を煽り過ぎないで下さい!』って苦情のメールがほとんどだったけどね(苦笑)。でも、コミケの事情、つまりコミケの怖さを詳しく知る人ほど好意的な受け止め方をしてくれたんで、間違った事を言ったとは思ってないよ。講義をやった時点では、確かに大事故に繋がる危険性が残ってたわけだからね。まぁでも『お前がやる事じゃねぇ』って言われる余地は残ってるかな(笑)」
珠美:「(苦笑)」
駒木:「……ん、この月はこんなところかな」
順子:「あ、博士、年末の下ネタ・ショートショートについては一言ありませんか?(笑)」
駒木:「ノーコメント……いや、反省してます(笑)」
◆2003年1月◆
珠美:「さて、年が明けて03年1月です」
駒木:「この月も、前半は02年の競馬とかマンガの総括系講義が中心だね。正確に言えば前の月の積み残しってヤツなんだけど(苦笑)」
珠美:「新しいシリーズとしては、競馬のG1シーズンが終わった事に伴う、
◎競馬学概論「駒木博士の“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝」(現在10回まで終了/03年1月11日〜)
……の開講がありましたね。ビワハヤヒデ、ライブリマウント、フラワーパークといった、実績・実力とも十分過ぎるほどあったはずなのに、現在の評価があまり高くない馬をクローズアップすると言う企画でした」
駒木:「あー、これか。02年の『名勝負プレイバック』に続く、競馬学概論シリーズの第2弾だね。でもこれ、9回目まででそのまま終わっておけばいいものを、無理矢理に最終章・ミホノブルボン編へ突入した挙句、未だに続きが出来てないんだよなぁ(苦笑)。
他にも尻切れトンボになってるシリーズ物が結構残ってるんだけど、それらも含めて全部、近い内に何とか終わらせなきゃね」
順子:「でも博士、そう言い続けてもう4ヶ月なんですけど……(苦笑)」
駒木:「9月になったら諸々の採用試験が終わるはずなんで、そうしたら大分時間に余裕が出来ると思うんだよ。とりあえず9月には積み残しシリーズの処理を済ませてしまいたいね」
珠美:「……ということですので、もうしばらくお待ち下さいね(苦笑)。
さて、この月の後半、ここに来て人気が急上昇した講義シリーズが出て来ましたね」
駒木:「さっきも少し紹介した、
◎労働経済論「役に立たない? アルバイト時給案内」(全17回/02年12月20日〜03年3月14日)
……コレの事だね。人気が出た講義シリーズというのは、大体が初めは題材不足の窮余の策として見切り発車でやり始めて、しばらくする内にテーマにピッタリの題材が見つかって中身が充実して来る……ってパターンなんだよな。この時も、最初は『自分の体験談で何とかお茶を濁そう』としか考えてなかったもの(苦笑)。ところがそれが予想外な好感触だろ? そうなると、どんどん調子に乗って行って、興も乗っていく…みたいなね(笑)」
珠美:「この講義は文字通り、博士がこれまで体験された色々なアルバイトについてのお話でした。その中でも特に反響が大きかったのは、ゲームショップでのお話でしたね」
順子:「ポンカス息子の話には、わたしも爆笑させてもらいました(笑)。今頃、どうしてるんでしょうね〜」
駒木:「店舗の方は、講義の最終回で話した通り選挙事務所になった後、今ではドラッグストアーになってるみたい。いつまで保つか判らんけど(苦笑)。
それにしても、事実は小説より奇なりってのはポンカスゲーム屋のエピソードみたいな事を言うんだね。あの店でのエピソードは、以前プライベートでやってたウェブサイトの日記でリアルタイムに書いてたんだけど、それをウソにしない範囲で面白おかしくアレンジしたのが、この時の講義ってわけだ。まぁアレンジって言っても、素材が良過ぎるから(笑)、基本的には時系列を入れ替えた他は殆どそのまんまなんだけれども。
あ、あとは時期的なモノもあったのか、洋菓子店でバレンタインのチョコレートを売るアルバイトの話もいくつかのウェブサイトで紹介してもらえたね。ユメもチボーも無いところが共感を生んだみたいだ(笑)」
珠美:「ちなみに、駒木研究室では“義理チョコ禁止令”が出ています(笑)。ま、2月に色々と考えなくて済む分だけ助かってはいますけど(苦笑)」
順子:「あ、あと、1月の講義と言えば、
◎文化人類学「2002年度フードファイター・フリーハンデ」(全2回/03年1月31日〜2月7日)
……もありましたね。大食い番組が全部潰れちゃったのに、ちゃんと講義をしちゃうあたり、義理堅いっていうか(笑)」
駒木:「そりゃフードファイト関連講義は、この講座が始まった頃からの研究課題だからね。それに、こういう業界全体が逆風になっている時こそ、支えなくちゃいけないって思いもあったし」
順子:「2回目の総括では、ものすごーく遠回しに“皇帝”岸さんの知られざる悪行をバラしてましたねー。内容は結構キツいはずだったんですけど、反応はサッパリでしたね(笑)」
駒木:「時期が時期だけにねぇ(苦笑)。そりゃ本当は、フードファイトブームの頃に話したかった内容ばかりなんだけどね。でも、その時に喋ったら、大きな揉め事になるのは間違いなかったから仕方ないよ。
例の『ヒカルの碁』騒動の時もそうだったんだけど、本当の裏事情っていうのは『名前だけは出さないで下さい』って所から入手した情報って相場が決まってるんでね。いくらこっちが信用できる人からの情報だと判断できても、その信用できる人の正体が明かせないんじゃ、説得力が出て来ないんだよなぁ」
珠美:「難しいところですよね」
駒木:「うん。有り難い事に、最近では受講生さんの中に各業界の関係者さんがいたりして、それこそ業界内部の裏話を色々と聞かせて下さったりするわけなんだけど、『これを講義で喋ったら、天地が引っくり返るような騒ぎになるな』…ってネタに限って、『お願いだからオフレコにして。せめて情報源出すのだけは勘弁して』って感じになるんだよね。まぁ当たり前だけど(苦笑)。
そういう話を興味本位でするわけには行かないけど、それでも『ヒカ碁』の件みたいに、本当の事を喋った方がメリット大きい場面ってあるじゃない? でもそんな、これまでの常識を覆したり、部外者の認識の範疇外にあるような話、情報源も無しに喋ったってウソツキ呼ばわりされるだけなんだよね(苦笑)。
だから、どこそのウェブサイトみたいに、いかにも本当っぽい“自称・裏情報”をバンバン流してる所ってのは、実は全く信用ならない。本当に裏情報を抱えてるなら、そんなに気軽にネットなんかで流せるはずないって」
順子:「なるほどー……」
駒木:「でも僕は、たまにだけど本当の裏情報を喋っちゃうわけなんだけどね。いや、気軽にじゃなくて慎重にだけど。そうやって、ウソっぽい本当の事を喋って、1人でも本当っぽいガセネタを信じてしまう人が減れば……ってことさ。そうすると、大抵が情報判断力の無いヤツからバカ呼ばわりされるのが悔しくて仕方ないんだけど、まぁそれは仕方ないね(苦笑)」
◆2003年2月◆
珠美:「2月に入りますと、ほとんど新シリーズの開講は無くなって、専ら前月からの続き物と1回限りの講義という構成になっていますね」
駒木:「3月に業務縮小になるのは規定事項だったからね。この月までは『世界史以外の全部のシリーズは、3月までにケリつけよう』って、ちゃんと考えてたんだよ。それが土壇場になって変心しちゃって大変な事になってるわけなんだけどね(苦笑)」
順子:「えーと、こういう時は『博士らしいエピソードですね(笑)』…とか言っておけば良いんでしたっけ、珠美先輩?(笑)」
珠美:「…………(うつむいたまま苦笑)」
駒木:「珠美ちゃんの後輩指導が上手くいってるのは判ったから話を戻そう(笑)。
……実は2月だけじゃなくて、1月から3月までは、確かに単発の講義をちょくちょくやってるんだよね。ぶっちゃけ、大抵が講義の直前に題材を掘り出してアドリブに近い形で本番やっちゃってる状態なんだけど、今からレジュメを読み返してみると、我ながらこれが案外面白い(笑)」
珠美:「確かに、そういう時の博士は、とても楽しそうに講義の準備をしてらっしゃる事が多かったような記憶がありますね」
駒木:「シリーズ物の講義って、その時点でのモチベーションに関係なく、いつも平均点以上の出来が望まれるから辛いんだよね。整理しなきゃいけない資料も多くて大変だし。まぁ、その分だけやり遂げた後のカタルシスも大きいんだけど、単発講義の場合は純粋に楽しみながらやれるっていうのがある」
珠美:「ちなみに1月から3月の単発講義と言いますと、
◎スポーツ社会学「スポーツ選手・引退の姿あれこれ」(03年1月24日)
◎文学と人間心理「福岡で『恋の五行歌展』開催」(03年2月10日)
◎スポーツ社会学「サッカーW杯最下位決定戦・映画化」(03年2月16日)
◎比較文化史概論「23年ぶり『がきデカ』復活に思う」(03年2月19日)
◎地誌「楽園亡国記・南海の島国ナウルの破滅」(03年3月9日)
◎政治学概論「統一地方選直前アラカルト」(03年3月16日)
……この6つですね」
駒木:「デタラメなカリキュラムなんだから当たり前なんだけど、いざこうして並べてみると、なんか笑っちゃうくらいバラバラなテーマだなぁ(苦笑)。ていうか、こんなどうでもいい題材について一生懸命喋ってたヤツの気が知れないね(笑)」
珠美:「……(苦笑)」
順子:「あ、博士、忘れないで下さいよ! 2月にはわたしの講義が始まってるんですからね! ◎ギャンブル社会学特論「麻雀・競技プロの世界」(全5回/03年2月26日〜3月26日)
……これです、これ!」
駒木:「んー、これは去年からの約束だったんだよね。この機会を逃したらもうムリってタイミングで始めたんだっけ。狭いターゲットに向けて突貫工事的に始めた割には評判も良かったね」
順子:「あ、でもこの講義、わたしにとっては久しぶりの出番で張り切ったのは良いんですけど、ほとんど相槌打ってるだけで終わっちゃったんですよね(苦笑)」
駒木:「そうだったね。現役の雀荘メンバーっていう部分を上手く引き出せなかった僕のミスだったかも知れない。順子ちゃんには悪い事したかなぁ」
順子:「そう思うなら、またチャンス下さいよー。珠美先輩は競馬学の講義で出番があるから良いですけど……」
珠美:「でも、私も出演機会は大分減ってしまいましたね(苦笑)」
駒木:「こればっかりはねぇ……。講師の仕事してる時は日曜日が必ず休みだったんだけど、今は違うからね。土曜、日曜とモデム配りの仕事が入ってる時なんて、どうしようもなくなるんだよ」
順子:「早く講師の仕事に復帰して下さいよ〜」
駒木:「出来るものなら明日からでもやりたいよ(苦笑)。ただ、こればっかりは欠員が出ない限りどうしようもないからね。しかも、高校社会科の先生は高年齢の男の先生が多いから、産休とか滅多に無いと来てる」
珠美:「あるとすれば病気休職ですか?」
駒木:「そうだね。事実、最初の仕事は心筋梗塞で倒れた先生の代わりだったし」
順子:「藁人形でも用意します?(笑)」
駒木:「そこまでしちゃイカンだろ(笑)。でも、教員の不祥事のニュースを見るたびに、その不祥事起こした教員の都道府県名と校種と教科が気になったり──」
順子:「……え、えーと、博士、それは冗談ですよね?(汗)」 ◆2003年3月◆
珠美:「……そして、業務縮小前の締め括りの月、3月です。シリーズ物の講義を随時完結させてゆく一方で、月の後半には4度目の“インパクト”となった、 ◎社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト潜入レポ」(全6回/03年3月17日〜31日)&「ヤフーBBモデム配りアルバイト現場報告」(現在3回まで終了/03年4月18日〜) ……が、“業務縮小前最後のシリーズ”として登場します。やはりこれは、博士にとっても印象深い講義ではないですか?」
駒木:「そうだね。当座の活動資金稼ぎの仕事を探していたら、知り合いからモデム配りアルバイトの情報を聞いて、それなら『アルバイト時給案内』の取材活動も兼ねて実際にやってみよう…っていうのが発端。で、実際に始めてみたら、これがネタの宝庫でねー(笑)」
順子:「(爆笑)」
駒木:「もうこれは特別編として別枠にするしかないと。しかも当時は3月一杯でトンズラするつもりだったから、遠慮無しに喋りまくった」
珠美:「中には『これは機密漏洩じゃないのか?』…というようなご指摘もいただいたりしましたが……?」
駒木:「ん〜、そりゃ勿論、どう考えてもこれは機密事項だろうって情報は講義の中でもNGにしてるよ。講義の中ではいかにもトップシークレットみたいに聞こえる情報は、実は大した情報じゃなかったりする(笑)。まぁ基本的にはあくまで“スタッフ間の噂話”って事で、内部資料をそのまま引き写したりとかはしてないからね。
ただ、ソフトバンクからの情報って、ほとんどが社外秘扱いになってないんだよね。いや、なってるのかも判らないけど、情報書いたペーパーを大量にコピーしてスタッフ全員に配布してたりするから、その辺の意識って物凄く低い気がする……って、これも社外秘か、ひょっとして?(笑)」
順子:「気をつけて下さいよ〜。博士の巻き添えでわたしたちまで路頭に迷いたくないですからね」
駒木:「まぁ、色々と配慮はしてるから安心してもらって良いよ。それに、この話題もボチボチ旬を過ぎてる気もするから、続編の『現場報告』の方もあと1〜2回で幕を引こうかと思ってるし」
珠美:「なるほど……。でも最後は、やっぱり凄いボリュームの講義になるんですか?」
駒木:「多分ね。機密スレスレの際どいエピソードも一杯あるんで、これをどうしようか迷ってるところなんだけど……。でも、悪いようにはしないよ」
珠美:「ハイ。私も陰ながら期待しておきますね(微笑)
……さて、というわけで、当講座は3月末をもって業務縮小ということになりました。その理由としては、博士の健康問題と、より活動の幅を広げるため…というお話でしたが──」
駒木:「早い話が、無茶しすぎて日常生活がグチャグチャになっちゃったんだよ(苦笑)。
例えば、去年の秋から暮れにかけての標準的なタイムスケジュールはこんな感じ。
04:15〜05:15 就寝
(以下、職場着までの時刻は、日によって−30分〜+3時間)
06:30 起床
07:25 出勤
※通勤はバス、電車等乗り継ぎ。大半の場合、椅子には座れず立ちっぱなし。
08:40 職場着、直ちに仕事開始。
16:30 仕事終了、退勤。
※途中に雑誌・書籍の購入、コーヒーブレイクなど
19:00 帰宅、夕食
20:30〜22:50 仮眠(研究室へ早出の場合アリ)
23:00 駒木研究室に出勤。仕事開始。
※途中に入浴など休憩あり
翌04:00〜05:00 仕事終了
※少々残業の場合も |
珠美:「……私はずっとこの生活ぶりを間近で見てましたけど、改めて振り返ってみると、物凄い生活でしたよね……」
順子:「日によっては仮眠の方が、普通の睡眠時間より長かったりしますもんね(苦笑)」
駒木:「まぁ、こんな生活してるわけだから、昼間はヘマせずに仕事をこなすだけで精一杯。休みの日は睡眠時間を補填したり、カリキュラムの遅れを挽回するだけで終わりだしね。年に何回かは仕事に穴開ける寸前まで体調が悪くなるし、それ以上に駒木研究室以外での社会生活がガッタガタ。時間もそうだけど、講師の給料だけじゃ収入面もカツカツだったから、思うように外出も出来ない。開講から今年春までは、随分とプライベートの友人・知人に不義理して来たと思うよ。本当に申し訳なく思ってる。
……まぁつまり、全てを犠牲にしてこの講座にエネルギーを注いで、確かに得た物も大きかったわけだけど、失った物も大きかったってことだね」
珠美:「1日が30時間くらいあれば良かったんですけどね(笑)」
駒木:「いや、60時間くらい欲しい(笑)。そうすりゃ、何とか自分のやりたい事が全部出来るような気がする」
順子:「博士、それはさすがにちょっと欲張りすぎって気がしますけど(笑)」
◆2003年4月〜7月(業務縮小以後)◆ 珠美:「そして、4月からは皆さんもご存知の通り、当講座は、『現代マンガ時評』を中心とする、週2〜3回ペースのカリキュラムに業務縮小することになりました。『マンガ時評』以外では、G1レースのある週末に実施する競馬学特論講義や、不定期に実施する『モデム配り現場報告』やフードファイト関連講義などがありますね」
駒木:「他にも頓挫した企画があるけどね(苦笑)」
順子:「4月の頃は、本当に業務縮小したのか判らないくらいにがんばってる時期がありましたよね?」
駒木:「『モデム配りレポ』のお蔭で受講者数がまた一気に増えただろ? そうしたら、またサービス精神がムクムクと首をもたげ始めてさ(苦笑)。
でも結局、一度緩めた手綱をもう一度引き締めるのはムリだったね。フルタイムワークであるモデム配りの仕事を週4〜5ペースで入れちゃったこともあって、あっという間に心身ともに限界が来てしまったよ」
珠美:「結局、5月からは本当に『マンガ時評』中心のカリキュラムになりましたね」
駒木:「採用試験のシーズンが近づいた事もあったしね。正直言って、ここの講座に費やせるエネルギーがガクンと落ち込んじゃったんだよ」
順子:「でも、本当はまた色々な講義シリーズとか組みたいんじゃありません?(笑)」
駒木:「んー、題材のストックは出来てるよ(笑)。でも、4月の二の舞だけは避けたいから、とりあえずはやらない。劇的に状況が変わらない限りは難しいね」
順子:「劇的に……ですか? 例えば……?」
駒木:「例えば? そうだな、ロト6で一生食えるくらいの金額が当たって、24時間本当に自由に時間が使えるようになったりとか…かな」
順子:「劇的過ぎますって、それは(笑)」
珠美:「……ところで、業務縮小されてからのトピックスと言えば、先ほども話題に出ましたが、やはり、 ◎メディアリテラシー概論「『ヒカルの碁』終了に関する噂話検証」(全1回/03年5月2日)
…この講義ではないかと思います。ちょうどこの頃、「週刊少年ジャンプ」連載の人気作品・『ヒカルの碁』が、かなり唐突なタイミングで連載終了になったのですが、この事から連載終了の理由について様々な憶測が飛び、ちょっとした騒動になりました。その件について、博士が検証をしたというわけなんですが……」
駒木:「初めはそんなにご大層な講義じゃなかったんだけどね(苦笑)。その時、ニュースサイト経由で広まりかけていた、『ほったゆみが小畑健に不倫関係を迫ったところから人間関係が決裂し、それがきっかけで『ヒカ碁』が終わった』…という説について、色んな反証を並べて『これ、どうよ?』って言っただけの講義だったんだよ。
ところが、その直後にマンガ業界内部の人から匿名のタレコミが来たり、“問題外”のはずの韓国陰謀説を信じて疑わない人たちがウチの談話室(BBS)に押しかけてから話がおかしくなっちゃったんだよな(苦笑)」
順子:「でも、どうしてこんなコトになっちゃったんでしょうね?」
駒木:「『ヒカ碁』の終わり方が、あまりに『ジャンプ』的じゃなかったって事だろう。打ち切りじゃないし、円満終了にしては中途半端に見えなくもないし。そこへ絶妙のタイミングで正確な真偽を掴み難いデマがネット界隈に放り込まれちゃったんだろうね。特に韓国に関する話は火に油を注いだように広まるのがネット界隈の特徴だから。
まぁ、それにこの時は、僕も匿名のオフレコ情報の流し方としては一番やっちゃいけないパターンを踏むミスを犯してるから、自業自得という側面も無きにしも非ずだった。ただ、その割には『他の説よりも説得力がある』みたいな理由で認識してくれる人が多くて、ちょっとホッとしたよ。でも、『駒木ハヤトはサッカーW杯の時に韓国批判をやってる人間で、そいつが韓国陰謀説を否定してるんだから、これは信用に値する』って言い分をされた時は、さすがに苦笑を禁じえなかったけどね(苦笑)」
順子:「熱心な受講生さんでイイ話じゃないですか(笑)」
駒木:「うん、確かにそうだ(笑)。……あ、蛇足ながら、この件についての追加情報をいくつか紹介しておくね。
1つは、マンガ家のいしかわじゅんさんが朝日新聞主催の手塚治虫文化賞の受賞パーティに行った時、『ジャンプ』の編集者を捕まえて事の真相を問い詰めたらしい。いしかわさんの公式ウェブサイトの巻頭文ログ6月17日分にちょっとだけ採り上げられてるから、チェックしたい人はどうぞ。
あと、広島のローカル紙『せとうちタイムズ』のウェブサイトに、連載終了直後のほったゆみさんにインタビューした記事が載ってる。作品中で『北斗杯』で韓国を日本に勝たせた理由についても書いてあるから、こちらも興味ある人は是非どうぞ。で、作者本人のコメントを前にして、まだ『これも陰謀だ』とか言うヤツはもう知らん(笑)」
◆そして、これから……◆
珠美:「それでは、最後に今後のビジョンについて、博士にお話していただきましょう」
駒木:「そうだね。さっきも言ったけど、9月になったら少しの間、時間に余裕が出来るので、とりあえずそこで積み残しの講義シリーズを全部終わらせてしまいたい。
で、これはまだ構想の段階だけど、10月になったら、また『マンガ時評』を原則週1にして、その代わりに『学校で教えたい世界史』を復活させようと思ってる。ただし、こちらは不定期になっちゃうかな。あの講義、無茶苦茶しんどいんだよ(苦笑)」
順子:「でもそれじゃ、『そろそろ駒木もマンネリだな』…とか言われたりしません? 最近、ほんのちょっとですけど受講生さんの数も減り気味ですし……」
駒木:「(ニヤッと笑って)…大丈夫。その辺は抜かりないよ。ていうか、順子ちゃん、キミの方が大丈夫かな? また影が薄くなっても知らないぞ?」
順子:「え? え? それ、どういうことですか?」
駒木:「どういうこと? それはこういう事だよ。お〜い、やっと出番だよ、こっちおいで〜!(と、手招きする)」
※金髪・白人の少女が、ステージの袖から3人の前へ駆け足で登場。
金髪の少女:「ハーイ♪ みなさんはじめまして! ワタシはリサ=バンベリーと言います! どうかよろしくお願いしま〜す!」
珠美:「!」
順子:「!!!」
駒木:「紹介するね。オーストラリア出身で仁川経済大学付属高校2年生のリサ=バンベリーくんだ。オーストラリアの義務教育期間10年を終えた後すぐ、長期留学という形で来日して来たってわけ。彼女の通ってた学校が何故かウチの学校と業務提携関係にあって、こういう形で引き受ける事になったそうだよ」
珠美:「こ、高校2年生……」
リサ:「ハイ。早生まれでまだ16歳なんですけど」
珠美:「じゅ、16……若……」
駒木:「聞いて驚くな。彼女はファミコン版『ドラクエ2』が発売になった昭和62年生まれだよ、ゲームウォッチ全盛期・昭和55年生まれの栗藤珠美クン(笑)」
珠美:「うー、そんな意地悪な言い方止めて下さい……(半泣)」
順子:「ていうか、日本語ペラペラの方がビックリですよ〜。『早生まれ』って、どうしてそんな単語が(笑)」
駒木:「まぁオーストラリアでは日本語教育がとても盛んだしね。それに、彼女は小さい頃から日本に住む事が夢だったらしくて、物凄く日本語を勉強したらしい。それに来日からもう半年近く経ってるし、日常会話なら全く問題ないぐらいの語学力はもう持ってるよ」
リサ:「ハイ! もう『上がり3ハロン』とか『3連複・軸馬1頭流し』の意味とかも覚えました!」
順子:「それは日常会話じゃないでしょ(笑)。さすがは阪神競馬場のすぐそばにあるバチ当たりな学校、順調に悪い友達が出来てますね(笑)」
珠美:「……えーと、ところで博士、どうして高校生のリサちゃんが駒木研究室に?」
駒木:「彼女はさっきも言った通り、高校2年生なんだけど、どうも世界史が苦手みたいでね。まぁ、日本の歴史教育は日本人向けのモノなんで、仕方ないと言えば仕方ないんだけれども……」
リサ:「日本の歴史の教科書にオーストラリア史が全然載ってないコトにビックリしました(苦笑)」
駒木:「で、付属高校の世界史の先生が、彼女に僕を紹介したらしい。それだったら講師の職よこせと言いたくなったけどね(苦笑)」
リサ:「今、住んでるトコが、仕事の関係で日本に来てる親戚の家なんですけど、それがココの研究室のすぐ近くなんですよ。だったら、通っちゃおうかなって(笑)」
珠美:「ということは、順子ちゃんみたいにアルバイトスタッフというわけじゃないんですね?」
駒木:「さすがに16の女の子に深夜労働させられないからね(笑)。だからリサちゃんには、秋に再開する『学校で教えたい世界史』に受講生代表として出てもらおうかなって思ってる」
順子:「それじゃ、準レギュラーみたいな感じになるんですか?」
駒木:「そういう事だね。ただ、それだけじゃアレなんで、色々な機会を見つけて他の講義も手伝ってもらおうと思ってるけどね。例えば、馬券は買えないけどG1レースの予想をしてもらうとか」
順子:「あ、ひっど〜い! 競馬の予想はわたしも参加させてもらってないのに!」
駒木:「じゃあ、今年の秋シーズンは駒木、珠美、順子、リサの4人体制で予想をやってみようか。スプリンターズSから有馬記念までの成績で、最下位1名が罰ゲームとかね」
珠美:「えー! そんな、いきなり決められても困ります!(汗)」
順子:「大丈夫ですよ、珠美先輩。多分、最下位は駒木博士が大本命だと思いますから(笑)」
珠美:「あ!(ポンと手を叩く) そうね。そうかも知れないわね(笑)」
駒木:「そこで納得するなよー! ……でも、反論できないのが悔しいなぁ(苦笑)」
リサ:「へー、駒木博士の馬券って、『ヘタの横好き』なんですね」
順子:「(大爆笑)」
珠美:「すごく的確な日本語ですね(笑)」
駒木:「まぁ、ここはスムーズに駒木研究室に馴染めて良かった…ということにしておこう(苦笑)。
とにかく、一層華やかになった当講座に、これからもご期待下さい…ってところだね。さて、珠美ちゃん、そろそろ時間かな?」
珠美:「ハイ。残念ながら昼の部の終了時刻が迫ってきたようです。
この後、しばらく休憩時間をいただきまして、深夜よりトークライブ夜の部『無礼講・なんでも質疑応答大会〜今夜は朝までパーティー・トーク〜』をお送りします。そちらの方もご観覧いただけると幸いです」
駒木:「というわけで、また夜の部でも宜しく。あ、夜の部は夜中だから、リサちゃんは参加出来ないけど、これからまた講義の方でよろしくね」
リサ:「ハイ! お願いします! 押忍!」
順子:「リサちゃん、それはちょっと違ったかなー(笑)。……あ、わたしも夜の部でもヨロシクです♪」
珠美:「それでは、昼の部を終了いたします。最後までありがとうございました(深々と一礼)
(トークライブ昼の部はこれをもちまして終了致しました。なお、本日深夜には、この会場にて夜の部『無礼講・なんでも質疑応答大会〜今夜は朝までパーティー・トーク〜』をお送りします。こちらもどうぞ、足をお運び下さいますよう、宜しくお願い申し上げます) |