「社会学講座」アーカイブ

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講義一覧

12/23(第48回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(12月第4週分)
12/20(第47回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(12月第3週分)
12/13(第46回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(12月第2週分)
12/5(第45回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(11月第5週/12月第1週分)

 

2005年度第48回講義
12月23日(金・祝) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評」(12月第4週分)

 タモリが「徹子の部屋」で密室芸を披露するのを観て、年の瀬を感じた今年最後の3連休の夜、いかがお過ごしでしょうか。駒木は「うわぁ、もう年の瀬か、ゼミ以外の講義が全然出来てないぞ」と今更ながら自分に呆れ返っている所です。本当に申し訳ない。
 申し訳ないついでにお知らせをしますと、27日夜から31日午前まで、また研究室を留守にする関係上、ひょっとすると今日の講義が年内最後の講義になる可能性があります。今のところは、大晦日の格闘技中継が終わった後ぐらいにゼミか中断している旅行記(今年の春旅行!)の続きでも書こうかと思っているのですが……

 まぁとりあえず今日は今週分のゼミという事になります。対象となるテキストは「ジャンプ」3号、「サンデー」3・4合併号です。もう年内最後の合併号の出るシーズンではありますが、作家・編集者の皆さんは年明け発売分の原稿で昨日・今日まで地獄の年末進行だったんでしょうね。この場合、師走じゃなくて「編集走」とか「印刷機走」とか書けば良いんでしょうか(笑)。


 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報

 ★新連載&読み切りに関する情報 

 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年4・5合併号)に読み切り『氷姫奇譚』(作画:河下水希)が掲載されます。
 『いちご100%』の河下水希さんが、早くも復帰作の発表です。マンガ業界では、連載終了後の長期休みに入る前、余韻が残っている内に「1本読み切り描いて」と依頼される…というケースがままあるそうですが、果たして真相はどんなもんでしょうね。
 内容は、どうやらこれまでのラブコメ色を抑えたミステリ系のお話のようですね。新境地開拓となるのか、見物と言えるでしょう。

少年サンデーまんがカレッジ
(05年9・10月期)

 入選=1編(週刊本誌or増刊に掲載決定)
 
 ・『THROW OFF』
   佐久間力(27歳・東京)
 《編集部講評:高い画力と痛快なキャラクターが魅力。》
 佳作=4編
  ・『瑠璃越しの風景』
   草野朔郎(20歳・東京) 
  ・『200X年の魔王伝』
   沖縄二郎(25歳・神奈川)
  ・『フォシルリダクション』
   松浦準(22歳・東京)
  ・『カゴキュー LET'S PLAY BASKETBALL WITH TAKERO』
   みやかたりょうすけ(27歳・山口)
 努力賞=3編
  ・『電光石火 〜鬼気伝説〜』
   住吉崚(15歳・奈良)
  ・『SKY BLUE』
   小林大樹(18歳・宮崎)
  ・『ウェイブガップ』
   ヨシタカ(20歳・千葉)
 あと一歩で賞(選外)=3編
  ・『魔法の使えない魔法使い』
   湯本早紀(17歳・群馬)
  ・『M・大出のカッコイイ軌跡』
   里見慶(26歳・東京)
  ・『Myth』
   荒井翔(15歳・石川)

 受賞者の皆さんのキャリアは以下の通りです。
 ◎あと一歩で賞の住吉
さん…05年4月期「十二傑新人漫画賞」で最終候補

 本来、10代の応募が最も多いはずの8月期が不作だったにも関わらず(というか、夏休み中に完成出来なかった力作が先送りされた?)9・10月期は大豊作となった模様です。中には「ジャンプ」に投稿した返す刀で「サンデー」にも投稿する中学生の“新人予備軍”さんまで。
 必ずしも早熟が成功に繋がらない業界ですが、こういう頑張ってる人というのは応援したくなりますね。ただ、才能を存分に発揮するなら、今は「サンデー」より「ジャンプ」の方が向いてると思いますけどね。「サンデー」は某K氏みたいな、作家と作品を私物化するような編集者が結構いるらしいですし。 

 ※今週のレビュー&チェックポイント
 ●今週のレビュー対象作…4本
 「ジャンプ」:読み切り1本&代原読み切り1本
 「サンデー」
:短期集中連載第1回1本&新連載第3回1本

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。

☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年3号☆ 

 ◎読み切り『World 4u_』作画:江尻立真

 作者略歴
 生年非公開で6月18日生まれ。後述のように98年に大学在学中には本格的な作家活動をしていた事から考えると、現在20代後半ではないか。
 金沢大学の漫研出身、しかもマンガだけでなくアニメ制作にも関わったという本格派。在学中の98年末、「赤マル」99年冬(新年)号に『CHILDS』を発表してデビュー。「赤マル」には99年夏号にも読み切りを掲載。
 その後4年のブランクを経て、週刊本誌03年25号に『World 4u_』シリーズの第1作を発表。その後、04年5・6合併号に第2作、05年秋発売の「ジャンプ the REVOLUTION」に第3作を発表した。今回は通算4作目のシリーズ読み切り発表となる。
 なお、尾田栄一郎さんのスタジオでアシスタントを務めている(いた?)。

 についての所見
 10月3週分ゼミの中でも述べたように、繊細かつ高度に洗練された絵柄ですね。特にディフォルメを効かせた軽いタッチの作画の好感度は非常に高く、この才能は大いに買いたいです。
 ただ、今回はグロテスクな表現にも意欲的に挑戦した場面があったのですが、これはちょっと失敗だったのではないでしょうか。他の絵柄から浮き過ぎですし、そこまで過剰な演出をする必然性は無かったのではないかな…と思いました。実験は出来る時にしておく、という考えは理解出来るのですけどね。
 
 ストーリー・設定についての所見
 有名な都市伝説や怪談をモチーフにしたショートストーリー2本立ての構成でした。単に“よくある話”に留めるのではなく、そこからもう一歩先に踏み込んで行こう…という製作意図だったのではないでしょうか。
 ただ、そういう作者からの意気込みは伝わったのですが、完成度は正直言って物足りなかったです。話の展開に脈絡が無い部分や不自然な箇所が目立ち、“それらしい”結末を見せられても腑に落ちませんでした

 まず1本目では、“虫入りドロップ”の設定を現実世界と夢の世界でゴチャ混ぜにしてしまったため、ホラーで大事な現実感が薄れてしまった…という失敗が1つ。そして、取って付けたように老婆の幽霊話まで絡めてしまったため、ストーリーが終盤になって支離滅裂になるという2つ目の失敗がありました。
 そして2本目は、主人公が機転を利かせて雪女とその赤ん坊の呪いを遣り過ごしたシーンと、その後のラストシーン(雪女と結ばれて、赤ん坊を子として育てているというオチ)の脈絡が全くありません。そのため、本来なら良い事を言っているはずの主人公の“禁煙・親バカ宣言”も説得力が皆無になってしまいました。これでは、「ああ、こういう事か」と読み手を納得して終わらせるはずの話が、「あれ、どうしてこういう事になるんだ?」という疑問を抱かせて終わってしまいます

 発想は良かったと思うのですが、その発想の活かし方を間違えると酷い事になる、という典型例だったのではないでしょうか。

 今回の評価
 普通、これぐらい絵の上手い作品なら低くてもB評価ぐらいは出したいのですが、さすがにここまでストーリーが崩壊してしまうと、厳しい点を付けざるを得ません。今回はB寄りB−としておきます。

 ◎読み切り『爆裂非常勤講師ビッグバン』作画:大江慎一郎

 ●作者略歴
 1981年10月11日生まれの現在24歳
 02年4月期「天下一」で最終候補に残り“新人予備軍”入りし、2年8ヶ月の空白期間を経て「赤マル」05年冬(新年)号にて『メガネのベクトル』でデビュー
 その後、今作で05年下期「赤塚賞」に応募、佳作を受賞し、「ジャンプ」では非常に珍しい“正規デビュー後の新人賞初入賞”を果たした。
 今回は『Mr.FULLSWING』突発休載(目次に休載告知すら載せられない、ギリギリのタイミングでの“原稿落ち”)による、代原枠での受賞作掲載。

 についての所見
 やや線が弱々しく、迫力に欠ける嫌いはありますが、以前より全体的に絵柄が洗練されて、見た目にもスッキリとして来ました。背景処理、特殊効果といった部分にも違和感は感じられず、人物造型の描き分けも出来ています。
 現時点でも、ギャグ作品の絵としてなら、週刊本誌でも十分勝負になるでしょう。あとは一瞬で読み手にインパクトを与えられる絵が描けるようになれば、なお良いですね。

 ギャグについての所見
 セリフの掛け合いのテンポや、話の流れの持って行き方などは、ギャグ作品のセオリー通りといったところ。なるほど、曲がりなりにも「赤塚賞」の入賞作品なりのクオリティではあります。
 しかし、全般的にツッコミのセリフやモノローグが笑いに繋がるヒネりに欠けており、また、ボケを際立たせる構図やコマ割りといった演出にも、まだまだ改善の余地が多く残されているように思えました。ネタの密度も今一つで、人前に出すにはまだまだ推敲する必要がある作品なのではないでしょうか。

 今回の評価
 評価はB−としておきます。現時点では、連載どころか2作目の正規枠掲載に関しても先行きの厳しさを感じます。とにかく1つ1つのネタを大事にし、もっともっと練りこんだ作品を見せてもらいたいですね。

◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 

 今週の「チェックポイント」は『タカヤ』の連載20回キリ番レビューです。

 ◎『タカヤ -閃武学園激闘伝-』作画:坂本裕次郎
 旧評価:B−
新評価:B

 開き直りもいいとこな“『バキ』路線”への大幅な方向転換からおよそ10話経過したわけですが、当初に比べるとバトルシーンの中身や演出への気遣いといった面で大幅な進歩が窺えるようになりました。少なくとも“格闘バトル物”としては及第点の範疇に入って来たのではないかなと思います。
 ただ、脚本や演出面でのハッタリの利かせ方といった面では甘い部分も多く見られますし、バトルの勝敗の行方が容易に予想でき、しかも律儀にその方向へ進んでしまっているのも物足りません。まだまだ偉大なる先人の後塵をモロに浴びている段階で足止めを食っている…といったところでしょうか。

☆「週刊少年サンデー」2006年新年2号☆

 ◎短期集中新連載『グランドライナー』作画:吉田正紀

 ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容です)
 1977年6月10日生まれの現在28歳
 97年前期「小学館新人コミック大賞」で入賞し“新人予備軍”入り。01年に月刊増刊でデビューを果たし、以後通算7本の読み切りを発表。(現在確認出来る範囲では、「サンデー」月刊増刊02年4月号、03年5月号、10月号及び週刊本誌04年43号掲載の『断罪の炎人』)
 今回は昨秋以来の復帰作で、短期ながら初の週刊連載となる。

 についての所見
 洗練された線と確かな技術に支えられた、好感度の高い垢抜けた絵柄ですね。背景処理・特殊効果なども問題なく、他の連載陣に混じっても全く遜色の無い水準にあると言えるでしょう。
 前作はややぎこちない印象を抱かせる箇所もあった……と当時のレビューに書いてあるのですが(笑)、今回は殆どそういう所もありませんでした。ただ、敢えてダメ出しをするならば、顔を構成するパーツ(特に目)のバリエーションが少ない事、老若美醜のうち“老”と“醜”の表現がややぎこちないかな…という印象は持ちました。これは現時点では画風と割り切ってしまうしか仕方無いのでしょうが。

 ストーリー&設定についての所見
 
まずはやはり設定でしょう。世界観、登場人物のキャラ・背景の練り込みが半端でないですね。作中世界の成り立ちや歴史、更には主要キャラクターの殆ど全員に表・裏両面の設定が組み込まれており、これがストーリーにも深みを持たせる効果が出ています。
 これもストーリーの最初から最後までが既に決まっている短期集中連載だからこそ、という考え方も出来なくはないですが、それにしてもこの緻密さは大いに買いたいです。
 シナリオも第1回にして早くもプロローグ的なエピソードを終え、ストーリーの本題に入った所で“引き”。このシナリオの密度もなかなかのものです。

 ただ、練りに練った設定群を惜しみなく使おうと考え過ぎたのか、シナリオの展開や登場人物のセリフがキッチリし過ぎている感もありました。作中で起こる出来事やセリフの殆どに、「ここは設定の解説です」「これは後の出来事の伏線となるセリフです」という作者からの意図があからさまに見えてしまったかなぁと。
 つまりは、シナリオと直接関係無い“遊び”の部分が少ないという事なんです。この“遊び”の部分は、ストーリーの中で登場人物の個性を醸し出すのに重要な要素で、これが無いと登場人物の人間味が乏しくなってしまうんですよね。
 現時点では、まだ大きなキズには繋がっていないですが、このまま回を重ねていくと、読み手が感情移入しきれないまま主人公が暴走する事になりそうで、ちょっと怖いですね。

 今回の評価
 評価は“保留”としたいところですが、短期集中連載ゆえにそうもいかず、A−寄りB+という玉虫色の暫定評価でご容赦願いたいな、と。現時点ではまだ「本格的な佳作・良作」と「期待外れの尻すぼみ失敗作」のどちらにベクトルが向かってもおかしくないと考えています。
 短期集中連載作品ですので、次回レビューは最終回掲載時にて行います。 

 ◎新連載第3回『聖結晶アルバトロス』作画:若木民喜

 についての所見(第1回掲載時からの推移)
 今回などは、顔・バストアップのコマと、描き込みが少なくて済むディフォルメ表現をちょっと使い過ぎかも…とは思いました。ですが、絵だけに注目するような意地悪な読み方をしなければ、全く問題の無い高水準をキープ出来ているのではないでしょうか。
 描き貯め分が無くなった後に若干の心配は残っていますが、とりあえずは“良い意味での平行線”と言って良さそうです。

 ストーリー&設定についての所見(第1回掲載時からの推移)

 さすがは「サンデー」作品といったところでしょうか。まだ漸くメインシナリオが動き始めたばかりで、評価変更のきっかけになるような判断材料は殆どありませんでした。とりあえずは今回(第3回)の終盤から動き始めたエピソードの行く末を見届けない限り、ジャッジを下すのは難しそうです。
 ただ、細かい所で少し気になったのが第1回と第2回、第2回と第3回の間に、それぞれ作中時間で一晩のタイムラグを作ってしまった事。これによって話の連続性が途切れ、いちいち各話の前半で、似通った内容の“日常から非日常への転換ルーチン”を繰り返さざるを得なくなりました。そのため、メインシナリオ自体は普通に進行しているのに、何かダラダラと毎回同じような話を繰り返しているような印象が残ってしまうのです。
 日常パートと非日常パートの両方を意識するのは大事ですが、意識し過ぎてどっちつかずになると逆効果ですからね。配慮が行き過ぎないようにしてもらいたいです。

 今回の評価
 評価はとりあえずA−で据え置きです……が、第1回時点よりややネガティブな印象が強くなっています。とりあえずもうしばらく様子を見ますが……。

◆「サンデー」今週のチェックポイント◆

 今週のチェックポイントは、『ブリザードアクセル』の連載40回キリ番簡易レビューをお送りします。

 ◎『ブリザードアクセル』作画:鈴木央
 旧評価:A寄りA−新評価:A−

 あまりにもベタであざといウケ狙い(=敵役の中途半端な演技→主人公サイドの見事な演技→敵役の顔面変形リアクション)が延々と繰り返された事に嫌気して評価を0.5下方修正しました(苦笑)。
 多分、バカップルペアの顔面変形の読者ウケが良かったんでしょうが、だからといって同じパターンを延々と繰り返すのは、作品のクオリティ的には如何なものかな…と思うわけですよ。せめてもう少し演出に趣向を凝らして欲しいです。
 

 ……というわけで、コミケ前最後の講義をお送りしました。また「観察レポート」の方でも最終的な告知をしますが、今回も駒木は開会から1時間程度は自分の買い物を済ませるために奔走してますので、駒木の面を眺めたい奇特な方は午後になってからお越し下さい。
 毎回何故だか駒木を訪ねて下さる方が、駒木が席を外している時間帯に集中してしまいます。ちゃんと直接ご挨拶したいので、是非とも先に別の買い物を済ませてからゆっくりお越し下さい。大丈夫です本は売れ残っても売り切れませんから(笑)。

 


 

2005年度第47回講義
12月20日(火) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評」(12月第3週分)

 この冬1回目の旅行から帰って来ました。今回の旅行はボクシングと落語を満喫する、非コミケ版マニアックツアーだったわけですが、結果としてこちらの講義が開店休業状態になってしまい申し訳有りません。旅行記も春の前半でストップしてますが、いずれ書きますので何卒。

 では、取り急ぎ12月2週分のゼミをお送りします。今回は「ジャンプ」「サンデー」の06年新年2号についての講義ですので、お間違えの無いように宜しく。


 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報

 ★新連載&読み切りに関する情報 

 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年3号)より、第1部完により連載を中断していたボボボーボ・ボーボボ』作画:澤井啓夫が第2部連載開始、また、「作者体調不良」により長期休載中だった『D.Gray-man』作画:星野桂が連載再開となります。
 理由は全く異なりますが、連載が中断していた2作品が次号より復活となります。
 本来、第2部再開となった作品はレビューを行うのですが、まぁ『ボーボボ』に関しては必要ないかな…と思っています。そもそもレビューする意義の見出し難いほどハジケた作品ですしね(笑)。

 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年3号)に読み切り『World 4u_』(作画:江尻立真)が掲載されます。
 この作品は、週刊本誌03年25号、04年5・6合併号、そして05年秋の「ジャンプ the REVOLUTION」に掲載されているシリーズ作品で、いわゆる怪談や都市伝説の類のショートホラーを連作したもの。20代後半以上の人には「ドラマ『世にも奇妙な物語』みたいなマンガ」と言えば分かり易いでしょうか。
 原作となる怪談・都市伝説を読者から公募する企画も進んでいるようですし、読者との双方向的な関わりを求める試みとして、今後もこういう形での読み切り掲載が続くかも知れません。

 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(新年3号)より『グランドライナー』(作画:吉田正紀)が新連載となります。
 吉田さんは、新年1号から連載中の若木民喜さんと同じく、長年「サンデー」で断続的に読み切りを発表していた“ベテラン若手”作家さん。吉田さんご本人曰く、マンガ家を志して上京丸8年以上ということですから、投稿時代も含めると相当なキャリアでしょう。
 最近では数度にわたる月刊増刊(当時)での読み切り発表の他、週刊本誌04年43号にて『断罪の炎人』を発表していますね。この作品は三上前編集長時代、毎週のように掲載された読み切りの中では比較的佳作の部類に入る作品だったはずですから、連載未経験組の抜擢としては妥当な人選と言えるのではないでしょうか。

 ★新人賞の結果に関する情報

第31回ジャンプ十二傑新人漫画賞(05年10月期)

 入選=該当作無し
 準入選=該当作無し
 佳作=該当作無し
 十二傑賞=1編
(週刊本誌or増刊に掲載決定)
 
 ・『ロレンツォのバイオリン』
   木下聡志(22歳・奈良)
 《久保帯人氏講評:絵が上手いので読み易い。ただ、双子の主人公と姉の描き分けが甘くて、それぞれのシーンの良さを殺してしまったのが残念》
 《編集部講評:バランスの良い絵を描けているので好感が持てる。しかし各キャラの個性が薄い。もっと登場人物に寄ったエピソードを交えてキャラにインパクトを持たせる工夫を》
 最終候補(選外佳作)=6編

  ・『れっつしんがぁそんぐ〜Let's sing a song〜』
   千田浩之(20歳・神奈川)※久保帯人特別賞
  ・『ぱわふるハート』
   宇野智哉(20歳・東京)
  ・『ちゅー一杯』
   内野正宏(28歳・神奈川)
  ・『天から降りてきた少年』
   上野義幸(18歳・鹿児島)
  ・『MEDAL・BOY〜メダルボーイ〜』
   外園哲平(19歳・鹿児島)
  ・『アーバン・レジェンド』
   丹治亜起(21歳・宮城)
  ・『新世紀忍者外伝服部さん』
   ベネ(27歳・埼玉)

 受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい)

 ◎十二傑賞の木下聡志さん…「月刊少年ジャンプ」系月例新人賞「新人マンガRedグランプリ」06年1月期で“シルバー(銀賞)”入賞。
 ◎最終候補の内野正宏さん…03年7月期「十二傑」、02年12月期&01年5月期「天下一」でそれぞれ最終候補
 ◎最終候補の
外園哲平さん05年5月期「十二傑」に投稿歴あり。
 ◎最終候補の丹治亜起さん04年2月期「十二傑」に投稿歴あり。

 ※今週のレビュー&チェックポイント
 ●今週のレビュー対象作…3本
 「ジャンプ」:読み切り1本
 「サンデー」
:新連載1本&代原読み切り1本

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。

☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年2号☆ 

 ◎読み切り『FALLEN』作画:樹崎聖

 作者略歴(参考:「樹崎聖ファンサイトTACHYON」
 65年2月1日生まれの40歳。
 80年代半ば頃より「ジャンプ」、「マガジン」系のメジャー系少年誌の新人賞に幅広く投稿活動を行い、最終候補以上の入賞が約10回にも及ぶ。87年、当時の「週刊少年ジャンプ」系月例新人賞「ホップ☆ステップ賞」で入選を果たし、同年週刊本誌32号にてデビュー。更には48号に読み切りを発表した後、52号から『HARD LUCK』で初の連載獲得を果たすが1クール打ち切りとなる(〜88年12号まで、全11回)。
 その後、季刊増刊88年夏号での読み切り掲載を経て、週刊本誌89年41号より『とびっきり!!』で2度目の連載を獲得。しかしこの度も“武運”に恵まれず、連続での打ち切りを喫する(〜90年23号まで、全32回)。以後は活動の場を季刊増刊へと移し、91年冬、92年夏、93年冬、夏、秋、94年春、95年夏の各号で読み切り・シリーズ連載作品を発表。94年36・37号には人物伝の企画モノながら週刊本誌への一時復帰も果たした。
 95年末からは『スーパージャンプ』誌へ移籍『交通事故鑑定人環倫一郎』原作:梶研吾)は5年以上に及ぶ長期連載(96年2号〜01年19号)となり、これが現時点における代表作となっている。連載終了後は系列誌の『Ohスーパージャンプ』誌での隔月連載を中心に、モトクロス専門誌での作品発表など、活動の幅を広げてゆく。
 05年春からは「週刊少年ジャンプ」復帰を期して青年・一般誌での活動を休止。半年以上に及ぶ水面下での活動を経て、今回実に1
1年4ヶ月ぶりの週刊本誌復帰を果たした。

 についての所見
 
巧拙だけでは括れない個性的な画風なので評価が難しい作家さんではあります。好んでフリーハンドの不安定な線を多用し、また、集中線を使った動的表現を敢えて避けている節もあります。ただ、そうするとどうしても見栄えが野暮ったくなってしまうんですよね。
 なので、その試みがマンガの記号として効果をあげているかというと微妙ではないかと。好意的な読み方をする読者でもなければ、この絵柄の見慣れなさは「古臭い」または「マンガのセオリーから外れている→上手くない」という印象に繋げて解釈されてしまうのではないでしょうか。
 あとは人物作画でも、表情が硬かったり、顔のパーツの大きさが歪んでいたりと、微妙な違和感を感じさせてしまう要素が見受けられました。こういった所も、先述の「上手くない」という印象を補強してしまうのが泣き所ですね。 

 ストーリー&設定についての所見
 少年誌、少なくとも「ジャンプ」では非常に珍しいモトクロスのダウンヒル競技を題材にした作品。ただ、この題材の新鮮さが、世界観設定の甘さとストーリー展開の強引さで帳消しになっているのが残念です。
 必要以上に多国籍感抜群で現実感のまるでない人物造型や学園風景、「ダウンヒル競技で体を張っているアスリート=だから喧嘩が強い」という飛躍した理論は強引極まりありません。また、喧嘩で負けた屈辱感をダウンヒルをやる直接の動機付けにするための描写も、話のキモになる部分としては甘かった感が否めませんでした。
 また、必要以上に説明口調な脚本の拙さ、肝心の競技シーンが尻切れトンボに見えてしまう構成上の問題が山積。随所で仕上げの甘い所が頻出し、クオリティを押し下げてしまっています。

 何と言いますか、「やりたい事は分かる」作品ではあるものの、作者からの「やりたい事を分かって下さい」という要求ばかりが表に出ている作品といったところでしょうか。絵の所見でも先述しましたが、読み手の好意的解釈に期待し過ぎていて、独り善がりに陥っている嫌いがありますね。

 今回の評価
 評価はB寄りB−とします。個人的には、この作家さんが連載で打ち切りを食った理由を再確認させられる、ちょっと悲しい作品でした。でも、樹崎作品を好意的に見られるファンの人にとっては、全く違う評価になるでしょうね。

◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆

 今週のチェックポイントは、先週分でお届け出来なかった分まで一気にお送りします。『ムヒョ』の連載50回、『ネウロ』の連載40回『みえるひと』の連載20回『大泥棒ポルタ』連載10回のキリ番簡易レビューとなります。一気にどうぞ。

 ◎『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』作画:西義之
 旧評価:A−寄りA新評価:A−寄りA(据置)

 今回も評価据え置きとしました。
 この10回では、タイトルにもなっている連載当初の「相談事務所」という設定から完全に脱却。事実上の第2部開始と言うべき新展開になりました。
 その上においても、既出脇役キャラの効果的な活用や、魔法律を使ったバトルシーンの充実など、絶えず新味を出し続けようという姿勢が大変に好感が持てます。今後も安定したクオリティが期待出来る作品です。

 ◎『魔人探偵脳噛ネウロ』作画:松井優征
 旧評価:A−新評価:A−(据置)

 この直近10回は、「推理モノの皮を被った娯楽作品」から、本格的なサスペンスへと一歩踏み込んだ10回だったのではないでしょうか。今回のエピソードは、ストーリーの練られ具合も連載開始以来1、2を争うほどになっていますし、当ゼミのAクラス評価を維持するに十分のクオリティでした。こちらも今後期待が持てる作品ですね。

 ◎『みえるひと』作画:岩代俊明
 旧評価:B新評価:B(据置)

 どうも近況を見ると、『未確認少年ゲドー』を思わせる低空飛行ながら、際どく打ち切り回避かな…という見通しも出て来ました。それと交代してヤバくなったのが『太臓』というのが、昨年の『ゲドー』VS『スピン』打ち切りバトルを思い出させて、個人的には暗澹たる気分にさせられるのですが(苦笑)。

 ストーリーの方は、ここしばらくの“打ち切り間際・設定大放出キャンペーン”的な展開のお陰で、ようやく作品の骨組とキャラクターの確立が達成されつつあるようです。言わば、“遅れ馳せのプロローグ終了”といった感じで、やっとストーリーを盛り上げるお膳立てが整ったというところでしょうか。
 まだ実績が出来ていないので評価は据え置きですが、もしまだしばらく連載が続くなら、次の評価見直しでは良い評価を付けられると思います。

 ◎『大泥棒ポルタ』作画:北嶋一喜
 旧評価:B−新評価:B−(据置)

 評価は据え置き。掘り下げの甘いストーリー、登場人物の必然性の無い行動、小細工という名のトリック謎解きなど、作品のスケールを小さくするばかりの10回だったように思えてなりません。
 読者を繋ぎ止めておくためのキャッチーな要素も少ないですし、今後も連載の存続も含めて前途多難でしょう。 

☆「週刊少年サンデー」2006年新年2号☆

 ◎新連載『地底少年チャッピー』作画:水口尚樹

 作者略歴
 
生年非公開の6月20日生まれ。
 アマチュアや別媒体での活動を経て、週刊本誌02年15号にて『4649!どヤンキーラーメン』でいきなりのデビュー
 同年7月からは月刊増刊で連載を開始(『進学教室!! フェニックス学園』/02年8月号〜03年10月号)03年には月刊連載と平行して週刊本誌で短期集中連載もこなす(『黒松・ザ・ノーベレスト』/03年20号〜25号)
 04年には『思春期刑事ミノル小林』で初の週刊連載を獲得。しかし商業的には伸び悩んだまま1年半で連載は終了(2004年13号〜2005年31号)。今回は、連載終了後の復帰即の週刊連載となる。

 についての所見
 
長期連載経験の賜物でしょう、以前に比べると線が安定し、色々なタイプの人物造型やディフォルメもこなせるようになってますね。更に(アシスタントさんの仕事でしょうが)背景処理や特殊効果なども全くソツが無くなって来た印象があります。
 ギャグ作品の絵として必要な画力・テクニックは十分にクリアしていると思うのですが、欲を言えば、もう少しシリアスな顔の時に目鼻立ちのバランスを取れるようになってくれれば…と。それで随分と見た目の「上手い・上手くない」の印象がガラリと変わって来ると思うのですけれどもね。

 ギャグについての所見
 以前からギャグの密度やバリエーション、そのギャグを見せる演出のテクニックは申し分無い作家さんだけに、安心して読んではいられるのですが……。ただ、今作は現時点ではキャラクター設定が明らかに失敗しているように思えてなりません。そして、その設定を大事にする余り、ギャグ作品で一番大切な「読者を笑わせる事」が疎かになっているのではないかと。
 例えば、「下らないダジャレやオヤジギャグを連発する」というキャラの主人公・チャッピーと、「下らないギャグにバカ受けしてしまうお人よし」キャラの居候先の父・母の掛け合い。このシーンは確かに登場人物のキャラ立てには必要なのですが、「読者が笑えるかどうか」という大事な部分が無視されているシーンでもあるわけです。
 作中人物のツッコミ役のミヤコが呆れるギャグで読者が笑えるはずも無く、そうなると喚起されるのはストレスばかり。そこで気の利いたセリフで何か笑いを引っ張って来れれば良いのですが、それも無しとなると厳しいです。

 また、今回はシーンとシーンの間の繋がりが余りにも脈絡が無く、読んでいて混乱しかねない勢いでした。ギャグ作品とは言えもうちょっと話の筋立てを整えて欲しかったですね。

 今回の評価
 評価はギリギリでBとしておきます。実力的にはAクラスの力がある作家さんだと思っているのですが、今回も下手をすると失敗作街道まっしぐらという事になるかも知れません。

 ◎読み切り『メタモル・フォックス』作画:緒方雄一

 ●作者略歴
 生年月日は不詳だが、新人賞入賞時の年齢から計算すると、現在20〜21歳
 04年12月・05年1月期「まんがカレッジ」で努力賞に入賞して“新人予備軍”入り。隔月増刊05年5月号にてデビュー。
 今回は『ガッシュ』休載に伴う代原ながら初の週刊本誌登場。

 についての所見
 ゴチャついた構図や、デッサンの崩れた人物像系など、必ずしも上手いとは言えない絵ではあります。ただ、ディフォルメにグロテスクな“毒”が極めて小さいため、見た目の印象としてはかなり得をしているのではないでしょうか。
 特殊効果や動的表現も問題なくこなせていますし、ギャグ作品としては及第点の範疇にあると思います。この水準に留まらず、更なるスキルアップに向けて頑張ってもらいたいですね。

 ギャグについての所見
 冒頭から、ギャグの密度・テンポ、そして濃密でセンスの窺えるセリフ回しなど、評価できるポイントもいくつか見つかりました。ただ、「敢えてヒロインをドン引きさせる」というのをメインにした構成が、明らかに笑いに繋がらないモノで、これが非常に残念です。
 これで読み手が感情移入させる対象を変えられれば、まだ笑い所も多く作れたのでしょうが、この作品では、読み手はドン引きして怒り狂うヒロイン役の女の子に感情移入してしまうはずで、それではいくら主人公たちが愉快な事をやっても笑うに笑えない、という話です。
 もっとも、先に述べたようにテクニック的には水準に達していますので、ツボにハマった人を爆笑させる可能性も無くは無いでしょうね。
 
 現時点での評価
 
評価はB寄りB−。最近の「サンデー」ギャグ系若手作家さんに多いのですが、「こうすれば読者は笑うはずだ」という自分なりの“勝ちパターン”を全く見つけられていないのが丸分かりで、読んでて少々辛いんですよね。……まぁそういう段階の新人をピックアップして、しかも修行させるでもなく即デビューさせてしまう編集部にも罪があるんでしょうけど。

◆「サンデー」今週のチェックポイント◆

 今週のチェックポイントは前号の積み残し。『絶対可憐チルドレン』の20回レビューと、『クロザクロ』の最終回総括です。

『絶対可憐チルドレン』作画:椎名高志
 旧評価:新評価:(据置)

 相変わらずの高クオリティ、A評価据置です。
 幹となる大きなストーリーを微速前進させつつ、練りに練られた小エピソードを積み重ねてゆき、更には的確かつ適量のゲストキャラを登場させて読者を飽きさせない…という、まさに職人芸と言うべきテクニック。これが安定したクオリティで毎週展開されているのですから、贅沢な話です。
 現状は巧過ぎて、幅広い読者層からの人気獲得に繋がり切っていないような感じですが、コアな読者に下支えされながら、このクオリティを保っていってもらいたいものです。

『クロザクロ』作画:夏目義徳
 旧評価:B最終確定評価:B 

 正直、やっと終わってくれたか……という感じでした。連載後半になってからは、ストーリーの方向性がまるで定まらず、新キャラが出て来てはフェードアウトし、生き残った登場人物も、何人かが似たようなセリフを喋るのでキャラの描き分けもままならず……という迷走ぶり。
 連載前からネット上で交流させて頂き、思い入れのある作家さんだっただけに、本当に読んでいて辛い作品でした。連載初期のテンションを上手く操れば、良い作品になったはずなのに残念です。
 次回作こそ、この失敗を成功の母にして頑張ってもらいたいと思います。

 

 ……というわけで、最後は湿っぽくなってしまいましたが、今日はここまで。今週はもう1回ゼミを実施して、何とかカリキュラムを調整したいと思ってます。では。

 


 

2005年度第46回講義
12月13日(火) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評」(12月第2週分)

 お待たせしました。週を跨いでしまいましたが、12月2週分のゼミをお送りします。「ジャンプ」「サンデー」共に06年新年1号についての講義となりますのでご注意下さい。

 先週は年末のコミケット69で頒布する同人誌「『現代マンガ時評』05年度下半期総集編」の編集作業に掛かりきりになっていました。しかし、1年前から徐々に計画を進めていた去年とは違い、今年はインターバルが短い上に書き下ろし原稿が飛躍的に増えてしまったため、実に難儀な作業に……。
 月曜に印刷所必着が締切ということで、土曜の昼から日曜の朝にかけては完全な修羅場状態。途中食事休憩等を挟みながら20時間ぶっ続けでキーボードを叩いておりました。最後の方は神経が昂ぶっていて眠くないのに体は疲れ果てて言う事を聞かないという不思議な体調になっていて、ちょっと異世界へ出掛けそうになりましたね(苦笑)。

 まぁともあれ、本は出来上がる事になりました。
 内容は、いつも通り佳作・良作を中心にレビューを抜粋・掲載して、それに書き下ろしの「追記」を付け足したものがメイン。ただ、今回はそれだけだとボリュームが少ないので、20ページ分ぐらい「特別企画」を付けました。
 その「特別企画」とは、毎年、「コミックアワード」の初日にお送りしている、「『ジャンプ』『サンデー』年間総括」の“先行ディレクターズ・カット版”。わざわざ有明までご足労頂いた方だけのために、一足早くご覧頂きます。
 勿論、こちら(インターネット通信課程)でも年明けの「コミックアワード」で公開しますが、その時は多少内容を穏やかなモノに修正したりしますので、一応は“同人誌版限定”という事になるかと思います。お金を頂く以上はそれなりの付加価値を…という、ささやかな気持ちですので、コミケ参加不可能な方もどうかご理解下さい。

 新刊の頒価は前回までと同様500円です。
 なお、今回は昨年の冬コミで即日完売となった「04年度総集編」を、再販の要望もありましたので100部ほど増刷しました。刷った時点で赤字確定ですので、資金回収にご協力下さい(笑)。また、今年の夏コミで売れ残った「05年度上半期総集編」も50〜60部ほど持って行きます。バックナンバーを揃えておきたいという方は、是非ともこの機会にどうぞ。

 前置きが長くなりましたが、それではゼミを始めます。カリキュラムがこういう事態になっていますので、「チェックポイント」の次週分先送り等、ご辛抱頂く点もあります。どうか悪しからずご了承下さい。


 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報

 ★新連載&読み切りに関する情報 

 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年2号)に読み切り『FALLEN』(作画:樹崎聖)が掲載されます。
 一部では随分前から話題になっていましたが、94年36・37合併号の企画・実録物読み切り『風と踊れ(バロン西物語)』以来、実に11年半ぶりの「週刊少年ジャンプ」復帰となる、樹崎聖さんの新作読み切りが登場です。一度「ジャンプ」を離れ、系列の青年・一般誌へ転出した作家さんが復帰するのは異例中の異例ですね。相撲で言えば元・幕内の引退力士が他のプロスポーツを経て幕下付出で再デビューするような話ですが……。
 今回の作品は、樹崎さんがここ数年傾倒しているという、モトクロスを題材にした異色作。この「ジャンプ」復帰のために他の仕事を軒並みキャンセルしたという樹崎さんですが、果たして結果を出す事は出来るのでしょうか?

 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(新年2号)より『地底少年チャッピー』(作画:水口尚樹)が新連載となります。
 前作『思春期刑事ミノル小林』をやや不本意な形で終えてから7ヶ月、水口尚樹さんが早くも連載に復帰ということになりました。いかに現在の「サンデー」ギャグ作家陣の層が薄いか、という証明にもなってしまうのですが、ともあれ、水口さんは2度目の週刊連載獲得となりますね。

 ★新人賞の結果に関する情報

 今週は「ジャンプ」で「手塚賞」「赤塚賞」の審査結果発表がありました。

第70回手塚賞&第63回赤塚賞(05年下期)

 ☆手塚賞☆
 入選=該当作なし
 準入選=1編
  ・『タイタンズ・ヴォイス』
   イチノセコウタ(25歳・新潟)
 佳作=3編
 
 ・『自殺裁判』
   浜田智史(24歳・東京)
  ・『JUICE -ジュース-』
   棚橋正知(23歳・愛知)
  ・『ギャンブルドット』
   高山憲弼(24歳・大阪)
 最終候補=3編
  ・『イマジン』
   内野雅之(23歳・石川)
  ・『FIRST・WEST』
   久保崎太一(20歳・宮崎)
  ・『LAWRENCE』
   柿本泰人(17歳・石川)

 ☆赤塚賞☆
 入選=該当作なし
 準入選=該当作なし
 佳作=1編

  ・『爆裂非常勤講師ビックバン』
   大江慎一郎(23歳・愛知)
 最終候補=6編
  ・『幻想髪いでさん』
   相原成年(23歳・東京)
  ・『麗!! 柔道五人娘。』
   近藤信輔(21歳・埼玉)
  ・『鬼教師ヒドウ〜プリティくまくまん編〜』
   浅野裕喜子(23歳・京都)
  ・『かさじぞうドキュメンタリー』
   トーマス・ダルトリ(19歳・宮崎)
   コーク・A・ダルシム(18歳・宮崎)
  ・『彼女のオカン』
   畑部千晶(23歳・奈良)
  ・『映像サークルの南君と北君。』
   濱口裕司(20歳・石川)

 受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい)

 ※手塚賞
 ◎準入選のイチノセコウタさん…05年7月期「十二傑新人漫画賞」で最終候補。
 ◎佳作の棚橋正知さん…05年3月期「月刊少年ジャンプ」月例賞・「新人マンガRedグランプリ」漫画部門・審査員特別賞、97年6月期「天下一漫画賞」で最終候補
(当時14歳)
 ◎佳作の高山憲弼さん…05年上期「手塚賞」で最終候補、03年2月期「天下一」で編集部特別賞、04年11月期&04年8月期&03年8月期「十二傑」で最終候補。

 ※赤塚賞
 ◎佳作の
大江慎一郎
さん「赤マルジャンプ」05年冬(新年)号で正規デビュー済。新人賞では、00年12月期&02年4月期「天下一」で最終候補。
 ◎最終候補の相原成年さん…05年4月期「十二傑」で最終候補。その応募作が週刊本誌05年47号に代原として掲載され暫定デビュー。
 ◎最終候補の畑部千晶さん…04年上期「ストーリーキング」マンガ部門で最終候補。
 ◎最終候補の濱口裕司さん…05年1月期「十二傑」に投稿歴あり

 上期は入選受賞作が出て話題となった「手塚賞」、今回は準入選1編・佳作3編という平均的な“収穫”となりました。ただ、上位の受賞者は過去にも新人賞へ応募歴のある20代前半〜半ばの“新人予備軍”が中心で、新人発掘という意味では微妙な結果かも知れません。
 一方、最近とみに凋落著しい「赤塚賞」は、今回「ここまで落ちぶれたか」と溜息を尽くしかない惨憺たる結果に。正規デビュー済みの若手作家さんまで引っ張り出して漸く佳作1編では、賞の意義も権威も形無しです。

 この両賞の発表があるたび毎回言ってるような気がしますが、権威・伝統が少しでも残っているうちに、そのピリオドを打つ勇気も必要なのではないかと思います。個人的には、“集英社漫画賞”的な賞レースに切り替えるのもアリなんじゃないかと思ってるんですけどね。

 ★その他、公式アナウンス情報  

 ◎「週刊少年サンデー」連載中の金色のガッシュ!!』作画:雷句誠が、「右手負傷」のため今週発売の新年1号より一時休載となりました。
 
最近長期休載づいている「ジャンプ」と「サンデー」ですが、「サンデー」の看板作品までがこの流れに巻き込まれるという非常事態になってしまいました。ただ、今回の休載は理由を明示した上に、公式サイトでも作者・雷句さんからのコメントをアップして“火消し”に必死の構えです。まぁ「サンデー」の大黒柱的作品ですから、イメージだけでも守らねば…というところなのでしょうね。
 しかしこの辺り、漠然とした理由で休載を宣言した後ダンマリを決め込む『うえき』との違いが浮き彫りになってますね。「本当に傷病が理由で休載した時は、誤解されないよう必死に理由を説明する」という業界のセオリーが今回も生きています。狼少年が必死に「今回は本当に狼が来たんだよ!」と叫んでるみたいですよね(笑)。

 ※今週のレビュー&チェックポイント
 ●今週のレビュー対象作…4本
 「ジャンプ」:読み切り2本
 「サンデー」
:新連載1本&代原読み切り1本
 (なお、諸事情のため「チェックポイント」は休止します。今週ピックアップ予定だった作品については、次回ゼミで採り上げます)

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。

☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年1号☆ 

 ◎読み切り『破天荒』作画:杉田尚

 作者略歴
 81年6月28日生まれの24歳。
 03年10月期の「十二傑新人漫画賞」で最終候補に残り、“新人予備軍”入り。04年12月期「十二傑」で十二傑賞を受賞し、週刊本誌05年15号にて、受賞作『斬』でデビュー。
 今回はデビュー以来2作目の新作発表。

 についての所見
 
デビュー作の時に比べると、全体的に技術が洗練されて“プロ仕様の絵”になって来た感がありますね。背景処理、動的表現などの特殊効果なども随分と迫力が出て来ました。画力向上が順調に進んでいる事が窺えます。
 ただ、惜しむらくは、杉田さんの絵は線の質と絵柄の相性が最悪であるというところ。本来、超リアル系の精微な絵を描くのに適した繊細な描線で、いかにもマンガ的で極端なディフォルメを施した造型の人物作画をしているので、実像以上に下手に見えてしまうのです。
 この辺は、画材を使い分けたり、人物の造型をリアル系に修正するだけで改善が出来るはずですので、次回作以降は色々な試行錯誤をしてもらいたいですね。 

 あと、根本的な画力以外の問題点としては、「文字による情報と、ビジュアルがミスマッチしている」という所でしょうか。要は作者が伝えたい内容が、読者に伝わらない絵になっているという事です。
 特に主要登場人物の人物造型が、「パッと見で恐れられるビジュアルの主人公」、「『幽霊』呼ばわりしてイジめられそうな女の子」といったキャラクターに、説得力をまるで持たせられていないのが痛いですね。こういう失策が、そのまま世界観や人物のキャラクター設定のクオリティを大きく損ねる結果に繋がっていたのではないでしょうか。

 ストーリー&設定についての所見
 まず総論から述べさせて頂くと、クオリティ・完成度の高さは明らかに落第点クラスよほど自分の趣味・嗜好がこの作品にハマらない限りは、最後まで通読するのも辛いレヴェルではなかろうかと思います。
 とはいえ、プロット自体はよく練られており、話の流れこそベタながら一本調子にならないような配慮が施されています。また、人の心・気持ちに主体を置いて見せ場を作ったり、クライマックスを盛り上げようという意図も決して間違ってはいないでしょう。
 ですが悲しいかな、このプロットを作品全体のデキに結びつけるための技術が全く欠けている…というのが現実のようです。

 まず、目に見えて拙いのが、デビュー以来の欠点でもある脚本でしょう。とにかくセリフに無駄が多過ぎますね。長い上に分かり辛くて、しかも喋り言葉になってない、という悲惨な状態です。
 「これが無くても意味は通る」という部分はザックリと省略し、あとは実際に口にしてみても違和感の無い文体にしないと、読んでいて辛いですね。

 次に問題アリと思えるのが、設定のリアリティでしょうか。現実世界に、ただ単純に非現実的な要素を放り込んでしまったため、「現実世界で非現実的な事態がただ淡々と起こっている」という違和感の塊のような状況になってしまいました。
 フィクションを描く時には「(設定として提示された)非現実的な出来事が起こってもおかしくない現実“的”世界」を構築する必要があり、それがいわゆる世界観です。ある意味、現実と非現実を巧く融合させるのが、ストーリーテラーの力の見せ所だったりするわけです。
 ところが杉田さんの場合、デビュー作の頃からその辺の配慮が大変疎かになっている傾向があります。話のキモとなる設定をもっと大事にしてもらいたいです。

 で、これらの各論も含めて、全体的に言えるのは「描写に説得力が足りない」という事。厳しくて僭越ながら偉そうにぶっちゃけ言ってしまうと、「自分がこう描けば、読者もそう分かってくれる」と甘え過ぎなのではないかと。週刊本誌で上位を張っている作家さんたちが、自分が伝えたい事を読者に伝えきるために、いかに努力をしているのか、今一度研究を深めて頂きたいと思います。

 今回の評価
 評価はデビュー時から据え置きのB−。しかしながら、「ここを直せば」という具体的なポイントがすぐに浮かんで来るということは、案外成功までの距離は短いのかも知れません。
 年齢的、キャリア的には連載獲得までのチャンスもあと1〜2回といったところでしょうか。悔いの残らないよう、頑張ってもらいたいものです。

 ◎読み切り『あの夏、僕と博士と発明と』作画:田辺洋一郎

 作者略歴
 資料不足のため、生年月日不詳。98年上期「手塚賞」応募時22歳とのことで、現在29歳〜30歳
 古い資料が無いため、月例賞の応募歴は不明も、98年上期「手塚賞」で準入選を受賞同年に週刊本誌29号にて、その受賞作『カブ吉と僕の夏休み』でデビュー。
 その後は武井宏之さんのスタジオでアシスタントに就いたため、作家活動が中断されるが、01年7号、11号にギャグ短編を代原で掲載し復帰01年秋発売のギャグ増刊にも代原のマイナーチェンジ版作品を発表した。
 今回はそれ以来、実に4年ぶりの「ジャンプ」復帰となる。なお、年末発売の「赤マル」06年冬(新年)号で本格復帰予定。 

 ●についての所見
 デビューからキャリア7年、殆どプロアシスタント状態で作画作業の仕事に専念していたこともあり、画力そのものは非常に高いですね。どことなく武井宏之さんの画風に近いのも、アシスタント時代に受けた影響の所以でしょう。
 線が非常に洗練されており、アシスタント出身作家にありがちな背景処理と人物作画のアンバランスも見受けられません。マンガの表現手段のための技術は一通りマスターしている“免許皆伝”状態で、今すぐ原作者付作品のマンガ担当もこなせるほどの実力ではないでしょうか。絵に関しては文句無しです。
 
 ギャグについての所見
 変人のボケキャラが、常識人のツッコミキャラを巻き込んで騒動を繰り広げるタイプのドタバタギャグ。結構エグい事をやっている割に、そう見えないのは絵柄で得しているんでしょうね。
 ギャグを見せる演出だとか、セリフ回しなどにはセンスも窺えます。こちらも絵同様、プロ作家として必要最低限な技術は、既に身についていると言っていいでしょう。

 ただ、今回のネタは全般的にボケがボケになっていないケースが目立ちました。最近の若手・新人作家さんのギャグ作品でもよくある、変な人が変な事をするだけで、それが笑いに繋がっていないというパターンです。
 特にこういう「変人ボケ&常識人ツッコミ」パターンは、常識人のツッコミキャラが被害者の立場になってしまうと、読み手はその被害者意識に自己を投影してしまいがちです。そうなると、本来笑える所まで笑えなくなってしまうんですよね。
 今回も、目の付け所を少し変えるだけで、全然違った雰囲気の作品になったと思うのですが……。残念ですし惜しかったですね。 

 今回の評価
 評価は画力等を最大限評価してB−寄りとします。ギャグのセンスが全く無い人だとは思いませんが、ただ、かといって今のままでは成功するのも簡単ではなさそうですね。

☆「週刊少年サンデー」2006年新年1号☆

 ◎新連載『聖結晶アルバトロス』作画:若木民喜

 ●作者略歴
 1972年5月9日生まれの現在33歳
 1993年下期「小学館新人コミック大賞」で入選。このしばらく後に増刊でデビューしたとされる。その後、「数回の逃亡&復帰(「サンデー」公式ウェブサイト内「まんが家BACKSTAGE」公式プロフィールより)」を繰り返しながら断続的に作家活動を続けていたとされる。
 ネット上の検索で掲載が確認できた読み切り作品としては「サンデー」月刊増刊01年3月号で発表した『キャプテン スイートハート』が最も古い。その後、増刊では02年2月号、同年9月号、04年2月号週刊本誌04年27号での読み切り掲載が確認されている。
 今作は、04年に増刊(『情報怪盗──』)・週刊本誌(『緋石の怪盗──』)で発表した『アルバトロス』シリーズのリメイク作品。デビュー以来丸12年を経て、初めての週刊連載獲得となる。

 についての所見
 
いや何と言うか、通り一遍の表現では追いつかないぐらいに上手いですね。表紙絵1枚だけでインパクト十分の、キャッチーな人物作画だけでなく、背景処理や特殊効果、ディフォルメなど一連の表現技巧もほぼ文句なし。好き嫌いを基準から除けば、まずケチの付けようが見当たらない、非常に高い画力だと思います。
 ネット界隈では、マンガのみならず様々な分野で活動をしていたという噂が広がっていますが、なるほど、そういう話が出るのも肯けます。アニメ・ゲーム関連なんかで、イラスト一枚いくらの仕事で生活していたと言われても驚けません。

 物凄い欲を言えば、もうちょっと紙質の悪い誌面でも見易いベタやトーンの使い方を……というところですが、それは「小畑健みたいに上手くやれ」と言ってるのと同じですから、これは本当に欲張りな話でしょうね(笑)。

 ストーリー&設定についての所見
 読み切り版から(今のところ)設定を細かく色々と変えた、「異世界ファンタジー系・ボーイ・ミーツ・ガール物」とカテゴライズ出来そうな作品となりました。読み切り版からの連載化にあたって、長編と短編の違いに苦慮する作家さんが多い中、見事に長編仕様の話にまとめあげたのは立派と言えるでしょう。
 日常世界に住む熱血系の主人公が、ヒロインの住む非日常世界のトラブルに巻き込まれ、命や平穏な生活と引き換えに特殊能力(とヒロインの愛)を得て戦いの世界へ……という流れは『武装錬金』に相通じる所もありますが、恐らくこういうタイプの話を描こうとすると、囲碁将棋の定石みたいなもんで、多少似た話になるんでしょうね。

 設定面では、世界観や情報の提示をやや少なめに抑える一方で、主人公のキャラクター設定だけは冒頭から上手く描写・提示させています。これは非常に渋いテクニックです。
 情報量を小出しにすると、ストーリーに深さが出るのですが、一方で読み手の意欲を挫く不親切さも出てきます。しかし、主人公を前面に押し出していると、読み手はその主人公を拠所にしてストーリーを追いかけていけるので、細かい疑問を放置しながらでも作品世界に没入出来るという仕組み。このパターンを芸術的なまでに巧く使った例が『新世紀エヴァンゲリオン』ですね。
 ただ、この『アルバトロス』の場合、惜しむらくはキャラクターや世界観の描写に陳腐なシーン──分かり易いステロタイプな不良を登場&主人公に成敗させる、など──を使い過ぎた感があり、それが残念でした。こういうシーンを多用すると、作品全体をB級っぽい印象にさせてしまい、新鮮味やスケール感を削いでしまいますからね。

 この他、脚本は少々冗長な印象もありますが、口語の使いこなしの巧さも感じられ、十分に及第点。卓越した画力に支えられた演出も高水準でしょう。バトル描写も、ピンチとチャンスの振り幅の大きさが利いていて、インパクトと迫力に富んだ良いシーンになっていました。
 まだストーリーの全貌が見えておらず、不確定要素は大きいものの、クオリティ的には見事なまでの好発進と言えそうです。あとは「サンデー」読者の好き嫌いに見合うかどうか、という所でしょうね(それが商業的成功に向けて最難関の課題でしょうが……)。

 今回の評価
 評価は「駒木、こういうマンガには甘いなぁ」と言われそうですが(笑)、画力の高さとストーリー構成のテクニックの巧さを認めてA−の評価を進呈します。今後の展開が非常に楽しみです。
 

 ◎読み切り『フルメイド・ジャケット』作画:クリスタルな洋介

 ●作者略歴
 生年月日は不詳だが、新人賞入賞時の年齢から計算すると、現在24〜25歳
 04年にギャグ系新人賞「爆笑王決定戦」で最終候補に残り“新人予備軍”入り。04年9・10月期「まんがカレッジ」でも佳作を受賞。週刊本誌05年17号にて暫定デビュー後、隔月増刊05年9月号に読み切りを発表し、正式デビューを果たす。
 今回は『ガッシュ』休載に伴う代原ながら2度目の週刊本誌登場となる。

 についての所見
 今春の暫定デビュー時は、絵の巧拙以前に「読めるか、読めないか」レヴェルの見辛い絵だったのですが、さすがに今回は大幅に改善されました。ただ、まだ紙質に不向きな細かいトーンが気になる場面もあり、研究の余地は残っているのではないかと思います。

 そして絵柄全般についてですが、線が全体的に弱々しくて不安定なのが損をしているかな…という感じ。妙にゴチャゴチャしている場面も見受けられますし、今の絵柄だと、何をどう描いても下手に見えてしまうかな、と。画風云々以前の問題として、もう少し線洗練させ、画面をスッキリさせてパッと見の見栄えを良くするべきでしょう。
 それでも、女の子を可愛く描くセンスみたいなものは十分に感じられますので、今後はこれを武器に活かして欲しいです。まぁこの作家さんの作風を考えると、Jリーガーに「持ち球のシンカーをもっと活かせ」と言ってるような気になりますが……。

 ギャグについての所見
 「ジャンプ」の『あの夏、僕と博士と発明と』でも触れた、変人系ボケ&常識人ツッコミのパターンです。コメントを読む限りでは、クリスタルな洋介さんはどうやらこのパターン専門でやっていくようですね。
 デビュー作の『父さんとオモチャ達』では、変人ボケ役が暴走し過ぎ、ギャグどころか情緒不安定な親父が嫁に逃げられ、娘を虐待して家庭を崩壊させる様を実況してるだけ…という恐ろしいマンガでC評価と相成ったのですが、これと比較すると、今作は確実な進歩を遂げているのではないでしょうか。

 まず話の流れ、ツッコミ役主導で、ボケ役が狼藉を働く度に痛い目に遭う…という風にしたのは良かったですね。これだとギャグ以前の段階で“引く”という可能性も無くなります。また、コマとコマの間の状況変化を大胆に省略させ、そのギャップで笑いに繋がる違和感を醸し出す…という演出も決まっています。
 ただ、まだ狙い澄ました「自分が狙った通りのギャグをピンポイントで決める」という段階には届いていないようです。場面の省略が悪い方向に出て、“間”が詰まり過ぎなシーンもまま見受けられ、絵と同様こちらも不安定な印象が残る作品でした。
 
 現時点での評価
 
評価はB。これでこの作家さんなりの“必勝パターン”みたいなモノが作れれば、「サンデー」でも面白いになって来ると思うんですけどね。

 

 ……というわけで、12月2週分は以上です。重労働明けに4作品のレビューは疲れました(苦笑)。
 『絶チル』の連載20回レビュー、『クロザクロ』の最終回総括レビューは次回にお送りします。では、ひとまず今日はこの辺で。

 


 

2005年度第45回講義
12月5日(日) 演習(ゼミ)
「現代マンガ時評」(11月第5週/12月第1週分)

 世間的には全くどうでもいい話ですが、雑誌は1ヶ月先行で月期・年度を更新しますので、今週が「ジャンプ」「サンデー」的には05年度の最終週ということになります。第4回「コミックアワード」についても、今週分までが審査対象です。
 というわけで、現在募集中の「コミックアワード」ワイルドカード枠推薦も、そろそろ締め切りたいと思います。駒木研究室のEメールボックスに12/10(土)到着有効という事で何卒。11月発売までに単行本1巻が発売された作品が対象です。

 では、今週も遅くなりましたがゼミをお送りします。レビュー対象作がいきなり増えて面食らっているのですが……


 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報

 ★新連載&読み切りに関する情報 

 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(新年1号)より『聖結晶アルバトロス』(作画:若木民喜)が新連載となります。
 『うえきの法則プラス』の無期限休載、及び『こわしや我聞』、『クロザクロ』の終了に伴う新連載シリーズが開幕となりました。まずは“ベテラン若手”組から若木民喜さんが登場です。
 若木さんは、01年頃から「サンデー」増刊で活動開始したようですから、最低でもキャリアは約5年になりますか。専属契約の無い「サンデー」では経済的な面でもモチベーションの維持は大変だっただろうと下世話な心配もしたくなりますが(笑)、我慢の甲斐あって漸くの連載獲得です。
 この作品は03年に増刊で、04年に週刊本誌(同年27号)で掲載された読み切り作品の連載化。こういうタイムラグを置いての読み切り連載化は、低迷期の「ジャンプ」がよくやって失敗していましたが、この他誌が作ってしまったジンクスを打破する事が出来るでしょうか。

 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年1号)に、読み切り『破天荒』(作画:杉田尚)が掲載されます。
 杉田さんは04年12月期「十二傑」の受賞者で、週刊本誌05年15号に『斬』で受賞作掲載デビューを果たしています。その際は全ての面で荒削りな所ばかりが目立ってしまっていた記憶があるのですが、この1年弱でどれほど洗練した所を見せてくれるのでしょうか、楽しみです。

 ★新人賞の結果に関する情報

第57回小学館新人コミック大賞・少年部門
(05年下期)

 特別大賞=該当作なし
 大賞=該当作なし
 
入選=2編
  ・『護って騎士』(=増刊06年2月発売号に掲載決定)
   福井あしび(27歳・大阪)
 
《選評要約:「絵が魅力的。ストーリーもキャラもちゃんと読者に伝えられる、基本が判っている人だと思う。次はその基本を壊したハジけた作品も見てみたい」(高橋留美子さん)/「競技の説明もキャラの描き方も分かり易くて楽しめた」(あだち充さん)/「良かったのだが、何か物足りなさが残る。冒頭部分は良かったが、話が小さくなりすぎたのかも。あとは演出をもう少し上手くしてもらいたい」(青山剛昌さん)/「最近よくある画風で新鮮味は無いが、基本力はある。題材とテーマをよくマッチさせているし構成も読後感も良いが、ストーリー的に突出したモノがない」(史村翔さん)

  ・『傀儡今昔』(=増刊06年2月発売号に掲載決定)
   平井希(23歳・東京)
 《選評要約:「絵は非常に高いレベルで話も面白い。華のある主役を描く能力を確かめるためにも少年が主人公の作品を見てみたい」(高橋留美子さん)/「可愛い女の子など見栄えする絵が描けている。扉ページや冒頭の構成に気をつけて欲しい」(あだち充さん)/「面白い! 絵、演出、脚本も非常に良いしカッコ良い。この人の作品をもっと読んでみたい」(青山剛昌さん)/「意外性のあるストーリーで最後まで読ませてくれる。ツボにハマった時のキャラ・シーンの描き方は既にプロ級。バラつきがあるのが欠点だが、それでもよくまとめている」(史村翔さん)

 
佳作=2編
 
 ・『武装掃除屋タキ』
   南部もち(22歳・埼玉)
  ・『勝利でゲット!!』
   泉たかこ(21歳・大阪)
 最終候補=1編
  ・『ゼルダ』
   向井(15歳・佐賀)

 受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい)
 ◎入選の平井希さん…海星座の名義で03年「ビッグコミックスピリッツ」増刊でデビュー?(大垣女子短期大学のウェブサイトより)

 ……入選は2作品。絵柄から何から対照的な内容の作品のようですが、共に増刊掲載が即決定したという事は、それなりの水準に達しているということなんでしょうね。最近ストーリー系若手作家さんの台頭が殆ど見られない「サンデー」、こういう所から突破口が開けてくれば良いのですが。
 それにしても成績筆頭の福井さん、投稿キャリアこそ確認できませんでしたが、このマンガ用のペンを使わない手馴れたタッチは、学生時代にアマチュアで同人活動やってたっぽい感じですよね。また、こういう絵柄をスンナリと受け容れている大御所作家の皆さんの反応が結構意外でした。マンガに対する度量というのは、ひょっとすると読者の方が作り手側よりも狭かったりするのかも知れません。

 ※今週のレビュー&チェックポイント
 ●今週のレビュー対象作…3本
 「ジャンプ」:読み切り2本
 「サンデー」
:読み切り1本

 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。

☆「週刊少年ジャンプ」2005年52号☆ 

 ◎読み切り『謎の村雨くん』作画:いとうみきお

 ●作者略歴
 1973年3月26日生まれの現在32歳
 和月伸宏門下のいわゆる“和月組”出身
 デビューは「赤マル」98年夏号掲載の西部劇・『ロマンタジーノ』(伊藤幹雄名義)週刊本誌には99年10号(デビュー作の同名続編)が初登場。また、同年49号にも西部劇・『トランジスター』を発表している。
 翌00年には『ノルマンディーひみつ倶楽部』で初の週刊連載を獲得(00年24号〜01年20号、46回)
 1年のブランク後、02年29号に読み切り・『ジュゲムジュゲム』で復帰。この作品が『グラナダ ─究極科学探検隊─』改題の上で03年1号より連載化されるも1クール打ち切り(〜同年16号)
 それからまた約1年のブランクを経験した後、「赤マル」04年春号にて『ゴーウエスト!』で復帰し、週刊本誌同年42号に『秘密兵器ハットリ』を発表。今回はそれ以来、約1年ぶりの新作発表となる。

 についての所見
 
相変わらず人物の表情が硬い所がまま見受けられるのが欠点ですが、全体的に見れば十分の完成度を誇るリアル志向の絵柄と言えるでしょう。ディフォルメにおける“崩し具合”も、そのリアル志向を損ねない程度の上手いバランス加減に仕上がっているのではないでしょうか。
 今回は主人公の人物造型が「どうみてもハリー・ポッター」という指摘と論議が色々な所であるようですね。ただ駒木個人としては、いとうさん本人がこの主人公のビジュアルを完全に自分のモノにしている事もありますし、殊更に咎める必要も無いのではと思います。いとうさんの師匠・和月伸宏さんが「○○がモチーフ」と言いつつ頻繁に使ってる手法なので、ある意味納得のいく話ですし(笑)。

 ストーリー&設定についての所見
 登場人物の数を極力抑え、なおかつ主人公のモノローグを多用した一人称的な語り口。ストーリーの方も、主人公の人物描写に偏らせるという、思い切った構成の作品となりました。「ジャンプ」の読み切りとしては、かなりトリッキーで、かつクセの強い趣向だと言えるでしょう。
 これを生半可な実力の人がやってしまうと、説明・用語解説口調のネームの羅列で見てられないモノになってしまうのでしょうが、この作品に関しては脚本・演出の水準が高く、このクセの強さも逆に新鮮味へと転化された感がありました。ページ跨ぎの演出など、本来ならギャグマンガで使われるテクニックを流用するなど、玄人好みの手法が渋く決まっています。
 クセのある構成ゆえに万人受けし難いのが残念ではありますが、それでもページ数の制約を受けながら長所が短所を大きく上回るように仕上げるのは至難の業。そのために施されたテクニックなども含め、高い評価を下さなければバチの当たる作品だと思います。

 それに何よりも、そうして念入りに描かれた主人公のキャラクターが、非常に読み手に親近感を与えるモノになっているのが良いですね。“共感出来る弱さ”と“憧れるだけの強さ”が両立出来ているのが素晴らしいです。
 また、ストーリー軽視のように見えて、キチンと締めるべき所は締めているのも好感が持てました。弾丸をクナイで“斬鉄剣”状態にするシーンを、敢えて先に見せてクライマックスに向けての伏線としていたり、銀行強盗とのバトルでは主人公の行動に制約(自分の正体を他人にバラさない)を課す事で深みを持たせています。この辺りの技巧は、もはや“名手”クラスの域に至近しているのではないでしょうか。

 欠点としては、先述の「読み手を選ぶ趣向」の作品である事、あとは設定が一部“マンガであること”に頼り過ぎている面が鼻につくかも…といった所が挙げられますが、これらも必要悪の範疇でしょう。
 実力に定評はありながら、長年伸び悩み傾向が続いたいとうさんですが、いよいよ実力をフルに発揮出来る作品と主人公に恵まれたようです。あとは長編連載に耐えうる骨太のシナリオを創れるかどうか。ひょっとすると、この作品を連載化出来るか、更に連載を成功させられるかどうかが、いとうみきおさんのマンガ家人生の成否を決めるターニングポイントになるかも知れません。 

 今回の評価
 評価はA寄りA−とします。今年度は「これだ!」という読み切りに出会えていなかったのですが、最終週にやっと来たか、という感じですね。この作品は是非とも連載化して、成功させてもらいたいです。

 ◎読み切り『自称ナイスガイ』作画:伊藤直晃

 作者略歴
 1979年9月3日生まれの現在26歳
 「十二傑」への投稿を経て(04年12月期「最終候補まであと一歩」)05年上期「赤塚賞」にて、『たいして良い思い出もできそうにない学校生活』で準入選を受賞週刊本誌05年43、46号にて、その受賞作が15ページずつ分割・抜粋されて代原掲載・暫定デビューを果たす。また、49号には今作のプロトタイプ的な作品で同じく代原掲載を果たしている。
 そして今回、正規デビューの“ご挨拶”である作者プロフィールが掲載され、正式デビューとなった。

 ●についての所見
 以前掲載された習作原稿に比べると、描線や背景処理なども洗練されてはいます。なるほど正式デビュー作と敢えて銘打つだけの差別化は図られているのでしょう。
 ただ、コマによって背景処理を明らかに忘れている部分がありますし、いくら描線を整理しても、陰影の存在そのものが不可解な絵もいくつか見受けられます。動的表現もスムーズとは言い難いですね。
 結局の所、「明らかに落第点」から「惜しいところで落第点」になったぐらいの進歩で、まだまだプロ作家としてやっていくには、余程この絵に合ったギャグのスタイルを開拓しない限りは厳しいでしょう。
 
 ギャグについての所見
 代原掲載された事実上の前作同様、「天然系変人の変な行動を、ツッコミ役が何のヒネリも無い言葉でそれを如何に変かと状況説明する」という、マンガのギャグとしては非常にレヴェルの低いモノに終わってしまいました(判り難い所でバトル系マンガの“解説役キャラ”のパロディもありましたが……)。確かにこれは演芸の一人コントなどで使われる手法ではあるのですが、声の抑揚などを凝らして笑いが狙える実演・実写とは異なり、文字でこれをやると単なる味気の無い説明になってしまいがちです。
 また、「変な主人公が何をするか」ではなく、「主人公が変」という、奥行きの狭い所で終わっているのも難点ではないかと思いますし、そもそも「これは変だ」と主張している事が「常識的な所で変」に留まっていて、全体的にギャグが小じんまりとしてしまっている感があります。この作品のようなインパクト勝負のギャグは、如何に常識の範疇から飛び出るかがカギになって来ますから、そこで突き抜け切れないと、文字通り壁に当たる事になってしまうでしょう。

 そういうわけで、これから伊藤さんが『ジャガー』『ボーボボ』『太臓』という連載陣や、他の有力若手ギャグ作家さんと伍していくためには、ギャグを考える時の根本的な発想の部分から変えていかないと辛いんじゃないでしょうか。「これがギャグだ」という固定観念からブッ壊すぐらいの大手術が必要のような気がします。
 ともかくも前途多難の正式デビューとなりました。チャンスにはこの上無く恵まれているのですから、伊藤さんにはもっと良い作品が描けるよう、ガムシャラに頑張ってもらいたいです。

 今回の評価
 評価は代原版からほんの少し改善されたという事でB−とします。ただ、この水準では、今後の展開云々という話になるのは望み難いでしょうね。

◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆

 今週のチェックポイントは、年度末締めということで、「コミックアワード」合わせの駆け込み評価変更です。今年度から10回ごとの評価見直しを行っているので、「コミックアワード」の部門賞ノミネート資格に関係する作品だけ採り上げます。

 ◎『太臓もて王サーガ』作画:大亜門
 旧評価:A−寄りB+新評価:A−

 かなり迷ったんですが、評価を連載当初のものに戻しました。連載回数を重ねるに連れてパロディ系のネタが枯渇する一方で、登場人物のキャラで獲る笑いが前面に出て来て、随分と万人受けする要素が増えて来た…というのが評価アップの決め手です。こんな怪我の功名もあるもんだな、とも思いましたが(笑)。
 今後はマンネリが心配ですが、たびたび新キャラを投入するなどの配慮も窺えますし、もうしばらくは大丈夫なんじゃないでしょうか。逆に、マンネリが避けられない状況になったら、連載を手仕舞いする思い切りも必要でしょうね。コンスタントにクオリティの高い作品を創れる作家さんですし、1つの作品に固執する必要も無いと思います。

☆「週刊少年サンデー」2005年53号☆

 ◎読み切り『山本KID徳郁物語 〜神の子に与えられた試練〜』(作画:山田一喜)

 ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容です)
 資料不足のため、生年月日等不明。
 確認出来る最古のキャリアは02年のルーキー増刊で、その後は月刊増刊03年11月号、隔月増刊05年新年号など、断続的に読み切りを発表している。
 今回は企画物ながら初の週刊本誌登場。

 についての所見
 
本質的な画力は別にして、慣れない企画のプレッシャーに押し潰されてしまったかな…というのが率直な印象です。

 若手作家さんがこの手の実録モノを手がけると、どうしてもそうなってしまうのですが、実物に似せようとする余り、人物の表情が全体的にぎこちないのが気になってしまいます。特にこの作品の場合、気を遣った割に余り実物に似てないというのも頂けないかな、と。
 それに格闘シーンでは、肝心の選手のムーヴが全く描かれておらず、インパクトの瞬間や見せ場の静止画像的な所を切り抜いてお茶を濁しただけになっているのも残念でした。せっかくこういうマンガを描く機会を得たのですから、絵で「今後は格闘マンガなら任せて下さい」ぐらいのアピールを業界中に広げるくらいの意気込みが欲しかったですね。

 ストーリー&設定についての所見
 こちらは取材内容に大きく拘束されるので、色々と注文をつけるのは酷でしょう。ただ、構成が事実の羅列に留まっていて、やや散漫だった印象はありました。この辺は取材の質・量も関わって来るので、どうにもならないところもあったでしょうが……。 

 今回の評価
 企画モノということで、評価は行いません。ただ、少なくとも作者の山田さんにとって、このマンガを描いたメリットや意義が余り見出せないという点が残念です。

 ……さて、本当は今週で連載20回を迎える『絶対可憐チルドレン』の評価見直しを実施する予定だったのですが、これはエピソードの切れ目を待って次週に回したいと思います。今週は伏線張りまくりで不確定要素が多すぎます(笑)。なお、現状では評価はAで据え置きの方向です。

 それでは、来週はまた同人誌版執筆などでこちらの実施は遅れ気味になります。どうか何卒ご容赦を。


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