「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
1/31(第54回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(1月第4週分) 1/22(第53回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(1月第3週分) 1/14(第52回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(1月第1週後半/第2週分) 1/9(第51回) 文化人類学特殊講義「旅行記外伝・『デンジャーパーティ』体験記」(前編) 1/5(第50回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(1月第1週分・前半) 1/2(第49回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(12月第5週分) |
2005年度第54回講義 |
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風邪と眼精疲労も峠を越しまして、ようやく業務再開となりました。年を重ねる度、体調を崩してからリカバーするまでの手間と暇が増えているのを感じます。否応無しに年齢を痛感させられます。 さて、こういう事になってしまいましたので、今週もスクランブル体制でお送りします。とりあえずは今日(31日深夜)準備できた所までを公開し、残りは明日にでも追加振替講義とさせて頂きます。(追記:講師多忙につき追加振替は2/2以降に延期させて頂きます) ……あ、講義遅延のワリを食って開催が遅れております、第4回「仁川経済大学コミックアワード」ですが、水面下で地味に準備は進行中です。こちらも今しばらくお待ち下さい。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ※30日発売の「ジャンプ」9号掲載の情報については、次回ゼミ(1月第5週/2月第1週分)にて紹介します。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ※「十二傑新人漫画賞」 ※「まんがカレッジ」 今月はこの他、確証が取れずに掲載を見合わせた情報として“「コミックバンチ」掲載歴があるかも知れない選外の人”もおり、他誌での活躍を経て“メジャー挑戦”を狙う新人さんの多い月度でありました。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2006年8号☆ ◎読み切り『宇宙商人ポメットさん』(作画:風間克弥) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ただ、光明というわけではありませんが、「惜しい」と思えるポイントも見出せた作品ではありました。まだ“打率”は低いですがセリフの言い回しで狙う小ネタを見せたり、活かし切れていないものの登場人物のキャラクターが笑いに繋がる“良い味”を出していたり。 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2006年8号☆ ◎読み切り『護って騎士』(作画:福井あしび) ●作者略歴 ●絵についての所見 この他、トーンの選択ミスで暗くなってしまった画面構成や、ロングショットの絵の粗さなど、いかにもデビュー作らしい荒削りな面もいくつか見受けられました。ただ、これは新人賞の受賞作掲載ですから、ある程度は仕方ない部分でしょう。 ●ストーリー・設定についての所見 また、「作品のメインはキャラクター描写とストーリーである」という少年マンガの大原則を忘れず、主人公の心の動きを描こうとした姿勢にも好感が持てます。ヒロインと敵役のキャラクター設定がやや記号的でステロタイプだった事、序盤の主人公の行動が酷すぎて“正義の騎士”的キャラを気取るには説得力に欠けた事など、問題点も見受けられますが、見据えているベクトルが間違っていないので致命的な欠陥にはなっていません。 ただ、個人的に残念だったのがストーリー。確かに持ち前の構成力で上手くまとめられてはいるのですが、イマイチ食い足りなさが残りました。 ●今回の評価 ◆「赤マルジャンプ」06年冬号レビュー(2)◆ 2回目の今回は、正規レビュー実施予定のうち2作品を紹介します。お待たせした(実はこの部分は土曜公開です)割に少なくてすみません。今のコンディションではこれが精一杯です……。 ◎読み切り『ジュウオウムジン』(作画:水野輝昭) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ストーリーも、適度に練りこまれた世界観や各キャラの設定に矛盾しないよう配慮されているので展開が実に自然で、テンポも良いですね。そんな自然な流れの中でキチンとヤマ場も作れていますし、これはかなりポイントが高いです。 また、3人称視点のスタンスにも関わらず、主人公が動物になっている様子は主人公の1人称でしか描かれていないというのにも若干の違和感が残りました。 ●今回の評価 ◎『生きてた。』(作画:小山祐太) ●作者略歴 ●絵についての所見 背景処理や特殊効果といったマンガ独特の表現技巧についてはデビュー作から及第点レヴェルをキープしているなど、全くセンスが無いわけではないのでしょう。まだ若い作家さんですし、ともかくもプロ意識を持って技術の練磨に励むのみでしょうね。 ただし、プロット・シナリオの内容の充実度や、世界観・登場人物設定の緻密さなど、本格的な長編ストーリー作品を描く上で最低限必要な要素が大きく欠けているのも事実です。この歪なストーリーテリング力を“異彩の才能”と賞するか、“荒削り”とまとめるか、“片手落ち”とネガティブに判断するかは意見が分かれるところでしょうね。 ●今回の評価 ……それでは、「今週分」としてはひとまずここまで。引き続いて1月最終週〜2月第1週分のゼミ準備に移ります。しばしの間失礼します。 |
2005年度第53回講義 |
1週間のご無沙汰になってしまいました。いやもう、毎日昼間でエネルギーを完全に使い果たしてしまいまして……。 さて今週は、「週刊少年ジャンプ」は合併号休みで、その代わり「赤マルジャンプ」06年冬号が発売になっています。例年は年末発売なのですが、今冬は「GO!GO!ジャンプ」が05年末に発売されたこともあって、変則的なスケジュールになっています。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★今週の誌面では、読み切り・新連載、及び新人賞関連の公式アナウンス情報はありませんでした。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年サンデー」2006年7号☆ ◎読み切り『ギョッとする! おととさん』(作画:橋本時計店) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 課題としては、ややセリフのギャグが練り込み不足で流れ気味だった点が挙げられるでしょうか。セリフそのものは無駄なく練り込まれており、意図する所は理解出来るのですが、ここからもう一歩ハジけてもらいたいと思います。ただ、これもレヴェルの高い注文です。 ●今回の評価 ◆「赤マルジャンプ」06年冬号レビュー(1)◆ 1回目の今回は、巻頭カラーの『武装錬金ピリオド』のレビューを兼ねて、『武装錬金』シリーズの総括もまとめてお送りします。新人・若手作家さんの作品については、レビューの骨子は出来上がっているものの、評価A−とB+の振り分けで迷っている作品が複数あるのです。お待たせして申し訳ないですが、次回ゼミまでお待ち下さい。 ◎『武装錬金ピリオド』(作画:和月伸宏) 旧評価:保留→最終確定評価:A− ビジュアルノベル風に言えば、「斗貴子さんグッドエンド」という事になるのでしょうか。若干強引でヌルめの辻褄合わせが認められるものの、読み手に陽性のカタルシスを十分与えてのハッピーエンド決着となりました。 そして、先ほどは“若干強引でヌルめ”と述べましたが、それでもプロットの充実度は素晴らしかったです。可能な限り伏線を回収し、脇役たちそれぞれの物語にも決着をつけ、見せ場の演出・脚本も全くスキ無しのクオリティ。打ち切りで過剰に広がり切っていた“風呂敷”を畳み切る事に成功しています。 ……ただ、それでも如何ともし難いのがページ数の絶対的不足。今回のプロットなら、最低でも単行本1冊分丸々のボリュームは欲しい所なのですが、この辺が円満完結でない悲しさなのでしょうね。蛇足や“遊び”の部分を削るだけでは事足りず、戦闘シーンや場面・時系列を飛ばすのに必要な“間”まで削ってようやく詰め込んだ…といったところでしょうか。 さて、最後に連載全体の総括をして、締めくくる事としましょう。 |
2005年度第52回講義 |
今週には旅行記外伝を終わらせる予定だったのですが、想像以上に世を忍ぶ仮の本業のストレスが酷く、こちらに取り掛かる気力が確保出来ませんでした。長期間心身をリフレッシュさせてしまうと、その揺り戻しも酷いという典型例であります(苦笑)。 まぁ、旅行記も骨子は頭の中で完全に出来てますので、しばしお待ちを。 さて、それでは早速ゼミを始めましょう。今回は先週土曜日発売の「週刊少年ジャンプ」6・7合併号の内容についてと、「GO!GO!ジャンプ」レビューの第2回をお送りします。なお、前回のゼミの中で「『週刊少年ジャンプ』系作家の作品は4つ」と申し上げましたが、5つの間違いでした。よって、レビュー対象作もその分増えて全部で5作品となります。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(8号)に読み切り『宇宙商人ポメットさん』(作画:風間克弥)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年6・7合併号☆ ◎読み切り『FOREST』(作画:内水融) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ストーリーの方は、悪党が無垢な少女に心を癒されて改心するが……という手垢が付いたパターンではあるのですが、その“材料”の料理の仕方が巧いという印象ですね。扱いの難しい“善・悪の逆転”というテーマを堂々と描き切り、シビアながら人情味溢れる“後味の良い悲劇”に上手く仕上げられています。 ただ、惜しむらくは脚本。やや事務的で説明的なセリフが多く、決め台詞も冴えていたとは言い難いもので、折角の良作も画竜点睛を欠いた感が否めませんでした。クライマックスでも一連のセリフがあと少し洗練されていれば、文句無しで名作だと推せたのですが、これだけが残念でしたね。 ●今回の評価 ◆「GO!GO!ジャンプ」レビュー(2)◆ ◎読み切り『恋するサボテン』(作画:長宏樹) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 特に中盤で随分とページを浪費したのが終盤に響いています。主人公のキャラクターを描き切れなかったためにクライマックスのカッコ良い行動に説得力が全く出て来なかったですし、覆面ヒロインもその魅力を最大限発揮出来たとは言い難い演出でした。 ストーリーの破綻はギリギリの所で避けられてはいるものの、それも矛盾点を潰すだけで精一杯。設定・ストーリーの練り込みは落第点レヴェルとあっては、いくらデビュー作である事を考慮しても、厳しい評価は避けられないでしょう。 ●今回の評価 ◎読み切り『REVOLVER大和』(作画:久米利昌) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 一方、設定やストーリーといった“今作限り”の要素についてですが、何とも言えないもどかしさが残ってしまいました。必殺技や不良まみれのサッカー部といったベタでトンデモな設定を使っておきながら、何とかそのトンデモ色を消して正統派の青春モノに見せたい…という配慮が露わになってしまい、逆に不自然でした。 懸命に矛盾点を潰し、トンデモ色を消そうとした努力の結果、確かにストーリーはよくまとまっており、ラストも形としては上手く決まってはいるのですが、逆に言えば「まとまっているだけ」という言い方も出来てしまう作品でした。駒木が言うのもアレですが、欠点を指摘してツッコむという評論家的な視点で作品を創っても成功するわけではない…という典型例と言えるのではないでしょうか。 ●今回の評価 ◎読み切り『レマ宇宙探検隊』(作画:東元俊也) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価
それでは、また来週。次週は「赤マル」の発売となりますが、今回は評価上位の5作品程度をレビュー対象として、あとは略歴と簡単な評価のみの掲載に留めようかと思っています。語る価値も意義も薄い作品のレビューがトラブルの種になるのはもうウンザリですしね。 |
2005年度第51回講義 |
気が付けば世間的にも、学校歳時記的にも冬休みが終わってしまいました。長期休暇中に店晒し状態の講義を何とかしたい……と思っていたものの、気持ちばかり焦って全く準備が進まず、このような体たらくであります。まったくもって申し訳有りません。 さて、そうして今回お送りしますのは、タイトルにありますように、不定期でお届けしている駒木の東京旅行記の“外伝”。05年末の東京旅行の際、冬コミの打ち上げを兼ねて緊急開催したオフ会(食事会)の顛末記であります。 そういうわけで今回は、その“危険なパーティ”を我が身と胃袋を張って体験したその様子について、レポートをお届けしようという次第。参加して頂けなかった皆様にもせめて雰囲気だけでも掴んでいただこう…という趣旨であります。まぁ演出上、多少大仰な表現も出てくるかと思いますが、堅い事は気にせず、どうか最後までお楽しみ下さいませ。 ──では、これよりレポート本文に移ります。便宜上、文中の文体は常態に変えますのでご了承下さい。 ステーキハウス「ミスターデンジャー」へは、JR総武線で亀戸まで行った後、駅舎に改札・ホームが隣接している東武亀戸線に乗り継ぐのが最短コースである。最寄駅の東あずま駅までは2駅、所要時間5分弱。余談だが、「東あずま」は漢字に直した場合、「東東」ではなく「東吾嬬」と書くそうだ。 いつもの旅行では、後楽園ホールでボクシングやプロレスを観た後に独りで乗り込む東武亀戸線だが、今回は総勢7名の“大所帯”。その大半は、駒木の「1回“デンジャーパーティ”やってみたいんだけど」という急な提案に乗って下さった、駒木と旧知の受講生の皆さんである。 東あずま駅に着いてからは、駅舎を背に向けて右方向、「デニーズ」の看板の見える方向へひたすら歩を進めると、間もなく闇夜の中に黄色い蛍光看板が視界に入って来る。ここが「プロレスラー・松永光弘の店 ミスターデンジャー」だ。 それゆえ、メニューや料金設定も、有名人の店にありがちな割高さとは全く無縁。一番人気のセットメニューは、450gのステーキにミニサラダとカップのスープ、それにライスが付いて2000円というお得さ。しかもステーキは、安価なブロック肉を使用していながら下処理の段階で筋を全部取り除いているため、ナイフが要らない位柔らかい。その上、ライスは中華料理屋で言う“炒飯・大”サイズの超大盛りまで可能の大盤振る舞いである。 ……これだけお話すれば、お分かり頂けるだろうか。つまりは、サービス精神が溢れすぎて危険水域に達している店、それが「ミスターデンジャー」なのである。そして、そんな店で、我々は、わざわざ“デンジャーパーティ”と謳われた、そんなコース料理を頼んで食そうというのである。これぞまさにフードバトルと言っても過言ではない。 「こちらオードブルになりますー」 事務的な声に乗せられて、積載可能部位の大部分をローストビーフ風牛肉タタキと生ハムとキムチ(何故?)で埋め尽くされた大皿が運ばれて来る。それも2皿。7人で大皿一杯の肉とハムとキムチを2皿。オードブルと言うには余りにもな待遇である。 ──その答えは、それから間もなくして胃袋をもって理解させられる事となる。満腹中枢の虐待が始まろうとしていた(続く)。 |
2005年度第50回講義 |
今週は4日に「サンデー」、そして7日に「ジャンプ」がぞれぞれ発売になる、ちょっと変則的な日程です。翌週月曜が成人の日のための「ジャンプ」前週土曜発売ルール適用なわけですね。 ……それでは、今週のゼミを始めます。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(7号)に読み切り『ギョッとする! おととさん』(作画:橋本時計店)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年サンデー」2006年新年5・6合併号☆ ◎新連載第3回『地底少年チャッピー』(作画:水口尚樹) ●絵についての所見(第1回掲載時からの推移) ●ギャグについての所見 また、ネタ元がゲストキャラの外見や行動の判り易過ぎる変さに集約し過ぎているのも問題ではないでしょうか。馴染みの無い人物が、馴染めないような外見・行動をしているのでは、どうしても読み手は引き気味のスタンスになってしまいますしね。 こうして見ると、どうもこの作品は、根本的な部分から失敗している可能性が濃厚ですね。読み手に笑いを提供できない主人公と相手役では、良いギャグ作品になりようがありません。今のこの作品は、バカボンパパのキャラが非常に地味な『天才バカボン』みたいなモノですからね。 ●今回の評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、『道士郎でござる』の最終回総括です。 ◎『道士郎でござる』(作画:西森博之) 04年5月開始ですから、連載期間は約1年7ヶ月。半年〜1年弱で打ち切られるか、2年以上の長期連載になるパターンが多い「サンデー」にしては、やや中途半端という気がしますね。 さて、作品全体の内容を振り返ってみると、“少年版『最強伝説黒沢』”みたいな話でしたね。本家『黒沢』と違い、主人公が人生に行き詰まったオッサンではなく前途ある少年である分だけ、前向きで、将来にも希望があって、恋愛も成就出来て…と、明るいトーンの話になりましたが、まぁそれはそれで良かったのではないでしょうか。連載終了の真相はどうあれ、爽やかなハッピーエンドであった事も確かです。 ◆「GO!GO!ジャンプ」レビュー(1)◆ ◎読み切り『蟋蟀 -KOHROGI-』(作画:樋口大輔) ●作者略歴(参考:他) ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 ただ、残念なのはプロット・シナリオが平凡かつ簡単に先が読めてしまうモノであったため、ストーリーを追いかける妙味には著しく欠けた作品になってしまった事でした。もう少し読み手の意表を突く要素があっても良かったはずです。 まぁそういったキズを目立たせないだけのストーリーテリング力は流石と言う他無いのですが、これらの欠点に目を瞑ってまで褒められるかというと、躊躇を覚えてしまいます。 ●今回の評価 ◎読み切り『ハットリ』(作画:矢部臣) ●作者略歴 ●絵についての所見 結局のところ、アシスタントとしてのスキルはアップしたものの、肝心のマンガ家としての作画技術は未だ発展途上だという事なのでしょう。今後、週刊本誌進出や連載獲得を目指す上においては、魅力的な人物を描くための作画技術の習得が急務であると言えます。 どうも現在の矢部さんは、いわゆる“設定厨”状態にハマっているのではないでしょうか。読者が求めているのは難解な設定ではなく、心を打つドラマであるという事を失念しないで頂きたいなと、僭越ながら諫言申し上げたい次第です。 ●今回の評価
……以上、1月第1週前半分のゼミをお送りしました。後半分は週明けに実施する予定です。それでは。 |
2005年度第49回講義 |
新年明けましておめでとうございます。 さて、12/30のコミケット69・「駒木研究室」スペースには相変わらず多数のご来訪、有難うございました。 ……それではゼミを始めます。今日は東京旅行などで先週実施できなかった、年末発売の「ジャンプ」4・5合併号関連の内容で軽めにお送りします。増刊レビューとかは今しばらくお待ちを。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(6・7合併号)に読み切り『FOREST』(作画:内水融)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年4・5合併号☆ ◎読み切り『氷姫奇譚』(作画:河下水希) ●作者略歴(参考:河下水希・桃栗みかんファンサイト「OVER
DRIVE」他) “河下水希”名義でのデビュー作は週刊本誌00年19号の『りりむキッス』で、同年48号より連載化された(2クール24回で打ち切り終了)。「赤マル」01年夏号で読み切り掲載を挟んだ後、02年12号より『いちご100%』を連載開始。これがスマッシュヒット、05年35号まで全167回の長期連載(&05年秋発売の「ジャンプ
the REVOLUTION」にて番外編も掲載)となり、CDドラマやテレビゲーム、更には深夜枠でのアニメ化など複数のメディアへの進出も果たした。 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 まぁそんな事はさておき、作品の中身について。 まぁこの作家さんと作品の主軸が、ストーリーの内容よりもヒロインのキャラ描写やお色気シーンの方に向いているのは百も承知なんですが……。それでも、もっとシナリオを練り込めば、正統派のストーリー系作品としても十分通用するような素材だと思えるだけに、残念さの方が先行してしまいます。呪いの原因となった過去のエピソードを、もう少しジックリ描くだけでも随分と違った印象の作品になったと思うんですけどね。 ●今回の評価
……といったところで今日はひとまずこれで終わります。なお、今週は週末にもう1回ゼミを実施する予定です。 |