ハロープロジェクト年末シリーズ最終戦
日本武道館大会・結果レポート


高橋愛・試練の七番勝負(シリーズ2日目〜最終日)

高橋愛・試練の七番勝負・第1戦(30分一本勝負)

高橋 愛 VS 飯田 圭織
7分10秒 ジャーマンスープレックスホールド

※戦評※
 飯田が終始余裕のある展開。高橋の技を受けきったところで、攻めに転じ、キック連発から高角度ジャーマンで完勝。

 

高橋愛・試練の七番勝負・第2戦(30分一本勝負)

高橋 愛 VS りんね(カントリー娘。)
12分50秒 ダブルリストアームサルト

※戦評※
 両者の悪いところばかりが出てしまった凡戦。
 強引に勝ち急ぐ高橋と、それに引きづられてしまう、対戦相手のりんね。お互いにバタバタした印象は否めず、高橋は先輩選手にシングル初勝利も、試合内容がこれでは…

 

高橋愛・試練の七番勝負・第3戦(30分一本勝負)

高橋 愛 VS 中澤 裕子
4分33秒 逆エビ固め

※戦評※
 中澤に気圧され、気合の入らない高橋に中澤が激怒。ビンタ1発でダウンを奪うと、強烈な逆エビで試合を終わらせてしまう。
 試合後、怒りの収まらぬ中澤は、高橋の控え室へ乱入し、怒りの鉄拳制裁。「オーディションで漏れた子達の悔しさが分からないのか!」と吐き捨てて会場を去った。

 

高橋愛・試練の七番勝負・第4戦(30分一本勝負)

高橋 愛 VS 保田 圭
15分21秒 スリーパーホールド

※戦評※
 前日の中澤戦で、何か期するところがあったのか、今日は高橋の動きが目立った。
 だが、地力の差は如何ともしがたく、粘る高橋を、保田が執念深くスリーパーで絞め落とした。

 

高橋愛・試練の七番勝負・第5戦(30分一本勝負)

高橋 愛 VS 平家 みちよ
10分10秒 パワーボム返しのウラカン=ラナ→エビ固め

※戦評※
 キャリア・技量に勝る平家のペースで試合が進行。
 だが、高橋の諦めずに食らいつく姿勢が勝機を呼んだ。パワーボムをウラカンで切り返すと、懸命に押さえ込んで殊勲の3カウント。

 

高橋愛・試練の七番勝負・第6戦(30分一本勝負)

高橋 愛 VS 後藤 真希
8分20秒 タイガードライバー→エビ固め

※戦評※
 後藤の懐の深さが出た試合。高橋の良いところを全て引き出した上で、磐石のタイガードライバー葬。

 

高橋愛・試練の七番勝負・第7戦
◎ニュースター・オブ・ハロープロジェクト 王座決定戦
(30分一本勝負)

高橋 愛 VS 松浦 亜弥
1分35秒 バックドロップホールド
※松浦が初代王者に。高橋の戦績は2勝5敗。

※戦評※
 全てにおいて、松浦と高橋の現時点での力の差を、白日の下に晒した試合。
 奇襲に活路を見出そうとする高橋、しかし松浦はどこまでも冷静に対応する。巧みに場外へ放り出し、得意のノータッチトペ。これで高橋はグロッキーに。
 無理矢理、リング上に担ぎ上げられた高橋を、松浦は高角度バックドロップでマットに叩きつけ、そのままホールド。見事に初代王者の座を手に入れた。

 


モーニング娘。最強タッグ決定リーグ戦・決勝巴戦

モーニング娘。最強タッグ決定リーグ戦
 決勝巴戦第1試合(時間無制限一本勝負)

後藤 真希 VS 飯田 圭織
安倍 なつみ 紺野 あさ美

 試合前、4人が佇んでいるリング上。
 誰もが、その情景を不思議そうに眺めていた。
 いや、一番不思議に思っていたのは、紺野本人だったかもしれない。
 「どうして私、ここにいるんだろう?」
 紺野の目が、そう訴えていた。
 散々だった9月のデビュー戦。あの時も武道館のリングだった。
 しかし、あの時は第1試合。今日はメインイベント、しかもタッグリーグ戦の優勝戦だ。
 底辺から、頂点へ。
 わずか3ヶ月で、彼女はここまで駆け上がった。だが、その事実を目の前にしても、なかなか実感が沸かない。しかし、ゴングは鳴る。急かされるように、紺野はリング内に踊り出た。対する後藤組の先発は安倍。

 優勝の条件は2連勝。しかも、次に控えているのは、全く無傷の石川&吉澤組である。時間無制限とはいえ、長期戦に持ち込むつもりは、お互いに毛頭無い。最初からハイスパートの大技合戦になった。
 ファーストアタックは、なんと安倍のデスバレーボム。いきなり3カウント級の一撃だったが、紺野は際どくクリア。続いて2発目も狙おうとするが、それは飯田がカットに入って阻止。飯田のフォローを受けて、今度は紺野がノド輪落とし。これは安倍がカウント2でクリア。
 その直後、両チームともタッチして後藤と飯田のコンタクト。後藤のタイガードライバー狙いを、飯田がリバースして返すと、すぐさま必殺技の高角度ジャーマンへ。カウント2だったが、試合開始数分で、全員の決め技が出るという異常事態に。
 フィニッシュは唐突に訪れた。
 再び両チームがタッチを成立させて、安倍−紺野に試合権利が移ると、安倍は三度、デスバレー狙い。それを紺野は飛びつきのDDTで切り返すと、新技へ!
 安倍の顔面をアイアンクローで鷲掴みにすると、ノド輪落としの要領で、頭からマットに叩きつける大技が炸裂した。安倍は紺野のこの技──ジャスティス・スレッジハンマー(正義の鉄槌)と命名──で、完全にK.O。後藤が救出に入るも、安倍は完全に失神しており、成す術なし。どうする事も出来ず、呆然と3カウントを聞く羽目になった。

  後藤 真希 VS 飯田 圭織  

安倍 なつみ 紺野 あさ美
 4分54秒 ジャスティス・スレッジハンマー→片エビ固め

 1万2千人のどよめきが、武道館を覆い尽くす。女王ペア、まさかの初戦敗退。そして、飯田&紺野、奇跡の優勝まで、あと1つ。

 

モーニング娘。最強タッグ決定リーグ戦
 決勝巴戦第2試合(時間無制限一本勝負)

  VS 1勝
石川 梨華 飯田 圭織
吉澤 ひとみ 紺野 あさ美

 もう、誰も席に着いている者はいなかった。リングアナの「お座りください」のアナウンスが空しく響く。
 会場を埋めた1万2千のファンのボルテージは極限にまで達していた。「自分たちは歴史の証人になる」という自覚と歓喜に溢れていた。
 一方、新たに入場してきた石川と吉澤の表情は硬い。まさかの後藤組の敗北に、試合前に練っていた全ての目論見が崩れてしまったのだろう。そして、安倍を一発で粉砕した、紺野の新技の威力。これが不安材料にならないはずがない。

 試合は、石川組にしては非常に慎重な立ち上がりとなった。大技の応酬になっては分が悪いと判断したのか。繋ぎ技を積み重ねてゆく、オーソドックスな試合運びを見せた。
 こうなると、紺野の地力の低さが顔を覗かせてしまうが、それも飯田が要所要所でフォローに回り、互角の戦いを見せる。
 試合が動いたのは20分過ぎ。とうとう捕まってロンリーバトルを強いられた紺野に的を絞る石川と吉澤。合体のドロップキック、ショルダータックルを浴びせ、いよいよ地獄のフルコースへ。
 だが、合体のアックスボンバーを、紺野が紙一重で交わして2人を自爆させると、試合権利の無い飯田が出てきて、2人にジャーマンを決めた。形勢は一気に飯田組の下へ。
 試合権利が有るのは紺野と吉澤。飯田が石川を場外に釘付けにしている隙に、ついに火を噴くジャスティス・スレッジハンマー!
 吉澤の後頭部が、鈍い音を立ててマットに沈んでゆく。身長差でジャストミートではなかったが、それでもフィニッシュ級の一撃。紺野がフォールの態勢へ。救出に入ろうとする石川を、飯田が懸命に押さえている。レフェリーのカウントが始まる。1……2……

 しかし、ここでリングに入ろうとする石川の足を掴んでいた飯田の手がスルっと滑った。レフェリーが3つ目のカウントを入れようとしたその瞬間に、石川がレフェリーもろともタックルを浴びせて阻止する。惜しくも3カウントならず。そして、これが飯田&紺野にとって、優勝へ最も近付いた瞬間だった。

 プロレスにおいて、一度逃した勝機は、なかなか再びやっては来てくれない。もう一度、いろいろなモノを積み上げていく作業をしなくてはならないのだ。試合はとうとう泥仕合と化した。
 試合時間は30分、40分と重ねられてゆく。
 リーグ戦の様子からも、長期戦は飯田組に有利なように思えた。が、時間無制限という設定、勝機を逃したというショックが飯田と紺野を肉体的にも精神的にも追い詰めていった。
 それでも勝機が全く無かったわけではない。ダブルインパクト狙いで肩車された紺野が、高角度回転エビ固めでそれを切り返してみせたり、飯田がコーナーポストめがけて投げっぱなしジャーマンを決めたりと、石川組を何度も追い込んだ。しかし、3カウントを許さないのが石川組の強さ。リーグ戦でもフォール負けは1度も無かったのだ。
 45分経過。飯田と吉澤が場外乱闘を繰り広げている間に、紺野が石川に再度ジャスティス・スレッジハンマー狙い。だが、焦りが隙を生んだ。
 紺野は忘れていたのだ。石川がどのようにして2冠女王の座に就いたか、ということを。勝つためには手段を選ばないのではなかったのか。リーグ戦でも額を割られたのではなかったのか。
 鷲掴みにされた石川の顔、その口から緑色の禍禍しい霧がほとばしった。悲鳴をあげて、緑に染められた自分の顔を手で覆う紺野。そこへ不意打ち気味に、石川渾身のラリアットが炸裂した。
 リーグ戦、この巴戦を通じて、窮地の度に紺野を救ってくれた頼もしいリーダー・飯田圭織。だが、その彼女は、紺野の1m手前で吉澤に組み伏せられていた……。

石川 梨華 VS 飯田 圭織  

 

吉澤 ひとみ 紺野 あさ美
 45分12秒 毒霧攻撃→ラリアット→体固め

 壮絶な泥仕合が終わった。負けた飯田&紺野はもちろん、勝った2人もマットに突っ伏したまま動けない。4人が繰り広げた激闘の証がそこにあった。

 そこに、後藤&安倍組の入場テーマが流れてきた。そう、まだ決勝戦は終わったわけではなかった。もう1試合、いや、勝負の展開によってはエンドレスで戦いは続くのだ。それを考えると、この巴戦という試合方式は、なんと残酷なものなのだろうか。
 後藤&安倍組の入場。50分近いインターバルがあったとはいえ、完全に失神させられていた安倍は、未だ足もとがフラついている。まともに試合できるとは思えない。
 リング上では、モー娘。のメンバーに肩を貸されて、飯田と紺野が退場しようとしていた。石川と吉澤は、まだコーナーやロープにもたれている。まだ立てないほど疲労が残っていた。
 白熱した好勝負から、一転して壮絶な消耗戦へ。武道館のリングは、プロレスの持つ色々な表情を次から次へと映し出していた。

 

モーニング娘。最強タッグ決定リーグ戦
 決勝巴戦第3試合(時間無制限一本勝負)

1勝 VS  
石川 梨華 後藤 真希
吉澤 ひとみ 安倍 なつみ

 秋の武道館大会を発端に始まった、壮絶な遺恨合戦。それがついに決着の時を迎える。しかし、皮肉なことに、お互いが全力を出し尽くせるシチュエーションには程遠い。プロレスの女神は、時には強烈な皮肉を口走るものだ。

 選手入場から数分、ようやく試合が始まった。後藤に対するは石川。後藤はノーダメージに近いが、自軍のコーナーに安倍はいない。入場するのがやっとで、ゴングの後はリング下でうずくまっていた。事実上の1対2である。
 もう、完成度の高い試合が望めないのは分かっていた。勝負の行方さえ、興味から外れていたかもしれない。でも、誰もが4人を見守る事だけは止めようとしなかった。

 最初の勝負所は8分過ぎ。1対2で瞬く間にスタミナを浪費させられた後藤が追い込まれる。サンドイッチ・アックスボンバーからダブルインパクトへ。しかし、コーナーに上った石川を、最後の力を振り絞って復活した安倍が捕まえる。ロープに足をかけ、雪崩式のデスバレーボムを決めた。肩車から脱出し、石川をフォールする後藤。だが、安倍はもう動けない。吉澤がカットに入って3カウントを阻止した。
 この後、安倍に場外でブレーンバスターを見舞ってトドメを差した石川&吉澤組が最後のラッシュ。後藤も懸命に抵抗するが、多勢に無勢では勝機は来ない。
 勝負を決めたのは、吉澤の倒れこむようなラリアット。体ごと押しつぶすようにして3カウントを奪った。

  石川 梨華 VS 後藤 真希  

吉澤 ひとみ 安倍 なつみ
 12分36秒 ラリアット→体固め
※石川組の優勝。

 壮絶な巴戦が終わった。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、奇妙な終焉。しかし、それで選手たちを責めるのは酷というものだろう。

 今シリーズ、非常に多くの収穫があった。紺野の大ブレイクはもちろんのこと、シリアスに徹した辻・加護の健闘、そして下からの突き上げにも関わらず、最後まで主役の座を譲らなかった石川組と後藤組。モーニング娘。全体の地力が飛躍的に向上している事を窺わせる実りあるシリーズとなった。(唯一の懸念は高橋のスランプくらいか)
 今後も、彼女たちに松浦亜弥を交えたメンバーが中心となって、高いレベルのファイトを見せてくれる事だろう。


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