「社会学講座」アーカイブ(演習《現代マンガ時評》・12)
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講義一覧
3/31(第100回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」
(3月第5週/4月第1週分・合同)
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2004年度第100回講義 |
ほとんど反則ですが、日付上は月末実施……という事で、年度講義回数100回を何とか達成出来ました。今年度は公私多忙で講義回数が随分と減ってしまいましたが、ご愛顧有難う御座いました。 さて、本当ならこの冒頭挨拶で、「ライブドアとフジ・サンケイグループの攻防戦は、まるで『ジャンプ』のバトル系マンガみたい」という話をしようと思ったのですが、時間も気力も足りない状況ですので、また別の機会に。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(18号)に『TEAM』(作画:宮本和也)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(18号)より『うえきの法則プラス』(作画:福地翼)が連載開始(再開)となります。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年17号☆ ◎読み切り『ふるさとさん』(作画:郷田こうや) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ただ、ツッコミが“ボケを説明しているだけ系”で、全般的に物足りなかったのと、ビジュアルで見せるギャグが今一つインパクト不足だったのではないでしょうか。折角のテクニックが、大きな笑いに繋げる事が出来ていなかったように思えるのです。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 去年に色々話題を呼んだ「ジャンプ・イン・ジャンプ」が今年も登場。今週は『BLEACH』のゲームブック形式の尸魂界編復習企画と、7ページのショート番外編、そして雑多な企画諸々でした。 『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』は、どうやら以前の感動系ショートストーリーに回帰したようですね。大人の事情で軌道修正しかけたものを中断した…といったところでしょうか。 『魔人探偵脳噛ネウロ』は、ちょっととんでもない方向へ行ってしまいましたねぇ……。もうミステリ風味も何も素っ飛んでしまって、「今週の殺人鬼さん」を紹介してるだけのマンガになっちゃいました。今回のエピソード、トリックなんかどうだって良くなってますからね。 今週の『ユート』で最後に出て来た「スピードスケートじゃない」競技は、見たところショートトラックっぽいですね。ザッとネットで調べてみると、ショートトラックは北海道以外でも小学生の競技会が開かれているようです。ひょっとしたらショートトラック競技のマンガになってゆくんでしょうか? ☆「週刊少年サンデー」2005年18号☆ ◎新連載第3回『見上げてごらん』(作画:草場道輝) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) 結局のところ、この作品には「他に無いセールスポイント」と呼べる点が見当たらないのです。ソツなく必要最低限の水準はクリア出来ていたとしても、加点材料が無くては、「悪くない作品」ではあっても「良い作品」にはなり得ないでしょう。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週はまず、連載第10回になった作品の評価見直しから。 ◎『兄踏んじゃった』(作画:小笠原真) 作品の内容に変化が見られず、評価も変えようなし……という事になりました。個人的には数週間に1度くらいは笑える所もあるのですが、どのみち、その程度の頻度では厳しいですね。 さて、『MAJOR』は急転直下というか、これだけ長年引っ張っておいた割には簡単過ぎる幼馴染みカップル成立となりました(笑)。体育会系も行き着くところまで行くと、構造的にラブコメが成立出来ないのかな……などと考えてしまいました。この辺、『いでじゅう!』とは沢山の意味で好対照ですね。 あと、心底どうでもいい話とは思うのですが、『ブリザードアクセル』の扉ページ、吹雪の決めポーズがゴルゴ松本の「命!」にしか見えないんですが、どうすれば良いんでしょうか? ……どうやら目がおかしくなっているみたいですので、今週はここまでにしたいと思います(笑)。では、また来週。いよいよ新学期が始まって公務多忙になりますが、出来る範囲で頑張ります。 |
2004年度第98回講義 |
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遅くなりましたが、旅行明け最初のゼミを行います。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(17号)に『ふるさとさん』(作画:郷田こうや)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の皆さんのキャリアは以下の通りです。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎入選の麻生羽呂さん…メールマガジン「まんカレ通信」の受賞者インタビューによると、「これが3度目の投稿で、前回は努力賞を受賞した」とのこと。01年11月の開講以来のデータに、麻生羽呂名義の受賞者は無く、別ペンネームを使用していたものと思われる。 ……「ストーリーキング」は2部門とも準キングが出ました。『アイシールド21』の稲垣理一郎さん以来(コアな所では中島諭宇樹さんや岩代俊明さんという“原石”も出ましたが)、ちょっと「ストキン」出身者はあまりパッとしない状況が続いていますんで、ここらでドカンと来てもらいたいモンですね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年16号☆ ◎読み切り『RARE GENE4』(作画:夕樹和史) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 そして、先に少し述べましたが、キャラクターや世界観の設定についても、必然性の欠けた過去作から取って付けたようなモノが多かったように思えます。特に、主人公側が義賊をやっている事に対する動機付けが非常に甘く、読み手がなかなか主人公に感情移入出来ない状況が生まれてしまったのでは……と思います。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は時間の都合もあって『武装錬金』のみピックアップ。 ☆「週刊少年サンデー」2005年17号☆ ◎新連載第3回『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央)《第1回時点の評価:B+》 ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ただ、主人公・吹雪のキャラ設定が少々変わり者過ぎて、主人公らしくない(=読者の支持を集め辛い)面があるのは否定出来ないところでしょう。天然ボケ系の主人公は頻繁に見受けられますが、そのコントロールを失敗して連載も失敗する…というパターンも結構ありますので、今後とも気をつけて欲しい要素では有ります。 ●現時点での評価 ◎読み切り『父さんとオモチャ達』(作画:クリスタルな洋介) (受講生の皆さんへ:この作品は評価Cとなりました。結果的に読み手の感情を損ねる論調のレビューになっている恐れがあります。この作品のレビューをご覧になるかどうかは皆さんでご判断下さい。) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 何と言うかこの作品、変な人が変な事をする様子だけが淡々と描かれている…という、とんでもないマンガになってしまってますよね。アレな病院に強制入院させられそうなアレな人が好き放題暴れまわっていて、それを周囲が静止する事も出来ずに途方に暮れている物語。これでは笑うどころかドン引きじゃないでしょうか。 ギャグが全く描かれていないギャグ作品となれば、これは白紙答案も同然。評価としても、真っ白なページを眺めた時と同じ点数を付けざるを得ないでしょう。
◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 先程、「ジャンプ」のチェックポイントで、『武装錬金』のシリアスな場面におけるギャグの挟み方についてお話をしましたが、『金色のガッシュ!!』のウンコティンティンについても、個人的には「どうなのコレ?」…といったところでありました。まぁ、こちらは純粋なギャグとしても十分面白いので、それはそれで良しという話ではあるのですがね(笑)。 ところで、ミズノと『MAJOR』がタイアップしたり、桃屋と『ジャぱん』がタイアップしたりと、まるで制作費節約のために宿泊先のホテルとタイアップする大阪ローカルの深夜放送みたいな最近の「サンデー」。今週はセガと『ハヤテのごとく!』がタイアップする事になりました。
──突然失礼しました。講座助手の栗藤珠美です。諸般の事情により、駒木博士にはチョークスリーパーで眠って頂きました。ちょっと泡を吹いていますが、これも生きている証ですのでご心配なく(微笑)。 |
2004年度第97回講義 |
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昨日までの1泊旅行の疲れがまだ残っていて少々ヤバいのですが、最低限のノルマだけでも…ということで、今週のゼミを実施します。 レビューの質が荒れてしまわないよう頑張りますので、最後までどうか何卒。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(16号)に『RARE GENE 4』(作画:夕樹和史)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデ−」では次号(17号)に『父さんとオモチャ達』(作画:クリスタルな洋介)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) 今月の審査員は空知英秋さん。初めての審査という事もあってか、非常に詳細で力の入った講評が大変印象深かったです。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年15号☆ ◎読み切り『斬』(作画:杉田尚) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『ハピマジ』(作画:KAITO) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 とはいえ、実力的には既に代原作家の域を超えており、「ジャンプ」系若手ギャグ作家さんの中でも、5本の指には入る逸材と申し上げて過言ではないでしょう。このまま連載を狙っていってもらいたい逸材の1人です。 ●今回の評価 ◎読み切り『肉ガリ ─NIKUGARI─』(作画:大江慎一郎) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 まず、ページ数の割にネタの絶対数が少な過ぎます。終盤に、ほぼ2ページギャグ無しという場面がありましたが、これは勿体無さ過ぎでしょう。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 『アイシールド21』では、相変わらずの密度で新キャラ紹介と、インターミッションのプロローグを1回に納めてしまいました。新キャラ・陸なんて、かなりな後付け設定なんですが、これを違和感無くまとめてしまう力技はさすがです。 『ONE PIECE』は、漸く全ての主要な設定・伏線が揃ったようですね。それにしても大きな風呂敷を広げる作品になっちゃったもんです。それでも、とにかくシナリオの完成度が高いので、ほとんどケチのつけようが無いんですよね。 さて、先週辺りから、『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』では、第三者に解説させて主人公の能力の高さをアピールする…というパターンが多用されているのですが、これが余りにもわざとらしくて少々閉口。作者の西さんは、そういうのが上手い作家さんのアシスタントを務めていたはずなんですが……。 最後は『ピューと吹く! ジャガー』……の読者企画・『ピューと吹き出す! ジャガー』の方を。すいません、ヒネクレ者で(笑)。 ◎新連載『見上げてごらん』(作画:草場道輝) ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容になってしまっています。ご了承下さい) ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 今後しばらくの内に、どれだけ「この作品ならでは」という新機軸を打ち出せるかどうかが、成功か失敗かの分岐点になってゆくのではないでしょうか。逆に言えば、今のままでは誌面の後半で“その他大勢”として埋没していく可能性が極めて高いと思われます。
さて、今週の「チェックポイント」は、『あおい坂』の評価再検討からお送りします。実は先週で10回になっていたのを失念してたんですが(苦笑)、今回で1回戦が終了したという事で、ちょうどキリが良くなりました。 ◎『最強! 都立あおい坂高校野球部』(作画:田中モトユキ) 今回で1段階の下方修正となりました。 なお、この作品については、とりあえず今回で評価確定とします。今後は大きくテコ入れが入った時などに限って評価の見直しを行います。 ……あと、今週は色々と言いたい作品も多いのですが、また皆さんの心をザワつかせるのもアレですから、心から良かったと思えた『結界師』をピックアップ。戦闘シーンのモンスターデザイン・駆け引き描写・演出等全てがビシッとハマり、非常に見栄えしていて実に良い感じです。 ……というわけで、旅行前最後の講義を終わります。次回講義は週明けになりますが、どうか何卒ご了承下さい。 |
2004年度第96回講義 |
すいません、週が明けてからの講義実施となってしまいました。 まだ目の腫れが引いておらず、時々冷やしながらの講義準備ですが、短時間集中で乗り切りたいと思います。最後までどうぞ宜しく。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(15号)に『斬』(作画:杉田尚)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年14号☆ ◎新連載第3回『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) 特に気になるのが、線が不安定な上に細いという点。ロングショットからの構図での見栄えの悪さの原因になっていると思うのですが、これがペン使いの拙さを余計に目立たせている気がしてなりません。 ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) ただ、これは作者サイドも分かっているのでしょう。第1回ではネウロに「美味そうな謎」「なかなか香ばしい気配」と言わせていたものを、今回謎を食った後では「薄味だった」と“下方修正”させてしまっています。作者ご自身が、今回のネタで良しと思っていないのは救いではありますね。 ●現時点の評価 ◎読み切り『怪盗銃士』(作画:岩本直輝) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただし、顔の造型のバリエーション、特に美少年・美少女系顔の描き分が今一つで、登場人物1人1人の印象がやや薄れてしまったのは残念でした。また、構図の取り方でアップとロングショットの使い分けが上手くなく、「どこに注目すべきか」という情報が読み手に伝わり難くなってしまっているのも減点材料です。 ●ストーリー&設定についての所見 ただし、こちらのファクターについても、そんな長所を相殺してしまうような短所がいくつか見受けられ、これまた非常に勿体無い事になってしまっています。 ●今回の評価
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 長かった準々決勝が決着した『アイシールド21』。喜びをストレートに絵で表現した扉ページを見てますと、やっぱり「ここぞ」という時には画力がモノを言うなぁ…なんて思ったりしますね。 『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』は、落ちこぼれキャラのロージーが潜在能力開眼…という一幕。ストーリーを大幅にテコ入れした以上、キャラ設定も大胆に弄るべし…といったところなのでしょうか。 そして、『武装錬金』は「ブラボー生きてました」という、正直言って脱力の展開へ。確かに武装錬金が作動している以上、生きていないとおかしいんですが、さすがにこのヌルさは……どうなんでしょうかね。「生死不明で姿を消す→主人公のピンチに突如復活」というフェニックス一輝パターンも確かにアレですけど(笑)。
☆「週刊少年サンデー」2005年15号☆ ◎新連載『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央) ●作者略歴 ●絵についての所見 しかしながら、余りにもステロタイプな前半の“主人公空回り劇”といい、余りにも陳腐な後半の“小物感”漂う敵役をギャフンと言わせるスケートシーンといい、ストーリーの内容については不安の残るスタートになってしまっています。奇をてらい過ぎるのも問題ですが、余りにベタ過ぎるのも如何なものかと。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 「友を救うか、世界の人類を救うか」という、『HUNTER×HUNTER』の世界なら「回答しない」が正解になるような問題がテーマとなった『金色のガッシュ!!』。答えは予想通り「どっちも助ける」だったわけですが、ガッシュが余りにも気持ち良く他力本願を宣言したのには、笑っちゃいけないけど笑ってしまいました。 ……あぁ、他の作品についても喋りたいんですけど時間がありません(現時点で月曜日の朝5時です^^;;)。 ──とりあえず、今日はこれくらいで勘弁して下さい。今週のカリキュラムもまた変則的になりますが、また追って連絡します。では、ひとまず失礼します。 |
2004年度第94回講義 |
一昨日に引き続いて、今週のゼミをお送りします。 ※今週後半のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年サンデー」2005年14号☆ ◎読み切り『キングさん』(作画:福井祐介) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 しかし、そのテクニックを実際に読み手の笑いに繋げる手立てが余りにも至っていない印象がありました。 ●今回の評価
●作者略歴(資料不足のため不完全な内容です) ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◎『たまねギィィ!!!』(作画:突飛) ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容です) ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は『D-LIVE』が100回記念という事で、いつもの“指定席”を離れて誌面前半でセンターカラー。おかげで、どこに載ってるのかと随分と探しました(笑)。 あと、最近ずっと気になってるのが、『クロザクロ』のビックリ人間路線。今週も、「うわ、すごーい」と、K−1の谷川プロデューサーのような気の抜けた声を上げてしまいそうになるビジュアルの人たちが6人も登場です。 ──などと、作者ご本人が見てる前でこんなネタ喋って大丈夫か? ……といった疑問を孕みつつ、今週のゼミを終わりたいと思います。では、また。 |
2004年度第93回講義 |
今週は、「サンデー」で読み切り3本掲載という修羅な編集方針のため、ゼミは2日に分割して実施したいと思います。 ところで、近頃ネット界隈を大いに賑わせた話題といえば、久米田康治さんが「週刊少年マガジン」で新連載を立ち上げるというニュースですね。『ネギま!』の赤松健さんも日記で公言していましたし、これは確定情報と見ていいでしょう。 もっとも、久米田さんの場合、『改蔵』の終わり方が終わり方だっただけに、小学館や「サンデー」編集部と険悪な関係に陥った可能性は大いにあるでしょう。その後の編集長が交代したとは言え、去年の段階で赤松健さんへの根回しが行われている事を考えると、それよりも早く「マガジン」の話がまとまっていた…と考えた方が妥当のような気がします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(14号)に『怪盗銃士(シーフガンナー)』(作画:岩本直輝)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(15号)より『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央)が、次々号(16号)より『見上げてごらん』(作画:草場道輝)が、それぞれ連載開始となります。 ※今週前半のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年13号☆ ◎新連載第3回『ユート』(作:ほったゆみ/画:河野慶) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ただ、河野さんにとって悲劇なのは、立場上どうしても、ほったさんの前作『ヒカルの碁』と比べられてしまう事でしょうね。小畑健さんと同じ土俵に上げて比較されるなんて、作家さんの立場からしたらたまったもんじゃないでしょう(笑)。 ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) ところで、凡百の作家がこのようなマイナーなジャンルを題材にした作品を描いた場合、作品序盤は説明的なセリフや過剰なウンチクが羅列され、読み手を辟易させてしまうものです。が、さすがは『ヒカルの碁』の原作者と言うべきか、この作品ではそんな無粋な要素は皆無に近いと言って良いでしょう。 そんな中、敢えて僅かな問題点を探すとすれば、作品全般に段取り臭さと言いますか、登場人物の言動の中に作者の意図があからさまに表れ過ぎている点。これは「過ぎたるは及ばざるが如し」といったところで、スキルが高過ぎるほど高い、ほったさんならではの短所ではないでしょうか。 ●現時点の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 『DEATH
NOTE』は今週で第1部・完。しばらく休載の後、“L”の後を継ぐ“M”と“N”の2人がライトを追い詰める第2ラウンドが開始される事になりそうです。 先週、カズキVSブラボーが決着した『武装錬金』は、早くもブラボー退場と言うサプライズ。確かに、作品の中でブラボーが果たすべき役割は全て果たした感もありますが、『DEATH
NOTE』並に思い切った決断ですよね。 あと、マンガ以外では「十二傑新人漫画賞」の審査過程が公開されていて、大変興味深かったですね。 ──さて、とりあえず今日はここまで。明日は「サンデー」の若手作家ギャグ作品3連発。ちょっとした大仕事になりますが、頑張ります。ではでは。 |
2004年度第91回講義 |
『ハヤテのごとく!』の単行本が売れ行き好調で、早々に重版が決定したみたいですね。 ──などと、1年前の今頃は郊外の寂れた電器量販店でモデムを配ってた現役高校講師がお送りする、今週の「現代マンガ時評」です。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年サンデー」では次号(14号)に「サンデーGAGフェスタ2005」として、 ……正直、増刊レビューでもないのに若手さんのギャグ作品を3つも一気にレビューするのは、かなり精神的に厳しい作業なのですが(苦笑)、まぁなんとかやってみたいと思います。 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年12号☆ ◎新連載『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征) ●作者略歴 ●絵についての所見 総合的に見れば、「『ジャンプ』の週刊連載作品としては、赤点スレスレの及第」…といった辺りになりますか。 ●ストーリー&設定についての所見 ただ、これらの加点材料をゴッソリ帳消しにした上に、更に減点せざるを得ないのが、この作品の重要な要素であるミステリ部分のお粗末さ。読み手によって評価の分かれる部分ではあるでしょうが、これを「完成度の高いミステリ作品」と断言するのは、さすがに無茶ではないかと思います。 まず、“事件発生→即、解決編”という流れがもたらす、ドラマ性の薄さという構造的欠陥は、今回の“喫茶店の殺人”でも露呈してしまいました。いくら特殊なタイプの作品とはいえ、ストーリー性を完全に無視しても良いという理屈にはならないでしょう。読み手の気持ちを作中世界へいざなう為にも、せめて挿話の体を成す程度のシナリオは用意して欲しいところです。 そして、それ以上に拙いのがメインの謎解き部分……いや、これはもう既に謎解きですらありませんね。むしろ“謎造り”と言うべきものです。 ──確かにこの作品は、巧みな設定構築と高度な演出によって、ミステリ要素抜きでもキャラクターや作品の雰囲気を楽しめるような造りにはなってはいます。ですが、やはり“謎解き”を作品の柱に据えた作品である以上、その柱がグラグラでは、作品全体の価値も大きく揺らいでしまうというものです。 ●現時点の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ やはり巷に流れたネタバレ通りの衝撃展開となった『DEATH NOTE』。いずれ行き着く所はココしかなかった…という着地点ではありますが、本当にそこに着地させちゃって良かったの? …という話のような気も。冷静に見ると、余りにも救いの無いストーリーですしねぇ。 一方で、『アイシールド21』は異様にアツい展開に。最近やや間延び気味だっただけに、結果的に物凄いメリハリがついた形になりました。本来一番冷静なキャラを心底焦らせて、読者にも危機感を伝える…というテクニックは見事ですね。 『武装錬金』は、カズキVSブラボーが決着。フィジカル面で足りない力をメンタル面で補完するという、熱い戦闘シーンの鉄則が貫かれているのは良かったとは思います。ただ、これだけの因縁の対決ですから、もうちょっとシーソーゲームを展開させてもバチは当たらなかったような気も……。 そして今週で最終回となった『未確認生物ゲドー』。序盤から巻末近くの掲載順を維持したまま4クール。往年の『ノルマンディーひみつ倶楽部』を彷彿とさせるような、長期低空安定飛行でしたね。 ☆「週刊少年サンデー」2005年13号☆ ◎短期集中連載・最終回総括『あやかし堂のホウライ』(作画:金田達也《原案協力:藤田和日郎》) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) 設定面では、増刊版の登場人物のほとんどを引き継いだ割には、踏み込んだキャラ描写が出来ず、アヤカとホウライ以外の扱いが極めて中途半端に。特にホウライの性格描写が非常に甘く、肝心のクライマックスシーンが完全な御都合主義になってしまいました。 藤田和日郎直伝の演出・戦闘シーンの盛り上げ方など、見所も多分にあったのですが、それも作品のクオリティを上げるどころか、何とか下げ止めるので精一杯といったところ。残念ながら、今回の短期集中連載は失敗と断ぜざるを得ません。 ●最終評価
(受講生の皆さんへ:この作品は評価Cとなりました。結果的に読み手の感情を損ねる論調のレビューになっている恐れがあります。この作品のレビューをご覧になるかどうかは皆さんでご判断下さい。) ●作者略歴(シェルターさんの「週刊少年ジャンプデータベース」を参考にさせて頂きました。管理人の高円寺Qさん、お気に入りの作家さんにいつも低い評価をつけてしまってすみません^^;;) なお、坂本眞一さんや、いとうみきおさんのスタジオでアシスタント経験アリとの事。 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 まずは設定。キャラクター設定と場面設定のほぼ全てにおいて現実感が希薄で、更にその無理っぽさを捻じ伏せるだけの説得力が皆無と来ています。 ストーリーも、要約すれば「(得体の知れない3人組が)来た、見た、勝った」で終わってしまう、カタルシスの薄い内容に終始。何の苦労も駆け引きも無く、ただ突撃プレイを掛けたら10点差をひっくり返して勝ちました、女の子にもモテました…というこのシナリオで、飯島さんは一体何を伝えたかったのでしょうか? ●今回の評価 さて、初めて評価Cのレビューに触れて、気分を悪くされた方、申し訳ありません。今回みたいにストーリー・設定において褒める要素が全く無い場合、こういう事になってしまいます。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 『MAJOR』が今週で連載500回の節目を迎えました。まぁ色々とツッコミ所のある作品ではありますが、小学生編・中学野球編・海堂高校編・聖秀学園編・米3A編…と、長編作品6本分のストーリーを全うした上に、ここから更にもう一花咲かせようというのは、やっぱり凄いですよ。 『ハヤテのごとく!』は、余りにもベタな天然ドジ系メイドさん登場。涙目で睨むところで萌えを誘う所なんて、本当にあざといんですが、それでも畑さんが描くと許せてしまう何かがありますね。 ……というわけで、今週はここまで。先週から1本レビューを準備するのに3〜4時間かかってしまって、大変往生してます。細かい事をあれこれ考えるより、「コミックアワード」の時みたいに一気にバーッとやっちゃうのが一番だとは、大脳新皮質では分かってるんですけどね……。 |
2004年度第89回講義 |
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今年の「小学館漫画賞」、既にBBSの方では児童部門の『ケロロ軍曹』誤記問題で一盛り上がりしたのですが、こちらで採り上げるのをすっかり忘れておりました。 そして今週になって、小学館の各マンガ誌で詳細が発表されていますが、少年部門で惜しくも落選となった“対抗馬”は「マガジン」代表『魔法先生ネギま!』と、「サンデー」代表『MÄR(メル)』だった模様です。まぁ読者の立場から有り体に言ってしまえば、“商品”色の強いマンガの中から一番“作品”っぽいモノが選ばれたのかな? ……といった感じですね。 ──それにしても、『ネギま!』が「小学館漫画賞」ノミネートなんて大ネタ、「講談社漫画賞」ノミネート作家・久米田康治さんなら絶対に放っておかないはずなんですが、勿体無いですねぇ……。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年サンデー」では次号(13号)に『蹴闘男 最強蹴球野郎列伝』(作画:飯島潤)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) 今月の十二傑賞は、3度目の最終候補エントリーの杉田尚さんがゲット。念願のデビュー権獲得となりました。 ★その他公式アナウンス情報 ◎「週刊少年ジャンプ」の不定期連載(長期休載中)作品『スティール・ボール・ラン』(作画:荒木飛呂彦)の「ウルトラジャンプ」誌移籍&連載再開が、このたび同誌公式ウェブサイト上で発表されました。(公式サイト:『スティール・ボール・ラン』スペシャルコーナー※音が鳴りますので注意)公式アナウンスによると、05年4月号にプロローグ編が掲載、そして5月号より本格連載開始になるとの事です。 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年11号☆ ◎新連載『ユート』(作:ほったゆみ/画:河野慶) ●作者略歴 ※河野慶さん ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ただ、今回はプロットとストーリー展開の中で、2点ばかり不自然な箇所が見受けられました。 ●現時点の評価 ◎読み切り『サムライ手芸部』(作画:楽永ユキ) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグ(及びストーリー&設定)についての所見 ──というわけで、様々な角度から内容を吟味した上で感じた事は、「実に中途半端な作品だな」…と。物凄く小さい風呂敷を広げかけたかと思ったら、すぐに手仕舞いしてしまったような、そんな印象を受けました。 ●今回の評価
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ さて、今週の「チェックポイント」は、この号で連載10回となった『ムヒョ』の評価再検討からお送りします。 ◎『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(作画:西義之) 今回から新展開という間の悪さで、今回も暫定評価という事になってしまいました。まぁ1クール打ち切りが無かっただけでもヨシとすべきなんでしょう。 他の作品については、時間が時間ですので今週は割愛します。“嵐の前の静けさ”的なエピソードが多かったので、敢えて今週に採り上げなくても、次号以降いくらでも語る機会はあるでしょうしね。特に『DEATH
NOTE』は、ネット界隈で流れているネタバレが本物なら、とんでもないお祭りになるはずですから……。 ☆「週刊少年サンデー」2005年11号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週で『KATSU!』が、やや唐突な最終回となりました。いかにも中途半端な完結のさせ方は色々な類推を呼びますが、作家さんの“格”や連載期間などから考えると、編集部からの打ち切りは考え辛いでしょう。あだち充作品としては商業的に成功したとは言い難いですし、作者サイドから手仕舞いに入ったとしても不自然では有りません。 他の作品については、こちらも時間が無いので大幅に割愛しますが、『いでじゅう!』の「初めて彼女が出来た男子高校生の舞い上がりっぷり」の微笑ましいリアリティには、自分の10数年前を思い出して身悶えました(笑)。「ビッグコミックスペリオール」の『漫歌エロチカ派』(作画:相原コージ)に登場する“秘密結社”風に言えば、鳴り物・大太鼓まで引っ張り出しての大喝采です。 ……さて、取り急ぎ…という感じでしたが今週はここまで。来週は時間がたっぷり取れますので、もうちょっと早い段階で何とかしたいと思います |
2004年度第87回講義 |
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どうも、この時期になると、何故か17年前のファミコン版「ドラクエ3」発売日前後の事を思い出す駒木ハヤトです。17年前なんて、今、高校講師として駒木が授業を受け持っている生徒が生まれた頃なんですよね。そりゃ年も取るはずだなあ。 当時駒木は小6で、発売日は平日の水曜・2月10日。当時はTVゲーム専門店自体が殆ど存在せず、ゲームといえば電器量販店かデパートの“おもちゃ売場”で買うというのが相場。予約も出来ません。 ……とまぁ、長々と昔話をしましたが、この話で駒木が一体何を言いたかったかと申しますと、「世の中変わらないなぁ。ついでに俺も」という事で(笑)。30前にもなって毎週「ジャンプ」と「サンデー」を熟読して批評までしちゃってるバカな野郎ですが、今後ともどうか何卒。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(11号)より『ユート』(作:ほったゆみ/画:河野慶)が、次々号(12号)より『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征)が連載開始となります。 やや例年に比べて時期が早いですが、今年度最初の新連載シリーズが開幕です。今回は久々の複数作品開始という事で、ヒット作連発に甘えない「ジャンプ」の積極的姿勢が窺えます。 まず『ユート』は、『ヒカルの碁』で大ヒットを飛ばした原作者・ほったゆみさんの「ジャンプ」2作目。囲碁を扱った前回に引き続いて今回もマイナージャンルであるスピードスケートを題材にチョイスして来ました。 次に『ネウロ』は、「赤マル」→本誌で読み切り連続発表からの連載という、最近では『スピンちゃん』や『ムヒョ』と同じコースを通っての連載獲得となりました。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎努力賞の小川公世さん…03年4月期「まんがカレッジ」であと一歩で賞 ……今回は10代受賞者が4名…という話でしたが、うち3名は過去にも入賞歴のある“新人予備軍”の皆さんでした。とはいえ、10代前半の身でキチンと2作目を完成させたというのも凄い事には変わり無いんでしょうけどね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから(←今週、少し加筆してます)。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年10号☆ ◎読み切り『FULL COAT』(作画:池田圭司) ●作者略歴 ●絵についての所見 総合的に判断すれば、画力は「ジャンプ」では何とか及第点クラス…という水準でしょうか。 ●ストーリー&設定についての所見 あと、今回の問題点として挙げられるのは主人公のキャラ設定でしょうか。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 一昨日のこのコーナーでも述べましたが、今週も冴えに冴えていたのが『銀魂』。こうして見ると、脚本力と演出力というのがマンガにとって如何に大事なものかがよく分かります。現状、この作品の評価はあまり高くしていないのですが、こういう話が月1〜2ペースで量産されるようになったら、A−への上方修正というのも考えるつもりです。 そして久々の“確変”に入りそうな気配の『武装錬金』。最近はおざなりな敵キャラの扱いと物足りないバトル描写の連続で、正直どうしたもんかと思っていたのですが、漸くの復調気配です。 ☆「週刊少年サンデー」2005年11号☆ ◎新連載第3回『兄踏んじゃった』(作画:小笠原真) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ギャグについての所見(第1回時点からの推移) ●現時点での評価 ◎読み切り『トイレの怪人』(作画:佐藤将) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週のトピックスと言えば、やはり遂にカップル成立となった『いでじゅう!』でしょう。もうちょっと今の微妙な関係で引っ張るかな…と思ったのですが、間延びするぐらいなら…と、バレンタインを機に話を大きく動かして来ましたね。 それにしても今週傑作だったのが『道士郎でござる』の開久三高カツアゲ理論。 あと今週は『MAJOR』もマイナーリーグ編のクライマックスという事で渾身の一本でした。力勝負でバットを砕くという定番の決着も、画力が伴っているので説得力がありますし、そこに挿入されたサンダースのモノローグが良い味を出してますね。こういう、盛り上がってる所で客観的な状況の俯瞰を入れるのは個人的に大好きな表現技法の1つです。 ……というわけで何とか「コミックアワード」で出来た時差が解消出来ました。この調子だと来週は旅行記もお送り出来そうです。それでは、また数日中に。 |
2004年度第86回講義 |
「コミックアワード」後、最初の講義をお届けします。まずはその準備で遅れに遅れてしまった、先週分のゼミからです。 ……ところで、「コミックアワード」では2日目の表彰式が後半分翌日順延になるという不始末をしでかしてしまい、本当に申し訳有りませんでした。 ……さて、前口上はこれくらいにしまして、ゼミを始めます。ただ、1週遅れという事情がありますので、情報系の話題は週末実施予定の2月第2週分に全て回す事にします。今日はレビュー1本とチェックポイント少々の“簡易版”という事で何卒。 ※1月第6週/2月第1週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから(←今週、少し加筆してます)。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年9号☆ ◎読み切り『征次郎の道』(作画:長友圭史) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 また、“メイン主人公”・征次郎の性格や行動パターンが悪い意味で主人公らしくなかったのも気になりました。悪役の設定をかなり陰湿なキャラにし、何とか釣り合いを取ろうとはしているのですが、それでも結局は“どっちもどっち”といったところに落ち着いてしまったような……。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」05年9号のチェックポイント◆ この号から『NARUTO』は第2部開始。時間を進めて違和感無く主人公の能力インフレを実現…といったところなのでしょうが、ビジュアル的&内面的にはドラスティックな変化は無いみたいですね。 さて、この号は何と言っても『銀魂』。ギャグと人情噺のバランスが非常に良かったです。最後に2人が「ありがとう」と声を重ねる所なんか、いかにも名作映画のワン・シーンでありそうな場面で、心底唸らされました。 あと、『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』は今回のエピソードも上手く“泣かせ”のツボを押さえていましたね。読み切り版や連載当初はその辺のツボが微妙にズレていたように思えたんですが、見事に修正して来ました。連載を進める内に作家さんの技量が上がっていくというのは、見ていてとても気持ちが良いものです。 それはそうと『いちご100%』。もうここまで来たら、淳平とヒロイン様御一行は一夫多妻制の国に移住するくらいしか丸く収める方法は無いんじゃないかと思ったりするのですが(笑)。 ◆「サンデー」05年10号のチェックポイント◆ この10号、既に次号の内容を知っている段階になると、逆に話がし辛いですねぇ。特に『いでじゅう!』あたり(笑)。 まず誌面前半で目についたのが『結界師』。今回は今後に向けてのネタ振りで、ストーリーそのものは殆ど進行が無かったんですが、その分、見た目で読者に印象付けるために至る所で思わせぶりな演出が効かされてましたね。こういう“良い誤魔化し”が出来るのは、やはり一流の才能というヤツなんだと思います。 あと、誌面後半で目に付いたのが『D-LIVE』。駒木より随分先に「C-WWW」さんが指摘されていたのですが、今回のロコのはしゃぎっぷりってのは、完全に“ツンデレ系”ヒロインですよね(笑)。何だこのキャラクターの破天荒な転がし方は…と思わず笑ってしまいました。 ……といったところで、アッサリ風味で先週分の「現代マンガ時評」をお送りしました。この連休中に、今週分のゼミもやって、遅れをリカバーしたいと思います。 ……まぁそんなこんなで、今後とも何卒。さしあたり、また週末にお会いしましょう。 |
2004年度第85回講義 |
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現在「コミックアワード」の準備で大忙しの駒木研究室ですが、レギュラーの講義も落とせないという事で、とりあえずゼミを実施しておきます。 さて、今週では、通常のレビューとチェックポイントの他、一足先に「コミックアワード」部門賞の最終ノミネート作品を発表させて頂くことにしました。これは、今年の「コミックアワード」では、クオリティ面ではノミネートに全く問題ないものの、授賞の妥当性の面からノミネートを見送った方が賢明…という作品が複数ありまして、これは先に公表して事情を説明しておくべきかな…と思った次第であります。 ……そういうわけで、今週のゼミは通常よりボリューム多目でお送りします。ではまず、いつも通りのレギュラー企画からお送りしましょう。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(9号)に『征次郎の道』(作画:長友圭史)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから(←今週、少し加筆してます)。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年8号☆ ◎読み切り『多摩川キングダム』(作画:風間克弥) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ……何と言いますか、ギャグで笑わせる以前に所定のページ数を埋めるのに必死…という風に感じられてしまう作品でした。2本立て・37ページというのは如何にも酷だったような感じですね。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ さて、先週から急展開で大注目だった『DEATH
NOTE』ですが……。 ……今週は個人的にはやや低調な号だった感じでしょうか。あ、でも『いちご100%』を最終ページまで読んでから3ページ素っ飛ばして、『HUNTER×HUNTER』のフェイタンぶち切れシーンに繋げて読むと、何だか知りませんが気持ちがスカッとしました(笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2005年9号☆ ◎新連載『兄踏んじゃった』(作画:小笠原真) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 見たところ、正統派のボケ&ツッコミよりも、もっとシュール系ギャグの方が向いてそうな作風に思えますので、一度そういうギャグも試してもらいたいところです。「サンデー」はギャグ作品の短期打ち切りは滅多にありませんし、また、分かり易すぎるギャグがお好きな人が編集長から左遷された事ですし、色々試すだけの価値はあると思うのですけれどね。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻頭から嫌事を言いたくなる作品が4色カラーで登場してますが(笑)、「ジャンプ」に続いてあんまりネガティブな事を言い過ぎるとアレですのでパスします。同じ理由で短期集中連載作品や掲載順ケツから3番目の作品についても、苦言を啓上するのは次回以降という事で。 ……というわけで、今週は『いでじゅう!』をピックアップ。類稀なるギャグの才能を埋もれさせたまま、ヌルめの恋愛コメディを続けるのはモリタイシさん的にどうなんだろう? ……などと思いつつも、何気ない細かい仕草を描くことで心理描写までしてしまう卓越したセンスは、やっぱり素直に凄いんじゃないかと。 ──というわけで、今週のレギュラー企画は物理的な事情もありましたがアッサリめに留めさせてもらいました。 さて、喋るにしてもネタ無しでは喋れませんので、早速ノミネート作品を発表させて頂きます。どうぞご覧下さい。
──今回のノミネート作品選出は、純粋な作品のクオリティでは全く遜色無いものの、“授賞の妥当性”の観点から苦渋の選択を強いられたケースがありました。 特に困ったのが短編作品賞。この部門では、『絶対可憐チルドレン』と『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』というレビューの評価点上位2作品をノミネートから外すという事になりました。 まず『絶チル』に関しては、
……という3つの理由から、今回はノミネートを見送り、今春開始の長編連載でその真価を問う事にさせて頂きます。ただし、これだけの作品が2年連続で“無冠”というのも、それはそれで問題でもありますので、表彰式当日に何らかの形で特別表彰をしようと思っています。 また、『ムヒョ』についても『絶チル』で3番目に挙げたのと同じ理由をもって、今回は短編作品賞のノミネートを見送りました。ただし、新人作品賞については、西義之名義のソロデビュー作品である増刊読み切り版こそがこの賞に相応しいという事で、最終ノミネートに挙げさせてもらいます。この辺は我ながらかなりファジーな判断なのですが、エエ加減な賞らしい微妙な匙加減としてご容赦願いたいと思います。 あと、新人ギャグ作品賞についてですが、『無敵鉄姫スピンちゃん』は、プロトタイプ短編である『スピンちゃん試作型』が前年度に同部門を受賞していますし、同一作家が2年連続で“新人賞”を受賞するのもアレだと思いますのでノミネートから外しました。 ……というわけで、「コミックアワード」最終ノミネート作品の“発表会”をお届けしました。また受賞作予想や、“極私的受賞作”などを聞かせて頂けると幸いです。では、週明けのコミックアワード当日にお会いしましょう。 |
2004年度第84回講義 |
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コンディションも良いし、週2回講義でも大丈夫だ…などとタカを括っていましたらこの始末。「サンデー」だけならまだしも、「ジャンプ」のレビューを土曜日深夜にやってるようじゃいけません。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(8号)に『多摩川キングダム』(作画:風間克弥)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデ−」では次号(9号)より『兄ふんじゃった!』(作画:小笠原真)が新連載となります。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ギャグ作品が月例賞で最終候補の壁を突破するのは難しいのですが、今回は「十二傑」始まって以来初の十二傑賞受賞のギャグ作品が出ましたね。ただ、選評を見る限りでは、他の作品の水準もそれほど高くなかったようではありますが……。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから(←今週、少し加筆してます)。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年7号☆ ◎読み切り『おれたちのバカ殿』(作画:ポンセ前田) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『モグリ陰陽師 SAYMAY!』(作画:大石浩二) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ただ、まだ1つ1つのギャグの練りが今一つ足りない印象で、不用意な“凡打”がまま見受けられました。特にツッコミのセリフが不発気味のまま終わる事が多く、この辺が今後の課題になるのではないでしょうか。 ●今回の評価
今週はやはり急展開の『DEATH
NOTE』でしょうね。この作品の製作手法で「計画通り」とやるのは苦笑を禁じ得ませんが、見事な(良い意味での)ハッタリの効かせ方です。ライトの人格歪んだ顔も見事ですね。さすが小畑さんです。 あと、今週号では『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』も素晴らしいデキでした。ギリギリまで無駄な部分を削ぎ落とし、説明と描写を併用してページ数の浪費を防ぎ……といった具合で、ありとあらゆる方法を駆使して内容の濃さを追求し、それを見事に成功させています。 ☆「週刊少年サンデー」2005年8号☆ ◎新連載第3回『最強! あおい坂高校野球部』(作画:田中モトユキ) ●絵についての所見(第1回時点からの比較) ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの比較) ただ、手放しで褒められない部分もあります。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 『俺様は?』が今週で最終回となりました。最後の最後で作者本人が「本当に最後までよく分かりませんでした」と発言しましたが、確かに2年も続いた割には掴み所の見出せない微妙なテイストの作品だったような気がしますね。 さて、連載作品の中でまず目に付いたのは、“メイド國生”という、もしイラクに彼女がいたならば、アメリカが宣戦布告する理由として十分過ぎる正当性が確保出来たと思われる超ド級の大量破壊兵器が登場した『こわしや我聞』ですね。 最後に巻末付近から『道士郎でござる』をピックアップ。 ……といったところで今日はこれまで。 |
2004年度第82回講義 |
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今週は「ジャンプ」が合併号休みで、「サンデー」もレビュー対象作が1本のみ──しかも、また後でお話しますが、その1本もイレギュラーな事態に──と寂しいラインナップ。そこで今回のゼミは、このタイミングを有効的に活用いたしまして、これまで出来ないでいた「コミックアワード」関連の企画を色々と済ませてしまいたいと思います。 ……それでは、本日のゼミを始めます。最初に「サンデー」関連の内容を、その後に特別企画へをお送りします。それでは最後までどうか何卒。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 今週は新連載と読み切りに関する告知はありませんでした。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎佳作のクリスタルな洋介さん…04年期「爆笑王決定戦」で最終候補 ……前期(04年8月期)に続いて今回も入選作が出た他、多数の作品が入賞する大豊作となったようですね。
※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年サンデー」2005年7号☆ ◎短期集中連載第1回『あやかし堂のホウライ』(作画:金田達也《原案協力:藤田和日郎》) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 なんと内容の大半が増刊版第1回と同じ! ページ数の都合か妖怪とのバトルシーンが次回に回されていて、替わりにアヤカとホウライの擬似バトルが付け加えられていますが、他の部分は丸写しに近い内容に……。 まぁそういうわけでして、こちらに関しても今回改めて申し上げるべき点は殆ど無しという事になってしまいます。ただ、先程から申し上げているように、ヤマ場のバトルシーンが無い分だけ、個人的には増刊版に比べると物足りない印象がありました。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は今春開始となる『MÄR(メル)』のアニメの製作発表告知がありました。どうも今春からは昨年連載終了した『うえきの法則』もアニメ化されるようで、こう言っちゃアレですが、また微妙なポジションの作品ばかりアニメになるなぁ…と。 ……さて、話を連載作品の方へ。 『犬夜叉』は久々のラブコメ・インターミッション。人物の表情といい、小気味良いテンポといい、さすがはラブコメ作家の“真祖”高橋留美子女史。今回は圧巻の内容でございました。 ──さて、これで“レギュラー枠”の内容は終了。冒頭で申し上げた通り、これより“読書メモ”枠内で特別企画をお送りします。 ◇駒木博士の読書メモ(1月第3週)◇ では、第3回「仁川経済大学コミックアワード」関連の特別企画に移らせて頂きます。 まずはグランプリ候補の“ワイルドカード”枠ノミネートにあたり、受講生の皆さんから頂いた推薦作品の選考結果について、発表させて頂きます。
……この結果を受けまして、駒木は12月末から1月上旬にかけ、これらの“優先枠”3作品について既刊の単行本を精読。ノミネートにあたっての“審査”を実施致しました。また、これと併せ、推薦1票の作品につきましても“参考作品”として、時間の許す限り精読させて頂きました。 一方、残りの“優先枠”2作品については、それぞれ高く評価出来るポイントがあるものの、若干のマイナス要素も見受けられました。 ノミネート作品選出にあたっては、皆さんから多数の推薦を頂いた事もあり、当初は2〜3作品程度のノミネートを想定しておりました。しかし『おおきく──』は、駒木個人の評価だけでなく、受講生さんからの推薦投票においても頭一つ以上抜きん出た作品で、結果として他の候補作とは明らかに一線を画する存在になってしまいました。 ──ではここで改めまして、「コミックアワード」のグランプリへのノミネートが決定した『おおきく振りかぶって』のレビューをお送りします。単行本2巻収録分までの内容についてという事で、ひょっとすると「アフタヌーン」読者の方の認識とはギャップがあるかも知れませんが、とりあえず今回はここまででご勘弁を。 ◎『おおきく振りかぶって』(作画:ひぐちアサ/月刊「アフタヌーン」連載中) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 まず特筆すべきは、やはり登場人物たちの多彩なキャラクター設定でしょう。それもただ性格を描くだけでなく、その性格にシンクロした行動を、更にその行動にシンクロさせた重厚なエピソードを巧みに組み上げています。キャラクター主導でありながら、決してストーリーがなおざりになっていないという点には大変好感が持てます。 しかし、もっと凄いのが試合シーン。とにかく“盛り上がるバトル”の必要条件と言える要素がこれでもか、これでもか、と盛り込まれています。 今後は月刊連載というページ数が限定された条件の中で甲子園予選を描いてゆくという難問が待ち構えていますが、是非とも現状のクオリティを維持したまま連載を全うしてもらいたいものです。 ●現時点の評価 それではまずは、「ジャンプ」系作品から。評価に変更の無い作品については解説を割愛させてもらいます。 ◎『DEATH NOTE』(作:大場つぐみ/画:小畑健) アドリブに次ぐアドリブによって、その場その場でストーリーを積み重ねていく…という極めてリスキーな手法で描かれているこの作品。大局観を欠いたストーリー展開によってシナリオの重厚さを欠いた場面も見受けられ、その分弱含みの材料も多い作品ではあります。 ◎『銀魂』(作画:空知英秋) ◎『スティール・ボール・ラン』(作画:荒木飛呂彦) ◎『未確認生物ゲドー』(作画:岡野剛) 連載第3回時点では、一話完結型のストーリーを手堅くまとめる技術と高い画力を考慮してB+評価としましたが、ここ最近のストーリーの迷走ぶりは目に余るものがあり、今回を機に下方修正する事となりました。 ◎『家庭教師ヒットマン REBORN!』(作画:天野明) 連載第3回時点のレビューでは、主人公がアイテムやサブキャラに支えられながら1つの目標を達成するべく奮闘するという、“『タルるーと』路線”の作品として扱い、その上で厳しい評価を下しました。しかし、直後からこの作品は、キャラクター超重視型の一話完結型コメディ路線に大きくテコ入れされ、B−評価を下した根拠が解消されてしまいました。 ◎『D.Gray−man』(作画:星野桂) 第3回時点では、難解な設定提示の連発と余りにもぎこちないストーリー展開のために“前途多難”という事で厳しい暫定評価を下しました。しかしその後は微妙にキャラ重視に路線を変更して読者の興味を繋ぎつつ、時間をかけて設定の難解さを解きほぐしていって、何とか上手く軌道に乗せる事が出来たようです。 ◎『Wāqwāq』(作画:藤崎竜) 掲載順(人気)降下以後、まるで“投了”のタイミングを探っているかのような中身の薄いバトルの連続に陥り、クオリティの下げ止まりが見えません。長期連載が実現して軌道に乗った『D.Gray−man』とまさに好対照な成り行きと言えるでしょう。商業誌ならではの悲劇ですね。 ※『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(作画:西義之)に関しては、連載開始間もない(04年53号開始)ため、連載版に限り特例として05年度作品の扱いとします。よって、今回では評価の見直しは行いません。 ……では、次に「サンデー」系連載作品についても評価の見直しをしておきましょう。 ◎『こわしや我聞』(作画:藤木俊) ◎『思春期刑事ミノル小林』(作画:水口尚樹) ◎『道士郎でござる』(作画:西森博之) ◎『クロザクロ』(作画:夏目義徳) 恐らくご本人が見ているであろう前で気が引けますが(笑)、今回下方修正の対象となりました。登場人物のキャラクターの弱さ(奇抜な外見や行動ではなく、内面描写が欠けているという部分で)と迷走気味のストーリーを勘案すると、減点材料の多さ故に厳しい評価を下さざるを得ません。 なお、この作品を他の評価B作品と同等と扱うのに疑問を抱かれる方もいらっしゃるでしょうが、この作品に限らず、「低い基礎点でほぼ満点の評価B」と「高い基礎点から大きく減点されて評価B」とでは同じ評価でも意味合いが違って来ます。作品の7段階評価については、その辺の解釈もどうか適切にと、皆さんにお願い申し上げます。 ◎『東遊記』(作画:酒井ようへい) 同人版では新評価Bとしてますが、脱稿後の展開も考慮して更に下方修正しました。 ◎『ハヤテのごとく!』(作画:畑健二郎)
各部門賞につきましては、有資格作品の中からクオリティの充実度や授賞の妥当性などの観点から非公開の予備審査を行い、表彰式前に改めてノミネート作品を発表します。 ──さて、かなりの長丁場になりましたが、これで今週の講義を終わります。 |
2004年度第80回講義 |
学校や企業の年末年始休みも終わり、受講生さんの数も戻って来たみたいですね。どのウェブサイトでも大なり小なりそうなんでしょうが、ウチはアクセス解析すると中小のプロバイダーよりも大手企業や大学からのアクセスの方が多かったりする程ですので、盆暮れ正月前後は受講生数の変動が激しくて少々ビビります(笑)。 ……というわけで、今日も年明け発売の「ジャンプ」「サンデー」のレビューで着実に日本を駄目にしていきたいと思います。どうか何卒。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(7号)に『モグリ陰陽師SAYMAY!』(作画:大石浩二)が掲載されます。 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(7号)に『オレたちのバカ殿』(作画:ポンセ前田)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデ−」では次号(7号)より『あやかし堂のホウライ』(原案協力:藤田和日郎/作画:金田達也)が7回の予定で短期集中連載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから(←今週、少し加筆してます)。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年5・6合併号☆ ◎読み切り『スベルヲイトワズ』(作画:森田まさのり) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 ただ、この作品の厳しい所は、そんな脚本やストーリーの完成度だけでなく、作中に出て来るハガキ職人のネタや漫才と言ったギャグの質についても非常に高い水準を求められる事。しかも“作中で「笑える」という事になっているギャグ”は笑えるように、“作中で「寒い」という事になっているギャグ”は寒くなければならないという、絶妙の匙加減が求められます。 それともう1点、キャラクター設定について。限られたページ数の中でソツなく主要登場人物のキャラを描写出来ているのは素晴らしいのですが、主人公はもうちょっと読み手が感情移入出来るようなキャラクターでも良かったかも知れませんね。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 時間が無いので今日は軽く。 外伝が最終回を迎えた『NARUTO』。さすが「ジャンプ」の準看板だけあって、しっかりと最後まで読ませてくれました。 そして珍しく1つのエピソードを引っ張っていた『銀魂』も、銀さん記憶喪失回復で一段落。しかし、いくらギャグ色の強い作品でも、あんな御都合主義なストーリー展開だったら普通は辟易するもんですが、それでもキッチリ読ませられてしまうというのは、“お約束”の使い方と脚本が抜群に上手いからなんでしょうね。 ☆「週刊少年サンデー」2005年6号☆ ◎新連載『最強! あおい坂高校野球部』(作画:田中モトユキ) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ただ、そうは言ってもまだ連載第1回ですから、今後時間をかけて登場人物のキャラクターを綿密に描き、着実に“布石”を打ってゆけば、早い段階で巻き返す事も可能でしょう。なので今はしばらく“経過観察”を続けたいと思います。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 時間の都合で今週は大きな動きのあった『いでじゅう!』だけ。 ──といったところで今週はここまで。来週は「ジャンプ」が休みなので、随分と遅れ気味だった04年度開始連載作品の評価修正と、「コミックアワード」“ワイルドカード枠”の推薦作品発表が出来ると思います。それでは。 |
2004年度第79回講義 |
12月30日のコミケット67におきましては、駒木研究室出展のスペースに多数の受講生さんにご来場&「『現代マンガ時評』04年度総集編」のご購入をして頂き、誠に有難うございました。この場を借り、改めて御礼申し上げます。 さて、今日は旅行等のために実施が遅れておりました、04年末発売の「赤マルジャンプ」05年冬号・全作品レビューをお送りさせて頂きます。例によって週刊本誌連載作品の番外編や企画モノは対象外とし、作品レビューにつきましても、通常より若干簡略化したものにするつもりです。そうは言っても、始めたら長話になるでしょうが(笑)。 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ◆「赤マルジャンプ」05年冬号レビュー◆ ◎読み切り『Luck Stealer −ラックスティーラー−』(作画:かずはじめ) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 あと気になった点としては、今回は脚本力のあるかずさんにしては説明的なセリフが目立ったところと、主役格の1人である恵太少年の扱い方がややなおざりになっていた点でしょうか。結果的に恵太は何もしないままタナボタ式で助けられた形になっており、作品全体のテーマである「正しい事をし続けていれば奇跡が起こる。幸せになれる」との不整合が起きてしまいました。これはシナリオの完成度の面で減点材料にせざるを得ません。 全体的に見れば、短編巧者のかずさんにしては随分とキズの多い作品で、10年来の読者としては残念でありました。 ●今回の評価 ◎読み切り『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 作者サイドの「凝った面白い話を作ってやろう!」…という意気込みは確かに感じられるのですが、残念ながら今回に限っては空回りに終わってしまったように思います。 ●今回の評価 ◎読み切り『ガランス』(作画:田畠裕基) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 とはいえ、この作品は課題の方も山積みで、全体的なクオリティからすれば、かなり低い水準に留まっていると言わざるを得ません。 ●今回の評価 ◎読み切り『生徒兵器上本』(作画:吉原薫比古) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 あと、今回気になって仕方なかったのが、コマ割りに対する無頓着さです。小さいコマと大きいコマの使い分けが酷く適当ですし、前フリからページを跨いでオチに持っていく…というテクニックも見られないまま。理詰めで笑いを誘う技術に乏しい感じで、これでは正直言って先が思いやられます。 ●今回の評価 ◎読み切り『ナツキン』(作画:本名健二) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『レッサーパンダ・パペットショー』(作画:篠原健太) ●作者略歴 ●絵についての所見 ……あとこれは完全に評価外の私見ですが、口を大きく開けた表情というのは必要以上に下品な印象を与えてしまうので、あんまり乱発しない方が良いと思うのですが、どんなもんでしょうか。 ●ストーリー・設定についての所見 ただ、惜しむらくは中盤でストーリー展開がかなりダレてしまった事。火葬場までの道中や2回に及ぶ不良との絡みはもうちょっと内容をスッキリさせる事が出来たのではないでしょうか? その分浮いたページでもっと演出に力を入れたり、ラストシーンでもう少し盛り上げたりすれば、もっと良くなったと思うのですが……。 最後にラストシーンで種明かしされるアキラに関するビジュアルトリックですが、この完成度もなかなか見事でした。伏線提示と処理に関するテクニックも非凡なモノを感じさせてくれます。 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 また、これは作品内でセルフツッコミが入っているのですが、主人公の「小さな危険から逃げながら大きな危険を冒す」という行動パターンはやはり矛盾していますよね。名工オーケンの剣を奪い返すのは構わないのですが、それなら目先の危険からも逃げちゃ駄目でしょう。 そしてもう1つ、ヒロインと敵役のキャラ設定の練りこみが随分と甘かったのも気になった点です。主人公も含めて、登場人物がストーリーを成立させるための記号に留まっている感が否めません。 ……と、欠点ばかり述べる結果になりましたが、岸本さん直伝の構成・演出力にはかなり見所がありました。キャラクターとストーリーに恵まれれば、この長所はもっともっと活きて来るでしょう。 ●今回の評価 ◎読み切り『WONDER HEAD』(作画:新井友規) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『紅熛 -クレナイノヒョウ-』(作画:及川友高) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ただ惜しいのは、主人公・ポロンがシナリオの中では“お客さん”的なポジションに終始し、エピソードの中で浮き気味になってしまった所です。せっかくの回想シーンも挿入のタイミングがいかにも取って付けたような感じで、アンバランスな印象を受けました。もうちょっとポロンを上手く揉め事に巻き込む方法が無かったものでしょうか。 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『CRUSH』(作画:松本佑介) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価 ※総評…A−以上の評価はゼロということで、開講以来の3年では一、二を争う大不作という事になりました。非常に残念です。 ……という事で、やっと終わりました。でも、これからすぐに年明け合併号のレビューをやらなくちゃいけないんですよね。あー、分身の術が使えたらなぁ……。 |