「社会学講座」アーカイブ(演習《現代マンガ時評》・13)
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講義一覧
6/25(第17回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」
(6月第4週分) |
2005年度第17回講義 |
どうもご無沙汰しておりました。金曜日の仕事終わり、『げんしけん』特装版を買うために、疲れ果てた体を引きずって近場(職場からクルマで30分圏内)の本屋を巡回。見事なまでに空振り三振を喫し、スゴスゴと家に帰った駒木でございます。 ……さて、いきなり余談ばかり長くなりましたが、今週のゼミを始めます。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(31号)より、『ネコなび』(作画:杉本ペロ)が新連載となります。 ◎「週刊少年サンデー」では、7/13発売の33号より、『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志)が新連載となります。(※作者ご本人運営のウェブサイト掲載の情報です) ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年29号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 時間と分量に制約がありますので、積極的に語りたい作品優先、無理にコメントした挙句に内容が嫌事中心になりそうな作品はスルーの方針で。 まず、今週号のハイライトは何と言っても『アイシールド21』でしょう。 さて、次は『魔人探偵脳噛ネウロ』にしましょうか。この作品もしばらく迷走気味でしたが、先の“アヤ・エイジア編”からは一皮剥けたようですね。トリックよりも、キャラクターとストーリーに重きを置いたストーリーになって、随分と“読める”ようになりました。 ところで、最近元気が無い(ように思える)のが『DEATH
NOTE』です。少なくとも第1部の時のように「今、このマンガが絶好調!」的な扱いはされなくなって来ちゃいましたね。 「ジャンプ」最後は『HUNTER×HUNTER』を。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ さて「サンデー」なんですが、ぶっちゃけてしまうと、最近のこの雑誌、個人的には全般的に「おしなべて低調」って感じなんですよね。読むのもレビューするのも、半ば義務みたいな感じで……。 ではその『結界師』、どういう所が好きかと言うと、場面を切り替え切り替え、同時進行的に淡々と出来事と人物を描写している内に自然と深みのある重厚なストーリーが出来上がっている…という心地良い完成度の高さ。昔の作品で言えば、『機動警察パトレイバー』がこんな感じだったかも知れません。 では最後に、今週で最終回となった『いでじゅう!』の連載総括を。そう言えばこのマンガも、駒木の中では“良い”と“好き”が比較的一致していたんですが。 |
2005年度第16回講義 |
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今週は公私多忙……というより、諸々の事情で脳味噌がメモリースワップ寸前の状態に陥っております。あと10日もすれば、今度こそ本当に心身共にリラックス出来る2ヶ月が到来しますので、それまでは講義の方も淡々と進行したいと思います。例えば、「どうでもいい話ですが、サイバーエージェントって会社、社長の顔がゴージャス松野に似ているだけで、その何もかもが信頼できない自分がいます」とか、余計な事を喋るのも極力自粛する方針で参る所存です。どうかご了承下さい。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎最終候補の池内志匡さん…00年3月期「天下一漫画賞」で審査員(藤崎竜)特別賞。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年28号☆ ◎新連載第3回『切法師』(作画:中島諭宇樹) ●絵についての所見(第1回掲載時からの推移) あと、評価に関係ない話ですが、このマンガ、斬新な表現に挑戦する一方、所々で手塚〜藤子時代のマンガから引き継がれている演出技法──例えば、必要以上に無表情なキャラに、モノローグ中心に豊かな感情を表現する──も多々見受けられるのが興味深いですね。 ●ストーリー&設定についての所見(第1回掲載時からの推移) とはいえ、そのボリューム的に物足りないシナリオに、演出や深みのある心理描写などで“足し算”を施し、それなりに読ませる話に仕上げた辺りに、確かな地力を感じさせてくれました。特にラストシーン、読み手が心地良い余韻に浸れるような演出が見事。 ●現時点での評価
●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年29号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週の「サンデー」は連載作品の評価見直しのみ。 ◎『うえきの法則プラス』(作画:福地翼) 実質0.5ランクの下方修正となりました。 第20回時点で、もう一度評価を見直しますが、脚本面で大きな改善が見られなければ、このままB+で評価確定かな…という考えでいます。 |
2005年度第15回講義 |
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6月に祝日を作ってくれるのなら、東郷健にでも又吉イエスにでも投票したくなる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。本州以南で梅雨に入ったばかりの週末、6月2週分のゼミをお送りします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(28号)に読み切り『ギャグマンガ日和』(作画:増田こうすけ)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報 今週は「ジャンプ」で「手塚賞」「赤塚賞」の、「サンデー」では、「小学館新人コミック大賞」少年部門の審査結果発表がありました。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ※手塚賞 ※赤塚賞 ※新人コミック大賞 ……「ジャンプ」、「サンデー」両誌の賞ともに、「期待の新人登場!」的な扱いではありましたが、既に他の賞を受賞したり、デビュー済みの新人作家さんの姿も見受けられました。 まず入選が9年ぶりに飛び出した「手塚賞」、その受賞者は、実は「ストキン」の準キングを受賞したばかりの栗山武史さん。審査員講評を見ると、キャラクター、設定、構成力を高く評価されており、なるほど「ジャンプ」のマンガとして必要な点を全て備えているというわけですね。 一方の「赤塚賞」は、悪い意味で平行線の水準といったところでしょうか。これだけ長い間、即戦力級の有望新人が現れず、かと言って「GAGキング」の復活の声も聞こえもしない状況は寂しい限りです。 さて最後に「サンデー」系の「小学館新人コミック大賞」。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年27号☆ ◎新連載第3回『タカヤ −閃武学園激闘伝−』(作画:坂本裕次郎) ●ストーリー・設定についての所見(第1回掲載時からの推移) 2週間前にも述べましたが、坂本さんはギャグ的要素の強い作品でここまで来た人です。しかし、今の作品のベクトルは、それとはかなり違う方向へ行ってしまっているようで……。 ●現時点での評価 ──さて、今週はどっちかと言えば賞レースの解説中心の内容になってしまいましたが、とりあえずこういう形にまとめさせてもらいました。 |
2005年度第14回講義 |
「構内掲示板」でお報せしている通り、2度目のコミケサークル参加が決定致しました。冬コミ成功の勢いに乗って申込みしてしまったは良いものの、日頃の講義準備でさえ事欠く状況で、果たして本が作れるのか? ……と、少々ビビり気味であります。 まぁこの辺は今月中に詰めていきたいと思います。何かご意見&ご要望ありましたら、メールや談話室(BBS)などで是非どうぞ。 ──それでは、今週も遅くなりましたがゼミを実施します。どうぞ最後まで宜しく。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ※今週は新連載&読み切り情報、及び新人賞の受賞作発表はありませんでした。
※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年26号☆ ◎新連載『切法師』(作画:中島諭宇樹) ●作者略歴 ●絵についての所見 まず、線が非常にスッキリと洗練されているのが良いですね。一本一本のラインに迷いが無く、背景と人物作画のメリハリがしっかりしているので、大変見やすい絵に仕上がっています。 数少ない問題点としては、『ホライズンエキスプレス』以来よく見られる、見開きページ基準のコマ割りが今回も紛らわしかった所ですね。この見開きゴマの見せ方には研究の余地がありそうです。 ●ストーリー&設定についての所見 さて一方、ストーリーの方は、第1回という事もあって一話完結のエピソードでしたが、これもなかなかの完成度。キチンと1つの話としての“ヤマ”を作ってまとめ上げる一方、長編作品のプロローグとしての役割も見事に果たしていました。これは誰でも出来るようで、なかなか出来ないものなのです。 問題点を敢えて挙げるとすれば、隅々に至るまでソツが無さ過ぎて、作品全体のアクが弱くなり気味…という所でしょうか。殆ど言いかがりに近い指摘ではありますが、積極的に“人気”を獲らなければならない「ジャンプ」では、馬鹿に出来ない部分だとも思います。さて、補正が切れた後の掲載順はどうなりますか……。 ●現時点での評価 ◎新連載第3回:『カイン』(作画:内水融) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) 最近は時系列に沿ってメインストーリーを進行させる、オーソドックスな“編年体型”作品だけでなく、『D.Gray−man』のように豊富なキャラクターを活き活きと動かす事に重点を置く“紀伝体型”作品も増えて来ています。が、それにしてもこの作品はシナリオ上の不確定要素が多過ぎ、いくらキャラクターを投入しても空回りしてしまうのではないかと危惧してしまいます。 ●現時点での評価
◎読み切り『ハルが来た!』(作画:小山愛子) ●作者略歴 ●絵についての所見 しかしながら、シナリオの内容はお粗末の一言。ページ数の都合もあるのでしょうが、生徒の改心が余りにも御都合主義的でした。また、今時ゴキブリをラーメンに放り込むチンピラや、昭和の香り漂う不良の佇まいなども余りにも陳腐であると言わざるを得ません。 ●今回の評価 |
2005年度第12回講義 |
1週間のご無沙汰でした。 とりあえず今日は“ノルマ”の「現代マンガ時評」をお送りし、態勢を整えることにします。しばしのお付き合いを。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(27号)に読み切り『ハルが来た!』(作画:小山愛子)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年25号☆ ◎新連載『タカヤ −閃武学園激闘伝−』(作画:坂本裕次郎) ●作者略歴 しかしどうでしょう、絵柄のインパクトが大き過ぎると言いますか、表現が極端過ぎてドギツくなってしまったのではないかな…という気もします。本来ディフォルメは可愛らしさや愛嬌を増幅させるために施される技法ですが、この作品の場合、“過ぎたるは及ばざる如し”といった感じで、不自然さの方が先行して見えてしまいました。 ●ストーリー・設定についての所見 そんな中でも構図の取り方や演出、脚本ではキャリアの浅さを感じさせない技量とセンスを感じさせてくれます。だからこそ、内容の今一つ希薄なシナリオであってもキチンと読ませる作品になっているわけですがね。 ●現時点での評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年26号☆ 今週の「サンデー」はレビュー対象作が無し。いきなりですが“チェックポイント”で連載10回区切りの評価見直しを行います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『見上げてごらん』(作画:草場道輝) 今週で連載10回となりました。 なお、今回で『最強! 都立あおい坂高校野球部』(作画:田中モトユキ)が連載20回目を迎えていますが、前回の評価見直しで「大きなテコ入れがあった場合のみ評価変更を実施」と宣言していますので、今回はスルーします。 ……というわけで、今週のゼミはここまで。すっかり内容がショボくなってしまってますが、現状これで漸く精一杯というところですのでご容赦を。 それでは、また来週。 |
2005年度第11回講義 |
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ここ数ヶ月、ずっと謝ってばかりですが、本当に講義が少なくて申し訳無いです。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ──昨年、一昨年の審査担当時には、それぞれ準入選を大盤振る舞いした河下水希さんですが、今回も佳作が1作品。しかも、昨年の「河下賞」受賞者が2年越しの捲土重来という事になりました。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年24号☆ ◎新連載:『カイン』(作画:内水融) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 そしてストーリーの方も、典型的な“「ジャンプ」若手&新人読み切りフォーマット”的なシナリオ展開に終始する平凡なモノになってしまいました。 ●現時点での評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年25号☆ ◎新連載第3回『クロスゲーム』(作画:あだち充) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) 総括すると、ストーリー展開の遅さは気になるものの、4姉妹モノのコンセプトや、熟練のストーリーテリング術などが欠点を巧みにフォローしており、少なくとも“悪くない”レヴェルの水準には達していると思います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今回は『ブリザードアクセル』が連載10回の区切りを迎えましたので、評価の見直しを行います。 ◎『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央) フィギュアスケートの演技・競技シーンに突入。いよいよこの作品も本編突入といったところでしょうか。 とりあえず懸念材料が解決され、加えてここまで失点らしい失点も少ない事から、ここで一度評価をA−に上方修正して、更にチェックを継続する事にします。 |
2005年度第10回講義 |
もう5月も半ば。巨人のミセリも故郷に帰ってしまいました。講師先の職場なんかでは、「今の季節が気候的に一番良いねぇ。ずっとこのままだったらいいのに」なんて声も聞こえてきます。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(24号)から新連載シリーズが開幕します。今回のラインナップは、 ここ1年ほどは作品の入れ替えが緩やかだった『ジャンプ』ですが、今回は若手作家を積極的に登用し、連載作家陣の若返りを図ります。暗黒期を支えたベテラン2人を切り飛ばしてこのラインナップとは、いやはや、いかにも「ジャンプ」らしい編集方針です。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年23号☆ ◎読み切り『大宮ジェット』(作画:田村隆平) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 そして今回は、これまでの懸念材料だったシナリオの構成にも改善が見られ、その分だけ作品のクオリティも上がって来ていると思います。前作までのシナリオは崩壊状態でしたから、これは大きな進歩です。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 前号の『武装錬金』に続いて、今週号限りで『Wāqwāq』が連載終了となりました。1クール終了前後から掲載順は巻末付近で、その上に単行本もランク外に甘んじていては、この結果も止む無しでしょう。 ☆「週刊少年サンデー」2005年24号☆ ◎読み切り『ザスパ草津物語〜夢は枯れない〜』(作画:向後和幸) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価
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2005年度第9回講義 |
毎度お馴染、年に3度のマンガ評論修羅のお時間がやって参りました。春の「赤マルジャンプ」全作品レビューです。 ……まぁそういうわけで、1年後、2年後に喜びを得るために今年もやります、全作品レビュー。今回はどのレビューも通常サイズでお届けしますので、恐ろしく長いです。会社の仕事の合間に受講されている方は、知らぬ間に上司が近くに立っていないか、どうぞお気をつけて(笑)。 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ◆「赤マルジャンプ」05年春号レビュー◆ ◎読み切り『ノラ・ソラ』(作画:加治佐修) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、その完成度の裏返しでしょうか、お話のスケールが小じんまりとし過ぎている気もします。華々しい武道の世界を題材に採り上げておきながら、結局は裏の空き地でのチンピラとの喧嘩で話が終わってしまったわけですし。 ●今回の評価 ◎読み切り『八と八百万の神々』(作画:イワタヒロノブ) ●作者略歴 ●絵についての所見 また、競馬シーンなどディティールの描写で明らかな手抜きが見受けられるのも残念でした。この辺の「少し調べれば何とかなる部分を何とかしない」という悪癖が直っていないのは頂けません。 ただ、主人公が徹底して受け身の立場で、美味しい所を全部脇役に持っていかれているというのは、設定上如何なものかと思うのです。敵役とバトルをして一撃必殺でやっつける謎の脇役、それを傍観する主人公…という構成は初めて見ました(笑)。 あと、コミカルタッチなので深くツッコんでもアレですが、ストーリー展開も少々強引で御都合主義だったような気もします。良く言えばベタベタ、悪く言えば陳腐だったかな、といったところです。 ●今回の評価 ●作者略歴 ●絵についての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『少年勇士スタースティング(改め)ハニカミ流星群』(作画:吉原薫比古) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『ビーチ・ボム』(作画:榊健滋) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 まず、キャラとしての個性を出すための設定が、各主要登場人物1人1人に“配備”されているのは良いと思います。ただ、その個性だけが強過ぎて、「それは人としてどうだろう?」的な人たちが暴走するばかりの、キャラ優先・内容希薄なシナリオ──それこそまるで『リボーン』のような──になってしまったのは、ちょっと如何なものかと。 全体的に見ると、週刊本誌で連載されている人気作のエッセンスは巧みに吸収しているとは思えるのですが、それを下支えするストーリーテリング力は、まだまだ不足している…というのが当ゼミでのジャッジです。 ●今回の評価 ◎読み切り『トリュフュールとパウロ』(作画:矢萩隼人) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、この画力の足りない絵が、マンガの記号としての機能を果たしていないかというと、決してそういうわけではないのがマンガの奥の深い所ですね。確かに現状の実力では表現の幅を著しく制限されるでしょうが、少なくとも今回の作品では普通に記号として違和感なく機能していると思います。 トリックもなかなか凝った作りになっていて、読み手に意図して誤解を与え、犯人特定を困難にさせるように腐心している様子が窺えます。「一番意外な登場人物を犯人に」というセオリーが守られているのも好感が持てますね。 ●今回の評価 ◎読み切り『Heart Catcher』(作画:神海英雄) ●作者略歴 ●絵についての所見 まずは良い所はダイナミックな演出と、最少の文字数で最大の効果を狙った脚本。天性の素質もあるのでしょうが、巧い人のテクニックをよく研究しているなぁ…と思いました。これらのファクターに関しては、週刊本誌に持っていっても全く遜色無いでしょう。 ただ惜しむらくは、無理のある設定やストーリー展開を、過度の演出で乗り切ろうとし過ぎた事。そのため、設定やストーリー上の出来事の多くが現実感希薄なモノになってしまいました。 ●今回の評価 ◎読み切り『ライジングT』(作画:久米利昌) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 大きな欠陥があるわけではないのですが、自然な成り行きでストーリーが展開していったら、イマイチ感動やカタルシスに浸れない話になってしまっていた…というところでしょうか。 ●今回の評価 ◎読み切り『ドル箱王者ベルト固め』(作画:松田俊幸) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 まず、内容の薄いストーリーを律儀に追求し過ぎたために、ネタの密度が薄くなってしまいました。その結果、コメディとしては話がグダグダ、純粋なギャグ作品としてはネタが弱すぎる…という最悪な中途半端に陥ったかな、という印象ですね。 あとは贅沢な要求かも知れませんが、今やマイナーになってしまったプロレスを題材にしたのならば、せめてプロレスファンだけでも大喜びできるマニアックなネタを入れて欲しかったですね。 ●今回の評価 ◎読み切り『@'clock』(作画:やまもと明日香) ●作者略歴 ●絵についての所見 ハッピーとは言えないエンディングに関しては、少年マンガという事もあって評価が分かれるところでしょう。ただ、話の必然性を追求してのこの結末ですし、主人公のキャラも合って悲壮感も抑え気味にはなっていました。個人的には、これを「悲劇だからNo」とされると、創作者としては辛いだろうなと思います。 ●今回の評価 ◎読み切り『DRUG BOY,』(作画:小林ツトム) ●作者略歴 ●絵についての所見 また、キャラクター設定についても、主人公の仲間2人が話に絡みきれずにやや弱くなってしまっています。せめて主人公との絆を暗示させる遣り取りの1つでも見せてくれれば印象も違ったのですが……。 ●今回の評価 ◎読み切り『ママん♥』(作画:吉たけし) ●作者略歴 ●絵についての所見 また、全体的にギャグ作品としてはアクが弱すぎる絵柄であるような気もします。4コマやほのぼの系ショートギャグには向いていると思いますが、ページマンガでインパクト勝負のギャグをカマす時には、これは大きくマイナスに働くのではないでしょうか。 ●今回の評価 ◎読み切り『アナグマ』(作画:矢部臣) ●作者略歴 ●絵についての所見 この作品の基本設定は、確かに斬新で壮大な世界観ではあるんです。が、その世界観──地底世界の全貌・詳細がまるで見えて来ないので、その魅力が全くこちら側に伝わって来ません。 これが現実(かそれに近い)世界を舞台にした、“空を飛びたい男たちと、それに憧れる少年”とかなら、読み手の理解もスムーズなんですが……。まぁ斬新な設定というのは、インパクトこそありますが、扱いが非常に難しい諸刃の剣という事なんでしょうね。 ●今回の評価
──というわけで、長丁場のゼミ、お疲れ様でした。またレギュラーの講義も宜しく。 |
2005年度第8回講義 |
今週は「赤マル」レビューもお届けしなくてはなりませんが、とりあえずは先週の続きからお送りします。 今日の講義内容は、先週発売の「サンデー」合併号のレビューとチェックポイント。「後半」というより「やり残し」といった感じですが、どうか何卒。 ※今週のレビュー&チェックポイント ☆「週刊少年サンデー」2005年22・23合併号☆ ◎新連載『クロスゲーム』(作画:あだち充) ●作者略歴(参考:フリー百科事典『ウィキペディア』) ●絵についての所見 敢えて難癖をつけるとすれば、「また同じ顔か」という所になるのですが、これはもう言うだけ野暮なような気もします(笑)。 ●ストーリー&設定についての所見 まだストーリーそのものは全くと言って良いほど進行していませんので、作品のクオリティそのものを評価するのは先の話になると思いますが、少なくとも失敗作にはならないだろう…という期待感は持たせてくれた第1回だったと思います。
今週は『武装錬金』終了で、大いにネガティブな盛り上がりを見せたネット界隈ですが、「サンデー」でもヒッソリと『東遊記』が最終回を迎えました。 ……といったところで、ゼミの後半も終わりです。とにかく4月最終週は「打ち切りにも良い打ち切りと悪い打ち切りがある」という事をしみじみと実感させられましたね。まぁその辺の良い悪いは個人の主観によるものが多いので、難しい問題ではあるわけですが。 |
2005年度第7回講義 |
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すっかりご無沙汰してしまいました。 ──それでは、4月最終週のゼミをお送りします。今週は「ジャンプ」関連(というか、『武装錬金』関連)でお話する内容が特に長くなりそうですので、急遽前・後半に分割して実施したいと思います。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(23号)に『大宮ジェット』(作画:田村隆平)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では次号(24号)に『ザスパ草津物語 〜夢は枯れない〜』(作画:向後和幸)が掲載されます。
今週は「サンデーまんがカレッジ」の発表がありましたが、それに先立ちまして、先々週からずっと紹介し忘れておりました、「ジャンプ十二傑新人漫画賞」の方からお届けします。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい)
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎努力賞の瀬戸カズヨシさん…04年前期「新人コミック大賞・少年部門」で最終候補、04年7月期「まんカレ」であと一歩で賞。 「十二傑」では、見るからに絵の達者さが目立つ彩崎廉さんがデビュー権をゲット。今期の連載入れ替えが巷の噂通り“3in・2out”なら、本誌の読み切り枠が削られてしまいますので、受賞作掲載は「赤マル」夏号という事になりそうですね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年21・22合併号☆ ◎読み切り『BE A HERO!!』(作画:吉川雅之) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 あと残念だったのはプロットですね。色々と設定面で趣向を凝らしていても、こちらが手垢が付き過ぎた「技を1〜2個覚えただけの素人が、その道のエキスパートを怒りのパワーで薙ぎ倒す」では、結局“どこにでもある平凡な話”になってしまいます。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ネット界隈では2週間ほど前から未確認情報が流されていましたが、今週号で『武装錬金』が連載終了となりました。完結編を「赤マル」夏号に発表する猶予は与えられたものの、山積みになった伏線を全て回収する事は事実上不可能で、有り体に言って実に中途半端な打ち切りと言わざるを得ないでしょう。 それにしても青天の霹靂と言うべき打ち切りであります。掲載順(=アンケート人気)は連載以来下位に低迷していたとは言え、単行本の初版は推定30万部台後半。年に4冊出版するとして、軽く年間4億円以上の安定した売上げが計算できる“優良債権”であるはずのこの作品がバッサリと切られてしまう…というのは、普通は有り得ない話ですからね。 ……さてさて、愚痴は尽きませんが、個人的な話としても、今回の打ち切りは「残念」の一言に尽きます。 この『武装錬金』については、駒木は新連載第3回のレビュー時に、世界観やキャラクター設定の完成度の高さを激賞しつつも、以下の懸念材料を指摘していました。
……手前味噌ながら、そのまんまですね(苦笑)。これだけで、この作品の回顧が済んでしまうような気もします。まったく、こんな予想なんて当てたくなかったです。 第3回の時点で駒木が抱いた『武装錬金』の印象は、誤解を恐れず言うと「よく出来た伝奇物エロゲー」でした。「抜群の正義感を持つ少年が、卓越した特殊技能を持つが心と過去に闇を持つ少女の戦いに巻き込まれる形で出会う」…という、変形の“ボーイ・ミーツ・ガール”物です。 しかしながら、この作品は作者サイドが余りにも“バトル系少年マンガ”を意識し過ぎたために、読者の多数が求めたとされる(単行本のライナーノーツより)日常生活が疎かになってしまう結果に。また、斗貴子の“ヘソチラ”を描くだけで心中にピンクタイフーンが吹き荒れる超奥手の作者(同じくライナーノーツより)にかかっては、カズキと斗貴子の関係も終盤までお茶を濁した状態で放置されてしまいました。 この作品の最終評価は完結編終了後まで保留します。「赤マル」で与えられるであろうページ数で“軟着陸”は望むべくもありませんが、評価を下すのは、せめて最後を見届けてからにしたいのです。 ◎『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(作画:西義之) 一時はバトル系作品に路線変更かと思われたのですが、第10回までの評判が良かったのか、今後は“感動路線”と“VSエンチュー編”の両睨みで進行してゆくようですね。まぁどちらにしろ、次号で巻頭カラーを獲得する程に人気は高値安定傾向にあるようです。 ◎『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征) クオリティそのものには変化がありませんので、一応評価は据え置きとしました。
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2005年度第6回講義 |
講義の遅延、情けない限りであります。昨晩は高校講師の仕事関連で終電まで呑みの付き合いがありまして、講義の準備どころじゃありませんでした。他のヨタ話はともかく、マンガ評論は酔っ払ったままでやるのは失礼ですしね……。 ──これに関連するような、しないような、なんですが、今年は昼間の仕事の方が去年よりも忙しくなる事が確定しまして、こちらに割ける時間が更に減ってしまいます。簡単に言うと、拘束時間が1日平均1〜2時間長くなってしまうので、その分研究室に居られる時間が削られるわけです。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(21・22合併号)に『BE A HERO!!』(作画:吉川雅之)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では次号(22・23合併号)より『クロス・ゲーム』(作画:あだち充)が新連載となります。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年20号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の「ジャンプ」は読み切り・新連載が無いのでレビューは無し。この欄で『ユート』の連載第10回・評価見直しのみをお届けします。 ◎『ユート』(作:ほったゆみ/画:河野慶) 1ランクの大幅ダウン修正となりました。 ☆「週刊少年サンデー」2005年21号☆ ◎新連載(連載再開)第3回『うえきの法則プラス』(作画:福地翼)《連載再開第1回掲載時の評価:A−寄りB+》 ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) 憧れる強さと共感できる弱さを併せ持つ、読み手の感情移入をスムーズに誘導できる主人公。そして、その性格設定を活かした目的意識のハッキリしたストーリー展開は、明快で読後感も良いものに仕上がっています。これは大変に良い部分です。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週はこのコーナーで採り上げる対象になる作品はありません。
……というわけで、今週はショート・バージョンでお送り致しました。来週分では、新連載に読み切りのレビュー、そして恐らくは大変に気の重くなる最終回の総括と、内容充実の一本になるのではないかと思います。では、また。 |
2005年度第4回講義 |
いきなりで恐縮ですが、今週から「週刊少年マガジン」で始まった新連載・『ヴィンランド・サガ』(作画:幸村誠)をご覧になりましたでしょうか? 『プラネテス』で有名な幸村誠さんの作品、しかし初めての週刊連載。ネット界隈でも大きな期待と共に一抹の不安も抱かれているようですが、もし第1回のクオリティが今後も続くなら、これはとんでもない傑作になるやも知れません。 ──と、いきなり講談社の回し者になったような挨拶で失礼しました(笑)。公務多忙で遅くなりましたが、今週の「現代マンガ時評」をお送りします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 今週は、新連載・読み切りについての情報、及び新人賞関連の情報は特に有りませんでした。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年19号☆ ◎読み切り『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜) ●作者略歴 ●絵についての所見 北嶋さんが「天下一漫画賞」で準入選を受賞した決め手は、確かダイナミックな構図と演出だったはずなんですが……。ここで今一度初心に戻り、自分の独創性の豊かさを再確認すべきなのかも知れませんね。 ●ストーリー・設定についての所見 また、作品全体の出来映えを左右する大きなカギと言える、宝物を盗み出すためのトリックに大きな問題点がありました。作品内では「7時55分と針が示す大時計を、時計ごと傾けて8時00分に見せかける」…という事になっているのですが、これは実際にはそうなりません。 結局のところ、力を入れるべき所を完全に間違えてしまった作品…といったところでしょうか。結果的にトリックも人間の心を描いたドラマも中途半端で終わってしまって、残念なクオリティの作品になってしまったような気がします。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週も『銀魂』はギャグが絶好調。言語センスの鋭さは相変わらずですし、今回は“間”の取り方が特に絶妙でした。個人的には、もう少しストーリー要素が強いエピソードの方が良いと思うのですが、これはこれで非常に楽しめました。 『ユート』は漸く大きくストーリーが動き出しました。女コーチが「阿寒スプリント1000M7位」と「1分42秒58」というキーワードに大きく反応するあたりが“ほった節”というか、マイナー競技モノならではの巧いハッタリの利かせ方ですよね。 『HUNTER×HUNTER』は、全ページにまともな絵が入っているという非常に珍しい光景が。一体いつ以来の事なのか、誰か調べてくれませんか?(笑) ☆「週刊少年サンデー」2005年20号☆ ◎読み切り『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』(作画:曽山一寿) ●作者略歴(参考資料:インターネット百科事典・ウィキペディア) ●絵についての所見 「サンデー」では明らかに浮いた絵ですし、純粋な一枚絵として見た場合には「高いクオリティ」と言うのに強い躊躇を覚える事も事実です。が、小学生以下を対象にしたギャグ作品の絵として極限まで完成されたものと言えるのではないでしょうか。 ●ギャグについての所見 ただ、やはり1コマの大きさが非常に大き過ぎ、ネタの絶対数・密度が物足りなくなったのは否めませんでした。ここまでネタ数が少ないと、1つのネタが笑えないだけで作品全体に対する印象も大きく異なってくるので、この点では相当損をしているのではないでしょうか。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 個人的には今週号の目次、『結界師』→『でんぢゃらすじーさん』という並びのコントラストが頭にガンガン響きました(笑)。頭を使って読ませるよう設計された作品の次に、頭を使わないでも笑えるよう設計された作品ですからね。 『いでじゅう!』では、新キャラクター登場。テーマは“普通の人”でしょうか。いや、“変になりたい必要以上に普通の女の子”って既に変なのかな? ……んーまぁメガネっ子だから良しとしましょう。 ──といったところで、ちょっと控えめですが今週はこれまで。2ch界隈の情報によると、今月中にもかなり覚悟を持って臨まなければならない事態がやって来そうですが、とりあえず先伸ばし出来る事は今日しない方針で邁進する予定ですので、どうか何卒(笑)。 |
2005年度第1回講義 |
今年度最初の「現代マンガ時評」をお送りします。今年度から有名無実と化していた“分割版”のフレーズを削除致しまして、原則週1回の講義実施とさせて頂きたいと思います。 ……さて、固い話はここまでにしまして。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では次号(19号)に『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデ−」では次号(20号)に『絶体絶命でんじゃらすじーさん』(作画:曽山一寿)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年18号☆ ◎読み切り『TEAM』(作画:宮本和也) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 それでも、主要登場人物の設定は(ステロタイプには変わりありませんが)よく練られていると思います。天然ボケ系・野生児的ながら好感度の高い性格&使い勝手の悪い能力を持つ主人公がいて、この主人公と様々な面で相互補完関係にあるパートナーを配置する…という発想は、なかなか気が利いていると思います。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 最近今更ながら「何やかんや言ってても、このマンガ凄ぇなあ」と思いながら読んでるのが『ONE
PIECE』です。スケールの大きな、しかも綿密に練られたプロット、シリアスとコメディのバランス、読み手が混乱を来たさないギリギリの線を追求した登場人物数と、なるほど伊達に「ジャンプ」の看板背負ってるわけじゃないなぁ…なんて感じる事が多くなりました。 連載開始以来最長のエピソードが終わったばかりの『銀魂』は、前回までのエピローグも兼ねて久々の一話完結型コメディ。これまで築き上げた設定をフルに活用しての、総決算的エピソードといったところでしょうか。腕の良い若手芸人のショートコントのような“傍観者からのボキャブラリー豊かなツッコミ”が冴えまくっていて、楽しませてもらいました。 ☆「週刊少年サンデー」2005年19号☆ ◎新連載(連載再開)『うえきの法則プラス』(作画:福地翼)《正編終了時の評価:B+寄りB》 ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ただ、惜しむらくは、相変わらずバトルが小細工的な駆け引きに終始していて、“戦い”というより“底抜け脱線ゲーム”になってしまっているところ。もっと高度な戦略性や、戦力的劣勢を気迫でカバーしての大逆転劇など、今後はもっとスリリングな攻防が展開される事を望みます。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週巻頭カラーの『名探偵コナン』では、平次から「お前の周り、事件起き過ぎとちゃうんか?」という、読者なら誰もが思っている事を代弁してくれる名ゼリフが出現して爆笑。やっぱり作者ご本人も同じ事を考えていたんですね。 『ワイルドライフ』には、どこをどう見ても最近ラジオ局のオーナーになった小デブな人をモチーフにしたキャラが登場。ただ、このマンガの悪い所はネタを考えたら、その「思いついた」という時点で止まっちゃう所なんですよね。モデルにした人物像の掘り下げが甘くていけません。 何だか手仕舞いのようにも見えた最近の『こわしや我聞』ですが、どうやら次のエピソードに続くことになりそうですね。それにしても、せっかく集めた仙術使いの面々がまるで影の薄いまんまだったのは残念でした。この辺の構成力を付ける所なども、掲載順巻末脱出のカギになって来ると思うのですが。
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