「社会学講座」アーカイブ(演習《現代マンガ時評》・14)
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講義一覧
9/30(第35回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」
(9月第5週/10月第1週分)
9/23(第34回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (9月第4週分) 9/17(第33回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (9月第3週分) 9/10(第32回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (9月第2週分) 9/4(第31回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (8月第5週/9月第1週分) 8/29(第30回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (8月第4週分) 8/23(第29回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (8月第3週分) 8/11(第27回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (8月第2週分) 8/6(第25回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (7月第6週/8月第1週分) 7/30(第23回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (7月第5週分) 7/23(第21回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (7月第4週分) 7/14(第20回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (7月第3週分) 7/8(第19回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (7月第2週分) 7/2(第18回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (6月第5週/7月第1週分) |
2005年度第35回講義 |
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1週間のご無沙汰でした。やはり世を忍ぶ仮の本業がフル稼働してる時期は、モチベーションが昼間で根こそぎ削られている気がしますね。一般の人としては真っ当な話ですが、こんな講座を開いている時点で一般の人ではない駒木にとって、これは非常に難しい問題であります(苦笑)。 さて、今日は「週刊少年ジャンプ」系の新増刊・「ジャンプ
the REVOLUTION」の公式発売日でした。1〜2日前から既に流通に乗っていたようですので、もう入手した方も多いと思いますが、予想通りなかなか独特な雰囲気を発した雑誌ですね。個人的には、高年齢層を対象にした、マンガ版「ジャンプノベル」を作りたかったのかな…と推測していますけど。 今日の時点ではまだ全作品読了してませんので、とりあえず始動は来週からということで何卒。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(44号)より『べしゃり暮らし』(作画:森田まさのり)が新連載となります。 なお、今号の「週刊少年ジャンプ」では、翌々週の45号から『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜)が新連載となる情報も併せて発表になっています。秋の新連載はこの2作品で、入れ替わりに終了するのは、今週最終回を迎えた『カイン』と、次週の最終回が濃厚となっている『切法師』の2本の線が強くなってきましたね。共に2クールの短期打ち切りですか。 ★新人賞の結果に関する情報 今週は、「ジャンプ」で「ストーリーキング」の、「サンデー」で月例賞「まんがカレッジ」の審査結果発表がありました。それぞれ興味深い選考結果となりましたが、まずは「ストーリーキング」から。
受賞者の皆さんのキャリアは以下の通りです。 ……一時期の隆盛に比べると最近低迷気味の「ストーリーキング」ですが、今回はネーム部門に特別賞1編が出ただけという、極めて低調な結果に終わりました。マンガ部門などは見栄えのする絵が印象的な作品も複数見受けられたのですが、どうやらそれが作品全体のクオリティに繋がっていなかったようです。 なお、次回から「ストキン」は大幅にリニューアルが図られるとの事。現状、「ジャンプ」は月例賞に加えて「手塚賞」「赤塚賞」もあるだけに、新人賞の住み分けも色々考えないといけないという事なのでしょうね。
受賞者の皆さんのキャリアは以下の通りです。 ……先月に引き続いて、低調な中から入選1編が出ましたね。講評の褒めっぷりも相当に高いテンションですので、増刊か本誌に掲載される時を期待して待ちたいと思います。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年43号☆ 今週はレビュー対象作無しになる所だったんですが、『HUNTER×HUNTER』が作者都合休載となって代原が掲載されました。そういや『ハンタ』の代原も久々だなぁ…と思って調べてみたところ、どうやら04年48号以来ほぼ11ヶ月ぶりらしいですね。 ◎読み切り『たいして良い思い出もできそうにない学校生活』(作画:伊藤直晃) ●作者略歴 ●絵についての所見 “間”の持たせ方や、簡潔で無駄の無いセリフ回しなど、確かにセンスが光る部分もあるのですが、残念ながら総合的に見て、週刊本誌へ掲載するにしては物足りない水準だと思います。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、『ネウロ』の連載30回、『みえるひと』の連載10回、そして『カイン』の最終回に伴う連載総括と、盛りだくさんの内容となりました。大体新連載シリーズが10週ごとですから、結構タイミングが被っちゃうんですよね。 ◎『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征) 駒木のこの作品の解釈に対して、ウィキペディアにまでネガティブなリンクを張られてしまって「何だかなぁ」なんですが(笑)、今回は以前の講義や談話室(BBS)で表明したように、純粋なエンターテインメント作品として評価を下しました。最近は推理モノの皮を被ってるのかどうかも怪しくなってますので、多分この解釈が揺れる事はしばらくはないでしょう。 さて、今回評価点を大幅に上昇させたのは、“犯人役”にあたるキャラが二転三転して見事に収束した「サイ編」の構成力、そしてキャラクターメイキングの上手さを最大限評価してのものです。特に最近は刑事たちや怪盗サイといった魅力的なレギュラー脇役が良い味を出しており、これが作品全体のクオリティにも好影響を与えているのではないでしょうか。 今回はちょっと点数を上げ過ぎかとも思うのですが、A−寄りB+とかにしたら、評価がどれくらい上がったのか自分でも謎になってしまうので(笑)。まぁ無意識にこびり付いている個人的な先入観を取っ払う事を考えたら、一旦はこれぐらい上げてみるのも丁度良いのかなとも思います。 ◎『みえるひと』(作画:岩代俊明) そしてこちらは10回目にして、残念ながら評価の下方修正を実施しました。 で、第4回以降からの印象なんですが、作品全体のテーマと言うか、ストーリーや登場人物に仮託して作者が描きたい物が見えて来ないんですよね。少なくとも駒木には全然伝わって来ません。 この作品についても「コミックアワード」前にタイミングを見計らって評価見直し予定です。 ◎『カイン』(作画:内水融) 『ユート』に続く、今年度短期打ち切り第2号。2クール、連載19回で打ち切り終了となってしまいました。 読み切り版から踏襲した設定は題名と主人公の名前だけ。それで読み切り版から取り去った要素の代わりに何を投入したかと言えば何もなし。出来上がったのは、キャラ掘り下げの著しく甘い登場人物たちだけが勝手に盛り上がって、それでいて盛り上がらない戦闘シーンを繰り返すストーリー展開でした。 これで内水さんは、「策士・軍師を主人公にした“頭脳派”の読み切りで成功→肉弾戦闘中心の“肉体派”の連載で失敗」…というルーチンを2セット繰り返してしまった事になります。決して実力不足の作家さんとは思わないのですが、これだけ適性違いのチャレンジを繰り返しては失敗するのも致し方無しでしょう。 |
2005年度第34回講義 |
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9月もいつの間にか下旬。当講座の年度で言えば、もうラスト2ヶ月という事になりました。昨年度は「コミックアワード」の実施が遅れたという事情もありましたが、やはり光陰矢の如しの感ですね。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 今週は採り上げるべき公式アナウンス情報はありませんでした。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年42号☆ ◎読み切り(第2回『金未来杯』エントリー作品)『@'clock』(作画:やまもと明日香) ●作者略歴 ●絵についての所見 あと、この作品の“肝”は、主人公の少年が何かを引き換えに時間の流れの外に身を置く──母親や村の皆に存在を忘れられる──かどうかの心理的葛藤のはずで、敵役の能書きや細かい設定云々よりも、もっとその辺りの心象描写を丁寧にやるべきではなかったでしょうか。 ●今回の評価 ──さて、これで今期「金未来杯」の全作品が出揃いましたので、簡単な総括を。
当ゼミの基準としてはB+評価4作品、B評価2作品という結果になりました。昨年は5作品中、A−評価1作品(『ムヒョ』)、B+評価3作品(『プルソウル』、『タカヤ』、『切法師』)でしたから、若干粒が小さくなったかな……といったところでしょうか。 ☆「週刊少年サンデー」2005年43号☆ 今週号は、またしても『うえきの法則プラス』が休載で代原が掲載されました。一応は取材休載という事になっていますが、3週前の休載と同様に“作者都合休載”の可能性が大ですね。 ◎読み切り『ラブリー フェアリー』(作画:小野寺真央) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は連載第10回を迎えた『絶対可憐チルドレン』をピックアップします。 ◎『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志) 10回時点の今回もA評価で据置としました。 また、評価とは直接関係ない部分ですが、遊び心に富んだこの作品の端々から、椎名高志さんの『絶チル』と“チルドレン”に対する愛情が伝わって来るのが、とても好感が持てるんですよね。駒木にとっては、読んでいるだけで幸せになれる作品です。
それでは、また来週。 |
2005年度第33回講義 |
今週もガタガタの状態で週末を迎えてしまいました。昼の仕事から帰って来た途端に気力が尽きるのを感じ、その回復もままならないまま、寝なきゃいけない時刻を迎えている……という感じでした。どれくらい気力が無かったかと言うと、『DRAGON
BALL』の天下一武闘会と『バキ』の最強トーナメントを足して8で割ったような、ハレンチ☆パンチぐらい志の低いマンガを見せられても、「フーン」で終わってしまうほどと申し上げれば、ご理解頂けるのではないかと。 さて、連休シフトでもう次週分の「ジャンプ」が発売になってますが、今日は月曜発売の、『NARUTO』が表紙の41号が対象ですのでお間違えないようお願いします。「サンデー」は水曜発売の42号です。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(42号)に「第2回金未来杯」エントリー作として、『@o'clock』(作画:やまもと明日香)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年41号☆ ◎読み切り(第2回『金未来杯』エントリー作品)『ナックモエ』(作画:村瀬克俊) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、ストーリーラインには最低限の理屈の整合性や説得力が保たれるよう、総じてよく練られており、陳腐さ・ヌルさも許容範囲で収まったかな…といったところです。「本格格闘技ドラマ」と銘打たれては困惑を禁じ得ませんが、B級の映画・Vシネマのようなヌルい作品と割り切ってしまえば悪くないんじゃないでしょうか。(まぁあくまで「○○としては〜」という話ですが) 具体的に評価できるポイントは、まず格闘シーンが挙げられます。喧嘩の延長上のような“バトル”ではなく、キチンと“格闘技”の草試合が描かれていました。実力上位の主人公が試合前半劣勢に陥る理由付けをムエタイの特色と絡めるなど小技も効いています。 先に述べたように、ストーリーの根本的な部分がやや低調だったのは残念でしたが、その中に埋もれそうになって潜んでいる高いポテンシャルが光る惜しい作品でもありました。今回の結果如何に関わらず、次回作に期待したい作家さんです。 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年42号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は評価見直し対象作品が2作品。連載20回の『うえきの法則プラス』と、連載10回の『あいこら』について採り上げます。 ◎『うえきの法則プラス』(作画:福地翼) 今回の見直しでも、B+評価で据え置きとしました。 まぁこの路線が受けたからこそ『うえき』は成功し、こうして続編も描かれている事は承知しています。でも、だからといって、“現在地”に安住してしまうには余りにも勿体無いと思うのです。 次は連載30回時点でまた評価見直しをします。 ◎『あいこら』(作画:井上和郎) 相変わらずのカタルシス優先・予定調和上等、ストーリーの内容を云々言えばキリが無いですが、エンターテインメントに徹しきったその製作姿勢はむしろ清清しささえ感じますね。 とりあえずこの作品については今回で評価確定とします。個人的に一読者として好きな作品でもあるので、今後はレビュアーの立場を離れて素直に楽しませて下さい(笑)。
……以上、9月3週分のゼミでした。ではまた、来週。 |
2005年度第32回講義 |
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ほぼ一週間のご無沙汰でした。たった6日で体がガタガタです(苦笑)。翌日の疲れの残り具合で、否応無しに現在の年齢を思い知らされる今日この頃です。 ……さて、それでは今週のゼミをお送りします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(41号)に「第2回金未来杯」エントリー作として、『ナックモエ』(作画:村瀬克俊)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎十二傑賞のまや夫さん…04年9、11月期に太宇諭まや夫名義で投稿歴あり、04年10月期「十二傑」に太宇諭みや夫名義で最終候補。 今回の十二傑賞は、昨秋に3ヶ月連続応募という離れ業をやってのけた経験のある19歳のまや夫さん。講評の通り、画力には大きな課題が残されているものの、その中に秘められているセンスが認められた……といったところでしょうか。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年40号☆ ◎読み切り(第2回『金未来杯』エントリー作品)『魔法使いムク』(作画:大久保彰) ●作者略歴 ●絵についての所見 しかし欠点の方もデビュー時からそのまま。これも岸本斉史さんのアシ出身者の特徴でもあるのですが、線描が細かい代わりに強弱・太細のメリハリに欠け、アクションシーン等で迫力不足に陥る面が気に掛かります ●ストーリー・設定についての所見 あとは、この動機付け云々の話と関連していると思いますが、キャラクター描写が甘いようにも感じました。 ストーリーの組み立て方や演出による見せ場の盛り上げなどは堅実で、よく考えて製作された作品だとは思います。ただ、ストーリーの流れを成立させるための無理が多過ぎたのではないでしょうか。 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年41号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は1週遅れで『ネコなび』の連載10回評価見直しを実施します。3週目が2本立てだったので、連載11回の今回が実質キリ番かと思いきや、31号スタートなので、もう10回到達していたんですね。失礼しました。 ◎『ネコなび』(作画:杉本ぺロ) ネコの生態を中心に描こうとしたこの作品ですが、やはり色々な意味で無理があったのでしょうか、数週前からは捨て猫2匹を主役格に据えた連作形式の4コマが続いています。 ラスト1ページの実録おまけマンガは「相変わらず」といった感じでしょうか。こちらもネタのバリエーションに乏しく、ギャグの密度も薄い感じで、笑える・笑えない以前に笑う機会が少ない気がします。 悪いなりに作品の体裁が固まってきたという事で評価は僅かに上方修正としましたが、依然としてメジャー誌の連載作品としては落第点のクオリティとせざるを得ませんね。 ──相変わらずの寂しい内容で恐縮ですが、今週はここまでとします。それでは、また来週お会いしましょう。 |
2005年度第31回講義 |
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いよいよ新学期となり、また多忙な数ヶ月間に突入という事になりました。まぁ世間的には、いい年して丸2ヶ月休んでる方がどうかしてるわけですが(笑)。 さて、今週分は『クロスゲーム』の第二部開始がありましたが、案の定レビューのしようがないスロースタートでしたので、「チェックポイント」欄での扱いとさせて頂きます。ご了承下さい。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(40号)に「第2回金未来杯」エントリー作として、『魔法使いムク』(作画:大久保彰)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎入選の出口真人さん…元「月刊少年ジャンプ」の新人作家で、03年に同誌新人賞入賞の後、04年末の増刊号でデビュー。
※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年39号☆ ◎読み切り(第2回『金未来杯』エントリー作品)『バカ in the CITY!!』(作画:大石浩二) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 それでも個別のネタを吟味してゆくと、非凡なセンスに唸らされる事も少なくありませんでした。無駄が全く無いセリフ回しや、オチの種類の多彩さもそうですが、各ネタに登場するキャラクターのバリエーションが実に豊かで、しかもそれぞれのキャラが全く被る所が無いというのが素晴らしいです。個人的には“相原コージ作品の少年誌版”みたいな印象を受けました。 ……というわけで、未だクオリティの安定度に課題を残しつつも、着実な前進が窺えた…という結論ですね。大石さんの非凡なセンスが再確認できたという意味で意義の深い作品だったと思います。 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年40号☆ 先週時点ではセンターカラーで掲載予定だった『うえきの法則プラス』が“作者取材のため”休載。「ジャンプ」流に言えば“作者都合のため”とする所なんでしょうね。 ◎読み切り『お坊サンバ!!』(作画:飯島浩介) ●作者略歴 ●絵についての所見 しかし、最近の「サンデー」本誌に載っているギャグ作品が一様に低調なため、これでも「形にはなっているなぁ」とは思えてしまうのが怖いですね(苦笑)。ですが、読み手としてこの水準で満足したくはないですし、作家の皆さんにも頑張ってもらいたいと思います。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎連載第2部開始『クロスゲーム』(作画:あだち充) 今週から第2部“開幕”。野球モノということで、話の作り易い高校からスタートかと思いきや、主人公中学3年の秋から開始という事になりました。高校入学までの間でジックリとストーリーの基礎を作っていくと言う事なのでしょうか。
……といったところで今回はこれまでとします。しばらくこんな調子ですが、どうかご辛抱を。 |
2005年度第30回講義 |
いつにも増して公私共にバタバタしておりまして、またしてもゼミの実施が1週間遅れ……。元々そんなのありませんが面目ありません。 今回は講義実施日基準で先週分、つまり8/22発売の「ジャンプ」関連のゼミです。「サンデー」関連は、読み切りも新連載も連載回数キリ番も無いので、今週もお休みですね。若手作家さんの読み切りが載ってもアレなケースが多い「サンデー」なんで、それはそれで平和だという気もするんですが、ここまで凪の状態が続くとやっぱり寂しいもんですね。 ──では、今週分のゼミに参りましょうか。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ※もうここで情報を扱った“次号”は既に発売されているんですが、備忘録代わりに掲載しておきます。 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(39号)に「第2回金未来杯」エントリー作として、『バカ
in the CITY!!』(作画:大石浩二)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(40号)より『クロスゲーム』(作画:あだち充)が第2部連載開始(再開)となります。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年38号☆ ◎読み切り(第2回『金未来杯』エントリー作品)『スマッシングショーネン』(作画:大竹利明) ●作者略歴 ●ストーリー・設定についての所見 ただ、ストーリーの内容に関しては、主人公の特殊設定に固執し過ぎて、作品全体の軸となるテーマ性がボヤけてしまったかな…という感じです。スポーツを描いたわけでも、主人公の求めた“青春”を描いたわけでもなく、「鳥がメチャクチャやって来る頭」を描いた話になってしまったような気がするんですよね。主客が転倒していると言えば良いのでしょうか。 ●現時点の評価
──というわけで、短いですが8月4週分のゼミをお送りしました。多分、何年か後にこの週のアーカイブを見たら「ああ、この週の『ジャンプ』と『サンデー』は平和だったんだなぁ」と思う事でしょう(笑)。 なお、8月5週/9月1週分のゼミは週内実施を最低限の目標に準備作業を進めて行きます。どうぞ今しばらくをお待ちを。 |
2005年度第29回講義 |
年に3度の「赤マル」レビューのお時間がやって参りました。大変ですけど、最後まで頑張ります。 ……さて、戯言はそれくらいにして、レビューへと参りましょう。今回も現役連載作品の番外編の類はレビューから除外します。また、完結が4ヶ月順延した『武装錬金』は、作品の性格上“チェックポイント”扱いで感想を述べるに留めます。 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ◆「赤マルジャンプ」05年夏号レビュー◆ ◎『武装錬金ファイナル』(作画:和月伸宏) “ファイナル”にも関わらず「冬号へ続く」という、大人の事情が機能した痕跡丸出しの展開となりました(笑)。ファイナルなのに終わらないのは、「ファイナルファンタジー」とアントニオ猪木・ファイナルカウントダウンぐらいなものだと思っておりましたが、まさかこんな所から……。 また、こうしてページ数が大幅に増えた事によって、この完結編の持つ性格も大きく変わることになりました。即ち、“打ち切り作品の敗戦処理”から“長編連載作品のエピローグ”への大転換です。 さて、そんなヤヤコシい話はさておき、今回の「ファイナル」の内容は実に素晴らしいモノであったと思います。 幸か不幸か、全ての面において完結編に突入してからピークを迎えてしまった感がある『武装錬金』ですが、ここまで来たら、せめて最高のエンディングを我々に見せて貰いたいですね。主人公・カズキが絶望的な状況で“冬号に続く”となった今回の『ファイナル』ですが、果たしてハッピーエンド至上主義者の和月さんが、どのようにしてケリをつけるのか。最後の最後まで、熱く注目したいと思います。 ◎読み切り『妖怪学校オルフェノ・ライフ』(作画:夕樹和史) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、逆にストーリー面では少々「どうせ子供向けだから」という部分に甘えてしまったように感じました。心象描写や行動の動機付けといった作品の“奥行き”を広げる努力を怠り、予定調和に偏り過ぎたのではないでしょうか。 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 あと、「このマンガは専門的・本格的なボクシング物です」というのをアピールするためかどうか知りませんが、一般的には殆ど知名度の無い外国人選手の名前(だけ)を連発するのは、ボクシングに興味の無い読者を敬遠させるだけなので避けるべきでしょう。せめてタイソン級の知名度を持った伝説の強豪、それかむしろ、フィクションの強みで架空の日本人世界王者をでっち上げた方が説得力も増したのではないでしょうか。 ●今回の評価 ◎読み切り『サムライスラッシュ』(作画:加持君也) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 前々から思っていた事ですが、加持さんは“王道”──過去作の優れた部分を踏襲する──と“陳腐”──過去に使い古された要素を使い回す──の区別がついていないように思えてなりません。どうせ真似するなら、良い所だけ真似て欲しいものです。 ●今回の評価 ◎読み切り『キャッチクラブ』(作画:宮本和也) ●作者略歴 ●絵についての所見 話の組み立て的には、一応は起承転結が完成しており、伏線も上手く使えていて、評価出来る点も有るんですが……。今回は先に述べた通り、それを評価しようの無い別の大きな問題が重く圧し掛かっている感がありますね。 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 これで小ネタをもう少し増やしてページ辺りのネタ密度を濃くし、登場人物にもう少しキツめの個性が持たせられるようになれば、週刊本誌で活躍するチャンスも生まれて来るでしょう。 ●今回の評価 ◎読み切り『闘魂パンダーランド 〜あんたパンダの何なのさ〜』(作画:ポンセ前田) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『オウルサムス』(作画:安藤英) ●作者略歴 ●絵についての所見 作品全体を俯瞰すると「人間たちが、ただ何となく命がけで怪物を倒すお話」とまとめる他無く、残念ながら完全な失敗作と断ぜざるを得ません。 ●今回の評価 ◎読み切り『HAND’S』(作画:板倉雄一) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただし、いくらコメディ要素で誤魔化しているとはいえ、やや話が出来過ぎで無理があったり、余りにも物騒で現実感の無いヤクザたちの描写など、ツッコミ所というか、読み手が白けてしまう可能性のある要素も少なからずありました。これはやはり若干の減点材料となるでしょう。 しかしそれが作品全体の完成度・クオリティを大きく押し下げるかというと、そこまで厳しく見る必要も無いのではないか…というのが駒木個人の判断です。 ●今回の評価 ◎読み切り『なぞなぞの魔法!』(作画:沖田修治) ●作者略歴 ●絵についての所見 しかし、非常に残念だったのが、この良く出来ていたはずのストーリーが、クライマックスから急失速してしまった事ですね。 ●今回の評価 ◎読み切り『トラ!! the goal-d Gravi-ruler』(作画:石岡ショウエイ) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『Strength』(作画:彩崎廉) (受講生の皆さんへ:この作品は評価Cとなりました。結果的に読み手の感情を損ねる論調のレビューになっている恐れがあります。この作品のレビューをご覧になるかどうかは皆さんでご判断下さい。) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、この辺は今後アシスタント修行や色々な経験を積む事によって改善されて来ると思います。今回は低い評価を付ける他無いですが、次回作以降の成長に期待します。 ──と、いろいろ述べてきましたが、一言にまとめると、文字通り「お話になってない」という状態です。いくら「十二傑賞」受賞作とは言え、これは商業誌に載せる作品ではないと、個人的には思っています。 ●今回の評価 ◎読み切り『JIKANGAE』(作画:普津澤画乃新) ●作者略歴 ●絵についての所見 ひょっとすると、かつての藤崎竜さんのように、必要以上に絵柄で読者層を狭める可能性もありますが、純粋な力量的には週刊本誌の連載陣に混じっても遜色ないレヴェル。さすが、15歳から5年間弛まぬ努力で腕を磨いて来ただけの事はありますね。これだけの実力でまだ20歳、将来に期待が持てそうです。 ●今回の評価 ◎読み切り『weisse Maria』(作画:René Scheibe) ●作者略歴 ●絵についての所見(※8/24、27に、事実誤認によりそれぞれ一部修正しました。お詫びいたします) では、具体的に画力を評価するにあたってのポイントを羅列しておきます。 ……まぁともかくも今回は、オリンピックで言うところの「参加する事に意義がある」的な“記念出場”という解釈をするのが妥当ではないでしょうか。 ●今回の評価 ※総評…『武装錬金』が良過ぎて、それと否応なしに比べられてしまう新人さんは可哀想でしたね(笑)。それでもA−評価が1作品、そして近い将来の飛躍が期待できるB+評価作品がいくつかあり、全体的なレヴェルとしてはマズマズだったのではないでしょうか。 ──ということで、大変遅くなりましたが、以上「赤マル」夏号レビューでした。なお、今週分のゼミも遅れる可能性があります。詳しくは“観察レポート”をご覧下さい。 |
2005年度第27回講義 |
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11日夜から恒例の東京旅行へ出発する関係上、ゼミを早々に水曜日から準備を始めて、この木曜午後に実施する事になりました。幸いにも「サンデー」にレビューとチェックポイント対象作が無かったので、何とかなりそうです。 しかし、東京から帰って来ると、今度は「赤マル」レビューですか……。しんどいなぁ(ぼそ)。 まぁその辺は実際に本見りゃ判るってことで、とりあえずお盆直前のゼミをお送りしましょう。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(38号)に「第2回金未来杯」エントリー作として、『スマッシングショーネン!』(作画:大竹利明)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎十二傑賞の松本直也さん…05年1月期「十二傑」で最終候補。 ……今回の「十二傑」は、十二傑賞受賞者の松本さん以外は、これが初めての入賞というフレッシュな顔触れでした。編集部の評価や講評を見ると、やや低水準かなという気もしますが、ここから荒削りの才能を編集者の力で細かく研磨していくという事なんでしょうね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年36・37合併号☆ ◎新連載第3回『太臓もて王サーガ』(作画:大亜門) ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 問題点を挙げるとすれば、ページ跨ぎの大ゴマで決める一発ギャグが、結構な確率でインパクト不足気味に感じられる事でしょうか。前々から薄々感じていた傾向ではありますが、ちょっと顕著になって来たかな…という感じです。 あと、今回からやたらに増えたパロディネタも賛否が分かれるでしょうね。この辺は読み手によって評価が完全に分かれてしまうでしょうから、非常に評価が難しいところです。 ●今回の評価 ◎読み切り(第2回『金未来杯』エントリー作品)『カメとウサギとストライク』(作画:天野洋一) ●作者略歴 ●絵についての所見 少し気になる点としては、基本的にリアルタッチな絵柄であるのに、人物の顔の造型で目だけが不自然に大きいという事でしょうか。読み手によっては違和感を感じるかも知れません。そして些細な点ですが、静物の細部の描き込みを、光の効果を効かせまくって誤魔化しているのも、ちょっと残念でした。煮込みうどんが透明感有り過ぎます(笑)。 ●ストーリー&設定についての所見 そういう意味で、この作品の付加価値に当たる部分はどうかというと、残念ながら「成功」と自信を持って推せる水準には達していないように思われます。
──日程の問題もありますし、今日はここまでとしておきます。それでは皆さん、有明でお会いしましょう。 |
2005年度第25回講義 |
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日程も詰まり気味ですので、早速ゼミを始めます。来週は木曜日から東京へ出発しますので、カリキュラムは多少流動的です。「サンデー」にレビュー対象作が無いので、水曜実施も可能だとは思いますが……。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(36・37合併号)から若手作家による読み切り競作企画・「第2回・週刊少年ジャンプ金未来杯(ゴールドフューチャーカップ)」が開催されます。 さて、ではここでエントリー作家・作品と、掲載スケジュールを紹介しておきましょう。
今年のエントリーは昨年より1つ増えて6作品。ただ、個人的な印象としては、昨年度エントリー5作品の作者の皆さん(福島鉄平、坂本裕次郎、田坂亮、西義之、中島諭宇樹、以下エントリー順敬称略)に比べると、やや小粒な印象もありますね。期待半分、不安半分…といったところでしょうか。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年35号☆ ◎新連載第3回『みえるひと』(作画:岩代俊明) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見(第1回時点からの推移) 全体としては「悪くない」作品ではあるのですが、「悪くない」程度では生き残れないのが現在の「ジャンプ」。打ち切りが近そうな作品が1つ2つある今の内に、テコ入れと読み手の望む方向性への舵取りをしていってもらいたいものです。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の「チェックポイント」は、まず『切法師』の連載10回評価見直しから。 ◎『切法師』(作画:中島諭宇樹) 掲載順も徐々に低迷しつつあるこの作品ですが、当ゼミでの評価も実質1.5ランクのダウンとさせてもらいます。 果たして20回の評価見直しがあるのかどうか微妙な情勢ですが、何とかテコ入れが間に合う事を祈りたいですね。実力のある作家さんだけに、短期打ち切りは見たくないものです。 ──そして今週号では『いちご100%』が完結を迎えました。当講座開講間もない頃に連載が始まった作品ですが、いつの間にか長期連載の部類に入る作品になっていましたね。そりゃ当講座スタッフもみんな年とるわけですね(苦笑)。 (※ところで、実はこの最終回総括は第2稿です。当初は普通のストーリー系作品と同様のスタンスからクソ真面目に総括評価をしたのですが、「そうして見る作品ではないですよ」という至極ごもっともなご指摘を受け、修正をしております) さて、この作品は連載当初は正統派の青春ラブストーリーとして出発し、新連載時の評価もそういうスタンスで出しました。しかし、最終回を迎えた時点で作品全体を俯瞰すると、確信犯的にシナリオ・設定の内容充実を犠牲にし、その分商業的成績を意識した、いわゆる「名作崩れの人気作」的作品と考えた方がしっくり来るようです。複数の女の子に対して一生心の傷になりそうな事をした真中が最後までモテモテ…という御都合主義的なエンディングも、そういう解釈をすれば納得も出来ますし。 ☆「週刊少年サンデー」2005年36号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、『見上げてごらん』の連載20回評価見直しをお送りします。 ◎『見上げてごらん』(作画:草場道輝) 連載20回の区切りですが、今回も評価は据え置きとします。現在、部内での5対5対抗戦が進行中ですが、試合シーンの内容が、どうにも薄味かな…という感じですね。高度に専門的な技術論や内容の深い駆け引きではなく、根性論や「正義は勝つ」というような根拠薄弱な精神面の部分ばかりをクローズアップしてしまったため、ストーリーや作品全体の説得力に悪い影響を与えているように思えます。 この作品、とりあえずあと10回様子を見て、それで内容が変わらないようでしたら、それで評価確定としたいと思います。
──といったところで、今週分のゼミはこれまで。また来週お会いしましょう。では。 |
2005年度第23回講義 |
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大亜門さん、『いちご100%』真中ネタがギリギリで間に合って良かったですね、と言いたくなる7月末の「現代マンガ時評」をお送りします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新人賞の結果に関する情報
今回の受賞者の過去のキャリアについては、ネット検索で調査した限りでは目ぼしいものは見つかりませんでした。 ……普段から2ヶ月単位か1ヶ月単位かで大きく収穫の質と量が異なる「まんカレ」ですが、この5月期は特に大不作といったところでしょうか。ここまで入賞作品が少ないのは、かなり珍しい現象ですね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年34号☆ ◎新連載『太臓もて王サーガ』(作画:大亜門) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ欲を言えば、全体的にもう少し絵に動きがあれば、もっとハツラツとした雰囲気が出て良いんじゃないかと思います。動的表現自体は問題ないのですが、人物の動きがどれも小さいコマの中だけで完結してしまっているので、動感を実感し難くなっているんです。 ●ギャグについての所見 意地の悪い注文を出すならば、ややギャグの展開が一本調子・ワンパターン気味な感があるので、もう少しメリハリとトリッキーさを入れてもらいたい…といったところ。1回につき1箇所ぐらい“間”の取り方を極端にするとか、言葉に頼らないギャグも入れてみるとか、安定感だけでなく良い意味で読者の予想を裏切るような意外性があれば、随分と印象も変わって来ると思うのです。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の「チェックポイント」は『タカヤ』の連載10回評価見直しです。 ◎『タカヤ -閃武学園激闘伝-』(作画:坂本裕次郎) 掲載順的には“同期”3作品の中では最も好調ではありますが、内容的には低迷から抜け出せずにいるようです。 ……ただ、最近の「ジャンプ」は連載10〜20回前後からのテコ入れが実に上手いですから、とりあえず評価を据え置いて、あと10回は経過観察を続けたいと思います。 ☆「週刊少年サンデー」2005年35号☆ ◎新連載第3回『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見 ただ、これは物凄く贅沢な悩みなんですが、これまでの読み切り、短期集中連載、そして今シリーズの第1話が余りにも良く出来ていたため、少し内容のテンションを落とすと途端に薄味に感じてしまう自分がいます(笑)。また、第1話で、作品のテーマについて言いたい事を全部言っちゃったところもありますので、今後の盛り上げもかなり辛いだろうな……と心配してしまう面も。 ●現時点の評価 ◎(代原)読み切り『名犬ジョン』(作画:橋本時計店) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、ちょっと絵がマジメ過ぎるというか、ディフォルメやキャラ造詣のハジケっぷりが足りない気もします。今後、作風に応じてどれくらい“バカ”になれるかがカギに来るんじゃないでしょうか。 ●ギャグについての所見 しかしながら、まだ全体的に省ける無駄な部分が多過ぎるような気もします。1コマで収まりそうな所に2〜3コマ使ってみたり、ネタフリを長く引き伸ばし気味だったりと、いわゆる“ネタ繰り”が不徹底だったのではないでしょうか。 ●今回の評価 ◎読み切り『カミロボ誕生物語』(作画:あおやぎ孝夫) ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容になってしまっています。ご了承下さい) ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ……まぁでも、一人っ子・一人遊び好きのプロレスファンとしては、このカミロボ・安居さんの気持ちはよく判るんですけどね(笑)。こういう内向的で緻密な趣味というのは、個人的には大好きです。 ──話がエラい逸れ方しましたが、まぁよく出来た作品です、とまとめておきましょう(笑)。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は『ブリザードアクセル』が20回のキリ番となりましたので、評価見直し簡易レビューです。 ◎『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央) 数話前から主人公が全寮制の合宿に入り、一気に本格的なフィギュアスケート競技マンガへ発展しつつありますね。主人公の少年マンガ的熱血キャラを上手くシナリオと絡み合わせることで、自然に特訓エピソードへ誘導したのには唸らされました。 ……レビュー4本のゼミで、準備に時間を食ってしまいました。 |
2005年度第21回講義 |
珠美ちゃんのレポートにもありましたが、今週は同人誌版「現代マンガ時評」の書き下ろし分を執筆しておりました。ウェブ上でならタダで閲覧出来るコンテンツだけで対価を頂くわけにはいきませんので、ささやかなプレミアというヤツですね。 ……なんかいきなり変な独り言ですいません(笑)。まぁたかが駒木の戯言ですんで、竹輪のように右から左へ抜かして下さい。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 まずお詫びから。先週の「サンデー」で掲載告知されていた『マリンハンター』(作画:大塚志郎=今週号掲載)を紹介するのを失念しておりました。申し訳ないです。 ◎先週、既に告知済みですが「週刊少年ジャンプ」では、次号(34号)より、『太臓もて王サーガ』(作画:大亜門)が新連載となります。大亜門さんはこれが『無敵鉄姫スピンちゃん』に続き2度目の連載。今回も短期打ち切りになると、今後の展望がかなり厳しいものになるはずですので、是非とも頑張ってもらいたいところです。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(35号)に『カミロボ誕生物語』(作画:あおやぎ孝夫)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年33号☆ ◎新連載『みえるひと』(作画:岩代俊明) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ただ、そうやってミステリ要素を取っ払ってしまったため、ストーリーがやや単純で意外性の無いモノになってしまった事も否定出来ません。幸い、レヴェルの高い脚本・演出がこの弱点をフォローして、予定調和ながら鑑賞に耐え得るクオリティは維持出来ていると思うのですが、読み手の感情を揺さぶる場面や、意表を突くようなサプライズが見られなかったのは少々残念でした。これも今後へ向けての課題ですね。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は『カイン』が10回の区切りを迎えましたので、定例の評価見直しを実施します。 ◎『カイン』(作画:内水融) 第3回時点から更に下方修正。メジャー誌の連載作品としては落第点のレヴェルに転落です。 今週号から始まった新連載シリーズのタイミングが中途半端で、この作品も当面は打ち切りを逃れたようですが、今のままでは2クール目をクリアするのは難しいと言わざるを得ません。 ☆「週刊少年サンデー」2005年34号☆ ◎新連載第3回『あいこら』(作画:井上和郎)《第1回掲載時点での評価:B+》 ●絵についての所見 ●現時点での評価
(受講生の皆さんへ:この作品は評価Cとなりました。結果的に読み手の感情を損ねる論調のレビューになっている恐れがあります。この作品のレビューをご覧になるかどうかは皆さんでご判断下さい。) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、今作は紙質の問題以前に作画のレヴェルも低調でした。 更には、本来なら世界観や設定を象徴するように配慮しなければならない人物造型や衣装のデザイン、これについても全く無頓着なのも大きな減点材料です。「この世界観で、こういう理由があって、この世界の人間はこういう姿形をしている」とか、「この世界の環境がこうだから、機能的にこういう服装をしている」とかいったモノが全く感じられません。 それでも、まず指摘しないといけないのは脚本・演出でしょうね。とにかく徹頭徹尾説明的なセリフ・モノローグのオンパレード。登場人物のことごとくがご丁寧に細かい知識を持っていて、TPOに応じて台本でも読んだかのようにウンチクを披露。敵キャラは敵キャラで、戦闘中だというのに詳細な自戦解説を繰り広げる始末。また、先に指摘した単調な構図と動的表現の甘さが演出の足を引っ張って、映える場面も映えなくなってしまっています。 次に設定とストーリー。作品世界の背景から主人公の目的から、主人公が特殊能力を持った理由まで色々と並べてはみたものの、これらがストーリーの内容を全く無視して提示されているため、全くの蛇足になっています。 そして、アクション系作品の命綱と言うべき戦闘シーンもお粗末な限り。確かに個人の特性や必殺技を用意されてはいるのですが、根本的な部分では、駆け引きの全く無い、しかも秒殺決着のパワーゲームでは如何とも・・・・・・。 2年前、大塚さんが佳作入賞を果たした「まんカレ」の講評には「まんがのドラマはキャラクターが全て。設定や事件の目新しさに読者は感情移入してくれません」という旨の苦言がありました。この言葉を大塚さんが少しでも胸に刻み付けていれば、こんな酷い作品を発表する事も無かったでしょうに、本当に残念です。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ さて、今週にキリ番回数を迎えた連載作品は無いのですが、実は『兄踏んじゃった』の評価見直しを5週間ほど忘れておりました(汗)。 ……というわけで、連載25回時点の評価見直しです。 ◎『兄踏んじゃった』(作画:小笠原真) 実質0.5ランクの上方修正としました。個人的に笑えるかどうかと問われればキツいのですが、それでもツッコミの台詞回しなどに随分と工夫・改善の跡が見られるようになりました。 この作品については、今度こそこれで評価確定としておきます。今後はクオリティに大きな変化があった時のみ、この欄で採り上げることになるでしょう。
──というわけで、今週はこれまで。同人誌の入稿締め切りが27日必着なんで、それまではどうか何卒。 |
2005年度第20回講義 |
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たとえ日常で少々キツい事があっても、今週の『ジャガー』の、「借りてない借金」というフレーズに爆笑出来る内は多分大丈夫…と、自分を励ました駒木ハヤトです。鬱陶しい梅雨真っ只中、いかがお過ごしでしょうか。 さて今週は、レビューする方が手薬煉(てぐすね)引いて待ち構えていた『絶対可憐チルドレン』が登場です。駒木の中では連載前から今年度「コミックアワード」有力候補でしたが、長期連載版第1回もやはり素晴らしい出来でした。詳しくは後ほど。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(33号)より、夏の新連載シリーズが開幕します。前期の新連載がまだ連載10回に到達するかどうかという早いタイミングですが、昨年来、作品の新陳代謝が鈍っていた分を取り戻そうという方針なのでしょうか。 それはさておき、今回のシリーズで立ち上がる新連載は以下の2作品です。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎最終候補の泉昭典さん…04年12月期「十二傑」にも投稿歴あり。 今月の十二傑賞は、「ジャンプ」では珍しい宇宙冒険モノ。しかし、だからこそフレッシュな印象を審査した人たちに与えたのでしょうか。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年32号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週号の「ジャンプ」は、レビュー対象作がありません。ただし、『ムヒョ』が連載30回、『ネウロ』が連載20回の節目を迎えましたので評価見直しと簡易レビューを、そして、今週号で慌しく打ち切り最終回を迎えた『ユート』の連載総括を実施します。 ◎『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(作画:西義之) 形としては第10回でつけた評価に復帰ということにさせてもらいました。 ◎『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征) (果たして初めからそう考えていたのかどうかは別にして、)単行本1巻で作者から「(この作品は)推理物の皮を被った単純娯楽漫画」という公式コメントがあったそうです。そういうわけで、こちらもその前提条件に立って、根本的な所から評価の見直しを行いました。 評価すべき点・加点材料としては、まず何と言っても主役と主要脇役のキャラクターが、実に個性的でインパクトが強い…という事が挙げられます。ホラー・サスペンス的な要素を多く含みつつも、この作品が多くの人が親しみ易いユーモアに溢れたコメディとして成立しているのも、このキャラクターメイキングの妙が大きな要因として働いている事でしょう。 反対に減点材料としては、全般的なシナリオの弱さを指摘させてもらいます。「娯楽漫画」と銘打った割にこの作品のストーリーは、どうも読み手にカタルシスを与えたり、感情を揺さぶったりするようなエンターテインメント性に乏しいように思えるのです。端的に言えば「皮を被っ」ているだけの「推理物」の部分だけが強調され過ぎているというか……。 ……そういうわけで、今回の評価は弱含みのB+とさせてもらいました。かなり乱暴な意見ですが、「娯楽漫画」を追及するのならば、もういっそのことネウロ&弥子が凶悪な変態怪人と戦うバトル物にテコ入れした方が良いと思ったりもしています。 ◎『ユート』(作:ほったゆみ/画:河野慶) そしてこちらは残念ながら、最終回に伴う連載総括です。連載期間は2クール21回。原作者の過去の実績や、いわゆる“突き抜け”が見られなくなって久しい現在の「ジャンプ」としては、ほぼ最短コースの打ち切りと考えて良いでしょう。『ヒカルの碁』で、その実力を国内外に示し、輝かしい名声を勝ち取ったはずのほったゆみさんでしたが、思わぬ所で足元を掬われてしまった形となりました。 評価はB+としましたが、これは事実上の未完に終わった作品に、高い評価を与えるわけにはいかない…という配慮だと解釈して頂ければ。こんなブン投げ方をした作品としては破格の評価です。 ☆「週刊少年サンデー」2005年33号☆ ◎新連載『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、クオリティ云々とは別の所で、絵柄・画面の雰囲気全体に何とも言えない古臭さが感じられたのが気になりました。これは恐らく、作中で使用されている“マンガ的表現のための記号”が、『GS美神』時代のまま固まっているからなんでしょうね。 ●ストーリー&設定についての所見 ハッキリ言って、これほど隙の無い、完成度の高いマンガは、日本中のどの雑誌を探してみてもそうそうお目にかかれるモノではないでしょう。「少年サンデー」読者からの人気を集められるかどうか……という、“商品”としての課題は残されていますが、少なくとも“作品”としては文句の付け所がありません。素晴らしいマンガです。 ●現時点の評価 ◎新連載第3回『ネコなび』(作画:杉本ぺロ) ●絵についての所見 せめてこれでラスト1ページの実録マンガがしっかりしたギャグになっていれば良いのですが、これも現状は巻末コメントのマンガ化&企画の告知ページと化していて、宝ならぬページの持ち腐れ状態。残念ながら、この作品は早くも「1粒で2度不味い」という、末期的な状況に陥っていますね。 ●現時点での評価
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2005年度第19回講義 |
当講座としては、ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権関連の講義もしなければならない所ですが、とりあえずは優先順位順に仕事を済ませてゆく事にします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎既報通り、「週刊少年サンデー」では、次号(33号)より、『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志)が新連載となります。言うべき事は既に全て言ってしまいましたが、ともかくも2年がかりで連載まで漕ぎ着けたのですから、良い作品になる事を、そして商業的にも良い結果がもたらされる事を切に望みます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年31号☆ ◎読み切り『未熟仙』(作画:栗山武史) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 ただ、今回に限って言えば、そうやって折角多くのエピソードを盛り込むだけの余地を作っておきながら、肝心のストーリーが随分と内容希薄に陥ってしまったのは大変残念でした。いわゆる起承転結で言えば“承”の部分が他愛も無い会話劇だけで終わってしまったため、何とも言えない間延び感漂う話になってしまった感がありましたね。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は『ユート』が連載20回の区切りを迎えたのですが、「次号で連載終了」との未確認情報が流れていますので、とりあえず今週の評価見直しは中止し、次週のゼミで適切な処置を執りたいと考えています。 新連載の噂も流れてはいるんですが、どうやら先般の新連載シリーズと同様、「コミックアワード」受賞作家が登場して、間もなく伸び悩む…というジンクスが発動しそうな予感溢れるラインナップのようです。これも詳しくは次号辺りで公式発表があると思うので、注目して下さい。 ☆「週刊少年サンデー」2005年32号☆ ◎新連載『あいこら』(作画:井上和郎) ●作者略歴 ●絵についての所見 また、動的表現や背景処理、更に進行させたディフォルメ表現なども巧みで、一枚絵としての見栄えだけに留まらず、マンガの記号としての役割も十分に果たせています。欲を言えば老若・美醜の“老”と“醜”のコントラストを付けてもらいたいところですが、この作品にその要素は必要無いかも知れませんね。 ともかくも、およそ絵に限定して評価を下せば、現在の「サンデー」連載陣の中でも間違いなくトップクラスにランクされるハイクオリティと言えるでしょう。 次にストーリーに関して。主人公とヒロインを無理矢理同居させてしまう手法は、『りびんぐゲーム』以降の星里もちるさんのそれを想起させる、気持ちの良い強引さが感じられるものでした。ここでツッコミを入れると「何をマンガ相手に……」と言われてしまいそうな、思いっきりの良い非現実かつ理想的な設定が心地良いです。 ところで、この作品を否定する側からは「所詮は『ラブひな』のパクり」と一刀両断されているようですが、個人的には、そこまで単純に底の浅い作品ではないように思います。そもそも『ラブひな』が「サンデー」系ラブコメの「マガジン」移植なのですから、「逆輸入」と言うならまだしも、「パクり」というのは少々乱暴ではないでしょうか。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週で『クロスゲーム』が第10回を迎え……と言おうとしたら、何と第1部完。ここまでが単行本1巻分を費やした壮大なプロローグだった…ということのようです。 ──というわけで、第1部終了時点での評価見直しです。 ◎『クロスゲーム』(作画:あだち充) 「少々キズの多過ぎる佳作」ということで、こういう暫定評価をつけました。 ……そういうわけで、第2部開始以降のメインシナリオで挽回してくれる事を期待しつつ、現時点ではやや控えめの評価をつけさせてもらいました。 ──ということで、今週のゼミはここまで。来週は講義や執筆活動に専念出来ますので、何かしら成果を皆さんに披露したいと思います。今度こそ空振りには終わらせませんので、ご期待を。ではまた。 |
2005年度第18回講義 |
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今更ながら、5月と6月の講義回数の少なさに愕然としている駒木です。本当に、ここまで見限る事無く受講して下さっている皆さんに感謝&陳謝。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(31号)に、読み切り『未熟仙』(作画:栗山武史)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(32号)より、『あいこら』(作画:井上和郎)が新連載となります。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎努力賞の高橋拓也さん…03年12月・04年1月期「まんカレ」であと一歩で賞。 ……今期の「まんカレ」は2ヶ月合同とあって、なかなかの豊作。当たり前ではありますが、1ヶ月単位の時と2ヶ月単位の時では明らかに投稿作の層が違いますね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年30号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は最終回もキリ番回数も無いので、チェックポイントは実質お休み。来週辺りからは色々と忙しくなりそうですが……。 ☆「週刊少年サンデー」2005年31号☆ ◎新連載『ネコなび』(作画:杉本ぺロ) ●作者略歴 ●絵についての所見 そういうわけで、総合的な評価としては「ギャグ作品としては軽く合格点以上」といったところ。これでもう少し華があるか、アクが強ければ申し分無いのですが……。 まず、実録風の方は、ネタの掘り下げ不足が否めませんでした。もっと現実を脚色出来る余地があったはずなのに、実在の人物に遠慮したのか照れなのか、せっかくの“美味しい”出来事をサラリと描き過ぎてしまったような気がします。桜玉吉さんの『漫玉日記』シリーズまで行ってしまうと、さすがに少年誌では過激でしょうが、それでももう少し人物の弄りようがあったのではないでしょうか。 次に4コマの方。こちらは先程以上に重症です。 今後、杉本さんがネコを飼う中で、飼い主ならではのネタを発掘出来れば、あるいは大化けも…とは思いますが、少なくとも現時点では「準備不足の見切り発車による交通事故」と結論付ける他ないようです。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週で『思春期刑事ミノル小林』が最終回。編集長の交代以来、微妙に扱いが悪くなって来ているな…と思ったら、今週の『ネコなび』と入れ替えという事になったようです。 ──今週は地味な内容に終始しましたが、とりあえずこんなところで。 |