「社会学講座」アーカイブ(演習《現代マンガ時評》・15)
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講義一覧
12/23(第48回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」
(12月第4週分) 12/20(第47回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (12月第3週分) 12/13(第46回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (12月第2週分) 12/5(第45回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (11月第5週/12月第1週分) 11/25(第44回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (11月第4週分) 11/19(第43回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (11月第3週分) 11/13(第42回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (11月第2週分) 11/5(第41回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (10月第6週/11月第1週分) 10/31(第40回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (10月第5週分) 10/22(第39回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (10月第4週分) 10/15(第37回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (10月第3週分) 10/7(第36回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」 (10月第2週分) |
2005年度第48回講義 |
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タモリが「徹子の部屋」で密室芸を披露するのを観て、年の瀬を感じた今年最後の3連休の夜、いかがお過ごしでしょうか。駒木は「うわぁ、もう年の瀬か、ゼミ以外の講義が全然出来てないぞ」と今更ながら自分に呆れ返っている所です。本当に申し訳ない。 まぁとりあえず今日は今週分のゼミという事になります。対象となるテキストは「ジャンプ」3号、「サンデー」3・4合併号です。もう年内最後の合併号の出るシーズンではありますが、作家・編集者の皆さんは年明け発売分の原稿で昨日・今日まで地獄の年末進行だったんでしょうね。この場合、師走じゃなくて「編集走」とか「印刷機走」とか書けば良いんでしょうか(笑)。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年4・5合併号)に読み切り『氷姫奇譚』(作画:河下水希)が掲載されます。
受賞者の皆さんのキャリアは以下の通りです。 本来、10代の応募が最も多いはずの8月期が不作だったにも関わらず(というか、夏休み中に完成出来なかった力作が先送りされた?)、9・10月期は大豊作となった模様です。中には「ジャンプ」に投稿した返す刀で「サンデー」にも投稿する中学生の“新人予備軍”さんまで。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年3号☆ ◎読み切り『World 4u_』(作画:江尻立真) ●作者略歴 ●絵についての所見 まず1本目では、“虫入りドロップ”の設定を現実世界と夢の世界でゴチャ混ぜにしてしまったため、ホラーで大事な現実感が薄れてしまった…という失敗が1つ。そして、取って付けたように老婆の幽霊話まで絡めてしまったため、ストーリーが終盤になって支離滅裂になるという2つ目の失敗がありました。 発想は良かったと思うのですが、その発想の活かし方を間違えると酷い事になる、という典型例だったのではないでしょうか。 ●今回の評価 ◎読み切り『爆裂非常勤講師ビッグバン』(作画:大江慎一郎) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の「チェックポイント」は『タカヤ』の連載20回キリ番レビューです。 ◎『タカヤ -閃武学園激闘伝-』(作画:坂本裕次郎) 開き直りもいいとこな“『バキ』路線”への大幅な方向転換からおよそ10話経過したわけですが、当初に比べるとバトルシーンの中身や演出への気遣いといった面で大幅な進歩が窺えるようになりました。少なくとも“格闘バトル物”としては及第点の範疇に入って来たのではないかなと思います。 ☆「週刊少年サンデー」2006年新年2号☆ ◎短期集中新連載『グランドライナー』(作画:吉田正紀) ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容です) ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ただ、練りに練った設定群を惜しみなく使おうと考え過ぎたのか、シナリオの展開や登場人物のセリフがキッチリし過ぎている感もありました。作中で起こる出来事やセリフの殆どに、「ここは設定の解説です」「これは後の出来事の伏線となるセリフです」という作者からの意図があからさまに見えてしまったかなぁと。 ●今回の評価 ◎新連載第3回『聖結晶アルバトロス』(作画:若木民喜) ●絵についての所見(第1回掲載時からの推移) ●ストーリー&設定についての所見(第1回掲載時からの推移) ●今回の評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、『ブリザードアクセル』の連載40回キリ番簡易レビューをお送りします。 ◎『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央) あまりにもベタであざといウケ狙い(=敵役の中途半端な演技→主人公サイドの見事な演技→敵役の顔面変形リアクション)が延々と繰り返された事に嫌気して評価を0.5下方修正しました(苦笑)。 ……というわけで、コミケ前最後の講義をお送りしました。また「観察レポート」の方でも最終的な告知をしますが、今回も駒木は開会から1時間程度は自分の買い物を済ませるために奔走してますので、駒木の面を眺めたい奇特な方は午後になってからお越し下さい。 |
2005年度第47回講義 |
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この冬1回目の旅行から帰って来ました。今回の旅行はボクシングと落語を満喫する、非コミケ版マニアックツアーだったわけですが、結果としてこちらの講義が開店休業状態になってしまい申し訳有りません。旅行記も春の前半でストップしてますが、いずれ書きますので何卒。 では、取り急ぎ12月2週分のゼミをお送りします。今回は「ジャンプ」「サンデー」の06年新年2号についての講義ですので、お間違えの無いように宜しく。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年3号)より、第1部完により連載を中断していた『ボボボーボ・ボーボボ』(作画:澤井啓夫)が第2部連載開始、また、「作者体調不良」により長期休載中だった『D.Gray-man』(作画:星野桂)が連載再開となります。 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年3号)に読み切り『World
4u_』(作画:江尻立真)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(新年3号)より『グランドライナー』(作画:吉田正紀)が新連載となります。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎十二傑賞の木下聡志さん…「月刊少年ジャンプ」系月例新人賞「新人マンガRedグランプリ」06年1月期で“シルバー(銀賞)”入賞。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年2号☆ ◎読み切り『FALLEN』(作画:樹崎聖) ●作者略歴(参考:「樹崎聖ファンサイトTACHYON」) ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 何と言いますか、「やりたい事は分かる」作品ではあるものの、作者からの「やりたい事を分かって下さい」という要求ばかりが表に出ている作品といったところでしょうか。絵の所見でも先述しましたが、読み手の好意的解釈に期待し過ぎていて、独り善がりに陥っている嫌いがありますね。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、先週分でお届け出来なかった分まで一気にお送りします。『ムヒョ』の連載50回、『ネウロ』の連載40回、『みえるひと』の連載20回、『大泥棒ポルタ』連載10回のキリ番簡易レビューとなります。一気にどうぞ。 ◎『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(作画:西義之) 今回も評価据え置きとしました。 ◎『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征) この直近10回は、「推理モノの皮を被った娯楽作品」から、本格的なサスペンスへと一歩踏み込んだ10回だったのではないでしょうか。今回のエピソードは、ストーリーの練られ具合も連載開始以来1、2を争うほどになっていますし、当ゼミのAクラス評価を維持するに十分のクオリティでした。こちらも今後期待が持てる作品ですね。 ◎『みえるひと』(作画:岩代俊明) どうも近況を見ると、『未確認少年ゲドー』を思わせる低空飛行ながら、際どく打ち切り回避かな…という見通しも出て来ました。それと交代してヤバくなったのが『太臓』というのが、昨年の『ゲドー』VS『スピン』打ち切りバトルを思い出させて、個人的には暗澹たる気分にさせられるのですが(苦笑)。 ストーリーの方は、ここしばらくの“打ち切り間際・設定大放出キャンペーン”的な展開のお陰で、ようやく作品の骨組とキャラクターの確立が達成されつつあるようです。言わば、“遅れ馳せのプロローグ終了”といった感じで、やっとストーリーを盛り上げるお膳立てが整ったというところでしょうか。 ◎『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜) 評価は据え置き。掘り下げの甘いストーリー、登場人物の必然性の無い行動、小細工という名のトリック謎解きなど、作品のスケールを小さくするばかりの10回だったように思えてなりません。 ☆「週刊少年サンデー」2006年新年2号☆ ◎新連載『地底少年チャッピー』(作画:水口尚樹) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 また、今回はシーンとシーンの間の繋がりが余りにも脈絡が無く、読んでいて混乱しかねない勢いでした。ギャグ作品とは言えもうちょっと話の筋立てを整えて欲しかったですね。 ●今回の評価 ◎読み切り『メタモル・フォックス』(作画:緒方雄一) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは前号の積み残し。『絶対可憐チルドレン』の20回レビューと、『クロザクロ』の最終回総括です。 ◎『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志) 相変わらずの高クオリティ、A評価据置です。 ◎『クロザクロ』(作画:夏目義徳) 正直、やっと終わってくれたか……という感じでした。連載後半になってからは、ストーリーの方向性がまるで定まらず、新キャラが出て来てはフェードアウトし、生き残った登場人物も、何人かが似たようなセリフを喋るのでキャラの描き分けもままならず……という迷走ぶり。
……というわけで、最後は湿っぽくなってしまいましたが、今日はここまで。今週はもう1回ゼミを実施して、何とかカリキュラムを調整したいと思ってます。では。 |
2005年度第46回講義 |
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お待たせしました。週を跨いでしまいましたが、12月2週分のゼミをお送りします。「ジャンプ」「サンデー」共に06年新年1号についての講義となりますのでご注意下さい。 先週は年末のコミケット69で頒布する同人誌「『現代マンガ時評』05年度下半期総集編」の編集作業に掛かりきりになっていました。しかし、1年前から徐々に計画を進めていた去年とは違い、今年はインターバルが短い上に書き下ろし原稿が飛躍的に増えてしまったため、実に難儀な作業に……。 まぁともあれ、本は出来上がる事になりました。 新刊の頒価は前回までと同様500円です。 前置きが長くなりましたが、それではゼミを始めます。カリキュラムがこういう事態になっていますので、「チェックポイント」の次週分先送り等、ご辛抱頂く点もあります。どうか悪しからずご了承下さい。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年2号)に読み切り『FALLEN』(作画:樹崎聖)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(新年2号)より『地底少年チャッピー』(作画:水口尚樹)が新連載となります。 ★新人賞の結果に関する情報 今週は「ジャンプ」で「手塚賞」「赤塚賞」の審査結果発表がありました。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ※手塚賞 ※赤塚賞 上期は入選受賞作が出て話題となった「手塚賞」、今回は準入選1編・佳作3編という平均的な“収穫”となりました。ただ、上位の受賞者は過去にも新人賞へ応募歴のある20代前半〜半ばの“新人予備軍”が中心で、新人発掘という意味では微妙な結果かも知れません。 この両賞の発表があるたび毎回言ってるような気がしますが、権威・伝統が少しでも残っているうちに、そのピリオドを打つ勇気も必要なのではないかと思います。個人的には、“集英社漫画賞”的な賞レースに切り替えるのもアリなんじゃないかと思ってるんですけどね。 ★その他、公式アナウンス情報 ◎「週刊少年サンデー」連載中の『金色のガッシュ!!』(作画:雷句誠)が、「右手負傷」のため今週発売の新年1号より一時休載となりました。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2006年新年1号☆ ◎読み切り『破天荒』(作画:杉田尚) ●作者略歴 ●絵についての所見 あと、根本的な画力以外の問題点としては、「文字による情報と、ビジュアルがミスマッチしている」という所でしょうか。要は作者が伝えたい内容が、読者に伝わらない絵になっているという事です。 ●ストーリー&設定についての所見 まず、目に見えて拙いのが、デビュー以来の欠点でもある脚本でしょう。とにかくセリフに無駄が多過ぎますね。長い上に分かり辛くて、しかも喋り言葉になってない、という悲惨な状態です。 次に問題アリと思えるのが、設定のリアリティでしょうか。現実世界に、ただ単純に非現実的な要素を放り込んでしまったため、「現実世界で非現実的な事態がただ淡々と起こっている」という違和感の塊のような状況になってしまいました。 で、これらの各論も含めて、全体的に言えるのは「描写に説得力が足りない」という事。厳しくて僭越ながら偉そうにぶっちゃけ言ってしまうと、「自分がこう描けば、読者もそう分かってくれる」と甘え過ぎなのではないかと。週刊本誌で上位を張っている作家さんたちが、自分が伝えたい事を読者に伝えきるために、いかに努力をしているのか、今一度研究を深めて頂きたいと思います。 ●今回の評価 ◎読み切り『あの夏、僕と博士と発明と』(作画:田辺洋一郎) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、今回のネタは全般的にボケがボケになっていないケースが目立ちました。最近の若手・新人作家さんのギャグ作品でもよくある、変な人が変な事をするだけで、それが笑いに繋がっていないというパターンです。 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2006年新年1号☆ ◎新連載『聖結晶アルバトロス』(作画:若木民喜) ●作者略歴 ●絵についての所見 物凄い欲を言えば、もうちょっと紙質の悪い誌面でも見易いベタやトーンの使い方を……というところですが、それは「小畑健みたいに上手くやれ」と言ってるのと同じですから、これは本当に欲張りな話でしょうね(笑)。 ●ストーリー&設定についての所見 設定面では、世界観や情報の提示をやや少なめに抑える一方で、主人公のキャラクター設定だけは冒頭から上手く描写・提示させています。これは非常に渋いテクニックです。 この他、脚本は少々冗長な印象もありますが、口語の使いこなしの巧さも感じられ、十分に及第点。卓越した画力に支えられた演出も高水準でしょう。バトル描写も、ピンチとチャンスの振り幅の大きさが利いていて、インパクトと迫力に富んだ良いシーンになっていました。 ●今回の評価 ◎読み切り『フルメイド・ジャケット』(作画:クリスタルな洋介) ●作者略歴 ●絵についての所見 そして絵柄全般についてですが、線が全体的に弱々しくて不安定なのが損をしているかな…という感じ。妙にゴチャゴチャしている場面も見受けられますし、今の絵柄だと、何をどう描いても下手に見えてしまうかな、と。画風云々以前の問題として、もう少し線洗練させ、画面をスッキリさせてパッと見の見栄えを良くするべきでしょう。 ●ギャグについての所見 まず話の流れ、ツッコミ役主導で、ボケ役が狼藉を働く度に痛い目に遭う…という風にしたのは良かったですね。これだとギャグ以前の段階で“引く”という可能性も無くなります。また、コマとコマの間の状況変化を大胆に省略させ、そのギャップで笑いに繋がる違和感を醸し出す…という演出も決まっています。
……というわけで、12月2週分は以上です。重労働明けに4作品のレビューは疲れました(苦笑)。 |
2005年度第45回講義 |
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世間的には全くどうでもいい話ですが、雑誌は1ヶ月先行で月期・年度を更新しますので、今週が「ジャンプ」「サンデー」的には05年度の最終週ということになります。第4回「コミックアワード」についても、今週分までが審査対象です。 では、今週も遅くなりましたがゼミをお送りします。レビュー対象作がいきなり増えて面食らっているのですが…… 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(新年1号)より『聖結晶アルバトロス』(作画:若木民喜)が新連載となります。 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(新年1号)に、読み切り『破天荒』(作画:杉田尚)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ……入選は2作品。絵柄から何から対照的な内容の作品のようですが、共に増刊掲載が即決定したという事は、それなりの水準に達しているということなんでしょうね。最近ストーリー系若手作家さんの台頭が殆ど見られない「サンデー」、こういう所から突破口が開けてくれば良いのですが。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年52号☆ ◎読み切り『謎の村雨くん』(作画:いとうみきお) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 それに何よりも、そうして念入りに描かれた主人公のキャラクターが、非常に読み手に親近感を与えるモノになっているのが良いですね。“共感出来る弱さ”と“憧れるだけの強さ”が両立出来ているのが素晴らしいです。 欠点としては、先述の「読み手を選ぶ趣向」の作品である事、あとは設定が一部“マンガであること”に頼り過ぎている面が鼻につくかも…といった所が挙げられますが、これらも必要悪の範疇でしょう。 ●今回の評価 ◎読み切り『自称ナイスガイ』(作画:伊藤直晃) ●作者略歴 ●絵についての所見 そういうわけで、これから伊藤さんが『ジャガー』『ボーボボ』『太臓』という連載陣や、他の有力若手ギャグ作家さんと伍していくためには、ギャグを考える時の根本的な発想の部分から変えていかないと辛いんじゃないでしょうか。「これがギャグだ」という固定観念からブッ壊すぐらいの大手術が必要のような気がします。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、年度末締めということで、「コミックアワード」合わせの駆け込み評価変更です。今年度から10回ごとの評価見直しを行っているので、「コミックアワード」の部門賞ノミネート資格に関係する作品だけ採り上げます。 ◎『太臓もて王サーガ』(作画:大亜門) かなり迷ったんですが、評価を連載当初のものに戻しました。連載回数を重ねるに連れてパロディ系のネタが枯渇する一方で、登場人物のキャラで獲る笑いが前面に出て来て、随分と万人受けする要素が増えて来た…というのが評価アップの決め手です。こんな怪我の功名もあるもんだな、とも思いましたが(笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2005年53号☆ ◎読み切り『山本KID徳郁物語 〜神の子に与えられた試練〜』(作画:山田一喜) ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容です) ●絵についての所見 若手作家さんがこの手の実録モノを手がけると、どうしてもそうなってしまうのですが、実物に似せようとする余り、人物の表情が全体的にぎこちないのが気になってしまいます。特にこの作品の場合、気を遣った割に余り実物に似てないというのも頂けないかな、と。 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価 ……さて、本当は今週で連載20回を迎える『絶対可憐チルドレン』の評価見直しを実施する予定だったのですが、これはエピソードの切れ目を待って次週に回したいと思います。今週は伏線張りまくりで不確定要素が多すぎます(笑)。なお、現状では評価はAで据え置きの方向です。 それでは、来週はまた同人誌版執筆などでこちらの実施は遅れ気味になります。どうか何卒ご容赦を。 |
2005年度第4 |
漸く一時の精神的停滞からは抜け出せた気配ですが、今度は公務・私事多忙な上に冬コミ用の原稿締め切りという“魔物”が急速接近中。本当、1日60時間は欲しい今日この頃です。明日も明日で昼の職場関係の諸事がありまして、研究室に帰って来れるかどうかも……。 ……というわけで、今週もボリューム少なめ&取り急ぎで失礼します。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(52号)に、読み切り『謎の村雨くん』(作画:いとうみきお)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(53号)に、読み切り『山本KID徳郁物語 〜神の子に与えられた試練〜』(作画:山田一喜)が掲載されます。 ★その他、公式アナウンス情報 ◎「週刊少年ジャンプ」連載中の『HUNTER×HUNTER』(作画:冨樫義博)、今週発売の51号より一時休載となりました。連載再開は06年8号の予定。 また、明確な告知はありませんが、同じく「ジャンプ」で連載中の『D.Gray−man』(作画:星野桂)も、先週号からなし崩し的に長期休載に突入した模様です。非公式の情報によると、少なくとも次々号までの休載が確定しているとか。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年51号☆ ◎読み切り『プロジェクトヒメジマ』(作画:川口幸範) ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容です) ●絵についての所見 あと気になったのは、村田雄介さん及び村田さんのアシスタントが多用する、見開き2ページぶち抜きのコマ割りの描き方について。このコマ割りは読者に普通とは違った読ませ方を強いるため、特別な配慮が必要になるんですが、これが残念ながら上手く出来ていませんでした。 ●ストーリー&設定についての所見 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年52号☆ ◎読み切り『横縞ホットブラザーズ』(作画:山川コージロー) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●今回の評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週で『こわしや我聞』が最終回となりました。簡単に連載の総括をしておきましょう。 ◎『こわしや我聞』(作画:藤木俊) 連載当初は絵、ストーリー両面で拙さの方が目立った作品でしたが、徐々に骨太の長編ストーリーを展開させていって、クオリティも回を追うごとに上がって行った感がありました。最後は伏線の殆どを回収して綺麗にまとめ切り、見事に大団円で幕。非常に気持ちの良い円満完結でした。
──それでは今週はこれぐらいで。来週からは同人誌の執筆に入りますので、やっぱりこちらは留守しがちになると思います。今しばらくのご辛抱を。 |
2005年度第43回講義 |
昼の仕事は2学期も終盤戦、漠然とした掴み所の無いストレスも溜まり、こちらの研究室での仕事は大スランプの様相であります。レジュメ作成のためキーボードを叩く指が数時間止まってしまう状況で、皆さんにはご迷惑をおかけしております。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(51号)に、読み切り『プロジェクト・ヒメジマ』(作画:川口幸範)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(52号)に、読み切り『横縞ホットブラザーズ』(作画:山川コージロー)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年50号☆ 今週は『D.Gray−man』が“急病”休載ということで、取材休みの『べしゃり暮らし』で空いたページを合わせて「十二傑」受賞作の掲載がありました。予告に無い掲載ですので代原に近い扱いですが、作者プロフィールの掲載もあり、一応は“正規枠”の扱いのようですね。 ◎『魔界不思議犬ブルブルブルズ』(作画:小山祐太) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、構図の取り方などの演出は飛び抜けて上手く、この作品は演出だけで体を成していると言っても過言ではありません。見せ場における人物の表情や細かいシーン転換の妙には、高いセンスと充実した研究の跡が窺えました。 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年51号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は、実は先々週に第2部が第10回に到達していた『クロスゲーム』の評価見直しを遅れ馳せながら実施します。一応、毎週連載回数はチェックしているのですが……。いやまったく、ミスばかりでイカンですね。 ◎『クロスゲーム』(作画:あだち充) かなり迷ったのですが、ストーリーにまとまりが出て来た事を踏まえ、評価を上方修正してAクラス入りとしました。長い長い助走を経て、漸く綺麗なテイクオフを果たした…といったところでしょうか。
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2005年度第4回講義 |
あっという間に11月になりました。そろそろ本気で冬の同人誌版新刊の編集にとりかからないとヤバいんですが、やりたい事とやるべき事とやれる事のギャップがそれぞれ凄くて、果たしてどうしたものか……。 ……さて、今週のゼミはレギュラー分の内容が少し寂しいので、久々に増刊レビューの続きが出来そうです。また先にレギュラー分のレジュメだけ公開し、その後に増刊レビュー分を追加する変則パターンでお送りしますので、ご了承下さい。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(50号)に、読み切り『エリート道場のエリート教室』(作画:福井ユウスケ)が掲載されます。 ★その他、公式アナウンス情報 ◎「週刊少年サンデー」連載中の『うえきの法則プラス』(作画:福地翼)が、今週号無期限の長期休載となりました。 ◎「週刊少年ジャンプ」の若手・新人作家コンペテイションイベント・第2回「ジャンプ金未来杯」の優勝作品が『カメとウサギとストライク』(作画:天野洋一)と発表されました。 ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年48号☆ 先週から当講座以外の活動でバタバタしていたので気付かなかったのですが、今週はレビュー対象作ゼロになる所だったんですね。まぁ増刊レビューがありますので、題材には困らなかったわけですが……。 ……あ、ついでで失礼ですが、今週の『DEATH
NOTE』は久々にこの作品独特の雰囲気が出てましたね。モノローグと文字情報だけで1回分費やして1人のキャラを紹介する…という手法、マンガの文法としてはかなりの荒業なんでしょうが、こういう演出こそが良し悪しを超えた所にある『デスノ』らしさだと思います。来週号の掲載順は実質ラス3だそうですが、これを機に巻き返しなりますか。 ◎読み切り『名探偵田中一郎』(作画:池内志匡) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 さて、ネタのクオリティについては、まずコンセプトや粗筋がインパクト不足であるのが痛いです。手垢の付きまくった“『金田一少年の事件簿』パロ”で、しかも既成パロディ作品の殻を破ったとはとても言えない展開では、笑う・笑わないの判断以前に「またか」「今更これか」という印象を読み手に与えてしまいます。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ the REVOLUTION」レビュー(3)◆ ◎『天球儀』(作画:藤崎竜) ●作者略歴 ●絵についての所見 それでも、無駄な部分を的確に省略し、頻繁な場面転換でも読み手を混乱させない構成力、そして確かな技術を感じさせる脚本や演出は「お見事」の一言。これは当ゼミの基準でも高い評価点に繋がるポイントです。 ただそれでも、当ゼミでAクラス評価になるような、「同程度のテクニックが施された上で、完成度の高い内容のあるストーリーが描かれた作品」と比較すると、加点材料の量で差が出てしまうのも確か。本来の意味とは少々違いますが、「名作崩れの人気作」的な扱いをするべきなのかな……というのが駒木の結論です。 ●今回の評価 ◎『銀河少年ユニ』(作画:仲野ケンシロウ) ●作者略歴 ●絵についての所見 総合的に言えば、やはり人物作画の失点が目立ってしまうかな…といったところ。いくら部分的に良い所が有っても、メインの部分がダメだったら厳しいですよね。 真っ先に気になったのが、説明と描写の使い分けのアンバランスさ。冒頭で読み手の知らない固有名詞を既出の言葉のように描く…という、思わせぶりな描写テクニックを使っておいて、中盤以降は極度に説明的なセリフや文字による解説のオンパレード。 更に言えば、人物のキャラクター、特に主人公の描写が中途半端です。主人公・ユニが、冒頭から出ずっぱりの宇宙海賊の少年(?)に存在感を食われてしまっている…というだけで大問題でしょう。 ●今回の評価
◎読み切り『キャディーガール』(作画:後藤竜児) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価
──というわけで、今回も3作品分のレビューをお送りしました。残り3作品、上手くすれば次回で完了出来そうなのですが、まぁ期待しないでお待ち下さい。それでは、また次週分でお会いしましょう。 |
2005年度第40回講義 |
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丸一週間遅れで失礼しております。先週末はどうしてもこちらに時間を全く割けない状況になってしまい、止む無く「レポート」の方で告知をさせてもらいました。 では取り急ぎ、既に先週分となってしまった10月5週分のゼミを始めます。今日の講義で対象となるのは「ジャンプ」47号、「サンデー」48号ですので、お間違えの無いようにお気を付け下さい。なお、今回も「ジャンプ」増刊レビューはお休みさせて頂きます。まったく、『HUNTER×HUNTER』や『うえきの法則』に文句言う資格無いですね……。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ※今週は、新連載及び読み切りの情報はありませんでした。 ★新人賞の結果に関する情報 この週は、「サンデーまんがカレッジ」の審査結果発表がありました。夏休みと重なる時期だけに、応募作はかなり多かったそうですが……。
受賞者の皆さんのキャリアは以下の通りです。 ……応募作の割には入賞作は少なく、最終候補作品すら4編という大不作。新人不況が続く「サンデー」の現状を表すような8月期結果となりました。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年47号☆ ◎新連載第3回『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜)《第1回掲載時の評価:B−》 ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー・設定についての所見(第1回時点からの推移) とにかくシナリオにしろ、脚本にしろ、熟考に熟考を重ねるべき所で、それを明らかに怠っているように思えます。ストーリーを形として成立するところで終わっている、絶対妥協してはいけない所で妥協しているような作品…といったところでしょうか。これでは、いくらストーリーが形として成立している作品とはいえ、高い評価を出せるはずがありません。 ●今回の評価 ◎読み切り『キャディーガール瞬』(作画:後藤竜児) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 ●今回の評価 ◎読み切り『番長(バカ)決定戦』(作画:相原成年) (受講生の皆さんへ:この作品は評価Cとなりました。結果的に読み手の感情を損ねる論調のレビューになっている恐れがあります。この作品のレビューをご覧になるかどうかは皆さんでご判断下さい。) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ギャグについての所見 正直な所、いくらノルマとは言え、この作品を熟読した上で評論するのは大変に苦痛な作業でした(苦笑)。 ●今回の評価
──というわけで、今週は3作品レビューしてB−評価が最高という、喋ってる方も苦痛極まりないゼミになってしまいました。よく誤解されるんですが、駒木は出来る事なら全作品ベタ褒めしたいと思ってるんです。ただ、現実がそれを許してくれないという……。 まぁ愚痴っぽくなってしまいましたが、何とか1回分のゼミを終える事が出来ました。この調子で遅れを取り戻して行きたいと思います。では、また今週中にお会いしましょう。 |
2005年度第39回講義 |
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ご存知の方も多いでしょうが、第3回「コミックアワード」特別金賞受賞作・『絶対可憐チルドレン』が遂に単行本化となりました。どうやら既に中小規模の書店では売り切れ続出、小学館でも早々に増刷を決定するという、まずまず好調なスタートを切った模様です。 次に「コミックアワード」のグランプリ枠推薦ですが、先週辺りから特定の1作品が票を重ねて頭1つ抜け出した形となりました。その候補作品はまだ未読なのですが、今から“審査”が楽しみです。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(47号)に、読み切り『キャディーガール瞬』(作画:後藤竜児)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年46号☆ ◎新連載第3回『べしゃり暮らし』(作画:森田まさのり)《第1回掲載時の評価:A−寄りB+》 ●絵についての所見(第1回時点からの比較) ●ストーリー・設定についての所見(第1回時点からの比較) あと、ここまで気になる点としては、主人公・圭右に読み手が感情移入するための“取っ掛かり”が少ない点ですね。“人の迷惑顧みず、変人の域まで辿り着いた笑わせたがり”というキャラクターに共感させるというのは、かなり難しいテーマだと思うのですが……。 ●現時点での評価 ◎読み切り『闘魂パンダーランド 〜学業立志編〜』(作画:ポンセ前田) ●作者略歴 ●絵についての所見
……から殆ど変わっていません。そろそろ絵柄が良くも悪くも固まって来た感もありますね。 ●ギャグについての所見 ポンセ前田さんの作品は、学校が舞台になると『クロマティ高校』に雰囲気が酷似する特徴を持っていますが、今回も“パンダ版メカ沢”みたいなコンセプトの作品になりました。が、悪い意味で「似て非なる」を地で行く内容になってしまっています。 あとはこれも相変わらずなのですが、ネタの密度が薄いのです。笑いに繋がらないような遣り取りも律儀過ぎるぐらい律儀に描いてしまうため、ページ辺りのネタ数がが減ってしまうのでしょう。 ●今回の評価 ◎読み切り『たいして良い思い出もできそうにない学校生活』(作画:伊藤直晃) ●作者略歴 ●絵についての所見 が、今回掲載分では、残念ながらそうも行かず、絵のマズさがギャグにも悪影響を与える程になってしまいました。動的表現や集中線などの特殊効果があまりにも拙く、せっかくの動きが有るはずのオチが映えないネタが目立つ結果に。 ●今回の評価 ☆「週刊少年サンデー」2005年47号☆ ◎読み切り『織田信夫』(作画:飯島浩介) ●作者略歴 ●絵についての所見 今作で問題なのは、肝心なネタの内容。余りにもベタ過ぎるというか、先の読める予定調和な展開ばかりだったような気がします。また、ページ配分やコマ割りのテンポがギクシャクしており、本来盛り上げるべき所で盛り上がらず、終わり方も中途半端に映りました。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、『見上げてごらん』の連載30回評価見直し。確かに掲載順は上を見上げなきゃならない位置に落ちて来ましたが…… ◎『見上げてごらん』(作画:草場道輝) 今回も評価据え置きとしました。
──というわけで、今週のゼミを終わります。正直、代原のレビュー2つというのは精神的にキツいです(苦笑)。“させられてる感”が物凄いので、出来る事なら勘弁してもらいたいのですが……。 |
2005年度第37回講義 |
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現在募集中の「コミックアワード」ワイルドカード推薦ですが、既に2票獲得=予備審査推薦決定が3作品出ております。ただ、昨年度の『おおきく振りかぶって』のように票が集中する作品はなく、票は完全に割れ気味ですね。 なお、推薦の募集は11月末まで続行します。推薦要件を満たす良い作品をご存知の方は、是非とも熱き1票を駒木のメールボックスへ。 ──それでは、ゼミを始めます。今週も「ジャンプ・ザ・レボリューション」のレビューをお送りするつもりですが、時間と駒木の余力の関係上、先週同様に日曜〜月曜に追加振替の形を採るか、独立したミニ講義を実施する事になると思います。ご了承ください。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(46号)に、読み切り『闘魂パンダーランド 〜学業立志編〜』(作画:ポンセ前田)が掲載されます。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎十二傑賞の平方昌宏さん…04年11月期「十二傑」で最終候補。04年3月期「十二傑」にも投稿歴あり。また、現在通学中の専門学校のサイトに写真とインタビュー掲載中(9/27付)。 ……今回は、過去の最終候補者の再チャレンジ大会となった模様です。偶然か、慣例か、こういう月が年に数回ありますよね。まぁ7〜8月は学生さんにとっては夏休みなので、「総合的に応募作が多くなる→手馴れた投稿経験者がどうしても上位に来る」という図式なのかも知れませんが。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年45号☆ ◎新連載『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、顔面・バストアップのコマが多めで構図は相変わらず単調に映りますし、集中線の引き方がズレているのか、動的表現に迫力が全く感じられないのは大きな問題ですね。全体的にどのコマも止め絵臭いので、決めのシーンの見栄えも今ひとつ。インパクトに欠ける画面構成に陥っている感は否めません。 ●ストーリー・設定についての所見 次にプロトタイプ版以来、この作品の“肝”の部分となっているトリックですが、今回は「赤マル」掲載版の焼き直しとなる牢破りでした。当時からネット界隈の評判は今ひとつだったと記憶していますが、まぁ見たところ致命的な矛盾は無いようですので、これ自体を減点材料にする事はありません。 また他にも、主人公・ポルタの“偽悪人”描写の中途半端さなど、誌面の至る所から“生温さ”のような物が漂う第1回だった…という感が強く残りました。新連載不作の続いた02〜03年にタイプスリップしたかのような錯覚を覚える、前途多難の船出と言えそうです。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は『タカヤ』の連載20回評価見直しです。 ◎『タカヤ -閃武学園激闘伝-』(作画:坂本裕次郎) 打ち切られた“同期”2作品を尻目に3クール目に突入したこの作品ですが、ここへ来て唐突に格闘技トーナメントが開幕するテコ入れが実行されるなど、順調とは言えない現状のようです。この分かり易いテコ入れ、以前は「ジャンプ」のセオリーだったのですが、最近では珍しいですね。 さて、その“勝負”テコ入れ後の内容ですが、残念ながら、やや低調と言わざるを得ません。どこからどう見ても『DRAGON
BALL』の天下一武闘会か『グラップラー刃牙』の最強トーナメント編、というオリジナリティの欠如は拭い難く、それをさておいても、登場選手のキャラクターの弱さ、先の読めてしまうトーナメントのマッチメイク構成、更には戦闘シーンそのものの淡白さと、ネガティブな要素満載な内容に終始しています。 評価の上方修正は、バトルの特化で低水準のドラマが無くなった分だけ減点材料が消えたから…と解釈して下さい。悪意と受け取られたら不本意なのですが、まぁ駒木はそれぐらいこの作品をクオリティ面で買ってないと考えてもらっても構いません。 ☆「週刊少年サンデー」2005年46号☆ もう御馴染みという感じで、『うえきの法則プラス』が休載&代原掲載。最近の「サンデー」は、カテナチオな編集方針なので、貴重なレビューの機会ではあるんですが……。でもどうせレビューするなら連載経験者の重厚な読み切りが読みたいんですよね。 ◎読み切り『天晴れ! 半ケツ侍』(作画:遊眠) ●作者略歴 ●絵についての所見 ネタのクオリティも疑問が残りますね。ボケよりも何の工夫の無いツッコミの方が強調される構成になっていたり、言葉の使いまわしの工夫が乏しかったりと、笑いの間口を狭めよう、狭めようとしているように見えてしまいます。とにかくネタの見せ方で大きく損をしているという印象ですね。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、連載第30回を迎えた『ブリザードアクセル』の評価見直しです。 ◎『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央) 相変わらず微妙な評価の表現で恐縮ですが、実質0.5ランクの上方修正です。ビギナーが成長していくスポーツ物作品にとっては難関の序盤を突破して、完全にお話が軌道に乗って来た感じです。 現在はまだ地味な佳作…といったところですが、今後一気に大化けする可能性も秘めた、期待の一作です。世間的には全く注目されていない作品ではありますが、こういうマンガこそ、当ゼミがプッシュしていきたいですね。
──というわけで、とりあえずレギュラー企画はここまで。この後は、「ジャンプ」増刊レビューをお送りします。今週は2作品のレビューとなります。 ◆「ジャンプ the REVOLUTION」レビュー(2)◆ ◎『マジシャンズ ジャッジメント』(作画:尾崎裕一) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、動的表現にぎこちない面もあり、アクションが必要な所で迫力に欠けるなど、手放しで褒めるには躊躇を覚えてしまいます。また、老若・美醜の描き分けが極端過ぎ、リアル系の絵柄とマンガっぽいディフォルメの施された表現が混在しているのも、余り良いとは思えません。 また“『必殺仕事人』型復讐モノ”のシナリオにしては、読み手に与えるストレスとカタルシスの振り幅が小さかったように思えます。あんまり大き過ぎると、それはそれで読み手がエグさに引いてしまうので問題ですが、エンターテインメント性を追求するなら、ある程度の残酷さも必要不可欠なはずです。 ●今回の評価 ◎『World 4u_』(作画:江尻立真) ●作者略歴 ●絵についての所見 しかし、この手の都市伝説や怪談話はショート・ショート的な簡潔さが求められ、その分ホラーやスプラッタとしてはキャラクターの作り込みやシナリオの練りこみが不足しているモノが殆どです(勿論例外もありますよ)。実在する語り手がいて、「本当にあった話である」というノンフィクション性・現実味があって初めて成立するエンターテインメントであります。 そういうわけで、とりあえず今回はマンガ形式の“企画募集PR記事”と判断した方が良いのかな…という印象です。こんなコンセプトで描かれたマンガにエンターテインメント作品としての評価を下すのはちょっと気の毒ですね。 ●今回の評価
……何とかかんとか、今週分もお届けする事が出来ました。全ての面において限界が切迫しているのを感じるこの頃ですが、今の自分のモチベーションでやれる事を、許される最大限の範囲で、やりたいように積み重ねていきたいと思っています。どうか何卒。 |
2005年度第36回講義 |
今週も世を忍ぶ仮の本業の方へエネルギーを削り取られて消耗しきっている駒木です。中間テストの試験問題作りが修羅場状態でして、どないにもならんわという状態で……。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(45号)より『大泥棒ポルタ』(作画:北嶋一喜)が新連載となります。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年44号☆ ◎新連載『べしゃり暮らし』(作画:森田まさのり) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 ……しかし、どうなんでしょう、今回に限って言えば、何とも言えぬ話のスケールの矮小さと演出過剰の“クサさ”が気になって仕方ありませんでした。 あと、主人公が次々と放つギャグの扱いも難しいところですね。森田さんはコメディ要素の高い作品も難なくこなす、ギャグのスキルも高い作家さんではあるのですが、それでも本職で専業のお笑い芸人やギャグ作家さんと伍して行こうとするには限界があるでしょう。 ●現時点での評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週のチェックポイントは、まず先週ウッカリとチェック漏れしていた『ムヒョ』の連載40回評価見直しから。それから『太臓』の連載10回評価見直し、そして残念ながら今回で連載終了となった『切法師』の連載総括を実施します。 ◎『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(作画:西義之) 高い水準での評価据置としました。 ◎『太臓もて王サーガ』(作画:大亜門) こちらも評価は据置としました。 ◎『切法師』(作画:中島諭宇樹) 2クール・18回で無念の打ち切り終了。クオリティそのものは、第10回時点から大きな変化はありませんでしたが、ストーリーが尻切れトンボで終わったのを重く見て評価を更に1ランク下げました。 ──それでは、この後は増刊レビューの第1回目をお届けしましょう。今回は目次順で3作品のレビューです。 ◆「ジャンプ the REVOLUTION」レビュー(1)◆ ◎『エンバーミング -DEAD BODY and BRIDE-』(作画:和月伸宏) ●作者略歴 ●絵についての所見 数少ない問題点としては、美醜のコントラストが大き過ぎる、捨てキャラ的な悪役の造型がインパクトの割に適当さがにじみ出ている…など、『るろうに』時代からの傾向が未だに抜けきっていない事が挙げられるでしょうか。しかしそれも微細なもので、総合的に見れば十分「ジャンプ」のトップクラスに位置する水準だと申し上げて良いでしょう。 それはさておき、今作のデキ具合についてですが、 特に目を引くのが脚本と演出の上手さ。 ただ、今回は作者ご本人が「所謂パイロット版のつもりなので投げっ放しな所が多々ある」と認めておられるように、ストーリーに関して言えば、やや中途半端な内容で終わってしまったかな…といったところです。シナリオ、世界観、キャラクター、戦闘シーンの各要素いずれもが掘り下げ不足で、それぞれの魅力を描ききる前にページが尽きてしまったように感じました。ワンフレーズでまとめれば「消化不良」の一言に尽きるでしょう。 ●今回の評価
●作者略歴 ●絵についての所見 長所・短所併記の原則から、少しでも指摘できる問題点でも有るかなと探してみたのですが、見つからなかったですね(笑)。読み手の好き嫌いの問題に委ねられる点を除いた技術的な面では、敢えて挙げるような欠点は無いのではないでしょうか。 ●ストーリー・設定についての所見 しかしその間の、冒頭シーン後からクライマックスの戦闘シーンまでの中盤部分では、一転してクオリティが急落した感があります。 とにかく、今回は下ネタに頼り過ぎたのが最大の敗因で、その次が御都合主義の看過でしょうか。下ネタ・お色気そのものに対して「志が低い」とかベタな事を言いたくはありませんが、それがストーリーのクオリティを押し下げてしまったら、「そりゃ本末転倒だよ」とは言いたくなってしまいます。 ●今回の評価
●作者略歴(参考:河下水希・桃栗みかんファンサイト「OVER
DRIVE」他) “河下水希”名義でのデビュー作は週刊本誌00年19号の『りりむキッス』で、これは同年48号より連載化されたが、2クール24回で打ち切り終了となる。 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 当ゼミで言えば典型的な“名作崩れの人気作”ですね。この手の作品には、完成度の高さとプロのお仕事を認めつつも、否定的なニュアンスで評論を行うのが常なのですが、今回は番外編ということでもありますので、これくらい軽いノリの方がむしろ良いのかも知れません。 そもそも、本編よりもよく出来たシナリオをここで投入されても逆にアレですからね(笑)。 ●今回の評価
──というわけで、今週は都合4作品のレビューをお届けしました。今後も週に1〜2作品のペースでお届けできればと思います。それでは、また。 |