「社会学講座」アーカイブ(演習《現代マンガ時評》・4)
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講義一覧
3月27日(木) 演習(ゼミ) |
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いよいよ現カリキュラムでは最後の「現代マンガ時評」となりました。 ──では、今日も情報系の話題から。 まず初めに、今週は「週刊少年サンデー」系月例新人賞「サンデーまんがカレッジ」の審査結果発表がありましたので、例によって受賞者・受賞作をお知らせしておきます。
2ヶ月合併の募集だった事もあり、今回の「まんカレ」は豊作だったようです。佳作の2人はまだ10代ですし、将来が楽しみですね。新人が連載デビューするまでは長い時間がかかる「サンデー」ですので、若いという事は大きな武器になると思います。 では次の話題に。
加地君也さんは今から6年前の97年3月期「天下一漫画賞」で佳作を受賞し、同年「赤マルジャンプ」でデビュー。 一方の蔵人健吾さんも、キャリア8年にしての初連載獲得という“苦労人型”の若手作家さんです。95年に「月刊ジャンプ」の新人賞で入賞した後、98年の「赤塚賞」で佳作を受賞して「週刊少年ジャンプ」に“移籍”。その後は増刊、本誌で断続的に読み切りを発表していました。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年17号☆ ◎読み切り『しろくろ』(作画:空知英秋) 今週の「ジャンプ」では新人作家さんの読み切りが2本掲載されました。 まず絵からですが、正直言ってちょっと粗いかな…という印象があります。もっとも、これは「3週間で51ページ」というハードスケジュールがモロに響いてしまったものでしょう。収入源の乏しい新人作家さんにアシスタントを豊富に使える余裕など無いでしょうし、物理的な事情には勝てなかったというところでしょうか。 次にストーリーの方ですが、やはり注目すべきはデビュー作でも存分に見せつけた、新人離れした脚本とコメディの才能でしょう。この『しろくろ』でも、下手な小説家を上回る言葉遣いの使い分けや、ギャグ作家真っ青の“間”の良さで読者を作品世界に引っ張り込んでくれます。 ただ、問題点もあります。51ページの終盤まで話の核心が見えて来ず、さらには話のノリが良すぎるために、読み疲れや若干の中だるみ感がどうしても出て来てしまったのです。 評価ですが、絵の粗さとストーリーの中だるみをやや減点し、それでも類稀な才能を評価してB+寄りA−の評価を進呈したいと思います。間違いなく一流の才能を持った逸材です。「ジャンプ」編集部には、この人を埋もれさせたり潰したりしないよう、格別の配慮をお願いしたいと思います。 ◎読み切り『野球狂師の詩』(作画:郷田こうや) 読み切り2本目はギャグマンガ。あの島袋光年氏に才能を見出されたという特異な経歴を持つ、郷田こうやさんの登場です。 さて、それではレビューの本題へ。 もう郷田さんの作品はこのゼミで相当な回数レビューしていますが、回を追うたびに絵が着実に上達しているのに感心させられます。アシスタント修行をしているのか、背景の描写も相当手慣れているようですし、今回は馬の描写という難しいテーマに挑戦するなど、意欲的な姿勢に大変好感が持てるところです。 ただ惜しむらくは、絵に比べて肝心のギャグ技術の上達が今一つなところでしょう。 というわけで、この作品については、絵は及第点をあげられる出来なのですが、ギャグマンガとして肝心な部分はまだまだ新人・若手の域を脱するところまでいっていません。
巻末コメントでは矢吹健太朗氏がCGを勉強するためパソコン購入と報告。「ネットはしません」宣言に「そりゃあ自分の悪口とパクリ糾弾記事読まされるだけだもんな」と納得する一方で、「もしもエロゲーやり始めた挙句、『同人ゲームだし、パクってもいいか』とか言って金髪・白セーターの女吸血鬼とかメガネの似合うカレー好きのエクソシストとか双子で赤髪の美少女メイドとか出しやがったら殺す!」……と決意を新たにした駒木でした。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【現時点での評価:B/雑感】 ◎『TATTOO HEARTS』(作画:加治佐修)【現時点での評価:B+/連載終了に当たっての総括】 先週の『グラナダ』に続いて、こちらも“突き抜け”終了。 ☆「週刊少年サンデー」2003年17号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ!!』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 「怒りに任せて復活&パワーアップ」とか「都合の良すぎるタイミングで味方登場」とかいった、少年マンガのベタベタなパターンも、見せ方次第によって説得力が随分と違うもんだと思わせてくれますね。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 さ、さすがに指チュパは……(絶句) ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 見せ方次第で説得力が違うのパート2。 ☆第2回☆ ◎エントリーNo.8 『ちゃきちゃき江戸っ子花次郎の基本的考察』(作画:赤川テツロー) いよいよこの「世界漫画愛読者大賞」エントリー作完全レビューも最終回です。実は1週目の『軍神の惑星』を読んで、「これが平均レヴェルくらいならイケる!」と思ってゴーサインを出したんですが、実はこれが1、2を争う作品だったという……(溜息)。 今週のエントリー作の作者・赤川テツローさんは、東京都出身の44歳。今から20年以上前に赤塚賞の最終選考に残り、それが縁で「週刊少年ジャンプ」の増刊でデビュー。その後、幼年少女誌に移籍して連載を獲得するも、極度のスランプに陥ってしまい、ここ最近は読み切りを散発的に発表しながらアルバイトで食べている…との事。「世界漫画愛読者大賞」お馴染みの、“消えた若手マンガ家敗者復活戦”パターンですね。 では作品の内容へ。形式としてはショートギャグなので、手短に行きましょう。 絵柄は赤川さんのキャリアを象徴するように、マンガというよりも絵本的というか、キャラクターイラスト的なもの。かなり個性的な画風といって良いのではないかと思います。特に下手だとは思いませんが、現代のマンガに向いている絵ではないのかな……という気はしますね。 読者審査員の銀次さんにお聞きしたところ、この作品は編集部サイドも読者サイドも評判が芳しくなく、どうして最終審査に残ってしまったのか、今になっても不思議だとの事です。読者審査員の方は仕方無いにしても、プロの編集者が何となくで決めちゃうのはプロとしていかがなものかと思うのですが……。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(この作品が1年以上の連載に耐えられるとは思えません) 全作品総括と総合人気投票については、来週中に何らかの形でお届けする予定です。 |
3月20日(木) 演習(ゼミ) |
では今週もゼミを始めます。 ……それでは、今週もまず情報系の話題からお知らせします。 1点目は、先週にもお伝えした高橋しんさんの動向。既に「週刊少年サンデー」をお読みの方はご存知の通り、高橋さんが作画・連載中だった『きみのカケラ』は今週の15号を最後に無期連載休止という扱いになりました。 そういえば、「週刊コミックバンチ」で連載休止中の、「世界漫画愛読者大賞」と当講座選定「ラズベリーコミック賞」の2冠(笑)・『エンカウンター ─遭遇─』(作画:木之花さくや)が来週号から再開されて“しまう”んですよね。 次に「週刊少年ジャンプ」の連載改編についてです。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年16号☆ ◎読み切り『ドーミエ 〜エピソード1〜』(作画:高橋一郎) プロトタイプ読み切り攻勢の続く最近の「ジャンプ」ですが、今週も新人・高橋一郎さんの作品が本誌掲載となりました。 ……では作品の内容をいつも通り分析・評価してゆきましょう。 まずは絵から。 残るストーリーや設定に関してですが、これは率直に言って、「うわ、難しいなコレ」…といったところですね(苦笑)。もう1年以上レビュー活動を続けていますが、評価を下す難しさで言えば1、2を争うところだと思います。 結局のところ、この作品は何よりも作者の将来性と可能性を感じさせるところに意義があるのであり、恐らくは高橋さん本人も「私はこういう事が出来ます」というアピールの意味合いを込めて執筆されたのではないかと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 最近、「ジャンプ」のチェックポイントは毎週困らされます。ほっといたら毎週同じ作品ばかりチェックしてる…なんてことになりかねないからです(苦笑)。 ◎『BLEACH』(作画:久保帯人)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今回のは、少年マンガとしてコテコテのパターンの集合体みたいな内容ですね。それでもちゃんと“パクり”以上のモノになっているあたり、誰かさんとは地力が違うと言うか(笑)。 ◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 そう言えば、昔の『こち亀』ってこんな感じだったよな……と思わせる今週でしたね。ただ、全盛期ならもっとオチがオチらしくなっていたと思うので、確かにこのあたりに衰えらしきものが有るのではないかと感じさせられました。 ◎『グラナダ ─究極科学捜索隊─』(作画:いとうみきお)【現時点での評価:B−/連載終了にあたっての総括】 ☆「週刊少年サンデー」2003年16号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週の「サンデー」は全体的に豊作。時々こういう週があるので「サンデー」読者は辞められんのですよね。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)【第3回時点での評価:A−/雑感】 昔から、何故かマンガでは悪人が5階建てのビルに刺客を配置して立て篭もるわけですが(苦笑)。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 ……と思ったら、「サンデー」は擬似精液ならオッケーみたいです(爆笑)。 まぁそれはさておき、相変わらず安心して読ませてくれますね。評価はB+のままですが、高値安定のB+です。 ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【現時点での評価:B−/連載中断に当たっての総括】 ……というわけで、連載休止です。
☆第2回☆ ◎エントリーNo.7 『東京下町日和』(作画:山口育孝) この企画もあと2週です。「やんなきゃ良かったのに」という言葉を内へ外へと浴びせつつ、今週もレビューを続行します(苦笑)。 今週のエントリー作・『東京下町日和』の作者・山口育孝さんは43歳。18年前に青年誌でデビューし、短期連載2回を経験した後に活躍の場を求めながらアシスタントをしていた…という経歴があるそうです。ただし、10年前に廃業してからは普通の会社員としてマンガとは縁の無い生活をしていたとのこと。今回は一念発起しての現役復帰ということになりますね。 さて、作品の内容なのですが、とにかく言える事は絵にしろストーリーにしろ古臭いという事です。もう既にネット界隈でも同じような意見が嫌と言うほど出て来てますが、駒木も他に表現のしようが無いくらいそう思います。何と言いますか、「20年〜30年ぐらい前のマンガのありがちな姿」という企画なら拍手喝采を浴びたであろう、骨の髄まで70〜80年代風に染まった作品ですね。 しかし一言で「古い作品」と言っても、名作クラスの作品となると、いくら古い時期に描かれた作品でも古臭くないんですね。例えば藤子・F・不二雄先生の『ミノタウロスの皿』なんかは、30年以上前の作品ですが全く古臭くありません(10年位前にアニメ化されましたが、これも超名作です)し、他の先生方の名作も然りです。 で、何が言いたいかといいますと、「この作品は凡作だよ」って事です(笑)。20年前の感覚で「今の若者にはこういうのがウケるだろう」とやっちゃったんだろうと思います。斬新さは勿論、ストーリーもパターンそのものですし、好材料は見当たりません。 評価はB寄りB−あたりになりますか。一応、パッと見が小奇麗なので、感情に任せて評価を下げるわけにも行かないんですよね。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(支持する理由が全く見当たりません) いよいよ来週で最後なんですが…………「総合人気投票」でもらえる5票分の参政権が思い切り重くのしかかりますねぇ。まぁ消極的な意思表示として「まだマシ」な作品に5票を投じたいと考えています。 それでは今週のゼミはこれまで。来週は現体制最後の「現代マンガ時評」ですが、気負わずにいつも通りやりたいと思います。では。 |
3月13日(木) 演習(ゼミ) |
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情報系の話題にもならないんで前フリに使っちゃいますが、02年度仁経大コミックアワード2冠・『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)の単行本2巻のトーハン初週売り上げランキングが発表されて、6位『ホイッスル!』(作画:樋口大輔)24巻から僅差(?)の7位という事になりました。何と言いますか、擁護するのも叩くのも自由自在という非常に微妙な順位ですね(笑)。 さて、そういうわけでですね(常套句)、今週もゼミの時間がやってまいりました。今日はレビュー2本の他に、大きいニュースも入っていますので、どんどん紹介してゆきましょう。 ではまず、「週刊少年ジャンプ」系月例新人賞・「天下一漫画賞」03年1月期の審査結果が発表になっていますので、受賞作・受賞者を紹介してゆきましょう。
受賞者の過去の経歴は以下の通りです。 ◎最終候補の相模恒大さん…02年6月期「天下一」でも最終候補。 ……今月は最終候補で停滞を強いられている志望者さんが多かったですね。ここからステップアップできるか、それとも終わってしまうかで人生が変わって来るんでしょうねぇ。 既に『最後通牒・半分版』さんなどで報じられていますが、現在「週刊少年サンデー」で『きみのカケラ』を連載中の高橋しんさんが、体調等の事情により現在進行中の活動を全て休止すると公式ウェブサイトで発表しました。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年15号☆ ◎読み切り『神撫手』(作画:堀部健和) 今週は若手作家さんによる、連載昇格を念頭に置いたプロトタイプ系読み切りが登場しました。 さて、それでは本題へ。 一方のストーリー・設定ですが、これは残念ながら複数の問題点アリと言わざるを得ません。 結論としては「惜しいけど、総合的に言ってまだまだ」というところでしょう。評価としてはB−が妥当であると考えます。完成度が低い割には妙に読後感が良い作品なので、ひょっとすると連載化されたりする可能性もありますが、現状の力量で連載になっても突き抜けるのが関の山ではないでしょうか。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今年の連載改変は変則的なんですが、それでもソロソロ未確認のインサイダー情報が漏れ始めてきました。まだ噂の段階なのでここでは採り上げませんが、どうにも溜め息しか出ないラインナップが実現しそうです(苦笑)。 あと、巻末コメント。長者番付1位のクセに近所のカレー屋でバイキングとか、焼肉の思い出を熱く語る女流作家とか、四十肩の若手ラブコメ作家とか、出前先の定食屋に気を遣うクセに編集者と読者には遠慮せず原稿を落とす作家とか、「ジャンプ」の作家さんの実生活はどこかおかしいと思います。 ◎『NARUTO』(作画:岸本斉史)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今回のような挿話描くの本当に上手いですね、岸本さん。場面の断片を巧みに繋ぎ合わせ方が素晴らしいです。これでメインストーリーの展開をもうちょっとスピードアップさせたら文句無しなんですが。まぁそれはさすがに注文がキツ過ぎですかね。 ◎『シャーマンキング』(作画:武井宏之)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 第2回キャラクターファン投票結果発表。しかし、メチャクチャな順位だなー(苦笑)。これほど露出度と順位が連動しないランキングが出る作品って珍しい気がするんですが。 ☆「週刊少年サンデー」2003年15号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ こちらの巻末コメントのテーマは「お薦め本」。読書家かそうでないかがモロバレですねぇ(笑)。しかし、週7日の内8日働いてそうな週刊連載作家さんのどこに読書する時間があるんだろう。映画ならまだ分かるんですが。まさか取材休みって読書タイムですか?(笑) ◎『名探偵コナン』(作画:青山剛昌)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今回のトリック(?)だった、スーパーの天井に住む男、確かこれ、実際の事件であった話ですよね。食うに困って住み着いたっていうシチュエーションもそのまんまだった気がします。でもよくこんなB級ニュースをネタにしてマンガに出来るって、ナニゲに凄い話なんでは。 ◎『かってに改蔵』(作画:久米田康治)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 「世の中返さないといけないもの」の中の「あの人の小学館漫画賞」が個人的に大ヒット。勿論、他出版社の雑誌に連載していた児童向け部門のあの人ですね。今頃どうしているんだろう……。 ☆第2回☆ ◎エントリーNo.6 『大江戸電光石火』(作画:弾正京太) 今シリーズもいよいよ佳境の6回目。しかし、全然ムードが盛り上がらないのはいかがなものかと(苦笑)。応募作数から考えると、これでもまだ健闘していると言えるかも知れませんが、賞のグレードと賞金がアレですからねぇ……。 で、今回のエントリー作家さん・弾正京太さんは大阪出身の32歳。8年前からマンガ家を志して活動を続けてきたものの活躍の舞台に恵まれず、なんと今回が実質的なデビュー作となった模様です。 さて、それでは内容の方へ。 ストーリーに関しては特に問題とする点はありません。オーソドックスながら、ドラマ時代劇っぽい展開で悪くないんじゃないでしょうか。出来の悪い時代劇は江戸を舞台にした現代劇みたいになりますが、この作品については大丈夫でしょう。 とりあえず今回の作品だけで判断するなら「可もなく不可もなく」といったところでしょうか。しかし、これまでのエントリー作に比べると、「これ以上ひどくなる事は無いな」的安定感が感じられるのはプラスです。 投票行動は以下の通りです。 ・「個別人気投票」…支持するに投票。(正直言って迷いましたが、まとまった期間の連載で読んでみたいと思いました。でも、やっぱり早まりましたかね?《苦笑》) ・「グランプリ信任投票」でこの作品を支持することはありません。ギリギリで準グランプリレヴェルでしょう。
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3月6日(木) 演習(ゼミ) |
さて、2ch掲示板のモデム配りアルバイト関連スレをチェックしていたら、今日の講義の準備がダダ遅れになってしまった駒木です(苦笑)。申し訳有りません。 で、とりあえず、今週のゼミも「世界漫画愛読者大賞」レビュー1本と、“チェックポイント”のみになってしまいます。今年の春は「ジャンプ」の新連載シリーズが遅れ気味(一説によると今年は長期連載作品終了含みの変則シフトの模様)なので、レビュー対象作が稼げないのが痛いところです。まぁ、体力的・時間的に余裕が無いというのもあるんですが……。 それでは早速、「ジャンプ」と「サンデー」のチェックポイントから行きます。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年14号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週はどうもチェックポイントの題材になりそうな部分が少ないんですよねぇ……。 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 あっという間にVS賊学戦が終わってしまいましたね。あ、いや、凄い良いテンポなんで構わないんですが。モン太加入のエピソードで引っ張り過ぎたって反省でもあったんでしょうかね。 ところで、売れ行きが色々な意味で注目されるであろう単行本の2巻が発売になりましたね。内容はもちろんの事、相変わらずオマケページが充実しているわけですが、駒木は王城の女子マネージャーにちょっと萌え(笑)。第二の奈瀬さんみたいに出世しないものか?(笑) ◎『グラナダ ─究極科学捜索隊─』(作画:いとうみきお)【現時点での評価:B−/雑感】 ☆「週刊少年サンデー」2003年14号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『MÄR(メル)』(作画:安西信行)【現時点での評価:B】 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 ☆第2回☆ ◎エントリーNo.5 『極楽堂運送』(作画:佐藤良治) 恐らく今回のエントリー作の中で最も“濃い”作品(そして作者さん)の登場です。第1回でも独特過ぎる世界観で読者を色々な意味で惑わせた作品がありましたが、今回のその“枠”は、どうやらこの作品のようですね。 作者の佐藤さんは37歳。19年前と17年前の2回「手塚賞」の佳作を受賞し、2回目の受賞の時に増刊号デビュー。しかし、他の作家さんとの力量差を痛感し、また自分の求める作風が少年誌に合わないと判断して、活動の舞台を青年誌へと移します。 さて、では作品の内容に。 ちょっと解釈が難しいのがストーリーの方ですね。独特な世界観をどう評価するかでも意見が割れそうなんで、いつにも増して主観が入ってしまいそうなんですが、とりあえず駒木の考えを述べてみます。 まずシナリオの流れそのものは、そんなに不自然ではなかった気がします。ただ、“地獄猫”の家の前で張っている刑事が何のために張り込みをしているのか全く無意味なのが気になる点ではありますが。 あと、それ以上に問題なのはキャラクター描写です。 結論を言うと、この作品は失敗作(not駄作)です。佐藤さんの力量が果たしてこれが限界かどうかはよく判りませんが、少なくとも『極楽堂運送』がグランプリや連載作に相応しいものであるとは言えないと思います。 投票行動は以下の通りです。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(現在連載中の作品と比較して、この作品が勝っているとは思えません) ……なんだか8週連続で「支持しない」になりそうな気がしてきました(苦笑)。総合人気投票、どうしましょう? |
2月27日(木) 演習(ゼミ) |
さて、月刊作家さんには地獄の2月も最終週となりました。ちなみに週刊作家さんは毎日が地獄で、連載を持たない駆け出しの作家さんは、ボンヤリと自分の将来を考えた時が地獄だったりするわけですが。 とまぁ雑談はさておき、ゼミです。今週はお伝えする情報も無くて、レビューも1本だけと寂しい中身になってしまいました。ただ、駒木の体調もイマイチですから、正直助けられた…という気もしますが。 というわけで、今週のレビューとチェックポイントへ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年13号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 ◎『Ultra Red』(作画:鈴木央)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 新連載2作品が不調という事もあり、どうやら打ち切り圏内から脱出しちゃったみたいですね。理不尽な打ち切りに泣かされてきた鈴木さんですが、凄いところで反動が(笑)。ノルマン現象改めウルトラノルマン現象ですか。なんか、変身ヒーローのバッタモンみたいな現象だな。 ◎『BLACK CAT』(作画:矢吹健太朗)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感?】
☆「週刊少年サンデー」2003年13号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は『金色のガッシュ
!!』と『モンキーターン』が取材休み。駒木は『モンキーターン』→『ガッシュ』の順で読み始めるので、物凄く戸惑いました(笑)。 ◎『ワイルドライフ』(作画:藤崎聖人)【現時点での評価:B/作品の再評価】 連載開始以来、この作品に関しては酷評を続けて来ましたが、今回分を読む限り良化の兆しが見えてきたような気がします。キャラが増え、話を展開させる上での役割分担が上手くいくようになり、ストーリーの説得力が増して来ました。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)【現時点での評価:A−/雑感】 どうも今回についてはネット界隈で不評みたいですが、個人的には先週と併せて高い評価をしても良いんじゃないかと思っています。小ギャグ、小ギャグで積み重ねていって、最後の最後でドカーンと大ネタ…というメリハリの効いた展開にモリさんの技術的向上を見たような気がするんですよね。
☆第2回☆ ◎エントリーNo.4 『華陀医仙 Dr.KADA』(作画:曾健游) 「愛読者大賞」シリーズもあっという間に折り返し地点。ここまでは第1週をピークにどうも尻すぼみの印象が否めないのですが、何とか巻き返してもらいたいものですが……。 さて、今回は香港在住の曾健游さんが登場です。 ……さて、本題に映りましょう。 まず絵ですが、既に多くの人から指摘をされているように雰囲気は鳥山明さんによく似ていますね。ただ、細かい部分と見ると相当違った印象もありますので、これは日本での修行時代に徐々に形成されていったオリジナルの絵柄なのでしょう。 で、ストーリーですが、こちらも一定の水準には届いていると思います。全体的な話の流れには大きな矛盾点はありませんし、多少手垢は付いていますがキッチリと起承転結も成立しています。設定的にも連載に向いていますし、話の広がりも望めますので、将来性もあるでしょう。そういう意味では、これまでの4作品の中では最も今後に期待できそうな作品と言えそうです。 しかし、残念ながらこの作品は、手放しで賞賛できるモノである…とも言えないのです。 まず、作品の対象年齢が「バンチ」読者層とはギャップがあり過ぎます。少年向けならまだしも、この作品はどう考えても児童向けです。小学生向けの作風では、いくら(コアな読者にはあまり好まれないとしても)ノスタルジーで勝負できる余地のある「バンチ」でも苦戦は必至と言うものです。 更に、「主人公・華陀のキャラが定まっていない」という部分にも問題があります。 ……さて、最後に総括と行きましょう。 評価は児童向けマンガとして扱った上で、加点・減点要素を相殺してB+とします。どこか良い雑誌が拾ってくれればいいんですが……。 なお、投票行動は以下の通りです。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(作品は良いと思っていても、だからといって「バンチ」で連載されるわけにはいかないので、敢えて不支持に。ハッキリ言ってジレンマ感じてます)
……では、今週のゼミはこれまで。来週も短めになると思いますが、副業多忙のため、どうかご容赦を。では。 |
2月20日(木) 演習(ゼミ) |
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今週は久しぶりにレビュー対象作が3本もありますので、駆け足でお送りします。日常生活がバタバタし始めた途端にレビュー対象作が増えるなんて、人生ままならんもんです(笑)。 さて、まずは情報系の話題から。今日は1点だけです。 高橋昌俊氏の死去以来、バタバタとしている「週刊少年ジャンプ」の人事ですが、今週号(12号)の「編集人」(=編集長)は茨木政彦氏になっていました。鳥嶋氏は本当に名義だけのワンポイントだったんですね。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年12号☆ ◎読み切り『少年守護神』(作画:東直輝) 昨年、『ソワカ』を連載するも2クールで打ち切りとなった東直輝さんが、今回読み切りで復帰となりました。 さて、この「ジャンプ」で読み切りと言えば、アンケート次第で連載化される“プロトタイプ”の性格が強い作品です。果たして今作が連載に足るレヴェルに達しているのかどうか、一応の判断を下してみたいと思います。 まず絵ですが、こちらは以前とほとんど変わった感じは見られませんね。しかし、東さんは元々がプロとしてはあまり絵が達者な方では無いだけに、これはやや残念な材料ではあります。 しかし、ストーリー・設定面の方は、遺憾ながらもっと残念な材料となってしまいました。ぶっちゃけて言ってしまうと、とにかく全編マイナスポイントだらけという悲惨な内容です。その全てを採り上げると『碼衣の大冒険』(作画:イワタヒロノブ)の時みたいに顰蹙を買うだけになりそうなので、ここでは特に大きな問題2点に絞ってお話をします。 まず1点目。これはやはり世界観を無視した主人公たちの服装でしょう。戦国時代劇なのに服装だけが現代風という訳の分からない設定になっていました。これはもう内容以前の“最低限の約束事”が守られていません。 2点目。作品全体の“ノリ”がコメディを突き抜けてギャグの範疇まで飛び抜けてしまっています。しかもそのギャグもテンポが早いだけで何の工夫も無い稚拙なものでした。 この他にも必然性が無かったり、無理のあるストーリーテリングの問題点が山積みです。一体、どうしちゃったんでしょうか。東さんの今後が心配になってしまいましたね。 評価は厳しくCとしておきます。別の分野のクリエーターの人から「あれ? マンガの世界ってのはこの程度で連載持てちゃったりするんですか?」…などと言われても言い訳の出来ない作品ですので。 ☆「週刊少年サンデー」2003年12号☆ ◎短期集中連載第1回『電人1号』(作画:黒葉潤一) それでは作品の内容に話題を移しましょう。 絵は“ギャグ作家さんにしてはマズマズ”…といった感じでしょうか。『ファンシー雑技団』時代よりは上手くなっているように思えますが、動的表現を苦手にしているように思えるのが気になるところで、これが作品全体の迫力を弱めてしまった感もあります。 そして肝心のギャグですが、「第1回からアンケート人気を獲らなくちゃ!」…という意気込みが空回りしてしまったのか、とにかく間の悪さが気になります。これは前の短期集中連載作・『少年サンダー』(作画:片山ユキオ)でも見られた面で、1コマ間を置いた方が良かったのに……というシーンが良く目立ちました。 良かった頃の黒葉さんって、ちょっとシュール気味のギャグで勝負していたような気がするんですけど、気のせいでしたかねぇ。とりあえずドタバタギャグに向いている作風とは思えないので、もうちょっと工夫してみて欲しいと思っています。現時点の評価はB−。 ☆第2回☆ ◎エントリーNo.3 『摩虎羅』(作:茜色雲丸/画:KU・SA・KA・BE) 今週のエントリー作家さんは作画分業制の2人組。共に35歳という茜色雲丸さんとKU・SA・KA・BEさんのコンビです。 ──さて、では作品のレビューの方へ。 この作品については、先週のゼミの終わりの方で「これは“『エンカウンター』的な作品”だ」…みたいな事を話したと思うんですが、ここでそれはどういう意味なのかを、もう一度お話しておきます。“サードインパクト”組の受講生さんたちには多分話していなかったと思いますので。 この「世界漫画愛読者大賞」や、その前身である「ジャンプ新人海賊杯」では、ある特定のタイプの作品が、いつも上位に入賞して連載を獲得し、漏れなく短期で打ち切られる…という現象が起こっています。 1.絵の見栄えが良い(パッと見の画力が高い)。 ……というもの。つまりは読み切りの時は誤魔化せても、連載に突入すると構成力の不足がたちまち露呈して破局を迎えてしまう…ということですね。
……わはは。キッツイ事言ってますねぇ。全部当たってますけど(笑)。 …とまぁ、こういうタイプの作品の事を『エンカウンター』的と読んでいるわけです。お分かりになったでしょうか? ──ではこの『摩虎羅』のどういったところに問題があったのか…といった話になるわけですが、ここでは2つ具体的な“ストーリーの破綻”ポイントを指摘しておきます。 まず1つ目。ゴブ族のブローカーが、何故弱いはずの人間を試合に出す事にそんなに固執するのか? …といった点です。 2つ目。摩虎羅はどうして第1戦の巨神族戦の時から奥の手・インドラの瞳を使わなかったのか? 「水戸黄門」の印籠じゃあるまいし…という話です。 ……この作品、喩えて言うなら「プロレスやってる」って感じなんですよね。話を盛り上げるためにキャラクターがわざわざ自分から窮地に陥って、そんでもって劇的な展開で逆転すると。 以下、駒木のエエカゲンな推測なんですが、この失敗はどうも、原作の茜丸さんがゲームシナリオ畑の人であるところに原因がありそうな気がしています。 さて、とりとめもない話はこれくらいにして評価です。 では、最後に投票行動の公開です。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(ダメモトで賭けてみたい思いもあるが、少なくとも「愛読者大賞」の看板を背負っての連載はリスクが大きすぎるとの判断。通常のアンケートにも票は入れていません)
……というわけで、以上で今週のゼミを終わります。 |
2月13日(木) 演習(ゼミ) |
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ちょっとばかり、のっぴきならない事情がありまして、講義の開始時刻が遅れています。(現在14日午前5時) 先に言っておきますが、今週のレビューは「世界漫画愛読者大賞」の1作品のみになります。デキ次第では「週刊ヤングジャンプ」に掲載された尾玉なみえさんの新作もレビュー対象作にする予定だったのですが、高い評価を出せそうに無いので今回は見送ります。ん〜、「卵管」は良かったんですけどねぇ(笑)。
なお、受賞者の過去の経歴は以下の通りです。 ◎審査員特別賞の川口幸範さん…第64回「天下一」(01年11月期)で編集部特別賞を、第68回(02年3月期)「天下一」で審査員(武井宏之)特別賞をそれぞれ受賞。 ……川口さんは、これで3回目の特別賞受賞。佳作の壁の前に相当な苦戦を強いられている印象ですね。今回は「少年誌向けではない」という作風が足枷になってしまったようですね。難しいものです。 さて、次に新連載の情報を。 そして3点目。「週刊少年ジャンプ」前編集長・高橋俊昌氏の死去に伴う、今後の「ジャンプ」編集部の体制についての情報です。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年11号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の「ジャンプ」は、『HUNTER×HUNTER』取材休載なのに新人読み切り無し。これはたまたま載せられるような原稿が無かったのか、それとも方針変更なのか、どっちなんでしょうねぇ? ◎『ヒカルの碁(第2部)』(作:ほったゆみ/画:小畑健)【現時点での評価:A/雑感】 いやぁ、久々に熱い『ヒカ碁』を見ました。本当は静かなテーブルゲームを、ここまでスピード感と迫力溢れる描写をするとは、さすがです。 ◎『シャーマンキング』(作画:武井宏之)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 シュールだなぁ、今週は(笑)。真面目に読ませたいのか、笑わせたいのか、両方なのか、ようワカランです(笑)。 ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)【現時点での評価:B+/雑感】 なんだ、結局は2週間前に立てた仮説(夏緒が乱堂の正体を知って協力者になる)がキッチリ当たっちゃったなぁ。何だか競馬で審議の結果、繰り上がりで馬券が当たった…みたいな感じが(苦笑)。 ◎『Ultra Red』(作画:鈴木央)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 “関東の噛ませ犬(笑)”東堂院光のヘタレぶりをみて、
☆「週刊少年サンデー」2003年11号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『ファンタジスタ』(作画:草葉道輝)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ん〜、全体的には地味な話が続くんですが、こまめにヤマ場がありますよね、この作品。小エピソードを積み重ねてゆくというのは長編の基本ではあるのですが、週刊連載ではなかなか難しいはず。伊達に何年も連載続けてないって事でしょうね。 ◎『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ)【現時点での評価:B+/雑感】 なんか最近、妙にキャラの平均美形率(ナンジャソラ)が上がってる気がするんですが、これも一種のテコ入れなんでしょうかね(笑)。まぁ確かに読んでる途中に男性読者がどこかを凝視する場面は飛躍的に増えた気がしますが(笑)。
☆第2回☆ ◎エントリーNo.2 『鬼狂丸』(作画:新堂まこと) 今週も「世界漫画愛読者大賞」の最終エントリー作品についてのレビューをお送りします。 今回のレビュー対象作・『鬼狂丸』の新堂まことさんは、大阪府出身・在住の25歳。今回の作品がデビュー作になる、全くの新人さんだそうです。 では、レビューの方へと移りましょう。 まず絵ですが、これは有り体に言ってお粗末としか言いようがありません。部分部分では上手く描けているように見える箇所もありますが、描写の難易度が少しでも高くなると、途端に絵柄が荒れ始めます。特に、アクションシーンが多いというのに、殴られた顔面の描写がとんでもなく稚拙なのが気になります。 次にストーリー。こちらも正直言って、問題点が相当あると言わざるを得ません。 さて、評価のお時間です。絵、ストーリー共にプロとしては“赤点”の内容。ただ、マンガとして成立しないほど酷い作品でもありませんので、C寄りB−くらいの評価でよいのではないかと思います。 以下、投票行動の公開です。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(現時点では週刊連載に耐え得る作品ではないとの判断です。勿論、通常の人気アンケートにも票は入れていません)
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2月6日(木) 演習(ゼミ) |
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いつの間にか月が変わって2月最初のゼミとなりました。この「現代マンガ時評」については、業務縮小となる4月以降も形を若干変えて継続するつもりでいますが、現体制ではあと丸2ヶ月・今回を入れてあと8回という事になります。 ……では、今週も情報系の話題から。ただ、今週は賞レースや新連載関係の話題が無かったため、雑多なモノが中心となります。 まず1点目は話題になりそうな(というか、もうなっていますが)読み切り情報から。 次に2点目。これは情報と言うより半ば雑談なのですが……。
……大手出版社における新人の原稿料は1ページ1万円が相場(ただし、カラー原稿は倍額)だそうなので、1週平均20ページとして10週で200万強。「ジャンプ」では、その他に僅かな専属料や研究費等が出るそうですが、これは焼け石に水でしょう。「週刊連載作家は原稿料では暮らしていけない」という話を時折聞きますが、それはこういう理由なのですね。 ところで、道元さんと同じように打ち切りを連発し、「ジャンプ」を“追放”処分になったと言われていた尾玉なみえさんですが、この度「週刊ヤングジャンプ」の方で読み切りながら復帰が決まったそうです。来週・2/13発売の11号に掲載されるという事ですので、ファンの方は是非ともチェックして下さい。 ……以上、情報及び雑談のコーナーでした。では引き続き、今週のレビューと“チェックポイント”へと移らせてもらいます。 では、まず“チェックポイント”から順番にお届けします。どうぞ、よろしく。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年10号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週号の巻末コメント、見事なまでに新年会関連で埋め尽くされていましたね(笑)。よほど印象深い新年会だったのか、それとも新年会に出るために仕事漬けで他にネタが確保できなかったのか……。 ◎『テニスの王子様』(作画:許斐剛)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 しかし、このマンガのセリフはどうしてここまでダサいんでしょうか(苦笑)。徐々に作品の“高橋陽一化”が進行しつつあるのが、心配なようで楽しみなようで……。 ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)【現時点での評価:B+/雑感】 とんでもない勢いでの急展開。先週やったストーリー予想なんか微塵も当たらなかったですね(苦笑)。 ◎『ピューと吹く! ジャガー』(作画:うすた京介)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 久しぶりのハマー解禁。やっぱり主要キャラが全員出揃った方が良い感じですね。 ☆「週刊少年サンデー」2003年10号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【現時点での評価:B−/雑感ほか】 かなり力の入ったセンターカラーです。この前の『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)もそうだったんですが、人気がそんなにあるわけでもない作品が唐突にセンターカラーをもらった時は、連載終了の理由作りである事がままあるんですよね。今回で23話ですから、最短コースなら次の入れ替えで打ち切りという事もあり得ます。 また、その大量加筆単行本ですが、各所の細かい描写をまんべんなく追加しているという印象で、単行本オリジナルの追加エピソードは皆無でした。 ◎『モンキーターン』(作画:河合克敏)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 この全日本選手権編は、正直言って最初ダレ気味かと思ったんですが、最後の最後でキッチリと一盛り上がりしましたね。淡々とした構成でそれなりに迫力を出して見せ場を作るんですから、さすがです。 ☆第2回☆ ◎エントリーNo.1 『軍神の惑星』(作画:谷川淳) 作者の谷川さんは千葉県出身の33歳。「バンチ」誌上に掲載されたインタビュー記事によると、映像関係の専門学校からテレビドラマ製作の道へ進むも、27歳の時にマンガ家へ方向転換。アシスタントをしながら試行錯誤しつつ現在に至る……とのことです。どうやら今回が実質的なデビュー作ということになるのでしょうか。 ……では、作者紹介はこれくらいにしまして、いつも通り絵とストーリーに分けてレビューさせてもらいます。 まず絵ですが、実質デビュー作にしてはなかなか手慣れていると言って良いのではないでしょうか。パワードスーツ等のメカ系描写も出来ていますし、少なくとも及第点は出せるものと思います。 次にストーリーですが、端的に言って、こちらも絵と同じくなかなか良く出来ているのではないでしょうか。ページ数に見合った人数に主要キャラクターを絞り、また、キャラそれぞれの行動に一貫して必然性があるという点は高く評価できると思います。話が途中で切れてしまったのは残念ですが、(オムニバス形式でない、長編作品という)ストーリーの性格を考えると、それも止む無しでしょう。 しかし、やはりストーリー面にも問題点が残されています。独自性・オリジナリティが極めて弱く、今後のストーリー展開に大きな期待が抱き難いという点がそれです。 さて、悪い癖が出てしまい、また長いレビューになってしまいました。早いところ最終的な評価に移りましょう。 ところで、今回は駒木も“参政権”を活用して読者投票に参加する事にしましたので、その投票行動も公開したいと思います。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(続編を読んでみたい気持ちはあるが、看板作品としての長期週刊連載ではなく、単行本1〜4冊程度の長さになる短〜中期の連載で読んでみたい。なお、通常のアンケート投票ではこの作品に1票を投じた) 《その他、今週の注目作》 ◎『美食王の到着』(作画:藤田和日郎/「少年サンデー超増刊」2月号掲載) 「サンデー」本誌で『からくりサーカス』連載中の藤田和日郎さんの作品が、特別読み切りで増刊号に登場しました。 この作品の最大のポイントは、主に新本格ミステリ小説で使われている叙述トリック(わざと誤解を招く文章表現を使って、読者のキャラクターに対する認識を狂わせる技法。特に綾辻行人氏がよく使用する)を見事なまでにマンガ、しかもミステリではない作品に応用してしまった点にあります。 とにかくこの作品は、作家・藤田和日郎の才能と技巧の限りを尽くされた名作中の名作です。受講生の皆さんも、この作品を読む機会があれば、是非ご一読の上、脳裏に焼き付けてもらいたいと思います。 |
1月30日(木) 演習(ゼミ) |
今月最後のゼミですが、時期的なものもあって内容のボリュームは今一つになってしまいそうです(苦笑)。今週は“チェックポイント”の内容を増やして、少しでも受講生の皆さんに楽しんでもらおうと思っていますが……。 さて、今週もまずは情報系の話題から。 まずは訃報です。先週のゼミでもお伝えした通り、24日に「週刊少年ジャンプ」編集長・高橋俊昌さんが記者会見の途中に倒れてお亡くなりになるという痛ましい出来事がありました。 さて、今後の「ジャンプ」についてですが、誰が編集長(またはその代理)になったとしても、しばらくは現状維持が精一杯ではないかと思います。特に例年通りなら数週間後には“高橋体制”でラインナップを決めた最後の新連載シリーズが始まりますので、全てはこれを乗り切ってからではないでしょうか。 次に「週刊少年サンデー」の新連載情報を。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年9号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『BLEACH』(作画:久保帯人)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 シリアスバージョンの話が始まった……はずだったんですが、緊迫した場面の割にはおもくそコメディタッチですねぇ。 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 うわー、進の描写が凄い。んで、その後のセナ&モン太のコントとのコントラストも凄い(笑)。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【現時点での評価:B/雑感】 突如新キャラ登場、しかも男。かなりアレンジはしてますが、じれったいラブコメにありがちな恋敵役ですね。これでテニスが得意で歯がキラリと光れば完璧なんですが(笑)。 ◎『ヒカルの碁』(作:ほったゆみ/画:小畑健)【現時点での評価:A/ちょっとした余談】 北斗杯に登場する外国勢が揃って美形である事がちょくちょく巷の話題になっていますが、これは噂によると、アニメを子供と一緒に見るお母さん対策なんだそうです(笑)。つまり最近の仮面ライダーとか戦隊モノのパターンですね。 ◎『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 先生! 鈴木信也さんの画力では、いくら女子キャラ脱がせてもサービスカットにならないので諦めた方が良いと思います! ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)【現時点での評価:B+/雑感】 先週、掲載順が実質最下位で「すわ、打ち切り候補?」と思ったのですが、こちらも突然の新キャラ登場。しかし乱堂の正体を知るキーパーソンでありながらお色気要員とは便利な役ドコロですなぁ。
☆「週刊少年サンデー」2003年9号☆ ◎新連載第3回『俺様は?(なぞ)』(作画:杉本ペロ)【第1回時点での評価:B−】 前回のレビューでは、ツッコミ役の笠井(野菜)少年のキャラの弱さを主な原因としたチグハグさを指摘させてもらいましたが、その後の第2回、第3回と同じノリの話が続いたこともあって抱いた印象には大差ありません。ワンパターンのギャグが必ずしも悪いとは言いませんが、問題を抱えた状態でのワンパターンはいかがなものでしょうか? では、ここからどうやって良い方向に持っていけば良いのか? ……などと問われると辛いところなのですが、早めに新キャラを出すなどしてテコ入れをした方が良いとは思います。または今回の5ページ目から6ページ目にかけて見られた、“ハイスパートなボケの絨毯爆撃”をトコトン追求していって、テンションの高さで押し切ってしまう作品にするのも一つの手ではないでしょうか。 現状に変化が見えない以上は評価もB−に据え置きです。まったく見込みの無い作品とは思えないんですが……。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 この作品に出てくるイタいキャラって、そのイタさよりも面白さの方が勝ってるんですよね。だから嫌らしさが無いわけで。でも、さすがに今回のパティの回想シーンはシュール過ぎると思いました(笑)。 ◎『焼きたて !! ジャぱん』(作画:橋口たかし)【現時点での評価:B/雑感】 「いくら魔物とはいえ…」 同意すると共に激しく笑いました。お見事。 ◎『ワイルドライフ』(作画:藤崎聖人)【第1回掲載時の評価:B】 破天荒系マンガの揚げ足なんぞいちいち取っちゃイカンと思いながらも……うぅ、我慢できん。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感ほか】 今回も着衣・脱衣ともにサービス満点でありますが、今日は内容よりも単行本の話について。発売されたばかりの1巻がなんと全国的に品薄状態のようです。2月早々に重版が決定したとか。 ◎『DAN DOH !! Xi』(作:坂田信弘/画:万乗大智)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 全英オープン打ち切り&サシ勝負に変更とは、また思い切った事しましたねぇ。でも、小学生を全英オープン勝たせるのはマンガの世界でも現実感無さ過ぎなので、これはこれで英断だと思います。『Xi』になる前から換算すると相当の長期連載作品ですが、いよいよクライマックスに突入ですね。
──それでは今週のゼミを終わります。 |
1月23日(木) 演習(ゼミ) |
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さて、今週もゼミの開講です。今週は世を忍ぶ仮の本業の事情もあり、極力無駄口叩かずに講義を進行させていきますので、どうぞよろしく。 では早速情報系の話題から。今週は賞レースの話題が盛りだくさんです。 まず、昨年(平成14年)度の小学館漫画賞の受賞者・受賞作が発表になりましたので、紹介しておきましょう。
裏事情をご存知ない方の為に説明しておきますと、小学館漫画賞はその名の通り、実質上は小学館が出版する雑誌に連載された作品を表彰するアワードです。ただし、元は小学館の子会社である集英社と、同じく集英社から生まれた白泉社の作品も表彰される事もあります。 今回で目に付くのは、やはり講談社漫画賞との2冠という、プロレスで言うならIWGPヘビーと三冠ヘビーを統合してしまうような偉業を達成した浦沢直樹さんでしょうか。というか、この人がまだ審査員側に回っていないのがおかしいと思うんですけどね(笑)。 では次に、「ジャンプ」「サンデー」両誌が主催する月例新人賞の発表もありましたので、こちらも受賞者を紹介しておきましょう。 まずは「天下一漫画賞」の方からどうぞ。
次に「サンデーまんがカレッジ」の方も。
なお、受賞者の過去の経歴は以下の通りです。 ・「天下一」最終候補の麻湧さん……第8回(02年度)「ストーリーキング」ネーム部門最終候補
あと、「サンデー」関連で今週気になる話を2つばかり聞きましたので、こちらも紹介しましょう。 まず1点目、先日発売された『きみのカケラ』(作画:高橋しん)の単行本1巻ですが、なんと全体の約2/3にあたる120ページほどの加筆訂正が行われているとのこと。(ネタ元:高橋しんさんのインタビュー記事) もう1点は、先週から連載の始まった『俺様は?(なぞ)』(作画:杉本ペロ)なんですが、杉本さん本人の談話によると、この作品が始まったのは、前作『ダイナマ伊藤!』の単行本売り上げが芳しくなかったためのテコ入れという裏事情があるそうです。 なんだかスッキリしないお話でしたが、興味深いものだったので採り上げてみました。で、以上が情報系の話題でした。
……さて、それではレビューに移りましょう。今週は「週刊少年サンデー」から、新連載第3回の後追いレビューと、短期集中連載の総括レビューの計2本をお送りします。今週号でレビュー対象作の無かった「ジャンプ」は“チェックポイント”のみお送りします。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年8号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『ONE PIECE』(作画:尾田栄一郎)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 実質18ページで5場面同時進行、しかもほとんどが戦闘シーン……。最近ずっとこんな感じなんですが、ハッキリ言って限界超えてるような(汗)。4ページの週刊連載を5本同じ雑誌に連載してるようなもので、色々な意味で無茶だと思います。『キン肉マン』で言えば、正義超人VS悪魔超人の5対5を毎週同時進行でやってるようなモノですよ、これ。 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 ちょっとミエミエの展開で間延びした感の有ったWR(ワイドレシーバー)獲得編も何とか終了。先読みできる展開を演出の凄さで良く魅せるマンガだけに、こういうエピソードは向いてないのかも知れませんね。 ☆「週刊少年サンデー」2003年8号☆ ◎新連載第3回『MÄR(メル)』(作画:安西信行)【第1回時点での評価:保留】 第1回時点では評価を先送りしていたこの作品ですが、いよいよ世界観らしきモノも見えてきましたし、現時点での評価を下したいと思います。 どうやらこの作品のファンタジー世界は、アイテム・ÄRMを介しているものの、事実上は正統派ファンタジーと言って良いようです。ハッキリ言って「大変な道を選んだなぁ」…って感じですよね(苦笑) ただ、この作品の最大の問題点として、主人公のキャラ造型に大きな欠陥があるのではないかと思えてなりません。 全体的な評価としては、プラス・マイナス合算してマイナスの方が勝っているということで、B+寄りBにしたいと思います。 短期集中連載と言う事で、今回の5回目で一応の最終回となりました。これからアンケートの結果を受けて本誌連載となるかどうかが決定するわけですね。 5回通じての感想ですが、全体的な印象としては、第1回のレビューで述べた“間の悪さ”が最後まで修正しきれなかったかな…といったところでしょうか。ネタ振りに“タメ”を利かせるか、もしくは『ボボボーボ・ボーボボ』のようにボケのインパクトを極限にまで高めるかすれば良い作品になったと思われるのですが……。 評価は第4回の“一瞬のきらめき”の分を少しだけ加点して、B寄りB−ということにしましょう。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週の「サンデー」は偶然でしょうけど、異様にアツい場面が多かったですね。いつもこういう感じだと良いんですけどねぇ。 ◎『史上最強の弟子ケンイチ』(作画:松江名俊)【現時点での評価:B+/雑感】 これほど説得力のある不純な動機も珍しい(笑)。師匠連の反応もリアルで笑えるなぁ。最後に少年マンガっぽい理由で取り繕ってますが、こっちは全然説得力が無いです(苦笑)。 ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今週は“後付けの名手”藤田和日郎の面目躍如といったところでしょうか。それにしても、この設定の素っ飛ばし方は凄いなぁ。どう辻褄を合わせてくれるのか、期待して待ちたいと思います。 ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 |
1月16日(木) 演習(ゼミ) |
ここしばらくゼミの実施が遅れ気味でご迷惑おかけしております。一番余裕の無い木曜深夜にゼミをやるというスタイルはいい加減限界に来ていますね……。 さて今回の講義ですが、「週刊少年ジャンプ」が合併号休みのため、レギュラーのレビュー対象雑誌は「週刊少年サンデー」1誌になります。 では、今週はいつもより輪にかけて時間が押し迫ってますし、これといった情報系の話題も有りませんから、早速レビューの方へ移りましょう。 ☆「週刊少年サンデー」2003年7号☆ ◎新連載『俺様は?(なぞ)』(作画:杉本ペロ) 数ヶ月前に『ダイナマ伊藤!』の連載を終えたばかりの杉本ペロさんが、この号から「サンデー」に連載復帰となりました。 ……さて、それではレビューの方へ。 で、肝心のギャグの中身についてなのですが、どうも初回に関してはチグハグとした印象が拭えませんでした。 そういうわけで、現時点での暫定評価ですが、不条理・ドタバタ系のギャグとしては全体的にインパクト不足である…ということで、やや厳しめのB−評価とさせてもらいます。巻き返しに期待しましょう。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 『凄ェ!』と思ったら良いのか、バカ笑いしたらいいのかよく分からない戦闘シーンでしたねぇ(笑)。あぁ、『凄い』と思いながらバカ笑いしたら良いのか。 ◎『ワイルドライフ』(作画:藤崎聖人)【現時点での評価:B/雑感】 “絶対眼力”ですか……。また、ミもフタも無い設定出してきましたねぇ(苦笑)。「マガジン」の(余り良いとは思えない)マンガっぽいという意見があるみたいですが、駒木も同感です。 ◎『DAN DOH !! Xi』(作:坂田信弘/画:万乗大智)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 ずっと前から言われている事ですけど、万乗さんの少女に対する思い入れは物凄いものがありますよねぇ。特に今回はダンドーのナイスショットよりもエバの描写の方が明らかに力入ってますし。
◆「赤マルジャンプ」レビュー◆ ◎読み切り『ゲット☆ア☆ラック』(作画:キユ) ここに載ったと言う事は、「ジャンプ」追放は免れたわけですかね。今の「ジャンプ」は人材難ですし、3回打ち切りまで追放は猶予してもらえるようになったんでしょうか。 ◎読み切り『蹄鉄ジョッキーっ!』(作画:森田雅博) 作者の経歴は、2000年12月「天下一」特別賞から翌年増刊デビュー。今回が約2年ぶり2度目の増刊掲載…といったところ。 ◎読み切り『マルジャガルダ』(作画:安藤英) 安藤さんは2002年上期「手塚賞」佳作から同年夏に増刊デビュー。今回がデビュー2作目となります。 ◎読み切り『SPARE DRAGON』(作画:小椋おぐり) 小椋さんは2001年下期「手塚賞」佳作から、翌年春に増刊デビュー。今回が2回目の増刊登場です。 ◎読み切り『レインボー侍』(作画:やまだたけし) 01年の夏ごろに代原作家としてデビューしたやまださんですが、今回が初の増刊掲載となりました。これも一種の出世ということでしょうか。 ◎読み切り『神様のバスケット!』(作画:及川友高) 及川さんはこれがデビュー作。02年4月期の「天下一」最終候補からのステップアップという事のようです。 ◎読み切り『激 !! 深紫高校ウォッポ部』(作画:草壁達也) 01年春に増刊デビューの草壁さんですが、今回が1年半ぶりの復帰と言う事になります。作者名で検索してみますと、その間は『おジャ魔女どれみ』関連の同人活動やってたみたいで、思わず「ンな事してる間あったらネーム描け」とツッコミ入れたくなったりもしますが(苦笑)。 ◎読み切り『ZONE』(作画:星野桂) 星野さんはこれがデビュー作。以前から本誌のカット描きなどをしていたようで、何かしら「ジャンプ」との繋がりがあったみたいです。
昨年1月期の「天下一」佳作から、その受賞作で増刊デビューを果たした藤嶋さんの受賞後第一作。 ◎読み切り『メガ高野球部』(作画:郷田こうや) 01年上期「赤塚賞」佳作から代原作家となった郷田さんですが、ようやく正規コースでのデビューとなりました。 ◎読み切り『獏』(作画:田中靖規) 02年9月期の「天下一」佳作受賞作で、これが勿論田中さんのデビュー作となります。 ◎読み切り『ホイッスル!(特別編)』(作画:樋口大輔) 最終回で謎のままだった、主人公・将のリタイヤした原因と復帰までを描いた番外編です。 総評としては、今回は「工夫の跡が見られたが、完成までには今一歩」という作品が多かったように思えます。設定過多の傾向も気になる点です。
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1月9日(木) 演習(ゼミ) |
今年最初のゼミの時間となりました。今年も「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」を中心に新連載作品や読み切りの詳細なレビューを実施してゆく方針です。どうかよろしくお願い致します。 では、まず軽く「ジャンプ」「サンデー」関連の情報を採り上げておきましょう。今週の話題は1つだけです。 現在冬の新連載シリーズが始まっている「週刊少年サンデー」では、来週の7号より、杉本ペロさんのギャグ作品・『俺様は?(なぞ)』が新連載となります。つい最近まで『ダイナマ伊藤!』を連載していた杉本さんですが、2ヶ月ほどのインターバルでの復帰となりますね。 ……それでは、今週はレビュー対象作が多いですし、無駄話も挟まずにそちらへ移りましょう。今週は「ジャンプ」から新連載3回目の後追いレビュー1本と読み切りレビュー1本を、そして「サンデー」からは新連載レビュー1本の計3本のレビューをお送りします。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年5号〜6・7合併号☆ ◎新連載第3回『TATTOO HEARTS』(作画:加治佐修/5号掲載分) 新人・加治佐さんの週刊初連載作品・『TATTOO
HEARTS』の後追いレビューです。 評価は少し下げてB寄りB+とします。
年末年始の変則スケジュールの目玉という事なのでしょうか、5号と6・7合併号の2号に渡って、ジャンプノベル出身の新進小説家・乙一さんと『ヒカルの碁』の作画担当・小畑健さんの豪華タッグによる特別読み切りが掲載されました。 まず絵からですが、これはもう言う事は何も有りませんよね(苦笑)。小畑さんは『ヒカ碁』の取材休みを利用してこの作品を執筆したわけですが、年末進行前後の超絶スケジュールの中で実質的なページ増とは全く恐れ入ります。 さて次に、ストーリー面についてですが……。 そういう点を加味しまして、評価はA−に限りなく近いB+という結論にしたいと思います。 ◆「ジャンプ」ここ2週のチェックポイント◆ ◎『遊☆戯☆王』(作画:高橋和希)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 えーと、高橋さんのやりたい事は、“スタンドを使った『リングにかけろ』”と解釈してよろしいんでしょうか?(苦笑) ◎『BLEACH』(作画:久保帯人)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 やっぱり日常を舞台にしたコメディ描かせると、内容が見違えますねぇ。ただ、それで少年誌以外で活躍できるような作風とは言えないのが辛いところですが。“お色気力”に欠けているのも問題ですね。う〜ん、中途半端な形で才能が埋もれて……(苦笑)。 ◎『HUNTER×HUNTER』(作画:冨樫義博)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 相変わらず人が呆気なく死んでいきますが、冨樫さんの上手い所は“読者に認知はされているが、深い感情移入はされていない”キャラクターだけ死なせるところですね。この微妙なサジ加減にセンスが窺えるところであります。 ☆「週刊少年サンデー」2003年6号☆ ◎新連載『MÄR(メル)』(作画:安西信行) 『烈火の炎』でヒットを飛ばした“実績組”の中堅作家・安西信行さんの「サンデー」連載復帰作が遂に登場です。 まず絵柄ですが、これは良い意味でも悪い意味でも以前と変わっていませんね。顔の描き分けのパターンが少ない…という問題もありますが、まぁ指摘しなければならない点はほとんど無いと思います。パッと見で世界観ともマッチした絵柄とも思えますし、まぁ良いんじゃないでしょうか。 そしてストーリー。今回は完全にプロローグ的なエピソードで、主人公が日常からファンタジー世界へ導かれていく“巻き込まれ型”の話が展開されました。 まぁ、今回だけでは評価の下しようがありませんので、7段階評価は保留に。しかし、期待よりも不安の方が先行した第1回とだけは言っておきます。
◎『ふぁいとの暁』(作画:あおやぎ孝夫)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 これが他の作品なら、「女子中学生のヌードキター!」なんでしょうけど、このマンガ色気無ぇ(笑)。爽やかなのもここまで来ると凄いですね(笑)。 ◎『モンキーターン』(作画:河合克敏)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 コース取りでイン奪い合って深い進入…って、これはこの年末の賞金王決定戦そのまんまではないですか(笑)。勿論、こっちの執筆時期の方が断然早いんですけど、本当によく出来た偶然の一致ですねぇ。まぁ、実在の世界ではインコース組は全滅状態になっちゃったんですが。
……さて、今回は以上です。講義の実施が遅れに遅れて申し訳有りませんでした。 |