「社会学講座」アーカイブ(競馬学関連・2)
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講義一覧
4月27日(土) 競馬学特論 |
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◆天皇賞(春) 予定調和と裏切りの中で◆ あれはいつだったろうか。研究室で珠美ちゃんがこんな事を言っていた。 「春の天皇賞って、良いですよね。馬券は獲りやすいし、レースそのものも、大抵はハッピーエンドで終わるじゃないですか。良いレースが観られて、少しだけでもお金が増えるなんて、“ささやかな幸せ”って感じで良いと思いません?」 珠美ちゃんが競馬を見始めたのは高校に入学した1996年の春からだが、当時は完全な初心者で、レースの印象どころじゃないはずだから、彼女が話の前提としているのは翌97年以降のレースだと考えていいと思う。 では、僕も珠美ちゃんと同じ考えかというと、実はそうでもない。この天皇賞(春)というレースで僕は、ハッピーエンドとほぼ同じ数だけのバッドエンドを見せられている。96年のナリタブライアン−マヤノトップガン不発の時なんて、精神的にも経済的にも大いにダメージを受けたものだ。当時の僕は、量産型・福沢諭吉の肖像画を馬券販売機に突っ込んでしまう青臭いガキだったのだ。 それにしても、このイビツなハーモニーはどこに根源があるのだろうか。とりあえずはその理由を探るため、少しばかりこのレースの分析を試みてみたい。 過去10年の天皇賞(春)を振り返ってみると、各年度のメンバー構成によって、10のレースが大きく分けて4つのパターンに分類される事に気が付いた。 (1) 1頭の馬に人気が集中している“一本被り” 普通のレースでは、“卍どもえ(4頭で接戦)”や“実力伯仲(今年の皐月賞のような大接戦)”というパターンも見受けられるが、少頭数で個々の出走馬間の実力差が比較的大きい天皇賞(春)では、なかなかお目にかかれないようだ。 まず、(1)の“一本被り”パターンに当てはまるのが、93年(1番人気:メジロマックイーン)、94年(同:ビワハヤヒデ)、01年(同:テイエムオペラオー)の3回で、これらは3度とも平穏な結果に終わっている。即ち、1番人気馬の2勝2着1回、平均馬連配当443円である。 次に(2)の“一騎討ち”パターン。これは92年(メジロマックイーンVSトウカイテイオー)、96年(ナリタブライアンVSマヤノトップガン)、98年(メジロブライトVSシルクジャスティス)の3回。 (3)の“三つ巴”はどうだろうか? こちらは97年(マヤノトップガン、サクラローレル、マーベラスサンデー)、99年(スペシャルウィーク、メジロブライト、セイウンスカイ)、00年(テイエムオペラオー、ラスカルスズカ、ナリタトップロード)が該当する。00年に関しては(1)パターンに足を半分突っ込んでいるが、人気馬の成績などを考慮すると、こちらの方に入れた方が良いと判断した。 最後の(4)、“群雄割拠”パターンは95年。レース直前にナリタブライアンが戦線離脱をして、一気に混迷の度を深めたレースである。今に比べて最強馬クラスの故障が多かった当時には時折見られる光景であった。 人気通り収まったのは(1)と(3)のパターンで10年間に6度。荒れるのは(2)と(4)のパターンで4度。見事なまでに“イビツなハーモニー”といったところだろう。 一騎討ちが成立しないとしては、ただ単に「2頭とも凡走しない確率が低い」という理由の他に、人気馬の騎手が相手を潰しにかかるからでもあるのだろう。騎手は己が勝つことが最優先。客がどんな馬券を握ってようが関係無いのである。 …というわけで、僕がこのレースに抱く印象は、おそらく(2)のパターンが大きく影を落としていると言えるのではないかと思う。 さて。では今年の天皇賞(春)はどうか。 まずマンハッタンカフェは、年明け緒戦となった前走の日経賞で、自身を除けばオープン特別のようなメンバー相手に不可解な惨敗を喫した。 次はナリタトップロード。いやはや、それにしてもナリタトップロード、である。 さて、3強最後の1頭はジャングルポケット。
ところで、三つ巴の枠外に置かれた8頭はどう扱えば良いだろうか。 阪神大賞典はナリタトップロードが勝っているので詳しくは割愛するが、天皇賞(春)への影響度はダントツであるとだけ述べておこう。 阪神大賞典と並ぶ、天皇賞(春)のステップレース・日経賞を勝ちあがったのはアクティブバイオ。条件馬の身分から、大金星を挙げた形である。 もう1つのステップレースとされている大阪杯。これを勝ったのはサンライズペガサス。1番人気での快勝の上に、エアシャカールを破ったという付加価値も大きい。 貴重な3200mの重賞レース・ダイヤモンドSを勝ったのはキングザファクト。 現在、日本の平地レースでは最長距離のレース・ステイヤーズSを勝ったのはエリモブライアン。 変わったところではオープン特別の万葉S。今年の勝ち馬はアドマイヤロードだが、かつてラスカルスズカが圧倒的人気に応え、後の天皇賞2着に繋げたケースもあり、全く無視は出来ないであろう。 さらに変わったところでは、ダービー4着が勲章というボーンキング。 結局、3強への挑戦権を獲得出来そうなのはサンライズペガサスだけ、ということになるのではないか。本来はエリモブライアンも圏内に入れなければならないのだろうが、あまりにも臨戦過程が悪すぎる。調教で走れない馬が、3200mのレースで番狂わせを演じるだなんて、ちょっと虫が良すぎる話だ。 さて、ちょっと長々と文章を書き連ねすぎた。そろそろまとめに入ろう。
結局、本命は地力の最大値を買ってマンハッタンカフェとした。しかし、もちろん他の3強の2頭と差は無い。 珠美ちゃんは珠美ちゃんなりのハッピーエンドを思い浮かべているようだ。それもまた、良し。 貴方のハッピーエンドは、もう浮かんでいるのだろうか? |
4月20日(土) 競馬学概論 |
駒木:「ほぼ1ヶ月ぶりになるのかな、この競馬学概論講義は……?」 |
4月13日(土) 競馬学特論 |
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駒木:「今週も競馬学はG1予想。明日の皐月賞について、例によって珠美ちゃんと話をしてゆくよ」
駒木:「さっき言ったように、もう目をつぶって叩き切ったような有力馬には『注』を付けておいたよ。馬券は買わないけど、勝ってもおかしくないと思う馬」
※駒木博士の“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“反省文” |
4月6日(土) 競馬学特論 |
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駒木:「さて、今週は正式なスタイルで競馬学特論だ。珠美ちゃんと一緒に、明日の桜花賞の予想をしていこう」
珠美:「今年の桜花賞は、主役不在・フルゲート18頭の激戦になりました。それでは博士には、1枠から順番に有力馬を中心に解説して頂きます。それでは、まず1枠の2頭から…」
珠美:「本命と対抗が入れ替わって、ブルーリッジリバーが2着候補に追加されてますね。なるほど……」
※駒木博士の“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“反省文” |
3月30日(土) 競馬学基礎論 |
こんばんは。講師の駒木ハヤトです。 さて今日の講義は、当講座では初めてとなる「競馬学基礎論」。一部公営競馬では今春から、JRAでも今年6月の福島開催で試験導入され、翌7月から本格導入される“新賭式”馬券──馬番連勝単式、馬番三連勝複式馬券──についての検証を行おうというものです。 ……では、改めて“新賭式”馬券発売に至る経緯の解説から講義を進めていきたいと思います。 “新賭式”馬券は、文字通り、日本の競馬ではこれまでに無かった新しい種類の馬券で、昨年2月の競馬法施行規則改正により実現するところとなりました。 ところで、新しい種類の馬券で思い出されるといえば、1999年末に導入された“ワイド(拡大連複)”です。 そんな“ワイド”馬券の失敗に追い撃ちをかけるように、深刻化した大不況が競馬ファン、特に高額購入者の懐を直撃。馬券売上高は減少の一途を辿り、さしものJRAも事業縮小の憂き目に遭ってしまいます。競馬ファンの方なら、ここしばらくの間にJRAのファンサービスが微妙に悪くなっている事にお気づきではないかと思います。 と、そうしたジリ貧傾向に歯止めをかけるべく、満を持して登場したのが、今回の“新賭式”馬券なのです。 これまで、特に昭和時代の日本の公営ギャンブルでは、“いかに高額配当が出ないようにするか”というのが運営側のテーマになっていました。 ちょっと話が逸れましたか。 まぁしかし、何はともあれ事態が好転するのは喜ばしい事です。過程はどうであれ、こうして我々が利益を享受できるのは幸せな事なのですから。 それでは、いよいよこの“新賭式”馬券についての検証を行ってゆきましょう。新しく発売される種類の馬券のメリットとデメリット、そして正しい活用法を講義していきたいと思います。 ◆馬番連勝単式馬券(略称:馬単・二連単)◆ この馬券は、従来までの“馬番連勝(複式)馬券”のマイナーチェンジ型で、レースの上位2頭を着順通りに当てなければ的中にならない方式のものです。この馬券の発売に従い、これまで「馬連」という略称で呼ばれて来た“馬番連勝複式馬券”は、「馬複」と呼ばれるようになります。 まず、この馬券の最大のメリットは、やはり配当が“馬複”に比べて高くなるという事でしょう。単純に考えても、馬券の組み合わせが“馬複”の2倍なのですから、配当もざっと2倍になるというわけです。さらに、上位2頭の組み合わせの内、人気が低い方が1着になった場合は“裏目”で、配当はさらに高くなります。 反対にデメリットはと言うと、当たり前の事ですが的中する確率がガクっと下がります。特に、これまでは意識しないでも済んだ“裏目”での不的中が増え、ストレスが溜まる事請け合いであります。競馬なんてモノは、もともとが動物相手のファジーな競技。これの正確な着順を当てようと言う方がおかしいわけで、“馬単”なんて難しい馬券の的中がそうそうある方が不自然なのです。 というわけで結論です。 ◆馬番三連勝複式馬券(略称:三連複)◆ さて、こちらは日本の競馬では初めての試み、そして公営ギャンブル全体でも、競艇と、一部の競輪場でのみ(しかもそちらには、もっと刺激的な“三連単”があるので人気が無いまま)発売されているレアな形式、それが“三連複”であります。 この“三連複”は、レースの上位3着までの馬を順位に関係なく的中すればO.K.となります。馬券に少し詳しい方に分かり易くなるように言えば、従来の馬連3頭ボックスでワン・ツー・スリーを決めれば的中というわけです。 この馬券のメリットは、なんといってもやはり高配当でしょう。多頭数になった時の馬券の組み合わせの数がハンパではありません。それに、馬券の対象になる上位3頭のうち、1頭だけでも人気薄が飛び込んだ場合は高配当の可能性があります。 ただし、デメリットも当然あります。 ですから結局、この三連複馬券もまた、従来の“馬複”馬券などと併用しつつ、いわゆる“ボーナス狙い”で一穫千金を狙うのが得策と言えるでしょう。ナメてかかって、いたずらに購入点数・金額を増やすとドツボにハマる可能性が大です。絶対に“大怪我”する事の無いように自らを戒めたいものですね。 |
3月23日(土) 競馬学特論 |
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こんばんは。講師の駒木ハヤトです。
本命はトロットスターに打ちました。 対抗はアドマイヤコジーン。 単穴・▲印はショウナンカンブ。ダートから芝に転向して1200mレースを2戦し、いずれも抜群のスタートダッシュからの粘りこみで逃げ切り勝利を飾っています。まだ実績は足りませんが、生粋のスプリンターである事は強調材料と言えます。 これ以降はちょっと総合力で差のある“伏兵”たちです。まず、2年前のこのレース2着馬・ディヴァインライト。最近のスランプを考えると、年齢的な事もあり推し辛いのですが、また展開に恵まれて最内コースをすくう事が出来れば、また2着に突っ込み位の可能性はあります。 買い目は5、9、12のBOX。それと押さえに12-14、10-12、12-16の以上6点。ただし、オッズ的に妙味が薄いので、押さえの3点のうちいくらか削る事も考えなければならないでしょうね。 ちなみに、珠美ちゃんの予想印は以下の通りです。
僕の予想と似ているようで似ていないような感じでしょうか。 では、今日はこれで終わる事にします。次回以降は、またじっくり時間をかけて予想をお届けしたいと思います。それでは、皆さんも頑張ってください。
※駒木博士の“勝利宣言” ※栗藤珠美の“反省文” |
3月17日(日) 競馬学概論 |
駒木:「1日遅れての競馬学概論、今日は予告していた通り、1996年の高松宮杯──今は高松宮記念と呼ばれているけど──を題材にする事にしたよ。ちょうど来週が今年の高松宮記念だし、タイムリーな話題という事で」 |
3月9日(土) 競馬学概論 |
駒木:「ちくしょー、ネタが無いぞー!」 |
3月2日(土) 競馬学概論 |
駒木:「この講義も8回目になるんだね。題材に困るかなとも思っていたんだけど、まだしばらくは大丈夫そうだ(笑)」 |
2月26日(火) 労働経済特論 |
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普段、この講座で競馬の話をするのは土曜日だけなんですが、今日は競馬に興味の無い方にもついていけそうな話題なので、別枠「労働経済特論」として実施する事にします。 競馬ファンならご存知でしょうが、昨年秋、公営・笠松競馬のNo.1騎手・安藤勝己騎手がJRA(中央競馬)の騎手免許試験を受験するも、不合格になるという“事件”が起こりました。 まず1点目。この騎手免許試験では、安藤勝己騎手の他にJRA競馬学校在籍の騎手候補生が受験しており、彼らは全員合格しています。 2つ目。安藤勝己騎手は、これまでも試験で落ちた先のJRA(中央競馬)のレースに数え切れないほど騎乗し、正規のJRA所属騎手の大半よりも優れた成績を残しています。 ……と、毎度の事ながら回りくどい説明文になりましたが、以上2つの理由から、この「安藤勝己騎手、JRA騎手試験不合格」は、“事件”と言って申し分ないでしょう。年がら年中事件にてんてこ舞いの、「ホテル」での高嶋(弟)も真っ青です。 さて、当然の事ながら、この事件はあちこちで大きな話題となりました。競馬ファンはもちろんの事、競馬評論家の重鎮クラスまでがJRAの姿勢を批判したのです。 これにより、今年のJRA騎手免許試験を皮切りに、公営競馬のトップ騎手たちが、続々とJRAに移籍するという
例えば、業界トップの武豊騎手になると、週に20レース前後騎乗しますから、騎乗手当だけで週80万円以上になります。その上、大抵2〜3勝はしますので、進上金が最低でも150万円程度は加算されます。週230万以上、月収約1000万円、というところでしょうか。もしG1レースなんか勝った時には、さらに数百万円加算です。 一方、公営競馬の騎手はどうでしょうか。各競馬場ごとに詳細が異なるのですが、ここでは代表的な例を紹介します。
胴元の経済力に差があるとは言え、ちょっとコレは酷いですよね。 まさに、恐ろしいまでの収入格差ですよね。 というわけで、これだけの収入格差があるなら、JRAでも通用する技量のあるトップ級騎手は移籍を考えるのが当然。恐らくは、ここ数年の内に公営競馬のトップ級騎手の大半が中央競馬に移籍する事になると思われます。まぁ、実力のある者がそれ相応の収入が得られるのは、プロスポーツとしては極めて正しい姿ですので、これはこれで喜ばしい話と言えるでしょう。 しかし、物事には全て功罪共にあるのが普通です。このJRAとNARの規則改正、実は大きな問題も孕んでいるのです。 今回の規則改正は、公営競馬所属騎手のJRA移籍を円滑に進めるためだけのもので、逆のケース(JRA→公営)は、全く保証されていません。 ところが、こちらのJRAから公営への移籍に関しては、全くの白紙状態になっています。 騎手問題から見え隠れする、日本競馬界の構造的な問題。我々競馬ファンも、日本調教馬の海外での活躍に浮かれる前に、少しはこの事を真剣に考えなければならないかも知れませんね。 まずは、最寄の公営競馬場に、少しずつお金を落とす事から始めましょうか。あ、難しい事を考えなくても大丈夫です。どうやったって馬券じゃ勝てませんので、普通に競馬をするだけでお金を落とす事が出来ますのでね。 と、問題提起だけで結論が出せたわけではありませんが(出そうと思っても出せないです)、今日の講義はこれで終わりにしたいと思います。競馬に興味の無い方は、「JRAの騎手って、こんなに儲けてるのか」とでも思って頂ければ、それで結構です(笑)。 (この項終わり) |
2月23日(土) 競馬学概論 |
珠美:「今日の講義は海外のレースなんですね、博士」 |
2月16日(土) 集中講義・競馬学特論 |
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駒木:「今日から、今年度の競馬学特論を始めることにしよう。今年も、中央競馬の平地G1レースが実施される週の、土曜深夜に講義を実施するよ。ジャパンCダートについては、また秋に考えよう。
珠美:「G1馬が1、2、3………わ、10頭もいるんですね。半分以上がG1勝ち馬ということになります」
※駒木博士の“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“喜びの声” |
2月9日(土) 競馬学概論 |
珠美:「さて、来週は今年初めてのJRAG1競走・フェブラリーステークスです。もちろん、当講座では『競馬学特論』で直前予想をやりますが、今日はその直前ということで、5年前のフェブラリーステークスを採り上げます。G1に格上げされた年のレースですね、博士」 |
2月5日(火) 競馬学概論 |
駒木:「さて。いよいよ『サイレンススズカ三番勝負』も今日でフィナーレだね」 |
平成14年2月2日 |
女性のための 競馬場デートガイダンス (前編) |
みなさん、改めまして、はじめまして&こんにちは♪ 栗藤珠美です。今日は私が講義を担当します。 科目は「競馬学特殊講義」。ちょっと馴染みが薄い人も多いと思いますけど、よろしくお願いしますね♪ さて。 競馬のことをあまり知らない人は驚かれるでしょうけど、今、週末の競馬場へ行くとカップルだらけです。 もちろん、「焼酎焼けの赤ら顔、その手には赤ペン、馬券では赤字計上」なんていう、愛国戦隊大日本に狩られちゃいそうなアカだらけの小父様もいらっしゃいますけど、そんな方たちは、もうすっかり少数派。 でも、いくら時代が変わったと言っても、競馬場は競馬場です。大前提としてギャンブルをする場所なのですから、自然と空気は殺伐としたものになってしまいます。 ですから、競馬場の入場門をくぐった時は、三原じゅん子&コアラ夫妻を思わせるアツアツさだったカップルも、最終レースの頃には、楽屋裏の林家ペー&パー子夫妻を思わせる寒さが漂ってきていたりするのです。 「ああ、彼氏の目はテンパってるけれど、このカップルはもうすぐ流局なのね」 …なんて思ってしまいます。 でも、よく考えてみると、それは若い2人にとって大きな不幸。それに、“競馬のせいで破局”だなんて、ちょっと悲しすぎます。 と、いうわけで。 では、始めますね。 ●レッスン1 競馬場デートに誘われたら… 貴方の彼氏が競馬好きの場合、早かれ遅かれ競馬場デートに誘われる日が来るはずです。 さて、競馬場デートに誘われたら、まず彼氏に訊いておかなければいけないことがあります。 で、日付が土曜・日曜だったらいいのですが、もしこれが、平日の昼間だったら問題です。この場合、あなたが連れて行かれようとしているのは、間違いなく地方競馬場です。 地方競馬場にも素晴らしい点はいっぱいあるのですが、反面、とてもアクの強い場所でもあるのも事実です。少なくとも、初めての競馬場デートで行くような所ではありません。来日したての外国人が鮒寿司を食べさせられるようなものです。 日付が週末ならば、ひとまず安心です。でも、そこで油断してはいけません。 もし、「色々バリエーションがあって、初心者でも楽しめるよ」という答が返ってきたなら、まずは合格です。期待してください♪ 競馬場は、夏暑くて冬寒いという、フォークソングに出てくる安アパートのような気候です。しかも、キャパシティに対して椅子の数が圧倒的に少なくて、どうしても床や地面に直接座ることが多くなります。 なので、「出来るだけ涼しい格好で(冬なら暖かい格好で)、椅子に座れないからズボン穿いてくる方がいいよ」なんて、さりげなく言ってくれる彼氏だと理想的ですよね。 ●レッスン2 競馬場に入る前に… さぁ、貴方はデート当日を迎えました。彼氏とどこかの駅前で待ち合わせて、競馬場へ向かいます。 ……と、ここで、彼氏の手元を注視してみましょう。 一番オーソドックスなのは、競馬新聞を持っているケース。タブロイド版で、見慣れないデザインなので、すぐに判ります。 模範的な回答は、 これが、 次に、手ぶらの場合。 注意すべきなのは、もちろん後者のケース。 最後にスポーツ新聞の場合。 この場合、「あれ? 競馬のことばっかり載ってる新聞じゃないの?」みたいな感じで訊いておきましょう。 で、彼氏の反応が、「いや、いつもこの新聞使ってるから」というのなら、まあO.K.ですけど、 あ、言い忘れてましたけど、午前中からのデートの場合、お昼ごはんはお弁当を作っておいた方が良いですよ。
……きーんこーんかーんこーん……… ──あら、チャイムの音。 それでは、また。 |
平成14年2月2日 |
女性のための 競馬場デートガイダンス (後編) |
それでは、2時間目の講義を始めます。みなさん、引き続きどうぞよろしく♪
●レッスン3 さあ、競馬場です いよいよ競馬場の入場門をくぐる時がやって来ました。 ここであなたは、競馬場が思ったよりも綺麗で垢抜けていることに、少しビックリするはずです。 ところで、実はここがポイントの稼ぎ時。 ちょっとオーバーなくらい、競馬場が綺麗であることを褒めましょう。 すると彼氏は必ず、初孫を褒められた大工の棟梁のような反応を見せてくれるはずです。 そして、競馬場に入場した後、彼氏が貴方をどこに連れて行ってくれるか、というのも大事なポイントです。 意外と知られていませんけど、競馬場は馬の競走と馬券の販売だけをしている場所ではありません。 ちょっとした博物館やメモリアルホールみたいなのがあったりしますし、馬のぬいぐるみなどを売っているグッズショップだって何軒もあります。競馬観戦以外に楽しめる場所はいくらでもあるのです。 でも、少なくとも、真っ先に馬券の自動販売機に並んだりする彼氏は、やっぱりサービス精神に欠けると言っていいんじゃないでしょうか? 一番最悪なのは、栄養ドリンク専門の売店へ直行して「リポビタンD」を買い、しかも売店の小母様と顔見知り、というパターン。 実在するから怖いです。
●レッスン4 馬券を買う時は──? たとえ、馬券が主目的ではない競馬場デートでも、やっぱり馬券を買わないわけにはいきません。 大抵の場合、彼氏が貴方に「少しでもいいから、馬券買ってみない?」という言い方でアプローチしてきます。 馬券を買うとなると、彼氏は熱心に馬券の種類や的中条件などを説明してくれるはずですが、あなたが買うべき馬券は決まっています。それは、 単勝(1着になる馬を当てる馬券) …の、2種類です。 …これには、初々しさを演出するということもあるのですが、一番の理由は、「彼氏の馬券が外れて、あなたの馬券が的中した場合」のための予防線です。彼氏に言い訳のチャンスを与えてあげましょうってことです。 男性の方は、必ずと言っていいほど、お金と一緒にプライドも賭けて馬券を買っています。 こんなの、女の視点からしてみると、バカバカしいことこの上ないんですけど、菩薩のような心で理解してあげましょうね♪ それに、必ずと言っていいほど、初心者の貴方のほうが、自称“中・上級者”の彼氏よりも馬券の才能に恵まれていますからね。 でも、貴方がそこまで気を遣ったのに、ブチブチと負け惜しみを言う彼氏、これは最低ですね。 この前も私、目撃したんです。馬券が外れたことを2回も3回も悔しがって、 それだけじゃないんですよ。その男の彼女は、100円だけ買った馬券が当たったんで、嬉しそうに当たり馬券を眺めてたんですね。するとその男、 もし、そんな男だったら、私に代わって鉄拳制裁をくれてやって下さいね。そのままお家に直帰してもO.K.です。 ●最終レッスン 戦いすんで… そんなこんなで日も暮れて。 最終レースも終わり、時刻も16時半を過ぎました。長かった競馬場デートもおしまいです。 さて、今日のデートはいかがでしたか? きっと、彼氏の性格について、これまで見えなかった色々な所が分かったんじゃないかと思います。 もしも、「やっぱりステキだわ」って彼氏だったら、どうぞお幸せに。 でも、ひょっとしたら、「こんな人とは思わなかったわ」という気持ちになって、彼氏と別れてしまう人もいるかもしれません。 あら? 確かこの講座は、「競馬場デートで彼氏と破局しないための講座」だったんでしたっけ? ……ま、別れるカップルは、どう頑張ってもいつか別れますしね。 とりあえず、バーチャル・バーチャルネットアイドル栗藤珠美は、競馬場でデートをするカップルを応援したりしなかったりしています。 |