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講義一覧
12/27(第100回) 競馬学特論「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・最終戦・有馬記念」
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2003年第100回講義 |
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※いきなりですが、開講2周年記念式典の打ち上げでのスタッフによる会話の模様をご覧下さい。 駒木:「あー、そうそう、今度の馬券ラリーの最終戦だけどさ、こういう物事の定番として最終戦は得点2倍ってことにしない?」 遅ればせながら登場の駒木ハヤトです。 ──それでは、最終戦の予想をお送りします。
逃げ馬はタップダンスシチー1頭、あとは好位に控える形の馬ばかりとなれば、やはり今回も平均ペースでの離し逃げになるだろう。しかし、今回はこれまでと違い、後続が結託して徹底マークをして来るはず。同じように大逃げを打っているように見えても、決して楽な逃げにはならないと思われる。
●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」● 公営競馬の東京大賞典は残っているが、事実上のこの1年最後の大一番。出て来たどの馬もバリバリの勝負気配という、ある意味で特殊な位置付けのレースでもある。どの馬も出来得る限り目一杯の仕上げで、これが終わったらいつオーバーホールに出しても良いという覚悟で臨む凄いレースだ。まさにグランプリの名に相応しい。
今週はわざとじゃなくて、博士と本命が違ったので内心ホッとしています(笑)。
博士の罰ゲームが見たくてついついO.K.出しちゃったんですけど、よくよく考えたら、今回のルール変更ってわたしに一番不利なんですよね(苦笑)。
ペナルティが無くなって、ちょっとホッとしてます(笑)。でも、せめて最後くらいはビシっと当てて、「有終の美を飾る」っていうのをキメてみたいと思います!
優勝を賭けた最終戦という事で、各自的中を目指しながら、逆転優勝も狙う…という予想になりました。皆さんも良い年を迎えるためにも頑張りましょう。
※駒木ハヤトの“戦い済んで……”(単勝のみ的中) ※栗藤珠美の“反省文”(不的中) ※一色順子の“的中、失礼しましたー!”(馬連のみ的中) ※リサ=バンベリーの“イッツ・ア・ハードラックデイ”(不的中)
(ポイント・順位の変動について) |
2003年第99回講義 |
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03年最後のゼミをお送りします……が、コミックアワードが終わった後の脱力感が未だ抜けておりません(笑)。自分の頭の中ではもっと大掛かりなイベントにしたいという思いもあるのですが、現状ではあれが精一杯です。というか、精一杯以上かも知れません。 で、ここで主催者側から見た「コミックアワード」の感想等を少々。 まず、一息ついた後に受賞作一覧を眺めてみると、やっぱり今年は不作だったんだな…と改めて実感してしまいました。審査中は候補作を絞り込む事に追われて気付きませんでしたが、いざ冷静さを取り戻してみると「う〜ん、これは……」と唸らざるを得ませんね。 で、そんな中選んだグランプリは『美食王の到着』でした。いくら全体のレヴェルがどうあれ、この作品が本当に素晴らしい作品である事は間違いないと確信持って言えます。 ……あと、ラズベリーコミック賞は、去年と違って受賞作や有力候補作がファンの多い作品だったので、正直言って心苦しかったですね。ただ、やる以上は開き直るしかありませんので、思い切りやらせてもらいました。こういう賞って、大物相手に対する風刺の意味合いもありますので、『テニスの王子様』ファンの方は「我らが許斐センセイは大物だ!」と、むしろ誇りに思ってもらっても良いくらいです。(まぁ絶対に思わんでしょうけど^^;;) ──さて、それでは気持ちも新たに、今週のゼミを始めたいと思います。まずは情報系の話題から。最初に、先週時間が無くて翌週回しになっていた「サンデー」系月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」9・10月期分の審査結果を紹介しておきます。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎あと一歩で賞のあづち涼さん…01年11月期「まんがカレッジ」でも“あと一歩で賞”。また、18禁ゲームの原画家として活動した経験あり。 この他、Google検索で判明した事は、努力賞のハタアサ子さんがウェブ上での創作活動経験者だったり、選外の赤池真美さんが講談社のコミック通信講座出身だったり…といったところ。 情報2つ目は「ジャンプ」から読み切りに関するニュースをご紹介します。 ……それではレビューへ。今週は「ジャンプ」にしろ「サンデー」にしろ、見所が多かったように感じたんですが、実はレビュー対象作は1本のみ。「ジャンプ」年末新連載シリーズの第3回後追いレビューです。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年4・5合併号☆ ◎新連載第3回『銀魂』(作画:空知英秋)【現時点での評価:B】 前期新連載が全滅のため、打ち切りサバイバルレースを争う相手全てが長期連載作品という過酷な状況に置かれている今期の新連載作品ですが、その中でも一番厳しい立場にいるのが、恐らくこの『銀魂』と空知英秋さんでしょう。以前にも似たような事を言った覚えがありますが、これって「有望新人プロボクサーのデビュー戦の相手がいきなり日本ランカー」みたいな話ですからねぇ……。 とはいえ、もうゴングが鳴ってしまった以上、後には引けません。というわけで、連載の今後を占う第3回の後追いレビューです。 まず絵なんですが、相変わらず線が不安定なのが惜しいですね。初回に比べると、全般的に幾分進歩の跡が窺えるんですが、今度は線の不安定さで実際の画力よりも下手なように見えてしまっています。 ただストーリー・設定については、相変わらず世界観やキャラクターの個性付けが曖昧で迷走気味です。しかも、どうやらその問題の根源はかなり深い所にあるんじゃないかと思えて来ました。 ここから活路を見出すとなると、もう完全に開き直るしかないでしょうね。それこそ以前の『幕張』みたく、確信犯的に刹那的なウケ狙いをハイスパートで繰り出して、「中身は無いけど、何だか面白い」と読み手に思わせるような作品にしてゆくしかないでしょう。(もっとも、第3回時点でそんな事を言ってる時点で、「ジャンプ」では致命的な出遅れなんですが……) ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 久々に巻末コメントへのコメントを少しだけ箇条書きで。 ・岸本斉史さん…うん、フグは良いですよね。というか、フグそのものよりも、鍋の最後に食う雑炊が一番好きなんですが、駒木は。あの雑炊の味がインスタントで出せたら、毎日買って食いたいくらいです。 あと今週号では、毎度恒例・年末進行の合間に絶対落とせない仕事を増やして、日頃泣かされている作家にリベンジするぞ企画・現役連載作家4コマ競作スペシャルがありました。 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 いやー凄いわ、今回。もう凄いとしか言いようが無いです。何だか詳しく検証したらアラが見つかりそうなプレーだけれども、「そんな細かい事考えずに読め!」と言われたらそうせざるを得ないような凄味がありました。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【現時点での評価:B/雑感】 いやー凄いわ、今回。もう凄いとしか言いようが(以下略・笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年4・5合併号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「このお正月にやろうと思ってること」。 ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【現時点での評価:B−/雑感】 10回限定の“最終章”という事で、今回から連載再開。まぁいわゆる一つの敗戦処理というヤツですね。 ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 あんなエグいシーン(自動人形の血まみれ分解)でも、人間じゃなかったらモザイクもかからんのですかねー。 ◎『ファンタジスタ』(作画:草葉道輝)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 スポーツでは、有力選手を試合に投入する事を“カードを切る”なんて言いますが、スポーツ物のマンガでは逆なんですよね。有力選手を完全燃焼させて退場させる事が“カードを切る”ことになるんですよ。
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2003年第98回講義 |
「コミックアワード」の準備の合間を縫って、今週のゼミをやっておきます。本当なら前・後半に分けなければならないくらいのボリュームがあった週なんですが、とりあえずこんな状態なので、レビュー中心で簡単に実施しておきます。情報系の話題は次週回し、チェックポイントについても連載終了になった『神撫手』の総括だけとさせてもらいます。 では、もう早速レビューへ行っちゃいましょう。今週のレビュー対象作は、「ジャンプ」からは新連載1本と新連載第3回の後追いレビューが1本、更には代原ギャグ読み切りが1本。そして「サンデー」からも新連載1本で計4本となります。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年3号☆ ◎新連載『LIVE』(作画:梅澤春人) 「ジャンプ」の年末新連載シリーズ最終・第3弾は、『SWORD BREAKER』の連載終了以来、約1年ぶりの復帰となる梅澤春人さんの新作が登場です。 梅澤さんの「ジャンプ」デビューは89年ですから、キャリアは14年余りという事になりますね。いつの間にか、現在の「ジャンプ」連載陣では重鎮クラスのベテランになっているんですね。 さて、作者のプロフィール紹介はこれくらいにしまして(クソ忙しい時に限って、ベテラン作家のプロフィールを作らなくてはいけない悲劇^^;;)、作品の内容についてお話してゆきましょう。 次にストーリーと設定なんですが、こちらは「随分とまた開き直ったもんだなぁ……」というのが第一印象でした。 つまりこの作品は、過去の梅澤作品の縮小再生産で生まれたモノなんですね。野球で言えば、ノーアウトからフォアボールで出たランナーを、2回の送りバントで3塁まで送るような、そんな手堅い作品です。 …そういうわけで、暫定評価はB+。この作品がソコソコの人気を獲得できれば幸いですが、そうでなかった場合、それは「ジャンプ」作家・梅澤春人の能力的限界を意味する事になるでしょう。ナニゲに大変シビアな連載となりそうですね。
さて、今週からは後追いレビューも開始。というわけで今回は、未だに「大場つぐみって誰よ?」という声が止まない『DEATH NOTE』のレビューをお届けします。 と、無駄口はコレくらいにしておきまして、内容について。絵の流麗さは相変わらず文句の付けようが無いので、ストーリーについてだけ述べたいと思います。 あと、もう1つの問題点としては、作品内で人がバンバン死にまくっている割には、一度たりとも“最期の瞬間”が描かれていないため、イマイチ恐怖が伝わって来ない…という事も挙げられます。通帳の残高だけが動いているお金の遣り取りみたいなもんで、生々しさが伝わって来ないんですよね。命のペーパー商法と言いますか。 こんな事言っちゃミもフタもないですが、この作品が福本伸行原作だったら、どれくらい凄い作品になったんだろう? …なんて考えてしまいます(苦笑)。それくらい、演出の仕方によっては大傑作になるような素材ではあるんですけどね。大場さんのストーリーテリングの懐が狭いのが、つくづくも残念です。 ◎読み切り『夢泡釣団〜ビートルズ編〜』(作画:やすべえ) 今週は『Mr.FULLSWING』が作者都合休載のため、先週に続いて代原の出番に。先日発表になった第59回(03年下期)「赤塚賞」で佳作を受賞した『夢泡釣団〜ビートルズ編』が掲載されました。 まず絵ですが、一言で言うと稚拙です。ヒット作を研究した跡も窺え、決して根本的に下手クソというわけではないのですが、線の頼りなさは如何ともし難いものがあります。また、全体的なメリハリが狂っていて、実情以上に下手なように見えてしまうのが惜しいですね。 で、ギャグについても「未だ修行前」…といった感じですね。“ボケ”の部分に関しては、僅かながらも天性のセンスを感じさせてくれるのですが、それを間の悪過ぎて単調なツッコミが全て台無しにしてしまっています。 評価はC寄りB−ということで。そう言えば、ネット界隈ではよく、「『赤塚賞』の佳作でこんなの?」…なんて意見を目にするんですが、まぁ「赤塚賞」の佳作なんて、大概こんなものですよ。悲しいかな、「赤塚賞」の佳作が「十二傑新人漫画賞」の最終候補と互角以下なのが現状なのです。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『神撫手』(作画:堀部健和)【現時点での評価:B−/連載総括】 秋シリーズの新連載は、遂に全作品枕を並べて討ち死にとなりました。“3作品3突き抜け”というのは、ここ最近でも記憶に無いですね。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年2号☆ ◎新連載『怪奇千万! 十五郎』(作画:川久保栄二) 当ゼミでは既報の通り、今週から久々に「サンデー」で大型の新連載シリーズが組まれる事になりました。 毎度ながら「サンデー」系のデータベースが乏しい(特に増刊の)ため、『医術師 十五郎』以前の川久保さんのキャリアはほとんど判りませんでした。 ……では、内容についてお話してゆきましょう。 まず絵なんですが、やはり(悪い意味で)独特過ぎる絵柄が気になって仕方ないところですね。特に首から上のデッサンが必要以上に崩れまくっていて、更に顔のアングルのバリエーションが乏しいので、物凄く違和感を感じてしまいます。他の部分は変じゃないので余計に目立ちますね。 しかし、そんな絵のアラなんてどうでも良くなってしまうほど酷いのがストーリーと設定です。 具体的に説明しましょう。そもそもこの作品は、駒木の敬愛する仲間由紀恵様が主演あそばされている(笑)ドラマ・『TRICK』のように、“怪奇現象”とされているモノが実はトリックである事を暴く…という部分を核にしたお話のはずです。少なくとも、第1話の途中の展開までは、そう受け取れるシナリオになっていました。が、実際の展開は終盤になって逸走を始めます。なんと、 前シリーズ『医術師 十五郎』の頃から、ミもフタもない問題解決法が目立っていましたが、今回はミステリ仕立てになっている分だけ、余計にその破綻振りが目立ってしまいました。正直なところ、「こんなマンガ、よく載せたな」というのが実感です。
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2003年第97回講義 |
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いよいよ第9戦、麻雀用語で言う所のラス前となりました。
先行タイプが揃ったものの、積極的に行く馬はおらず、結局はテンのスピードでメイショウボーラーが押し出される格好になるか。この時期のレースには珍しく、気性の大人びた馬がほとんどなので、出入りの激しいトリッキーな展開にはならないだろう。道中のペースは、逃げ馬が先行馬に絡まれない程度、典型的な平均ペースのレースになる可能性が高い。
●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」● デイリー杯、京成杯、東京スポーツ杯の“3大前哨戦”の上位馬が集結し、全体的にハイレヴェルのメンバー構成になった。上位拮抗のレースと見て良いだろう。
普通に予想するなら、どう考えてもメイショウボーラーなんですが、駒木博士の本命馬をお聴きして、急遽“避難”させて頂きました(笑)。……いえ、冗談を抜きにしても、外枠で先行、終始目標にされる展開というのは、少々酷が過ぎるような気がしているんです。なので、ここはメイショウボーラーにこれまでで最も肉薄した馬・グレイトジャーニーから狙う事にします。
最近、「いくらなんでも大穴を狙い過ぎ」みたいな予想になっちゃってた気もしますので、今回は地に足を着けた予想にしてみました。
先週はちょっとイイカゲンにやりすぎたので、今日はワタシがやれるだけマジメに予想してみました! ……とは言っても、駒木博士や珠美さんや順子さんから色々と教えてもらって、それを合体させたような感じなんですけどね(笑)。
今回はやけに全員現実味のある予想になったんじゃないか…と思っているのですが、どうでしょうか? それでも、現実味のある決着にならないと意味が無いんですよね(苦笑)。
※駒木ハヤトの“勝利宣言”(馬連のみ的中) ※栗藤珠美の“反省文”(不的中) ※一色順子の“終了しました……”(不的中) ※リサ=バンベリーの“ハッピー・ハッピー・グッドラック”(馬連のみ的中)
(ポイント・順位の変動について) |
2003年第96回講義 |
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今頃になって、「コミックアワード」の開催予定日まで10日を切っている事実に気が付き、愕然としている駒木ハヤトです(苦笑)。武井宏之さんが最新単行本の中で、読み切り『エキゾチカ』が、締め切り3週間前まで全くの手付かずだった…という裏話を日記マンガ形式で激白してましたが、今の当講座の状況も似たようなモンだとお考え下さい(苦笑)。来週早々から、いや今から修羅場確実です。 ──さて。それでは時間も切羽詰っておりますし、情報系の話題からお届けしましょう。今週は内容が盛りだくさんです。 まずは新人賞の話題から。今週は「サンデー」では03年度後期「新人コミック大賞」少年部門の、「ジャンプ」では月例新人賞・「ジャンプ十二傑新人漫画賞」10月期分の審査結果発表がそれぞれありましたので、ここでも受賞者・受賞作を紹介しておきましょう。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ※「新人コミック大賞」 ※十二傑新人漫画賞 「新人コミック大賞」の方は、「サンデー」の月例賞出身組や「ジャンプ」からの移籍組など、過去に何らかの実績のある“新人予備軍”さんたちの活躍が目立ちました。 なお、今週の「サンデー」では、秋に発売されたルーキー増刊の“ルーキートライアル”優勝者の発表もあり、先週の「読書メモ」枠でレビューさせてもらった『河児』(作画:四位晴果)が見事“ルーキーキング”受賞作となりました。個人的には極めて順当な結果だと思ったりしているのですが、何はともあれ、四位さんおめでとうございました。 さて、「サンデー」関連情報はまだあります。以前から噂に挙がっていた、この冬からの新連載情報が公式アナウンスされましたので、こちらでも紹介しておきます。
……今回のラインナップは、全員が今回初の週刊連載となるフレッシュな顔触れとなりました。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年2号☆ ◎新連載『銀魂』(作画:空知英秋) 「ジャンプ」年末新連載シリーズ第2弾は、このシリーズ中唯一のルーキーとなる空知英秋さんの登場です。 まずは絵ですが、一応基本的な作画力は認められるものの、さすがに「連載作家」というカテゴリで見た場合、若干の物足りなさが否めません。 そして、デビュー以来定評のあったストーリー・設定についても、初の連載で勝手が狂ったのか、少なくとも第1回を見た限りでは長所より短所の方が目に付く内容に終始してしまっています。 個人的に空知英秋さんは大変好きな作家さんですし、実力もあると思ってはいますが、残念ながら今回の連載に関しては時期尚早だったんじゃないかと思います。あと1年くらいアシスタント修行を積んで、“連載作品のイロハ”を学んでから挑戦して欲しかったです。 今週は『ピューと吹く! ジャガー』が作者都合の休載で、ショートギャグの代原が掲載されました。前回の『ジャガー』休載の際にも“代打”を務めた、越智厚介さんの『ハガユイズム』が登場です。 で、今回の作品ですが、内容的には前回レビューした際(10月2日付講義。例の『戦斧王AX』(作画:イワタヒロノブ)をレビューした日ですが、ウザくなければ復習を推奨)と全くと言って良いほど変わっていませんので、多言には及ばないと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『サラブレッドと呼ばないで』(作:長谷川尚代/画:藤野耕平)【現時点での評価:B/連載総括】 連載当初はネット界隈の評価も高かったこの作品ですが、残念ながらジリ貧状態のまま1クール突き抜けとなってしまいました。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年2号☆ ◎読み切り『カズマ来たる!!』(作画:万乗大智) 新連載シリーズ前の景気付けというわけでしょうか、今週は『DAN DOH
!!』シリーズでお馴染みの万乗大智さんによる読み切りが掲載されました。万乗さんは、今年の8月から9月にかけて、『ふうたろう忍法帖』を短期集中連載しており、まさに「意欲的」という言葉の似合う活動を続けています。 それでは内容についてですが、絵については前作から3ヶ月しか経っていませんし、今日ここで特に言うべき事はありません。やや個性がキツいながらも、マンガの作画技術はちゃんと出来上がっているので安心して読めます。 で、やや問題アリなのがストーリーと設定です。 評価は、お話に余りにも見どころが少ないので、厳しくB寄りB−とさせてもらいます。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「通信販売で買ったもの」。 あと、『美鳥の日々』関連の大ニュースとは、やはりアニメ化でしたね。最近増えている地方ローカル局系の深夜枠になりそうです。駒木が小耳に挟んだ噂話だと、とりあえず放送期間は1クール限定のようですね。 ◎『楽ガキFighter
〜HERO OF SAINT PAINT〜』(作画:中井邦彦)【現時点での評価:C/連載総括】 |
2003年第95回講義 |
毎度の事ながら思いつきで始めたこのシリーズも今日が第3回、そして最終回となります。 今回レポートをお送りするのは、午前・午後に分けて行われた採用試験の後半、SPI試験と面接の模様です。が、この「SPI試験」というヤツは「知ってる人は知ってるけど、知らない人は知らない」モノの典型でありまして、耳馴染みの無い方がいらっしゃると思われます。ですので、ここであらかじめ簡単な解説をしておきましょう。 このSPI試験は1974年に現在のリクルート社が考案したもので、主に民間の就職試験に用いられます。現在では大企業などを中心に数千もの企業がこの試験を採用し、しかも採用する企業は近年増加傾向と言いますから大したものです。ちなみにSPIとは「Synthetic
Personality Inventory(=総合個性評価)」の略で、要は個人の能力や性格などの個性を測定するテストという事になりますね。 で、試験の内容はと言えば、試験は「能力検査」と「性格検査」に分かれています。 で、もう片方の「性格検査」の方は、「以下の質問にYESかNOでお答え下さい」という問題に答えさせて、その回答傾向から性格を診断するというもの。そうです、ネット上でもよくある“あなたの○○度チェック”と同じです。 ……しかしここまでお聴きになった受講生さんの中には、どうして数千もの企業が就職試験としてこんなペーパーテストを採用しているのかピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。性格診断はともかく、高校入試レヴェルのペーパーテストで何がしたいんや? と。実はそれにはこういう理由があったのです── ──舞台袖から元気良く出て来たビッキーズが客席にアメ玉を放り投げるが如く、新卒学生にバンバン内定や内々定通知がバラ撒かれていたバブル期ならともかく、今は頭に“ド”がつく不況の真っ只中。大企業と言えども採用人数はひどく限られているのが現状です。数百人、企業によっては数千人もの就職希望者がやって来たとしても、その大半には「残念ですが……」とご遠慮願わなくてはなりません。 ……そんなお困りの人事担当者にとって、大変頼りになる味方がこのSPI試験なのです。と、言いますのもこの試験、何が便利かと言って、受検者間の点数差が他のペーパーテストに比べて大きく広がり易いんですね。 そういう意味では、今回駒木が受けた採用試験にSPI試験が課されたのも納得が行きます。知識・経験とも極めて拮抗している15人の志望者の中から「特に優れた者1人」を選び出すわけですから、SPI試験のような“紛れ”を作り出すような要素を配置しておかないと、いつまで経っても勝負がつかないんですね。 ──それでは、非常に前置きが長くなりましたが、これよりレポート本文です。文体は例によって常体に変更しておりますが、ご了承下さい。 午後のタイムテーブルは、まずSPIの能力検査が先に行われ、その後に性格検査と面接が同時進行(検査中から1人1人面接に呼ばれて一時退室してゆく)で実施されて、全部終わった者から随時退出…という事になっていた。なかなか合理的である。公立の採用試験の感覚で同じ試験をするとすれば、午前にSPI、午後に専門教養試験をやって、面接は後日…という風になっているはずだ。 ところで今回は、駒木にとって初のSPI試験だったりする。正直言って不安は隠せない。新卒の頃から「教職志望一本」とか調子の良い事を言って、民間企業への就職活動を一切して来なかった(それどころかリクルートスーツも買ってない)ツケが今になって回って来たと言える。 …などと自分の半生の至らなさを痛感したところで、試験開始。まずは文系分野・国語の問題からである。 が、ここで「好事魔多し」。人生のヤマ場を使ってオイシイ所をさらってしまうのが駒木の悲しいところ。理数系試験では大苦戦を強いられた。 ……ただ、内容的には(途中焦ったにせよ)十分納得できる試験だった。にも関わらず、結果(試験そのものの合否)が伴わなかったのだから、今回の採用試験は本当に厳しかったのだろう。本当、変な意味じゃなく、採用された人の答案を一度拝見してみたいものだ。 後日談はさておき、能力検査が終わった心地良い脱力感を味わう間もなく、引き続き性格検査と面接に突入である。冒頭で説明した通り、性格検査は、“はい”か“いいえ”で答えさせるチェック500問に答えるという、今思い出してもウンザリする形式だ。 すっかりやさぐれた気分になって回答を終了すると、間もなくして面接にお呼びがかかった。何て言うか最悪のメンタルコンディション。やはり恐るべしSPI試験。面接が終わると試験も終了なので、荷物をまとめて面接会場へと移動する。 ──最後に総括。落ちた人間が言うのもアレだが、今回の試験は致命的なミスが無かったので、何だか落ちた実感が余り湧いて来ない不思議な試験だった。やはり結局は「15人中1人採用」というハードルが高過ぎたという事なのだろう。前々回に「(これで合格するのは)プロ野球のオールスターでMVP獲るようなもの」と表現したが、どこかに4打数4安打1HR5打点とか叩き出したスーパーヒーローがいたという事か。 というわけで、サッカー日本代表並に決定力不足に喘ぐ駒木ハヤトの採用試験レポート、これにて終了。 というわけで、現在のところ駒木の来春からの職場は未定のままです。ソフトバンクの魔の手から駒木を救出しようという酔狂な学校を只今募集中であります。どうぞお気軽にお声を! ……などと、本気とも冗談ともつかない放言を残しつつ、このシリーズを締めさせて頂きます。(この項終わり) |
2003年第91回講義 |
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12月に突入し、この予想ラリーも残り3戦となりました。
純然たる逃げ馬不在、有力馬が軒並み控えるタイプとあって展開は流動的。一応、最有力の逃げ馬候補はダンツアイリッシュだが、スタートを決めた先行馬が成り行きでハナに立つ可能性大。ただ、気性の若い牝馬ばかりのレース。全馬がスローで折り合うとは考えられず、遅くとも平均ペースで進行するだろう。
●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」● 来ちゃったよ。一番苦手なG1レースが(苦笑)。ここ10年で2回しか当たった覚えが無くて、しかもその内1回はワイドだけだったような気がする。何だかなあ。 本命はスイープトウショウ。前哨戦の中でも一番メンバーの揃っていたファンタジーSで、出走馬中最も強いケイバをして1着になったのだから、評価してあげないと仕方が無い。しかもそれがデビュー2戦目だったというのだから尚更だ。無論、若い牝馬で不発の可能性が付き纏う差し・追込脚質というのは気がかりだが、それを言い出したら今回は馬券を買う馬が無くなってしまう。
薄々と予想はしてましたけど、今週も博士と本命馬が重なってしまいました。残念ながらこのレースは私もダメみたいですね(苦笑)。
今週のレース、こう言ったらアレですけど、なんだかどの馬も弱そう(笑)。さすが2歳G1だなーって感じがしますねー。
何をどうやっても当たらなくなって、ちょっと今週はヤケになっちゃってます(笑)。もう思い切って馬の名前が好きな順から印つけちゃいました(笑)。
さすがに今回は「こんな予想、人様に公開する意義はあるのか?」と考えてしまいましたが(苦笑)、ほんの少しでも参考になれば幸いです。では、またレース後に。
※駒木ハヤトの“敗戦の弁”(不的中) ※栗藤珠美の“反省文”(不的中) ※一色順子の“終了しました……”(不的中) ※リサ=バンベリーの“イッツ・ア・ハードラック・デイ”(不的中)
(ポイント・順位の変動について) |
2003年第93回講義 |
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久々の前・後半分割実施となりました、今週の「現代マンガ時評」、後半分をお送りします。 では、「サンデー」関連の情報から。 ……では、早速チェックポイントから参りましょう。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年1号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「今、有り余るほどの力があります。さて、何をしますか?」 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 「そういや、沢村と美鳥の初恋話って出てないね」 ◎『結界師』(作画:田辺イエロウ)【現時点での評価:A/雑感】 前回と今回のエピソードで、いつの間に良守って時音に“バリバリ片想いモード”になったんだろう? って、かなり違和感感じてしまったんですが……。2人の関係は、いわゆる“友達以上恋人未満”の戦友で、そこから長い間かけてジワジワと恋愛モードに持ち込むもんだと思い込んでたんですけどね。う〜む……。
“アイスバーン”の数が「まんがコース」より多いのが「テキストサイトコース」だったりするんですが(笑)。また、そのアイスバーンに突っ込んで行って転倒・再起不能になる人の多い事、多い事……。 ◎『売ったれ ダイキチ!』(作:若桑一人/画:武村勇治)【現時点での評価:保留中/中間まとめ】 この『ダイキチ』も「コミックアワード」の審査対象になりますので、ここで再評価をしておきます。
……以上の3点。で、連載開始当初はコレがキチンと出来ていたからこそ、当ゼミでもA−の高評価を出していたわけなのです。が、現在の「松筑プロジェクト」編に突入してからは、これらのポイント──特に“1”と“3”の達成度が極めて怪しくなっています。これでは、とてもじゃないですが良作・佳作相当の評価を下す事など出来ません。
で、こっちは遂に連載終了。「鳥人間コンテスト」に出て来る人力飛行機のように、着水寸前で長期間粘っていたこの作品も、残念ながらここまででした。
◇駒木博士の読書メモ(12月第1週)◇ ◎『河児』(作画:四位晴果/「週刊少年サンデーR(03年特別増刊号)」掲載) 「コミックアワード」最終エントリー1作目は“新人賞”枠から。「サンデー」版「赤マルジャンプ」とも言うべき、ルーキー増刊からの登場です。 ……この増刊号、発行部数が僅少なのか、大手コンビニでですら入手困難だったりするのですが、今年はその手の増刊号を何故か大量に入荷する書店を見つけまして、何とか購入する事が出来ました。 ──ですが、物事諦めずに最後までやってみるもんです。全20本のラス前・19番目にとんでもない逸材が埋もれておりました。それがこの『河児(←「こうじ」と読みます)』でした。プロ野球マンガで、低調なレヴェルの入団テストに参加した主人公がメジャー級の豪速球を披露して関係者の度肝を抜く…というシーンがありますが、図らずも駒木も、この作品と作者の四位さんに度肝を抜かれてしまいましたよ。 まず絵。デビュー作だけあって、まだまだ線の力も弱く未完成な部分も多く残していますが、一応の水準はギリギリでクリアしています。そして何よりも、人間よりも老河童(主人公の育ての祖父が河童なんです)などの妖怪の方が達者に描けるという部分に強く惹かれます。こういう“武器”を持っているというのは、今後の活動の幅を大いに広げてくれる事でしょう。 そして素晴らしいのがストーリーと設定でした。 評価はA寄りA−。最近の“新人不況”の中で、とんでもない風雲児が出現しました。来年の四位さんの動向には、受講生の皆さんも是非ご注目を。
そして最後は、受講生さんからのリクエストに応え、「仁川経済大学賞(グランプリ)」の“ワイルドカード”枠としてこの作品を。まさか当ゼミで(半ば形式上とはいえ)“手塚治虫”のクレジットが入った作品を紹介する事になるとは夢にも思いませんでしたが……。 もう浦沢直樹さんの画力やストーリーテリング力に関しては、頭に“超”が付くくらいに有名で定評がありますので多言は避けますが、やはりこの作品でも浦沢さんの実力が遺憾なく発揮されています。 惜しむらくは、ストーリーの進行が連載期間に比べてゆったり過ぎるという所でしょうか。浦沢直樹作品は単行本になった際の完成度が最優先されるらしいので仕方ないんですが、それにしても序盤の“布石”に時間を使い過ぎなような気がしないでもありません。 ◆ジャンプ&サンデー・最優秀ギャグ作品賞 ……以上2つの部門賞を新設します。賞の概要については追って説明しますが、今後はストーリー作品とギャグ作品は、グランプリを除いて別々に審査される事になります。 では、以下に各部門賞のノミネート資格保持作品、及び「仁川経済大学賞(グランプリ)」と「ラズベリーコミック賞」のノミネート作品の一覧を掲示します。
……こうしてみると、今年の「ジャンプ」と「サンデー」の傾向がおぼろげながら見て取れて興味深いですね。 |
2003年第92回講義 |
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いつの間にか師走です。まだ高校で非常勤講師をやってた去年の今頃には、まさか今年の12月時点でヤフーのモデム配ってるとは夢にも思いませんでしたが、事実は小説より奇なり。でも、どうせ小説より奇妙な現実なら、もっと良い現実が見たいんですが……。 さて、そんな中でもマイペースでお送りしております、今年の当講座。ゆったりとしたタイミングで今週分のゼミを始めたいと思います(申し訳無)。 それでは、まず「ジャンプ」に関連した情報系の話題からお送りします。今週は03年下期「手塚賞」&「赤塚賞」の審査結果発表がありました。例によって受賞者と受賞作を紹介しておきましょう。
◎手塚賞準入選の吉田慎矢さん…03年6月期「十二傑新人漫画賞」で最終候補。 「十二傑新人漫画賞」と比べて見劣りがしないようにするためか、今回から賞金が大幅アップした「手塚賞」&「赤塚賞」の両賞。ただし、応募作のレヴェルは「“再挑戦組”に支えられて何とか現状維持」…といったところでしょうか。 ……それでは、「ジャンプ」今週号分のレビューとチェックポイントへ。レビュー対象作は新連載1本、読み切り1本の計2本です。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年1号☆ ◎新連載『DEATH NOTE』(作:大場つぐみ/画:小畑健) 「ジャンプ」の年末新連載シリーズ第1弾は、読み切りからの“昇格”となりました、少年誌では異色のサスペンスホラー作品・『DEATH NOTE』です。 作者のプロフィールですが、まず原作の大場つぐみさんに関しましては、残念ながら全く詳細不明というのが現状です。ここ数年の「ジャンプ」系新人賞の受賞者リストにその名前は無く、Google等で検索してもこの作品に関する以外の所で名前は出て来ていません。 一方、作画担当の小畑健さんについては多言を要しませんね。『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ)で念願の大ヒット作を輩出したベテラン作家さんです。 ……さて、それでは『DEATH NOTE』の内容について述べてゆきましょう。 絵に関しては何も口を挟む事はありません。というより、とても口を挟めません(苦笑)。この小畑さんの絵に関しては、「文句言うなら、お前が週刊ペースでこの絵を描いてみろ」という反論が成り立つような気さえします(笑)。 次に、読み切り版では問題が見受けられたストーリー&設定ですが、こちらは格段に良くなっています。 基本的な世界観や設定そのものは読み切り版と変わりないのですが、主人公をアクの強いキャラクターに変更させた事で、一気にストーリーが良い方向へ転がりだしましたね。中途半端に天才的な頭脳と自意識過剰なプライドを持った“自称・優等生”が、心の中で飼っていた“闇”を短期間で膨張させる様がヒシヒシと伝わって来て(サスペンスホラーとして)非常に良い感じです。 ただ惜しむらくは、その直後のラスト2ページ。ICPOの会議をインターネット中継で眺めている謎の人物…というシチュエーションにリアリティが無いため、それまでのリアルさの反動で急に白けてしまった所。 ……そういうわけで、今回時点の評価は保留。ただ、ラスト2ページに入るまでなら十分A評価に値する、極めてレヴェルの高い作品です。不安を抱きつつも期待して次回以降を読んでみたいと思います。
今週の読み切りは、この号で結果が発表された「手塚賞」の準入選作が早速登場。受賞即本誌掲載という、新人作家さんにとって最高のスタートとなりました。 まず絵についてですが、これがデビュー作、しかも年齢が18歳という事を考えると、及第点は出せるのではないかと思います。動的表現や迫力のあるシーンなどの描写はソツなく出来ており、マンガ的表現の基礎能力は備わっていると判断して良さそうです。 次にストーリー&設定ですが、全体的なクオリティは別にして、いかにも新人賞を受賞しそうな、背伸びしていない素朴なお話ですね。ボクシングを題材にしたダメ主人公の成長ストーリーは、これまでにも無数に描かれて来ましたが、この作品もその前例を綺麗に踏襲したオーソドックスなシナリオです。 「手塚賞」に限らず、この手の新人賞はどうしても“お山の大将と井の中の蛙たちの青臭い自己主張合戦”の趣となります。各地の“村一番レヴェル”の作家志望者たちが、「俺って凄いんだぜ」という自己アピールを作品の中に必要以上に込めてしまうからです。 あと蛇足ながら、細かい部分について若干の苦言を。 評価はBとしておきましょう。とりあえず次回作で真価を問いたいと考えています。
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントについて箇条書き形式で雑感。 ・澤井啓夫さん…松屋で牛丼(牛めし)とめかぶ……。どうして「ジャンプ」作家さんって食生活がジャンクで必要以上に安上がりなんでしょうか(苦笑)。もうちょっと良いモン食いましょうよ。 ◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 何て言うか、外国のB級バラエティー番組で大阪が紹介されたらこんな感じになるんだろうなーと(笑)。細かい部分は勿論のこと明らかに違うんですが、根底に流れている精神みたいなものは妙に似ているような気もする…という感じでしょうか。 捨てキャラに近い扱いかな…と思っていたナックルなんですが、また冨樫作品の脇役らしい面白いキャラになってますなー。「はずしたら俺死ぬぞこれオイ」とか「信じるぞコラァァ!!」とか、セリフも良い味出し過ぎ(笑)。
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