「社会学講座」アーカイブ(演習《現代マンガ時評》・7)
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12/26(第99回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(12月第4週分・合同) |
2003年第99回講義 |
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03年最後のゼミをお送りします……が、コミックアワードが終わった後の脱力感が未だ抜けておりません(笑)。自分の頭の中ではもっと大掛かりなイベントにしたいという思いもあるのですが、現状ではあれが精一杯です。というか、精一杯以上かも知れません。 で、ここで主催者側から見た「コミックアワード」の感想等を少々。 まず、一息ついた後に受賞作一覧を眺めてみると、やっぱり今年は不作だったんだな…と改めて実感してしまいました。審査中は候補作を絞り込む事に追われて気付きませんでしたが、いざ冷静さを取り戻してみると「う〜ん、これは……」と唸らざるを得ませんね。 で、そんな中選んだグランプリは『美食王の到着』でした。いくら全体のレヴェルがどうあれ、この作品が本当に素晴らしい作品である事は間違いないと確信持って言えます。 ……あと、ラズベリーコミック賞は、去年と違って受賞作や有力候補作がファンの多い作品だったので、正直言って心苦しかったですね。ただ、やる以上は開き直るしかありませんので、思い切りやらせてもらいました。こういう賞って、大物相手に対する風刺の意味合いもありますので、『テニスの王子様』ファンの方は「我らが許斐センセイは大物だ!」と、むしろ誇りに思ってもらっても良いくらいです。(まぁ絶対に思わんでしょうけど^^;;) ──さて、それでは気持ちも新たに、今週のゼミを始めたいと思います。まずは情報系の話題から。最初に、先週時間が無くて翌週回しになっていた「サンデー」系月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」9・10月期分の審査結果を紹介しておきます。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎あと一歩で賞のあづち涼さん…01年11月期「まんがカレッジ」でも“あと一歩で賞”。また、18禁ゲームの原画家として活動した経験あり。 この他、Google検索で判明した事は、努力賞のハタアサ子さんがウェブ上での創作活動経験者だったり、選外の赤池真美さんが講談社のコミック通信講座出身だったり…といったところ。 情報2つ目は「ジャンプ」から読み切りに関するニュースをご紹介します。 ……それではレビューへ。今週は「ジャンプ」にしろ「サンデー」にしろ、見所が多かったように感じたんですが、実はレビュー対象作は1本のみ。「ジャンプ」年末新連載シリーズの第3回後追いレビューです。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年4・5合併号☆ ◎新連載第3回『銀魂』(作画:空知英秋)【現時点での評価:B】 前期新連載が全滅のため、打ち切りサバイバルレースを争う相手全てが長期連載作品という過酷な状況に置かれている今期の新連載作品ですが、その中でも一番厳しい立場にいるのが、恐らくこの『銀魂』と空知英秋さんでしょう。以前にも似たような事を言った覚えがありますが、これって「有望新人プロボクサーのデビュー戦の相手がいきなり日本ランカー」みたいな話ですからねぇ……。 とはいえ、もうゴングが鳴ってしまった以上、後には引けません。というわけで、連載の今後を占う第3回の後追いレビューです。 まず絵なんですが、相変わらず線が不安定なのが惜しいですね。初回に比べると、全般的に幾分進歩の跡が窺えるんですが、今度は線の不安定さで実際の画力よりも下手なように見えてしまっています。 ただストーリー・設定については、相変わらず世界観やキャラクターの個性付けが曖昧で迷走気味です。しかも、どうやらその問題の根源はかなり深い所にあるんじゃないかと思えて来ました。 ここから活路を見出すとなると、もう完全に開き直るしかないでしょうね。それこそ以前の『幕張』みたく、確信犯的に刹那的なウケ狙いをハイスパートで繰り出して、「中身は無いけど、何だか面白い」と読み手に思わせるような作品にしてゆくしかないでしょう。(もっとも、第3回時点でそんな事を言ってる時点で、「ジャンプ」では致命的な出遅れなんですが……) ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 久々に巻末コメントへのコメントを少しだけ箇条書きで。 ・岸本斉史さん…うん、フグは良いですよね。というか、フグそのものよりも、鍋の最後に食う雑炊が一番好きなんですが、駒木は。あの雑炊の味がインスタントで出せたら、毎日買って食いたいくらいです。 あと今週号では、毎度恒例・年末進行の合間に絶対落とせない仕事を増やして、日頃泣かされている作家にリベンジするぞ企画・現役連載作家4コマ競作スペシャルがありました。 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 いやー凄いわ、今回。もう凄いとしか言いようが無いです。何だか詳しく検証したらアラが見つかりそうなプレーだけれども、「そんな細かい事考えずに読め!」と言われたらそうせざるを得ないような凄味がありました。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【現時点での評価:B/雑感】 いやー凄いわ、今回。もう凄いとしか言いようが(以下略・笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年4・5合併号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「このお正月にやろうと思ってること」。 ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【現時点での評価:B−/雑感】 10回限定の“最終章”という事で、今回から連載再開。まぁいわゆる一つの敗戦処理というヤツですね。 ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 あんなエグいシーン(自動人形の血まみれ分解)でも、人間じゃなかったらモザイクもかからんのですかねー。 ◎『ファンタジスタ』(作画:草葉道輝)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 スポーツでは、有力選手を試合に投入する事を“カードを切る”なんて言いますが、スポーツ物のマンガでは逆なんですよね。有力選手を完全燃焼させて退場させる事が“カードを切る”ことになるんですよ。
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2003年第98回講義 |
「コミックアワード」の準備の合間を縫って、今週のゼミをやっておきます。本当なら前・後半に分けなければならないくらいのボリュームがあった週なんですが、とりあえずこんな状態なので、レビュー中心で簡単に実施しておきます。情報系の話題は次週回し、チェックポイントについても連載終了になった『神撫手』の総括だけとさせてもらいます。 では、もう早速レビューへ行っちゃいましょう。今週のレビュー対象作は、「ジャンプ」からは新連載1本と新連載第3回の後追いレビューが1本、更には代原ギャグ読み切りが1本。そして「サンデー」からも新連載1本で計4本となります。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年3号☆ ◎新連載『LIVE』(作画:梅澤春人) 「ジャンプ」の年末新連載シリーズ最終・第3弾は、『SWORD BREAKER』の連載終了以来、約1年ぶりの復帰となる梅澤春人さんの新作が登場です。 梅澤さんの「ジャンプ」デビューは89年ですから、キャリアは14年余りという事になりますね。いつの間にか、現在の「ジャンプ」連載陣では重鎮クラスのベテランになっているんですね。 さて、作者のプロフィール紹介はこれくらいにしまして(クソ忙しい時に限って、ベテラン作家のプロフィールを作らなくてはいけない悲劇^^;;)、作品の内容についてお話してゆきましょう。 次にストーリーと設定なんですが、こちらは「随分とまた開き直ったもんだなぁ……」というのが第一印象でした。 つまりこの作品は、過去の梅澤作品の縮小再生産で生まれたモノなんですね。野球で言えば、ノーアウトからフォアボールで出たランナーを、2回の送りバントで3塁まで送るような、そんな手堅い作品です。 …そういうわけで、暫定評価はB+。この作品がソコソコの人気を獲得できれば幸いですが、そうでなかった場合、それは「ジャンプ」作家・梅澤春人の能力的限界を意味する事になるでしょう。ナニゲに大変シビアな連載となりそうですね。
さて、今週からは後追いレビューも開始。というわけで今回は、未だに「大場つぐみって誰よ?」という声が止まない『DEATH NOTE』のレビューをお届けします。 と、無駄口はコレくらいにしておきまして、内容について。絵の流麗さは相変わらず文句の付けようが無いので、ストーリーについてだけ述べたいと思います。 あと、もう1つの問題点としては、作品内で人がバンバン死にまくっている割には、一度たりとも“最期の瞬間”が描かれていないため、イマイチ恐怖が伝わって来ない…という事も挙げられます。通帳の残高だけが動いているお金の遣り取りみたいなもんで、生々しさが伝わって来ないんですよね。命のペーパー商法と言いますか。 こんな事言っちゃミもフタもないですが、この作品が福本伸行原作だったら、どれくらい凄い作品になったんだろう? …なんて考えてしまいます(苦笑)。それくらい、演出の仕方によっては大傑作になるような素材ではあるんですけどね。大場さんのストーリーテリングの懐が狭いのが、つくづくも残念です。 ◎読み切り『夢泡釣団〜ビートルズ編〜』(作画:やすべえ) 今週は『Mr.FULLSWING』が作者都合休載のため、先週に続いて代原の出番に。先日発表になった第59回(03年下期)「赤塚賞」で佳作を受賞した『夢泡釣団〜ビートルズ編』が掲載されました。 まず絵ですが、一言で言うと稚拙です。ヒット作を研究した跡も窺え、決して根本的に下手クソというわけではないのですが、線の頼りなさは如何ともし難いものがあります。また、全体的なメリハリが狂っていて、実情以上に下手なように見えてしまうのが惜しいですね。 で、ギャグについても「未だ修行前」…といった感じですね。“ボケ”の部分に関しては、僅かながらも天性のセンスを感じさせてくれるのですが、それを間の悪過ぎて単調なツッコミが全て台無しにしてしまっています。 評価はC寄りB−ということで。そう言えば、ネット界隈ではよく、「『赤塚賞』の佳作でこんなの?」…なんて意見を目にするんですが、まぁ「赤塚賞」の佳作なんて、大概こんなものですよ。悲しいかな、「赤塚賞」の佳作が「十二傑新人漫画賞」の最終候補と互角以下なのが現状なのです。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『神撫手』(作画:堀部健和)【現時点での評価:B−/連載総括】 秋シリーズの新連載は、遂に全作品枕を並べて討ち死にとなりました。“3作品3突き抜け”というのは、ここ最近でも記憶に無いですね。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年2号☆ ◎新連載『怪奇千万! 十五郎』(作画:川久保栄二) 当ゼミでは既報の通り、今週から久々に「サンデー」で大型の新連載シリーズが組まれる事になりました。 毎度ながら「サンデー」系のデータベースが乏しい(特に増刊の)ため、『医術師 十五郎』以前の川久保さんのキャリアはほとんど判りませんでした。 ……では、内容についてお話してゆきましょう。 まず絵なんですが、やはり(悪い意味で)独特過ぎる絵柄が気になって仕方ないところですね。特に首から上のデッサンが必要以上に崩れまくっていて、更に顔のアングルのバリエーションが乏しいので、物凄く違和感を感じてしまいます。他の部分は変じゃないので余計に目立ちますね。 しかし、そんな絵のアラなんてどうでも良くなってしまうほど酷いのがストーリーと設定です。 具体的に説明しましょう。そもそもこの作品は、駒木の敬愛する仲間由紀恵様が主演あそばされている(笑)ドラマ・『TRICK』のように、“怪奇現象”とされているモノが実はトリックである事を暴く…という部分を核にしたお話のはずです。少なくとも、第1話の途中の展開までは、そう受け取れるシナリオになっていました。が、実際の展開は終盤になって逸走を始めます。なんと、 前シリーズ『医術師 十五郎』の頃から、ミもフタもない問題解決法が目立っていましたが、今回はミステリ仕立てになっている分だけ、余計にその破綻振りが目立ってしまいました。正直なところ、「こんなマンガ、よく載せたな」というのが実感です。
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2003年第96回講義 |
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今頃になって、「コミックアワード」の開催予定日まで10日を切っている事実に気が付き、愕然としている駒木ハヤトです(苦笑)。武井宏之さんが最新単行本の中で、読み切り『エキゾチカ』が、締め切り3週間前まで全くの手付かずだった…という裏話を日記マンガ形式で激白してましたが、今の当講座の状況も似たようなモンだとお考え下さい(苦笑)。来週早々から、いや今から修羅場確実です。 ──さて。それでは時間も切羽詰っておりますし、情報系の話題からお届けしましょう。今週は内容が盛りだくさんです。 まずは新人賞の話題から。今週は「サンデー」では03年度後期「新人コミック大賞」少年部門の、「ジャンプ」では月例新人賞・「ジャンプ十二傑新人漫画賞」10月期分の審査結果発表がそれぞれありましたので、ここでも受賞者・受賞作を紹介しておきましょう。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ※「新人コミック大賞」 ※十二傑新人漫画賞 「新人コミック大賞」の方は、「サンデー」の月例賞出身組や「ジャンプ」からの移籍組など、過去に何らかの実績のある“新人予備軍”さんたちの活躍が目立ちました。 なお、今週の「サンデー」では、秋に発売されたルーキー増刊の“ルーキートライアル”優勝者の発表もあり、先週の「読書メモ」枠でレビューさせてもらった『河児』(作画:四位晴果)が見事“ルーキーキング”受賞作となりました。個人的には極めて順当な結果だと思ったりしているのですが、何はともあれ、四位さんおめでとうございました。 さて、「サンデー」関連情報はまだあります。以前から噂に挙がっていた、この冬からの新連載情報が公式アナウンスされましたので、こちらでも紹介しておきます。
……今回のラインナップは、全員が今回初の週刊連載となるフレッシュな顔触れとなりました。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年2号☆ ◎新連載『銀魂』(作画:空知英秋) 「ジャンプ」年末新連載シリーズ第2弾は、このシリーズ中唯一のルーキーとなる空知英秋さんの登場です。 まずは絵ですが、一応基本的な作画力は認められるものの、さすがに「連載作家」というカテゴリで見た場合、若干の物足りなさが否めません。 そして、デビュー以来定評のあったストーリー・設定についても、初の連載で勝手が狂ったのか、少なくとも第1回を見た限りでは長所より短所の方が目に付く内容に終始してしまっています。 個人的に空知英秋さんは大変好きな作家さんですし、実力もあると思ってはいますが、残念ながら今回の連載に関しては時期尚早だったんじゃないかと思います。あと1年くらいアシスタント修行を積んで、“連載作品のイロハ”を学んでから挑戦して欲しかったです。 今週は『ピューと吹く! ジャガー』が作者都合の休載で、ショートギャグの代原が掲載されました。前回の『ジャガー』休載の際にも“代打”を務めた、越智厚介さんの『ハガユイズム』が登場です。 で、今回の作品ですが、内容的には前回レビューした際(10月2日付講義。例の『戦斧王AX』(作画:イワタヒロノブ)をレビューした日ですが、ウザくなければ復習を推奨)と全くと言って良いほど変わっていませんので、多言には及ばないと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『サラブレッドと呼ばないで』(作:長谷川尚代/画:藤野耕平)【現時点での評価:B/連載総括】 連載当初はネット界隈の評価も高かったこの作品ですが、残念ながらジリ貧状態のまま1クール突き抜けとなってしまいました。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年2号☆ ◎読み切り『カズマ来たる!!』(作画:万乗大智) 新連載シリーズ前の景気付けというわけでしょうか、今週は『DAN DOH
!!』シリーズでお馴染みの万乗大智さんによる読み切りが掲載されました。万乗さんは、今年の8月から9月にかけて、『ふうたろう忍法帖』を短期集中連載しており、まさに「意欲的」という言葉の似合う活動を続けています。 それでは内容についてですが、絵については前作から3ヶ月しか経っていませんし、今日ここで特に言うべき事はありません。やや個性がキツいながらも、マンガの作画技術はちゃんと出来上がっているので安心して読めます。 で、やや問題アリなのがストーリーと設定です。 評価は、お話に余りにも見どころが少ないので、厳しくB寄りB−とさせてもらいます。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「通信販売で買ったもの」。 あと、『美鳥の日々』関連の大ニュースとは、やはりアニメ化でしたね。最近増えている地方ローカル局系の深夜枠になりそうです。駒木が小耳に挟んだ噂話だと、とりあえず放送期間は1クール限定のようですね。 ◎『楽ガキFighter
〜HERO OF SAINT PAINT〜』(作画:中井邦彦)【現時点での評価:C/連載総括】 |
2003年第93回講義 |
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久々の前・後半分割実施となりました、今週の「現代マンガ時評」、後半分をお送りします。 では、「サンデー」関連の情報から。 ……では、早速チェックポイントから参りましょう。 ☆「週刊少年サンデー」2004年新年1号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「今、有り余るほどの力があります。さて、何をしますか?」 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 「そういや、沢村と美鳥の初恋話って出てないね」 ◎『結界師』(作画:田辺イエロウ)【現時点での評価:A/雑感】 前回と今回のエピソードで、いつの間に良守って時音に“バリバリ片想いモード”になったんだろう? って、かなり違和感感じてしまったんですが……。2人の関係は、いわゆる“友達以上恋人未満”の戦友で、そこから長い間かけてジワジワと恋愛モードに持ち込むもんだと思い込んでたんですけどね。う〜む……。
“アイスバーン”の数が「まんがコース」より多いのが「テキストサイトコース」だったりするんですが(笑)。また、そのアイスバーンに突っ込んで行って転倒・再起不能になる人の多い事、多い事……。 ◎『売ったれ ダイキチ!』(作:若桑一人/画:武村勇治)【現時点での評価:保留中/中間まとめ】 この『ダイキチ』も「コミックアワード」の審査対象になりますので、ここで再評価をしておきます。
……以上の3点。で、連載開始当初はコレがキチンと出来ていたからこそ、当ゼミでもA−の高評価を出していたわけなのです。が、現在の「松筑プロジェクト」編に突入してからは、これらのポイント──特に“1”と“3”の達成度が極めて怪しくなっています。これでは、とてもじゃないですが良作・佳作相当の評価を下す事など出来ません。
で、こっちは遂に連載終了。「鳥人間コンテスト」に出て来る人力飛行機のように、着水寸前で長期間粘っていたこの作品も、残念ながらここまででした。
◇駒木博士の読書メモ(12月第1週)◇ ◎『河児』(作画:四位晴果/「週刊少年サンデーR(03年特別増刊号)」掲載) 「コミックアワード」最終エントリー1作目は“新人賞”枠から。「サンデー」版「赤マルジャンプ」とも言うべき、ルーキー増刊からの登場です。 ……この増刊号、発行部数が僅少なのか、大手コンビニでですら入手困難だったりするのですが、今年はその手の増刊号を何故か大量に入荷する書店を見つけまして、何とか購入する事が出来ました。 ──ですが、物事諦めずに最後までやってみるもんです。全20本のラス前・19番目にとんでもない逸材が埋もれておりました。それがこの『河児(←「こうじ」と読みます)』でした。プロ野球マンガで、低調なレヴェルの入団テストに参加した主人公がメジャー級の豪速球を披露して関係者の度肝を抜く…というシーンがありますが、図らずも駒木も、この作品と作者の四位さんに度肝を抜かれてしまいましたよ。 まず絵。デビュー作だけあって、まだまだ線の力も弱く未完成な部分も多く残していますが、一応の水準はギリギリでクリアしています。そして何よりも、人間よりも老河童(主人公の育ての祖父が河童なんです)などの妖怪の方が達者に描けるという部分に強く惹かれます。こういう“武器”を持っているというのは、今後の活動の幅を大いに広げてくれる事でしょう。 そして素晴らしいのがストーリーと設定でした。 評価はA寄りA−。最近の“新人不況”の中で、とんでもない風雲児が出現しました。来年の四位さんの動向には、受講生の皆さんも是非ご注目を。
そして最後は、受講生さんからのリクエストに応え、「仁川経済大学賞(グランプリ)」の“ワイルドカード”枠としてこの作品を。まさか当ゼミで(半ば形式上とはいえ)“手塚治虫”のクレジットが入った作品を紹介する事になるとは夢にも思いませんでしたが……。 もう浦沢直樹さんの画力やストーリーテリング力に関しては、頭に“超”が付くくらいに有名で定評がありますので多言は避けますが、やはりこの作品でも浦沢さんの実力が遺憾なく発揮されています。 惜しむらくは、ストーリーの進行が連載期間に比べてゆったり過ぎるという所でしょうか。浦沢直樹作品は単行本になった際の完成度が最優先されるらしいので仕方ないんですが、それにしても序盤の“布石”に時間を使い過ぎなような気がしないでもありません。 ◆ジャンプ&サンデー・最優秀ギャグ作品賞 ……以上2つの部門賞を新設します。賞の概要については追って説明しますが、今後はストーリー作品とギャグ作品は、グランプリを除いて別々に審査される事になります。 では、以下に各部門賞のノミネート資格保持作品、及び「仁川経済大学賞(グランプリ)」と「ラズベリーコミック賞」のノミネート作品の一覧を掲示します。
……こうしてみると、今年の「ジャンプ」と「サンデー」の傾向がおぼろげながら見て取れて興味深いですね。 |
2003年第92回講義 |
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いつの間にか師走です。まだ高校で非常勤講師をやってた去年の今頃には、まさか今年の12月時点でヤフーのモデム配ってるとは夢にも思いませんでしたが、事実は小説より奇なり。でも、どうせ小説より奇妙な現実なら、もっと良い現実が見たいんですが……。 さて、そんな中でもマイペースでお送りしております、今年の当講座。ゆったりとしたタイミングで今週分のゼミを始めたいと思います(申し訳無)。 それでは、まず「ジャンプ」に関連した情報系の話題からお送りします。今週は03年下期「手塚賞」&「赤塚賞」の審査結果発表がありました。例によって受賞者と受賞作を紹介しておきましょう。
◎手塚賞準入選の吉田慎矢さん…03年6月期「十二傑新人漫画賞」で最終候補。 「十二傑新人漫画賞」と比べて見劣りがしないようにするためか、今回から賞金が大幅アップした「手塚賞」&「赤塚賞」の両賞。ただし、応募作のレヴェルは「“再挑戦組”に支えられて何とか現状維持」…といったところでしょうか。 ……それでは、「ジャンプ」今週号分のレビューとチェックポイントへ。レビュー対象作は新連載1本、読み切り1本の計2本です。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年新年1号☆ ◎新連載『DEATH NOTE』(作:大場つぐみ/画:小畑健) 「ジャンプ」の年末新連載シリーズ第1弾は、読み切りからの“昇格”となりました、少年誌では異色のサスペンスホラー作品・『DEATH NOTE』です。 作者のプロフィールですが、まず原作の大場つぐみさんに関しましては、残念ながら全く詳細不明というのが現状です。ここ数年の「ジャンプ」系新人賞の受賞者リストにその名前は無く、Google等で検索してもこの作品に関する以外の所で名前は出て来ていません。 一方、作画担当の小畑健さんについては多言を要しませんね。『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ)で念願の大ヒット作を輩出したベテラン作家さんです。 ……さて、それでは『DEATH NOTE』の内容について述べてゆきましょう。 絵に関しては何も口を挟む事はありません。というより、とても口を挟めません(苦笑)。この小畑さんの絵に関しては、「文句言うなら、お前が週刊ペースでこの絵を描いてみろ」という反論が成り立つような気さえします(笑)。 次に、読み切り版では問題が見受けられたストーリー&設定ですが、こちらは格段に良くなっています。 基本的な世界観や設定そのものは読み切り版と変わりないのですが、主人公をアクの強いキャラクターに変更させた事で、一気にストーリーが良い方向へ転がりだしましたね。中途半端に天才的な頭脳と自意識過剰なプライドを持った“自称・優等生”が、心の中で飼っていた“闇”を短期間で膨張させる様がヒシヒシと伝わって来て(サスペンスホラーとして)非常に良い感じです。 ただ惜しむらくは、その直後のラスト2ページ。ICPOの会議をインターネット中継で眺めている謎の人物…というシチュエーションにリアリティが無いため、それまでのリアルさの反動で急に白けてしまった所。 ……そういうわけで、今回時点の評価は保留。ただ、ラスト2ページに入るまでなら十分A評価に値する、極めてレヴェルの高い作品です。不安を抱きつつも期待して次回以降を読んでみたいと思います。
今週の読み切りは、この号で結果が発表された「手塚賞」の準入選作が早速登場。受賞即本誌掲載という、新人作家さんにとって最高のスタートとなりました。 まず絵についてですが、これがデビュー作、しかも年齢が18歳という事を考えると、及第点は出せるのではないかと思います。動的表現や迫力のあるシーンなどの描写はソツなく出来ており、マンガ的表現の基礎能力は備わっていると判断して良さそうです。 次にストーリー&設定ですが、全体的なクオリティは別にして、いかにも新人賞を受賞しそうな、背伸びしていない素朴なお話ですね。ボクシングを題材にしたダメ主人公の成長ストーリーは、これまでにも無数に描かれて来ましたが、この作品もその前例を綺麗に踏襲したオーソドックスなシナリオです。 「手塚賞」に限らず、この手の新人賞はどうしても“お山の大将と井の中の蛙たちの青臭い自己主張合戦”の趣となります。各地の“村一番レヴェル”の作家志望者たちが、「俺って凄いんだぜ」という自己アピールを作品の中に必要以上に込めてしまうからです。 あと蛇足ながら、細かい部分について若干の苦言を。 評価はBとしておきましょう。とりあえず次回作で真価を問いたいと考えています。
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントについて箇条書き形式で雑感。 ・澤井啓夫さん…松屋で牛丼(牛めし)とめかぶ……。どうして「ジャンプ」作家さんって食生活がジャンクで必要以上に安上がりなんでしょうか(苦笑)。もうちょっと良いモン食いましょうよ。 ◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 何て言うか、外国のB級バラエティー番組で大阪が紹介されたらこんな感じになるんだろうなーと(笑)。細かい部分は勿論のこと明らかに違うんですが、根底に流れている精神みたいなものは妙に似ているような気もする…という感じでしょうか。 捨てキャラに近い扱いかな…と思っていたナックルなんですが、また冨樫作品の脇役らしい面白いキャラになってますなー。「はずしたら俺死ぬぞこれオイ」とか「信じるぞコラァァ!!」とか、セリフも良い味出し過ぎ(笑)。
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2003年第90回講義 |
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またしても遅くなりましたが、今週のゼミを始めます。「ジャンプ」の発売日からほぼ1週間経って「今週のレビュー」なんて言ってるのもアレなんですが……。 さて、そういうわけで時間がありません。まずは先週から溜め込んだ分もある情報系の話題から。 まずは受講生の皆さんも注目しているであろう、「ジャンプ」年末(雑誌的には04年新年)新連載シリーズのラインナップが発表されましたので、こちらでも改めて紹介しておきます。
ネット界隈の噂では、今年2回目の新連載4本か…という説もありましたが、とりあえずオフィシャルでは“標準モード”の新連載3本ということに。 で、新連載のラインナップですが、有り体に言えば、「『ジャンプ』の僅かな“残弾”を惜しげも無く投入して来たなぁ…」という感じですね。小畑健さん、梅澤春人さんといった固定ファンの多いベテラン作家さんに加えて、ネット界隈でも評判の高い若手・空知英秋さんをぶつけて来るとは思い切ったモンです。 なお、次週発売の「ジャンプ」新年1号には、読み切り『ダー!!! 〜便所の壁をブチ破れ〜』(作画:吉田慎矢)が掲載されます。 ……さて、先週のゼミで扱う予定だった「ジャンプ」系の新人賞・「ストーリーキング」03年下期の審査結果が発表になってしますので、こちらの受賞者・受賞作を紹介しておきましょう。
受賞者の皆さんのキャリアは以下の通りです。 ◎マンガ部門最終候補の森田将文さん…01年11月期、02年1月期、02年7月期、03年1月期の「天下一漫画賞(現:十二傑新人漫画賞)」で計4回最終候補。 なお、マンガ部門準キングの岩代俊明さんは、活発に同人活動もしていたようで、Googleで名前を検索すると所属サークルのウェブサイトに飛べたりします。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年52号☆ ◎読み切り『ぷーやん』(作画:霧木凡ケン) 今週の読み切りは、知る人ぞ知るベテラン下積み作家・霧木凡ケンさんが登場です。 まず絵についてですが、どうも全体的にシックリ来ません。致命的なミスは無いのですが、所々でデッサンが崩れている所があったり、表現が上手くいっていない所があったりします。「赤マル」春号で初めて霧木作品をレビューした際には、「これも霧木さんの“味”なのかな……」とも思いましたが、今作の絵柄を見てみると、それだけで片付けてはいけないような気がしてきました。 スト−リーにも問題がありますね。 評価はギリギリでB−というところでしょうか。正直言って、連載に耐えられるクオリティとは思えません。
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントについて箇条書き形式で雑感。 ・稲垣理一郎さん…ジャンプフェスタとクリスマスボウルが日程と時間帯まで一致した事に大ショック。そりゃショックでしょうなぁ(苦笑)。ていうか、誰かスケジュール調整してやれよって話なんですが。 あと、今週は『BLACK CAT』の人気投票結果発表があったんですが、発表された票数が全て4の倍数だったという事が2ch掲示板で話題になりました(笑)。確かに偶然にしては出来過ぎですなぁ、これは。 ◎『戦国乱波伝 サソリ』(作画:内水融)【現時点での評価:B/連載総括】 残念ながら1クール打ち切り。いわゆる“突き抜け”となりました。 ☆「週刊少年サンデー」2003年52号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「今までで一番怖かった体験は?」。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【現時点での評価:B+/雑感】 で、この作品も巧い。今回は物凄くコアな題材なんですが、ギリギリの所で一般人の感覚から外れていないので(つまり、一般人から見たらおかしい事は、キチンとおかしい事として描けている)、いわゆる“オタク臭”が漂って来ないんですね。しかも、ディティールもほぼ正確に押さえているので、“そっち系”の人が見ても「知ったかぶりしやがって」という批判はほとんど出て来ないと思います。 ……さぁそして、次週は『ふぁいとの暁』が最終回。ここに来て激しい“大量粛清”の予感がしますが、その次に打ち切られる作品、そして入れ替わる新連載は一体誰なんでしょうか。注目ですね。 さて、今週で11月分のゼミは終了。これで今年の「仁川経済大学コミックアワード」の審査対象期間(02年12月〜03年11月)が終了した事になります。 |
2003年第87回講義 |
いつもながら想定外の時間的“押し”が入っております。どれくらい押しているかと申し上げますと、この冒頭部分を準備している時点で、既に次号の「ジャンプ」がコンビニに並びつつある……という有様です。最終回になった作品名とか次期新連載のラインナップも言えますが黙っときます(苦笑)。 そういう事情もありまして、今日は情報系の話題は割愛させて頂きます。「ストーリーキング」の受賞者と過去の履歴紹介は次週分に回させてもらいます。 ……それでは、今週は「サンデー」が合併号休みのため、レビューとチェックポイントは「ジャンプ」のみとなります。レビュー対象作は読み切り1本のみ。 ◎読み切り『家庭教師ヒットマン REBORN』(作画:天野明) 今週の読み切りは、これが「ジャンプ」本誌初登場となる天野明さんの新作が登場です。 それでは、内容についてお話をしてゆきましょう。 まず絵ですが、とりあえず大きな問題点は無いと思います。さすが連載経験者だけあって、ディフォルメ、特殊効果、背景なども含めて普通のルーキーに比べると一枚上手の実力を認める事が出来ますね。 続いてストーリー&設定について。 ただ、惜しむらくは主人公のライバルの設定ですね。ハッキリ言いますと、この作品はここで物凄く損をしてます。ウチの評価で言うなら2段階以上の減点材料です。 評価はB+。設定を練りに練れば、ひょっとすれば連載で大化けする可能性のある作品ですが、現時点では完成度が低いのが残念です。ただ、今の天野さんの実力で、その「設定を練りに練る」事が出来るのかと言うと、ちょっと疑問なんですよね。今後の奮起に期待したいところなのですが……。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週も巻末コメントについて箇条書き形式で雑感。 ・久保帯人さん…「ルキア強いなー」って、何を今更(笑)。でも、作家さんは案外読者の好きなキャラって読めないものらしいですけどね。
あー、いかん。この作品、楽しすぎる! 函館商船大学の先輩の1人が、どうみても三沢光晴なのに爆笑。しかし、そこまで似せるなら、「ハッキリ言って」とか「異様に」とかの口癖までパクって欲しかったなぁ。「アレ」だと長州力になっちゃいますよ、縁起でもない(笑)。 ◎『神撫手』(作画:堀部健和)【現時点での評価:B−/雑感】
少しは粘ったんですが、敢え無く2クールで打ち切り。やっぱりこの人、長編連載になると脆いですよねぇ。 結局のところ、この作品は確固たるテーマが不在のままダラダラと続いてしまったのがマズかったですよね。なので、読者が作品世界に感情移入出来ないまま、いつの間にか終わってしまったと。 ◇駒木博士の読書メモ(11月第4週)◇ ◎『ツバサ』(作画:CLAMP/「週刊少年マガジン」連載中) 高校や大学で漫研やそれに近い部活に所属していた人ならばよく分かるでしょうが、その年代のマンガ家・小説家志望の中には、筆力も無いのにやたら意欲だけが空回りしたヤツってのがいます。で、そういうヤツに限って、必要以上にキャラクターや世界観の設定に凝りまくった、“(自称)独創的かつ壮大なスケールのファンタジー”を描き始めます。 ……で、前置きが長くなりましたが、この『ツバサ』。この作品は、そんな“独創的かつ壮大なオリジナルファンタジー”を、プロとして水準以上の技量を持った作家さんがやってしまったモノです。しかも、本来ならば一読の下で読み捨てられるようなクオリティに終わるはずが、プロの力業によって、とりあえずは“読めてしまう”デキになってしまったという、極めてレアな作品なのです。 またシナリオも、愛着のあるキャラを苛めきれないのか知りませんが、どうも起伏が緩くて平板なんですよね。初めから主役ご一行様が強すぎて、シナリオ上に設定された“障害”が全然障害になってないんですよ。 そして、何よりも世界観や設定の諸々が、全然読者の感情移入を促す方向に働いていないんです。駒木の価値観が歪んでいるせいなのかもしれませんが、この作品を読んでいると、つまらないアイドルタレントがつまらない話をして一人で笑って、「これって面白くないですか、キャハハ」とやっている所を見ているような、そんな錯覚を覚えてしまうんですよね。 ただ、繰り返して言いますが、これだけ致命的な欠陥を抱えていながら(そりゃそうです、本来なら新人賞1次選考落選するような題材ですから)、一応は最後まで読み切れるだけの作品になっているのが恐ろしいというか、何と言うか。同種の作品に『きみのカケラ』(作画:高橋しん)がありましたが、地力のある作家さんは、“負け戦”が確定してからも、実際に敗北宣言をするまでに長期間引っ張れてしまう分だけ、後から来るダメージも大きくて悲劇的ではありますよね。 『ツバサ』の評価ですが、作品全体のクオリティをデジタルに総合するとB−寄りBあたりになりますかね。先に言った通り、単なる駄作では終わっていませんので、評価もそれなりのモノになります。勿論、読者の立場としての「面白い、面白くない」は、また全然別の話になりますが。 ……というわけで、今日のゼミはこれまで。本当はまだ「読書メモ」で採り上げるべき作品が残ってるんですが、それは次週以降の宿題とさせてもらいます。 |
2003年第84回講義 |
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……気がついてみたら、1週間ぶりの講義になってしまいました。開講以来初。本当に申し訳ありません。 ──それでは、無理矢理気を取り直して今週のゼミを始めましょう。まずは情報系の話題から。「週刊ジャンプ」の月例新人賞・「十二傑新人漫画賞」9月期の審査結果発表がありましたので、こちらでも受賞者等を紹介しておきます。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎十二傑賞の田中顕さん…「週刊少年サンデー超増刊」01年9月号より『スクープ!』(原案:池上正樹)を短期連載の経験あり。 ……今回最高評価を獲得してデビューの権利を掴んだのは、アシスタント歴(最低でも)7年以上、しかも月刊連載経験もアリという異色のキャリアを持つ田中顕さんでした。 せめて編集部サイドも、審査員のアシスタントの作品は翌月回しにするとか、その位の配慮があって然るべきだと思います。実際に審査結果が人間関係に左右される事が有るのか無いのかは別にして、「コネで受賞?」と受賞者が疑われてしまう風評被害だけでも防止する必要があると思います。(それとも、こんな考えを抱くのは駒木だけでしょうか^^;;) ──次に読み切り等の話題を手短に。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年50号☆ ◎読み切り『KING CRIMSON』(作画:西公平) 今週の読み切りは、これが1年5ヶ月ぶりの登場となる西公平さん。毎週のように読み切りが掲載される「ジャンプ」でも、こうも“順番待ち”の若手・新人さんが多いとなると、なかなか再登場もままならないようですね。 そんな西さんは、この秋でデビュー3年目に突入したばかり。00年9月期の「天下一漫画賞」で最終候補に残って“新人予備軍”入りした後、受賞歴の無いまま「赤マル」01年夏号でデビュー。その後、「赤マル」同年冬号にも作品を発表、そして翌02年31号で初の本誌進出を果たしました。 ……では、作品のレビューを。 絵に関しては、「若手作家さんとしては」という限定付になるでしょうが、及第点はつけられるでしょう。一部で「『H×H』のようだ」と言われた白っぽい画風も、決して手抜きではありませんので、これで良いと思います。 ストーリー・設定では、「意識して「ジャンプ」の王道路線のアンチテーゼを目指すぞ」…という意欲的な試みが成されていて、これは興味深いです。 今年の「赤マル」夏号レビューの際にも指摘しましたが、実は「ジャンプ」の(特に若手・新人さんの)読み切りには一種のフォーマットのようなものがあり、大半の作品はそれに乗っかってプロットが作られています。
……まさに王道、まさに起承転結といった感じですね。このフォーマットを使うと、どんな出来の悪い作品でも流し読む分には“読めて”しまうので、特に「絵は上手いがストーリー考えるのは苦手」という若手・新人さんに重宝されています。 ──で、この『KING CRIMSIN』では、このフォーマットが、完全にとまでは言いませんが、かなりの部分で無視されているんですよね。特に“終盤”では安直な「大ピンチ→超サイヤ人化」を全く使わず、それどころか主人公サイドが全くピンチに陥らないままで、読者にカタルシスを与える事に成功しています。これはナニゲに凄い事だったりします。 ただ惜しむらくは、1年5ヶ月前の前作にも見られた、ストーリー展開の強引さが未だ改善されていない点でしょう。 評価は非常に迷うところですが、短所が長所を上回ってしまっている…と見なしてB+にしておきます。個人的には、“王道フォーマット”を無視しているという時点でかなりポイントが高いんですが、こればかりは仕方ありませんね。その分、次回作に期待したいと思います。
今週から時間の許す限り「ジャンプ」でも巻末コメントについて雑感を少々。箇条書きで失礼。 ・澤井啓夫さん……駒木の経験上、喫煙率の高い職場は労働条件が過酷である確率が極めて高いのですが、やはりここのスタジオもそうなんでしょうか?(笑) ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【現時点での評価:B/雑感】 皆さんが注目したであろう、新キャラ・ちなみの“あざとさハイパーインフレ”は敢えて放置。それよりも文化祭で上映した映画のストーリーが知りたい駒木だったりします(笑)。だって凄く面白そうじゃないですか。いや、河下さんも全く考えてないと言う事は薄々判ってますけれども(苦笑)。 ◎『武装錬金』(作画:和月伸宏)【現時点での評価:A−/雑感】 恥ずかしながら、今回は読んでる最中、ずっと顔がニヤケっ放しでした。斗貴子さん、苦手のギャグ部分で大活躍! ブラボー!
巻末コメントのテーマは、「自分で法律が作れるなら、どんな法律を作りますか?」。 ◎『結界師』(作画:田辺イエロウ)【第1回掲載時の評価:A/雑感】 先週の第3回後追いレビューで、「主人公が甘党だという伏線が張られていない」と言ったんですが、その後受講生さんから「卵焼きが砂糖入りの方が好きだったり、メシと一緒にコーヒー牛乳飲んだりしてますけど?」……というご指摘を頂きました。確かにそうですね(苦笑)。 ◎『モンキーターン』(作画:河合克敏)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 キター! 河合“ムッツリスケベ”克敏流・寸止めセミヌードキター!
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2003年第83回講義 |
今年も早いもので11月に突入。今月末には当講座も開設2周年になるわけですね。我ながら(呆れる意味で)よくやったもんだと思いますが、これもひとえに受講生の皆さんのお蔭です。改めまして今後とも何卒。 ──さて、ではゼミを始めましょう。まずはいつも通り情報系の話題から。今週は「ジャンプ」の読み切り情報が入っていますので紹介しましょう。 なお、「サンデー」関連の情報で、特にここで採り上げるべきモノはありません。ただ、今年分下期の「新人コミック大賞」の1次選考結果発表が掲載されたり、早くも来週から合併号だったりと、年の瀬を感じさせるあれやこれやが見受けられたのが印象深かったですね。 …それでは、今週もレビューとチェックポイントをお送りしましょう。今週は新作の掲載が無く、「サンデー」の新連載第3回後追いレビューが1本のみという、少し寂しい内容になりますが、その分チェックポイントでいくらか補完できれば…と思います。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年49号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は巻末コメントが“豊作”でしたね。作品が行き詰まった上に担当交代でぶっ壊れ、井上和郎さんの作品世界に迷い込んでしまったような人とか、車上荒らしを捕まえて自分がハンターになってしまった人とか、娘が『ボーボボ』のサービスマンのモノマネをするようになったのを真剣に悩む父親とか、下手な読み切りよりも面白かったような気が(笑)。でもまぁ、息子ならまだしも娘が「サービス!」ってやらかした日にゃ、確かに気が気じゃないですよね。 ◎『NARUTO』(作画:岸本斉史)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ちょっとここ数回、個人的には不満が残るんですよね、この作品。 いやー、それにしても電波な人の描写をさせると上手いですなぁ、冨樫さん。喫茶店でコーヒー飲みながら会話させるだけで、そのキャラがどれだけ異常か判るようになってるってのは、やっぱり凄いですよ。良い作品っていうのは、こういう技術の積み重ねから出来上がるもんだとしみじみ思います。
この期に及んで第5のヒロイン登場。どうやら唯の二軍降格に伴う人事のようで、駒木はショボーンです(苦笑)。でもまぁ、とりあえずの打ち切りは逃れたと言う事なんでしょうから、お喜び申し上げなくてはなりませんか。 ◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 確かに深夜とかCS放送ならウケそうです、「冥曲ノ調」。現実にマンガのようなコアなチャレンジャーが集結するかは別にして。 ☆「週刊少年サンデー」2003年49号☆ ◎新連載第3回『結界師』(作画:田辺イエロウ)【第1回掲載時の評価:保留】 「サンデー」で今年開始の新連載3本が掲載順ワースト3を独占する中、そろそろ身の上がヤバくなって来た編集長派社員の皆さんも期待する(?)、新鋭・田辺イエロウさんの新連載・『結界師』が第3回を迎えました。お約束通り、後追いレビューを実施します。 ──それにしても、この作品は隙が無いですねぇ。敢えて回を改めて採り上げなくてはならないようなポイントが見当たらなくて困ってしまいます(苦笑)。 ただ、全体的に見れば、この作品は(少なくとも現時点では)十分秀作の範疇に入ると思います。評価はA−寄りA。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「ストレスが溜まってきたら何をしますか?」。 ◎『モンキーターン』(作画:河合克敏)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 やはり「特報」はアニメ化決定のニュースでしたね。しかし、紹介されたアニメ版のキャラデザインは……(涙)。何か、何か顔の輪郭がみんな変だよぅ…… そしてマンガ本編では“女の戦い”ついに決着。ナニゲにこの作品の中でも屈指の名勝負だったような気がするのは駒木だけでしょうか。まぁ何はともあれ、青島優子選手、優勝&SG出場決定オメデトウございます。ついでに、ペア旅行の権利を獲得した3着の櫛田千秋選手もオメデトウございます(笑)。 ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今週の内容はスッキリしていて、それでいて読み応えもあって良かったと思います。こういう展開なら、ずっと応援したくなるんですけどね、この作品も。
3週に渡って続いたカシノ編も終了。最後まで、現実感皆無のストーリー展開でしたね。特に最後の「風が吹くかどうかの確率は1/2」って、何ですかそれ? あと、博識な皆さんは既にご存知でしょうが、現実世界ではルーレットの出目をコントロールできるようなディーラーは存在しません。というより、そんな技術は全く使い道が無いので、身に付けよう思うディーラーさえほとんど存在しないはずです。
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2003年第81回講義 |
今週は久々にレビュー対象作ゼロか…という感じでしたが、ネット界隈のネタバレ情報の通り、『スピンちゃん』が本誌再登場となりました。 さて、それでは情報系の話題から……なんですが、先週に引き続いて今週も確定情報は無し。ちょっと寂しいですね。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年48号☆ ◎読み切り『超便利ロボスピンちゃん』(作画:大亜門) 「赤マル」春号の2本立てで颯爽とデビューした『スピンちゃん』も、細かくタイトルを変えつつも今回が本誌2回目・都合3回目の登場。前回の登場から2ヶ月しかたってませんし、読み切りって感じがしませんね。 それでは本題へ。しかし、今回の作品は果たしていつ描かれたのか判らないので、前作との比較対照がし難いですね(苦笑)。下手すりゃ前作執筆前に描かれた原稿かも知れませんし、ここは「前作に比べると」云々という言い方は止めた方が良いかも知れません。 そう言った事も踏まえながら、まずは絵についてから。普段は「ギャグマンガにしては許容範囲だが改善の余地アリ」という感じで素っ飛ばしていますが、今日は少し詳し目に述べる事にしましょう。 しかし一方、ギャグについては、ほとんど文句のつけようのない良いデキになっています。連載作品級です。完全に主役級の3人(スピン、じいさん、透瑠)のキャラを掴んでいるようで、今後もネタ切れの心配も無さそうですし、既に熟練の域に達しようとしています。また、ギャグの“命”である間も絶妙で、相変わらず高いセンスを窺わせてくれますね。 評価は少し甘いかも知れませんが、今回もA−ということにしておきましょう。これだけの作品、もうボチボチ連載化も考えないと、ちょっと可哀想な気もします。もう少し画力がついたらゴーサインを出しても良いんじゃないでしょうか?
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の掲載順、『BLACK CAT』の直後に『HUNTER×HUNTER』ですか。ほんの数ページ差でシビアさ違い過ぎですがな(苦笑)。 ◎『武装錬金』(作画:和月伸宏)【現時点での評価:A−/中間まとめ】 今回で第1エピソード・“蝶野編”が終了。分量的には、これでピッタリ単行本2巻分になるんでしょうか? それにしても、自他共に認める“ハッピーエンド至上主義者”の和月さんらしく、カタルシス十分のエンディングでしたね。“ラスボス”の蝶野攻爵にまで救いを与えて、主人公側の主要キャラには犠牲者ゼロ。ハリウッド式エンターテインメントの王道ですね。 さて、以前お約束した通り、“蝶野編”終了時点での中間暫定評価をしておきましょう。 さて、こちらもどういった作品かが固まって来たようですので評価を出しておきましょう。 ……そういうわけで、まとめです。基本的には地味ながら重厚なストーリーを評価できるものの、主人公の設定に大きな構造的欠陥を抱えている…ということで、評価B+としておきます。
☆「週刊少年サンデー」2003年48号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「住んでみたいと思う国」。
作品最強のギャグメーカー・ナゾナゾ博士&キッドが一転して感動の嵐の中、永遠の別れ。
今回出て来た、「ルーレットで6回赤が出た後に、もう一度赤が出て7連続になる確率」は2分の1か2の7乗分の1か…という話について少々お話を。まずこの場合、単独の結果はその前後の出目と全く関係が無いはずですので、確率はダイキチの言う通り、2分の1が正解です。ディーラーさんは何か言ってますが、少なくともデジタルな観点からは答えは出ています(笑)。 まぁこの作品では、“運の流れ”のようなオカルト的視点からギャンブルを描いていますので、あんまり口を挟むと逆に興醒めですかね。でも、このマンガって、商売のノウハウをデジタル的な観点からレクチャーするマンガだったような気がするんですが(笑)。
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2003年第79回講義 |
今週もゼミは前・後半合同版でお送りします。また、今後も他の講義との兼ね合いで、こういうケースが増えそうな感じですね。以前からの受講生さんは、今年の春までのパターンに戻ったものだと考えて下さっても結構です。 さて、そういうわけで、今日も今週発売の「ジャンプ」と「サンデー」両誌の内容について、ゼミを実施します。 ──では、無駄に引っ張ってもアレなんで、早速レビューとチェックポイントに行きましょう。今週のレビュー対象作は「ジャンプ」から読み切り1本、「サンデー」から新連載1本の計2本です。チェックポイントも一緒にどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年47号☆ ◎読み切り『NOW AND ZEN』(作画:加治佐修) 今週の「ジャンプ」読み切り枠は、初の週刊連載が1クール打ち切りに終わってしまった加治佐修さんの復帰作です。 まず絵については、全く問題ないですね。先の連載の時から画力は「ジャンプ」連載作家の水準に達していましたので、当たり前と言えば当たり前ですが。また、今回は“岸本斉史色”が若干薄れたような感じで、加治佐さんオリジナルの味が出て来て良いんじゃないでしょうか。 ストーリー&設定についても、大きな減点材料は有りませんね。プロット自体は「ジャンプ」の読み切り王道パターンなんですが、そこに色々な設定や伏線を散りばめて、“ありきたり感”を和らげる事に成功しています。特に、この手のプロットで最も描き方の難しい“擬似超サイヤ人化”の部分を、ただ主人公が激昂するだけではなく、工夫を凝らしてまとめたのは高ポイントです。 ……そういうわけで、評価は少し高めにB+寄りA−ということにしておきます。ぶっちゃけた話、駒木の個人的な「面白い、面白くない」で言ったら後者の方になってしまうんですが、それで評価を落とさないのが当ゼミのスタンスですので、この評価を献上いたします。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 しかしまぁ、今回も恐ろしいくらい芸が細かくて中身の濃い19ページでした。以下、見所を箇条書きで。 ●最近またグングン絵が上手くなってますね、村田さん。 少年誌ラブコメの定番、寸止めキター!(笑) いやー、やっぱりコレがあってこその少年誌ですよ。ええ。 昔、コージィ城倉さんが「近代麻雀」で描いたマンガで、ラブコメを描いている作家とアシスタントが、麻雀で次回分のシナリオ制作権を争う……という話がありました。 ……で、何が言いたいのかと言うと、河下さんも、どうせやるならそこまでやってくれと(笑)。東城とのH阻止するためなら空襲警報鳴らすくらいの覚悟でお願いしたいと思います(笑)。
とにかくこの作品が異様なのは、“キャラクター生死のボーダーライン”が極めて低い事ですね。普通のお話なら間違いなく死なない、もし死なせるならストーリーのヤマ場で感動的に死なせるキャラを、いとも簡単に舞台から消してしまうんですよ。なので、危機一髪の場面で助っ人が現れて命が助かる…という、“ご都合主義だけど、カタルシスの大きさ故に許されるお約束”も一切ありません。「普通に考えたら、死ぬよな」という場面で本当にキャラクターを殺してしまうんですね。 でも普通、こんな危ない事を考える作家さんはいないんですけどね(笑)。作家にとって頭痛めて考えたキャラっていうのは、言ってみれば女の人がお腹痛めて生んだ赤ちゃんみたいに可愛いものですし。もし“割り切り上手”な人がそんな危ない考えをしたとしても、そんなシナリオ作りのための“切り札”を1つドブに捨てるような芸当、なかなか出来るものではないんですよ。 で、以上の点から推測すると、今後はゴンとキルア以外のキャラクターは、いつ誰が死んでもおかしくないと思います。
◎新連載『結界師』(作画:田辺イエロウ) さて今週の「サンデー」は、これがこの雑誌、今年の新連載第4弾になる『結界師』の登場です。 では、内容へ。 設定は、過去2回の読み切り版をほぼ踏襲して来ましたね。特に問題のあるモノではなかったので、変にイジるよりは逆に良かったんではないかと思います。というか、主人公がまたショタ笑顔だったらどうしようかと思いましたが、杞憂に終わって幸いです(笑)。 とりあえず今回は、読み切り版で作った“貯金”を非常に上手く活用して最高のスタートダッシュが切れたのではないでしょうか。勿論、マンガ家としての基礎能力の高さも特筆すべき物だと思います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「むちゃくちゃ眠くなったらどうしますか?」。 ◎『売ったれ ダイキチ!』(作:若桑一人/画:武村勇治)【現時点での評価:保留中/解説など】 今週から『100万$キッド』というサブタイトルがつきましたこの作品ですが(嘘)、ここでカジノ……じゃなかったカシノ・ミニ講座と参りましょうか。 今回のクリア条件はチップを5倍に増やすこと。具体的に言えば銅チップ1000枚を5000枚にするというわけですね。当講座の昨年12月18日付講義でも採り上げた通り、元来カシノのギャンブルは“一攫千金”性が低くて短期決戦に向いていませんから、これはなかなか厳しい条件と言えます。 では、今回の条件に向いている種目は何が挙げられるでしょうか? まず、一番確実にチップが増やせる種目ならばブラックジャックでしょう。やはりカードカウンティングという必勝法(=期待値が100%を超えるプレイ方法)が存在するというのは非常に大きいです。この必勝法を実践できるだけの技術と知識があることが前提ですが、まずはこれを選択してチップを増やしておきたいところです。幸いにもバカヅキが来れば一気にクリアまで狙えます。逆にツキが無くても取り返しのつかない大負けは考え難く、最初のステップとしては最適の種目と言えそうですね。 ……え、駒木ならどうするか、ですか? そうですねー。自分はギャンブルをプレイする事以外でチップを増やす事を考えますね。ルールはあくまでも「チップを増やす」ことであって、「チップをギャンブルで増やす」ことではないのですから、いくらでも方法はあるはずですよ(ニヤリ) トビラの女子王座ベスト6揃い踏み、現実の競艇でもこんな美人揃いなら、もっとお客さん増えると思うんですけどねぇ(禁句)。 「ちなみにサンデー編集部でも編集長派と副編集長派ってのがいてね、骨肉の権力争いをしてるのよ」
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2003年第76回講義 |
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今週の「サンデー」の表紙と巻頭を飾った星井七瀬さんが、その勢いで「うたばん」にまで進出して1stシングル・「恋愛15シミュレーション」を唄いましたが、いやぁ強烈でしたね皆さん。 ──以上、挨拶。今週のゼミを始めます。諸々の事情により、今週分は前後半合同でお送りします。 まずは情報系の話題から。今週は「ジャンプ」・「サンデー」両誌で月例新人賞の審査結果発表がありましたので、受賞作等を紹介しておきましょう。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ※「ジャンプ十二傑新人漫画賞」 ※「サンデーまんがカレッジ」 ……「十二傑漫画賞」8月期の審査員は許斐剛さん。先月の矢吹健太朗氏のように、講評で身の程をわきまえない発言連発か……と思いきや、ギリシアのデルフォイ神殿で“汝自身を知れ”と教わったかのように、全ての入賞作を徹頭徹尾褒め倒し。それともこの人、本気で「うわー、この人たち本当に俺より上手い」と思ったんでしょうか。 ──さて、今日は新作の話題も2つあります。まずはおめでたい新連載の話題から。「週刊少年サンデー」の次号・47号より、田辺イエロウさんの『あやかし方陣伝 結界師』がスタートします。 最後に「ジャンプ」の読み切り情報を。次号・47号に『NOW AND ZEN!』(作画:加治佐修)が掲載されます。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年46号☆ ◎読み切り『人造人間ガロン』(作画:中島諭宇樹) 今週の読み切りは、デビュー2作目にして本誌初登場となる中島諭宇樹さんの『人造人間ガロン』です。 中島さんは佐賀県出身の24歳。珍しい名前ですが、これが本名とのこと。高校時代から本格的にマンガ家を志し、同人誌を作るなどしていたらしいですね。 ……実は、今回のレビューにあたっては、中島さんの学生時代の知り合いとおっしゃる方が2人も情報を提供して下さいました。非常に興味深いエピソードや履歴も教えて下さったのですが、この中には“作家・中島諭宇樹”というよりも“人間・中島諭宇樹”についての、いわゆるプライバシーに関わったものが多く、今回は紹介を見合わせて頂いた情報もありました。 ……では、作品の内容へ話を進めてゆきましょう。 絵は、最近流行の作風からは外れているものの、それがかえって独特の雰囲気を生み出していてプラスに働いているのではないかと思います。 次にストーリー・設定に関して。 ですから、この作品は(少なくとも中島さんレヴェルでは)凡作ということになります。もっとも、これが凡作というのはかなり贅沢な話ではあるのですが。
巻末コメントでは岸本斉史さんの結婚報告が。披露宴に出席したらしい武井宏之さんからも祝辞コメントが掲載されました。先週号の休載は結婚準備と新婚旅行休みだったんですかね。だとしたら編集部も粋な計らいをするものです。 ◎『テニスの王子様』(作画:許斐剛)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ◎『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ついでにこっちもやっちゃいましょうか(笑)。
◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「人に言われた心に残る言葉」。結構色々なバリエーションの回答が寄せられて、なかなかの良問でしたね。中でも、「おまえが休んでいた間は、本当に授業しやすかった」(あおやぎ孝夫さん)、「お前と遊ぶなってウチの親に言われたよ」(井上和郎さん)…といった自虐ネタが個人的にヒットでした。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)【現時点での評価:A−/雑感】 ◎『WILD LIFE』(作画:藤崎聖人)【現時点での評価:B+/雑感】 宝生さん、いくら切羽詰ってるからっていっても、 駒木もあります、ダメフィルター。 ◇駒木博士の読書メモ(10月第2週)◇ ◎単行本『銭』1巻(作画:鈴木みそ/「月刊コミックビーム」02年11月号〜03年8月号収録分) 開講当時から左フレームのリンク集に氏のウェブサイト『ちんげ教』を(勝手に)載せている事で既にお分かりかも知れませんが、駒木は随分以前(中学生の頃)から、まだコラムニスト兼イラストレーターだった頃からの鈴木みそさんのファンだったりします。本当に凄く面白ぇんですよ、当時のコラム。単行本化されてないのが不思議なくらいで。(ちなみに駒木が一番好きなコラムは、「ドンブリ一杯のウンコをいくらなら食うか」というテーマについて社会学的に考察した一本。しかもイラスト付) |
2003年第74回講義 |
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お待たせしました。今週分のゼミを実施します。もう「ジャンプ」の内容などは既に記憶が薄れている方もいらっしゃるでしょうが、もう一度古新聞・古雑誌の山の中から引っ張り出して頂ければと。 ではまず、情報系の話題を1本。日付的には明日発売になる次号(46号)の「週刊少年ジャンプ」に掲載される読み切り情報です。 さて、今日は合同版でやらなければならない事も多いですし、無駄口利かずにレビューとチェックポイントへ参りましょう。ちなみに今回もチェックポイントはショートバージョンで失礼します。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年45号☆ ◎新連載第3回『神撫手』(作画:堀部健和)【第1回掲載時の評価:B】 今回の新連載シリーズ関連のレビューも、いよいよこれで最後になります。 あー、結局余談をしてしまいました(苦笑)。『神撫手』について述べてゆきましょう。 新連載から3週間。一部で「絵が真っ白になって来た」と言う非難も出ていますが、やはり問題があるのはストーリーと設定についてだと思われます。 とにかく設定とストーリーの整合性が杜撰なのが頂けません。特に第2話で公開された「神撫手の能力は1日1度まで」という設定と第1話の内容(1日に2回も能力が使用されている)が矛盾している点は、「いくらなんでも」なボーンヘッドです。 評価はほぼ1ランク落としてC寄りB−とします。まだ結果は判りませんが、結局のところ読み切り版のレビューで警告した通りになってしまいそうですね。
今週の読み切りは「ジャンプ十二傑新人漫画賞」の6月期佳作・十二傑賞作品の掲載です。「十二傑」受賞作の本誌掲載は初とのことですが、秋は「赤マル」が発行されないシーズンですから、時期的にも恵まれたんでしょうね。 謎はさておき、内容についてお話してゆきましょう。 まず、受賞時から散々指摘されている絵についてからですが……。 次にストーリーと設定について。こちらも判断が非常に難しいですね。評価出来る部分と出来ない部分が複雑に絡み合っていて、果たして総合的にどのような評価を下したら良いのか、その落とし所が難しい…と言うのが第一印象です。 とりあえず、今回の作品は加点・減点激しく相殺させてB+ということにしておきます。今後に注目の作家さんがまた1人増えた…というところでしょうか。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『武装錬金』(作画:和月伸宏)【現時点での評価:A−/雑感】 談話室(BBS)でも指摘があったように、この作品、世界観ぶち壊し寸前になるくらいギャグが挟まれているんですよね。 「週刊少年サンデー」2003年45号☆ ◎読み切り『大蛇(オロチ)』(作画:夏目義徳) さて、今日のメインイベントですね。既に作者の夏目さん実施の“コラボレーション企画”にビックリされた方もいるかも知れませんが、駒木もビックリしています(笑)。いや、「社会学講座のパロディをやります」とは聞かされていたんですが、雰囲気似過ぎです(笑)。 ──では、こちらは“本家”らしく正調・「現代マンガ時評」といきましょう。 夏目さんの経歴についてですが、今回は夏目さんから“公式”のプロフィールを提供して頂きましたので、そちらを紹介しておきます。
……ここで下手な感想を述べてしまうと、またご本人からご指摘を受けそうなので止めておきますが(苦笑)、『MAJOR』って、色々な意味で凄い作品だと思いました。 では、いよいよ内容の方へ。作者ご本人が見ているのを知っててレビューするのはこれが初めてなんですが、「本人の前で出来ないようなレビューはしたくない」と言う事は以前から考えていましたので、臆する事なく全力でぶつかっていきたいと思います。 まずは絵から。明らかに他の掲載作品とは“色”の違う、暗い(黒い?)絵柄が非常に印象的です。こういう場では目立ってナンボという部分もありますので、こうして差別化を図るのは良い考えだと思います。ただ、残念ながらやっぱりこの紙質では見難い箇所が出てしまいますよね。 次にストーリーと設定について。“原案”は別の人が担当したとのことですが、それでもストーリーに関する最終的な責任は夏目さんにあると思いますので、ここではそういう扱いをさせてもらいます。 評価の方はB+ということにしておきます。お世辞抜きで、作品の完成度には「さすが」と思わせるモノがあったと思いますので、今度はもっとスケールの大きさを感じさせるような作品が見てみたい…というのが、一読者としての願望です。
以上、1日だけ変身したいのは「仲間由紀恵さんの付き人、またはマネージャー」の駒木ハヤトでした(笑)。 |
2003年第73回講義 |
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前回のゼミでの大失策について、受講生さんからもいくつかの叱咤や激励を頂きました。 では、日付の上では先週となってしまいました、9月最終週&10月第1週のゼミ後半分をお届けします。 まずは今日も情報系の話題から。
駒木にも「遠慮なく自由にレビューして下さい」と言って下さってますので、全力で審美眼を研ぎ澄まし、ガチンコ勝負させてもらいたいと思います。その上でA評価を出せれば本当に嬉しいですね。期待して発売日を待ちたいと思います。 ……それでは今日もレビューとチェックポイントへ。レビュー対象作は読み切り1本のみ。カリキュラム遅延のため、チェックポイントも少なめでご容赦を。 ☆「週刊少年サンデー」2003年44号☆ ◎読み切り『PUMP☆IT★UP』(作画:大和八重子) 突如として始まった、元連載作家さんによる読み切りシリーズ、今週は大和八重子さんのビーチバレー物作品が登場です。 元連載作家さんですから当たり前と言えば当たり前ですが、絵に関しては何も問題は無いですね。ただ、顔の輪郭のバリエーションが乏しくて違和感を感じるのですが、まぁそれは些細な事でしょう。 しかし、ストーリーと設定はかなり問題が多いような気がしますね。 まず注文をつけたいのはキャラクターデザインの面ですね。よりにもよって「週刊少年サンデー」で、頭が悪いジャニーズ系アイドル的な男受けの悪いキャラを主役に据えるのは正直どうなんだろうと。 こんな偉そうな事を言うのはアレだと思うんですが、この作品、もうちょっとネームを練る余地があったんじゃないかと思います。評価はB寄りB−としておきます。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「学生時代の部活は何でしたか?」。美術部と漫研が多いのは当たり前(しかも漫研より美術部が多いのが重要)として、運動部経験者が大半だというのは興味深いですね。やっぱり積極的な学校生活を経験していないと、リアリティのある人間関係はなかなか描けないという事なんでしょうか。 ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今週の話、コレ凄いですよ。 |
2003年第71回講義 |
講義の実施が予定より遅れております。 で、今日はゼミの今週前半分を実施します。本当なら合同版でお送りしたいところなのですが、今週はレビュー対象作が多くて、なかなかそうも行きません。本当、忙しい時に限ってやらなくちゃいけない仕事量が増えるんですよねぇ。しかもあんなクズみたいな作品に(ぼそ まずは軽く情報系の話題から。先の改変で連載枠が1つ増えたものの、今度はローテーションで連載陣に取材休みを入れて連載枠を確保するようになった「ジャンプ」。次号も新人さんの読み切りが掲載されます。 ──さてここで問題です。この件で一番失礼なのは誰でしょう? ◎新連載第3回『サラブレッドと呼ばないで』(作:長谷川尚代/画:藤野耕平)【第1回掲載時の評価:B】 恐らくここ数年の連載作品の中で、「タイトルだけではどんなマンガか分からない作品第1位」に輝きそうな柔道マンガ・『サラブレッドと呼ばないで』が連載第3回を迎えました。 まぁそれはとりあえずさておき、内容についてです。 そういうわけで、現状では「ストーリーキング・ネーム部門出身作品」という肩書きとは程遠い内容になっていると言わざるを得ません。少なくともストーリーテリングの面では、この部門の“先輩”である『ヒカルの碁』や『アイシールド21』には及ぶべくも無いというのが、この作品の今の姿です。 最後に評価ですが、長所・短所を差し引きしてみると、やはり初回のB−寄りB評価のまま据え置きということになりますか。初回の評判が良かったので、1クール生き残りはあると思いますが、長期連載となると疑問符がつくでしょうね。
さぁ、この時間が遂にやって参りました。当ゼミでは『シュールマン』のクボヒデキ氏と並ぶ“駄作メーカー”・イワタヒロノブさんの登場です(苦笑)。このレビューに関しては、ちょっと私情じみた文言が混じるかも知れませんが、どうか大目に見て下さいまし。 イワタさんは01年3月期「天下一漫画賞」で最終候補まで残り“新人予備軍”入りを果たした後、01年下期「手塚賞」で準入選を受賞。同年末の「赤マルジャンプ」でデビューを果たしています。ちなみにこの時の受賞作は、今回の作品のプロトタイプとなった作品です。 それでは作品について述べてゆきますが、まぁ結論からハッキリ言いますと1年前から進歩ゼロですね(苦笑)。絵、ストーリーテリング、歴史考証、全てがグダグダなまんまです。まぁ今頃デビュー作の焼き直しを持って来るという発想からして既に進歩が無いわけなんですけれども……。 まず絵ですが……どこから指摘してゆきましょうか(笑)。全体的に下手なので、挙げだすとキリが無いんですよねぇ……。 ストーリー&設定に関しても、満遍なくダメダメです。 最後に、当講座らしく歴史考証についても言及しておきましょう。 まず、ドイツの伯爵令嬢だというのに、主人公の名前・マーガレットは英語読みになっちゃってますね。まーたやっちゃってますよ、この人は(失笑)。しかもセリフのあちこちに英語がバンバン出て来ますし。まぁ映画『ジャンヌダルク』もフランスが舞台の英語劇でしたけれどもね(笑)。 また、歴史上根本的なミスとして、「祖父・都市エビスハイムの市長/父・伯爵(貴族)」という家族関係は100%あり得ません。 次に時代背景から考証を加えてみましょう。「17世紀」、「ヨーロッパ中を巻き込んだ大戦」と言うと、三十年戦争(1618〜1648)以外に有り得ませんから、その2年後ということは、この話の舞台は1650年のドイツという事になりますね。 また、細かい話ですが、この頃の都市は、人口過剰の為に市街地が城壁の中に収まり切らない事が多々ありました。ですから当時の実態を厳密に採用すると、このお話自体が成立しなくなってしまいますね(苦笑)。 ──これらの事は、読者である受講生の皆さんは知らなくて良い事ばかりです。が、実在の歴史を扱った作品を描こうとする作者ならば、必ず勉強しておかなければならない事です。歴史の知識があるからこそ描けるディティールの描写が、作品のリアリティやストーリーを際立たせてくれるのです。付け焼刃の知識をバックボーンにお話を作っても、結局はそれ相応のクオリティにしかならないのです。現実にそうなっているでしょう? 評価は当然Cです。僭越ながらイワタさんには「マンガ家辞めるか、死ぬほど勉強するかどっちかにしろ」と言わせてもらいたいと思います。
先ほどのレビューで力尽きた感もありますが(苦笑)、今週は『ピューと吹く! ジャガー』が作者都合休載のため、代原が掲載されました。 絵については、画力そのものはギャグマンガなら十分合格点でしょう。ただ、コマ内に余白が多すぎる事が影響しているのか、画力の割には妙な違和感を感じる回数が多かったように思えます。ちょっと残念ですね。 ギャグの方は、有り体に言って「まだまだ」といったところでしょう。“オチのコマまで長いネタ振り→ネタ振りとのビジュアルの落差で笑わせようとするオチ”のオンパレードで、さすがに最後の方には飽きが来ます。また、ネタの構成を考えると、わざわざ1ページ1ネタにする必要は無かったように思えます。前フリを濃縮して4コマにまとめるか、または前フリを2〜3ページまで引っ張ってオチを強調した方が良かったでしょうね。あと、オチのバリエーションも増やすべきでしょう。 一応はギャグマンガの体を成しているので、評価はB−くらいが妥当だと思います。
◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 あちこちの「ジャンプ」評論サイトで評判の今回ですが、確かに原作、作画とも良い出来ですよね。パンサーの設定描写はほぼ完璧ですし(アニメの古典・空中走りは少々やり過ぎですがw)、アメリカ人キャラの描き分けもリアリティが感じられて好感が持てます。アメリカの青春スポーツ物映画って、こういうキャラ出てきますよね(笑)。 ここ最近ずっと思ってるんですが、久保さんの演出力は「ジャンプ」連載陣の中でも目立って来てますね。シナリオそのものが行き当たりバッタリ&単純&どこかで見たような話であるために、残念ながら傑作までには届かないんですが、そういう話をここまで面白く見せるというのは皮肉じゃなくて素晴らしいです。
で、もっと凄いのがこのお方ですよ(笑)。冨樫さんの凄いところは、上手く演出しているところを「こんなの当たり前に出来ますよ」という風にサラリとやってしまう事なんですよね。
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