「社会学講座」アーカイブ(競馬学関連・9)

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講義一覧

11/15 競馬学特論 「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第5戦・エリザベス女王杯」
11/1 競馬学特論 「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第4戦・天皇賞(秋)」

10/26 
競馬学特論 「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第3戦・菊花賞」
10/18 
競馬学特論 「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第2戦・秋華賞」
10/4 競馬学特論「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第1戦・スプリンターズS」

9/22 競馬学概論
「“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝」(12)最終章・ミホノブルボン(後編)
9/21 競馬学概論
「“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝」(11)最終章・ミホノブルボン(中編)

 

2003年第85回講義
11月15日(土) 競馬学特論
「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第5戦・エリザベス女王杯」

 いよいよこの企画も折り返し地点の第5戦を迎えました。今週は3歳、古馬、外国調教馬が入り混じる実力伯仲のメンバー構成になり、激しいレースがが期待出来るエリザベス女王杯。果たして今年度牝馬No.1の栄冠に輝くのはどの馬か、そして当講座スタッフから的中者は出るのか? どうぞご期待下さい。

第5戦・エリザベス女王杯(京都2200芝外)
馬  名
(外国調教馬は赤字)
騎 手

 下段には駒木ハヤトの短評が入ります。

×  ◎ アナマリー スミヨン
昨年のジャパンC有力馬・ブライトスカイの好敵手。牝馬限定なら能力的にも十分通用。あとは日本の高速馬場の適性次第。

 

      オースミハルカ 川島

相手強化、距離延長で陣営ムードが極めて弱気。ファインモーション、スティルインラブを負かした意外性は怖いが。

×

×   レディパステル 蛯名

一昨年のオークス馬。牡馬のG2・G3級と互角に戦える地力は未だ健在。前走後の頓挫の影響だけが不安材料。

        メイショウバトラー 武幸

高橋成調教師・ホースマン人生の集大成、再び果敢にG1挑戦。しかし秋華賞で先着許した6頭を逆転できる術は?

× スティルインラブ
史上2頭目の三冠牝馬が世代の枠を飛び出して勇躍挑戦。力は互角以上だが、やはり前走でピークは過ぎた感。
        ヘヴンリーロマンス 松永

平場1000万下快勝も、このメンバーでは勲章にならず……。

アドマイヤグルーヴ 武豊

明らかに成長窺える秋シーズンのレース振り。ここに来て更に充実した感有り、G1初制覇を古馬混合で達成する可能性も十分。カギはやはりスタートと折り合い。

  ×     ヤマカツリリー 安藤勝

牝馬三冠ロードを4、4、3着は立派の一言に尽きる。だが、勝ち切るだけの力強さに欠けるのもまた事実で……。先行から流れ込んだ時の三連複要員?

  ×   ダイヤモンドビコー ペリエ

前年の2着馬がベストパートナーを鞍上に登場。ここに来て体調良化の気配も窺え、引退レースを勝利で飾れるか?

        10 シンコールビー 佐藤哲

オークス3着馬も秋シーズンはレース以前の調整で大苦戦。陣営の戦意も上がらぬままで、苦戦は必至。

        11 ショウナンバーキン 四位

3歳時にG3クイーンC3着の実績あるも、現在は1000万条件の身。バリバリのオープン相手に通用するとは考え辛い。

        12 トーワトレジャー 上村

充実一途の昨年とは雲泥の差の臨戦過程。やや持ち直しの気配はあれど、得意のスローペース・決手勝負は望めなさそうで……。

    × 13 スマイルトゥモロー 吉田豊

追い込みで昨年のオークスを制したこの馬が、新戦術・大逃げを引っさげてG1戦線に復帰。直線平坦の京都コースを味方にどこまで粘るか?

      14 タイガーテイル ジレ
2000mの持ち時計2分00秒3で、高速馬場への対応は問題無さそう。だが、アナマリーとの直接対決で3戦して3つとも完敗で、地力の面で問題が……。

  × 15 ローズバド 横山典

昨年は超スローペースに沈むも、このメンバーに入っても十分主力クラス。唯一最大の懸念は、豪快な末脚を持ちながら何故か勝ち味に遅いところ。ある意味、鞍上も不安材料か。


●展開予想
(担当:駒木ハヤト)

 逃げても不思議の無い馬は何頭もいるが、前走・府中牝馬Sで豪快な大逃げを披露したスマイルトゥモロー陣営からハナ切り宣言。天皇賞でミソをつけた吉田豊騎手だが、今度は大丈夫だろう。というより、あのパフォーマンスを見せられては、他の騎手には鈴を付けに行こうという発想すら出て来ないだろう。
 とはいえ、前走のスマイルトゥモローの大逃げは、意図的というよりも抑えが利かなくなっての“暴走”。1800mのレースでさえ最後はバテバテだったのに、2200mで同じ手が通用するとも思えない。よって、今回は離し逃げを打つにしても常識的な範囲に落ち着くのではないか。(勿論、再度暴走したら話は別だが、その場合は3コーナーで脱落するので、話は余計簡単になる)
 展開は全体的に縦長。ほとんどハナを切るような態勢で2番手につけるのが、恐らくヤマカツリリー。オースミハルカ、トーワトレジャーも先行策を採るだろう。本来ならこの位置にいるはずのダイヤモンドビコーだが、ペリエの作戦次第では中団くらいまでポジションを下げる事も考えられる。
 スティルインラブ、アドマイヤグルーヴといった有力馬は中位前後に固まり、3〜4コーナーで差を詰めて行くだろう。その後ろからローズバドはいつも通りの“独自の戦い”。ここ最近、G1で「届かず2着」の目立つ横山典騎手だが、今回は果たしてどうか。
 縦長の隊列・やや速めのペースで流れるレースは、展開不問の地力勝負になり易い流れ。しかし、敢えて言うならば、先に抜け出さざるを得ず、後続から格好の目標にされてしまう先行馬は、直線入口で相当リードを広げておかないと不利は否めないところだろう。

●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」●
《本命:ダイヤモンドビコー》
 

 賢明な受講生の皆さんなら既に承知だろうが、このレースの予想におけるポイントは、“3歳世代VS古馬世代”と“日本馬VS外国調教馬”の2点。もっと言えば3歳と古馬と外国馬のうち、どのグループが一番強いねん? …という話である。これをどう判断するかで、馬券の買い方が大きく異なって来るだろう。そして、馬券の売れ行きから推測するに、どうやら巷では“3歳>古馬>外国馬”という順位付けが為されているらしい。
 だが、駒木個人のジャッジは“3歳=古馬=外国馬”。つまり横一線だ。三冠を達成したスティルインラブも、昨年のファインモーションに比べれば小粒な印象は否めず、せいぜいテイエムオーシャン級といったところだろう。それなら古馬勢でも十分相手になるはずである。外国勢も、ブライトスカイと良い勝負の出来るアナマリーなら地力は互角だろう。(あくまでも駒木の見立てが合っていればの話だが)
 しかし困った事に、この横一線に並んだ各カテゴリの有力馬がどれもこれも一長一短で、どの馬を本命視するか非常に迷うところである。外国勢は日本の馬場の適性が問われるし、レディパステルとダイヤモンドビコーは臨戦過程が万全ではない。人馬共に“2着病”な上に絶えず不発と隣合わせの追込馬であるローズバドも連軸には推し辛いし、アドマイヤグルーヴも気性難が危なっかしくて堪らない。スティルインラヴに至っては、全てのピークが秋華賞だった事を考えると絶好の“消し頃”ですらある。許されるなら馬連6頭ボックス15点買いでお茶を濁したい衝動に駆られる。本当に参った。
 で、散々迷った挙句、ここに来て最も勝負気配の感じられるダイヤモンドビコーを危険承知で推す事にした。アドマイヤで日和りたいところだが、ここは覚悟を決めてアグレッシブに行く。ベストパートナー・ペリエ騎手が鞍上で、しかも後の事を考える必要の無い引退レース。ここで買わねばいつ買うと言うのだ。
 

駒木ハヤトの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 8.1
馬連 7-9 100円 21.5
  1-9 100円 59.2
  1-7 100円 36.8
  9-15 100円 22.3
  5-9 100円 19.4
  3-9 100円 22.3
馬単 9→7 100円 56.1
  9→1 100円 127
三連複 1-7-9 100円 124


●栗藤珠美の「レディース・パーセプション」●
《本命:アドマイヤグルーヴ》

 フルゲートには届かなかったですけど、目移りするような実力馬揃いのレースになりましたね。でも、その分だけ予想が難しくて困ってしまいます(苦笑)。
 それでも、直前追い切りの気配が絶好で、展開も味方しそうなアドマイヤグルーヴが頭半分抜けている…と判断して、本命にしました。怖いのはやっぱり出遅れですけど、秋の2戦を見る限りでは、ちょっとは精神的に成長したんじゃないかって思えるんですよね。
 でも、こういう時に限って出遅れとかしてしまいそうで、ちょっと怖いです(苦笑)。どなたかの影響で、すっかりネガティブに考える癖が付いてしまったみたいですね、私も(苦笑)。……あ、いえ、博士、何でもありませんよ(笑)。

栗藤珠美の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 4.0
馬連 5-7 100円 5.6
  3-7 100円 15.5
  3-5 100円 12.0
  7-15 100円 11.8
  1-7 100円 36.8
  7-8 100円 37.1
馬単 7→5 100円 11.8
  7→3 100円 29.4
三連複 3-5-7 100円 12.8


●一色順子の「ド高め狙います!」●
《本命:アナマリー》

 今週も天皇賞と一緒で、どの馬も穴馬のような人気馬のような……って感じで結構迷っちゃいましたけど、最後はほとんど名前で決めちゃいました。穴…じゃなくてアナマリー。良い名前じゃないですか(笑)。フランスでもG1実績あるみたいですし、日本の馬場がこなせたら、呆気なく勝っちゃうかも…なんて思ってるんですよ。
 で、相手は人気馬中心になっちゃうんですけど、○印だけ欲張ってスマイルトゥモロー。これは馬券抜きにしても、どこまで面白い逃げをしてくれるのか楽しみにしてるんです。

一色順子の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 15.1
馬連 1-13 100円 152
  1-5 100円 29.5
  5-13 100円 53.3
  1-7 100円 36.8
  1-3 100円 54.2
  1-9 100円 59.2
馬単 1→13 100円 213
  1→5 100円 66.7
三連複 1-5-13 100円 218

 
●リサ=バンベリーの「ビギナーズ・ミラクル!」●
《本命:スティルインラブ》

 ただでさえ競馬のコトがよく判らないのに、ヨーロッパの馬が来るってどういうワケですか?(苦笑) しかも駒木博士に質問したら「外国馬かー。強いかも知れないし、そうじゃないかも知れないなー。少なくとも1頭は多分強いと思うんだけど、強いだけじゃ日本で通用しないかも知れないし……」とか、優柔不断な答えが返って来ちゃいましたし(苦笑)。絶対責任逃れしようとしてますよねー。
 でも仕方ないので、知ってる3歳馬とヨーロッパからの馬に、大逃げが忘れられないスマイルトゥモローの6頭で狙ってみます。本命は、勝つところを見てみたいスティルインラブで。 

リサ=バンベリーの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 3.3
馬連 5-7 100円 5.6
  1-5 100円 29.5
  1-7 100円 36.8
  5-14 100円 81.8
  5-15 100円 9.5
  5-13 100円 53.3
馬単 5→7 100円 10.4
  5→1 100円 48.8
三連複 1-5-7 100円 31.0

エリザベス女王杯 成績

1着 アドマイヤグルーヴ
× 2着 スティルインラブ
      3着 14 タイガーテイル
× ×   4着 レディパステル
  × 5着 15 ローズバド

単勝7 360円/馬連5-7 530円/馬単7-5 1070円/三連複5-7-14 9570円

 ※駒木ハヤトの“敗戦の弁”(不的中)
 正に痛恨のミスチョイス。しかし、アドマイヤグルーヴがマトモで、ダイヤモンドビコーが出遅れるってどういう事だよ(苦笑)。いくら展開に融通利く馬でも、直線入り口でローズバドより後ろなんだから勝てるわけないじゃないか。
 ただ、今回に関しては、不利が無かったとしても3着が精一杯だったと思うので、まぁ仕方ないかな。3歳の2頭をテイエムオーシャン級って言ったけど、テイエムオーシャンなら、今回の古馬勢には勝つよな、普通(苦笑)。どこか冷静さを欠いてたね。来週また仕切り直しだ。

 ※栗藤珠美の“喜びの声”(単勝、馬連、馬単的中)
 ローズS、秋華賞とアドマイヤグルーヴの取捨選択を惜しいところで間違えていましたので、やっと報われた気がして本当に嬉しいです! タイガーテイルがいなければ……と考えると、やっぱり少し勿体無い気持ちもするんですけど、ま、これは仕方ありませんね。
 私の予想スタイルで、順子ちゃんに追いつけるかどうか分からないですけど、後半戦も出来るだけのことはしてみたいと思います。

 ※一色順子の“終了しました……”(不的中)
 アナマリーも一瞬だけは良い脚を使ってくれたんですけど、8着ですか……。自分だけ賞金持って帰ってわたしは大ハズレ。自業自得ですけど、何だか悔しいです(苦笑)。
 ていうか、穴狙いならタイガーテイルから狙うべきでしたよね。まあ、それならそれで強烈に悔しいタテ目だったりするので、結局わたしの勝ち目はゼロだったわけなんですけどねー(苦笑)。
 後半戦、このままでも逃げ切れちゃいそうですけど(笑)、出来ればあと1回くらいは万馬券当ててみたいですね。あと5戦、「10倍以下の馬券は馬券じゃない」をモットーにがんばります!
 

 ※リサ=バンベリーの“ハッピー・ハッピー・グッドラック”(馬連のみ的中)
 ハナ差で馬単の的中逃しちゃいました……。せめて残念賞とかもらえないんでしょうか(笑)。
 馬券成績の方は、とりあえず駒木博士の背中が見えて来たので、3位を目標に頑張りたいと思います。これからも応援ヨロシクです!

第5戦終了時点での成績

  前回までの獲得ポイント
(暫定順位)
今回獲得したポイント 今回までの獲得ポイント
(暫定順位)
駒木ハヤト 2640
(2位)
0 2640
(3位)
栗藤珠美 1840
(3位)
1960 3800
(2位)
一色順子 29540
(1位)
0 29540
(1位)
リサ=バンベリー 1660
(4位)
530 2190
(4位)

 (ポイント・順位の変動について)
 これまで的中回数の割に点数を重ねられなかった栗藤珠美が初の本線的中で暫定2位に浮上。トップとの差は依然として大きいものの、この結果を今後に繋げたいところ。リサ=バンベリーも3ケタ得点ながら2戦連続の加点をしている。
 一方、アグレッシブさが裏目に出て3連続不的中の駒木ハヤトは、いよいよ尻に火が点いて来た。ホスト役の名誉にもかけて、最下位転落は避けたいが……。

 


 

2003年第82回講義
11月1日(土) 競馬学特論
「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第4戦・天皇賞(秋)」

 一色順子の万馬券的中により、突如として風雲急を告げる状況となった今回の予想ラリー。いよいよ中盤に突入の第4週・秋の天皇賞予想の模様をお届けします。
 前日時点の馬連オッズが全ての組み合わせで10倍以上と言う混戦ムードの中、4人はどのような結論を下したのか、どうぞジックリとご覧下さい。

第4戦・天皇賞(秋)(東京2000芝)
馬  名 騎 手

 下段には駒木ハヤトの短評が入ります。

       × サンライズペガサス 柴田善
言わずと知れた、中長距離シーンの強豪馬。しかし、屈腱炎による丸1年の休養明けでは……。
× エイシンプレストン 福永
アメリカ生まれの香港巧者という変り種。地力は誰もが認めるところだけに、4年ぶりの国内G1制覇を果たしたいところだが。

 

      トーセンダンディ 江田

臨戦過程、距離、コース適性、そして地力の差。不利な条件が揃うだけ揃った中、体調の良さだけでどこまで?

 

      テンザンセイザ 藤田

府中巧者血統・トニービン産駒組のエース。地力不足をどこまで補えるか注目だが。

  ローエングリン 後藤

フランス帰りも仕上がり良好。自分のペースを作って、実績上位馬に正面から堂々と戦いを挑む。

        ダービーレグノ
夏のローカル開催で不振脱出。かつての醜態は度外視すべきも、やはりここでは家賃が高そうで。
× ×   ツルマルボーイ 横山典

追い込み一辺倒ながら、比較的安定した成績を残せるのは強み。しかしトライアルを叩けなかった誤算は少なからず響きそう。

  ×     モノポライザー 武豊

かつてのダービー馬候補が、屈辱の準オープン陥落を乗り越え再びメインステージへ。まだまだ課題も残されているが、そこを鞍上がどうフォローするかも見もの。

        ロサード 武幸

前走で重賞制覇も、臨戦過程でデキ降下。好走条件の注文も多く、ここで多くを期待するのは酷か。

      10 ファストタテヤマ 安田

京都のスペシャリストから、全国区のダークホースへ。相手関係は厳しいが、長い直線を活かして、父に2週連続のG1勝利をプレゼントできるか?

11 アグネスデジタル 四位

オペラオーを屠った一昨年の激走は未だに鮮烈。相変わらずムラ駆けの傾向はあるが、現役最多勝・G1レース6勝の実績は有無を言わせぬ重みが。

×       12 カンファーベスト 安藤勝

昇り馬が勇躍G1初挑戦。相手関係は不利だが、鞍上がいかにも頼もしい。緩みの無い展開になればチャンスはある。

        13 ゴーステディ 吉田豊

オープンで勝ち星未だ無し。本調子欠く調教にも不満が残り、理想の単騎逃げでも果たしてどこまで?

        14 トレジャー 五十嵐冬

重賞クラスでは決め脚不足に悩まされる日々。待望の岡部騎手復帰もならず、ここで多くを望むのも酷か。

      15 トーホウシデン 蛯名

かつての菊花賞2着馬が漸く復調の兆し。昨年の0.4秒差5着から、どこまで差を詰められるか。

    × 16 イーグルカフェ 田中勝
昨秋以来の“確変”モードも、いよいよ終焉ムード? 内ラチ沿いから抜け出すパターンが得意なだけに、この外枠も不利。不気味さだけは漂うが……。

 

      17 ヤマノブリザード 勝浦

マル地・期待の星も、ここ最近はすっかり沈滞ムード。存在感示したいところだが、強調材料も乏しくて。

×

  18 シンボリクリスエス ペリエ

年度代表馬、満を持して登場。仕上がり万全、地力も抜群、鞍上も文句なし。しかし、この18番枠が全てを帳消しに……。

 

●展開予想(担当:駒木ハヤト)

 逃げ宣言はゴーステディ。しかし、事実上のペースメーカーはローエングリンが務めることになるだろう。前が余りに行き渋るようなら、自らハナを切るのも躊躇しない構え。末脚が鈍らない程度、澱みの無い流れの平均ペースで、道中は流れてゆくだろう。
 そのローエングリンを好位からマークできるのがアグネスデジタルとシンボリクリスエス。絶好の目標を前に見据え、タイミング良く抜け出しを計る。ただし、シンボリクリスエスは大外枠の捌き方を間違えると大きく後手を踏む恐れも。
 差し・追込は決め脚よりも位置取りに融通が利くかどうかがカギになりそう。前が完全に止まる事は考え辛いだけに、追い込み一辺倒のようなタイプは少々辛い。中位前後から経済コースを通ってスルスルと抜け出すようなレースがしたいところ。

●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」●
《本命:アグネスデジタル》

 前年の年度代表馬・シンボリクリスエスが万全の態勢で戦線復帰。メンバー中で実力最右翼でもあり、本来ならば“魔の1番人気”でも逆らえないところだが、枠順抽選で痛恨のミスフォーチュン。改修されたとは言え、未だ阪神芝1600m並の外枠不利を誇る府中の芝2000m。大外18番枠を引いた以上、少なくとも連勝馬券の軸には推せなくなってしまった。ここは押さえに留めたい。
 代わって本命に抜擢したのはアグネスデジタル。相変わらずのムラ駆け傾向には一抹の不安が残されるが、ここぞという時の力強さは今春の安田記念で証明済み。ルドルフ、オペラオーに続くG1レース7勝の偉業へ再び挑む。
 しかし対抗以下はドングリの背比べで非常に難解。展開利と地力の高低を重視して、出来る限り手広く狙ってみる事にする。

駒木ハヤトの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 11 100円 7.1
馬連 5-11 100円 29.2
  2-11 100円 22.1
  2-5 100円 18.4
  7-11 100円 27.5
  11-18 100円 17.5
  11-12 100円 71.5
馬単 11→5 100円 62.8
  11→2 100円 48.2
三連複 2-5-11 100円 46.8


●栗藤珠美の「レディース・パーセプション」●
《本命:アグネスデジタル》

 2年前、あのテイエムオペラオーを一刀両断にしてしまったアグネスデジタルを本命に推します。その実績はもちろん、距離適性や展開も絶好ということで、私の馬券も含めて安田記念の再現を狙ってみたいところですね。
 大外枠を引いてしまったシンボリクリスエスですが、私は上位争いは出来るんじゃないか…と予想しています。実は、こっちを本命にしようかどうか、最後まで迷ったんですけどね。博士と本命が被るのも不安ですし(苦笑)。

栗藤珠美の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 11 100円 7.1
馬連 11-18 100円 17.5
  2-11 100円 22.1
  2-18 100円 12.9
  5-11 100円 29.2
  7-11 100円 27.5
  8-11 100円 49.9
馬単 11→18 100円 37.4
  11→2 100円 48.2
三連複 2-11-18 100円 29.0


●一色順子の「ド高め狙います!」●
《本命:イーグルカフェ》

 先週に続け! …ってことで、今週もバシバシ穴を狙いに行きます! せっかく大きくリードしたんですし、ここはもう、他の3人がギブアップしちゃうくらいに点数差を広げてしまいたいですね〜。

 というわけで今週も穴予想です。
 今年の天皇賞は混戦ムードみたいですけど、こういう時って、過去にG1実績があるのに、なぜだか評価が低くなっちゃってる馬が2頭まとめて来る事がるんですよね〜。終わってみたら「あるある〜」って感じの。
 なので、今回はそういう馬ばかりを選んでみました。一番穴馬っぽいのはファストタテヤマですけど、2着か3着で止まっちゃいそうなので、ここは単勝オッズも高くて1着と縁が深そうな(?)イーグルカフェを本命にします。展開? そんなの、こんな大荒れの結果になった時に展開がスンナリ行ってるはず無いじゃないですか(笑)。
 ……うわ、馬連は全部万馬券、馬単・三連複は10万馬券ですねー。う〜ん、さすがにちょっとやり過ぎかな?(苦笑)
 

一色順子の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 16 100円 58.7
馬連 10-16 100円 653
  15-16 100円 746
  10-15 100円 111
  11-16 100円 296
  2-16 100円 317
  7-16 100円 351
馬単 16→10 100円 1740
  16→15 100円 1948
三連複 10-15-16 100円 3167

 
●リサ=バンベリーの「ビギナーズ・ミラクル!」●
《本命:シンボリクリスエス》

 いつの間にか、ワタシがビリになっちゃってますねー(苦笑)。皆さん、初心者の高校生相手に本気出すなんて大人気ないですね〜(笑)。

 今週は去年のチャンピオンホースが出て来るっていうコトで、楽しみにしてたんです。枠順がどうこうって言われても良くわからないですので、構わず本命にしちゃいました(笑)。
 で、あとは日本以外のレースとか、ジャパンカップとかで活躍した馬を抜き出してみました。やっぱり、世界標準って言うんですか? そういう馬って一味違うと思うんですよね〜。あ、でも、よく知らないですけど(笑)。
 あーあと、サンライズペガサスは、一番名前がカッコいいと思ったからです(笑)。

リサ=バンベリーの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 18 100円 3.3
馬連 2-18 100円 12.9
  11-18 100円 17.5
  2-11 100円 22.1
  5-18 100円 12.5
  16-18 100円 183
  1-18 100円 98.8
馬単 18→2 100円 18.9
  18→11 100円 28.9
三連複 2-11-18 100円 29.0

 以上、4人の予想でした。しかし、これだけたくさんのフォーカスを挙げても、スルリスルリと買い目が抜けて、全員不的中とか平気でありそうで怖いですね(苦笑)。特に3頭出し厩舎同士のワン・ツーで7-18とか、十分過ぎるくらい考えられますからねぇ。
 でも、こういうレースは、出来るだけ点数を絞って、「当たれば大儲け、外れても損害少々」という買い方が一番良いんですよね。皆さんも大怪我なさらぬよう、お気をつけて。ではでは。


天皇賞(秋) 成績

×   1着 18 シンボリクリスエス
× ×   2着 ツルマルボーイ
        3着 テンザンセイザ
× 4着 エイシンプレストン
×       5着 12 カンファーベスト

単勝18 270円/馬連7-18 1310円/馬単18-7 1900円/三連複4-7-18 12870円

 ※駒木ハヤトの“敗戦の弁”(不的中)
 展開予想が大ハズレで、その時点でアウト。うん、典型的な敗戦パターンだね(笑)。まぁ、真実はどうであれ、逃げ馬2頭に後藤と吉田豊が乗っている時点でキナ臭い何かを感じ取らなきゃギャンブラーとしては失格だよなー。ちょっと反省。
 あ、ちなみに後藤騎手と吉田豊騎手の因縁については、Googleで「後藤 吉田 木刀と検索すれば関連記事が出て来ます。まぁ検索しないでも事の次第が判りそうなキーワードではありますが。

 しかし、本当に3頭出し厩舎のワン・ツーになるとは思わなかったなぁ……。シンボリクリスエスが15番枠までだったら勿論本命だったし、展開がこうなるなら当然ツルマルボーイも本命候補だったんだけど、この辺は駒木の博才の無さが遺憾なく発揮されている感じ(笑)。アグネスデジタルも、競走以前の無気力凡走で問題外だったし。どうして印重くした時に限って来ないかなキミは(苦笑)。
 でもまぁ、シンボリクリスエスは強かった。今日のレースを観る限りでは、「ネオユニヴァースでも、ザッツザプレインティでも、隙があったらかかって来んかい!」的なオーラが出てたもんなぁ。これでまたジャパンカップと有馬記念がスポーツ的に楽しみに。あー、でも結果は荒れてくれないと、順子ちゃんに追いつけないんだよな(苦笑)。

 ※栗藤珠美の“反省文”(不的中)
 あーもう、本当に自分がイヤになります。どうしてシンボリクリスエス本命にしておかなかったんでしょう……。駒木博士って、確かに色々教えて下さるんですけど、直接馬券に結びつくことって少ないんですよね(苦笑)。でも、無視するとその通りになってしまったり……。
 来週から土曜日は順子ちゃん勤務にシフト変更させて頂こうか、ちょっと真剣に考えます(笑)。

 ※一色順子の“終了しました……”(不的中)
 やっぱりダメでした(笑)。イーグルカフェは9着。ちょっと狙いすぎでしたねー。展開がズタズタになるっていうのは当たってたんですけど、シンボリクリスエスが勝っちゃったら、わたしにはどうしようもありません。
 でもまあ、まだまだリードはたくさんありますし、次回も余裕を持って大穴予想してみたいと思います。応援よろしくお願いします!
 

 ※リサ=バンベリーの“ハッピー・ハッピー・グッドラック”(単勝のみ的中)
 的中……ですけど、やっぱりあんまり嬉しくないですねー(苦笑)。もうちょっと一生懸命考えた方がいいのかなー、なんて思うんですけど、どうするのがベストなんですかねー?

第4戦終了時点での成績

  前回までの獲得ポイント
(暫定順位)
今回獲得したポイント 今回までの獲得ポイント
(暫定順位)
駒木ハヤト 2640
(2位)
0 2640
(2位)
栗藤珠美 1840
(3位)
0 1840
(3位)
一色順子 29540
(1位)
0 29540
(1位)
リサ=バンベリー 1390
(4位)
270 1660
(4位)

 (ポイント・順位の変動について)
 配当だけなら本命サイドの決着も、見事なまでのタテ目連発で馬連、馬単、三連複の的中者は無し。
 唯一ポイントを挙げたのは、シンボリクリスエスを本命に指定し、単勝配当のポイントを獲得したリサ=バンベリー。1番人気の単勝配当なので加点は少ないものの、3位の栗藤珠美に180ポイント差と肉薄。依然一人旅の一色順子を除く3人による最下位争いが、ますますヒートアップしそうな気配。

 


 

2003年第80回講義
10月25日(土) 競馬学特論
「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第3戦・菊花賞」

 秋のG1予想第3弾をお送りします。
 この講義の趣旨を計りかねている方もいらっしゃると思うのですが、要は内輪での学習活動を兼ねた、様々な予想スタイルの比較実験だと解釈してもらえば良いと思います。まぁ、「結局ビギナーズラックが一番強い」なんてことになったら、それはそれで困ってしまうんですがね(笑)。

第3戦・菊花賞(京都3000芝外)
馬  名 騎 手

 下段には駒木ハヤトの短評が入ります。

     ×   ニシノシンフォニー 江田照
セントライト記念は格上挑戦で良績。しかし更なる相手強化とスピード面での課題は余りにも大きくて。
  ×   リンカーン 横山典
前走で3強に肉薄して一気に台頭。休み明け2走目の上積み次第では一角崩しまであるか?

 

      サウスポール 武英

捨て身の逃げ宣言。スタミナ、スピード共に足りないが、自分のレースでベストを尽くす。

ゼンノロブロイ ペリエ

オーナーを説得してまで出走に漕ぎ付けた藤沢和師の勝算は如何ほど? デザーモ→ペリエの豪華リレーで三冠阻止狙う。

        トリリオンカット 佐藤哲

秋2走の不振は深刻。ここに来て体調良化の兆しはあれど、果たして逆転までは……?

        マーブルチーフ 池添
差しタイプも瞬発力に難。有力馬と真っ向勝負を強いられる今回は苦戦必至。
        ペルフェット 吉田稔

オープン特別4着の経歴はあれど、本質的にはダート馬。目先の結果より将来を見据えてのチャレンジ?

  ザッツザプレンティ 安藤勝

レースごとの善戦光るが、重賞での好走は重・不良馬場に限定。あと一歩の差を埋めるには、晴れの天気予報が恨めしい。

        コスモインペリアル 武幸

弥生賞でのハナ差3着が思い出されるが、G1成績は全て9着以下。格の差は火を見るよりも明らかで……。

× 10 サクラプレジデント 武豊

大敗のダービーは不利によるもので度外視可能。万全と言えぬまま夏〜秋を好成績で戦い抜いたのは立派の一言。距離さえ克服すれば、念願の一冠奪取も。

        11 マイネルダオス 武士沢

一叩きで体調良化も、芝のG1では入着争いが精一杯。

        12 シルクチャンピオン

オープン実績がいかにも不足。まだ絞り切れぬ馬体も持て余し気味で、勝負気配には程遠く。

        13 チャクラ 後藤

勝ち味遅いが堅実な差し脚は重賞クラスでも通用。しかし一線級との力比べでは格の差見せつけられそうで。

        14 テイエムテンライ 小池

長距離戦のキャリアは随一も、条件戦すら粘り切れぬ現状では……。

        15 アスクジュビリー 四位

変則的なローテーは「なんとか間に合った」という感じ。地力は勿論、マイル戦からの転戦にも不安視避けられず。

      × 16 ヴィータローザ 蛯名
“夏の昇り馬”の王道ルート歩んで来たが、ここに来て追い切りの動きに不満。本番直前に失速気配?

17 ネオユニヴァース デムーロ

三冠達成を期してベストパートナーが勇躍来日。2連敗のダメージは完全に抜け、万全の体調で堂々と大偉業に挑む。

 

    × 18 マッキーマックス 藤田

ネオユニヴァースを苦しめた春シーズンの力強さが蘇った。キャリア不足は隠し切れぬが、ノーマークの強みで一発狙う。

 

●展開予想(担当:駒木ハヤト)

 逃げ馬候補は何頭かいるが、スムーズなら、逃げ宣言をしているサウスポールがハナに立つだろう。普通のレースをしてもどうにかなるような話でも無いので、ひょっとするとナリタブライアンの時のスティールキャストを思わせるような大逃げになるかも知れない。
 先行馬には人気薄・実力下位と見られる馬が固まっているが、ペース次第では、ザッツザプレンティやリンカーンあたりも前々でのケイバをするかも知れない。
 ネオユニヴァースら“3強”は、中団以降、思い思いの位置に控えて仕掛けどころを窺う。先に動いた方が不利になるため、2周目第3コーナー付近までは競輪の周回中のような静かなせめぎ合いが続きそう。
 坂の下りあたりから一気にレースが動き出す。世界に名だたる名手たちのことだ。よもや牽制し過ぎて前の馬に残られるなどという事はあるまい。直線半ばで3頭の争いになって、後は気の遠くなるような追い比べ。波乱があるとすれば、漁夫の利狙いでジッと脚を貯めているような馬。

●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」●
《本命:ゼンノロブロイ》

 なんて贅沢なレースなのだろう。
 三冠の懸かったレースであり、春シーズンの主役級がほとんど欠ける事もなく揃い踏みしたレースであり、しかもその主役級の馬に跨っている騎手は日仏伊のトップジョッキーたちなのだ。こんなレース、そうそうあるものではない。リアルタイムで観られる我々は幸せモンである。
 で、予想だが、ご覧の通り人気上位3頭の組み合わせに絞らせてもらった。誰にでも打てるような印に甘んじてしまうのは不本意ではあるが、実力馬3頭の三つ巴に逆らうわけには行かない。この際、馬券は観戦チケットと思って開き直る。
 先週のパターンから考えると、今週も三冠か…という流れではあるのだが、本命は敢えてゼンノロブロイに打った。あの藤沢和雄調教師が、ここまでして菊花賞にこだわる以上は何か確信めいたものがあるのだろう。勝負気配は三冠を狙うネオユニヴァースと比較しても、なお互角以上と見ている。

駒木ハヤトの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 2.7
馬連 4-17 200円 2.9
  4-10 200円 9.4
  10-17 200円 8.2
  ── ──
  ── ──
  ── ──
馬単 4→17 100円 5.6
  4→10 100円 14.9
三連複 4-10-17 100円 5.0


●栗藤珠美の「レディース・パーセプション」●
《本命:サクラプレジデント》

 去年の菊花賞のことは、1年経った今でも明確に覚えています。いえ、これからも一生忘れないでしょう。あの、武豊騎手のノーリーズンに手持ちのお金を全額注ぎ込んだ菊花賞のことは……。
 そして今日、ようやくリベンジを果たす日が来ました。馬券の中心は、もちろん武豊騎手のサクラプレジデント。ネオユニヴァースとゼンノロブロイに隠れる形で少し影が薄くなっていますが、これはレースをする上では逆にプラスなんじゃないでしょうか。2頭のマッチレースになるかと思われた時に、後から一気に突き抜けるような展開が理想ですね。
 

栗藤珠美の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 10 100円 6.1
馬連 10-17 200円 8.2
  4-10 100円 9.4
  4-17 100円 2.9
  8-10 100円 40.2
  2-10 100円 28.8
  ── ──
馬単 10→17 100円 18.2
  10→4 100円 21.6
三連複 4-10-17 100円 5.0


●一色順子の「ド高め狙います!」●
《本命:ザッツザプレンティ》

 今週は本当に頭痛かったですよ〜。なかなか穴予想が考えつかなくて、困っちゃいました。「ゴメンナサイ。今回だけはガチガチの馬券買わせてください」ってお願いしようか、なんて思ったりもしましたよ(笑)。
 でも、結局は穴予想。人気の3頭がけん制しすぎて仕掛けが遅れて、前でレースをしていた馬が流れ込むんじゃないかっていう考えです。無茶だって分かってるんですけどね(苦笑)。でも、これでいきます。馬券が当たっちゃったら、だいたい三冠はダメになっちゃったってことになるんですけど、だからと言ってわたしを恨まないで下さいね(笑)。

一色順子の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 17.0
馬連 2-8 100円 49.5
  8-17 100円 21.5
  2-17 100円 15.7
  4-8 100円 21.3
  8-10 100円 40.2
  1-8 100円 153
馬単 8→2 100円 143
  8→17 100円 68.0
三連複 2-8-17 100円 48.8

 
●リサ=バンベリーの「ビギナーズ・ミラクル!」●
《本命:ネオユニヴァース》

 先週のスティルインラブのトリプルクラウンは、すごくエキサイティングでした。来日1年目にいきなりあんな大記録が観られて、本当にハッピーです!
 なので、今週もまたトリプルクラウンが観たくなっちゃいました。だから予想もネオユニヴァースからです。あと、駒木博士から「長距離レースは騎手の腕がモノを言うんだよ」って聞いたので、あとは騎手で印つけちゃいました。また当たったら嬉しいんですけど……。

リサ=バンベリーの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 17 100円 2.4
馬連 4-17 100円 2.9
  10-17 100円 8.2
  4-10 100円 9.4
  8-17 100円 21.5
  17-18 100円 58.8
  16-17 100円 34.0
馬単 17→4 100円 5.3
  17→10 100円 12.4
三連複 4-10-17 100円 5.0

 以上が予想です。今年の菊花賞は、本当に見応えのある良いレースになると思いますので、くれぐれもお見逃しなく。では、またレース回顧でお会いしましょう。


菊花賞 成績

  1着 ザッツザプレンティ
  ×   2着 リンカーン
3着 17 ネオユニヴァース
4着 ゼンノロブロイ
      × 5着 18 マッキーマックス

単勝8 2020円/馬連2-8 5540円/馬単8-2 17080円/三連複2-8-17 4900円

 ※駒木ハヤトの“敗戦の弁”(不的中)
 いやー、やっぱり「競馬に絶対は無い」って本当だ(苦笑)。サクラプレジデントは気性難で競馬以前。ゼンノロブロイは4コーナーで大きく後手を踏まされてアウト。で、ネオユニヴァースは、そんな消えた敵を意識し過ぎてロングスパートに出て沈没。何て言うか、別の意味でお見事(笑)。
 でもまぁ、何がどうあれ、直線で二冠馬を競り落として後続も完封したんだから、この条件でのザッツザプレンティは強かったって事だろうね。純粋なスピード勝負にならなきゃ世代トップクラスと互角以上に戦える実力はあるわけだ。でも、こういう曲者が1頭いると馬券作戦が格段に難しくなるんだよなぁ。嫌な馬を出世させてしまったよ(苦笑)。

 ──しかし、馬券の方は順子ちゃん恐るべしだなぁ。馬単万馬券を2点で、50倍の三連複を1点で当てるなんて、こんなのきっと一生に何度もないよ(笑)。それがこういう時に炸裂するんだから参った。で、もし来年だったら三連単も当たってたのか。何倍つくんだよ、この三連単は(苦笑)。
 それにしても、あと7戦でどうやって追いつこう(苦笑)。こんな形で企画倒れになりかけるとは想像してなかったぞ……。 

 ※栗藤珠美の“反省文”(不的中)
 ああ、今年も無残な結果に……(絶句)。
 第3コーナーまで引っ張られるくらいなら、今年もゲートで競走中止してくれた方が気が楽でした(苦笑)。ホント、このレースは私にとって鬼門ですね……。
 こっちの馬券レースの方は順子ちゃんの大活躍で大変なことになっているみたいですけど、とりあえず来週は自分のペースを取り戻すことに専念したいと思います。今年の安田記念(馬連万馬券的中)のこともありますし、とにかく最後までベストを尽くすつもりです!

 ※一色順子の“的中失礼しました〜!”(単勝、馬連、馬単、三連複と完全的中!)
 ……御無礼!(ニヤリ)
 …あ、すいません、万馬券的中した時、これをやってみたかったんです(笑)。
 自分でもイマイチ信じられないんですが、お財布の中がギッシリ詰まってるので本当なんでしょう(笑)。なんだか結果オーライな勝ち方でしたけど、元々穴馬券なんて結果オーライなんで、どうでもいいです……ってこれはさすがに怒られちゃいますね(笑)。
 さーて、優勝の特典何にしてもらおうかな〜。今から暮れまでかけてジックリ考えとこっと。

 ※リサ=バンベリーの“イッツ・ア・ハードラック・デイ”(不的中)
 最後のコーナーでワタシが印つけた馬を探してたら、何が何だか判らないうちにレースが終わっちゃってました(苦笑)。ネオユニヴァース、せっかくここまで頑張ってきたのに少しかわいそうですね……。
 駒木博士に聞いてみたら「三冠馬なんて、阪神タイガースが優勝するようなペースでしか出て来ないんだから、こういうこともあるさ」ですって(笑)。ということは、19年ぶりになるまで、あと10年くらい三冠馬は出ないってコトですか?(苦笑)。それまで待てるかな〜?(苦笑)

第3戦終了時点での成績

  前回までの獲得ポイント
(暫定順位)
今回獲得したポイント 今回までの獲得ポイント
(暫定順位)
駒木ハヤト 2640
(1位)
0 2640
(2位)
栗藤珠美 1840
(2位)
0 1840
(3位)
一色順子
(4位)
29540 29540
(1位)
リサ=バンベリー 1390
(3位)
0 1390
(4位)

 (ポイント・順位の変動について)
 波乱の菊花賞を上位4頭まで印通りに的中させた一色順子が3万ポイント近い大量得点で一気に暫定首位浮上! 2位の駒木ハヤトに27000ポイント近い大差をつけ、早くも独走態勢へ。30000ポイントとは、シリーズ全戦残り全て不的中でも回収率が300%になるということなのだから、逆転は容易ではない。他の3人の動向に注目だが、早くも興味は最下位争いに絞られたか……?

 


 

2003年第77回講義
10月18日(土) 競馬学特論
「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第2戦・秋華賞」

 早くも今年の秋のG1シリーズは1つの山場へ。2週続けて三冠達成を賭けた重要なレースが続きます。今週は牝馬路線の秋華賞。さぁ、早速予想へ移りましょう。

第2戦・秋華賞(京都2000芝内)
馬  名 騎 手

 下段には駒木ハヤトの短評が入ります。

        トーセンリリー 藤田
逃げ馬にとって最高の枠をゲット。しかし末の脆さは如何ともし難く。
    ピースオブワールド 福永
いよいよ正念場。復調なるか、もしくは早熟ゆえの惨敗か……?

 

  ×   オースミハルカ 川島

恵まれたとはいえ、古牝馬トップ2を完封した前走は立派。今回はゴチャつく流れの中で控えて力を出し切れるかがカギ。

 

  ×   メイショウバトラー 武幸

純国産&純“メイショウ”血統に感慨あるも、急激な相手強化に対応どこまで?

        マイネサマンサ 大西

春はオークス直前で無念のリタイヤ。何とか間に合ったが、幾分仕上がり途上の感あって。

        レマーズガール 佐藤哲
G3クラスのダートなら大威張りも、芝のG1では場違いか。
×       ヤマニンスフィアー 二本柳

勝ち味の遅さが大成妨げたが、多頭数のレースに適応出来るのは、今回の強調材料。

    レンドフェリーチェ 中館

健闘のマーメイドSが奥の深さを物語る。決め脚あるだけに、馬群が捌き切れれば怖さはある。

×     チューニー 後藤

オークス2着馬も秋緒戦で評価急降下。実績は凡百の穴馬のそれではないだけに、叩いての上積みあれば侮れないが…

10 アドマイヤグルーヴ 武豊

改めて地力の凄さを知らしめた前走。唯一かつ最大の懸念材料の気性面克服なれば、三冠阻止はすぐ近く。

      × 11 メモリーキアヌ 角田

ハマった時の追い込みは鮮やかだが、この秋は精彩欠き…

        12 ミルフィオリ 柴原

叩いて幾分か良化気配も、春に比べて一変という雰囲気も無く。

        13 スターリーヘヴン 池添

牝馬限定の条件戦が精一杯の身では…

    14 ヤマカツリリー 安藤勝

大逃げで沸かせたローズSは印象的だったが、それでも勝ちきれなかった上に同じ手の使えぬ今回は? アンカツの手綱捌きに注目だが。

        15 タンザナイト  秋山

前走は大健闘の部類。直前気配絶好調でイケイケムードだが、実力的には入着が精一杯か?

×   16 ベストアルバム 渡辺
恵まれたとは言え、前走の3着は説得力十分。その時よりも展開が向きそうなだけに、無欲の一発は非常に怖い。

× 17 スティルインラブ

秋華賞ルート初の牝馬三冠に向けて抜かりなし。前走は度外視して良く、持ち前の勝負強さに偉業達成の期待十分。

 

      18 タイムウィルテル 吉田豊

血統的な魅力と渋太さは買えるが、このメンバーで大外枠は余りにも厳しい条件で。

●展開予想(担当:駒木ハヤト)

 最内枠のトーセンリリーが逃げ宣言。控えてはお話にならないタイプだけに、妥当ではある。しかしハナを切れる馬は他にたくさんいるだけに、スタート次第では別の馬がペースメーカーを務める可能性も。道中のラップは速めの平均ペースからハイペースか。
 後続には好位〜中団が欲しい馬が多く、こちらも序盤の位置取りで明暗が大きく分かれそう。正確な通過順位予測は困難で、「とにかく位置取りに成功した馬が有利」としか言いようが無い。ただし、シビアな位置取り争いを演じなくて済む分だけ差し・追い込みタイプが若干有利か。
 有力馬では意外とスムーズなレースが出来そうなのがアドマイヤグルーヴ(ただしスタート五分以上が条件)。スティルインラヴは外枠を利して良い位置が欲しいところ。
 また、京都芝の内回り2000mは本来内枠有利だが、このレースでは案外外枠の健闘が光る。微妙な年頃の牝馬にとっては、距離損しても揉まれないで済む展開の方が有利に働くと見える。

●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」●
《本命:スティルインラブ》

 本当に久々の“牝馬三冠リーチ”。前にリーチをかけた馬は故障明け・ぶっつけ本番のベガ(3着)だったが、今回のスティルインラブは至極順調に夏を越し、トライアルを犠牲にしてまでして、ここを目標にキッチリ仕上げられて来た。恐らくは全てがこの日から逆算しての調整のはずで、「これでダメなら首をくくる」くらいの覚悟で挑んでいるだろう。巷の下馬評はさておき、本命にはこの馬が最も相応しい。
 問題は相手探し。実力はアドマイヤグルーヴが図抜けているものの、18頭立てのレースではマトモなレースをさせてもらえる確率の方が低いだろう。よって今回も手広く行く。最後の直線で馬群の隙間からジリジリ伸びて来そうな馬数頭を、実力不足は承知で2着候補にピックアップしてみる事にする。

駒木ハヤトの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 17 100円 3.0
馬連 10-17 100円 4.8
  16-17 100円 20.6
  10-16 100円 15.9
  2-17 100円 21.0
  9-17 100円 59.5
  7-17 100円 57.2
馬単 17→10 100円 10.8
  17→16 100円 29.4
三連複 10-16-17 100円 13.7


●栗藤珠美の「レディース・パーセプション」●
《本命:アドマイヤグルーヴ》

 今週の競馬ニュースを見ていると、事あるごとにアドマイヤグルーヴの武豊騎手が弱気なコメントを。でも、武豊騎手が弱気な時って、実は内心自信を持っている事が多いんですよね。意外と(?)策士なんですよ、武豊騎手って。
 ……そういうわけで、トライアルの再現と読んでアドマイヤグルーヴ本命です。本当は、牝馬三冠が達成する瞬間も観てみたいんですけどね(苦笑)。
 展開は差し有利と思うんですが、実力馬は大抵が先行タイプだったりするので困ってしまいます。多分、10-17で大丈夫だと思っているんですけど……。 

栗藤珠美の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 10 100円 2.8
馬連 10-17 200円 4.8
  2-10 100円 17.1
  2-17 100円 21.0
  10-14 100円 23.1
  10-16 100円 15.9
  ── ──
馬単 10→17 100円 8.7
  10→2 100円 25.0
三連複 2-10-17 100円 14.5


●一色順子の「ド高め狙います!」●
《本命:チューニー》

 今週は秋華賞。秋華賞と言えば大穴! ……というわけで来ましたよ、来ましたよ! わたしにうってつけのレースが来ましたよ! いや〜、悪いですね、第2戦で優勝決まっちゃいますよ?(笑)
 このレース、荒れる時は1、2番人気が揃ってアウトになっちゃうものですから、わたしの予想も本命─対抗は穴馬2頭で勝負です! 狙いはオークス2着馬なのに評価の低すぎるチューニーから。穴馬は忘れた頃に走るものなんです。10-17が来たら、またわたしだけハズレですけど、それはそれであきらめることにします(笑)。

一色順子の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 44.4
馬連 8-9 100円 159
  9-17 100円 59.5
  8-17 100円 23.1
  9-10 100円 42.2
  3-9 100円 148
  4-9 100円 199
馬単 9→8 100円 514
  9→17 100円 193
三連複 8-9-17 100円 254

 
●リサ=バンベリーの「ビギナーズ・ミラクル!」●
《本命:アドマイヤグルーヴ》

 ローズSのアドマイヤグル−ヴは、テレビでレースを観ててビックリ仰天でした。どうしてあんなに強い馬が春のG1レース勝てなかったのかなって思いましたよ!
 ……というわけで、本命はアドマイヤグルーヴ。そこから、もう1つのトライアルレースを勝った馬と、ローズSで上位に来た馬を狙ってみます。
 え? メモリーキアヌ? ……ワタシ、キアヌ=リーブスのちょっとだけファンなんです(笑)。

リサ=バンベリーの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 10 100円 2.8
馬連 8-10 100円 17.8
  10-14 100円 23.1
  8-14 100円 74.1
  10-16 100円 15.9
  10-17 100円 4.8
  10-11 100円 160
馬単 10→8 100円 27.0
  10→14 100円 31.7
三連複 8-10-14 100円 76.9

 今回は期せずして印がかなりバラけました。結果次第では4人のポイント差が相当広がりそうなフォーカスになりましたが、果たしてどうなりますか。15時40分の発走時刻をお楽しみに。


秋華賞 成績

× 1着 17 スティルインラブ
2着 10 アドマイヤグルーヴ
    3着 14 ヤマカツリリー
    4着 ピースオブワールド
        5着 マイネサマンサ

単勝17 320円/馬連10-17 450円/馬単17-10 930円/三連複10-14-17 1880円

 ※駒木ハヤトの“勝利宣言”(単勝・馬連・馬単的中)
 まずはスティルインラブの関係者の皆さん、牝馬三冠達成おめでとうございます。
 それにしても強い勝ち方だったねぇ。1番人気の実力馬に終始マークされながらの完封勝ち。3/4馬身の着差だけでは計れない諸々の差が、少なくともこのレースではあっただろうね。これならメジロラモーヌと並んで語られる資格も十分じゃないかな。
 馬券的にちょっと焦らされたのは、ヤマカツリリーとマイネサマンサ。こういう、大一番になって新味が出て来る馬っていうのが怖いんだよね。今日は実力通り決まって助かったけど、下手すりゃ5-14とかで決まってただろうね。おー、怖。 

 ※栗藤珠美の“喜びの声”(馬連2口的中)
 馬券の上ではちょっとだけ残念でしたけど、私にとっては会心の予想でした♪ 強い馬がみんな良いレースをしてくれたので、観てて楽しいレースでしたね。
 そしてスティルインラブと松元省一調教師、幸騎手、並びに関係者の皆さん、牝馬三冠達成おめでとうございます! 私が競馬を観るようになってから、牡馬・牝馬通じて初めての“リアルタイム三冠”なので、私にとっても思い出のレースになりそうです。

 ※一色順子の“終了しました……”(不的中)
 10-17で決まったらあきらめることにします、って言ったら本当にそうなっちゃいましたねー(苦笑)。でも、1番人気と2番人気の決着になっちゃったら、わたしのような穴党は用ナシですからね、仕方ないです。
 わたしの本命チューニーは13着。直線に入るところまでは夢を見させてくれたんですけど、他の印をつけた穴馬と一緒にズルズルと下がっちゃいました。来週も強くて人気になりそうな馬がいっぱいいるんですけど、5種5牌から国士狙う覚悟でアグレッシブにガンガン狙いたいと思います!

 ※リサ=バンベリーの“ハッピー・ハッピー・グッドラック”(馬連のみ的中)
 今日はスティルインラブがメチャクチャ強かったですね〜。ローズSは一体何だったんでしょう? なんだか競馬がわからなくなって来ちゃいました(苦笑)。でも、一応は予想が的中したので良かったってコトいしたいです。

第2戦終了時点での成績

  前回までの獲得ポイント
(暫定順位)
今回獲得したポイント 今回までの獲得ポイント
(暫定順位)
駒木ハヤト 940
(1位タイ)
1700 2640
(1位)
栗藤珠美 940
(1位タイ)
900 1840
(2位)
一色順子
(4位)

(4位)
リサ=バンベリー 940
(1位タイ)
450 1390
(3位)

 (ポイント・順位の変動について)
 馬連1番人気の決着ながら、ただ一人スティルインラブに◎を打った
駒木ハヤトが、単勝・馬単のボーナスを加点して暫定首位に立った。2位には馬連のフォーカスを5点に絞り、10-17を渋く200円分的中させた栗藤珠美が続き、とりあえずは駒木研究室“競馬班”の威信を守ったというところ。しかし3位・リサ=バンベリーも450ポイントを上積みして僅差でマークしており、まだまだ予断を許さない。
 穴狙いで攻める一色順子は、今回も人気サイドの決着に泣いた格好。しかし2640ポイント差は穴党にとっては並んでいるも同じで、逆に不気味さが漂う。

 


 

2003年第72回講義
10月4日(土) 競馬学特論
「第1回・駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜03年秋・第1戦・スプリンターズS」

 10月に入り、中央競馬もいよいよ秋競馬本番。今週から年末までぶっ通しのG1レース攻勢が続きます。
 分かる方はよくお分かりでしょうが、競馬ファンにとっては、このG1シリーズが始まるともう年末になったも同じです(笑)。怒涛のように次から次へと大レースがやって来て、予想にレースに四方山話に花を咲かせている内に1週間が経ち、1ヶ月が経ち、そしていつの間にか街角のクリスマスツリーに灯りが点っているという次第。
 そして、それは我々駒木研究室メンバーも同じです。先月から準備を進めて参りました、研究室メンバー全員参加によるG1レース予想ラリーが、今日からいよいよ開幕の運びとなりました。

 今大会の“公式戦”となるレースは、秋シーズンのG1レースのうち土曜開催のジャパンカップダートと中山大障害を除外した全10戦。その際行われる各々の予想の成績は、下記の規定に従ってポイントに換算され、その合計ポイントで総合順位が争われます。
 なお、まだ詳細は決めていませんが、優勝者には特典を、最下位の者には罰ゲームを与える予定でいます。ちなみに、ウチの3人娘による下馬評では、最下位候補筆頭はダントツで駒木だそうですが(苦笑)。

●ルール及びポイント算出方法● 

 ・各メンバーは、レースの結果を予想し、有力馬(馬券の対象になると思われる馬)に印をつける。印は上位から順に◎、○、▲、△が各1頭まで、×が2頭までとする。ただし、▲を使用しない場合は×を4頭まで使う事が出来る。

 ・ここでつけられた予想印に対応してフォーカス(馬券の買い目)が以下のように自動的に設定され、各自1レースあたり1000円分の馬券を購入する(と仮定する)。

 ※単勝…◎をつけた馬のみ1点(=100円分)
 ※馬連(頭数8頭未満の場合は枠連)…◎−○、◎−▲、○−▲、◎−△、◎−×の組み合わせ各1点・計6点(=100円×6点=600円分)
 もしも印をつけた馬が少なく、組み合わせ数が6点に満たない場合は、余った分を上位の組み合わせに重複させる。
 《例:つけた印が◎○▲△の4頭だけの場合……◎−○200円、◎−▲200円、○−▲100円、◎−△100円買ったことになる》
 ※馬単…◎→○、◎→▲の組み合わせ各1点・計2点=100円×2点=200円分)
 予想の際に▲印を使用しなかった場合は、◎→○と◎→△の組み合わせを100円ずつ、△印も使用してなければ、◎→○の組み合わせを200円買ったことになる。
 ※三連複…◎−○−▲の組み合わせ1点(=100円)

 ・フォーカスが的中した場合は、その払戻金の金額がそのままそのレースでの獲得ポイントとなる。

 ……まぁ、文字で説明しただけでは分かり辛いでしょうが、とりあえず1回やってみたら分かると思いますので、どうか宜しく(笑)。

 ──というわけで、それでは、もう早速予想の方へと参りましょう。予想のフォーマットはプレシーズンマッチと変わりありません。

第1戦・スプリンターズS(中山1200芝外)
馬  名 騎 手

 下段には駒木ハヤトの短評が入ります。

× テンシノキセキ 横山典
飛ぶ鳥を落とす勢いとは、まさにこの馬の事。斤量差の恩恵が無くなり予断を許さぬが、実力はメンバーでもトップクラス。

 

    × ハッピーパス 田中勝

1着の前走は時計に恵まれた感も有り。今回デキ良好も、一気の相手強化が果たしてどうか?

 

      キーゴールド 二本柳

休養明け緒戦はこれまで4連続着外。実力面でも不安残すし、ここは大苦戦必至。

        ショウナンタイム 吉田豊

準オープン勝ちもままならぬ現状でG1は……。

×     サーガノヴェル 木幡
極度の気性難も、潜在能力は一線級。気分良く先行できれば波乱の立役者に?
× × レディブロンド 柴田善

異例づくめのルートを経て、デビュー以来5連勝でG1初挑戦。前走でオープンでも通用する力見せたが、果たして勢いはG1でも通用するのか?

        ゴッドオブチャンス 蛯名

なかなか往時の力を取り戻せずにいる現状。展開も厳しくて。

× デュランダル 池添

差し一辺倒も、末脚の鋭さはメンバー中随一。今度こそ前に届くか……?

        カルストンライトオ 村田

このレースのペースメーカー。調子は戻りつつあるが展開は厳し過ぎる。

  ×     10 アグネスソニック 四位

NHKマイル2着の成績は威張れるが、最近デキ下降気味か。

11 ビリーヴ 安藤勝

引退レースを優勝で飾るべく、ギリギリかつ最高潮の仕上げで臨む。当然実力、実績ともメンバー中最右翼。

        12 イシノグレイス

江田照

中山コースは大の苦手? 1000mならオープンでも通用するが……。

  13 アドマイヤマックス 武豊

短距離のスピードには対応できそう。問題はジリ脚だけ。

        14 ナムラマイカ 中館

年齢的にもそろそろ能力的な限界が見える頃。デキも冴えず、ここは静観が適当。

 

  ×   15 イルバチオ 後藤

武器は追い込みだけ。このメンバーで他力本願な戦法は、少々ムシが良すぎるか?

●展開予想(担当:駒木ハヤト)

 逃げたい馬は何頭もいるが、ハナを切らなければお話にならないカルストンライトオが無理矢理にでも前に行きそう。そうなれば他の馬は自滅を避けて控え気味に。ハイペースが予想されているが、展開がスンナリ流れると、前半の600mを33秒チョイの平均ペースに落ち着く可能性も。
 有力馬の位置取りを予想してみる。テンシノキセキは内々の3番手、それをすぐ後ろから見るように、馬群の中にビリーヴがいて、中団からやや後方にアドマイヤマックスとレディブロンド。デュランダルは後ろから2頭目あたりを追走して直線に賭ける。
 勝負の行方は前半のペース次第だろう。もしも平均ペース程度に落ち着いた場合は差し・追い込み勢全滅の可能性もあるし、ハイペースになればその逆もある。だが、どちらにしても絶好位につけたビリーヴは、キチンと一仕事してくれるはず。


●駒木ハヤトの「逆張り推奨フォーカス」●
《本命:ビリーヴ》

 このレース限りでの引退を表明しているビリーヴが生涯最高のコンディションに仕上がった。相手も昨年のメンバーより一枚落ちる気がするし、ここはもう黙って信頼する一手だろう。コンディションが良過ぎて馬体が大幅増になったり、レースで大きなアクシデントが起こってグチャグチャになったりしない限りはキチンと決めてくれるはず。
 その分だけ困ってしまったのは相手候補。前走を参考にすればテンシノキセキが最右翼なのだが、頭数が増えて思うようなレースが出来ない可能性があり、ここは手広く狙いたい。
 注目のレディブロンドは、非凡な才能は認めるものの、典型的な凡走する穴人気タイプに見える。あくまで押さえが妥当だろう。逆に人気の盲点になっているサーガノヴェルの一発にかける手が面白い。

駒木ハヤトの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 11 100円 2.5
馬連 1-11 100円 6.9
  11-13 100円 7.8
  1-13 100円 18.2
  8-11 100円 10.9
  5-11 100円 53.0
  6-11 100円 9.6
馬単 11→1 100円 10.1
  11→13 100円 13.2
三連複 1-11-13 100円 12.6


●栗藤珠美の「レディース・パーセプション」●
《本命:ビリーヴ》

 「面白くない予想だなあ」……って言われてしまいそうですけど、それでもビリーヴ以外の馬で本命馬って見当たらないんですよね。唯一のG1馬、しかもスプリントG1を2連勝中とあっては、逆らうわけには行きません。前走はテンシノキセキに負けてしまってますけど、今回は斤量差が3kg縮まりますし、展開もこっちの馬の方が有利でしょう。
 問題は……多分、博士と本命が被ってしまっていると思うんですが、そうなると「駒木博士と栗藤珠美の本命が重なると予想は外れる」というジンクスが発動してしまうんですよね(苦笑)。そうなった時は、どうか6番13番で決まってくれますように(笑)。

栗藤珠美の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 11 100円 2.5
馬連 11-13 100円 7.8
  6-11 100円 9.6
  6-13 100円 18.0
  8-11 100円 10.9
  1-11 100円 6.9
  10-11 100円 32.1
馬単 11→13 100円 13.2
  11→6 100円 17.0
三連複 6-11-13 100円 16.7


●一色順子の「ド高め狙います!」●
《本命:サーガノヴェル》

 ガッチガチの本命ムードですけど、当然穴狙いで行きますよ〜! ここはサーガノヴェルの先行押し切りを期待して◎です。
 最近この馬ボロ負けが多いんですけど、どうも弱いから負けてるんじゃなくて、ご機嫌が悪くてレースに集中できなくて負けてるみたいなんですよね。ということは、キチンと走ったら良いレースが出来るわけですよね。実際、3レース前には中山1200mを1分7秒1で走ってますしね。
 で、あとはセントウルSの時にお世話になったテンシノキセキとビリーヴと一緒にワン・ツー・スリーを決めてもらって、第1戦で優勝を決めちゃいたいと思います(笑)。

一色順子の購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 100円 18.5
馬連 1-5 100円 77.4
  5-11 100円 53.0
  1-11 100円 6.9
  5-6 100円 87.7
  5-8 100円 77.0
  5-15 100円 219
馬単 5→1 100円 199
  5→11 100円 142
三連複 1-5-11 100円 66.0

 
●リサ=バンベリーの「ビギナーズ・ミラクル!」●
《本命:ビリーヴ》

 セントウルSに出てた馬がいっぱい出てますねー。それじゃ、ということでまた「奇跡を信じて」に賭けてみたいと思います(笑)。こういうのを「ゲンをかつぐ」って言うんでしたっけ。
 他に印つけた馬も、セントウルSで上位に来た馬にしました。でも、それだけだと面白くないから、「みんなでハッピーになりましょう!」ということでハッピーパスを。
 ……でもまたこれで当たっちゃったら、また博士から何か言われちゃうんでしょうねー(笑)。

リサ=バンベリーの購入馬券
種別 フォーカス 購入金額 前売り
オッズ
単勝 11 100円 2.5
馬連 1-11 100円 6.9
  8-11 100円 10.9
  1-8 100円 21.2
  11-13 100円 7.8
  6-11 100円 9.6
  2-11 100円 48.8
馬単 11→1 100円 10.1
  11→8 100円 16.6
三連複 1-8-11 100円 15.0

 四者四様の予想が出揃いました。結果は果たしてどうなるのか、皆さんもレースの結果に注目していて下さい。では、またレース後に。


スプリンターズS 成績

× 1着 デュランダル
2着 11 ビリーヴ
  3着 13 アドマイヤマックス
× × 4着 レディブロンド
× 5着 テンシノキセキ

単勝8 810円/馬連8-11 940円/馬単8-11 2320円/三連複8-11-13 1170円

 ※駒木ハヤトの“勝利宣言”(馬連のみ的中)
 的中の仕方が少々気に入らないけど、まずは早速片目が開いたという事でホッとしています。さすがに全10戦的中ゼロとかだったら面目無いからねぇ。
 しかし、あそこまで頑張ったならビリーヴに勝たせたいレースではあった感じかな。1番人気ではあったし、前走で大事に行き過ぎて2着に負けた反省もあったんだろうけど、あんなナリタブライアンみたいな競馬をしたら、やっぱり最後は止まっちゃうよねぇ。レース全体のラスト200mのラップタイムが12秒9だから、差し馬に差して頂戴って言ってるみたいなもんだ。
 でも一番可哀想だったのは、内枠が災いして逃がされる羽目になったテンシノキセキかもね。いくら平均ペースでも、あんなにガシガシ競られたら保つスタミナも保たないでしょう。
 第2戦は秋華賞か……。相性悪いんだよなぁ。まぁ、全G1レースの大半と相性が悪いんだけど、僕は(苦笑)。  

 ※栗藤珠美の“喜びの声”(馬連のみ的中)
 駒木博士と同じ印の組み合わせで的中。ジンクスもやっと解消されたのでしょうか(笑)。でも、デュランダルがいなければ完全的中だった事を考えると、まだ少しは効き目が残っているのかも知れませんね。
 でも、デュランダルの末脚は凄かったですね。印をつけておいて言うのもおかしいですけど、これまでG1レースでは余り目立った成績を残しているわけでもなかったので、ここまで活躍するのはちょっと意外な感じでした。
 次回以降も頑張ります。皆さんよろしければ応援して下さいね♪

 ※一色順子の“終了しました……”(不的中)
 ◎をつけたサーガノヴェルは7着でした。直線で少しだけ見せ場があったんですけど、テンシノキセキに差し返されるくらいヘタれちゃってましたから、今日は仕方ないですねー。◎と○で5着争いしてたら世話ないです(苦笑)。
 いきなりから最下位スタートですけど、いつか今日のデュランダルみたいに追い込んでみせますから、どうかよろしく!

 ※リサ=バンベリーの“ハッピー・ハッピー・グッドラック”(馬連のみ的中)
 ワーオ、また当たっちゃいました! スプリントレース大好きです!(笑)。でもホントはビリーヴが1着だったらもっとハッピーだったんですけど、そこまで欲張りしたらバチ当たっちゃいますよね。
 これからも優勝目指してガンバりますので、応援ヨロシクです!

第1戦終了時点での成績

  前回までの獲得ポイント 今回獲得したポイント 今回までの獲得ポイント
(暫定順位)
駒木ハヤト 940 940
(1位タイ)
栗藤珠美 940 940
(1位タイ)
一色順子
(4位)
リサ=バンベリー 940 940
(1位タイ)

 (ポイント・順位の変動について)
 駒木ハヤト、栗藤珠美、リサ=バンベリーの3名がそれぞれ馬連を100円分的中させ、940ポイントを獲得。しかし、◎印の集中したビリーヴが2着に敗れたこともあって、それ以上のポイント上積みはならず。特にビリーヴ1着なら馬単も的中だったリサにとっては、非常に大きなハナ差となった格好だ。
 一方、1人出遅れた形の一色順子だが、3人との差はまだ小さく、いつでも挽回可能な位置ではある。
大穴狙いが成功すれば逆に大差をつける事も可能なだけに、今後の動向にも注目と言えよう。

 


 

2003年第66回講義
 9月22日(月) 競馬学概論
「“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝」(12・最終回)
最終章・ミホノブルボン(後編)

※過去のレジュメはこちらから→ビワハヤヒデ編(第1〜3回)ライブリマウント編(第4回〜第6回)フラワーパーク編(第7回〜第8回)ムーンリットガール編(第9回)/ミホノブルボン編(第10回)(第11回) 

駒木:「さて、この企画もいよいよ最終回だね。積み残ししている時は『厄介だなぁ』と思ってたんだけど、やっぱりいざ終わるとなると寂しいもんだ」
珠美:「そうですね……。でも、とりあえず今は最後まで手綱を緩めずによろしくお願いしますね」
駒木:「そうだね」
珠美:「それでは、今回も前回までに引き続き、92年の準三冠馬・ミホノブルボン号について、駒木博士にお話して頂きます。今日はいよいよクラシック路線を歩むミホノブルボンの姿…ということになりますね」
駒木:「僕が競馬をリアルタイムで見始めたのは、ちょうどこの頃。で、前にも言ったようにミホノブルボンが初めて惚れこんだ馬だったわけ」
珠美:「今日は駒木博士の熱弁が期待できそうですね(笑)。……それでは、今日もミホノブルボン号の競走成績一覧表をご覧頂きましょう

ミホノブルボン号・全成績(略式)
<詳細はこちらのリンク先を参照>
日付 レース名 着順 騎手 1着馬(2着馬)

91.09.07

新馬戦

/13

小島貞

(ホウエイセイコー)

91.11.23 500万下 /10 小島貞

(クリトライ)

91.12.08 朝日杯3歳S(G1) /8 小島貞 (ヤマニンミラクル)
92.03.29 スプリングS(G2) /14 小島貞 (マーメンドタバン)
92.04.19 皐月賞(G1) /18 小島貞 (ナリタタイセイ)
92.05.31 日本ダービー(G1) /18 小島貞 (ライスシャワー)
92.10.18 京都新聞杯(G2) /10 小島貞 (ライスシャワー)
92.11.08 菊花賞(G1) /18 小島貞 ライスシャワー

駒木:「画竜点睛を欠く……って、それはもういいか(笑)」
珠美:「昨日に実施しました前回は、入厩から2歳(旧表記で3歳)戦の3レースについてお話して頂きました。今日はスプリングステークスからのエピソードになりますね。では、レースの概要について説明しましょうか?」
駒木:「あー、ちょっと待って。その前に、ミホノブルボンがクラシック戦線へ挑むにあたっての周囲の反応について話をしなくちゃいけない。
 ミホノブルボンという馬について語る時に、必ずついて回るのが“血統”“距離適性”というキーワードなんだ。つまり、代表産駒が短距離馬のエルプスという事で知られていた種牡馬・マグニテュードを父に持つミホノブルボンが、果たして2000m→2400m→3000mと距離が延長してゆくクラシック戦線を戦い抜けるのか。いや、“ハナ差辛勝”だった朝日杯から見ると、最初の皐月賞だってイケるかどうか判らないぞ……というわけ。
 今でこそNHKマイルCが出来たり、古馬の短距離G1にも3歳馬が参戦出来易くなって、短距離馬も自分に合った路線を迷う事無く選べるようになったけど、当時は1600mのG2だったニュージーランドトロフィーが3歳短距離王者決定戦で、それにしたって本当のマイラーよりも、クラシックに出られない外国産馬救済の意味合いが強かった。だから当時は、いくら距離適性に不安があったとしても、賞金が足りてるのなら、とりあえずクラシック戦線を目指してみるのが当たり前だった。まぁこれは今でも大きく変わらないかも知れないけどね。
 で、ミホノブルボンもご多分に漏れず、“とりあえず”クラシック戦線に名乗りを挙げる事にした。でも、当の戸山調教師が『この馬は本質的にはスプリンターだと思う』と言ったもんだから、ただでさえ燻っていた不安の声が一気に炎上しちゃう事になった。これ以降のミホノブルボンは、ラス前の京都新聞杯を除いて、レースの度に距離延長に挑む事になるんだけど、その都度しつこいくらいにマスコミ発の距離不安説が紙面(誌面)を賑わす事になる。ファンとしては正直、ウザったくて仕方なかったなぁ(苦笑)」
珠美:「でも、本当の所どうなんでしょう? こういう『代表産駒が短距離馬の種牡馬』から生まれた仔というのは、やはりマイラーかスプリンターになる可能性が高いんですか?」
駒木:「まぁ“代表産駒”という括りにするとミスリードしてしまいそうだから言い換えるけど、確かに同じ種牡馬を父に持つ競走馬たちの距離適性は似ている場合が多いんだ。これは競馬四季報の種牡馬別インデックスで調べてもらったら判るんだけど、同じ種牡馬から生まれた産駒の8〜9割方の距離適性は確かに一致しているよ。
 ただし、例外もある。身近な例で言えば、去年の菊花賞3着馬・メガスターダムだね。この馬の父親・ニホンピロウイナーは、自身が生粋のスプリンターだった事もあって、産駒も短距離馬である事がほとんど。『ニホンピロウイナー産駒が2000mを超えるレースに出る時は、まず無条件で消し』と言っても良いくらい。ところが、母系の影響が強いのか強烈な隔世遺伝なのか知らないけど、こういう変わったヤツも出て来るわけ。
 だからミホノブルボンに対して、距離不安説が出て来るのは仕方ないと言えば仕方ない。管理調教師が率先して不安説をばら撒いてる訳だからね(苦笑)。朝日杯のレース振りも、見た目では確かに大苦戦しているように映るわけだし。ただ、後にも採り上げるけど、マスコミ連中のこの馬に対する距離不安の声は、ちょっと度を越している気もしたね。『お前ら、そんなにブルボンに負けて欲しいのか』…とか思ってた。当時17歳の駒木ハヤト少年は(笑)」
珠美:「少年ですか、なるほど(笑)。……ということは、年明け緒戦・1800mのスプリングステークスの時点で、既に距離不安が囁かれていた…というわけですね」
駒木:「だから、このスプリングステークスだけ、ミホノブルボンは2番人気なんだよ。1番人気は、年末のラジオたんぱ杯を勝ったノーザンコンダクト。ミホノブルボンは1800mすら怪しいと思われていたわけだ。何しろ“朝日杯で大苦戦のミホノブルボン”だからね」
珠美:「しかし、いざフタを開けてみると、待っていたのはミホノブルボンのワンマンショーでした。戸山調教師の指示通り、スタートから抑えずにハイペースで逃げを打ったミホノブルボンは、直線に入っても差を広げる一方。追走でスタミナを使い果たした他馬を尻目に、8馬身差の圧勝で1800mの“課題”をクリアします
駒木:「スピードの違いでハナに立ってマイペースで逃げているだけなのに、いつの間にか他の馬が余力を無くしてフラフラになってるってパターン。能力の絶対値が違い過ぎるとこういう事になるね。
 最近の最強馬は逃げ・先行より差し・追い込みの方が多くなっちゃったんで、こういう光景もあまり見られなくなったんだけど、僕が生まれた前後の大昔には、マルゼンスキーとかカブラヤオーとかがいたね。テンポイントとトウショウボーイのマッチレースになった有馬記念なんて、2頭で競り合いながらそれをやっちゃったっていう、伝説クラスの一戦だったね」
珠美:「こんなに凄い勝ち方をしたならば、皐月賞で200mの距離延長になっても大丈夫…という話になったんじゃないですか?」
駒木:「少なくとも乗ってた小島貞博さんは確かな手応えを感じていたみたい。戸山調教師も『鍛え続ければ、クラシックで戦っても何とかなる』と考えてたみたいだね。ただ、『負けたら即、路線変更』という方針も変わらなかったみたいだけど。
 で、皐月賞直前になって、続々と他の有力馬が出走を回避してダービー狙いに切り替えたもんだから、皐月賞は一転してミホノブルボン安泰ムードになっていった」
珠美:「有力馬が続々と一生に一度のクラシックレースを回避するというのも珍しい話ですね」
駒木:「そうだよね。確か、当時のマスコミ報道では、『中山競馬場の荒れた馬場を避けてダービーに専念する事にした』ってことになってたらしいけどね。ただ、本音は『皐月賞まではミホノブルボン相手に勝ち目は薄いけれど、距離延長になるダービーなら勝負になる。ならば、皐月賞を捨ててダービーに専念した方が結局は得なんじゃないか?』……といったところじゃないだろうか。まぁこれは推測だけどね」
珠美:「博士のおっしゃる通り、クラシック第一弾の皐月賞で、ミホノブルボンは単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持されました2番人気は弥生賞勝ち馬のアサカリジェントでしたが、こちらは単勝オッズ6.2倍。戦前のムードは、まさにミホノブルボン一色といったところですね」
駒木:「そうだね。ただ、そんな中、安穏としてられなかった人が1人。騎手の小島貞博さんだ。腕はともかく、これまで20年大舞台に縁の薄かった人が、いきなり勝って当たり前の馬に乗って皐月賞だからねぇ。プレッシャーは並じゃなかったと思うよ。当たり前の事をすれば大丈夫なんだけど、そういう時に何が難しいって、当たり前の事をすることなんだよねぇ」
珠美:「それでも、小島貞博騎手はその“当たり前のこと”を見事、成し遂げます。スタートから勢い良く先頭にたったミホノブルボンは、このレースでもマイペースのまま後続の馬を競り落とし、悠々と2馬身1/2の差をつけて1着でゴールしました」
駒木:「今でも鮮明に覚えてるよ。テレビ中継の勝利騎手インタビューで、小島さん泣いてたもんなぁ。長年の苦労が実った嬉し涙だったんだろうけど、プレッシャーから解放されたっていう安堵の意味合いもあったのかも知れないね。
 ともかくこれで一冠。で、こうなった以上はダービーに挑戦しないといけない立場になっちゃったわけで、戸山調教師にとっては、喜ぶ間もなく新たな課題を突きつけられたって事になるね」
珠美:「こうして皐月賞馬となったミホノブルボンは、その後トライアルを使わずにダービーへ直行するローテーションを選択し、厩舎での馬体調整に入ります」
駒木:「馬体調整って言えば聞こえは良いけどねぇ。実態は、常軌を逸するほどの猛特訓がブルボンを待っていた。
 さっき言ったように、ミホノブルボン陣営は、調教師も主戦騎手も『ブルボンは本質的にスプリンター』と思っていた。絶対能力の差で2000mまでは無難にこなせたけれども、2000mと2400mは似ているようで全く違う条件だからね。ましてやダービーは誤魔化しの利かない東京競馬場で行われるわけだし。
 しかし、皐月賞に勝ってダービーに出る以上は恥ずかしいレースしちゃいけないのは当たり前だし、第一、ダービーを勝ちたくない競馬関係者なんているはずがない。だから、この時点で戸山調教師の胆は決まっていた。『ミホノブルボンに考え得る限りの猛特訓を課して極限まで鍛え上げ、中〜長距離でも通用するスタミナを、遺伝の力に拠らず後天的に植え付ける』…ってね。
 言ってみればこれは、“ブラッド(血統の)スポーツ”と呼ばれる競馬そのものに対する挑戦だ。二流・三流の血統から生まれたスプリンターを、トレーニングによって超一流のステイヤーにしようっていうんだからね。そんな事、いくら戸山調教師でも、これまでやろうと思っても出来なかった事だった。普通の馬でそれをやっても、あっという間に脚が壊れてアウトだったからね。
 でも、この時はミホノブルボンがいた。坂路コースがあった。不可能を可能に変える環境は整っていた。ならば、やろう。調教師生活の集大成としてチャレンジしてみよう。戸山調教師はそう考えたんだろうね。実はこの時、戸山調教師はガンの摘出手術を受けて復帰したばかりで、いつ再発してもおかしくない状況だった(事実、ミホノブルボンのリタイヤ後にガンが再発し、間もなく死去)から、やれる時にやれる事をしておきたかったんじゃないのかな」
珠美:「そういうエピソードがあったんですね。では、ダービー前の調教は、前にも増して激しいものになったというわけですか?
駒木:「うん、ダービー前になって調教量を更に増やしたらしい。それこそ、担当助手の安永さんや他のスタッフも『いつ潰れちゃうんだろう?』と思う位のね。一度、坂路調教を5本みっちりやった日は、さすがのブルボンもバテバテになって飼葉を食わなくなった程だったらしい。幸い、すぐに体調が戻ったから良かったようなものの、下手をすればダービーの出走を断念しなくちゃならないほどの状態だったらしいよ」
珠美:「それは……(絶句)。ファンの見えない所で、とんでもないことになっていたんですね……」
駒木:「戸山調教師に言わせたら、『これで壊れるくらいなら、出走しててもダービーなど勝てはしない』ってところだったんじゃないのかな。でもまぁ、冷静に見ると、本当によく馬が保ってくれたと思うよね」
珠美:「そうして6週間の時が流れ、いよいよ東京優駿・日本ダービーの日がやって来ます。前日の雨で稍重まで渋った馬場は、重馬場のスプリングステークスを圧勝したミホノブルボンに有利と思われていましたが、それでも単勝人気は2.3倍1番人気は譲らなかったものの、単勝支持率は皐月賞の約50%から20ポイントほど落ち込んだ事になります。
 ……これは、やはり2400mの距離を懸念したものですか?」

駒木:「そうとしか考えられないね。だって、他に理由ある?(苦笑)
 ……皐月賞が終わってから、ダービーまでの間、競馬ファンの関心は『ミホノブルボンは2400m保つのかどうか?』という一点に絞られていた感じだった。月刊『優駿』でも、大きくページを割いて『ミホノブルボンは2400mを克服できるかどうか?』というような特集を組んでいた記憶がある。言い換えれば、みんなミホノブルボンが1番強いのは判ってるわけ。で、この馬が普通のマグニテュード産駒と違うって事も、ガチガチの血統論者の皆さんだってお判りになってたわけだ(笑)。だからこそ起こった議論だとも言えるね。“原則と例外のせめぎ合い”って言うのかな。
 …でも、いざレースをやってみたら、机上の空論や推測、更には常識とか原則・セオリーといったモノなんかは、圧倒的な現実の前にはまるで役に立たないって事が明らかになっただけだった。ミホノブルボンという馬がいる。そして強い。僕たちがこの年のダービーを通じて知ったのは、多分それだけだったんじゃないのかな」
珠美:「えーと、私の喋る事がほとんど無くなってしまったんですけど……(苦笑)。あ、でもレースの展開もこれまでと同じですから、説明しなくても良いくらいなんですよね(苦笑)。
 ミホノブルボンは、このダービーでも全く気負うところなく、スピードの違いでハナに立つや、マイペースで離し気味の逃げを打ちます。普通なら逃げ馬のリードが狭まる4コーナー付近でも後続の17頭は全く追いつけず、逆に直線で差がみるみる内に開いてゆきます。
 後はもうミホノブルボンのワンマンショーですね。ライスシャワーとマヤノペトリュースの激しい2着争いを繰り広げている4馬身前方で、ミホノブルボンは二冠達成の瞬間を迎えていました

駒木:「この時の2着馬がライスシャワー。16番人気だったんだよね。この時は、まさかこの馬が“レコードブレイカー”と呼ばれるような強豪馬になるとは誰も思っちゃいなかっただろうね」
珠美:「前年のトウカイテイオーに続いて無敗での二冠達成を果たしたミホノブルボンは、夏を休養に充てるため、北海道へ放牧に出されます」
駒木:「で、この時も“戸山イズム”が炸裂している(笑)。普通、こういう凄い馬になると、夏場でも厩舎で調整したり、牧場へ放牧に出しても1頭だけ別の放牧地があてがわれるVIP待遇を受けるものなんだけど、戸山先生は『他の馬と相撲をとったりしながら、腹一杯青草を食う。これが馬を鍛えるのに丁度良いんだ』って(苦笑)。万が一、他の馬の回し蹴りがクリーンヒットしたら、それで三冠はアウトだからねぇ。厩舎のスタッフも、牧場関係者も毎日気が気じゃなかったと思うよ。
 まぁでも、菊花賞の3000mを克服するためには、出来る事は余す所なく何でもやっておかないといけないって思っていたんだろうね。確かに1800mの段階から距離不安が囁かれていた馬に3000mを走らそうって言うんだから、ある程度のリスクは背負うのも止む無しと思えなくもない。何しろ、3000m走らせる事自体が一番大きなリスクだったわけなんだからさ」
珠美:「そしてミホノブルボンは、無事夏を乗り越えたわけですね?」
駒木:「そう。しかも、相当青草を食ったらしくて、馬体の方も一回り大きく成長していた。戸山調教師は賭けに勝った訳だね。……で、帰厩したミホノブルボンに待っていたのは、またしてもハードなトレーニング。3000mでも持ち前のスピードが発揮できるだけのスタミナを備えさせるためのね」
珠美:「迎えた秋緒戦は、菊花賞トライアル・京都新聞杯でした。一足先にセントライト記念で復帰していたライスシャワーや、神戸新聞杯の覇者・キョウエイボーガン、更にはかつてのライバル・ヤマニンミラクルなどがいましたが、距離2200mの京都新聞杯では、彼らもミホノブルボンの敵ではありませんでした。ターフで繰り広げられた光景は、これまでとほぼ同じの一人舞台単勝1.2倍・支持率約65%の1番人気に推されたミホノブルボンが、2着ライスシャワーに1馬身1/2の差をつけて楽々逃げ切ります
駒木:「この辺まで来ると、ライスシャワーの成長にちょっと不気味なものを感じつつも、ミホノブルボンの圧倒的な地力の差の前に、『何となく菊花賞も大丈夫じゃないのかな』的ムードになりつつあった。まぁミホノブルボン陣営は、とてもそんな気分にはなれなかっただろうけどね」
珠美:「こうして、シンボリルドルフ以来の無敗での三冠達成まであとレース1つに迫ったミホノブルボンは、いよいよその“あとレース1つ”である菊花賞へ挑みますが……」
駒木:「盛り上がって来た所で悪いんだけど、ここから先は、去年の夏にやった『90年代名勝負プレイバック〜“あの日、あの時、あのレース”』の第16回で詳しく採り上げているから、そちらをジックリ参照してもらう事にしよう。今回の講義と重複している部分も多いけど、当時の雰囲気を実感しながらレジュメを読んでもらえると嬉しいね」
珠美:「結局、ミホノブルボンは最後の直線でライスシャワーに交わされて2着に終わってしまうんですよね」
駒木:「ライスシャワーは、絶対にバテないスタミナと一瞬の決め脚に持ち味のある馬だったからね。その馬を相手に控えるレースをして、しかも引っ掛かってしまっては勝ち目も薄かっただろうね。
 そりゃ、当時のセオリーから考えると、中間のペースを緩めずにハイペースの逃げを打つなんて、とても考えられる事じゃなかったけれどねぇ。でもライスシャワーに勝とうと考えるなら、やっぱり戸山調教師が言うように、3000mでもマイペースで行ける所まで行くべきだったよね。そうやって、直線までにライスシャワーが戦意喪失するくらいまで差を広げておくべきだった。スタミナ切れで2着が無かったかも知れないけど、逆に1着があったかも知れない。まぁ、これはもうどうにもならない話なんだけれども、1ファンとしては無念でならないね」
珠美:「……その後、ミホノブルボンはジャパンカップに出馬登録しますが、直前になって軽い故障を発症して回避。この時はすぐに復帰できると思われていたのですが、その後も度重なる脚の故障に苛まれ、結局は長期の休養生活に入る事になります
駒木:「最後の方になると、色々な故障が多重発生しているような状態だったからね。八方手を尽くして復帰への道を探る試みが為されたけれども、どうやら早い段階から競走能力が喪失していたみたいなんだ。
 それを象徴するエピソードを1つ紹介しておくね。ミホノブルボンがリタイヤした後、間もなくして戸山調教師が逝去、厩舎も解散する事になるんだけれども、ここで宙に浮いたのがミホノブルボンの移籍先だった。旧・戸山厩舎所属の有力馬たちは、後にジャパンカップを勝つレガシーワールドを始め、大体が元・戸山厩舎調教助手筆頭だった森秀行調教師の下へ預けられたんだけども、ミホノブルボンはその中に入っていなかったんだよ。新規開業する調教師が管理できる馬の数は限られていて、いくらビッグネームとは言え、復帰の目処が立たない馬を受け入れるわけにはいかなかった…というわけだね」
珠美:「………」
駒木:「で、ここでブルボンの担当持ち乗り助手だった安永さんが登場する。彼も勤務先だった戸山厩舎が解散した以上は、次の勤務先を見つけなくちゃいけない。と、そこへ、森調教師と同じく、旧・戸山厩舎所属馬を引き受ける形で新規開業する予定だった松元茂樹調教師が安永さんを松元厩舎所属の調教助手としてスカウトしにやって来た。『ウチの厩舎を助けてくれないか?』ってね。
 上下関係の厳しい競馬の世界だ。ましてやこういう場合、普通なら二つ返事で『よろしくお願いします』って言う所だよ。でも、安永さんはスカウトを承諾するのに条件をつけた。
 『僕と一緒に、ブルボンも引き取って下さい』
 ……ってね。松元調教師も、安永さんの気持ちを粋に感じたのか、限られた管理馬枠の1つをミホノブルボンに提供し、安永さんは松元厩舎所属の助手になった。結局、ミホノブルボンの復帰は叶わなかったけれども、僕は最後までブルボンのために力を尽くしてくれた安永さんに『ありがとう』と言いたくてたまらないね。
 ……あー、ダメだ。これ以上喋ってると涙が出そうになる(苦笑)。珠美ちゃん、後は任せた(笑)」
珠美:「ハイ、分かりました(笑)。ミホノブルボンはその後、種牡馬となって多くの産駒を競馬場に送り込みますが、残念ながら現在のところ目立った活躍馬を出す事が出来ていません。今年には故郷の原口圭二牧場へ身を寄せて、種牡馬としての活動を細々と続けながらも、今は半ば悠悠自適の生活を送っています」
駒木:「種牡馬として失敗した馬──いや、まだ決まったわけじゃないけどね(苦笑)、そういう馬の中では恵まれた“馬生”を過ごしているんじゃないのかな。内臓の強い馬なんだから、シンザンの持つ長寿記録を追い抜かす勢いで頑張って生きて欲しいね、これからも」
珠美:「……というところで、この講義も終了ですね。博士も受講生の皆さんもお疲れ様でした」
駒木:「ご苦労様。でも、またいつかやってみたいね、この企画。あくまでも時間に余裕が出来れば、の話でだけどね」
珠美:「──というわけで、このシリーズは一旦ここで長いお休みを頂きます。今後の競馬学の講義は週末のレース予想を中心にお送りする事になりますので、よろしくお願いしますね♪」
駒木:「では、講義を終わります。長時間ありがとうございました。ではでは。」(この項終わり)

 


 

2003年第65回講義
 9月21日(日) 競馬学概論
「“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝」(11)
最終章・ミホノブルボン(中編)

※過去のレジュメはこちらから→ビワハヤヒデ編(第1〜3回)ライブリマウント編(第4回〜第6回)フラワーパーク編(第7回〜第8回)ムーンリットガール編(第9回)/ミホノブルボン編(第10回) 

駒木:「三夜連続の競馬学講義、今日から2日間は半年振りの競馬学概論だ。今月の“積み残し精算シリーズ”の中でも一番の懸案だったこのシリーズが、やっと再開できて嬉しいよ。
 ……もっとも、嬉しいのは僕だけかも知れないけれどね(笑)」
珠美:「講義の冒頭で自虐的な事をおっしゃるところまで、半年前と変わらないんですね(苦笑)。
 ……あ、皆さんこんばんは。栗藤珠美です。実は私も久しぶりに助手らしいお仕事が出来るので、密かに楽しみにしていたんです(笑)」

駒木:「そうか(笑)。じゃあ早速、助手らしい仕事をしてもらおうかな。このシリーズがどういう趣旨の講義なのか、それを忘れてしまった受講生さんのために説明してもらおうか」
珠美:「ハイ、分かりました。……この『“埋もれた(かも知れない)名馬”列伝』は、実力も実績も兼ね備えている名馬クラスの競走馬であるにも関わらず、それに見合うだけの知名度や人気に乏しい…と駒木博士がお考えになった馬をピックアップし、その往時の姿を紹介する講義です。
 そして現在進行中なのが、1992年の二冠馬・ミホノブルボンのお話です。ちなみにこの馬は、駒木博士のフェイバリット・ホースとのことです」

駒木:「丁寧な説明有難う。その通り、ミホノブルボンは僕の一番好きな馬でね。大体、競馬ファンは自分が競馬を始めた頃の名馬がマイ・フェイバリットになるものだけど、ご多分に漏れず僕もそうなったわけだ(笑)。
 ……で、それで勢いがつき過ぎたというわけじゃないんだけど、3月に実施したこの章の第1回はミホノブルボンが入厩する前で終わっちゃった(苦笑)。だから、ある意味途中からの受講に向いていると言えるかも知れないね。とりあえず、今日と明日で最後まで一気にお届けする予定だよ」
珠美:「ハイ、よろしくお願いします。では、ここでミホノブルボン号の競走成績一覧表をご覧頂きましょう」

ミホノブルボン号・全成績(略式)
<詳細はこちらのリンク先を参照>
日付 レース名 着順 騎手 1着馬(2着馬)

91.09.07

新馬戦

/13

小島貞

(ホウエイセイコー)

91.11.23 500万下 /10 小島貞

(クリトライ)

91.12.08 朝日杯3歳S(G1) /8 小島貞 (ヤマニンミラクル)
92.03.29 スプリングS(G2) /14 小島貞 (マーメンドタバン)
92.04.19 皐月賞(G1) /18 小島貞 (ナリタタイセイ)
92.05.31 日本ダービー(G1) /18 小島貞 (ライスシャワー)
92.10.18 京都新聞杯(G2) /10 小島貞 (ライスシャワー)
92.11.08 菊花賞(G1) /18 小島貞 ライスシャワー

駒木:「半年前にも同じ事言ったけど、本当に『画竜点睛を欠く』って感じで惜しいよねぇ。贔屓目で見過ぎかも知れないけど、マルゼンスキーとかトキノミノルになり損ねたような残念さが残る成績表だね」
珠美:「う〜ん、受講生の皆さんは、博士の喩え話から少し割り引いて解釈するのが無難かも知れませんね(苦笑)。私もそうですけど、好きな馬についてお話をする時は目が眩んでいますから……」 
駒木:「まぁそうかもね(苦笑)」
珠美:「……それでは、駒木博士にミホノブルボンについてのお話をして頂きましょう。先ほど博士おっしゃっていましたが、前回は牧場時代のミホノブルボンや、所属厩舎になる戸山為夫厩舎についてのお話で終わってしまいました。ですので、今日はその続きからという事になりますね」
駒木:「そうだね。じゃ、キリのいいところで入厩してからの話、という事にしようか。
 牧場で生まれたサラブレッドは、生まれた後しばらくしてから競走馬としての専門的な調教や基礎トレーニングを施される。これが専門用語で『馴致』や『育成』と呼ばれるモノで、それが2歳の春頃まで続く。これはミホノブルボンも例外じゃないね。……で、育成が進んで体が出来た順番に、JRAや地方競馬の厩舎へと送り込まれてゆく。これがいわゆる『入厩』というヤツだね。
 ゲームなんかだと、いざ入厩という時になって厩舎選びが始まるのだけれども、実際にはずっと前に決まっているケースがほとんど。最近、あの関口房朗オーナーがセリ市で買った馬の管理調教師を公募したらしいけど、それは例外中の例外だよ。中央競馬でデビューする馬の場合、ミホノブルボンみたいに調教師が馬を見初めてオーナーに紹介する事が多いから、大抵は遅くとも当歳(0歳)と呼ばれる内に調教師が決まってるケースが多いんじゃないかな」
珠美:「そう言えば、一口馬主クラブの所属馬も、早い段階で所属厩舎が決まっているらしいですね」
駒木:「そう。僕が入ってるシルクホースクラブでも、出資会員募集の段階で“所属予定厩舎”が公開されるようになってる。調教師の当たり外れって意外と大きくてね、下手に成績下位の厩舎に放り込まれると、せっかくの馬があっという間に壊されかねないんだよ。で、シルクホースクラブって、それこそ成績トップの厩舎とも最下位の厩舎とも付き合いがあるんで、格差が大きすぎてねぇ。そういうわけで会員の要望からクラブも渋々予定厩舎を公開するようになったわけ。
 ……と、話が逸れた。ミホノブルボンも91年の夏、牧場でこの馬を見初めた戸山為夫調教師の下へ預けられた。そして本格的な調教を開始されて間もなく、『値段の割には走りそう』な存在に過ぎなかったこの馬が、厩舎内だけでなく栗東トレーニングセンター全体にも名を轟かせる存在になってゆく。あ、これは誇張じゃないよ(笑)」
珠美:「(笑)。でも、デビュー前の競走馬が話題になるという話も珍しいですね。どういう経緯があったんでしょうか?」
駒木:「戸山厩舎が坂路調教のパイオニア的存在だったのは、前回に話をしたよね。で、この91年には、その年の二冠馬・トウカイテイオーが坂路調教メインで鍛えられたって事もあって、栗東では空前の坂路調教ブームがやって来ようとしていた。極論すれば、坂路で調教を積まれている馬が1つ重賞を勝つだけでも『坂路効果キター!』…みたいな感じで注目されるような時期だったんだよ(笑)。
 そんな中、戸山厩舎所属のミホノブルボンも、当然のごとく坂路で本格的なトレーニングを開始する。まぁ、いくら坂路ブームとは言っても、普通なデビュー前の平凡な血統の馬に注目が集まる事は無いはずなんだけど、この馬の場合はちょっと話が違った
珠美:「普通、デビュー前の馬が話題になるとすれば、調教の時のタイムが思い浮かびますけれども……」
駒木:「ご名答。当時の栗東坂路コースは全長500m(現在は800m)で、走破タイムは調教駆けする古馬オープンクラスでも30秒ソコソコが標準だったのかな、確か。ところがミホノブルボンは、デビュー1ヶ月前の初期調整段階で29秒9のタイムを叩き出すそこに居合わせた一同が、まず始めに計時機械の故障を疑ったっていうんだから、その衝撃度たるや凄いモノがあるよね」
珠美:「少年マンガみたいな世界ですね(笑)」
駒木:「いや、まったく(笑)。……でも話はそれだけで終わらない。当時の坂路は全長500mのショートコースだったから、坂路だけで調教する場合は1日2本走らせて1日分って感じだったんだけど、ミホノブルボンは1日に4本走らせてた。それが余りにエゲツないハードトレーニングだっていうんで、そっちの方でも話題になったんだよ。こちらも少年マンガお得意の猛特訓ってヤツだね」
珠美:「でも、そんな無理をしていると本当に馬が壊れてしまいそうですね……」
駒木:「だろうね。並の馬ならぶっ壊れていただろうと思うよ。当時、担当の持ち乗り助手(調教助手兼厩務員)だった安永さんも、『ブルボンにしてみれば、レースで走っているよりも、毎日の調教の方がキツかったと思う』って当時を振り返って言ってたしね。
 ただ、坂路はウッドチップコースだから直接的な故障の確率は少ないし、加えてミホノブルボンは内臓がとても丈夫だったらしいんだ。とにかく消化器官が強くて食欲が旺盛。だからどれだけ調教を積んでも馬体が減らないで、逆に筋肉がつく。現役当時の姿を知ってる人は、お尻の辺りの筋肉が隆々と盛り上がって割れていたのを記憶してるんじゃないのかな」
珠美:「なるほど、消化器官の強さも競走馬としての才能の1つなんですね」
駒木:「日常的にも飼葉食いがどう、とかいう話が出てくるだろ? それは即ちそういう事なわけだね。
 ちなみに、大食漢で有名だったのはオグリキャップ。飼葉を軽く八升平らげたとか、あんまり食い過ぎて太ったんで、馬運車に乗せて輸送減りダイエットをさせた…とか、そういう逸話が残ってるね。
 ……あ、人間の場合は輸送減りダイエットは無理だから、珠美ちゃん真似しちゃだめだよ」
珠美:「やりません!……っていうか必要ありません!(怒)」
駒木:「まぁそういうわけで…だ(笑)。何だかとんでもない3歳──当時は旧表記だったからね──がいるぞ…とミホノブルボンはトレセン界隈で話題になった。その後も順調に調整を進めて、いよいよ9月の中京開催(阪神競馬場改装工事に伴う代替開催)で無事デビューの時を迎える
珠美:「そのミホノブルボン号がデビューした新馬戦は、中京芝コース1000m、13頭立ての一戦でした。
 破格の調教時計が評価され、単勝1.4倍の1番人気に支持されたミホノブルボンでしたが、スタートで両脇の馬に挟まれる形になり、完全に出遅れてしまいます

駒木:「小回り平坦コースの1000m戦で出遅れ。馬券を買ってる人じゃなくても悲鳴を上げたくなる光景だろうね(苦笑)。普通なら九分九厘アウトのアクシデントだよ」
珠美:「それでもミホノブルボンはそこから実力の違いを見せ付けます。3コーナー手前からグングン追い上げて4コーナーでは7番手。直線でも全くスピードを緩める事の無いまま、最後は2着馬に1馬身1/4差をつけてゴールします。タイムは当時の中京競馬場の2歳レコードになる58秒1、後半の3ハロンのラップも33秒1(33秒0の説も有)という好時計でした」
駒木:「ミホノブルボン・ファンの間では伝説になっているレースだね。小回り1000mのコースで悠々と追い込んだのも凄いし、デビュー戦の2歳馬が3ハロンを33秒1で上がってくるってのがまた凄い。このレースを生で観た人がどれくらいいるか判らないけど、今もって羨ましいよ(笑)」
珠美:「しかし、このレースの後、ミホノブルボンは軽いソエ(骨膜炎)が出て小休止。入念に調教を積まれて復帰したのは朝日杯3歳ステークス(当時)の2週間前、東京開催の平場条件戦でした」
駒木:「中途半端な状態で出走させないのが戸山厩舎の方針だから仕方ないけど、素人目には『もう少しゆったり構えられないのかね』ってところだなぁ(苦笑)」
珠美:「しかし、レース振りはゆったりと構えたままの楽勝でした(笑)。道中は2番手に控え、直線入口で抜け出して2着に6馬身差をつけ、単勝1.5倍の圧倒的1番人気に応えます」
駒木:「まぁ、本格化前っていうならともかく、デビュー前から素質を全開にしている馬なんだから、平場戦でこれくらいはやってもらわないとね」
珠美:「これで2勝目を挙げ、賞金面でオープン入りを果たしたミホノブルボンは、当初の予定通り、中1週のローテーションで、朝日杯3歳ステークスに挑みます」
駒木:「今は朝日杯フューチュリティSに名前を変えているこのレースだけど、現在の“2歳牡・せん馬No.1決定戦”という意味合いのレースに変わったのは、ミホノブルボンが出走した91年からだったんだよ。
 それまでは東で朝日杯3歳ステークス、西では阪神3歳ステークスという似た条件のG1レースが2つあって、東西それぞれの2歳チャンピオンを決定していたんだ。それがこの年から、東で牡馬の、西で牝馬の2歳チャンピオンを決めるようにレース体系が変わった。つまり、ミホノブルボンの出た朝日杯は、“初代・東西統一2歳牡馬チャンプ決定戦”という事になるね」
珠美:「この年の朝日杯は8頭立てで争われました。1番人気はミホノブルボンで、今度も単勝1.5倍の圧倒的支持。以下、京成杯3歳ステークス(現:京王杯2歳ステークス)勝ち馬のヤマニンミラクル府中3歳ステークス(東京スポーツ杯2歳ステークスの前身であるオープン特別レース)を3馬身差完勝して来たマチカネタンホイザがそれぞれ単勝4倍台で2番人気、3番人気を分け合っていました。
 ミホノブルボンは、平均ペースで逃げるマイネルアーサーと併走する形で直線まで行き、そこから前走と同じように抜け出しを図りますが、直後に控えていたヤマニンミラクルがそこへ馬体を併せて来て、ゴール前ではマッチレースの形に。最後は本当に際どい勝負になったのですが、何とかハナ差だけミホノブルボンが凌いで1着になりました」

駒木:「8頭立てかー。実はこの年、馬連の馬券が発売されるようになったばかりでね。このレースの頃は馬連の馬券が飛ぶように売れていた時期だったんで、関係者にしてみれば『せめて10頭、いや9頭でも…』って思ってたんじゃないのかな(笑)。
 それはさておき、最後の菊花賞を除いたら、ミホノブルボン最大のピンチだったのがこのレースだね。主戦騎手だった小島貞博:現調教師の談話によると、『道中控えた事が逆効果になって、危うく脚を余して負ける所だった』…という事だから、本当はもう少し楽に勝てるところだったんだろうけどね。それは戸山調教師も判ってたみたいで、レース後に小島さんをきつく叱って、『今後のレースでは、とにかく馬の行く気に任せてガンガン逃がせ』という指示を出したとのことだよ。“稀代の逃げ馬”としてのミホノブルボンが誕生したのは、どうやらこの時だったと考えて良さそうだね。
 あ、あと、この時の“ハナ差辛勝”って記録が、次の年になってからのミホノブルボン・ストーリーのちょっとした伏線になってゆくから覚えておいてね」
珠美:「……こうして3戦全勝で“初代・東西統一2歳チャンピオン”になったミホノブルボンは、クラシックシーズンに向けて、厩舎在厩のままでオーバーホールに入ります。年明け緒戦は皐月賞トライアル・スプリングステークスになるわけですが……」
駒木:「ちょっと時間が差し迫っているので、一旦ここで区切りを入れさせてもらおう。次回は後編。クラシックシーズンを駆け抜けたミホノブルボンを最後まで追いかけるよ」
珠美:「ハイ、それでは後編もよろしくお願いします」
駒木:「それでは、お疲れ様。後編もどうかよろしく」(次回へ続く


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