駒木:「さぁ、今年もJRAのG1シリーズがいよいよ開幕だね」
珠美:「今週はダートのG1・フェブラリーステークスですね。他のG1レースとは、ちょっと時期がズレてますけれども……」
駒木:「でも不思議なもんだね。G1昇格したばかりの頃は違和感だらけだったのに、もうここ2〜3年はすっかり慣れちゃった気がする」
珠美:「競馬の世界って、そういうパターンが多いような気がするのは私だけでしょうか?」
駒木:「いや、多分他の人も一緒だと思うよ(笑)。
……さて、相も変わらず時間が詰まってるし、早速本題に移っていこうか。珠美ちゃん、よろしく」
珠美:「ハイ。それでは、まずはいつも通り、出走表と私たちの予想印を皆さんにご覧頂きましょう」
フェブラリーS 中山・1800・ダ |
駒 |
珠 |
枠 |
馬 |
馬 名 |
騎 手 |
|
|
1 |
1 |
エイキューガッツ |
田中勝 |
|
|
1 |
2 |
カネツフルーヴ |
中館 |
▲ |
|
2 |
3 |
プリエミネンス |
柴田善 |
|
|
2 |
4 |
アッパレアッパレ |
後藤 |
○ |
◎ |
3 |
5 |
ゴールドアリュール |
武豊 |
|
|
3 |
6 |
マイネルブライアン |
北村 |
△ |
▲ |
4 |
7 |
イーグルカフェ |
デムーロ |
|
× |
4 |
8 |
ビワシンセイキ |
横山典 |
|
|
5 |
9 |
スマートボーイ |
伊藤直 |
× |
× |
5 |
10 |
ノボトゥルー |
ペリエ |
|
|
6 |
11 |
レギュラーメンバー |
松永 |
|
|
6 |
12 |
ハギノハイグレイド |
池添 |
|
|
7 |
13 |
ディーエスサンダー |
勝浦 |
× |
|
7 |
14 |
エイシンプレストン |
福永 |
|
△ |
8 |
15 |
リージェントブラフ |
吉田 |
◎ |
○ |
8 |
16 |
アドマイヤドン |
藤田 |
駒木:「メンバー見てても、芝の馬が『ちょっくらついでに』ってパターンが随分減ったよねぇ。今年で言えばエイシンプレストンぐらいかな。改めてダート競馬の普及が進んだのを実感するね」
珠美:「それではまず、博士にはこのレースについての全体的な印象をお話して頂きます。いかがでしょうか?」
駒木:「東京競馬場の改修工事が続いていて、結果的に去年の秋のジャパンカップダートと全く同じ条件になっちゃったね。まぁ、無理して1700mのレースにするよりはマシだと思うんだけど……。
メンバーの方も、ジャパンカップダート組が上位5頭を含む8頭がエントリーしていて、こちらも何だか再戦ムードだね。トーホウエンペラーが抜けて、ちょっと小粒な新顔がいくらか増えた感覚。去年よりは見劣りするけど、このレースとしては中くらいのレヴェルにはなると思うね」
珠美:「東京の1600mの場合と比べた場合、距離以外にどこか違う条件はありますか?」
駒木:「そりゃあ東京と中山だとコースの広さも直線の長さも全然違うんだから、たくさんあるよ(笑)。
まぁ一番大きな違いは、東京のダート1600mコースが向正面の芝コースからスタートする特殊なコースだってことかな。スタート直後の先行争いに少し影響があるかも知れないし、スタートから最初のコーナーまでの距離が随分と違うのも注目だね。
あと、コーナーの数が4つあるわけだから、原則としては先行有利なはず。ただし、去年のジャパンカップダートはご存知のようにリージェントブラフの追い込みが届いたから、展開次第ではどうにでもなりそうだね」
珠美:「その展開はどうなると思われますか? 下馬評では激しい先行争いになると言われていますけれども……」
駒木:「純粋な逃げ馬だけでも3頭もいるもんねぇ。そこへゴールドアリュールが競りかけたりするわけだから、前へ行く馬には酷な展開になりそうだね。好位組と後方待機組が力比べをするような感じになるのかな。まぁ、常識的に考えてペースは速くなるだろうね」
珠美:「……ありがとうございました。それでは今日も博士に、出走馬を枠順に従って1頭ずつコメントを頂きます。まずは1枠からお願いします。2頭とも随分と人気薄ですけれども……?」
駒木:「まずはエイキューガッツ。でも、どうしてこの馬が出て来たのか、サッパリ判らない(苦笑)。『週刊競馬ブック』の特集記事にも名前すら出て来ないもんなぁ。能力的にも物足りないし、ここは見送りだね。
同じ人気薄でも、カネツフルーヴは相当な実力馬。一時期調子を崩していたみたいだけど、前走の川崎記念優勝を見ても分かるように、随分と持ち直して来た印象かな。感じとしては去年の帝王賞(1着)くらいのデキにあるんじゃないかと思う。ただ、今回は先に言ったように逃げ馬受難のレースだからね。余程恵まれが無いと最後の直線を乗り切るのは難しいんじゃないかな」
珠美:「……続いて2枠ですね。こちらも人気薄の2頭なんですが、博士は印も打っておられますね」
駒木:「あぁ、プリエミネンスの事だね。でもこの馬が12番人気ってのはおかしくないかい? G1レースでは上位の常連だし、今回は内枠の好位で脚を貯められる有利さもある。そりゃあ、ゴールドアリュールとアドマイヤドンには地力で見劣るけど、でも何かあった時には連対圏内に食い込むだけの余地は残ってるはずなんだけどなぁ」
珠美:「6着に終わった前走の川崎記念が嫌気されたんでしょうか?」
駒木:「あぁ、そうかもね。でも、中間の調整過程を見る限り、今回は相当馬が変わっているような印象を受けるんだけどね。ちょっと湿気を含んだダートも有利に働くだろうし、少なくとも個人的には注目したい1頭なんだよね。
……で、この枠もう1頭のアッパレアッパレなんだけど、こちらは前走でちょっと馬脚が出ちゃった感じかな。一流どころと真っ向勝負で勝った経験が無いのが頼りない印象があるし、追い切りもピリッとしない。こちらは見送りかな」
珠美:「それでは次に3枠です。この枠には1番人気のゴールドアリュールがいますね。ついでに申し上げますと、私の本命馬です(笑)」
駒木:「ゴールドアリュールね。ジャパンカップダートで負けた時はどうなるかと思ったけど、東京大賞典ではキッチリと決めてくれたね。この馬の場合、折り合いをつけてジックリ行くよりもスピードに任せて逃げちゃう方がやっぱり良いみたいだ。
でも、それから考えると今回は大変なんだよなぁ。逃げ馬3頭を叩いて先行したところで最後まで保つとは思えないし、かといって中途半端に抑えると能力の発揮まで中途半端になっちゃいそうだし。オマケに抜け出したらソラまで使うんだよね、この馬。格下相手には問題ないけど、JRAのG1だとメンバーも揃うからねぇ。果たしてこれがどう出るか」
珠美:「それではかなり危ないと……?(汗)」
駒木:「いや、力の発揮の仕方が難しいって事。この馬、『ダビスタ』の勝負根性が無い馬みたいな走りするから、タイミングが難しいんだよ。直線先頭で一気に抜け出して、他の馬を戦意喪失に追い込めばしめたものなんだけどねぇ。……まぁでも、地力だけなら1、2を争うのは文句の無いところだし、ここは武豊騎手が新味を出す名騎乗を見せてくれる事を期待しようじゃないか」
珠美:「わかりました(苦笑)」
駒木:「3枠もう1頭はマイネルブライアンだね。何だか微妙に穴人気してるみたいだけど、地力的には下位グループだと思うよ。1800mの実績と言っても二線級相手の成績が主だし、先行馬だから展開も決して楽じゃないし。僕はあまり高く評価は出来ないなぁ」
珠美:「……続く4枠も注目馬がいますね。博士のジャッジはいかがでしょうか?」
駒木:「イーグルカフェかぁ(苦笑)。困った事に今回はデキが絶好なんだよね。しかも騎手がデムーロと来た。この馬をどう扱うかで馬券戦略が大きく変わって来るだろうから、そういう意味ではキーポイントになる馬だね」
珠美:「博士は4番手評価の△印を打ってらっしゃいますねー。やっぱりジャパンカップダートは“デットーリ・マジック”によるフロックという判断なんでしょうか?」
駒木:「半分はそう(笑)。騎手の力もあるけど、やっぱり展開が向いたのが大きかったように思えるからね。人気馬2頭がお互いを意識しすぎて共倒れになって、そこを絶妙のタイミングでイン突き。典型的な奇襲勝ちだよ。
だから、いくら秋のチャンピオンだからといっても、地力的には3番手グループの一角という評価は以前と同じのまま。まぁ、また展開恵まれて2着争いに参加できるかどうかってところだと考えてるんだよ」
珠美:「予想紙の印を見ても、皆さんそのような認識みたいですね」
駒木:「だろうね。あの1勝だけを根拠に◎を打つのはとても勇気が要ると思うよ。
……で、この枠もう1頭のビワシンセイキ。前走の平安ステークス4着で随分とミソをつけちゃったような気がするね。いくら展開だの折り合いだのと言っても、あのメンバー相手に2着にも届かないんじゃあ、ちょっと物足りなさは否めない。それに、どうやら調子のピークも過ぎかけてるみたいだしね。今回人気順(4番人気)以上の着順を取れるかどうかは、かなり微妙じゃないのかな…と思うんだけど」
珠美:「さて、これでようやく折り返し地点ですね(笑)。次は5枠の2頭ですね。こちらはノボトゥルーの取捨選択がカギになると思うんですが……?」
駒木:「その通りなんだけど、まずはスマートボーイからね。前走の平安ステークスは久しぶりにこの馬らしい逃げ切りだったね。8歳とはいえ、まだまだ地力は健在みたいだ。ただ、再三言ってるように今回は逃げ馬にはとても不利なレースだからね。ちょっと辛い。
で、次にノボトゥルーだね。このレースは2年前に勝ってて、去年は3着。これまで戦って来た相手関係を考えると、地力の上で2強に肉薄できる数少ない馬と言っていいんじゃないかな。
でも、この馬にとってツイていないのは、今年は1600mじゃなくて1800mだってこと。1600mを超えると途端に成績が振るわなくなる馬だけに、今回も苦戦を強いられる事は間違い無さそうだね。ある程度までは健闘するだろうけど、果たして先頭まで突き抜けるだけの切れ味を繰り出せるかどうか。あとは皆さんのジャッジに任せよう。僕は掲示板以上馬券範囲以下だと考えてるけどね」
珠美:「このレースって、微妙な位置付けの馬が多いですね(苦笑)」
駒木:「まったくだ(苦笑)。困ったもんだよ、全くね」
珠美:「……それでは次、6枠の2頭についてお願いします」
駒木:「レギュラーメンバー、攻め馬走ったねぇ。栗東の坂路で49秒台とは大したもんだ。まだ馬体が戻りきってないとか話を聞くけど、少なくとも前走よりは随分と復調して来てるのは間違いないみたいだね。でも、この馬も逃げ馬。やっぱり展開の事を考えると強くは推せない。
ハギノハイグレイドは随分と人気を落としたねぇ。まぁ確かにここ最近のスランプは酷いし、調教の動きもノって来ない。ちょっとレース使うのを止めてリフレッシュしてもらいたいところだね。一応、地力は3番手グループの一角なんだけど、今回は度外視しておきたい」
珠美:「次は7枠。ダート適性未知数なエイシンプレストンの取捨選択がポイントになりますね」
駒木:「ここも枠順に従ってディーエスサンダーから。オープンクラス復帰緒戦でG1とは思い切ったローテーションを組んだものだと思うけど、やっぱりここでは荷が重いかな。まずはクラス慣れからだね。
で、エイシンプレストン。ダート経験は1回だけ、しかも芝ですら勝てなかったスランプ中の時の話だから全く参考にならない。デキは可もなく不可もなくだけど、芝を含めた実績ならメンバー中最右翼。本当に微妙だよなぁ(苦笑)」
珠美:「そうですよねー。で、どうしましょう?(笑)」
駒木:「ホント、どうしよう?(苦笑) まぁ、『走ってみなくちゃ分からない』って感じだから、押さえ馬券に買っておくくらいは良いんじゃないのかな。配当的にも結構魅力だし、イチかバチかの賭けなら向いているとは思うよ」
珠美:「わかりました(笑)。ま、本当に走ってみないと分からないことでしょうからね
……それでは最後に8枠の2頭をお願いします。共に実績のある馬ですね」
駒木:「ジャパンカップダート2着のリージェントブラフ。でも本質的には公営競馬場の力の要るダートが得意なんだよね。それに、そうそう何度も追い込みが決まるとは思えないんだけど…珠美ちゃんは△印打ってるのか(苦笑)」
珠美:「ハイペースですし、ここ最近の成績も振るってますからね。ちょっと期待してるんです」
駒木:「まぁそれも一つの考え方だね。僕は雨で湿って軽くなったダートでは、スピード不足に泣かされそうだと思って評価を下げたんだけど。
で、最後は大外のアドマイヤドン。休み明けになるんだけど、調整は入念だし、デキ不足で息切れの心配は全く無いだろうね。実力も文句ナシ、しかも展開も絶好。ただし、2週前追い切りで引っ掛かってバテバテになったのが少し心配。大外枠だし、何とか折り合いをつけてくれれば良いんだけどね」
珠美:「……というわけで、以上で16頭の紹介も終わりましたし、最後に結論と買い目の方をお願いします」
駒木:「直線入口で抜け出すゴールドアリュールを、タイミングよく仕掛けたアドマイヤドンが急襲、そこへインをすくうプリエミネンスとイーグルカフェの差しが届くかどうか……といったところかな。怖いのはエイシンプレストンの大駆けなんだけど、馬券の対象からは泣く泣く外した。馬連で5-16、3-16、3-5、7-16の4点。3連複は止めておこう」
珠美:「私は、ゴールドアリュールが一気に抜け出した後、大外から差し馬が一斉に伸びて来る…という風に考えています。買い目は馬連で5-16、5-7、7-16、5-15、5-10、5-8の6点ですね」
駒木:「じゃあ、長い講義になっちゃったし、そろそろ終わろうか」
珠美:「そうですね。ご苦労様でした」
駒木:「レース後の感想もお楽しみに(笑)」
フェブラリーS 結果(5着まで) |
1着 |
5 |
ゴールドアリュール |
2着 |
8 |
ビワシンセイキ |
3着 |
7 |
イーグルカフェ |
4着 |
2 |
カネツフルーヴ |
5着 |
10 |
ハギノハイグレイド |
※駒木博士の“敗戦の弁”
愚痴を言う前に反省から。ビワシンセイキ様、お見それいたしました。貴方はG1戦線で戦うに充分な力を持っていると認めます。
……というわけで、次に愚痴(笑)。
何だよ、アドマイヤドンのあのスタートは。落馬してないだけでレース終わってるじゃないかー。しかも2コーナーで被害馬として審議の対象になって……。予想してた展開利もクソもあったもんじゃないね。全く競馬になってないんだから、もうどうしようもない。
そしてプリエミネンスだなぁ。見込み違いと言われたらそれまでだけど、4コーナーで一気に置かれちゃったのが納得いかない。流れに注文のある馬なのかな。
まぁ、半分ミス、半分災難の敗戦だね。完敗だ。
※栗藤珠美の“喜びの声”
随分と予想していた展開と違ってしまったんですけど、的中したので今日のところは喜びたいと思います(笑)。
でも、私がG1で当てる馬券って、ちっとも配当が良くないんですよね(苦笑)。今日も6点目の押さえ馬券ですし……。幸運を頂けるなら、もう少しまとめてお願いしたいものです(笑)。 |