「社会学講座」アーカイブ(大食い特集・2)
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講義一覧
8月18日(日) 文化人類学 |
いよいよ、このシリーズも今日で最終回、総括という事になりました。 ※前回までのレジュメ…第1回(早飲み系競技)/第2回(早食い系競技)/第3回(大食い系競技)
──では、まずは全カテゴリのハンデ一覧表ですが、今回もスペース・容量の都合で別ページとさせて頂きました。この一覧表ページから各カテゴリの解説文へリンクが繋がってますので、どうぞご利用ください。 こちらをクリックして下さい
……次に、総括文に移ります。例によって、文中敬称略・文体を常体に変更しますので、どうぞよろしく。 2001年の総括の際に駒木は、2001年という年を「激動」という言葉で表現した。 だが、同じ言葉を用いるにしても、その意味合いは随分と違う。2001年の“激動”はフードファイト界という狭い世界の中での“激動”だったが、今年のそれは、業界の外からの圧力によって、フードファイト界そのものが地盤もろとも揺るがされたという意味での“激動”であった。 今更ながらの話ではあるが、実はこの“激動”の素因のようなものは、随分と前から業界内外にくすぶってはいたのだ。 ……と、どうやら、やや抽象的な事を長々と話し過ぎたようだ。これでは、受講生の方には余りにも不親切に過ぎよう。
2001年暮れ、テレビ情報誌に掲載された年末年始の番組表を見て、多くのフードファイト・ファンは思わず天を仰いだ事だろう。 また、この番組バッティングは、TV業界内の確執も呼んだ。いや、冷戦状態が高まって、ついに直接衝突に至ったと言うべきか。 この確執の原因は勿論、お互いが同日同時間帯に同種の番組をぶつけて来た(そして視聴率戦争で後発のTBSが大差で勝利した)ことであるのだが、それ以前からの伏線めいたものも存在する。
さて、この年末年始のフードファイト番組ラッシュの後、昨年以来、徐々に増加していたフードファイト選手のテレビ番組への露出や、全国各地のフードファイト・イベントの数が更に増えていった。
…こうして、フードファイト選手の各方面への露出が進んでいくと、本来は“素人”であったトップクラスの選手たちのタレント化が進んでいったのは言うまでも無い。
3月下旬、FFAの設立と相前後して、春のメジャー系フードファイト競技会が開催された。TBS主催の「フードバトルクラブ3rd ザ・スピード」と、テレビ東京主催の「全国大食い選手権・全国縦断最強新人戦」である。
こうして、今年春までのフードファイト界は、まさに順風満帆であり、業界内の情勢判断も極めて楽観的なものが多かった。不況の影響は確かに感じられたが、その悪条件を補って余りあるだけの勢いが、確かにその時のフードファイト界には備わっていた。 だが、勢いはあくまで勢いであった。 4月27日、何の前触れも無く、新聞各紙の社会面に「中学生、テレビ番組をまねて給食パンで窒息死」という記事が踊った。その内容は、 そしてこのニュースをきっかけにして、フードファイト界に対しては猛烈な“逆風”が吹き荒れ始めた。4月下旬から予定されていたフードファイト・イベントやローカル系の競技会が続々と中止となり、さらにはテレビのワイドショーを中心とした“フードファイト・バッシング”も開始された。 この突然の“逆風”に、フードファイト界は何ら為す術が無かった。FFAはまだ設立当初で、団体がまとまってこの事態に対応できる状況に無く、他の個人で活動している選手やフードファイト・ファンたちは、自分たちの意見を幅広く広める手段を持ち得なかったし、テレビなど大手マスコミに対するパイプも無かった。いや、もしパイプが有ったとしても、フードファイトを擁護する立場の人間が、望むような形で新聞やテレビに出演する機会は与えられなかったであろう。マスコミとはそういうものである。 いや、その状況の中で、表立った行動を取ったフードファイト選手が1人いた。フードファイト界の早食い・スプリント競技反対派の急先鋒・岸義行であった。 岸は、メジャーデビュー当時は早食い系競技会にも多く出場していた。テレビ東京系の「早食い選手権」では3位入賞の実績もあるし、ローカル系競技会においては、わんこそばの早食い日本記録まで樹立して未だにそれを保持している。だが、昨年秋以降を境に突如として早食い系競技を批判し始め、その廃止を訴えるまでになった。事故の報道直後から、岸自身の運営するウェブサイトにも「危険な早食いより安全な大食いを推進しよう」旨の主張が掲載されたのは記憶に新しいところである。 結論の出ない話はひとまず棚に預け、とりあえず話を戻そう。 こうしてフードファイト界は未曾有の大打撃を被ったが、辛うじて救いだったのは、この激動を経験した選手やファンが、フードファイト界を離れる事無く、懸命にこれを支え、復旧・復興を目指そうとした事だった。人は宝である。人的損害が無ければ、どんな深刻なダメージを受けてもリカバリーは早いことだろう。
では最後に、下半期の展望めいたものを付け加えて、今回の総括の締めとしたい。 まず、未だ無期限休止が撤回されていないテレビ局主催のメジャー系競技会であるが、テレビ局側の様子を窺う限り、どうやら少なくとも「大食い選手権」のオールスター戦は実施できそうである。ディフェンディング・チャンプの白田信幸をはじめとする大食い系のトップ選手や、さらには山本卓弥、舩橋稔子といったルーキーたちの活躍によって大いに大会を、そしてフードファイト界を盛り上げてくれる事を祈ろう。 6月頃に入ってようやく活動が軌道に乗ってきたFFAは、7月のネイサンズ国際で早速その力を発揮した。 最後に最近はすっかり影が薄くなってしまった岸義行主宰の「日本大食い協会」についても述べておこう。フードファイト界第4位の団体である。大食い協会は、この秋には第2回の「全日本大食い競技選手権」を開催予定だという。
……さて、いささか総括としては長くなりすぎたが、これで今回の企画の締めくくりとしたい。最後に、フードファイト界に幸あらんことを── (この項終わり) |
8月11日(日) 文化人類学 |
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※レジュメはこちらから→第1回(早飲み系競技)/第2回(早食い系競技) 今回の「2002年度・フードファイターフリーハンデ(以下、FFフリーハンデと略)中間レイト」も今日で3回目。今日は大食い系競技のフリーハンデ値を発表し、一応全てのレイトが出揃う事になりますが、申し訳無い事に、まず今回も前回分の訂正から始めなければなりません。 前回の小林尊選手についての解説文中で、 さて、今回は大食い系競技の3カテゴリについてのフリーハンデ値とその解説をお送りします。解説文中は敬称略、および文体の常体への変更を行いますので、ご承知おき下さい。 「2002年度・FFフリーハンデ・中間レイト」
※主な競技結果※
〜大食い45分カテゴリ〜
※主な競技結果※
※主な競技結果※
2002年の上半期シーズンには、テレビ東京主催の「全国大食い選手権」の新人戦(テレビ東京主催の競技会に参加経験の無い者のみに出場資格がある)と、その予選会の他にメジャー級の大食い系競技会は開催されなかった。 その「全国大食い選手権」新人戦(以下、「新人戦」とする)は、1998年から毎年4月の番組改変期特番に合わせて実施・放映される大食い系フードファイターの登竜門的な競技会で、過去の“新人王”には岸義行、岩田美雪ら、現在でも第一線で活躍している選手たちがその名を連ねている。 そしてこの“大豊作”を受けて今年、この「新人戦」は、より多くの優れた新人を発掘するために、全国5箇所で予選会を実施。それに伴って本大会の参加枠も従来の5から10に倍増させた。 そういうわけで“大豊作”とはいかず、せいぜい“平年並み”に終わってしまった今年のルーキー戦線だったが、それでも即戦力クラスの逸材がいないわけではなかった。 実力最右翼の山本卓弥がリタイヤするという大波乱に翻弄された今年の「新人戦」、栄えある第5代“新人王”に輝いたのは、身長158cm体重40kgという“小さな女王”舩橋稔子であった。 この2名以外の選手では、残念ながら、去年以来格段に層の分厚くなったトップクラスに混じって好成績を挙げられそうな選手は見当たらなかった。地区予選決勝レヴェルの選手は勿論、本大会の前半で脱落した選手たちでも、秋のオールスター戦で出場最低資格の寿司100カンを完食できるかどうかは、極めて微妙と言わざるを得ない。 ……と、いうわけで大食い系カテゴリの「FFフリーハンデ」をお送りしました。次回は全カテゴリの数値を網羅した一覧表と、この半年のフードファイト界を概観した総合解説文をお送りする予定です。では、また次回をお楽しみに。(次回へ続く) |
7月31日(水) 文化人類学 |
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今日は「2002年度フードファイター・フリーハンデ(以下、FFハンデと略)中間レイト」の2回目、「スプリント・早食いの部」をお送りするのですが、その前に一昨日お届けしました「早飲みの部」(レジュメはこちら)で訂正がありましたので、先にお伝えしておきます。 まず、詳細な記録が不明であった事によりレイティングを控えておりました、青木建志選手の「ペットボトル早飲み」カテゴリのポイントですが、その記録が判明しましたので、レイティング58を追加しています。
このカテゴリ分けは、いわゆる“早食い”と“大食い”との間に引くべき境界線を設定する…という意味合いがあります。 ……と、いうわけで今日は“早食い”系競技を対象にした2つのカテゴリについて、各選手のレイティングとその解説をお届けします。解説文は選手名敬称略、及び文体を常体(だ、である調)に変更します。 「2002年度・FFフリーハンデ・中間レイト」
※主な競技結果※
〜早食いカテゴリ〜
※主な競技結果※
昨年から日本のフードファイト・シーンで急速に進めれられた競技の高速化・記録のインフレ化の流れは、昨年末の時点で記録のインフレ化が一応の限界を迎えた辺りから、今度は競技の高速化のみに絞られてレヴェルの向上が図られるようになった。即ち、競技の早食い化からスプリント化への転換である。 総合レイティング値では小林尊に及ばなかったものの、国内メジャータイトル4連覇の偉業を成し遂げて、最強の王者の名を欲しいままにするに至ったのが白田信幸であった。 さて、“2強”の前に圧倒される形になってしまったが、3番手以下の選手たちも着実にレヴェルアップを果たして奮闘している。 一方、土門健らの登場で話題を呼んだ早飲み系競技とは対照的に、早食い系競技においてはルーキーが大不作であったと言わざるを得ない。 最後に外国勢。「フードバトルクラブ」の外国人招待枠が消滅したため、国内における外国人の活躍は見られなかった。だが、それでもネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権において、中嶋広文・新井和響全盛期の世界記録に相当する好記録をマークしたエリック=ブッカー(記録26本)とオレッグ=ツォルニツキー(記録25本1/2)が現れて、アメリカにおけるフードファイトのレヴェルアップが窺えたのは収穫だった。いずれ、彼らのような実力者の何人かが日本のメジャー大会に逆上陸して来る日も近いであろう。 以上、「早食い・スプリントの部」をお送りしました。次回は大食い系競技のレイティング「早大食い・大食いの部」をお送りします。お楽しみに。(次回へ続く) |
7月29日(月) 文化人類学 |
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今日から週1〜2回ペースの不定期で、「2002年度・フードファイター・フリーハンデ中間レイト」をお送りします。 この企画は、今年の2月にお送りした「2001年度・フードファイター・フリーハンデ」の続編にあたるもので、本来、競走馬の客観的な絶対能力比較に使用される「フリーハンデ」を、フードファイター(早飲み、早食い、大食い選手)の能力比較に応用しようとする試みです。 まず、元々の「フリーハンデ」とは、その能力比較をしたい競走馬たちを、とある条件で全て同時に走らせた場合、ゴール前で全馬が横一線になるにはどうすれば良いのかを想定して各馬に負担重量を設定し(例:芝2400mでのハンデ…馬A:61kg、馬B:59.5kg、馬C:57kg)、その数値の高さで各馬の能力を測定・比較できるようにするものです。 ──というわけで、この企画の内容、及び意義がご理解頂けましたでしょうか? それでは、以下に「フードファイター・フリーハンデ(以下:FFフリーハンデとする)」を編集するにあたっての規定を記しますので、あらかじめよくお読み下さい。
◎数値は本家の「フリーハンデ」に倣って、競走馬の負担重量風のものを使用します。重量の単位は、最近ではポンド換算が主流ですが、ここでは旧来のキロ換算の数値を使用します。ただし、競馬と違って、キロという単位に意味は有りませんので、「〜ポイント」と呼ぶ事にします。数値は0.5ポイント刻みです。 また、選手間のポイント差については、 ◎今回の「FFフリーハンデ・中間レイト」の対象となる競技会は、以下の通りです。 ◎最終的に各選手に与えられるポイントは、「FFフリーハンデ」対象競技会における、ベストパフォーマンスの時の数値を採用します。 ◎ハンデは以下に挙げる7つのカテゴリに分けて設定します。 ◎最終的に各選手へ与えられるポイントは、7つのカテゴリの中で最高値となったポイントを採用します。 ◎他、細かい点については、その都度説明します。
──それでは、今日はこれから「瓶早飲み」と「ペットボトル早飲み」のフリーハンデ及びその解説を掲載します。なお、解説文中では、人物名を敬称略、文体を常体に変更してお送りします。
「2002年度・FFフリーハンデ・中間レイト」
※主な競技結果※
〜ペットボトル早飲みカテゴリ〜
※主な競技結果※
早飲み系競技が初めてメジャー級のフードファイト競技会に採用されたのは、昨年末の「フードバトルクラブ・キングオブマスターズ」だった。しかし、その時の早飲み系競技の位置付けは、まだ早食い系・大食い系競技の補助的な役割に過ぎず、早飲みだけに長けた選手が活躍できる余地は与えられていなかった。 だが、事態はわずか4ヶ月で急転を迎えた。 もともと早飲み系競技は、早食い系・大食い系競技とは求められている能力が全く違う。それ故、これまでのレギュレーションでは台頭しようにも出来なかった早飲み系の選手たちが、この「フードバトルクラブ3rd」で多数“発掘”される事になったのである。
さて、そんな時代の要請によってフードファイト界に現れ出でた多くの早飲み系スペシャリストの中で、早くもフードファイトの歴史にその名を残す大偉業を達成する者が現れた。土門健である。 そんな土門健のセンセーショナルなデビューに、やや影が薄くなってしまったが、早食い系・大食い系の選手たちの中にも、いち早く早飲み競技に適応し、好パフォーマンスを見せつける選手も少なからずいた。 人間と言うものは、ひょっとした弾みで隠されていた才能が表に出てくる事があるものだが、「フードバトルクラブ3rd」における加藤昌浩の“早飲み開眼”は、まさにそれにあたるだろう。 さて、ここで昨年度の「FFフリーハンデ」の「早飲みカテゴリ」で高いレイティングを獲得した選手たちの動向を俯瞰しておこう。 この他の若手・ベテラン選手たちの中では、見事に苦手の早飲みを克服した射手矢侑大や、以前から早飲みが得意であると公言していた駿河豊起が目立ったところだろうか。予選では高橋信也や新井和響もある程度の記録を残して気を吐いたが、トップクラスとは水を開けられてしまう格好になった。 話題をルーキーたちに戻そう。土門健ばかりが目立ってしまった感のある早飲み系スペシャリストのルーキーたちだが、それでも特筆すべき活躍を残した選手たちは他にもたくさんいた。 ……と、いうわけで今回は以上です。また次回の「スプリント・早食いの部」をお楽しみに。(次回へ続く) |
7月5日(金) 文化人類学 |
さて、6月25日付講義でお知らせしました通り、今年もアメリカ独立記念日である7月4日の正午(日本時間7月5日未明)から、ニューヨークのホットドッグ店「ネイサンズ」にて、「ネイサンズ・国際ホットドッグ早食い選手権」(以下、「ネイサンズ選手権」と略)が実施されました。 今年のネイサンズ選手権は、ホスト国アメリカの他、前年度王者・小林尊選手を擁する日本、さらにはカナダ、ドイツ、そして数年来、フードファイト熱が高まりつつあるタイからも選手が派遣され、いつにも増して国際色豊かなものとなりました。 彼の戦法は極めてスピード重視の機能的なもので、まずホットドッグのパンとソーセージを分けます。そしてソーセージを2つに折って口に運ぶと同時にパンを飲用の水につけて柔らかくし、ソーセージが胃に収まり次第、それも胃に一気に流し込んでしまうのです。 そんな豪快な食べっぷりを今年も披露して、小林選手は見る見るうちに他の選手との差を広げてゆきます。中には日本の一流選手顔負けのハイペースで追いすがるアメリカ人選手もいましたが、それでも小林選手との実力差は如何ともし難いものがありました。間もなく興味は、小林選手が昨年の記録50本を更新できるかどうかに絞られてゆきます。 ところで、今年からは従来の試合前計量に加えて、優勝者は試合後にも計量することとなり、小林選手は表彰式の際に体重を量ることになりました。 まだ正式発表はありませんが、恐らく秋の番組改変シーズンには、TBSやテレビ東京でフードファイト特番が製作・放映されることと思います。その舞台で小林選手や現在の実力No.1選手である“ジャイアント”白田信幸選手などが、世界最高峰の実力を見せ付けてくれることを期待しつつ、とりあえずこの場を締めくくりたいと思います。 それでは、短めですが講義を終わります。次回の文化人類学は7月下旬に、2002年度「フードファイター・フリーハンデ・中間レイト」を3回程度のシリーズでお送りする予定です。どうぞ、お楽しみに。 |
6月25日(火) 文化人類学 |
今日は約2ヶ月半ぶりの文化人類学講義になります。 ではまず初めに、“ちゆインパクト”後に受講されるようになった方のために、当社会学講座の文化人類学講義について説明しておきましょう。 当講座では文化人類学の一貫として、フードファイト(大食い、早食い、早飲み)を研究対象にしています。 ……では、説明が終わったところで、さっそく本題に移りましょう。 さて我が日本では、今年の春に発覚した痛ましい事故のために、現在フードファイト業界は沈滞気味であります。が、当然の事ながら海を隔てたアメリカ合衆国ではそんな影響など微塵も無く、今年も7月4日に選手権が実施されます。 そこで今回の講義は、このネイサンズ・国際ホットドッグ早食い選手権について採り上げ、また、大会直前の展望をお送りしたいと思います。 ……それではまず、このネイサンズ・国際ホットドッグ早食い選手権(以下:ネイサンズ選手権と略します)とは、どのような競技会か、というところからお話をしてゆきましょう。 このネイサンズ選手権は、世界中に現存するフードファイト競技会の中で最古、もしくはそれに近いものと思われる非常に長い歴史を持っています。 ところで、現在のネイサンズ選手権は、IFOCE(国際大食い競技連盟)なる団体が運営しています。 さて、このネイサンズ選手権ですが、ここ数年はホスト国アメリカを日本勢が圧倒する状況が続いています。 ……と、こんな歴史を歩んできたネイサンズ選手権。今年は第85回大会となります。それでは今回の日本代表選考状況と本大会展望をお送りします。 そんな注目の第85回ネイサンズ・国際ホットドッグ早食い選手権は、現地時間の7月4日正午、日本時間の7月5日未明に行われます。恐らく日本では7月5日の午前中にはCNN経由で結果と映像が見られることになると思いますので、受講生の皆さんも注目してください。 それでは、予想外に長くなりましたが講義を終わります。(この項終わり) |
4月5日(金) 文化人類学 |
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さて、諸事情あったとはいえ、日付が随分すぎてしまいました(これを書いている時点で7日の午後)。 では、今日は「フードバトルクラブ3rd」レポートの後半部分。準決勝と決勝戦のレポートと戦況分析を述べていきたいと思います。 では、以下のレポート文中では敬称略、及び文体変更を行います。 ☆準決勝 「スピード・シュートアウト」 ※ルール:マッチレース形式「シュートアウト」のスプリント・ヴァージョン。 それでは、これから各試合の模様を、選手プロフィールも交えながら紹介する。文中で登場する「2001年フリーハンデ」については、こちらを参照して頂きたい。 ◆第1試合◆ 第1試合は、これがマッチレースでは初対戦となる屈指の好カード。 山本晃也は、バラエティ番組内の大食い企画出身で、その後にメジャーシーンにデビューした異色のフードファイター。メジャーデビューは「フードバトルクラブ2nd」(準決勝敗退)で、彼も2001年デビュー黄金世代の1人。 バックステージのエピソードだが、試合前、いつもは余裕綽々のはずの白田がややナーバスになっていたと言う。それもそのはず、彼は年末の「FBCキングオブマスターズ」の3回戦(早飲み・スプリントのタイムレース)で山本に敗れている上に、今回が初の一騎撃ち。白田にとってみれば、むしろ1stステージで破っている小林尊が相手に回った方が気が楽だったろう。メジャー大会4連覇に向けて、最大の正念場がやって来た。 ★第1セット〜餃子70個〜 第1セットは餃子。「FBCキングオブマスターズ」の3回戦では餃子35個でタイムトライアルが行われているが、その時のタイムは山本・44秒92、白田・48秒04。しかし、今大会では大幅な記録更新が相次いでおり、このタイムはほとんど参考にならない。 スタートと同時にわずかながらリードを奪ったのは山本。一気に餃子を口に掻きこんで勝負をかける。一方の白田は水を使わずに勝負したためか、ややリズムが悪い。5皿完食時点までは数個ほど山本がリードしていた。もし、これが従来の「シュートアウト」ならここで勝負は決まっていたはずで、白田はある意味ルールに救われた格好に。
★第2セット〜ウーロン茶ペットボトル1.5L ここで山本得意のペットボトルが登場。あまり大きく差をつけられない食材ではあるが、それでも現在のビハインドなら十分逆転できる範囲。当然、ここはトップスピードで飛び出した。 ※第2セット結果※ 山本晃也4.49秒リード→累計・山本2.39秒リード
★第3セット〜餃子70個〜 ここで再び餃子がテーマ食材に。関係者筋の話によると、山本陣営は「ここでどうして餃子なんだ」と運の無さを嘆いたという。一方の白田は「(餃子と決まった時点で)自分がリードできるのは間違いないと思った」と、失いかけていた余裕が蘇る。まさに明と暗。 このセット、前半戦はほぼ互角。だが、5皿目で山本のスピードがやや鈍ったのを見逃さず、白田が一気に差を広げにかかった。その後の勢いの差は詰まらず、白田9皿63個完食時点で差がほぼ2皿に広がる。 ※第3セット結果※ 白田信幸のアドバンテージが30秒を超えたため、試合終了。勝者は白田信幸。 白田、1stステージの小林尊に続き、早飲みとスプリントのチャンピオンクラスに勝利。最高の“手土産”を手にして決勝戦進出を果たした。
土門健VS小林尊 第2試合は、彗星の如く現れた早飲みのニューヒーロー・土門健と、早食い世界王者・小林尊との注目の対決。 土門健は今大会がメジャー大会デビュー戦になるルーキー。彼は徹底的にペットボトル早飲みのテクニックを追求し、“土門スタイル”というペットボトル捌きの新技を引っさげてフードファイト界に登場した。 フードファイト・ウォッチャーの方で小林尊を知らない方はいらっしゃらないと思うが、この機会に改めて彼の経歴を紹介しておこう。 彼のメジャーデビュー戦は2000年度の「大食い選手権」スーパースター戦。この大会の新人枠で出場した彼は、当時のフードファイト3強であった赤阪尊子、岸義行、新井和響を撫で斬るように破って、デビュー戦でいきなりメジャータイトルを獲得する。その端正な顔立ちと野性味溢れる豪快な食べっぷりは、たちまち一般層やフードファイト・ウォッチャーの人気を集め、現在に至るフードファイト・ブームの原動力ともなった。 この2人の対決、何より注目されたのはテーマ食材決定の抽選であった。実はバックステージで「食べる方のトレーニングは積んでいない」と関係者に吐露していた土門。彼の立場にしてみれば、確率1/6のペットボトルを何回引き当てる事が出来るかに全てが懸かっていた。そして外野の我々にしてみても、土門×小林のペットボトル対決は是非見てみたい試合だった。 ★第1セット〜チーズケーキ15個 胃容量のバックボーンが無い土門にしてみれば、まだ胃袋に余裕がある早いラウンドでは何とか小林に喰らいつき、抽選でペットボトルが当たるのを待つしかない。一方の小林は、勝負に紛れが来ない内に一発で決めてしまいたいところだったろう。 ※第1セット結果※ 小林尊のアドバンテージが30秒を超えたため、試合終了。勝者は小林尊。 小林尊、磐石の決勝進出。決勝では今や宿敵となった白田信幸が待っている。
加藤昌浩VS高橋信也 第3試合は、「フードバトルクラブ」常連2人の対決。しかし、意外な事にこれも初対決となる。 加藤昌浩は「フードバトルクラブ1st」でメジャーデビューを果たした選手。年齢のためであろうか、あまり意識される事は無いが、彼もまた2001年デビュー黄金世代の1人に挙げる事が出来る。 高橋信也は「フードバトルクラブ1st」でメジャーデビューを果たした、2001年デビュー黄金世代の1人。早食い系競技に重きを置いた活動ながら、大食いにもある程度対応できるゼネラリストで、活躍は多岐に渡る。 スプリントカテゴリのハンデ値に9.5ポイント差のある両者。早食いオンリーでは加藤に勝ち目がないだけに、何とか1度でもペットボトル勝負に持ち込みたいところだったが…… ★第1セット〜チーズケーキ15個 無常にも、テーマ食材はチーズケーキに決定。こうなってしまうと、第2試合の土門×小林戦のように、明らかな力の差が結果となって表われてしまう。クレバーな高橋の事だ、ペットボトルが来る前に勝負をつけてしまう算段だったのだろう。鮮やかなスパートを決めて、大差をつけた。加藤はなんとか第2セットに勝負を持ち込みたかったが、完食直前にビハインドが30秒を超えてしまった。 ※第1セット結果※ 高橋信也のアドバンテージが30秒を超えたため、試合終了。勝者は高橋信也。 決勝戦3つ目の枠を手に入れたのは高橋信也。準決勝は多分に運に恵まれた部分もあったが、その強運も彼の持ち味のはず。その運を決勝にまで持ち込むことが出来れば、悲願のメジャータイトルが見えてくる。
☆決勝 「ザ・スピードマスター」 ※ルール:詳細は以下の通り。 決勝のレギュレーションは、分量が1kg以下ばかりの超スプリント戦。根本的な能力はもちろんの事、プレッシャーに負けない強靭な精神力が要求される、見た目以上にシビアな競技形式。慎重さと大胆さのバランスを上手く取る事が出来た選手が勝利を掴み取れる。 ★第1戦:寿司10皿20カン(=500g) 白田・小林互角のスタート。しかし、高橋は勝機が薄いと判断して試合を放棄。
★第2戦:シューマイ5皿25個(=450g) この第2戦も、高橋は試合放棄。徹底した“退却戦”で後半戦に勝負をかけたようだ。
★第3戦:水ペットボトル1リットル ここも高橋は試合放棄。白田もスタートからしばらくは競技を続けたが、小林のスピードを見て利あらずと手を止めた。小林が労せずして1勝。しかし実力で得た1勝ではないためか、表情は険しいまま。
★第4戦:ちくわ3本(=495g)
★第5戦:ステーキ3枚(=750g)
★第7戦:杏仁豆腐3杯(=500g)
★第8戦:牛乳・瓶900ml
圧倒的な“小林尊有利”という下馬評を覆して、初代スピードマスターの座に就いたのは白田信幸だった。 三度準優勝に甘んじた小林尊。今回、これまでの競技会で彼の体全体からオーラのように滲み出ていた凄みがやや薄らいでしまったように感じたのは気のせいだったろうか? これはただ単に、他の選手の研究が進んだ結果、小林と他選手との差が詰まって来ただけなのかもしれないが…… 3位に終わった高橋信也。彼も自らコメントを出しているが、完全に作戦ミスから来る惨敗である。ただでさえ効果が疑問的な“撤退戦術”、これを実力下位の人間がやってしまっては逆効果である。これでは他の選手を助ける事にはなれど、苦しめる事にはならない。 ……以上で、今回のレポートは終了です。このレポート作成にご協力いただいた関係諸氏に厚く御礼を申し上げます。それでは、今日の講義を終わります。(この項終わり) |
4月4日(木) 文化人類学 |
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今日から2日間は文化人類学講義をお送りします。 先日2日、春のフードファイト・シーズンの最後を飾る、TBS主催のメジャー大会・「フードバトルクラブ3rd〜ザ・スピード」が放送されました。 それでは、以下からレポート本文に移ります。文中は人名敬称略、文体を常体に変更します。なお、文中内の記録に関しては、「プリンス山本/大食い・早食い伝説」管理人のiGUCCiさんの了承を得て、同サイトから転用させて頂きました。厚く御礼を申し上げます。 ☆プレ・ステージ(予選) 「ボトル・アタック」 ※ルール:1瓶180mlのコーヒー牛乳10本(=計1.8L)の早飲みタイムトライアル。10瓶全てを完飲し、ゴール地点にある時計のストップボタンを押した時点のタイムが、その選手の持ちタイムとなる。 恐らくメジャー大会初の、純粋早飲み競技で争われる今回のプレ・ステージ。 波乱は第1ヒート(10人ごとに第10ヒートまでトライアルが行われた)から始まった。ここには新井和響、高橋信也、加藤昌浩といった準決勝・決勝進出経験者が名を連ねたのだが、彼らを相手に回して新鋭・植田一紀がヒート2位に食い込み、場内は早くも騒然となる。
※21位以降のタイムは、TV画面に映った細かい文字を読み取ったものを転記したため、実際のものと若干のズレがある場合があります。 4位までとは対照的に、5位以下はガラリと様相が一変。新人や早飲みの得意な選手が上位に名を連ねる一方で、新井和響が9位、そして高橋信也、立石将弘、小国敬史といったところは2桁順位に甘んじる結果になった。この辺りが早食いと早飲みの違いといったところなのだろう。 さて、ボーダーラインからこぼれた選手の中には、「FBCキングオブマスターズ」準決勝進出者・山形統の姿があった。前々から早飲み力に疑問のある選手で、今回のレギュレーションでは苦戦を強いられると思われたが、その危惧が現実になってしまった。1stステージに進出したならカレー早食いで上位の記録が期待できただけに、惜しまれる敗退である。また捲土重来を期待したい。
☆1stステージ 「トライアングル・レコ−ズ」 ※ルール:ペットボトル入りスポーツドリンク1.5L→寿司20皿40カン(=1kg)→カレーライス2皿(=1kg)の順にタイムトライアルを行ない、各食材の完食(完飲)タイム上位2名が勝ち抜けで準決勝に進出する。 それでは、以下に各部門(食材)ごとの記録とレポートを掲載してゆく。今回の番組はカットされた部分が多く、記録と放送内容の整合性が欠けているのだが、レポートはあくまで放送内容中心に、そしてそれを補完する程度に記録を参考にした記述を追加する形式とする。 ◎スポーツドリンク1.5Lの部◎ 1巡目。まず先行して記録を出したのが、お笑い芸人の渡辺剛士とヒロ。共に14秒30という「FBC」のペットボトル1.5Lレコードを叩き出して、プレ・ステージの好成績がフロックでは無い事を証明した。
スポーツドリンク部門は、脅威の早飲み系新人・土門健の圧勝に終わった。 ◎寿司40カン部門◎ 1巡目。この競技は既に幾度となく行われ、記録の目安も大方できているだけに、2位以内の狙える実力者以外は敬遠ムード。少数精鋭の争いとなった。
大食い王者・白田信幸が、スプリント競技の花形・寿司早食いで初の“小林越え”達成。タイムもきわめて秀逸で、早食い・スプリントでもついに王座に手を掛けた。 さて、結果的にはコンマ5秒差の接戦となった両者の戦いだが、両選手の試技の中身はかなり異なる。 さて、スポーツドリンク部門に続き、連続して次点に泣いたのが山本晃也。年末に比べると、彼も24秒ものタイム短縮に成功しているのだが、それをも上回る白田・小林のパフォーマンスの前に屈した形となった。ただ、関係者筋の話によると、山本本人は照準を最後のカレーライスに合わせていたようだ。その辺りのギリギリのところで、上位2人との集中力の差が出てしまったのかも知れない。 ◎カレーライス2杯部門◎ この時点で“宙ぶらりん”状態で残っている選手は16名。うち、「2001年フードファイターフリーハンデ」のスプリントカテゴリで60ポイントオーバー、つまり決勝進出出来る能力を持つと思われる選手は6名も残っている。しかし、準決勝進出枠は2つしか残っていない。まさに潰しあい。フードファイト史上最も過酷なタイムトライアルがここに始まった。
壮絶なタイムアタック争いを制し、準決勝進出最後の枠を射止めたのは山本晃也と高橋信也。 惜しくも次点となったのは小国敬史。年末の次点では早飲み系選手の印象が強かったが、この数ヶ月ですっかり早食い系選手に脱皮した感がある。今回は試技する順番に恵まれず、絶えず目標とされる立場に置かれると言う不利も合った。今回の敗戦は負けてなお強しと言える価値ある敗北。これからの成長に期待したい。 ……と、とりあえず前半部分のレポートをお送りしました。後半に関してはまた明日付の講義で。(明日に続く) |
3月22日(金) 文化人類学 |
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昨日に引き続き、文化人類学講義です。前日の講義(第1〜3ラウンドのレポート)を未受講の方は、まず先にこちらをクリックして、レジュメを閲覧してください。 では、今日は第4ラウンド(準決勝)と決勝戦の模様と、簡単な大会総括を掲載します。最後までどうぞお付き合いくださいませ。 ☆第4ラウンド 桑名宿・蛤カレー食べまくり勝負 ※ルール:1皿300gの蛤入りカレーを、45分間でどれだけ食べられるかを競う。出場4名中、記録上位3名が決勝戦に進出する。 第3ラウンド終了から5時間後の競技。消化能力に難のある選手には堪えるタイム・スケジュールだ。 第1、3ラウンドに引き続いて、スタートダッシュを決めたのは河津。1皿1分と、まずまずのスピードを披露。しかし、他の3選手も遅れる事無くピッタリとマーク。3皿完食時点で、やや須藤が遅れた以外はほぼ横一線。
トップ通過は久保。順位にこだわらないマイペース型の選手だが、このラウンドは全体の記録が伸び悩んだ事もあり、少し“区間賞”を狙っていたようだ。
☆決勝戦 京都・しっぽくうどん無制限勝負 ※ルール:しっぽくうどん(1杯あたり具・麺300g、出し汁300g)を60分間で何杯食べられるかを競う。最も完食量の多い選手が優勝。また、うどんの出し汁は飲まなくてもよい「大食い選手権」ルールが適用される。 長時間の60分、しかも慣れない熱いうどんという事で、各自スロー気味のマイペースでの序盤戦に。
「大食い選手権」第5代新人王は舩橋稔子。2年前の岩田美雪に続く、2人目の女性新人王の誕生となった。
◎大会総括◎ 今回の「大食い選手権」は、これまでの大会運営を見直し、巧みで内容の濃いマイナーチェンジが図られた、充実した競技会だった。 ※「山本卓弥ドクターストップ事件」については、新事実が明らかになりました。前日付講義の第3ラウンド総括に「追記」を執筆しましたので、そちらをどうぞ。 というわけで、「大食い選手権」レポートでした。次回の文化人類学は4月上旬の「フードバトルクラブ3rd」関連講義になると思います。それでは、今日の講義を終わります。(この項終わり) |
3月21日(木・祝) 文化人類学 |
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それでは予告通り、文化人類学の講義を行います。先週と同じく、2回に分けての講義となります。 ……では、これからレポート発表に移るのですが、その前に一点「お断り」です。 それではレポートに移ります。例によって文中敬称略、文体を常体に変更しますが、こちらもご了承ください。 また、先週放送分のレポートはこちらをクリックしてどうぞ。 ☆第1ラウンド・箱根宿 豆腐おかわり勝負 ※ルール:1丁250gの絹ごし豆腐(冷奴)を、45分間でどれだけ食べられるかを競う。参加10名中、記録上位7名が第2ラウンド進出。 スタートダッシュを決めたのは河津。久保、近藤らも好スタートを決めるが、わずかに河津が早い。須藤、山本、羽生などもトップグループに肉薄。接戦の序盤戦。
大阪大会代表の華麗なるワン・ツーフィニッシュ。予選で見せた実力の違いを見せつけた。
☆第2ラウンド 丸子宿・とろろ汁45分かきこみ勝負 ※ルール:1杯250gのとろろ汁かけ麦飯を、45分間でどれだけ食べられるかを競う。出場7名中、記録上位5名が第3ラウンド進出。 食べ易い食材であるとろろ汁。各自出足は早い。山本、久保、須藤ら30秒で1杯完食する者も。
山本が、実力の次元が違うところを見せつけて2連続のラウンドトップ通過。結果的にこれが今大会のベストパフォーマンスになった。競技終了後、山本自身は「ちょっと食べ過ぎたかな?」とコメントしていたが、本当に辛そうな印象は無かった。だが、悲劇は10数時間後に訪れる。 以上が大会初日。今大会は第1、2ラウンドが初日(2/16)、第3、4ラウンドが2日目(2/17)、決勝が3日目(2/18)に行われている。収録日をここまで詳細に公開するのは珍しいが、これは、視聴者にクリーンな番組制作が求められている事を自覚しているTV東京の自覚の現われと見たい。 ☆第3ラウンド 知立宿・大あん巻き30分15本完食勝負 ※ルール:あん巻き1皿3本(黒餡、白餡、抹茶餡各1本=計400g)を5皿(=合計2kg)、30分以内に完食しなければならない。第4ラウンド進出の人数制限は無く、完食者全員が第4ラウンドに進出できる。 スタート前、「大食い選手権」の番組現場責任者から、山本卓弥のドクターストップが宣言される。 甘味は好き嫌いが大きく分かれる食材でもある。今回のメンバーで言うと、餡を得意とするのは久保で、苦手なのは須藤と舩橋。特に舩橋は最も嫌いな食材という事で、苦戦が予想されるスタート。 1人残された舩橋は大苦戦。後半になって極端にペースが落ちた。4皿完食時点で24分34秒。かなり際どいことになって来た。苦手の餡が食欲を蝕む。
河津が作戦通りの速攻を決めてトップ抜け。彼がどこまで余力を残してクリアしたのかは分からないが、ソコソコの早食い能力があることは示された。これなら「フードバトルクラブ」でもソコソコまでは進出できるだろう。 さて、問題の山本卓弥ドクターストップ問題である。 まず、今回のドクターストップまでの経緯についての、番組現場責任者からの声明をまとめると、以下の通りになる。
では、この判定に関する疑問点を列挙していこう。 今回の「大食い選手権」は、全体として素晴らしい大会であり、素晴らしい番組でもあった。しかし、この「山本卓弥ドクターストップ事件」だけが、唯一、しかもどうやっても償いようの無い大きな汚点になってしまった。今後、二度とこのような事のないように、番組サイドに猛省を促すと共に、山本卓弥選手のこれからの競技生活に幸多からん事を祈りたい。 ◎追記(3/24)◎ この「山本卓弥ドクターストップ事件」について、岸義行公式ウェブサイト「大食いワンダーランド」内のBBSで、同BBS管理人のアリスさん(=現役フードファイターの別府美樹さん)の書き込みがあった。
……以上がポイントである。
……以上が第1回分のレポートでした。次回をお楽しみに。では、今日の講義を終わります。 (次回に続く) |
3月15日(金) 文化人類学 |
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※昨日の講義を受講されていない方はこちらからお読みください。 まず、昨日の講義の訂正から。札幌大会で2位になった須藤明広選手の名前が複数箇所において間違っておりました。謹んでお詫びして訂正させていただきます。 今日の講義も、昨日に引き続いて「全国大食い選手権・日本縦断最強新人戦」の地区予選の模様と、それを踏まえての決勝大会の展望をお送りします。 それでは以下からレポート本文になります。レポート文中は文体を常体に変え、選手名も敬称略とします。偉そうに語っているように見えますが、文章の性格上柔らかい文体では合わないのです。どうかその辺りをご了承ください。 ◆大阪(近畿・中国・四国)地区予選◆ 大阪予選に関しては、以前「なにわ大食い選手権」としてTV放映された際にレポートを行っているので、詳細はそちらを参照して頂くとして、ここでは記録とプロフィール等の紹介に留めることにする。 ☆1回戦・ジャンボたこ焼き30分勝負 ※ルール:5個1皿(=200g)のジャンボたこ焼きを、30分以内にどれだけ食べられるかを競う。参加者は書類審査通過の31名。2回戦に勝ち抜けるのは3名。 競技内容の詳細についてはレポート(2/14付講義)参照。
※楊木田は予選4位タイだったが、3位選手の辞退か、若しくは番組側の事情で繰り上がり。 それでは、1回戦通過3名の簡単なパーソナルデータを。 ◎山本卓弥…18歳、169cm56kg。どことなく射手矢侑大を思わせる風貌。典型的な大食い体型。 ◎舩橋聡子…23歳、158cm40kg。風貌だけなら、中学生とも見紛うような小柄。こちらも典型的な大食い体型。 ◎楊木田圭介…19歳、183cm80kg。白田(193cm86kg)は例外として、大食い選手としては大柄な方だろう。 ☆2回戦(地区代表決定戦)・ぜんざい30分勝負 ※ルール:1杯50gの白玉入りぜんざいを、30分でどれだけ食べられるかを競う。最下位1名が脱落。 競技内容の詳細についてはレポート(2/14付講義)参照。
トップで地区代表を決めたのは山本卓弥だった。30分5.2kgという、甘味大食いタイトルホルダーの赤阪尊子と同格かそれ以上のハイスコアを叩き出しての圧勝。しかもまだ完全に余裕残しというから恐れ入る。満腹感が増幅される甘味での記録だけに、数字以上に価値のあるパフォーマンスと言える。 ☆地区大会決勝・カレーうどん60分勝負 ルール:カレーうどん(重量未発表だが、かなりのビッグサイズ)を60分以内にどれだけ食べられるかを競う。ただし、スープは残しても良いという「大食い選手権」ルールが適用される。 競技内容の詳細についてはレポート(2/14付講義)参照。
山本卓弥が、地区代表決定戦に引き続いての圧勝で地区チャンピオンの座に輝いた。 ◆福岡(九州)地区予選◆ ☆1回戦・明太子イス取り勝負 ※ルール…第1から第3までの3つのテーブルが用意され、それぞれ明太子関連の食材が置いてある。用意された食材は、第1テーブル・明太子&ご飯(計1.0kg)、第2テーブル・明太子シューマイ(700g)、第3テーブル明太子ウインナー(400g)。 複雑な競技形式だが、これも名古屋大会と同じく、大食い能力よりも早食い能力を問う競技だと言えよう。しかし福岡大会では、名古屋大会のような不始末は起こらなくて済んだ。だがこれは、競技形式が優れているわけでも何でもなくて、余りの低レヴェルのために、早食いが早食いにならなかっただけだ。「早食い」とは全員が完食を前提とした争いなので、完食できない者が多いと早食いとしての競技が成り立たないのである。
では、例によって、地区代表決定戦進出者の簡単なプロフィールを紹介しよう。 ◎嘉数千恵…32歳、155cm50kg。 ☆地区代表決定戦・焼き餃子45分1本勝負 ※ルール…1皿10個・70gの焼き餃子を、45分間でどれだけ食べられるかを競う。上位2名が決勝大会に進出。 序盤戦、中林が好スタートを決め、約2分で5皿完食一番乗りを果たす。しかし間もなく嘉数がトップに立ち、8分経過の時点で10皿完食1番乗り。後続からは白勢が追い上げ、水で流し込む作戦で追随する。中林は早々に3番手まで後退し、残る安楽は独自のペースで追走。
地区チャンピオンは嘉数千恵。相手に恵まれすぎて平凡な記録に終わったが、終盤の様子からもまだまだ余裕が窺え、さらに記録の上積みが期待できる。
◎決勝大会展望◎ さてここからは、地区代表10選手による決勝大会の展望及び優勝者予想を行う。
ここに挙げた記録の中で、余裕残しでマークされた記録は東京2位の久保、大阪1位の山本、福岡1位の嘉数のもの。 ……と、以上の点を踏まえた上で、決勝大会の展望に移ることにしよう。 まずは決勝大会の内容だが、これは今までの慣例から考えると、比較的容易に想像がつく。 この推測が当たると仮定すると、まず2.5kgの完食が難しい選手は第1ラウンド通過すら覚束ない。それを考えると、ここで福岡2位の白勢がかなり危ない。他に北海道2位の須藤、そして名古屋組の羽生と近藤も際どいところだろう。 今回の大会では5つの地区大会が行われたが、これはこれまでの「大食い選手権」最大の問題点であった、“予選の段階で本戦の展開が読めてしまう”という点を是正するために行われたものではないかと推測している。要は「フードバトルクラブ」対抗策の一貫である。 決勝大会の放映は3月21日(木・祝)。受講生の方で「TVチャンピオン」が視聴可能な方は、是非、ニューヒーロー誕生の瞬間を確かめて頂きたいと思う。 ……以上が今回のレポートでした。今後、4月初頭まで断続的に文化人類学の講義が続きます。他の講義共々、どうかよろしく。 |
3月14日(木) 文化人類学 |
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さぁ、いよいよ春のフードファイト・シーズンが始まりました。これから2週間ほどの間に、「大食い選手権(新人戦)」と、「フードバトルクラブ3rd」の両メジャー大会の模様がTV放映されます。 今日から2回の予定で、14日に放送された「全国大食い選手権・日本縦断最強新人戦」の地区予選の模様と、それを踏まえての決勝大会の展望をお送りします。 以下からレポートになります。レポート中は選手名は敬称略・文体を常体に変えます。 ◆札幌(北海道・東北)地区予選◆ ☆1回戦・コロッケ25個早食い勝負 ※ルール:5個1皿(=400g)のコロッケ5皿25個(総重量2kg)の完食タイムを競う。 45分で2kgという条件は、一人前の選手なら楽勝の条件で、トップクラスの選手なら5分前後でクリアしてしまう数字と言える。だからこそ、番組側も「早食い勝負」というフレーズを用いたのだろう。
以下、地区代表決定戦進出者の簡単なパーソナルデータを紹介する。ただし、今回は出場者PR用のVTRが製作されなかったため、ごく簡単なものにさせて頂いた。 ◎河津勝…29歳、182cm74kg。 ◎大山康太…24歳、175cm107kg。 ◎金田浩司…30歳、173cm94kg。 ☆地区代表決定戦・鮭茶漬45分間おかわり勝負 ※ルール…1杯350gの鮭茶漬を、45分間でどれだけ食べられるかを競う。上位2名が決勝大会進出決定。 フードファイトに使用される食材の中では、最も食べ易いものであるお茶漬け。かつて山本晃也が、5.2kgを3分余りでクリアしてしまった事もある、“好記録メーカー”の食材である。
河津が格の差を見せつけ、楽勝で地区王者の座に就いた。やはりこのメンバーでは力が違い過ぎた感がある。ただし、食材が水分中心のお茶漬けという事を考えると、この記録にはやや不満が残る。ある程度の大食い適性は示したが、トップクラスと伍すためには、やや実力不足は否めないところ。
◆東京(関東・北信越)地区予選◆ ☆1回戦・カレーパン途中下車勝負 ※ルール…都電浅草線の貸切車両に乗り込み、駅から駅までの間(1〜2分間)にカレーパンを1個(=80g)ずつ完食してゆく。次の駅に停車するまでに完食できなければ失格。ただし、10個までは「5駅先に進むまでに5個完食」のパターンを2セット行う。 後で述べる名古屋大会と共に、今回から予選に採用されたサバイバル形式。大食い力だけでなく、ある程度のスピードを要求するもので、恐らく「フードバトルクラブ」を意識したものであるといえる。 胃に溜まりやすく、早食いに向かない事では定評のあるカレーパンだけに、総重量1kg前後で脱落者が相次ぐ。予選段階ゆえの選手間の能力のバラつきもあったのだろう。最終的に20個完食の時点で規定の5人に絞られて競技終了となった。 ●チェックポイント毎の通過人数状況● スタート(21名)→5個(20名)→11個(19名)→12個(16名)→15個(15名)→16個(14名)→17個(9名)→19個(6名)→20個(5名=終了)
以下、東京地区代表決定戦進出者の簡単なパーソナルデータを。 ◎碓井高貴…31歳、170cm64kg。 ☆地区代表決定戦・玉子焼き45分食べまくり勝負 ※ルール…1皿あたり卵5個使用の玉子焼き(=350g)を45分間でどれだけ食べられるかを競う。上位2名が決勝大会進出。 玉子焼きは、噛みやすく柔らかいため、比較的食べ易い食材といえる。今回は350gひとかたまりのビッグサイズゆえに早食いは難しく、大食い選手権にふさわしいテーマ食材となった。 序盤戦。まず皆川が、1皿目を1分21秒でクリアして勢いよく飛び出す。以下は久保、碓井、佐藤、西林の順。
東京地区チャンピオンは皆川貴子。胃の限界を圧してのラストスパートは立派であった。しかし、3.1kgという記録は、「大食い選手権・新人戦」では本戦進出ギリギリのレヴェルであり、大威張り出来るものではない。決勝大会のハイペースにどう対応してゆくかがカギになりそうだ。
◆名古屋(中部・北陸)地区予選◆ ☆1回戦・天むすび太鼓打ちサバイバル勝負 ※ルール…1個50gの天むすを、15秒間隔で打ち鳴らされる太鼓と太鼓の間に完食してゆく。15秒後、次の太鼓が鳴るまでに1個完食出来なければ失格。 競技会収録直後から、一部参加者の間で不満が爆発していたのがこの1回戦であった。 まず最終的に、この名古屋大会1回戦の通過条件となった条件の問題。これが天むす1.6kgを8分でというもので、明らかに早食い競技の範疇である。「大食い選手権」の予選としては明らかにおかしい条件だ。 さらに、この形式ではフードファイトに必要な基礎能力である「胃の容量」を正確に見極める事が出来ない。これは大問題である。 さらに問題点がもう1つ。この形式だと、ちょっとしたアクシデントで15秒時間切れ→失格になってしまい、本来実力を持つ者がオミットされてしまう可能性がある。事実、この大会で1回戦敗退した嘉数千恵が福岡大会で地区チャンピオンになるなど、あってはならない逆転現象が起こっている。予選というものは、優れた者を選抜するよりも、明らかに実力で劣った者を振るい落とす役割を果たすべきであり、この点もやはり大問題であった。 …が、何はともあれ、このような問題点を噴出させながらも、競技会として一応成立したとは言える。 では、この1回戦の競技状況と、地区代表決定戦進出者の簡単なパーソナルデータを以下に記す。 ●競技の進行状況● スタート(30名)→10個(29名)→15個(20名)→25個(10名)→29個(7名)→30個(6名)→32個(5名=決定)
◎羽生裕司…23歳、174cm78kg。 予選のあり方が杜撰だった割には、というか、スレンダーの大食い体型を持つ選手が揃った。これで1回戦の内容は悲惨だったが、何とか形にはなったかと思われたのだが…… ☆地区代表決定戦・きしめん45分おかわり勝負 ※ルール…1皿300gのきしめんを、45分間でどれだけ食べられるかを競う。上位2名が決勝大会進出。 スタート早々、近藤を除く4選手が、制限時間を無視したハイペースでガンガン飛ばす。先手を取ったのは羽生で、初めの1杯を45秒でクリア。しかし2杯目から大石が逆転し、彼女が序盤戦のペースを握る。2番手に羽生、以下は原田、夏目、近藤。近藤は唯一、ハイペースに乗らずに独自のペースでチャンスを窺う格好。
名古屋大会は、前代未聞の3人リタイヤという後味の悪い結末になった。これには色々な見方があるだろうが、やはり1回戦の構造的欠陥が少なからず影響しているだろう。 ……というわけで、3つの地区大会の模様をお送りしました。明日は残る2つの地区大会のレポートと、決勝大会の展望をお送りします。 |