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講義一覧
10/31 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(10月第5週分)
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10月31日(木) 演習(ゼミ) |
今週は完全な“新連載の谷間”というわけで、代替企画を考える羽目になってしまいました。 ──というわけで、仕方ないので今回は別の企画にさせてもらいました。 ──というわけで、まずは情報系の話題を1つだけ。 このゼミでも以前から度々採り上げて来ました島袋光年氏の買春事件ですが、ついに横浜地裁で判決公判があり、最終的な決着を見ることとなりました。 ……それでは、レギュラー企画のレビューから行います。今週は「週刊少年ジャンプ」から代原読み切りのレビュー1本のみですが、“チェックポイント”と合わせてお楽しみ下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年48号☆ ◎読み切り『抱きしめて! ベースボール・ラブ』(作画:セジマ金属) 今週は『ピューと吹く! ジャガー』が休載のため、代原のギャグ短編読み切りが掲載されました。 さてそれでは作品の内容について述べてゆきましょう。 まず絵柄は、心なしか以前より若干レヴェルが上がったような気がします。ギャグマンガですし、これならもう問題ないでしょう。ただ、中途半端な頭身のデフォルメが若干の垢抜けなさを醸し出しているのは、やや問題でしょうか。 そして肝心のギャグの内容ですが、こちらは合作デビュー以来の問題点が全く是正されておらず、非常に残念なデキになってしまっています。何しろ、ギャグの基本中の基本である“起承転結”が出来ていないのですから、良い作品になるわけが無いのです。 評価はC寄りB−。とにかくギャグ作りの基本に立ち返って猛特訓しない事にはどうしようもありません。チャンスのある内に少しでも巻き返す事が出来るよう、祈っておきたいと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『遊☆戯☆王』(作画:高橋和希)《開講前に連載開始のため、評価未了》 一番最後のページ、確かに「この男は…一体
!!」なんですが、マンガ的表現のレヴェルを遥かに超越した謎の男に対して、遊戯がクソ真顔でモノローグをブチかましているのが非常に笑えます。 …などと、「変ドラ」さんの「白ドラ」みたいな事を言ってみました(笑)。 ◎『ボボボーボ・ボーボボ』(作画:澤井啓夫)《開講前に連載開始のため、評価未了》 小学生相手のギャグマンガなのに、『キン肉マン』が元ネタの大ギャグをやってしまうあたり、いい根性してるなぁと関心。しかし、トコロテンに頭突きされても効くんですかね、実際のところ(笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2002年48号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)《開講前に連載開始のため、評価未了》 先週から一転して、今回からマジモード突入ですね。これがまた、ビリビリ来る位の緊張感が伝わって来て良い感じです。絵柄だけ見ると、決して器用な感じは窺えないんですが、雷句さんって意外と芸達者なんですよね。 ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)《開講前に連載開始のため、評価未了》 こちらは、まるで「ジャンプ」のマンガを見ているかのような展開に……。読んでて「ハンター試験第3次ですか?」とか言いたくなりました。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 椎名さんが完全に吹っ切れた感じですね。話のベースはテコ入れ以前と同じなんですが、『GS美神極楽大作戦
!!』以来の“煩悩路線”が見事に決まっていますよね。主役のリョウが硬派な分だけ、独自色も出てますし。
◎『そして龍太はニャーと鳴く』(「週刊少年ジャンプ」特別増刊「読むジャンプ」掲載《小説》/作:松原真琴) 先に紹介しました通り、「週刊少年ジャンプ」系の小説新人賞・「ジャンプ小説大賞」の入選作『そして龍太はニャーと鳴く』のレビューをお送りします。 まず、この小説のポイントは、何と言っても題名です。『そして龍太はニャーと鳴く』。“狙って”はいるものの、いかにも「狙ってます」的なあざとさが感じられず、語呂も良い上に、これから読もうとする人への好奇心をそそらせるという、本当に素晴らしいタイトルと言えるでしょう。 余談ですが、題名だけで審査員の度肝を抜いてしまった小説の代表例としては、第1回ファンタジーノベル大賞受賞作で、直木賞候補にもなった、酒見賢一さんの『後宮小説』が挙げられます。 毎月毎月、マンガ新人賞のタイトルをチェックしてはレジュメに転記していて思うのですが、やはり入選作には入選作を獲るだけのタイトルが命名されていて、最終候補止まりの作品にはそれなりのタイトルしか付いていないんですよね。全体的なセンスが題名に集約されると言うか何と言うか……。 ……さて、話を戻して小説の内容について述べさせてもらいましょう。 文体は一人称、しかも『我輩は猫である』以来、日本文学の王道パターンと言うべき動物を擬人化させた一人称です。宮部みゆきさんの出世作・『パーフェクトブルー』も、犬視点一人称のミステリ小説という事で有名です。 時々ライトノベル作家で“軽さ”と“軽薄さ”を取り違えてる方っていませんか? 文章力が足りないのをノリだけで誤魔化そうとしているのが一発で分かってしまう人。 ただ、問題点が皆無かと言うと、やはりそういうわけでもありません。まぁ、新人賞の作品ですから当たり前と言えば当たり前なんですが。 …とまぁ、問題点も有るにはあるのですが、それでも凡百のライトノベル作家の方々と比べると、その才能の差は歴然としていると思います。次回作はこの作品の続編だそうですが、別の機会にでも本格的なエンターテインメント長編小説を読ませて頂きたい、そんな願いを抱かずにはいられません。 評価なんて、さすがにおこがまし過ぎて付けられません。ただ、自分より年下の人にこんな作品を描かれて、ジェラシーすら感じてしまう位良い作品だと思った…という事だけ言い添えておきますね。 |
10月30日(水) 歴史学(一般教養) |
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それではこれより、これら4つの国それぞれの歴史について、簡単ながらお話してゆくことにしましょう。 まずはメディア王国から。この国では文書を遺す習慣が無く、未だに余り詳しい事が分かっていないのでありますが、可能な範囲でお話します。 この国は先に述べた通り、元々はメソポタミアとは縁の薄いイラン系の騎馬民族たちが統合して出来たものですが、このメディアの民族そのものは紀元前10世紀頃から存在したと言われています。 しかし、最後にはこの広い領土が逆に仇となりました。要は目立ち過ぎたわけです。 紀元前550年、この国の強さに恐れを抱くようになった同盟国カルデアが、当時急速に力をつけつつあったペルシアに働きかけ、メディアを挟み撃ちにします。 このバビロニア一帯、紀元前8世紀終盤〜7世紀初頭のアッシリア全盛期には、当時のオリエントの他地域と同じように、その大帝国の支配下に置かれ、厳しい占領政策を敷かれていました。しかし、先程から述べていますように、紀元前7世紀アッシリアの混乱に乗じて独立を回復すると、間もなくしてメディアと同盟を結び、これを滅ぼします。この時、カルデア王国はオリエントを代表する国となったのでありました。 カルデア王国の領土は、基本的にはメソポタミア中・南部の限られた範囲に留まっていましたが、この国の最盛期であるネブカドネザル2世王(在位:紀元前605〜562年)の時代には、エジプトを破り、ユダ王国を滅亡させるなどして、その勢力圏を一気に押し広げました。第16回で述べた“バビロン捕囚”が実施されたのもこの時です。 また、ネブカドネザル2世の時代には、様々な建築物が築かれた事でも知られています。その中でも、“世界七不思議”の1つと言われた“バビロンの空中庭園”が非常に有名であります。 しかし、このカルデア王国もネブカドネザル2世の死後は急速に衰退します。経済力を背景にした豪商たちが政治にも口出しするようになって、国が乱れたとも言われています。
このリディア王国は、その地理的条件からギリシアとの交流・交易があり商業が盛んで、更には貴金属が採取出来たこともあり、世界で初めて鋳造貨幣を発行した国として知られています。これらの貨幣、始めは金と銀の合金で、後には100%金貨の貨幣も発行しています。 ただ、リディア王国は他の国のように国力や歴史的なバックボーンに乏しく、対外的には終始受身の姿勢を強いられました。建国間もなくから東隣のメディア王国からの侵攻を受け、長年の防衛戦争を強いられました。
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10月28日(月) 歴史学(一般教養) |
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このアッシリアは、メソポタミアの北の辺境・ティグリス川上流域にある都市・アッシュルを中心とする国で、その歴史は殊のほか深く、紀元前21世紀に建国されています。 このようなアッシリアの“下積み”時代は約1000年にも及ぶのですが、その間にも時には優れた君主が現れて、存在感をアピールしています。 中でも特に王の手を煩わせたのが、2人いた息子の内の次男坊、つまりは第2王子で、王からこの“馬鹿息子”に対する手紙が山のように発掘されています。
しかし、兄と比較されてスネてしまったのか、この王子の行状は一向に良くならなりません。そこで王は更に手紙を書いてよこしたのでありました。
……まるでテキストサイト管理人に送りつけられた中傷メールのような罵詈雑言の羅列であります。が、南方では着々とハンムラビ王による征服活動が進んでいるという当時の周辺事情を考えると、このシャムシ=アダド1世王の焦りも痛い程よく分かるものであります。 その流れがやや変わり始めるのは、紀元前14世紀半ばの事。アッシュール=ウバリト1世という王は、この国をミタンニの属国から独立させ、国力増強と軍国化を開始します。ここから、後のアッシリアの強大な軍事力が培われる事になるのであります。 紀元前9世紀、いよいよオリエント世界にアッシリア帝国の時代が到来したのでありました── 後にオリエントの覇者となるアッシリアの、そのベースとなる部分を築き上げた王は、アッシュルナシルパル2世(在位:紀元前883〜859)。“アッシリアの狼”という異名を与えられた、その石像に遺された鷲鼻で冷徹な表情が今なお見る者の恐怖をそそる専制君主であります。 その後は、ごく一時期内政が混乱した事もありましたが、アッシリアは紀元前8世紀以降、飛躍的な発展を遂げてゆく事になります。厳しい占領政策にも関わらず、各地での反乱は絶えませんでしたが、そのことごとくを力で捻じ伏せて、被征服民に付け入る隙を与えませんでした。 こうして栄華を極めたアッシリア大帝国でありましたが、その絶頂を深く味わう暇も無く、間もなくして衰退への道を辿ってゆくことになります。 アッシリアの滅亡後のオリエントは、先ほど挙げたカルデアとメディアを含めた4つの大国が割拠する“四国時代”に突入します。その時代のあらましについては、また次回に譲る事としましょう。(次回へ続く) |
10月27日(日) マーケティング概論 |
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講義開始早々いきなりですが、まずはこちらのニュースをご覧下さい。
15秒のCM映像を観る代わりに、数十円分の電話代を、そのスポンサーに負担してもらう事が出来るという、何とも我々ユーザーに有り難い機能を搭載した公衆電話が登場した…というニュースでした。 ……まぁ、そんな冗談はさておきまして、この電話機のように、我々はCM・広告と接する事によって様々な恩恵を得て生活をしています。 まず、広告から得ている恩恵の最たるものと言えば、民放のテレビCMが挙げられるでしょう。スポンサーがCMを流す事と引き換えに番組制作費を提供しているからこそ、我々はタダでテレビ番組を楽しめるわけです。 ♪ヤンヤワヤワエッオッオイ〜アッエ〜エオ〜 ……という、何故キリンビールのCMでコレなのか分からない、意味不明のハミングも許せようというものです。 テレビCMに並んで我々が恩恵を受けていると言えば、雑誌広告が挙げられるでしょう。特に紙質の良いグラビア雑誌やゲーム雑誌などの場合は、広告が無ければ雑誌の定価が数倍に跳ね上がるとさえ言われています。これは、全編広告のような車情報誌やアルバイト雑誌などでは特に顕著な事でしょう。 この他、CMによる消費者への還元で少し変わったものと言えば、一時期アメリカで流行した“無料パソコン”というものがありました。タダでソコソコの性能のパソコンを配る替わりにハードディスクに腐るほどCMがインストールされていると言う、結婚条件で言えば「玉の輿だけど姑と同居」みたいな、痛し痒しな製品だったと記憶しています。 ……とまぁ、色々な場面において、我々は広告による恩恵を得て生活をしています。 例えば、現時点で既に値下がりしようの無いところまでデフレが進んでいるファストフード。これにも牛丼のドンブリに広告を掲載するとか、ハンバーガーの包装紙に広告をプリントするなどで、更なる値下げが望めそうです。 ちょっとヒネったところでは、寄席や演芸なんてのはどうでしょう。漫才や落語のどこかで15秒なり30秒なりの生CMを入れてもらうわけです。その代わりに木戸銭はロハ(無料)。 例えば、昭和のいる・こいるの場合、 「いや〜この商品は良いよ! なぁ?」 ……となってしまい、ちっとも有り難くありません。 ましてや、立川談志などに至っては、 「……いいですか、こんな商品をね、買うヤツは馬鹿なんです」 ……などと言って、そのまま舞台を降りてしまう事は確実であります。 まぁ、中にはデフォルトでCMをやっているオール阪神・巨人の例(「♪車にポピー!」)がありますし、投機目的で綾波レイの等身大フィギュアを買って大損こいた事で有名な、借金まみれ夫婦漫才師・太平かつみ&尾崎小百合みたいに、どんな仕事でも目一杯やる人もいますので、これは人選次第で何とかなるかと思われます。 本来高額な費用がかかるところを軽減させるという意味では、冠婚葬祭などもCMを導入してしまえば良いでしょう。結婚式なら披露宴で、式に関連した業者にスピーチしてもらうわけです。 結婚式場の担当者は続いて結婚する人向けのお薦めプランなどをアピールし、ハネムーン担当の旅行会には国内&海外旅行のお得プランなどをPRして頂く。中には富士ラテックスから担当が馳せ参じるカップルなどもあり、「さすが新婚、お盛んだなぁ」…などと出席者を感嘆させたりするのも一興でしょう。 ただ、冠婚葬祭でも困ってしまうケースもあります。お葬式です。参列者を前にして、 |
10月26日(土) 競馬学特論 |
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駒木:「さて今日は、いつもより輪にかけて時間が無いんで、かなりの駆け足になるよ」
駒木:「それじゃ早速始めようかな」
※駒木博士の“戦い済んで……” ※栗藤珠美の“喜びの声” |
10月25日(金) 特別企画 |
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ナレーション(珠美)「『珠美と順子のミッドナイトムーンライト』。この番組は、あなたのウェブ生活をサポートする、ANSI(アスカ・ネットワーク・サービス)の提供でお送りします」 珠美:「夜遅く、キャンパス内でお仕事中、お勉強中の皆さんこんばんは。今日から始まりました、真夜中の校内FM放送『ミッドナイト・ムーンライト』、パーソナリティの栗藤珠美です」 珠美:「この番組では、リスナーの皆さんからのメールを募集しています!」 順子:「あ、あの……?」 ◆1曲目:『真夜中は純潔』(椎名林檎/シングル「真夜中は純潔」より) 順子:「……というわけで、ホントならここで『お便りのコーナー』なんですけど、今日は1回目ですから、用意してるメールが無いんですよね〜。だから今日はメールが届くまで、引き続きフリートークです」 ◆2曲目:『愛の才能』(川本真琴/アルバム「川本真琴」より) 順子:「珠美先輩、珠美先輩、曲の間に、ホントにメールが来ましたよ。凄いですね〜」
……本当に受講生の方ですね(笑)。珠美先輩の財布の中身まで知ってるとは、なんて熱心な(笑)」 ◆3曲目:『MUGEN』(ポルノグラフティ/シングル「MUGEN」より) 順子:「…それでは、ここで電話ゲストをお呼びしたいと思います。私たちの上司であり、社会学部インターネット通信課程の専属講師・駒木ハヤト博士です。博士、こんばんは〜」
珠美:「博士……(溜息)」
珠美&順子:「え〜〜〜〜〜〜〜?」
駒木:「…こういうの?」 ◆4曲目:『ハッピーマン』(奥居香/シングル「ハッピーマン」より) 珠美:「…というところで、そろそろお別れの時間になりました。何だか今日はずっとドタバタしてばかりでしたね。申し訳有りませんでした」 ◆エンディングテーマ:『風がそよぐ場所』(小松未歩/シングル「風がそよぐ場所」より) ナレーション(珠美)「『珠美と順子のミッドナイトムーンライト』。この番組は、あなたのウェブ生活をサポートする、ANSI(アスカ・ネットワーク・サービス)の提供でお送りしました」 ※番組からのお知らせ:公開生放送に際して、インターネット通信課程の受講生の皆さんからもメールを募集します。駒木研究室のメンバーに質問したい事やメッセージなどは『お便りのコーナー』、寒い会話のネタは『トゥーコールドのコーナー』または『寒い話』とタイトルに明記して、送ってください。匿名で結構ですので、よろしくお願いします。ただし、全てのメールを紹介できるわけではありませんので、あらかじめご了承ください。 |
10月24日(木) 演習(ゼミ) |
今週もレビュー対象作が少なくて、ゼミを構成するのにも四苦八苦です(苦笑)。最近の「ジャンプ」は、一時期に比べて連載作品の入れ替えも代原の掲載も減ってますから、どうしてもこういう事になってしまいますね。 ──それでは、本題に移りましょう。まずは情報系の話題からですが、今日は1点だけ。 この社会学講座では既にお馴染み、「週刊コミックバンチ」系のコンペテイション・イベントである「世界漫画愛読者大賞」の、今年度分の応募総数が発表になりましたので、お伝えしておきましょう。 それではレビューと“チェックポイント”に移りましょう。今週のレビューは、「ジャンプ」から第3回の後追いレビューを1本お送りします。チェックポイントと併せてどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年47号☆ ◎新連載第3回『Ultra Red』(作画:鈴木央)《第1回掲載時の評価:B+》 第1回掲載時に“構成などは水準以上だが、ストーリーそのものがベタ過ぎる”というコメントをさせてもらったんですが、この第3回を読み終わった後に抱く感想もこれと同じです。 そして何よりも問題なのは、第3回に至っても、この作品の根底にあるテーマが見えて来ないというところです。 評価は前回のB+から、B−寄りBに大幅ダウンとさせて頂きます。
◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)《開講前に連載開始のため、評価未了》 久しぶりに『こち亀』らしい『こち亀』を見たような気がします。5年位前までは、毎週こんなノリだったはずなんですけどねぇ。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)《第3回掲載時の評価:B》 作品そのものは評価を上げるほど“大化け”してないんですが、ヒロイン1号の西野つかさが大化けしましたなぁ(笑)。多分、今週でヤラれてしまった男子の数は数万人じゃ利かないような気がしますが。あ、駒木も含めて(笑)。 ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)《第3回掲載時の評価:B+》 何だか回を追うごとに乱堂(由奈)が、“女の子に化けた男”から、“男の心を持ち合わせた女の子”に変わっていってる気がするんですが(笑)。ていうか乱堂、女言葉使いこなし過ぎ(笑)。
☆「週刊少年サンデー」2002年47号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)《開講前に連載開始のため、評価未了》 相変わらず笑わせてくれます、フォルゴレ&キャンチョメ編。自信を持ってケツ丸出し出来るのが素晴らしい! ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)《開講前に連載開始のため、評価未了》 植木がビーズ爆弾に向かって突っ込んでゆくシーン、これは渾身の名シーンではあるんですが、出来ればこのシーンで終わって「次回へ続く」が良かったですね。惜しい場面でした。 ◎『旋風の橘』(作画:猪熊しのぶ)《第3回掲載時の評価:B》 詳しく内容を語ると酷い言葉しか出て来ませんので、一言だけ。 オイ、テコ入れするにもやり方ってモンがあるやろ! 政治の世界で、自民党の中でダイナミックな首相交代をする事を“擬似政権交代”とか言いますが、この作品は“擬似打ち切り”ですねぇ。曲がりなりにもここまで10か月積み上げて来た全てが、今週で台無しです。こんな事で良いのかなぁ……。 あ、結局色々喋っちゃいましたね(笑)。 「第1回 仁川経済大学コミックアワード」 ……この1年間のレビュー対象作の中から優秀な作品などを選んで、(勝手に)表彰させて頂く…というわけです。 それでは、今週のゼミを終わります。また来週をお楽しみに。 |
10月23日(水) 歴史学(一般教養) |
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そんな分裂後のイスラエル・ユダ両王国は、政変が繰り返されて次々と王朝が交代したイスラエルと、ダヴィデの子孫によって比較的安定した政権が維持されたユダとで対照的な歴史を歩んで行きます。 さて一方のユダ王国は、イスラエル王国が滅亡し、更に南へと迫り来るアッシリアのプレッシャーを感じつつも、しばしの安泰を謳歌していました。 そんな屈辱の日々の中で、バビロンで暮らすユダヤ人の間で1つの宗教が確立されます。それがあのユダヤ教であります。 …さて、今日は短めですがここまで。次回は、これまでも度々名前が挙がっています、古代オリエントを代表する軍事超大国・アッシリア帝国についてお話をしたいと思います。(次回へ続く) |
10月21日(月) 歴史学(一般教養) |
※過去の講義のレジュメはこちら まず、この地方の古代史の担い手になった人々を紹介しますと、彼らはバビロニア王国を建てたアムル人と同じく、メソポタミアとアラビア砂漠の中間地帯からやって来たセム系の民族でありました。 その中でも、アムル人に続くセム系民族の第2陣となったのがカナーン人と呼ばれる民族であり、更に彼らの内で、現在のレバノン周辺でいくつかの都市国家を建設した人々をまとめてフェニキア人と言います。 フェニキアの人々は他の地域と異なり、最後まで統一国家を形成しませんでした。しかしそれでも、レバノンの各地それも海沿いに、シドン、ティルス、ウガリットなど多くの都市国家を建設し、大規模な海洋貿易や、イベリア半島や北アフリカ地方への植民活動で大きな実績を挙げていました。世界史上でもかなり早い時期に分類される海洋民族であります。 また、フェニキア人は独自の文字・フェニキア文字を持っていました。 フェニキアは統一国家を持っていませんでしたので、その歴史の終わりもかなり曖昧ではありますが、紀元前9世紀頃からアッシリア(この国に関しては次々回に述べます)の圧力を受けて衰退し、やがてペルシアなどの大国に吸収されてゆく事になります。しかし、この民族が建設した植民地はその後も繁栄を続け、これからも世界史に深く関わってくる事になります。
彼らのルーツもまた、セム系民族が原住地から北へと移動してきた人々なのですが、その構成はやや複雑になっています。 このエピソードは非常に有名で、旧約聖書でも特に大きく扱われている出来事なのでありますが、歴史学の観点から見た場合、その実態は“非常に微妙”なモノであったと言わざるを得ません。 …と、何はともあれ、こうして2つの民族が合流して新しい民族が誕生しました。これがヘブライ人という事になります。 こうして誕生したヘブライ人たちですが、始めの内は狭義の意味で言うところの国家を持たずに、士師という宗教指導者をリーダーとする緩やかな共同体だったようです。 ダヴィデは政治でも軍事でも有能な、まさに理想的な指導者で、結果的に彼の治世がイスラエル王国の全盛期に相当します。国内はまとまり、対外戦争により領土も拡大します。あのペリシテ人たちも、この頃にイスラエル王国へ吸収される事になります。また、後の聖地・イェルサレムが都に定められたのもこの頃です。 そのダヴィデは在位40年(紀元前1000〜960頃)で亡くなり、その後を次子・ソロモンが継ぎました。 ……予定の範囲までは進みませんでしたが、講義時間がオーバーしていますので今日はここまでとします。次回はイスラエル王国史の続きを述べます。(次回へ続く) |
10月20日(日) 伝統文化論 |
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前回のレジュメはこちらから。 えーと、前回のレジュメを見直していて、我ながらその文面にトゲがあるように感じたんですが、よく考えたら落語家さんたちを全て敬称略にしちゃってたんですよね。 前回に散々述べましたので重ねて詳しくは言いませんが、落語家の出世と言うのは原則的に年功序列であります。前座を3年から5年で2ツ目、2ツ目を10年前後務めれば、ほぼ漏れなく真打ちに出世出来ます。勿論、それまでにドロップアウトする例も少なからずありますが、少なくとも落語か漫談か世渡りのどれかが上手ければ、誰でも15年で最高位まで辿り着けるというわけです。 しかし、実はかつて一時期、東京落語界の最大手団体・落語協会では“真打昇進試験”なる制度が実施されていた頃がありました。 ところがこの試験、その第1回から合否の判定を巡って揉めに揉めます。 こうした経緯で生まれた新団体、しかも団体の長が“あの”立川談志でありますから、この落語立川流は、当然のごとく落語協会とはその趣を一線も二線も画した団体になりました。 さて、そんな立川流の出世・昇進制度は完全実力主義であります。他の団体のように「名実」の「名」が先行するのではなくて、「実」が備わってから「名」を与えよう…というシステムであります。これには勿論、落語協会に対する痛烈な皮肉が含まれているのは言うまでもありません。 ……というものでありました。 ところで、やれ50席だ、やれ100席だ…などと聞きますと、我々一般人はギョッとしてしまいますが、実はこの基準自体は厳しすぎるといったものではありません。 しかし、重ねて言いますが、この団体の長は“あの”立川談志であります。ごくごく気まぐれに、いきなり無理難題を弟子に吹っかける事で有名なこの家元は、何かにつけて次々と前座から2ツ目への昇進基準を厳しくしてゆきます。
…この昇進基準ハイパーインフレに驚き、恐れ、そして脱力していったのが当時の前座衆です。何しろ、日に日に条件が厳しくなってゆくわけですから、モチベーションも下がると言うものです。実際、新基準が採用されてからは2ツ目昇進が長らく途絶え、前座生活7年、8年という者も続出する有様でありました。 ……と、ここまでお聴きになった方は、「なんだ、それでも一所懸命やってりゃあ、それほど理不尽な思いをするわけじゃないじゃないか。後でやる苦労を先払いしてるんだから丁度良い」…なんておっしゃられるかも知れませんが、それが一筋縄で行かないのが立川流なのであります。 で、どのくらい大変なのかといえば、「前座が2ツ目になるまでの間に、大抵1度か2度は破門される」…というシャレにならないもの。 ではここで、最近2回の前座破門騒動がどんなものであるかをご紹介しておきましょう。ちなみに、後の方で紹介する分は現在進行形であります。 まず1つ目は今から2年前に勃発した“上納金未納騒動”であります。 これは先に落語立川流の独自システムである“上納金制度”を説明せねばなりませんね。 で、この額、他の稽古事に比べると安過ぎる位の額ではあります。が、これを実際に納めるのは、日本においてインドネシアかフィリピン並の所得基準を強いられている前座衆であります。彼らにとっての1万円とは、普通の人の10万円に等しい価値を持つ金でありまして、そうそう簡単に支払えるものではありません。 ちなみに、その3人の中で円楽党に転身した落語家が、今年真打ちに昇進した三遊亭全楽(前名:立川国士舘)であります。鞍替え再入門から2年での超スピード出世でありました。 閑話休題。 この騒動の理由は極めて単純明快。弟子たちは「前座生活が長いのが当たり前」と思っていたが、師匠は「ンなもん、精進してとっとと2ツ目に昇進してみろ」と思っていたという、認識のギャップであります。 で、現在、上に“元”が付いた前座衆の皆さんは、1日も早い復帰を目指して日々稽古に励んでいます。前座としての雑務から解放されてしまったために、その分だけ密度の濃い修行が出来ているようでありますが、復帰のメドは未だ立っていないようであります。 そういうわけで、 |
10月19日(土) 競馬学特論 |
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駒木:「さて、今週もG1予想なんだけど、競馬は絶不調だわ、体調は悪いわで、困ったもんだよ(苦笑)」
珠美:「……それでは今日も博士に枠順に沿って1頭ずつ解説していただきましょう。まずは1枠の2頭、ナムラサンクスとヒシミラクルから。共に人気薄の馬ですが……」
※駒木博士の“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“反省文” (余りのショックのため、ノーコメント) |
10月17日(木) 演習(ゼミ) |
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目に見えて『SWORD BREAKER』の掲載順位が下がりつつある今日この頃、受講生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか?(笑) 今週もゼミのお時間がやってまいりました。 さて、そんな話は置いておきまして、今日もまず情報系の話題から。 まず「週刊少年サンデー」系の月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」の8月期分の結果発表がありましたので、受賞者・受賞作を紹介しておきましょう。
……この賞としては、比較的豊作の部類でしょうか。ただ、受賞者の年齢構成がアンバランスなのが気になりますが……。 では、次の話題。これは「ニュース解説」のコンテンツで既に紹介済みですが、こちらでも改めて。 …まぁくらい話題はこれ位にしておいて、今週のレビューを始めます。今週のレビュー対象作は、「ジャンプ」と「サンデー」から連載3回目の後追いレビューが各1本ずつの計2本です。“チェックポイント”も実施しますのでよろしく。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年46号☆ ◎新連載第3回『A・O・N』(作画:道元宗紀)《第1回掲載時の評価:B−》 恐らくは今年の「ジャンプ」新連載作品の中では一番の問題作であろう、『A・O・N』の後追いレビューです。 第3回まで読んでみて判ったことは、とにかくこの作品は長所と短所がひどく混在している…という事です。 まず長所から挙げておきますと、見せ場と決め台詞は毎回見事に決まっているということ。先週の“チェックポイント”でも採り上げましたが、第2話の最終ページなどは間違いなく一級品でした。この辺の嗅覚というか感覚は確かなモノを持っているとは思います。 しかし、その長所を打ち消して余りある程の短所が存在する事も確かなのです。特に2点の致命的な欠陥が、この作品の完成度を台無しにしてしまっています。 1点目は、とにかく読者に不親切である事。読者に与えるべき情報が肝心な所で不足しているために、設定や状況がなかなか正確に把握できませんし、主人公への感情移入も難しくなってしまっています。 2点目は、第1回の時にも指摘しましたがプロレスシーンの描写が非常に稚拙であるという事。特にこの第3回では、対戦している2人が蹴り合っている以外に何が起こっているのか全く判読できません。とにかく無茶苦茶判り難いんです。 で、評価なんですが、プロットの完成度や設定の整合性を重視する当ゼミでは、いくら魅力的なシーンがあってもこういう作品に高い評価を出すわけには行きません。この作品は賛否両論が極端に分かれているようですが、当ゼミとしては“否”の立場に立たせて頂いて、B−の評価とします。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)《第6回掲載時の評価:A−》 先週まででセナとデビルバッツを散々持ち上げておいたところで、今週は「でも実はね…」といった感じで適当な所まで“デフレ”を敢行しています。賛否分かれる所かも知れませんが、駒木は素直に上手いと思いますね。 ◎『BLEACH』(作画:久保帯人)《開講前に連載開始のため、評価未了》 2週連続の“チェックポイント”登場ですが、今回の構成も、王道パターンに少しのケレンを交えて良い感じに仕上がっています。ひょっとしたら更なる長期連載へのゴーサインが出て、気合が入りまくってるんでしょうかね? ◎『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)《開講前に連載開始のため、評価未了》 今やってる練習試合は、特訓で上がった主人公たちの能力を客観的基準で評価する試みで、少年マンガではよくある“定石”なんですが、さすがに無茶し過ぎでは(苦笑)。…ていうか、去年までの十二支高校が弱かったのが全く信じられないんですが(笑)。
☆「週刊少年サンデー」2002年46号☆ ◎新連載『D−LIVE』(作画:皆川亮二)《第1回掲載時の評価:A−》 まずは第1回掲載時レビューの訂正から。 ただ、このシステムだと、ストーリーがシナリオライター任せになってしまい、皆川さんの個性が出難くなってしまう可能性があります。その上、半年〜1年と連載を続ける内に深刻なマンネリズムに陥ってしまう恐れもあり、必ずしも最善のシステムにはならないのではないかと思います。 あとは前回のレビューでも指摘しましたが、シナリオを圧縮するために、どうしてもセリフに頼りがちになってしまう点が少々問題ありと思います。話の中身が濃くなければ、その分マンネリに陥るまでの速度も上がるわけですから、もう少し構成に気を配ってもらえれば…と思います。 評価ですが、前回はB+寄りA−だったんですが、一旦B+に落としておいてしばらく静観したいと思います。前作の『ARMS』も、ある程度話が進んでから一気にクオリティが上がった感がありましたので、今回もそれを期待したいと思います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『史上最強の弟子 ケンイチ』(作画:松江名俊)《第3回掲載時の評価:B》 連載半年にして、ともすれば多すぎる位のキャラクターが全てこなれて来て、逆にそれが魅力になって来ましたね。クローズアップするキャラを頻繁に変えることでマンネリも防いでますし、どうやら軌道に乗ったようです。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)《第3回掲載時の評価:B+》 フィギュア専門店で、ちょっと旬の過ぎた2ch用語を連発するオタクたちの表現が見事!(笑) ただ、敢えて注文を出すなら、彼らはもっと“バックパック装着率”が高いんですけどね(笑)。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 やっぱり今週のハイライトシーンは、セイリュートの ところで最近気付いたんですが、ここしばらくの椎名さんはずっと、「『GS美神極楽大作戦!』と違う作品を描こう!」…と意気込み過ぎだったんじゃないのかなぁ、なんて思うんですよ。
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10月16日(水) 歴史学(一般教養) |
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ヒッタイトの人々がメソポタミアの歴史の中に姿を現すのは、紀元前20世紀頃とされています。彼らはアナトリア半島(現在のトルコ共和国)一帯を領土にして王国を形成しましたが、元々その周辺に住んでいたわけではないようです。 これは、彼らが使っていた楔形文字(ヒッタイト語)が、シュメール人やセム系民族の使った文法ではなく、インド=ヨーロッパ系──インド、イラン、スラヴ、ギリシア、ラテンなどの各民族──の文法に極めて近い事が決め手となりました。 そんなヒッタイト人の故地について、詳しい事は分かっていません。しかし、インド=ヨーロッパ語を使う民族の発祥の地は現在の中央アジア〜ロシア南部周辺ではないかとされており、遥か昔の先祖はそこに住んでいたのではないかと思われます。 …と、このように繁栄の時を謳歌していたヒッタイトですが、その最期は非常に呆気ないものでした。 ……以上が、主に紀元前16世紀〜12世紀までのアナトリア半島〜メソポタミアの歴史でした。この後のメソポタミア地方は、建国から1000年以上の時を経て強大化したアッシリア帝国によって席捲される事になるのですが、これはまた後のお話です。 |