「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
11月14日(木) 演習(ゼミ) |
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困った事に、今週はレビュー対象作が無くなってしまいました。これまでは必ず「ジャンプ」の代原レビューや、他誌の注目作をレビューをお送りして来たのですが、今週はそれも果たせませんでした。申し訳有りません。 では、まず情報系の話題から。今週は「週刊少年ジャンプ」系の新人月例賞・「天下一漫画賞」9月期の結果発表がありましたので、受賞者及び受賞作を紹介しておきましょう。今月は、デビュー確定となる佳作受賞作が出ていますので、いつにも増して要注目ですね。
19歳という若さ&地方在住のルーキーながら画力抜群という、まさに才能の塊のような“期待の新鋭”が登場したようですね。 さて、今日は「週刊少年ジャンプ」系の原作者新人賞新設のニュースもお送りしておきましょう。 では、情報はこれくらいにしまして、先に“今週のチェックポイント”をお送りしましょう。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年49号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【第12回掲載時の評価:A/作品の再評価】 ストーリー面は相変わらず高水準をキープ出来ていますね。特にキャラクター能力の設定が厳格に守られているため、試合展開がとても自然に流れているのが印象的です。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【第3回掲載時の評価:B/作品の再評価】 ここまでで連載ほぼ半年ですね。 ◎『SWORD BREAKER』(作画:梅澤春人)【第3回掲載時の評価:B−/雑感】 もはや、打ち切りが確定したのは間違いないでしょう。話が一気に“まとめ”に入っています。
☆「週刊少年サンデー」2002年50,51合併号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 ハイスパートの格闘シーンが熱いですなぁ。 ◎『焼きたて !! ジャぱん』(作画:橋口たかし)【第3回掲載時の評価:保留/作品の再評価】 ずっと評価を保留にして来ましたが、ここで一応の判断を下しておきたいと思います。 まず評価すべき点は、卓越した画力と見せ場シーンの演出力ですね。連載開始当初のレビューでは「あまりにもアニメ版『ミスター味っ子』に酷似している」と苦言を呈しましたが、それでもそれをキチンとやれる実力は認めなくてはならないでしょう。 ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【第3回掲載時の評価:B+/作品の再評価】 今回で連載も13回目なんですが、ますます作品のクオリティが深刻になってしまっています。 とにかく作者サイドから読者に与えられる情報が極端に少ないのが大問題です。未だに主人公たちの具体的な目標や、とりあえず為すべき事がハッキリしてませんから、読者側がどの辺りにピントを合わせて読み込んでいけばいいのか判らないのです。作者と読者の意識の齟齬が激しいんですね。誤解を恐れず端的に表現すれば、この作品は“作家の独り善がりの塊”なのですよ。 評価は一気にB−まで落とします。ちょっと挽回が難しくなって来た印象ですが、果たして……。 ◎『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ)【第3回掲載時の評価:A−/作品の再評価】 ようやくストーリーが大きく動き出しましたが、キャンプ編は“暴れんボール”が出て来る辺りまでの展開が冗長に過ぎた気がします。別のチームのキャンプに武者修行するエピソードがありましたが、これは無かった方がスッキリしましたね。連載当初のレビューで「途中でテンポが遅くならなければ……」と言ったんですが、モロに危惧が的中してしまいました。 ◎『旋風の橘』(作画:猪熊しのぶ)【第3回掲載時の評価:B/作品の再評価】 ハッキリ言って、この作品はもう死に体です。 評価はもはやCの段階まで落として良いと思います。もうここは潔く幕を引くのが、猪熊さんの将来から考えても得策だと思うのですが……。
それでは続きまして、当講座の開講1周年記念イベントで実施します、「仁川経済大学コミックアワード」のノミネート作品発表に移ります。 では、まず各賞の紹介を。今回は以下の賞を用意しました。 ◎仁川経済大学賞(グランプリ) 当ゼミは「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年サンデー」の作品を中心にレビュー活動を行っていますので、どうしても両誌に掲載された作品を対象とする賞が多くなりますが、ご理解下さい。両誌以外の作品をほとんど扱っていないのに、オールカマーの賞を濫発するのは筋違いだと思いますので……。 というわけで、これから各賞のノミネート作品を発表します。 ◎仁川経済大学賞(グランプリ)◎ この賞は“グランプリ”という名の通り、この1年の間に当ゼミでレビューした作品の中で最も優秀な作品に送られる賞です。 ※ノミネート作品一覧※ ●(ジャンプ&サンデー・最優秀長編作品賞受賞作)
この賞は、「週刊少年ジャンプ」系と「週刊少年サンデー」系の雑誌で長編連載された作品を対象にしたものです。 ※ノミネート作品一覧※ ●『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)
こちらは「ジャンプ」、「サンデー」系雑誌に掲載された読み切り作品、または短期集中連載作品が対象です。ノミネート基準は長編作品賞と同じく評価A−以上です。 ※ノミネート作品一覧※ ●『ヒカルの碁・番外編(奈瀬明日美)』(作:ほったゆみ/画:小畑健)
この賞は、「ジャンプ」や「サンデー」の本誌や増刊で連載経験の無い作家さんの発表した、読み切り作品または初連載作品が対象になります(注:他誌で連載経験があっても有資格とします)。ノミネート資格はこれまでと同様にA−以上です。 ※ノミネート作品一覧※ ●『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)
映画のアカデミー賞に対するゴールデンラズベリー賞をモチーフにした、最悪な作品を表彰する賞です。対象作はレビュー対象にした全作品で、あらゆる意味において“最悪”(not最低)な作品を選出します。ノミネート基準は駒木の独断です(笑)。 ※ノミネート作品一覧※ ●『しゅるるるシュールマン』(作画:クボヒデキ)
では、今週のゼミを終わります。 |
11月13日(水) 文献講読(小説) |
アメリカの日本大使館に設けられた会談場に、日本の首相とアメリカの大統領が、それぞれ側近やSPを引き連れて姿を現した。 今回の会談は、核開発が噂される中東の某独裁国家へ対する処遇について、日米間でとりあえずやっておくべき事を決めておこうというものであった。 『今回は骨の折れる会談でしたからな。まぁ、日本にお帰りになったら、とりあえずゆっくりして下さいよ』
──それから間もなくして、サウジアラビアの米軍基地から2機の爆撃機が飛び立った。日米首脳会談で取り交わされた、「件の独裁国家に対し、とりあえず1度だけ空爆して様子を見よう」という合意事項に従ってのことであった。 その結果、とりあえず27人の尊い命が失われた。 |
11月11日(月) 特別演習 |
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今回から不定期で、ゼミ「現代マンガ時評」の特別カリキュラムを実施します。 受講生の皆さんもご存知の通り、当講座では昨年度の第1回からこの賞の模様を追いかけており、最終審査進出作品のレビューや、賞そのものについての検証を行って来ました。(未受講の方は1月30日付以降の「現代マンガ時評」や5月20日〜22日のレジュメを閲覧されることをお薦めします) ◎読み切り作品からでは連載に適した作品を選ぶ事は難しい。 ◎鳴り物入りで連載開始された受賞作・読者投票上位作品の人気低迷・早期打ち切り。 ……といった事態に至る危険性を指摘させて頂きました。 そして結局、非常に残念なことに、これらの危惧はほぼ全て現実のものとなってしまったのです── グランプリ受賞作で“連載最低1年”の特典を獲得した『エンカウンター 〜遭遇〜』(作画:木之花さくや)は、壮大な設定を消化することがままならないまま、連載当初から人気が低迷。しかし特典があるために打ち切りも出来ず、今は連載保証期間を消化するためだけの長期休載に突入しています。 読者投票2位の準グランプリ作で連載を勝ち取った『がきんちょ強』(作画:松家幸治)も、打ち切りこそ免れているものの巷の人気は伸び悩んでいます。キャラ設定の欠陥や作品中に見られる度を越した“毒”のために、特に熱心な「バンチ」読者層から強い反発を呼び、“不快マンガ”との烙印を押されてしまったのです。 また、読者投票9位ながら「4コマ漫画部門賞」の名目で連載されることとなった『熱血
!! 男盛り』(作画:南寛樹)に関しては、連載開始以前から「どうして投票下位の作品が、4コマ漫画だからといって無条件で“救済”されなければならないのだ」という批判を浴びてしまいました。 と、こうして受賞作組が苦戦する中、読者投票では5位に甘んじて連載を勝ち取れなかったはずの『満腹ボクサー徳川。』(作画:日高建男)が、何故か突然“敗者復活”となって連載が開始となりました。 ……このように、第1回の「世界漫画愛読者大賞」は、悲しいまでに先に挙げた危惧(受賞作・上位作の人気低迷/連載予定の無かった下位作による逆転現象)が現実のものとなってしまいました。それどころか、グランプリ・準グランプリ作は「バンチ」全体のレヴェルを引き下げてしまう“デフレ現象”を引き起こした…との声も多く聞かれるくらいです。
──しかし、このような“逆風”の中にも関わらず、今年も第2回の「世界漫画愛読者大賞」が開催されています。 それでは、今回は「バンチ」48号に掲載された、「全応募作品完全データ分析」から色々な考察を加えてゆきましょう。 まずは無難な所から。性別と年齢です。誌面ではパーセンテージで表示されていましたが、実感が湧き難い数字ですので、ここでは実数に換算してお送りします。 初めに男女別比率から。 ◎男性……103作品(88%) 編集部からのコメント、「男性が圧倒的多数を占めるという予想通りの結果になりました」…とあるように、これは納得出来る数字のような気がします。 次に年齢別比率を紹介しましょう。 ◎10代……3または4作品(3%) 編集部のコメントでは「ちょっと残念なのが、10代の方々の投稿が少なかったこと」とありますが、この賞の目的──すぐにでも長期連載が可能な即戦力の発掘──を考えると、これはこれで良いような気がします。経験の浅い新人さんをいきなり厳し過ぎる環境に置くと言うのは、どうにも酷ではないでしょうか。 それよりも気になるのは、30代以上の応募者の多さです。 それではいよいよ話の核心、作品のスタイルやジャンルについて論を進めていきましょう。 まずは通常のストーリー作品と、4コマなどのショートギャグであるフリースタイルの応募作品数比率から紹介しましょう。 ◎ストーリー作品……81作品(69%) コメントによると、編集部サイドはフリースタイルへの応募が少ないと感じたようです。 ただ、このフリースタイル部門の“お手軽感”は、裏を返せば全体のレヴェルの低下を誘発する危険性もはらんでいます。
ここで注目すべき点は、“新人”ではなくて“素人”という言葉が使われている事です。この“素人”を、コメントの文脈も含めて素直に受け取れば、“受賞を争う水準に達していない人”と解釈して良いと思います。そういう応募者が「比較的多い」という事は、応募された30数作品の中の相当数が問題外の作品であると言えるのではないでしょうか。となれば、これは非常に憂慮すべき事態です。 フリースタイル部門についてお話したついでに、部門内の4コママンガ作品と、それ以外のスタイル(1ページ物など)の比率についても紹介しておきましょう。 ◎4コママンガ作品……15作品(42%) 4コマ以外の作品については、編集部コメントの中に「斬新なコマ割で描かれた作品、コマという概念さえ取っ払った作品」があったと言及されており、相当奇抜な作品もあったようです。そんなタイプの作品は“当たり外れ”が大きいでしょうから、可能性は低いながら“当たり”が出た場合の事も考えて、とりあえずは注目と言えますね。 では、最後にストーリー作品のジャンル別比率の紹介と分析を行いましょう。 ◎ファンタジー……23または24作品(29%) ちなみに、第1回の入選作のうち、4コマ部門賞の『熱血! 男盛り』を除いた9作品を、このジャンル分けに沿って分類してみますと、以下のようになります。これも参考資料としてお話を進めてゆきましょう。 ◎スポーツ……3作品(格闘2、バイク1) まず、やはり目に付くのは、最も多くの応募作を集めたファンタジー物でしょう。一時期に比べ、最近はマンガ家志望者たちの“ファンタジー熱”も沈静化したとは言われていますが、やはり根強い人気を誇っているようです。また、新人応募者特有の大作主義も影響していると思われます。この種の賞レースでは、新人ほどスケールの大きな話チャレンジしたがる傾向があるのです。 しかし、いきなり話の勢いを挫いてしまいますが、現在のマンガ界においてファンタジー物は一種のタブー扱いをされているのです。 ……そういうわけで、ファンタジーは“応募作の最大勢力にして駄作の最大勢力”なのです。今回「──愛読者大賞」では、23〜4作品のファンタジー作品の応募がありましたが、その大半は“望み薄”と考えた方が良さそうです。これは、第1回の入賞作品にファンタジー物が無かった事からも分かります。 では、ファンタジーの次に応募が多かった時代劇はどうでしょうか? 12作の応募があったギャグマンガについては、個々の作品を実際に読んでみないと分からない部分が多すぎますので、現時点ではコメントを差し控えさせて頂きます。応募者の中に現役のプロ作家さんがいるかどうかも含めて、別の機会に検証してみたいと思います。 スポーツ物の中では格闘物が多かったようですが、これは時代劇と同様に「バンチ」の編集方針を意識して狙い撃ちしたものと思われ、そういう意味ではリサーチ能力に優れた応募者の人が多かったという事になります。格闘物は、比較的話が作りやすいジャンルでもありますし、これに関してはかなりの期待が出来そうな気がします。 第1回のグランプリ作・『エンカウンター』を生み出したSF物に関しては、複雑な設定を組んで大掛かりな話を作らなければならない事を考えると、ファンタジーとほぼ同じ傾向であると考えても良さそうです。よって、このジャンルに関しても大きな不安を抱いてしまいます。 ラブコメは、絵柄や設定などで大きなセールスポイントが1つあればヒットが望めますので、ある意味この賞に向いているジャンルかも知れません。ただし、「バンチ」の読者層が「週刊少年サンデー」や「週刊少年マガジン」で連載されているようなラブコメ作品を求めているかどうかは微妙なところですね。これは“やってみなければ判らない”といったところでしょうか。 実は、駒木が個人的に期待しているのは“その他”のジャンルです。他の応募者がやって来ないようなモノに挑戦しようという意気込みだけでも評価できるというものですし、前回の入賞作品の中で、このカテゴリから出た作品が一番多かったのも注目です。 このシリーズの第2回は、今のところ来週早々に実施する予定です。その講義では、「バンチ」49号で急遽発表されたグランプリ選出方法の改訂について扱う予定です。どうぞご期待下さい。 (次回へ続く) |
11月10日(日) 文献講読(小説) |
夕方だというのに、千鳥足気味に路地裏をうろつく男がいた。名を伊田原一郎という。 ここまで聞けば、この男が現在どのような境遇にあるかが誰にでも容易に想像出来ることだろう。そしてまた、これも恐らく誰もが想像する通り、彼は今日、朝からハローワークに行って職探しに失敗し、その後ワンカップの自動販売機前にへばり付いてヤケ酒をあおり、そのために電車賃が無くなったので、電車で3駅先の安アパートへ歩いて帰る途中である。当然のことだが、自分の部屋に帰っても彼を待つ者は誰もいない。 ──と、その時である。 「じゃあ、代わりにやってみるか?」 ◆─────◇ 「──で、俺に1年間『神様代行』をやってみろって言うんだな?」 ◆─────◇ ──新しい『神様代行』が決定してから2時間後。 1人の少年が泣いていた。 ……しかし、少年の言っている事は間違いである。 |
11月9日(土) 競馬学特論 |
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駒木:「さて、G1予想だ。最近の講義レジュメ読んでて気が付いたんだけど、自分、事あるごとに『このレースは大金賭けちゃダメだ』とか言ってるんだな(笑)。
駒木:「頭数少なめで、有力馬もかなり限定されてる感じだね。ただし、その代わりに低額オッズという最大の敵が立ちはだかる事になるわけなんだけど……」
※駒木博士の“勝利宣言?” ※栗藤珠美の“喜びの声” |
11月8日(金) スポーツ社会学 |
昨日の夜に、前回紹介した札幌と東京による公式戦がありまして、東京が5−1で快勝しました。(詳細はこちらから) ……さて、今回は残り3チームの紹介と戦力分析を中心に講義を進めてゆきたいと思います。
◎チーム紹介◎ ◎主な選手紹介(選手一覧はこちらから)◎ ※投手※ ※野手※ ◎展望◎ ◆大阪ロマンズ◆ ◎チーム紹介◎ ◎主な選手紹介(選手一覧はこちらから)◎ ※投手※ ※野手※ ◎展望◎ ◆博多ドンタクズ◆ ◎チーム紹介◎ ◎主な選手紹介(選手一覧はこちらから)◎ ※投手※ ※野手※ ◎展望◎
……まぁ、順位などは別にして、とにかく野球そのものを楽しむのがマスターズリーグの醍醐味であります。CS放送が視聴可能な方は勿論、お近くで試合があるという地方の方は是非、観戦されることをお薦めします。 それでは、長くなりましたが、今日の講義を終わります。(この項終わり) |
11月7日(木) 演習(ゼミ) |
今週も(恐らく来週も)“新連載の谷間”が続行中です。今週あたりは、他の雑誌からも注目作のレビューをしようかとも思ったのですが、「ジャンプ」と「サンデー」以外の雑誌でレビューする作品に関しては、今のところ原則的に自信を持って皆さんにお薦めできる作品に限定していますので、なかなか該当作が見当たらないんですよね(苦笑)。 とりあえず今週は体調的に切羽詰ってる事もありますので、レビュー1本と“チェックポイント”のみということにさせて頂いて、来週には1周年記念イベントの「第1回仁川経済大学コミックアワード」のノミネート作品発表でもやろうかなと考えてます。 それと、時間割表を詳しくチェックされている方はもうお気付きでしょうが、来週の月曜日付講義(火曜未明実施分)から、第2回「世界漫画愛読者大賞」の事前特集を開始します。週1回か2週間に1回くらいのペースで最終審査開始まで追いかけていこうと思っております。 では、今週は情報らしい情報もありませんし、早速レビューと“チェックポイント”の方へ移りたいと思います。
◎読み切り『碼衣の大冒険』(作画:イワタヒロノブ) 今週は『BLACK CAT』と『ピューと吹く! ジャガー』が取材休載で、その代わりに若手作家さんの中編読み切りが掲載されました。 ではまず絵柄の評価から。 一言で表しますと、下手な上に雑という惨憺たる状況です。 まず、線が安定していません。人の顔アップですら、コマやページごとにデッサンが狂いまくっていて、プロの絵とは到底思えません。素人の高校生でももっと上手い人が一杯います。 まぁそれでもストーリーが良ければ構わないんですが、こちらの方も情けない程グダグダで、最早手の施しようがありません。 まず、イワタさんの創作に対する基本的な姿勢が端的に表われている部分として、キャラクターのネーミングが挙げられます。 そして、シナリオ本編の方もメチャクチャです。 最後にもう1点、根本的な失策としては、ギャグとコメディの区別が全く出来ていないという事。シナリオ的にはギャグというよりコメディなんですが、実際は作品の世界観を歪める情けないギャグのオンパレード。もうこれではどうしようもありません。お手上げです。 …しかし、本当によくこんな作品が本誌のセンターを飾ったものだと思います。プラスの意味で評価出来るポイントが全くありません。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『SWORD BREAKER』(作画:梅澤春人)《第3回掲載時の評価:B−》 ここまで作品全体から「打ち切り決定しました」とアピールするマンガも珍しいといえば珍しい気がしますね(笑)。話を大幅に中抜きして、唐突に最後の決戦に突入のようです。まるで初期の『しあわせのかたち』(作画:桜玉吉)みたいで、悲壮感を突き抜けて微笑ましくさえ感じてしまいます。
☆「週刊少年サンデー」2002年49号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『D−LIVE !!』(作画:皆川亮二)《第3回掲載時の評価:B+》 今回はシナリオ担当がいないので、皆川さんが完全に話を担当しているようです。そのせいか、前回までより大分セリフがスッキリしている感じがしますね。やはり文章のシナリオと、直接ネームで起こす話とでは感覚が違うんでしょう。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)《第3回掲載時の評価:B+》 相変わらずコテコテのラブコメですねぇ。それを全くひるむ事無く描き切っている井上さんも凄いといえば凄いです。これで卑屈に描いてたらここまでクオリティ維持できませんもんね。 ◎『かってに改蔵』(作画:久米田康治)《開講前に連載開始のため、評価未了》 ◎『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ)《第3回掲載時の評価:A−》 いやぁ、やっとこの作品の持ち味が出て来ましたね。ここ3〜4ヶ月、このままズルズル間延びしたらどうなる事かと思いましたが、やっと新展開になりそうです。今後ともテンポの良い話になる事を期待しましょう。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 と、透視装置! 男の浪漫キター!(爆)
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11月6日(水) スポーツ社会学 |
※前回のレジュメはこちらから。 今日11月6日に開幕となりました、プロ野球マスターズリーグ。その開幕戦からしていきなり、ホームランありサヨナラタイムリーありの非常に白熱したゲームが繰り広げられたようで、これでこそ当講座で扱った甲斐があったというものです。 では、北の札幌から順番に、南へ南へ下る形でチームを紹介してゆきましょう。
◎チーム紹介◎ ◎主な選手紹介(選手一覧はこちらから)◎ ※投手※ ……しかし前々から思ってましたが、広島に13年いたのに巨人には4年しかいなかった川口が、引退後一貫して「元巨人」と主張しているんですよね。何と言いますか、広島ファンの人たちに対してかなりいい度胸してると思います。広島で川口の身に何があったんでしょうか。 ※野手※ ◎展望◎ ◎チーム紹介◎ ◎主な選手紹介(選手一覧はこちらから)◎ ※投手※ ※野手※ ◎展望◎
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11月4日(月・休) 文献講読(小説) |
薬は化学薬品で、とある国立大学の研究チームによってその合成に成功したものであった。もっとも、そのチームが開発していたものは全く別の薬品だったという。 しかし、そのプロセスはどうあれ、出来上がったものは素晴らしいものであった。何しろ万能薬である。 ……そんな具合に薬事業界が浮き足立つ中で、その新薬開発の報せは政界にも速やかに伝えられた。当然の事ながら、そのニュースは伝わるなり与野党問わず全ての議員の間で大きな波紋を呼んだ。特に色めき立ったのは首相以下内閣関係者である。慢性的な財政赤字と膨れ上がるばかりの医療費問題に終止符を打つチャンスがやって来たというわけだった。 総選挙の結果は、予想通り政権与党の大圧勝であった。300ある小選挙区のほとんどを制しただけでなく、比例代表でも90を超える議席を獲得した。野党は辛うじて労組と関わりの深い第1党が数十議席を確保した他は壊滅状態。特に、与党を除名された議員たちで結成された新党からは1人の当選者が出ない大惨敗であった。 まず、現在ある医療機関や医師制度、更にそれに関する法律を一旦全て廃止する。つまりこれは、日本から“病院”や“医師”という言葉が消滅するという事である。そして、その上で“イシャイラズ”でカバーできない医療行為──“イシャイラズ”が効き始めるまでの延命医療、または産婦人科や心療内科など──に関しては、それらを新たな医学的専門職とする免許制度をスタートする。 これらの諸法案は、マスコミによって「医師廃止法案」という俗称が付けられて、国会に上程された。反対勢力は皆無であった。野党は既に無力化していたし、議員個人で抗議するにしても、その術は離党届や議員辞職届を提出する事くらいしか残されていなかった。ただ1人だけ、国会議事堂内で2週間ハンストをやって廃止寸前の病院に担ぎ込まれた無所属議員がいたが、これは笑い者にされただけで終わった。搬送された病院で“イシャイラズ”のお世話になったからである。
東京発新大阪行きの新幹線の車内に、公務を終えたばかりの首相が乗り込んでいた。これから地元へ戻り、選挙の準備にとりかかるというわけだ。隣の席には秘書官が座り、その2人を取り囲むようにして屈強なSPたちが護衛にあたっていた。 首相の悲鳴が車中に響き渡るのと、青年がSPに取り押さえられたのはほぼ同時だった。青年の右手に握られていた医療用のメスが、そのすぐ側に転がっていた。メスは血染めになっていた。 一転して修羅場と化した新幹線車内に、SPや関係者たちの怒号が響いた。頚動脈をメスで斬りつけられた首相は既に意識を失っていた。“イシャイラズ”が使える場面では無いことは明らかだった。 しばらくして、緊急事態を知らされた車掌からの車内アナウンスがスピーカーから流れ出た。それは、今となっては全く意味を持たない内容のアナウンスであった。 「この車内に、お医者様はいらっしゃいませんか? お医者様はいらっしゃいませんか──?」 |
11月3日(日・祝) スポーツ社会学 |
つい先日、今年のプロ野球が全日程を終了しました。 しかし、思い違いをしてはいけません。まだ野球シーズンが終わったわけではないのです。いや、プロ野球はこれからシーズン・インすると言っても過言ではないでしょう。 そうです。かつての名選手たちによる夢の競演・プロ野球・マスターズリーグが今年も開催されるのです。 ──さてここで、「マスターズリーグなんて知らないよ」という方のために、若干の解説を行いましょう。 このプロ野球マスターズリーグは、高齢化社会に生きる年配者を励ます事や、野球界の底辺拡大を目指す事などを基本理念に定めて2001年に結成された、日本プロ野球のOB選手たちによる“OB戦ペナントレース”です。 ……どうですか、このプロ野球マスターズリーグ。野球に興味のある受講生の皆さんには、その魅力を感じ取って頂けたのではないでしょうか。 ──え? なるほど、その不安はごもっともです。 何しろ“往年の名選手”とは言え、40代後半から50代のOBが中心で、中には60代の“超OB”まで名を連ねる選手層でしたので、 また、シーズン開幕直前に新聞で紹介された、大阪ロマンズ所属となった某投手に、 そして、シーズンが開幕してからも、その不安は続きました。億単位の金が動いている大規模プロジェクトにも関わらず、監督・コーチ・選手の皆さんは同窓会気分でいらっしゃったために、プレイの実態も酷い有様だったのです。 これを見て駒木は、「あ〜あ、これじゃせっかくのマスターズリーグも企画倒れだ」…などと思ったものでした。 が、それは早とちりだったのです。 リーグ戦が進行するに連れ、参加している監督や選手たちの目の色が明らかに変わっていったのでした。やはり長年修羅場をくぐって来た勝負師たちの熱き血潮は、そう簡単に冷え固まるものではなかったのです。マスターズリーグが、一気に面白くなってゆきました。 まず、ベンチ内の雰囲気。明らかにガラが悪くなりました。 そしてそれから間もなくして、勝負に徹する余り、選手の起用方針からマスターズリーグの基本理念が忽然と消え去りました。 ……こうして、中年のオッサンたちが年甲斐も無く暴れまくる豪快な場となったマスターズリーグは、中盤から終盤にかけて大いに盛り上がりまくりました。 では、明後日の第2回講義に続きます。(次回へ続く) |
11月2日(土) 競馬学概論 |
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※ 第1回の講義の模様は、こちらをご覧下さい。 駒木:「さて、1ヶ月ぶりの講義だけど……。珠美ちゃん、“宿題”は済ませて来ただろうね? 『20世紀名馬グランプリ』の予想だよ」
珠美:「……だって、このメンバーでどうやって絞れって言うんですかー! 三冠馬が3頭もいますし、出走馬のG1勝ちを全部足したら63もあるんですよ。勝って当たり前の馬ばかりの競走なんて、予想できるはずありません!」
珠美:「……えーと、博士…」
駒木:「うわぁ、バラバラだ(笑)。ルドルフとブライアンが◎と○っていうのは共通してるけど、他は完全に意見が分かれちゃったね」 5─10、(7、13)、2、(15、3)、(1、8、11、12)、16、4、(6、9)─14 ……こんな感じかな。 |
11月1日(金) 歴史学(一般教養) |
※過去の講義のレジュメはこちら
さて今日は、最終的に古代オリエント世界を統一することになる、アケメネス朝ペルシア帝国(王国)の建国からそのオリエント統一までのお話をしてゆきたいと思います。 最近はあまり“ペルシア”という名前を使わなくなりましたが、この言葉は古代から現代に至るまで、現在のイラン地方を示す地名として使われていました。 この無名同然の地方政権が、東の中華帝国と並ぶ世界を代表する巨大国家にまで成長したきっかけを作ったのは、キュロス2世という王が歴史の表舞台に現れた時でありました。 古代ギリシアの歴史家・ヘロドトスの残した記録を信じるならば、キュロスは当時ペルシアの宗主国であったメディアの王家の血を引いているそうであります。以下、彼にまつわるエピソードについてしばらく時間を取ってお話しましょう。 それから10年の年月が経ちました。 ペルシア王となったキュロス2世は即位後から、因縁深き宗主国・メディア王国の打倒を画策し、着々と準備を重ねてゆきました。 そんなキュロス2世の30年に及ぶ治世は、戦いに次ぐ戦いで占められたようであります。主な国を滅ぼしたとはいえ、オリエントには未だペルシアを宗主国として認めない小国が多数存在していたのです。そしてまたその最期も、ペルシアに歯向かう遊牧民との戦争において、王自ら勇敢に戦った末の戦死と言われています。 キュロス2世が死んだ後は、既にバビロニアの太守として実地で帝王学を学んでいた長男・カンビュセスが即位してカンビュセス2世(在位:紀元前530〜522)となります。当時のペルシアでは長男には自分の父親の名を授けるという伝統があり、そのため、キュロス2世の父親の名を譲り受ける事になったのでありました。 さて、王弟の反乱という国家の一大事に、肝心の王を失ったペルシアは、これまでの安定した統治から一転、大混乱となりました。こういう時には血統よりも実力がモノを言う社会になるのは世の必定でありまして、この時も王座を手に入れたのは王弟・パルディヤではなく、先王カンビュセス2世から見れば曽祖父の弟の4代孫という遠縁にあったダレイオス1世(在位:紀元前522〜486)でありました。 そんなダレイオス1世の行った治績の中で最も有名なものが、王都スサ(現在のペルシア湾岸・イラン・イラク国境付近の都市)に鎮座するダレイオスに全ての権力が集約する、中央集権体制の確立であります。彼は、それ以前に栄えた大国であるアッシリアやメディアの制度を参考にしつつ、独自の支配を進めていったのであります。 ところで、ダレイオスの時代には、イラン地方発祥の宗教・ゾロアスター教の普及が進みました。 最後に、古代ペルシアの文字についても、少々のエピソードをお話しておきましょう。 ──このようにして、古代オリエント世界はアケメネス朝ペルシアの手によって完全統一が成されました。これにて古代オリエントの歴史は一応の終幕となります。 今回をもちまして、この「学校で教えたい世界史」は、しばらくのお休みを頂きます。今のところ、再開は11月の第4週辺りを予定しておりますが、詳しくはまたお伝え致します。なお、再開後のこの歴史学講義は、週1〜2度の実施にペースを落として実施する予定です。受講生の皆さんには御迷惑をおかけしますが、悪しからずご了承下さい。 |