「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
7/30(第23回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(7月第5週分)
7/27(第22回) 人文地理「駒木博士の東京旅行記04’冬 コミケ67サークル参加挑戦の旅」(9) 7/23(第21回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(7月第4週分) 7/14(第20回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(7月第3週分) 7/8(第19回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(7月第2週分) 7/2(第18回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」(6月第5週/7月第1週分) |
2005年度第23回講義 |
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大亜門さん、『いちご100%』真中ネタがギリギリで間に合って良かったですね、と言いたくなる7月末の「現代マンガ時評」をお送りします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新人賞の結果に関する情報
今回の受賞者の過去のキャリアについては、ネット検索で調査した限りでは目ぼしいものは見つかりませんでした。 ……普段から2ヶ月単位か1ヶ月単位かで大きく収穫の質と量が異なる「まんカレ」ですが、この5月期は特に大不作といったところでしょうか。ここまで入賞作品が少ないのは、かなり珍しい現象ですね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年34号☆ ◎新連載『太臓もて王サーガ』(作画:大亜門) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ欲を言えば、全体的にもう少し絵に動きがあれば、もっとハツラツとした雰囲気が出て良いんじゃないかと思います。動的表現自体は問題ないのですが、人物の動きがどれも小さいコマの中だけで完結してしまっているので、動感を実感し難くなっているんです。 ●ギャグについての所見 意地の悪い注文を出すならば、ややギャグの展開が一本調子・ワンパターン気味な感があるので、もう少しメリハリとトリッキーさを入れてもらいたい…といったところ。1回につき1箇所ぐらい“間”の取り方を極端にするとか、言葉に頼らないギャグも入れてみるとか、安定感だけでなく良い意味で読者の予想を裏切るような意外性があれば、随分と印象も変わって来ると思うのです。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の「チェックポイント」は『タカヤ』の連載10回評価見直しです。 ◎『タカヤ -閃武学園激闘伝-』(作画:坂本裕次郎) 掲載順的には“同期”3作品の中では最も好調ではありますが、内容的には低迷から抜け出せずにいるようです。 ……ただ、最近の「ジャンプ」は連載10〜20回前後からのテコ入れが実に上手いですから、とりあえず評価を据え置いて、あと10回は経過観察を続けたいと思います。 ☆「週刊少年サンデー」2005年35号☆ ◎新連載第3回『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志) ●絵についての所見(第1回時点からの推移) ●ストーリー&設定についての所見 ただ、これは物凄く贅沢な悩みなんですが、これまでの読み切り、短期集中連載、そして今シリーズの第1話が余りにも良く出来ていたため、少し内容のテンションを落とすと途端に薄味に感じてしまう自分がいます(笑)。また、第1話で、作品のテーマについて言いたい事を全部言っちゃったところもありますので、今後の盛り上げもかなり辛いだろうな……と心配してしまう面も。 ●現時点の評価 ◎(代原)読み切り『名犬ジョン』(作画:橋本時計店) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、ちょっと絵がマジメ過ぎるというか、ディフォルメやキャラ造詣のハジケっぷりが足りない気もします。今後、作風に応じてどれくらい“バカ”になれるかがカギに来るんじゃないでしょうか。 ●ギャグについての所見 しかしながら、まだ全体的に省ける無駄な部分が多過ぎるような気もします。1コマで収まりそうな所に2〜3コマ使ってみたり、ネタフリを長く引き伸ばし気味だったりと、いわゆる“ネタ繰り”が不徹底だったのではないでしょうか。 ●今回の評価 ◎読み切り『カミロボ誕生物語』(作画:あおやぎ孝夫) ●作者略歴(資料不足のため不完全な内容になってしまっています。ご了承下さい) ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ……まぁでも、一人っ子・一人遊び好きのプロレスファンとしては、このカミロボ・安居さんの気持ちはよく判るんですけどね(笑)。こういう内向的で緻密な趣味というのは、個人的には大好きです。 ──話がエラい逸れ方しましたが、まぁよく出来た作品です、とまとめておきましょう(笑)。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は『ブリザードアクセル』が20回のキリ番となりましたので、評価見直し簡易レビューです。 ◎『ブリザードアクセル』(作画:鈴木央) 数話前から主人公が全寮制の合宿に入り、一気に本格的なフィギュアスケート競技マンガへ発展しつつありますね。主人公の少年マンガ的熱血キャラを上手くシナリオと絡み合わせることで、自然に特訓エピソードへ誘導したのには唸らされました。 ……レビュー4本のゼミで、準備に時間を食ってしまいました。 |
2005年度第22回講義 |
◎前回までのレジュメはこちらから→ 第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/特別番外編/第6回/第7回/第8回 何とか夏コミの原稿も脱稿・入稿して、修羅場から生還して参りました。長時間椅子に座ったもんで、脱稿するまえに脱肛しそうになりました……などと、疲れのせいか、ギャグもいつにも増して冴えません。 ……とまぁこのように、名古屋場所の千代大海くらいの仕上がり具合ではありますが、本日から“夏旅行前巻き直しシリーズ”と銘打ちまして、半年以上積み残しになっておりました冬の旅行記を再開したいと思います。前回から2ヶ月ぶりとなりますね。 ……バックナンバーの閲覧は終わりましたでしょうか? では、今回のレポートへ参りましょう。文中においては文体は常体、人物名は現地で実際にお会いした方以外は原則敬称略とします。 「レビューを全部載せてたら、札束でも無いのに縦に直立する分厚さになってしまいます」 ……という至極真っ当な理由が出揃い、同人誌版「現代マンガ時評」は、当初の計画を改め、高評価をつけた作品のレビューを中心に、内容を厳選して収録する事に決定した。しかし、まだまだ問題は山積みである。まずどの程度まで内容を“厳選”するのか、という問題である。 全部載せてもダメ。厳選してもダメ。押してもダメ、引いてもダメ。ハメ殺しのドアと格闘している気分になって来た駒木であった。 ──どの作品を削ったか、ここでは敢えて名前を秘す。しかし、その作品がコミケ当日を過ぎた後、5ヶ月間も連載が続いてしまい、人知れず非常に気まずい思いをしていた事を告白しておく。 ……とまぁ、こうして紆余曲折ありながらも、原稿は何とかゴールへ向く順風を受けて進み始めた。 さて、どうにか原稿のメドが立ち始めた駒木にとって最後の関門が、印刷所の手配であった。何しろこっちは、本当に右も左も、無線綴じも中綴じも判らないズブの素人。野球で言えば「どうしてボールを打った後、左に走っちゃいけないのかしら」と全国ネットで疑問を吐露する黒柳徹子並の知識しか持っていなかったのだ。 こうして漸く、「同人誌発刊」という前に立ちはだかっていた障壁が全て消滅。入稿日直前には、コピーセンターと郵便局と自宅を右往左往するという初心者丸出しのてんてこ舞いも体験したが、それもご愛嬌。やたらとコミケ慣れしている郵便局員に、封筒の宛先を見るなり「『壊れ物注意』のシール張っておきますね」と言われて少々赤面させられながら、駒木の初陣はとりあえず幕を閉じたのである。 ──まるで『ONE PIECE』のような、やたらに長い回想シーンになってしまったが、こうして何とか発刊に漕ぎ着けた本の待つ、冬の東京ビッグサイトへ駒木は向かったのである。さて、次回からはいよいよ当日の模様をお伝えしよう。(次回へ続く) |
2005年度第21回講義 |
珠美ちゃんのレポートにもありましたが、今週は同人誌版「現代マンガ時評」の書き下ろし分を執筆しておりました。ウェブ上でならタダで閲覧出来るコンテンツだけで対価を頂くわけにはいきませんので、ささやかなプレミアというヤツですね。 ……なんかいきなり変な独り言ですいません(笑)。まぁたかが駒木の戯言ですんで、竹輪のように右から左へ抜かして下さい。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 まずお詫びから。先週の「サンデー」で掲載告知されていた『マリンハンター』(作画:大塚志郎=今週号掲載)を紹介するのを失念しておりました。申し訳ないです。 ◎先週、既に告知済みですが「週刊少年ジャンプ」では、次号(34号)より、『太臓もて王サーガ』(作画:大亜門)が新連載となります。大亜門さんはこれが『無敵鉄姫スピンちゃん』に続き2度目の連載。今回も短期打ち切りになると、今後の展望がかなり厳しいものになるはずですので、是非とも頑張ってもらいたいところです。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(35号)に『カミロボ誕生物語』(作画:あおやぎ孝夫)が掲載されます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年33号☆ ◎新連載『みえるひと』(作画:岩代俊明) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー&設定についての所見 ただ、そうやってミステリ要素を取っ払ってしまったため、ストーリーがやや単純で意外性の無いモノになってしまった事も否定出来ません。幸い、レヴェルの高い脚本・演出がこの弱点をフォローして、予定調和ながら鑑賞に耐え得るクオリティは維持出来ていると思うのですが、読み手の感情を揺さぶる場面や、意表を突くようなサプライズが見られなかったのは少々残念でした。これも今後へ向けての課題ですね。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は『カイン』が10回の区切りを迎えましたので、定例の評価見直しを実施します。 ◎『カイン』(作画:内水融) 第3回時点から更に下方修正。メジャー誌の連載作品としては落第点のレヴェルに転落です。 今週号から始まった新連載シリーズのタイミングが中途半端で、この作品も当面は打ち切りを逃れたようですが、今のままでは2クール目をクリアするのは難しいと言わざるを得ません。 ☆「週刊少年サンデー」2005年34号☆ ◎新連載第3回『あいこら』(作画:井上和郎)《第1回掲載時点での評価:B+》 ●絵についての所見 ●現時点での評価
(受講生の皆さんへ:この作品は評価Cとなりました。結果的に読み手の感情を損ねる論調のレビューになっている恐れがあります。この作品のレビューをご覧になるかどうかは皆さんでご判断下さい。) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、今作は紙質の問題以前に作画のレヴェルも低調でした。 更には、本来なら世界観や設定を象徴するように配慮しなければならない人物造型や衣装のデザイン、これについても全く無頓着なのも大きな減点材料です。「この世界観で、こういう理由があって、この世界の人間はこういう姿形をしている」とか、「この世界の環境がこうだから、機能的にこういう服装をしている」とかいったモノが全く感じられません。 それでも、まず指摘しないといけないのは脚本・演出でしょうね。とにかく徹頭徹尾説明的なセリフ・モノローグのオンパレード。登場人物のことごとくがご丁寧に細かい知識を持っていて、TPOに応じて台本でも読んだかのようにウンチクを披露。敵キャラは敵キャラで、戦闘中だというのに詳細な自戦解説を繰り広げる始末。また、先に指摘した単調な構図と動的表現の甘さが演出の足を引っ張って、映える場面も映えなくなってしまっています。 次に設定とストーリー。作品世界の背景から主人公の目的から、主人公が特殊能力を持った理由まで色々と並べてはみたものの、これらがストーリーの内容を全く無視して提示されているため、全くの蛇足になっています。 そして、アクション系作品の命綱と言うべき戦闘シーンもお粗末な限り。確かに個人の特性や必殺技を用意されてはいるのですが、根本的な部分では、駆け引きの全く無い、しかも秒殺決着のパワーゲームでは如何とも・・・・・・。 2年前、大塚さんが佳作入賞を果たした「まんカレ」の講評には「まんがのドラマはキャラクターが全て。設定や事件の目新しさに読者は感情移入してくれません」という旨の苦言がありました。この言葉を大塚さんが少しでも胸に刻み付けていれば、こんな酷い作品を発表する事も無かったでしょうに、本当に残念です。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ さて、今週にキリ番回数を迎えた連載作品は無いのですが、実は『兄踏んじゃった』の評価見直しを5週間ほど忘れておりました(汗)。 ……というわけで、連載25回時点の評価見直しです。 ◎『兄踏んじゃった』(作画:小笠原真) 実質0.5ランクの上方修正としました。個人的に笑えるかどうかと問われればキツいのですが、それでもツッコミの台詞回しなどに随分と工夫・改善の跡が見られるようになりました。 この作品については、今度こそこれで評価確定としておきます。今後はクオリティに大きな変化があった時のみ、この欄で採り上げることになるでしょう。
──というわけで、今週はこれまで。同人誌の入稿締め切りが27日必着なんで、それまではどうか何卒。 |
2005年度第20回講義 |
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たとえ日常で少々キツい事があっても、今週の『ジャガー』の、「借りてない借金」というフレーズに爆笑出来る内は多分大丈夫…と、自分を励ました駒木ハヤトです。鬱陶しい梅雨真っ只中、いかがお過ごしでしょうか。 さて今週は、レビューする方が手薬煉(てぐすね)引いて待ち構えていた『絶対可憐チルドレン』が登場です。駒木の中では連載前から今年度「コミックアワード」有力候補でしたが、長期連載版第1回もやはり素晴らしい出来でした。詳しくは後ほど。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(33号)より、夏の新連載シリーズが開幕します。前期の新連載がまだ連載10回に到達するかどうかという早いタイミングですが、昨年来、作品の新陳代謝が鈍っていた分を取り戻そうという方針なのでしょうか。 それはさておき、今回のシリーズで立ち上がる新連載は以下の2作品です。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎最終候補の泉昭典さん…04年12月期「十二傑」にも投稿歴あり。 今月の十二傑賞は、「ジャンプ」では珍しい宇宙冒険モノ。しかし、だからこそフレッシュな印象を審査した人たちに与えたのでしょうか。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年32号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週号の「ジャンプ」は、レビュー対象作がありません。ただし、『ムヒョ』が連載30回、『ネウロ』が連載20回の節目を迎えましたので評価見直しと簡易レビューを、そして、今週号で慌しく打ち切り最終回を迎えた『ユート』の連載総括を実施します。 ◎『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(作画:西義之) 形としては第10回でつけた評価に復帰ということにさせてもらいました。 ◎『魔人探偵脳噛ネウロ』(作画:松井優征) (果たして初めからそう考えていたのかどうかは別にして、)単行本1巻で作者から「(この作品は)推理物の皮を被った単純娯楽漫画」という公式コメントがあったそうです。そういうわけで、こちらもその前提条件に立って、根本的な所から評価の見直しを行いました。 評価すべき点・加点材料としては、まず何と言っても主役と主要脇役のキャラクターが、実に個性的でインパクトが強い…という事が挙げられます。ホラー・サスペンス的な要素を多く含みつつも、この作品が多くの人が親しみ易いユーモアに溢れたコメディとして成立しているのも、このキャラクターメイキングの妙が大きな要因として働いている事でしょう。 反対に減点材料としては、全般的なシナリオの弱さを指摘させてもらいます。「娯楽漫画」と銘打った割にこの作品のストーリーは、どうも読み手にカタルシスを与えたり、感情を揺さぶったりするようなエンターテインメント性に乏しいように思えるのです。端的に言えば「皮を被っ」ているだけの「推理物」の部分だけが強調され過ぎているというか……。 ……そういうわけで、今回の評価は弱含みのB+とさせてもらいました。かなり乱暴な意見ですが、「娯楽漫画」を追及するのならば、もういっそのことネウロ&弥子が凶悪な変態怪人と戦うバトル物にテコ入れした方が良いと思ったりもしています。 ◎『ユート』(作:ほったゆみ/画:河野慶) そしてこちらは残念ながら、最終回に伴う連載総括です。連載期間は2クール21回。原作者の過去の実績や、いわゆる“突き抜け”が見られなくなって久しい現在の「ジャンプ」としては、ほぼ最短コースの打ち切りと考えて良いでしょう。『ヒカルの碁』で、その実力を国内外に示し、輝かしい名声を勝ち取ったはずのほったゆみさんでしたが、思わぬ所で足元を掬われてしまった形となりました。 評価はB+としましたが、これは事実上の未完に終わった作品に、高い評価を与えるわけにはいかない…という配慮だと解釈して頂ければ。こんなブン投げ方をした作品としては破格の評価です。 ☆「週刊少年サンデー」2005年33号☆ ◎新連載『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志) ●作者略歴 ●絵についての所見 ただ、クオリティ云々とは別の所で、絵柄・画面の雰囲気全体に何とも言えない古臭さが感じられたのが気になりました。これは恐らく、作中で使用されている“マンガ的表現のための記号”が、『GS美神』時代のまま固まっているからなんでしょうね。 ●ストーリー&設定についての所見 ハッキリ言って、これほど隙の無い、完成度の高いマンガは、日本中のどの雑誌を探してみてもそうそうお目にかかれるモノではないでしょう。「少年サンデー」読者からの人気を集められるかどうか……という、“商品”としての課題は残されていますが、少なくとも“作品”としては文句の付け所がありません。素晴らしいマンガです。 ●現時点の評価 ◎新連載第3回『ネコなび』(作画:杉本ぺロ) ●絵についての所見 せめてこれでラスト1ページの実録マンガがしっかりしたギャグになっていれば良いのですが、これも現状は巻末コメントのマンガ化&企画の告知ページと化していて、宝ならぬページの持ち腐れ状態。残念ながら、この作品は早くも「1粒で2度不味い」という、末期的な状況に陥っていますね。 ●現時点での評価
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2005年度第19回講義 |
当講座としては、ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権関連の講義もしなければならない所ですが、とりあえずは優先順位順に仕事を済ませてゆく事にします。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎既報通り、「週刊少年サンデー」では、次号(33号)より、『絶対可憐チルドレン』(作画:椎名高志)が新連載となります。言うべき事は既に全て言ってしまいましたが、ともかくも2年がかりで連載まで漕ぎ着けたのですから、良い作品になる事を、そして商業的にも良い結果がもたらされる事を切に望みます。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年31号☆ ◎読み切り『未熟仙』(作画:栗山武史) ●作者略歴 ●絵についての所見 ●ストーリー・設定についての所見 ただ、今回に限って言えば、そうやって折角多くのエピソードを盛り込むだけの余地を作っておきながら、肝心のストーリーが随分と内容希薄に陥ってしまったのは大変残念でした。いわゆる起承転結で言えば“承”の部分が他愛も無い会話劇だけで終わってしまったため、何とも言えない間延び感漂う話になってしまった感がありましたね。 ●今回の評価 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は『ユート』が連載20回の区切りを迎えたのですが、「次号で連載終了」との未確認情報が流れていますので、とりあえず今週の評価見直しは中止し、次週のゼミで適切な処置を執りたいと考えています。 新連載の噂も流れてはいるんですが、どうやら先般の新連載シリーズと同様、「コミックアワード」受賞作家が登場して、間もなく伸び悩む…というジンクスが発動しそうな予感溢れるラインナップのようです。これも詳しくは次号辺りで公式発表があると思うので、注目して下さい。 ☆「週刊少年サンデー」2005年32号☆ ◎新連載『あいこら』(作画:井上和郎) ●作者略歴 ●絵についての所見 また、動的表現や背景処理、更に進行させたディフォルメ表現なども巧みで、一枚絵としての見栄えだけに留まらず、マンガの記号としての役割も十分に果たせています。欲を言えば老若・美醜の“老”と“醜”のコントラストを付けてもらいたいところですが、この作品にその要素は必要無いかも知れませんね。 ともかくも、およそ絵に限定して評価を下せば、現在の「サンデー」連載陣の中でも間違いなくトップクラスにランクされるハイクオリティと言えるでしょう。 次にストーリーに関して。主人公とヒロインを無理矢理同居させてしまう手法は、『りびんぐゲーム』以降の星里もちるさんのそれを想起させる、気持ちの良い強引さが感じられるものでした。ここでツッコミを入れると「何をマンガ相手に……」と言われてしまいそうな、思いっきりの良い非現実かつ理想的な設定が心地良いです。 ところで、この作品を否定する側からは「所詮は『ラブひな』のパクり」と一刀両断されているようですが、個人的には、そこまで単純に底の浅い作品ではないように思います。そもそも『ラブひな』が「サンデー」系ラブコメの「マガジン」移植なのですから、「逆輸入」と言うならまだしも、「パクり」というのは少々乱暴ではないでしょうか。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週で『クロスゲーム』が第10回を迎え……と言おうとしたら、何と第1部完。ここまでが単行本1巻分を費やした壮大なプロローグだった…ということのようです。 ──というわけで、第1部終了時点での評価見直しです。 ◎『クロスゲーム』(作画:あだち充) 「少々キズの多過ぎる佳作」ということで、こういう暫定評価をつけました。 ……そういうわけで、第2部開始以降のメインシナリオで挽回してくれる事を期待しつつ、現時点ではやや控えめの評価をつけさせてもらいました。 ──ということで、今週のゼミはここまで。来週は講義や執筆活動に専念出来ますので、何かしら成果を皆さんに披露したいと思います。今度こそ空振りには終わらせませんので、ご期待を。ではまた。 |
2005年度第18回講義 |
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今更ながら、5月と6月の講義回数の少なさに愕然としている駒木です。本当に、ここまで見限る事無く受講して下さっている皆さんに感謝&陳謝。 「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」関連の公式アナウンス情報 ★新連載&読み切りに関する情報 ◎「週刊少年ジャンプ」では、次号(31号)に、読み切り『未熟仙』(作画:栗山武史)が掲載されます。 ◎「週刊少年サンデー」では、次号(32号)より、『あいこら』(作画:井上和郎)が新連載となります。 ★新人賞の結果に関する情報
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ◎努力賞の高橋拓也さん…03年12月・04年1月期「まんカレ」であと一歩で賞。 ……今期の「まんカレ」は2ヶ月合同とあって、なかなかの豊作。当たり前ではありますが、1ヶ月単位の時と2ヶ月単位の時では明らかに投稿作の層が違いますね。 ※今週のレビュー&チェックポイント ※7段階評価の一覧表はこちらから。よくあるご質問とレビューにあたってのスタンスは04年1月14日付講義冒頭をご覧下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2005年30号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週は最終回もキリ番回数も無いので、チェックポイントは実質お休み。来週辺りからは色々と忙しくなりそうですが……。 ☆「週刊少年サンデー」2005年31号☆ ◎新連載『ネコなび』(作画:杉本ぺロ) ●作者略歴 ●絵についての所見 そういうわけで、総合的な評価としては「ギャグ作品としては軽く合格点以上」といったところ。これでもう少し華があるか、アクが強ければ申し分無いのですが……。 まず、実録風の方は、ネタの掘り下げ不足が否めませんでした。もっと現実を脚色出来る余地があったはずなのに、実在の人物に遠慮したのか照れなのか、せっかくの“美味しい”出来事をサラリと描き過ぎてしまったような気がします。桜玉吉さんの『漫玉日記』シリーズまで行ってしまうと、さすがに少年誌では過激でしょうが、それでももう少し人物の弄りようがあったのではないでしょうか。 次に4コマの方。こちらは先程以上に重症です。 今後、杉本さんがネコを飼う中で、飼い主ならではのネタを発掘出来れば、あるいは大化けも…とは思いますが、少なくとも現時点では「準備不足の見切り発車による交通事故」と結論付ける他ないようです。 ●現時点での評価 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週で『思春期刑事ミノル小林』が最終回。編集長の交代以来、微妙に扱いが悪くなって来ているな…と思ったら、今週の『ネコなび』と入れ替えという事になったようです。 ──今週は地味な内容に終始しましたが、とりあえずこんなところで。 |