「社会学講座」アーカイブ(演習《現代マンガ時評》・3)
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講義一覧
12/26 演習(ゼミ)「現代マンガ時評」
(12月第4週分) |
12月26日(木) 演習(ゼミ) |
いよいよ今年最後のゼミとなりました。 さて、今週は「週刊少年ジャンプ」が合併号休みのため、レビュー対象雑誌は「週刊少年サンデー」のみになります。 先週末、今年度「仁川経済大学コミックアワード」“2冠”に輝いた『アイシールド21』の単行本が発売されたんですが、ちょっと驚いた事にその売り上げが思ったほど伸びてないんですよね。同日発売になった「ジャンプ」4作品の中では最下位で、アニメが始まって絶好調の『NARUTO』はともかく、『BLEACH』とか『Mr.FULLSWING』にも結構な水を開けられる“惨敗”だったり。 ……と、間口の狭い話でお茶を濁したところで(笑)、ボチボチ今週のレビューへ行きましょうか。
☆「週刊少年サンデー」2003年4・5合併号☆ ◎新連載第3回『ワイルドライフ』(作画:藤崎聖人)【第1回掲載時の評価:B】 前回のレビューの後、たった2話で随分とストーリーが進展しました。この、ネタを出し惜しみしないテンポの良さは評価できる内容でしょう。今のところ、このテンポがこの作品の生命線になっているのではないかと思います。 話の中身そのものは、良く言えば破天荒でダイナミックな、悪く言えば相変わらずご都合主義でリアリティに欠けるものになっています。もう少し具体的に言えば、主人公が大した苦労も無く、絶対音感能力と前向きな性格だけで困難を潜り抜けていく……というスタイルですね。 とりあえず現時点での課題は、もう少し獣医学の専門的な部分に踏み込んだエピソード(例えば困難な外科手術を1人でやらなくちゃいけない…など)を用意して、話全体に深みを持たせる事でしょうね。主人公の絶対音感を活かした話ばかりで攻めまくっても、あっという間に読者に飽きられてしまうと思います。 さて評価ですが、今回もB評価のまま据え置きとします。但し、ワンパターンがこの後何週間も続くようであれば、“チェックポイント”で再評価を下したいと思います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『MAJOR』(作画:満田拓也)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 むー、今週は“『プロゴルファー猿』方式”の極致ですなぁ……。あんな展開で聖秀が勝って、それでハッピーエンドになり切れるんでしょうかねぇ? ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【第3話掲載時の評価:B+/雑感】 うひー、サンデーの許容範囲ギリギリのお色気全開ですなー。しかも美鳥じゃなくてお姉さん出してくる変化球が心憎い(笑)。 ◎『モンキーターン』(作画:河合克敏)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 んー、ナニゲに澄ってスタイル良いんだよなー(どこ見てんだ)。 《その他、今週の注目作》 ◎『最強伝説黒沢』(作画:福本伸行/「ビッグコミックオリジナル」03年1号) メジャー誌では『カイジ』などで、そして「近代麻雀」系列誌では『アカギ』や『天』などでコンスタントにヒットを飛ばしている福本伸行さんが、今度はビジネスマン向の「ビッグコミックオリジナル」に登場です。 この主人公の黒沢、道路工事会社で平の現場監督を務める44歳の男なんですが、未だ独身で身寄りも無くてプライベートで親しい人間もいない“齢男(=『としお』と読む、作者による造語)”。 今回はプロローグ的な話で、(これから“最強伝説”を築いていく事になるであろう)黒沢の生活の空虚さを物凄く具体的に描写する回だったんですが、その描写がいちいち鋭くて参ってしまいます。 しかし、この作品の一番凄い点は、ここまでミもフタもない内容を描いておきながら、恐らく大部分の読者に「次回が早く読みたい」と思わせてしまう所にあります。酷い事を書いてるのに、嫌味がほとんど感じられないんですよね。 まだ今回はプロローグ段階ですし、今後は福本作品特有の極端な間延びも予想されるだけに心配もあるのですが、とにかくこの第1回は素晴らしいの一言でした。
……と、いったところで今年最後のゼミも終わりです。来年は第2週、1月9日からの再開となりますが、どうぞ宜しく。 |
12月19日(木) 演習(ゼミ) |
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「M−1」×「コミケ」問題も解決に近付き、ようやく平常業務に専念できそうです。色々な意味でホッと一息といったところですね。 さて、そんな中で今週の現代マンガ時評です。 ビジターの皆さんのためにこの講義の内容について紹介しますと、このゼミは毎週木曜日に実施し、その週発売の「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年サンデー」の2誌を中心に、新連載や読み切りの作品に対してレビューを行うというものです。また、それに付随する形で、「ジャンプ」、「サンデー」関連の情報や、“チェックポイント”なる雑感中心のコーナーも設けています。 では、今日も情報系の話題からまいりましょう。
同時期に「新人コミック大賞」があったとはいえ、2ヶ月合算でこの結果というのは、やや低調と言うべきでしょうか。 「サンデー」と言えば、どうやら『金色のガッシュ
!!』(作画:雷句誠)のアニメ化が内定した模様です。次号の“重大発表”で詳報がリリースされるようなので、ファンの方は特に注目ですね。 一方、「週刊少年ジャンプ」では、次号(5号)から前・後編の読み切り・『はじめ』(作:乙一/画:小畑健)が掲載されます。「ジャンプノベル」出身の売れっ子小説家・乙一さんと『ヒカ碁』の小畑健さんによる強力タッグと言う事で、これは注目と言えるでしょう。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年3.4合併号☆ ◎新連載第3回『グラナダ─究極科学特捜隊─』(作画:いとうみきお)【第1回掲載時の評価:B−】 「ジャンプ」では打ち切りか否かを占うターニング・ポイントとなる第3回時点でのレビューですが……。 まだこの時点においてでも、第1回で指摘した、読者に感情移入させる力の不足が未だ響いているような気がします。 また、主人公に与えられている分子を分解する力(というか、超科学アイテム)が余りにも便利すぎて、立ち塞がる障害が全て呆気なくクリアしてしまうのも問題と言えます。簡単に言うと、ストーリーのヤマ場が全く作れないんです。
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『テニスの王子様』(作画:許斐剛)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 許斐さんの話作りって、とにかく強調するべき所を極端なまでに強調するんですよね。だから、あまり複雑な話に慣れていない小学生くらいにはメチャクチャ分かり易いんでしょう。
一応これで修行編は終了ですかね。まぁ、間延びさせないためにはこの辺りが限界でしょう。 ◎『ピューと吹く! ジャガー』(作画:うすた京介)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感+α】 赤塚賞の受賞者さんが運営するウェブサイトで書かれていたんですが、この作品の担当さん(=受賞者さんの担当)が、「最近はハマーをオチに使いすぎたので、しばらくはジャガーとピヨ彦中心で行く」…と言っていたそうです。結構バランス考えてるんですねぇ。
☆「週刊少年サンデー」2003年2号☆ ◎新連載(短期集中)『少年サンダー』(作画:片山ユキオ) 今週から「サンデー」お得意の短期集中連載がスタートしました。人気次第で「打ち切り」、「増刊へ左遷」、「本誌で本格連載」…と運命が分かれていくシビアなプレゼンテーション企画です。 ……では、作品の内容を観ていきましょう。まず絵柄ですが、これは「サンデー」のギャグ作家さんの中では達者な方ではないかと思われます。色々なパターンの描き分けも出来るようですし、ギャグマンガを展開させていく上では十分な力があるでしょう。 しかし肝心のギャグの方は、“手数”こそ多いのですが、そのことごとくにおいてインパクトが弱いような気がしてなりません。典型的なボケ・ツッコミからシュール系のギャグまで、こちらも色々なパターンのギャグを披露していて、テクニシャンぶりは窺えるのですが、そこで止まってしまっています。 第1回を見た時点での評価はB−といったところ。ミもフタもない言い方ですが、雷句誠さんや井上和郎さんと同門なのに、どうしてここまでギャグ技術に差が出てしまうのか、不思議でなりません。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 す、凄いっスね、12人の刺客……(笑)。 ◎『KATSU!』(作画:あだち充)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 えーと、ボクシングシーン、どっちがどっちだかメチャクチャ区別がつき難いんですが……(汗)。なんだか、『A・O・N』を髣髴とさせる分かり難さですね。ボクシングって同じような体格の選手同士の試合になるんで、これからも大変そうだなぁ……。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)【第3回時点での評価:A−/雑感】 ふ、藤原痛そう……(脂汗)。だってタマの裏ですよ、タマの裏! 女の子にはワカランのだろうなあ、あの痛みは(苦笑)。 ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【第13回掲載時の評価:B−/雑感】 ついに掲載順が“打ち切り権利獲得”の最後尾まで転落。やっぱり人気が無いんでしょうねぇ。
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12月12日(木) 演習(ゼミ) |
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いよいよ今年も押し迫って参りました。出版業界では「年末進行」という最凶の四字熟語がしきりに飛び交う中の「現代マンガ時評」です。 ──まぁ、不景気な話はそれくらいにしまして、早速講義に移りたいと思います。 まずは情報系の話題から。
このゼミが開講して1年経ちますが、「天下一」では初めての受賞者ゼロという結果になりました。 情報の2点目。新連載の情報です。 ……と、情報は以上という事で、今週もレビューと“チェックポイント”に移りたいと思います。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年2号☆ ◎新連載『TATTOO HEARTS』(作画:加治佐修) 「ジャンプ」の新連載シリーズ第2弾は、加治佐修さんの初めての連載作品・『TATTOO
HEARTS』です。 それでは、中身についてお話してゆきましょう。 次にストーリーなどについてですが、これも長編作品の新連載第1話としては、かなりのレヴェルに達している出来と言えそうです。 つまり課題は、これからどうやって加治佐さんの独自色を出していけるか…という所にあるわけです。あと1〜2回の内にオリジナリティが醸し出されるようになれば、その時がヒット作へのゴーサインが出る瞬間だと思います。
チェックポイントで扱う作品は、なるべく固定しないように気をつけてはいるんですが、「嫌事は極力書かない」方針を守ると、どうしても候補が絞られちゃうんですよね。どうか、ご理解下さいませ。 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【第12回掲載時の評価:A/雑感】 教室のTVの横に書かれたサインに「ムサシ」という名前が……。これ、伏線ですよね。またとんでもない所に張るなぁ…。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 これを読んだ全国の男子中学生たちが、自室で1人悶え苦しんでいる様子が容易に想像出来ます(笑)。 ◎『Ultra Red』(作画:鈴木央)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 気がついたら、話がもう何かまとめに入ってますね(笑)。まるで短期集中連載の様相を呈して来ました。
☆「週刊少年サンデー」2003年2号☆ ◎新連載『ワイルドライフ』(作画:藤崎聖人) 「サンデー」の新連載シリーズ第1弾は、藤崎聖人さんの獣医マンガ『ワイルドライフ』です。 それでは作品のレビューに移りましょう。 そしてストーリー面ですが、まずは絶対音感と獣医の才能を結びつけるという発想はオリジナリティがあって良いんじゃないかと思います。ひょっとするとリアリティから言えば無理があるのかも知れませんが、この設定を話の中で説得力を持たせることには成功しています。 次回からは、主人公が本格的に獣医としての活動をするエピソードが始まるようですが、これがどうなってゆくのか、今しばらく様子を窺いたいと思います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【第3話掲載時の評価:B+/雑感及び作品の再評価】 急展開かと思ったら、主人公の恋愛感情を確定させるためのハプニング作りだったわけですね。上手い“小技”使いますねぇ。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)【第3話掲載時の評価:A−/作品の総括】 結局、前半の大ダレが響いて、29話で打ち切りとなりました。最近の「サンデー」は打ち切り決定までの判断が早いのか遅いのかよく分かりませんね(苦笑)。
……というわけで、今回は以上。また来週をお楽しみに。 |
12月5日(木) 演習(ゼミ) |
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「仁川経済大学コミックアワード」も終わり、今週から心機一転のリスタートです。物理的な事情で、以前ほどレビュー対象作を確保できていませんが、その分はクオリティでフォローしたいと思います。どうぞよろしく。 さて、今週から「週刊少年ジャンプ」の新春新連載シリーズが始まりましたが、開幕週ということもあって、レビュー対象作は1本のみ。“チェックポイント”と情報系の話題が中心となりそうです。来週からは嬉しい悲鳴を上げそうなくらい、レビュー本数が増えそうなんですけどね。 ではまず、情報系の話題から。先週の手塚・赤塚賞に続き、今週は小学館系の主要マンガ新人賞・「新人コミック大賞」の結果発表がありました。5部門が一斉に発表されていますが、ここでは当ゼミに関わりの深い少年部門(「週刊少年サンデー」系)の受賞作・受賞者のみを紹介しておきたいと思います。
入選の西森さんは、「まんがカレッジ」01年12月・02年1月期で努力賞を受賞していますね。1年がかりで“出世”を果たしました。 ……さて、そんな「週刊少年サンデー」では、来週から新たに連載が開始されるマンガが登場します。新連載作品のタイトルは『WILD LIFE』(作画:藤崎聖人)。作者の藤崎さんは以前別雑誌で連載経験のある若手〜中堅にあたる作家さんで、約半年前に「サンデー」本誌で前・後編読み切り『ガクの詩』を発表しています。 ……では、そろそろレビューと“チェックポイント”に移りましょう。今週のレビュー対象作は、「ジャンプ」から新連載1本のみとなります。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年1号☆ ◎新連載『グラナダ─究極科学特捜隊─』(作画:いとうみきお) 「週刊少年ジャンプ」の“新春”新連載シリーズ第1弾は、『ノルマンディーひみつ倶楽部』のいとうみきおさんの連載復帰作『グラナダ─究極科学特捜隊─』です。 では、内容についてお話をしてゆきますが、まず、細かい指摘をする前に作品全体を通しての話をさせてもらいますと── それでは例によって絵柄についてのチェックから。 そしてストーリー面においてでも、全体的には技巧や趣向が凝らされていて悪くは無いのですが、決定的な失敗が幾つか見られます。 まず、第1話のストーリーは、読み切りの内容をベースに新設定を加えたものだったのですが、どうもその新・旧設定の相性が良くないようです。 また、読者に与えるべき情報が充分に与えられていないというのも大問題でしょう。物語、特にマンガでは、ミステリ物などで無い限りは、“少し鋭い人には先が読める”くらいの情報を与えておかないと、理解してもらいたい部分すら理解してもらえない可能性が高くなるのです。 話作りが上手い作家さんだと、このあたりは適当でもっともらしい些細な設定を散りばめて煙に巻いてしまうんですが、どうもいとうさんは生真面目すぎるのか、これが全く苦手なんですよね。勿体無い話です。 とりあえず、第3回まで様子を見て最終判断を下しますが、これは下手をすると“突き抜け”て(1クールで打ち切り)しまうかなぁ…という感が否めません。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『テニスの王子様』(作画:許斐剛)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 先週からの番外編なんですが、編集・作家さんとも普段よりもノリノリのような気がしてならないんですが(笑)。 ◎『遊☆戯☆王』(作画:高橋和希)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感・その他】 プロレスマンガが終わった週に、かつてプロレスマンガで“突き抜け”を体験した作家さんの作品を採り上げるのも因縁深い話ですが……(苦笑)。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 新ヒロインは年下の幼馴染! なんてベタな(笑)。 ◎『A・O・N』(作画:道元宗紀)【第3回掲載時の評価:B−/作品全体の総括】 ジャスト10回で打ち切り。これで道元さんは3連載3打ち切りというわけで、「少年ジャンプ」追放が確定しました。
……各地で賛否両論のコメントですが、これ、自分自身の不甲斐なさを責めているものなのであれば、「そこまで言うんなら、絶対負けるなよ。頑張れ!」と激励の言葉を送りたい気分ではあります。勿論、各方面への愚痴だったら論外ですが。 しかし冷静に見て、道元さんがこの後リベンジを果たすためには、修正すべき点は山積していると指摘しなければならないと思います。 ……とにかく、ああいうコメント書いた以上は、意地でもブレイクして欲しいと素直に思います。マンガ家という仕事は、本人が辞めたと言わない限りは辞めさせられる事は無いわけですしね。
☆「週刊少年サンデー」2003年1号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『焼きたて !! ジャぱん』(作画:橋口たかし)【現時点での評価:B/雑感】 すいません、トグロ巻いた“踊るフランスパン”がウ○コに見えて仕方ないんですが(爆)。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)【第3話掲載時の評価:B+/雑感】 相変わらずベタな話ばかり続くなぁ…と思っていたら、突然の急展開! ◎『旋風の橘』(作画:猪熊しのぶ)【現時点での評価:C/雑感】 最終回です。言いたい事は『コミックアワード』の時に全部言っちゃったんですが、つくづく「いくら『連載やろう』と言われても、好きでもないテーマで見切り発車すると計り知れない損害を喰らう」という事を痛感させられた作品でした。でも、連載していいと言われて連載しないマンガ家っていないだろうしなぁ……。 |
11月28日(木) 演習(ゼミ) |
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どうやら、「ジャンプ」だけでなく「サンデー」も打ち切り作品が決定したと思われる微妙な時期にお送りする(笑)、今週の「現代マンガ時評」です。 今週はレビュー対象作品が本来1作品だけだったんですが、受講生さんからのリクエストにお応えする形で、急遽もう1作品レビューする事となりました。ですので今週は2本のレビューと“今週のチェックポイント”という構成でお送りする事になります。 さて、今週は情報系の話題が多くありますので、早速そちらから紹介したいと思います。 まず初めの話題は、「少年ジャンプ」系の新人マンガ賞・「手塚賞」「赤塚賞」の02年下期分結果発表がありましたので、受賞者&受賞作を紹介しておきましょう。
ざっと調査して判明した受賞者の過去の受賞歴は以下の通り。他に受賞歴を発見された方がいらっしゃれば、ご指摘ください。 ……応募総数は昨年の下期とほぼ同じ。そして手塚賞の入賞作品の数もほぼ同じなのですが、赤塚賞の方は最終候補作品からして5作品のみという低調に終わってしまったようです。 さて、次に「ジャンプ」と「サンデー」の連載打ち切り&新連載の情報を。 では「週刊少年ジャンプ」から。「ジャンプ」では来週号(03年1号)から冬季の新連載シリーズが始まります。今回のシリーズも新連載は2作品とやや少なめで、現在の「ジャンプ」における打ち切り候補作の少なさと、新連載を立ち上げるに足る人材の不足ぶりを象徴する形になっています。
……というわけで、個人的な感想を挟みすぎて長くなりましたが、以上が今回提供させてもらった情報でした。 では、3週間ぶりのレビューへ。今週は「ジャンプ」から代原読み切り1本、そして受講生さんのリクエストに応じる形で、「少年サンデー超増刊」12月号から、新人さんの読み切りを1本、都合計2本レビューすることになります。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年52号☆ ◎読み切り『怨霊英雄物語』(作画:新井たみ重) 今週は『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)が休載のため、代原が掲載されました。どうも最近、鈴木さんの体調が優れないようですので、ひょっとしたらこれからも頻繁にこういう事があるかも知れません。 さて、この作品ですが、「天下一漫画賞」02年7月期最終候補作の同題名作品のようですね。ペンネームが変わってますが、これはたまにある事なので、まぁ同一人物でしょう。新井さんはまだ19歳。これから力をつけていく途中の新人さんというわけですね。まぁ、これを励みにして頑張って頂きたいものです。 では早速レビューへと移りましょう。 まず絵柄からですが、キャリアがゼロに近い新人ギャグ作家さんにしては頑張っている方ではないでしょうか。技術的なレヴェル云々は別の話になりますが、背景や機械類の描き込みもそれなりに出来ていますし、色々なタッチの絵を描いてみようとする向上心のようなものが窺えます。ジャーマン・スープレックスのシーンなんかは、下手なプロレスマンガよりも上手く描けているくらいです。 次にギャグについて述べてゆきましょう。 この他、細かい所で気になったのが15ページ最終コマと16ページ1コマ目の繋がりです。ここでのギャグはページをめくらせてしまうと、それが妙な間になってしまうのでギャグの威力が半減してしまうのです。 ……というわけで、何よりも意欲と向上心が感じられる清々しい習作原稿でした。しかし、プロのギャグ作家を目指すならば、もっとギャグの“打率”を上げる努力をしないと、一線級には届かないで終わってしまうでしょう。ギャグ作家のギャグマンガとは、読者を笑わせ“なければならない“マンガなのですからね。 では、次に「ジャンプ」の“今週のチェックポイント“を。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【第12回掲載時の評価:A/雑感】 いやー、最後の3、4ページはゾクゾクしました。久しぶりに「うわ〜、こりゃヤラれたなぁ」って気分にさせられましたね。 ◎『シャーマンキング』(作画:武井宏之)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感及び個人的見解】 これは最近の『NARUTO』(作画:岸本斉史)にも思う事なんですが、ストーリーの進行とバトルを同時並行させると、テンポが極端に鈍くなって良くないように感じてしまうんですが、皆さんはどう思われますか? ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 まぁ10代の内はまだワカランのですよ。男は気持ち次第で、同時に複数の女性を愛する事が簡単に出来るということを(笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2002年52号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『MAJOR』(作画:満田拓也)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 このマンガって、ナニゲに“『プロゴルファー猿』方式”が採用されてるんですよねぇ。主人公側に理不尽なまでの幸運と奇跡が舞い込むってパターン。まぁ、そうでもしないと勝てない力量差ですから仕方ないんですが、問題はそれをどう読者に悟らせないかでしょうね。 ◎『ふぁいとの暁』(作画:あおやぎ孝夫)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 な、なんか凄くあざとい展開なんですが(苦笑)。これって、21世紀の少年マンガで合ってますよね?(苦笑) ◎『かってに改蔵』(作画:久米田康治)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 「ここがあなたの終着駅ですか?」
◎読み切り『サブ・ヒューマンレース』(作画:小澤淳/少年サンデー超増刊02年12月号掲載) さて、今日2本目のレビューです。 では、時間も詰まってますし、早速レビューの方に。 まずこの作品の細かい点を語る前に言っておかなくてはならないのは、「この作品は凄いパワーを秘めている」ということです。とにかく読者の目を次のコマへ、次のページへと引き込んで行くのです。これはコマ割りの構成力と演出力、それと言語感覚がずば抜けているからでしょう。 ではまず絵から。 次にストーリー関連について。 まず、シナリオ及び設定の構築やその説明を、必要最低限なものに抑えてクオリティを高め、限られたページを最大限に利用しようというスタンスが非常に好感が持てますね。 ただし、深く読み込んで行くと、まだ改善するべき点も残っています。 ……とまぁ問題点もありますが、デビュー作としては間違いなく高水準にあると言っていいでしょう。絵の不味さを減点材料としても、A−寄りのB+は進呈しても良いと思います。これからの活躍に期待しましょう。 ──というわけで、今週のゼミは以上です。今週末は1周年記念式典で「仁川経済大学コミックアワード」もありますので、是非ご来場下さいますよう、よろしくお願いします。 |
11月21日(木) 演習(ゼミ) |
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さて、今週もゼミの始まり…なんですが……。 ──ところで。
お分かり頂けましたか?(苦笑) ただし、また別の批判である、「駒木のレビューは感情が入り過ぎてる」というもの対しては、反省すべき点も有るかな…と思っています。 ……さて、それではまず情報系の話題を少し。 今週は「週刊少年ジャンプ」系の長編ストーリー作家新人賞・「ストーリーキング」の結果発表がありましたので、受賞者と受賞作を紹介します。
マンガ部門準キングの中島さんは、01年11月期の「天下一漫画賞」で最終候補まで残っていました。その後の努力が実を結んだ形ですね。 今回の「ストーリーキング」は全体的に不作だったようですが、それでも『ヒカルの碁』に続く『アイシールド21』の成功で編集部も勢いづいたのか、次回から「ストーリーキング」は年2回開催になるそうです。「ジャンプ」は本腰で原作者の発掘と育成に力を入れているみたいですね。 ……それでは、今週の「週刊少年ジャンプ」チェックポイントに行ってみましょう。
☆「週刊少年ジャンプ」2002年50号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【第12回掲載時の評価:A/雑感】 先週は桜庭について述べたんですが、今週はやっぱりヒル魔ですよねぇ。「悪いヤツなんだけど情は人並以上にある」って性格が完全に固まりました。しかし、どうしてそこまで絶妙なキャラ設定が出来るのか、稲垣さん。読みきり版の頃とは雲泥の差です。 ◎『A・O・N』(作画:道元宗紀)【第3回掲載時の評価:B−/雑感】 露華の必殺飛び技、どう考えてもイヤミの「シェー!」なんですけど(苦笑)。多分、卍形ってことなんだろうなぁ……。 ◎『SWORD BREAKER』(作画:梅澤春人)【第3回掲載時の評価:B−/雑感】 そして、こちらは一足先にデストロ〜イと(苦笑)。
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11月14日(木) 演習(ゼミ) |
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困った事に、今週はレビュー対象作が無くなってしまいました。これまでは必ず「ジャンプ」の代原レビューや、他誌の注目作をレビューをお送りして来たのですが、今週はそれも果たせませんでした。申し訳有りません。 では、まず情報系の話題から。今週は「週刊少年ジャンプ」系の新人月例賞・「天下一漫画賞」9月期の結果発表がありましたので、受賞者及び受賞作を紹介しておきましょう。今月は、デビュー確定となる佳作受賞作が出ていますので、いつにも増して要注目ですね。
19歳という若さ&地方在住のルーキーながら画力抜群という、まさに才能の塊のような“期待の新鋭”が登場したようですね。 さて、今日は「週刊少年ジャンプ」系の原作者新人賞新設のニュースもお送りしておきましょう。 では、情報はこれくらいにしまして、先に“今週のチェックポイント”をお送りしましょう。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年49号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【第12回掲載時の評価:A/作品の再評価】 ストーリー面は相変わらず高水準をキープ出来ていますね。特にキャラクター能力の設定が厳格に守られているため、試合展開がとても自然に流れているのが印象的です。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【第3回掲載時の評価:B/作品の再評価】 ここまでで連載ほぼ半年ですね。 ◎『SWORD BREAKER』(作画:梅澤春人)【第3回掲載時の評価:B−/雑感】 もはや、打ち切りが確定したのは間違いないでしょう。話が一気に“まとめ”に入っています。
☆「週刊少年サンデー」2002年50,51合併号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)【開講前に連載開始のため、評価未了/雑感】 ハイスパートの格闘シーンが熱いですなぁ。 ◎『焼きたて !! ジャぱん』(作画:橋口たかし)【第3回掲載時の評価:保留/作品の再評価】 ずっと評価を保留にして来ましたが、ここで一応の判断を下しておきたいと思います。 まず評価すべき点は、卓越した画力と見せ場シーンの演出力ですね。連載開始当初のレビューでは「あまりにもアニメ版『ミスター味っ子』に酷似している」と苦言を呈しましたが、それでもそれをキチンとやれる実力は認めなくてはならないでしょう。 ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【第3回掲載時の評価:B+/作品の再評価】 今回で連載も13回目なんですが、ますます作品のクオリティが深刻になってしまっています。 とにかく作者サイドから読者に与えられる情報が極端に少ないのが大問題です。未だに主人公たちの具体的な目標や、とりあえず為すべき事がハッキリしてませんから、読者側がどの辺りにピントを合わせて読み込んでいけばいいのか判らないのです。作者と読者の意識の齟齬が激しいんですね。誤解を恐れず端的に表現すれば、この作品は“作家の独り善がりの塊”なのですよ。 評価は一気にB−まで落とします。ちょっと挽回が難しくなって来た印象ですが、果たして……。 ◎『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ)【第3回掲載時の評価:A−/作品の再評価】 ようやくストーリーが大きく動き出しましたが、キャンプ編は“暴れんボール”が出て来る辺りまでの展開が冗長に過ぎた気がします。別のチームのキャンプに武者修行するエピソードがありましたが、これは無かった方がスッキリしましたね。連載当初のレビューで「途中でテンポが遅くならなければ……」と言ったんですが、モロに危惧が的中してしまいました。 ◎『旋風の橘』(作画:猪熊しのぶ)【第3回掲載時の評価:B/作品の再評価】 ハッキリ言って、この作品はもう死に体です。 評価はもはやCの段階まで落として良いと思います。もうここは潔く幕を引くのが、猪熊さんの将来から考えても得策だと思うのですが……。
それでは続きまして、当講座の開講1周年記念イベントで実施します、「仁川経済大学コミックアワード」のノミネート作品発表に移ります。 では、まず各賞の紹介を。今回は以下の賞を用意しました。 ◎仁川経済大学賞(グランプリ) 当ゼミは「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年サンデー」の作品を中心にレビュー活動を行っていますので、どうしても両誌に掲載された作品を対象とする賞が多くなりますが、ご理解下さい。両誌以外の作品をほとんど扱っていないのに、オールカマーの賞を濫発するのは筋違いだと思いますので……。 というわけで、これから各賞のノミネート作品を発表します。 ◎仁川経済大学賞(グランプリ)◎ この賞は“グランプリ”という名の通り、この1年の間に当ゼミでレビューした作品の中で最も優秀な作品に送られる賞です。 ※ノミネート作品一覧※ ●(ジャンプ&サンデー・最優秀長編作品賞受賞作)
この賞は、「週刊少年ジャンプ」系と「週刊少年サンデー」系の雑誌で長編連載された作品を対象にしたものです。 ※ノミネート作品一覧※ ●『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)
こちらは「ジャンプ」、「サンデー」系雑誌に掲載された読み切り作品、または短期集中連載作品が対象です。ノミネート基準は長編作品賞と同じく評価A−以上です。 ※ノミネート作品一覧※ ●『ヒカルの碁・番外編(奈瀬明日美)』(作:ほったゆみ/画:小畑健)
この賞は、「ジャンプ」や「サンデー」の本誌や増刊で連載経験の無い作家さんの発表した、読み切り作品または初連載作品が対象になります(注:他誌で連載経験があっても有資格とします)。ノミネート資格はこれまでと同様にA−以上です。 ※ノミネート作品一覧※ ●『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)
映画のアカデミー賞に対するゴールデンラズベリー賞をモチーフにした、最悪な作品を表彰する賞です。対象作はレビュー対象にした全作品で、あらゆる意味において“最悪”(not最低)な作品を選出します。ノミネート基準は駒木の独断です(笑)。 ※ノミネート作品一覧※ ●『しゅるるるシュールマン』(作画:クボヒデキ)
では、今週のゼミを終わります。 |
11月7日(木) 演習(ゼミ) |
今週も(恐らく来週も)“新連載の谷間”が続行中です。今週あたりは、他の雑誌からも注目作のレビューをしようかとも思ったのですが、「ジャンプ」と「サンデー」以外の雑誌でレビューする作品に関しては、今のところ原則的に自信を持って皆さんにお薦めできる作品に限定していますので、なかなか該当作が見当たらないんですよね(苦笑)。 とりあえず今週は体調的に切羽詰ってる事もありますので、レビュー1本と“チェックポイント”のみということにさせて頂いて、来週には1周年記念イベントの「第1回仁川経済大学コミックアワード」のノミネート作品発表でもやろうかなと考えてます。 それと、時間割表を詳しくチェックされている方はもうお気付きでしょうが、来週の月曜日付講義(火曜未明実施分)から、第2回「世界漫画愛読者大賞」の事前特集を開始します。週1回か2週間に1回くらいのペースで最終審査開始まで追いかけていこうと思っております。 では、今週は情報らしい情報もありませんし、早速レビューと“チェックポイント”の方へ移りたいと思います。
◎読み切り『碼衣の大冒険』(作画:イワタヒロノブ) 今週は『BLACK CAT』と『ピューと吹く! ジャガー』が取材休載で、その代わりに若手作家さんの中編読み切りが掲載されました。 ではまず絵柄の評価から。 一言で表しますと、下手な上に雑という惨憺たる状況です。 まず、線が安定していません。人の顔アップですら、コマやページごとにデッサンが狂いまくっていて、プロの絵とは到底思えません。素人の高校生でももっと上手い人が一杯います。 まぁそれでもストーリーが良ければ構わないんですが、こちらの方も情けない程グダグダで、最早手の施しようがありません。 まず、イワタさんの創作に対する基本的な姿勢が端的に表われている部分として、キャラクターのネーミングが挙げられます。 そして、シナリオ本編の方もメチャクチャです。 最後にもう1点、根本的な失策としては、ギャグとコメディの区別が全く出来ていないという事。シナリオ的にはギャグというよりコメディなんですが、実際は作品の世界観を歪める情けないギャグのオンパレード。もうこれではどうしようもありません。お手上げです。 …しかし、本当によくこんな作品が本誌のセンターを飾ったものだと思います。プラスの意味で評価出来るポイントが全くありません。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『SWORD BREAKER』(作画:梅澤春人)《第3回掲載時の評価:B−》 ここまで作品全体から「打ち切り決定しました」とアピールするマンガも珍しいといえば珍しい気がしますね(笑)。話を大幅に中抜きして、唐突に最後の決戦に突入のようです。まるで初期の『しあわせのかたち』(作画:桜玉吉)みたいで、悲壮感を突き抜けて微笑ましくさえ感じてしまいます。
☆「週刊少年サンデー」2002年49号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『D−LIVE !!』(作画:皆川亮二)《第3回掲載時の評価:B+》 今回はシナリオ担当がいないので、皆川さんが完全に話を担当しているようです。そのせいか、前回までより大分セリフがスッキリしている感じがしますね。やはり文章のシナリオと、直接ネームで起こす話とでは感覚が違うんでしょう。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)《第3回掲載時の評価:B+》 相変わらずコテコテのラブコメですねぇ。それを全くひるむ事無く描き切っている井上さんも凄いといえば凄いです。これで卑屈に描いてたらここまでクオリティ維持できませんもんね。 ◎『かってに改蔵』(作画:久米田康治)《開講前に連載開始のため、評価未了》 ◎『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ)《第3回掲載時の評価:A−》 いやぁ、やっとこの作品の持ち味が出て来ましたね。ここ3〜4ヶ月、このままズルズル間延びしたらどうなる事かと思いましたが、やっと新展開になりそうです。今後ともテンポの良い話になる事を期待しましょう。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 と、透視装置! 男の浪漫キター!(爆)
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10月31日(木) 演習(ゼミ) |
今週は完全な“新連載の谷間”というわけで、代替企画を考える羽目になってしまいました。 ──というわけで、仕方ないので今回は別の企画にさせてもらいました。 ──というわけで、まずは情報系の話題を1つだけ。 このゼミでも以前から度々採り上げて来ました島袋光年氏の買春事件ですが、ついに横浜地裁で判決公判があり、最終的な決着を見ることとなりました。 ……それでは、レギュラー企画のレビューから行います。今週は「週刊少年ジャンプ」から代原読み切りのレビュー1本のみですが、“チェックポイント”と合わせてお楽しみ下さい。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年48号☆ ◎読み切り『抱きしめて! ベースボール・ラブ』(作画:セジマ金属) 今週は『ピューと吹く! ジャガー』が休載のため、代原のギャグ短編読み切りが掲載されました。 さてそれでは作品の内容について述べてゆきましょう。 まず絵柄は、心なしか以前より若干レヴェルが上がったような気がします。ギャグマンガですし、これならもう問題ないでしょう。ただ、中途半端な頭身のデフォルメが若干の垢抜けなさを醸し出しているのは、やや問題でしょうか。 そして肝心のギャグの内容ですが、こちらは合作デビュー以来の問題点が全く是正されておらず、非常に残念なデキになってしまっています。何しろ、ギャグの基本中の基本である“起承転結”が出来ていないのですから、良い作品になるわけが無いのです。 評価はC寄りB−。とにかくギャグ作りの基本に立ち返って猛特訓しない事にはどうしようもありません。チャンスのある内に少しでも巻き返す事が出来るよう、祈っておきたいと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『遊☆戯☆王』(作画:高橋和希)《開講前に連載開始のため、評価未了》 一番最後のページ、確かに「この男は…一体
!!」なんですが、マンガ的表現のレヴェルを遥かに超越した謎の男に対して、遊戯がクソ真顔でモノローグをブチかましているのが非常に笑えます。 …などと、「変ドラ」さんの「白ドラ」みたいな事を言ってみました(笑)。 ◎『ボボボーボ・ボーボボ』(作画:澤井啓夫)《開講前に連載開始のため、評価未了》 小学生相手のギャグマンガなのに、『キン肉マン』が元ネタの大ギャグをやってしまうあたり、いい根性してるなぁと関心。しかし、トコロテンに頭突きされても効くんですかね、実際のところ(笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2002年48号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)《開講前に連載開始のため、評価未了》 先週から一転して、今回からマジモード突入ですね。これがまた、ビリビリ来る位の緊張感が伝わって来て良い感じです。絵柄だけ見ると、決して器用な感じは窺えないんですが、雷句さんって意外と芸達者なんですよね。 ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)《開講前に連載開始のため、評価未了》 こちらは、まるで「ジャンプ」のマンガを見ているかのような展開に……。読んでて「ハンター試験第3次ですか?」とか言いたくなりました。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 椎名さんが完全に吹っ切れた感じですね。話のベースはテコ入れ以前と同じなんですが、『GS美神極楽大作戦
!!』以来の“煩悩路線”が見事に決まっていますよね。主役のリョウが硬派な分だけ、独自色も出てますし。
◎『そして龍太はニャーと鳴く』(「週刊少年ジャンプ」特別増刊「読むジャンプ」掲載《小説》/作:松原真琴) 先に紹介しました通り、「週刊少年ジャンプ」系の小説新人賞・「ジャンプ小説大賞」の入選作『そして龍太はニャーと鳴く』のレビューをお送りします。 まず、この小説のポイントは、何と言っても題名です。『そして龍太はニャーと鳴く』。“狙って”はいるものの、いかにも「狙ってます」的なあざとさが感じられず、語呂も良い上に、これから読もうとする人への好奇心をそそらせるという、本当に素晴らしいタイトルと言えるでしょう。 余談ですが、題名だけで審査員の度肝を抜いてしまった小説の代表例としては、第1回ファンタジーノベル大賞受賞作で、直木賞候補にもなった、酒見賢一さんの『後宮小説』が挙げられます。 毎月毎月、マンガ新人賞のタイトルをチェックしてはレジュメに転記していて思うのですが、やはり入選作には入選作を獲るだけのタイトルが命名されていて、最終候補止まりの作品にはそれなりのタイトルしか付いていないんですよね。全体的なセンスが題名に集約されると言うか何と言うか……。 ……さて、話を戻して小説の内容について述べさせてもらいましょう。 文体は一人称、しかも『我輩は猫である』以来、日本文学の王道パターンと言うべき動物を擬人化させた一人称です。宮部みゆきさんの出世作・『パーフェクトブルー』も、犬視点一人称のミステリ小説という事で有名です。 時々ライトノベル作家で“軽さ”と“軽薄さ”を取り違えてる方っていませんか? 文章力が足りないのをノリだけで誤魔化そうとしているのが一発で分かってしまう人。 ただ、問題点が皆無かと言うと、やはりそういうわけでもありません。まぁ、新人賞の作品ですから当たり前と言えば当たり前なんですが。 …とまぁ、問題点も有るにはあるのですが、それでも凡百のライトノベル作家の方々と比べると、その才能の差は歴然としていると思います。次回作はこの作品の続編だそうですが、別の機会にでも本格的なエンターテインメント長編小説を読ませて頂きたい、そんな願いを抱かずにはいられません。 評価なんて、さすがにおこがまし過ぎて付けられません。ただ、自分より年下の人にこんな作品を描かれて、ジェラシーすら感じてしまう位良い作品だと思った…という事だけ言い添えておきますね。 |
10月24日(木) 演習(ゼミ) |
今週もレビュー対象作が少なくて、ゼミを構成するのにも四苦八苦です(苦笑)。最近の「ジャンプ」は、一時期に比べて連載作品の入れ替えも代原の掲載も減ってますから、どうしてもこういう事になってしまいますね。 ──それでは、本題に移りましょう。まずは情報系の話題からですが、今日は1点だけ。 この社会学講座では既にお馴染み、「週刊コミックバンチ」系のコンペテイション・イベントである「世界漫画愛読者大賞」の、今年度分の応募総数が発表になりましたので、お伝えしておきましょう。 それではレビューと“チェックポイント”に移りましょう。今週のレビューは、「ジャンプ」から第3回の後追いレビューを1本お送りします。チェックポイントと併せてどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年47号☆ ◎新連載第3回『Ultra Red』(作画:鈴木央)《第1回掲載時の評価:B+》 第1回掲載時に“構成などは水準以上だが、ストーリーそのものがベタ過ぎる”というコメントをさせてもらったんですが、この第3回を読み終わった後に抱く感想もこれと同じです。 そして何よりも問題なのは、第3回に至っても、この作品の根底にあるテーマが見えて来ないというところです。 評価は前回のB+から、B−寄りBに大幅ダウンとさせて頂きます。
◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)《開講前に連載開始のため、評価未了》 久しぶりに『こち亀』らしい『こち亀』を見たような気がします。5年位前までは、毎週こんなノリだったはずなんですけどねぇ。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)《第3回掲載時の評価:B》 作品そのものは評価を上げるほど“大化け”してないんですが、ヒロイン1号の西野つかさが大化けしましたなぁ(笑)。多分、今週でヤラれてしまった男子の数は数万人じゃ利かないような気がしますが。あ、駒木も含めて(笑)。 ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)《第3回掲載時の評価:B+》 何だか回を追うごとに乱堂(由奈)が、“女の子に化けた男”から、“男の心を持ち合わせた女の子”に変わっていってる気がするんですが(笑)。ていうか乱堂、女言葉使いこなし過ぎ(笑)。
☆「週刊少年サンデー」2002年47号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『金色のガッシュ !!』(作画:雷句誠)《開講前に連載開始のため、評価未了》 相変わらず笑わせてくれます、フォルゴレ&キャンチョメ編。自信を持ってケツ丸出し出来るのが素晴らしい! ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)《開講前に連載開始のため、評価未了》 植木がビーズ爆弾に向かって突っ込んでゆくシーン、これは渾身の名シーンではあるんですが、出来ればこのシーンで終わって「次回へ続く」が良かったですね。惜しい場面でした。 ◎『旋風の橘』(作画:猪熊しのぶ)《第3回掲載時の評価:B》 詳しく内容を語ると酷い言葉しか出て来ませんので、一言だけ。 オイ、テコ入れするにもやり方ってモンがあるやろ! 政治の世界で、自民党の中でダイナミックな首相交代をする事を“擬似政権交代”とか言いますが、この作品は“擬似打ち切り”ですねぇ。曲がりなりにもここまで10か月積み上げて来た全てが、今週で台無しです。こんな事で良いのかなぁ……。 あ、結局色々喋っちゃいましたね(笑)。 「第1回 仁川経済大学コミックアワード」 ……この1年間のレビュー対象作の中から優秀な作品などを選んで、(勝手に)表彰させて頂く…というわけです。 それでは、今週のゼミを終わります。また来週をお楽しみに。 |
10月17日(木) 演習(ゼミ) |
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目に見えて『SWORD BREAKER』の掲載順位が下がりつつある今日この頃、受講生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか?(笑) 今週もゼミのお時間がやってまいりました。 さて、そんな話は置いておきまして、今日もまず情報系の話題から。 まず「週刊少年サンデー」系の月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」の8月期分の結果発表がありましたので、受賞者・受賞作を紹介しておきましょう。
……この賞としては、比較的豊作の部類でしょうか。ただ、受賞者の年齢構成がアンバランスなのが気になりますが……。 では、次の話題。これは「ニュース解説」のコンテンツで既に紹介済みですが、こちらでも改めて。 …まぁくらい話題はこれ位にしておいて、今週のレビューを始めます。今週のレビュー対象作は、「ジャンプ」と「サンデー」から連載3回目の後追いレビューが各1本ずつの計2本です。“チェックポイント”も実施しますのでよろしく。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年46号☆ ◎新連載第3回『A・O・N』(作画:道元宗紀)《第1回掲載時の評価:B−》 恐らくは今年の「ジャンプ」新連載作品の中では一番の問題作であろう、『A・O・N』の後追いレビューです。 第3回まで読んでみて判ったことは、とにかくこの作品は長所と短所がひどく混在している…という事です。 まず長所から挙げておきますと、見せ場と決め台詞は毎回見事に決まっているということ。先週の“チェックポイント”でも採り上げましたが、第2話の最終ページなどは間違いなく一級品でした。この辺の嗅覚というか感覚は確かなモノを持っているとは思います。 しかし、その長所を打ち消して余りある程の短所が存在する事も確かなのです。特に2点の致命的な欠陥が、この作品の完成度を台無しにしてしまっています。 1点目は、とにかく読者に不親切である事。読者に与えるべき情報が肝心な所で不足しているために、設定や状況がなかなか正確に把握できませんし、主人公への感情移入も難しくなってしまっています。 2点目は、第1回の時にも指摘しましたがプロレスシーンの描写が非常に稚拙であるという事。特にこの第3回では、対戦している2人が蹴り合っている以外に何が起こっているのか全く判読できません。とにかく無茶苦茶判り難いんです。 で、評価なんですが、プロットの完成度や設定の整合性を重視する当ゼミでは、いくら魅力的なシーンがあってもこういう作品に高い評価を出すわけには行きません。この作品は賛否両論が極端に分かれているようですが、当ゼミとしては“否”の立場に立たせて頂いて、B−の評価とします。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)《第6回掲載時の評価:A−》 先週まででセナとデビルバッツを散々持ち上げておいたところで、今週は「でも実はね…」といった感じで適当な所まで“デフレ”を敢行しています。賛否分かれる所かも知れませんが、駒木は素直に上手いと思いますね。 ◎『BLEACH』(作画:久保帯人)《開講前に連載開始のため、評価未了》 2週連続の“チェックポイント”登場ですが、今回の構成も、王道パターンに少しのケレンを交えて良い感じに仕上がっています。ひょっとしたら更なる長期連載へのゴーサインが出て、気合が入りまくってるんでしょうかね? ◎『Mr.FULLSWING』(作画:鈴木信也)《開講前に連載開始のため、評価未了》 今やってる練習試合は、特訓で上がった主人公たちの能力を客観的基準で評価する試みで、少年マンガではよくある“定石”なんですが、さすがに無茶し過ぎでは(苦笑)。…ていうか、去年までの十二支高校が弱かったのが全く信じられないんですが(笑)。
☆「週刊少年サンデー」2002年46号☆ ◎新連載『D−LIVE』(作画:皆川亮二)《第1回掲載時の評価:A−》 まずは第1回掲載時レビューの訂正から。 ただ、このシステムだと、ストーリーがシナリオライター任せになってしまい、皆川さんの個性が出難くなってしまう可能性があります。その上、半年〜1年と連載を続ける内に深刻なマンネリズムに陥ってしまう恐れもあり、必ずしも最善のシステムにはならないのではないかと思います。 あとは前回のレビューでも指摘しましたが、シナリオを圧縮するために、どうしてもセリフに頼りがちになってしまう点が少々問題ありと思います。話の中身が濃くなければ、その分マンネリに陥るまでの速度も上がるわけですから、もう少し構成に気を配ってもらえれば…と思います。 評価ですが、前回はB+寄りA−だったんですが、一旦B+に落としておいてしばらく静観したいと思います。前作の『ARMS』も、ある程度話が進んでから一気にクオリティが上がった感がありましたので、今回もそれを期待したいと思います。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『史上最強の弟子 ケンイチ』(作画:松江名俊)《第3回掲載時の評価:B》 連載半年にして、ともすれば多すぎる位のキャラクターが全てこなれて来て、逆にそれが魅力になって来ましたね。クローズアップするキャラを頻繁に変えることでマンネリも防いでますし、どうやら軌道に乗ったようです。 ◎『美鳥の日々』(作画:井上和郎)《第3回掲載時の評価:B+》 フィギュア専門店で、ちょっと旬の過ぎた2ch用語を連発するオタクたちの表現が見事!(笑) ただ、敢えて注文を出すなら、彼らはもっと“バックパック装着率”が高いんですけどね(笑)。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 やっぱり今週のハイライトシーンは、セイリュートの ところで最近気付いたんですが、ここしばらくの椎名さんはずっと、「『GS美神極楽大作戦!』と違う作品を描こう!」…と意気込み過ぎだったんじゃないのかなぁ、なんて思うんですよ。
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10月10日(木) 演習(ゼミ) |
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今週もゼミの時間がやってまいりました。 ではまず、情報系の話題から。
この内、野寺寛さんは、02年3月期に続く5ヶ月ぶりの最終候補残りとなりました。「設定もストーリーもありがち」と、審査員が誰かを考えると非常に痛い講評(苦笑)なのが気になりますが、映画や小説など色々なタイプの話に触れて、精進してもらいたいものですね。 今日は新人賞関連でもう1つ話題を。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年45号☆ ◎新連載『Ultra Red』(作画:鈴木央) “短期打ち切り→復活して長期連載となるも、やっぱり打ち切り”…という異例の展開を辿った作品『ライジングインパクト』の鈴木央さんが、8ヶ月ぶりに週刊連載復帰となりました。 まず絵柄に関しては、前作『ライジングインパクト』と全然変わっていません。一応、前作とは違う雰囲気のキャラクターを出そうという努力の跡は窺えるのですが、どう考えても『ライジングインパクト』をどうしても想起させられてしまいますね(笑)。まぁ、「どの作品を見ても同じ顔」ってマンガ家さんも結構多いですから、これをマイナスポイントに挙げるのは酷だとは思います。 そしてストーリーはというと、一言で表現するなら“手垢付きまくり”の話。マンガ喫茶に陳列している『ベルセルク』くらい手垢がベットリと付いてしまっています。 結局、この作品の“将来”は、これから如何にして既成の作品にないオリジナリティを出してゆくかにかかっているような気がします。格闘シーンの描写だって悪くないのですから、ストーリーの展開次第では思わぬ佳作・良作になる可能性もあるでしょう。とりあえず、あと2回、様子を見せてもらうことにしましょう。 現時点での評価は、B+といったところでしょうか。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『A・O・N』(作画:道元宗紀)《第1回掲載時の評価:B−》 詳しくは次回の後追いレビューで述べたいと思いますが、とにかくアンバランスな作品だという事は理解できました。物凄く不親切なマンガなのだけれど、分かり易い点はとても分かり易い。本当にイビツです。 ◎『BLEACH』(作画:久保帯人)《開講前に連載開始のため、評価未了》 今週は、少年マンガでよくある“主人公の秘密特訓”及び“能力のインフレ”への導入ではあるのですが、それが全く陳腐に感じられないのは、構成力と演出力が高いという事なのでしょう。 久保さんは、中途半端なコメディよりもゾクゾクするようなシリアス物の方が向いているのかも知れませんね。 ◎『ホイッスル!』(作画:樋口大輔)《開講前に連載開始のため、評価未了》 後日談で主要キャラ総ざらえという、典型的な最終回風ストーリーだったわけですが、“無理矢理放り込みました”…という感じにならなかったのは良かったと思います。最後の最後に意地を見せた形ですね。樋口さんは実力のある作家さんだと再確認できる最終回でした。それを考えると、日韓戦からのストーリー展開を間違えてしまったのがつくづく悔やまれます。 第1回から最終回までの総合的な評価は、A−寄りのB+といったところでしょうか。返す返す、打ち切るには惜しい作品だと思います。 ……にしても、風祭は何の病気(ケガ)で、倒れたんですかね?
☆「週刊少年サンデー」2002年45号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 やや人気伸び悩みの気配とあって、今回は“これでアンケート悪かったら打ち切りね”的なセンターカラーだったんですが、それにしても近年稀に見る大テコ入れを見せてくれました。ステップワゴンをフォーミュラーカーに改造するような方向転換です。後はこれが突破口になる事を祈るだけです。 ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)《開講前に連載開始のため、評価未了》 次から次へと伏線や謎を処理していってるわけですが、この辺りのストーリーや設定はいつ思いついたんでしょうかねぇ。もし、連載開始前から頭の中にあったとしたら、藤田さんは神だと思います(笑)。
……といったところで今週のゼミを終わりたいと思います。来週は『遊☆戯☆王』の再開があるんですが、これについてはレビューを行わず、随時“チェックポイント”で述べていく形を取りたいと思います。 では、また来週。 |
10月3日(木) 演習(ゼミ) |
ジャンプの新連載シリーズも始まり、サンデーでも新連載が始まり、ついでに「ジャンプ」で代原2本という、拷問を受けているかのような今週のゼミが始まりました。(苦笑)。 ……さて、今週は特にお伝えしなければならない話題もありませんし、早速レビューの方を進めていきたいと思います。 今週のレビュー対象作品は、「週刊少年ジャンプ」から新連載1本と代原読み切り2本、「週刊少年サンデー」から新連載1本と、連載3回目の後追いレビュー1本と、計5本のレビューとなります(ひぃ)。ちとレビューが多いので、今週は“チェックポイント”をお休みします。 レビュー中の7段階評価の表はこちらをどうぞ。
☆「週刊少年ジャンプ」2002年44号☆ ◎新連載『A・O・N』(作画:道元宗紀) 今週から「ジャンプ」の、秋の新連載シリーズが始まりました。まずその先陣を切って登場したのは、道元宗紀さんのプロレスマンガ『A・O・N』です。 まず絵柄から。 そしてストーリーの方は、絵柄以上に前途多難です(久しぶりに使う気がしますね、このフレーズ)。 というわけで、現時点での評価はB−が精一杯のところだと判断せざるを得ません。余程のドラスティックな変革が無い限り、第3回の時点で見限らなければならないだろうなぁ…という気がします。 ◎読み切り『もて塾へ行こう!』(作画:大亜門) 今週の“代原その1”は、今年の「ジャンプ」34号で、同じく代原の『もて塾恋愛相談』でデビューを果たしたばかりの、新人・大亜門さんの作品です。(デビュー作のレビューに関しては7月24日付ゼミを参照) …さて、この作品のレビューへ。まず絵ですが、これは稚拙な面もありますが、ギャグマンガですし、ギリギリ許容範囲だと言えそうです。また、絵のレヴェルそのものよりも、ちゃんと背景を細かく描き込んでいる意欲を買いたいところです。 それでも、全てのファクターを総合すれば、「週刊少年サンデー」なら連載になってもおかしくないくらいのレヴェルには達しています。評価はB+寄りBといったところでしょうか。 ◎読み切り『隼くんと御鷹くん』(作画:原淳) “代原その2”は、こちらも本誌再挑戦組の原淳さん。エニックス系の雑誌出身で、単行本も出した経験のある作家さんですが、ここ数年は「ジャンプ」系の代原作家というポジションに甘んじています。 前回の作品掲載時(8月8日付ゼミ参照)は、原さんお得意の戦隊モノパロディで不発気味だったのですが、今回はスポ根モノのパロディという新境地を切り拓いてきました。 今は『ピューと吹く! ジャガー』があって、ショートギャグ枠が埋まってしまってますが、このままのレヴェルを維持できれば、ひょっとすると、なにわ小吉さんの再来…という事もあるかも知れません。まぁ、判断を下すにはもう一作見てみる必要があると思いますが……。
☆「週刊少年サンデー」2002年44号☆ ◎新連載『D−LIVE』(作画:皆川亮二) 『スプリガン』、『ARMS』という、「サンデー」としては異色路線の作品で立て続けにヒットを叩きだした皆川亮二さんの新連載が始まりました。 ではレビューへ。 今回の暫定評価はB+寄りのA−というところで。第3回、もしくは2番目のエピソードが終わった辺りで正式な評価を下したいと思います。 ◎新連載第3回『美鳥の日々』(作画:井上和郎)《第1回掲載時の評価:A−》 設定の余りの奇抜さに、連載開始直後(直前?)からウェブ上各所で話題沸騰の『美鳥の日々』の第3回後追いレビューです。 ここまで3回終わりましたが、衝撃的なインパクトの第1回と比べると、かなり大人しくなってしまったかなぁ…といった感じでしょうか。第1回のレビューの際には、「これだけ設定が奇抜だと、ストーリーは普通で構わない」と言いましたが、かといって完全に予定調和の範疇では物足りなさが残るのも事実。もう少し、この作品ならではの独自色のようなものを出せるようになれば良いのではないかと思います。 評価ですが、一旦A−寄りB+に落として様子を見たいと思います。これから様子を見ていく中で、内容が充実してくれば、またすぐにでもA−評価に戻すつもりです。 では、講義の実施が遅れましたが、今日のゼミはここまで。また来週、どうぞよろしく。 |
9月26日(木) 演習(ゼミ) |
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9月最後の「現代マンガ時評」です。 …さて、それでは先に情報系の話題を手早くやってしまいましょう。 まず、「週刊少年サンデー」系の月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」7月期の審査結果発表がありましたので、受賞者と受賞作を紹介しておきましょう。
今月は、“粒揃いながら大粒無し”…といった感じでしょうか。どうもこの賞は、「ジャンプ」の「天下一漫画賞」に比べると、リピーターの数が少ないのが気になるんですよね…。 続きまして、新連載の情報を。既に情報系サイトなどでは報じられている情報ばかりですが、復習の意味もこめてここで扱っておきます。 まず、これは先週のゼミでも簡単にお話しましたが、次週から「週刊少年ジャンプ」・秋の新連載シリーズが始まります。ただし、今回も2作品の“小規模改造”です。 そして「週刊少年サンデー」では、次号44号(10/2発売号)から、皆川亮二さんの『D-LIVE』がスタートします。『ARMS』を円満終了させて以来の連載復帰というわけで、また骨太の作品で「サンデー」に彩りを添えてくれそうです。 では、今週のレビューへ。今週は「週刊少年ジャンプ」から読み切りを1本、そして「ジャンプ」「サンデー」以外の他誌から1本の計2本をお送りします。勿論、“チェックポイント”もお送りします。
◎読み切り『暗闇にドッキリ』(作画:加地君也) 今週も「ジャンプ」では中編読み切りが掲載されました。連載未経験ながら、キャリアだけなら既に中堅という微妙な位置にいる(笑)、加地君也さんの作品です。 それでは作品レビューへ。 まず絵。偉そうな言い方で恐縮ですが、ギリギリのところで「プロとして人前でお見せする絵」のレヴェルには達しているのではないかと思います。キャリアの長い作家さんですし、完成度の面で言えば平均点以上でしょう。 次にストーリーですが、こちらも話の筋立て自体は及第点をあげられるレヴェルには達しています。テンポも良くて、マンガと言うよりライトノベルを読んでいるような軽い感触が楽しめます。ただ、余りにも話の展開がセオリー通りなので、ヘヴィーな読者には物足りないかも知れませんが……。 駒木は、「キャラクターさえ立てば何とかなる」という昨今の風潮には大反対です。しかし、よほど凝ったミステリでもない限り、魅力的で個性的なキャラクターのいない話が良い話になるわけが無い…とも思います。どうすれば、読者が満足する話になるのか、加地さんにはその辺りをもう一度熟慮して頂きたいところです。 評価はB寄りB−。この人が果たしてここから“化ける”ことが出来るのか、今しばらく様子を見てみたいと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『ヒカルの碁』(作:ほったゆみ/画:小畑健)《再開後第3回掲載時の評価:A》 ヒカル×社戦のモデルになった対局が判明しました。なんとTV東京の「新鋭早碁トーナメント」で放送された対局だったらしいです。いやー、観たかったなあ。 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)《第6回掲載時の評価:A−》 回を追うごとに話作りが手慣れていきます。今回はインターミッションをやりながら、決してわざとらしくなく基本的なルール説明をやっています。そして、この基本的なルールを説明しないままに、違和感無く1試合描ききっているという点も見逃せません。
☆「週刊少年サンデー」2002年43号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)《評価は保留中》 何だか、主役よりも少佐(エリザベス)の方がキャラ立っちゃってません?(笑)。確固としたモデルが存在する分だけ、キャラが立ちやすいのかも知れませんが、これは良いんだか悪いんだか……。 ◎『365歩のユウキ!!!』(作画:西条真二)《第3回掲載時の評価:C》 見事なまでの打ち切り最終回でした(笑)。
《その他、今週の注目作》 ◎連載第18回『キメラ』(「スーパージャンプ」2002年20号掲載/作画:緒方てい)《第3回までの暫定評価:B+》 ※このレビューには、例外的に駒木の私情が入っています。客観性を欠いた部分があると思いますが、いつものレビューとは別物としてご覧頂けると幸いです。 『キメラ』のレビューは実に久しぶり、実に7ヶ月ぶりということになりました。それというのも、「次に取り上げる時は、『キメラ』が大化けした時です」…という事を皆さんにお約束したからでした。それは逆に言うなら、『キメラ』が大化けしない限り、二度とこのレビューで取り上げる事が出来ない…という事でもあったのです。長い空白の理由は、つまりそういう事です。 が、そんな7ヶ月間の駒木の苦悩を吹き飛ばしてくれたのが、この『キメラ』連載第18回でした。そこには、かつて駒木が見た“輝き”がありました。 勿論、今回1回だけで、これまでの“負債”が解消されたとは言えないでしょう。それでも、緒方さんの実力の最大値を再確認できただけでも大きな収穫と言えると思います。 作品全体の評価はB+のまま。ただし、この回だけに関して言えば、A評価としても良いと思います。 |
9月19日(木) 演習(ゼミ) |
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今週もレビュー対象作は少ないんですが、この後すぐにお話しますように、もうすぐ「ジャンプ」「サンデー」両誌で相次いで新連載が始まりそうなムードになって来ました。 では、今週も情報系の話題から。興味がある一方で、あまり聞きたくない打ち切りの話題を2つばかり。 まずは100%確定した情報から。
──う〜ん……。辛い気持ちはお察しするのですが、ちょっとそんな発言はプロとしてどうよ
!? …と思ってしまったり。 そしてもう1つの話題は「少年ジャンプ」の打ち切り&新連載の情報なんですが、こちらは“駒木が確認していないが、恐らく確定情報”という事になりますので、あらかじめご承知おき下さい。 ……では、今週もレビューの方へ。 ◎読み切り『だんでらいおん』(作画:空知英秋) 2002年6月期の「天下一漫画賞」佳作受賞作・『だんでらいおん』が、増刊を飛び越していきなり本誌に掲載となりました。 では、作品の中身に話題を移しましょう。 まず絵ですが、新人さんにありがちな無駄な線の多さがまだ見受けられますが、これはキャリアを積めば解消するでしょう。全般的に観れば、可愛い系の少女からイカついオッサン、更には爺さん婆さんまで色々なタイプの顔が描き分けられるなど、既に高いレヴェルにまで到達していると言えます。 そしてストーリー面。 まだこの作品だけで過大な評価を下してしまうのは危険かもしれませんが、このまま大成すれば、冨樫義博さんのような、本格的なストーリーテラー型作家さんとしての大活躍が望めそうです。これから修正すべき点を修正して、連載を掴み取ってもらいたいものです。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『ヒカルの碁』(作:ほったゆみ/画:小畑健)《再開後第3回掲載時の評価:A》 黒の初手が5の五で、白の初手が天元。 ◎『BLACK CAT』(作画:矢吹健太朗)《開講前に連載開始のため、評価未了》 えーと、今度は『あずまんが大王』と『風の谷のナウシカ』ですか……(汗)。 ☆「週刊少年サンデー」2002年42号☆ ◎新連載『美鳥の日々』(作画:井上和郎) 「サンデー」は、今週から井上和郎さんの『美鳥の日々』が新連載となりました。 さて、ではこの作品の評価に話を移します。まず絵は見事なまでに洗練されていて、既に第一線の作家さんと比べても上位にランクされるようなレヴェルに達しています。絵柄そのものも、いかにも「サンデー」向けといった感じで、全く違和感がありません。 そしてストーリー面の評価ですが、これはストーリーそのものよりも基本的な設定についてお話した方が良いかもしれませんね。 ちなみにこの設定、既に多くの人から「まるで『寄生獣』のミギーだ」という指摘がありますが、もっと詳しく表現すると、 …と、ここまで褒めっ放しですが、問題点が無いわけでは有りません。 現時点の暫定評価はA−。ただし、後追いレビューでは更に評価が上昇する可能性が残されています。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『焼きたて!! ジャぱん』(作画:橋口たかし)《第3回掲載時の評価:保留》 連載開始から半年以上過ぎて、ようやくこの作品のノリについていけるようになりました(苦笑)。 ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)《開講前に連載開始のため、評価未了》 師匠も弟子に負けずに奮起! …といったところでしょうか。 ◎『モンキーターン』(作画:河合克敏)《開講前に連載開始のため、評価未了》 ちょっと嫉妬に燃え過ぎじゃないか、洞口Jr.? …と思ったんですが、冷静に考えてみたら極めて現実に近い姿かも…と思い直したり。駒木もあんな気持ちになった経験有りますよ。中学時代の運動会なんで、全然スケールは違うんですが(笑)。
……というところで、今週のゼミを終わります。 |
9月12日(木) 演習(ゼミ) |
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さて、今週もゼミを始めたいと思います。 まず初めに情報系の話題から。
今月は審査員特別賞が出ただけで、佳作以上の受賞者はありませんでした。しかし、マンガについては一家言ある冨樫義博さんが審査員ですから、それも仕方ないか…という気がしますね(苦笑)。今月はその分、審査員特別賞に価値が有りそうですね。受賞者の大西さんには今後も注目したいと思います。 あと、新連載&読み切り攻勢が一段落ついたばかりの「週刊少年サンデー」ですが、来週にもう1本新連載が始まります。 最後にもう1つ。この秋から選考が開始される「小学館漫画賞」の読者による作品の推薦が、今回からウェブ上で出来るようになりました。(詳しくはこちらのサイトへ) …というわけで、情報系の話題は以上。それでは、今週分のレビューに移りましょう。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年41号☆ ◎読み切り『なるほど納得てんこもり !! おバカちん研究所』(作画:日の丸ひろし) 先々週・8月29日付ゼミの「赤マルジャンプ」完全レビューで紹介した、日の丸ひろしさんの『おバカちん研究所』が、今度は『たけし』の代原として本誌に登場です。 今回も題名が同じとあって、「赤マルジャンプ」の掲載作と同じノリの作品です。絵柄や作風にも変化は無く、その辺りの比較検討は必要ないと思います。 で、今回の内容なんですが、C評価をつけてしまった「赤マル」の時と比べると、今回はページ数に余裕があるせいか、前作よりは酷い作品になっていないような気はします。ダイナミックなコマ割りをした方がギャグが活きて来る気がしますね。 ですから、今度は「一人ごっつ」みたいに受け手を突き放すくらいのギャグを連発してみてはどうでしょうか? 今回の評価はB寄りB−としておきましょう。とりあえず、前回のレビューで述べた、『将来性に期待できず』という部分は撤回しておきたいと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『ヒカルの碁』(作:ほったゆみ/画:小畑健)《再開後第3回掲載時の評価:A》 当面のヒカルのライバルと思われていた、関西棋院の社初段は、なんと北斗杯予選限定のライバルという事が判明。 ◎『SWORD BREAKER』(作画:梅澤春人)《第3回掲載時の評価:B−》 巷の噂では、本来なら打ち切り確定なくらいアンケート順位が低迷していると言われているこの作品ですが、余りにも分かりやすいテコ入れをして来ましたね。さすがは梅澤氏(笑)。でも、これが人気上昇の決め手になるとは思えないんですが…。 ◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)《開講前に連載開始のため、評価未了》 食パンを嫌がるレモンの表情を見るにつけ、「ああ、作風が完璧に変わっちゃったんだなぁ」と思ってしまいました。あ、「ちょっと可愛い」とも思いましたが(笑)。 ◎『ROOKIES』(作画:森田まさのり)《開講前に連載開始のため、評価未了》 今回のハイライトとなったクロスプレーは、本当ならセーフなんだそうで。でもまぁ、「マンガ史上に残る世紀の大誤審」ってことで良いんじゃないですか(苦笑)。
☆「週刊少年サンデー」2002年41号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『史上最強の弟子 ケンイチ』(作画:松江名俊)《第3回掲載時の評価:B》 大量の登場人物もどうやらこなれて来たのか、やや良化の兆し。やっぱり主人公がソコソコ強くならないと面白くないですね、こういう作品は。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)《第3回掲載時の評価:A−》 やっぱりこの人、可愛い女の子を描く才能がありますね。それを前面に出さないところが、また味があって良いんですよね。
……さて、今日のゼミは以上です。いつもより短めの講義となりましたが、これ以上長くなると追加振替講義&翌日休講になってしまうので、どうかご容赦を。 それでは、また来週。 |
9月5日(木) 演習(ゼミ) |
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さて、新学期1回目のマンガ時評です。 今週は特に紹介する情報系の話題がありませんので、いきなりレビューとチェックポイントに行きたいと思います。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年40号☆ ◎読み切り『DAI-TEN-GU』(作画:鈴木新) 今週はいわゆる代原ではなく、若手作家さんの中編(45p)読み切りが登場しました。 それではいつも通り、絵とストーリーに分けてレビューをしていきましょう。
…書き方が意地悪かも知れませんが、どうですか? どうにも違和感が拭えませんよね。 あと、ヒロインの描写も随分と都合が良すぎます。 もう1つ、セリフ回しの稚拙さ。特に、後半に集中して出て来る、異様に説明的なセリフが気になって仕方ありません。上手い作家さんならば前半でさりげなく伏線を張る部分が全く説明できていないため、後半で一気にゼロから説明しなければならない羽目に陥ってしまったのでしょう。それを考えると、セリフ回し以上に構成力に問題があるのかもしれませんね。 評価はC寄りB−。ラストシーンを見ると、この作品は連載を前提にしたお話のようですが、今の状態でこの作品を連載にしてしまうのは、文字通り百害あって一利なしであるような気がしてなりません。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)《第3回掲載時の評価:B+》 2週連続の登場です。今週はやけに勿体ぶって引っ張るなぁと思ったら、どうやら次回で1回戦が決着すると、単行本1巻でそこまでキッチリ収まる計算なのだとか。何と細かい計算!(笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2002年40号☆ ◎新連載第3回『きみのカケラ』(作画:高橋しん)《第1回掲載時の評価:B+》 さて、第3回の後追いレビューなのですが、作品の方向性が定まっていないためか、レビューの論旨もなかなか定まりません(苦笑)。幸い、“チェックポイント”のコーナーも新設されましたし、今回はここまでの印象を半ば箇条書き的に述べてゆく事にし、作品全体の評価はまた後の機会に回す事にしましょう。 まず、深刻なシナリオと背景の割に、妙に雰囲気が能天気でコメディータッチであるのに違和感が拭えないんですよね。 次に、主人公の1人であるシロのキャラクター像が未だにボヤけているために、読者がなかなか感情移入出来ないのも問題点のような気がします。記憶喪失のまま暴走する主人公なんて、ちょっと規格外です。 あとは“設定説明役”及び“場の雰囲気弛緩させ役”のクロ、これはハッキリ言って余計です。こういう便利キャラを使わないで全てを表現してこそマンガ家の本道という気がするのですが……。 ……で、さらに問題なのは、これだけの懸念を抱えながらも、並の作品以上に“読ませて”しまう所なんですよね(苦笑)。まさに第1回のレビューでも述べた、「打球はどう考えても凡フライのそれなのに、力に任せてスタンドインでホームラン」状態なんです。 ……まぁこの『きみのカケラ』、相当にスケールの大きな作品である事は間違いないですし、今後しばらく経つ内に抜群に面白くなっていく可能性もあります(長期連載主体の「サンデー」では、そういうケースがままあるのです)。勿論その反対になる可能性も充分なんですが(苦笑)、しばらく暖かい目で見てみようという気持ちになっています。 で、今回の時点での暫定評価なんですが、とりあえず問題点が山積していますし、一応1段階減点してB寄りB+に。正確な評価が下せる段階になったら「チェックポイント」で採り上げます。
◎『名探偵コナン』(作画:青山剛昌)《開講前に連載開始のため、評価未了》 事件のプロローグというよりは、高木&佐藤刑事とその他大勢によるラブコメみたいになってますが(笑)、こういう遊び心とキチンとした仕事が両立できているのがさすがですよね。
◆「赤マルジャンプ」完全レビュー(後編)◆ ◎読み切り『モモ・一文字』(作画:海和雅実) 2001年夏の「赤マルジャンプ」でデビュー以来、今回が2回目の登場となる海和雅実さんの新作です。 絵に関しては、プロとして最低限ギリギリのレヴェルまで漕ぎ付けている…という印象ですね。まだ荒削りな部分、洗練されていない部分が残っています。週刊本誌で連載するには、まだ足りないものが残っているはずです。 今回が「ジャンプ」系雑誌初掲載となる、新人・森本尚司さんの作品です。この秋23歳、マンガを描き始めてまだ3年…との事ですので、恐らく今回がプロデビューか、それに近い作家さんということになると思われます。 絵に関しては、一見細かくて綺麗に見える絵柄なんですが、よく見てみると細かいミスが随所にあって、まだまだ未熟さが窺えます。特に動的表現が出来ていなくて、アクションシーンが止め絵に見えてしまうというのは、プロとしては致命傷に近いと思われます。 こちらも今回が「ジャンプ」系初登場。新人・船津創さんの作品です。今年26歳ということで、少年誌のマンガ家デビューとしてはかなり遅い方なのですが、どうやら浅美裕子さんの『ワイルド・ハーフ』のアシスタントを務め、今でも矢吹健太朗さんの非常勤アシスタントをしているとのこと。背景やトーンの処理などが手慣れているのが印象的だったのですが、さもありなんです。 昨年秋発売のギャグ増刊で「ジャンプ」系デビューを果たした若手作家・はちもりよしえさんの登場です。プロフィールによると、北海道から上京し、アルバイトしながらマンガ家を目指す26歳…とのことで、少なくとも修行歴は相当の長さに及んでいる事が想像出来ますね。
第63回回手塚賞(02年上期)の準入選受賞作・『とどろきJET』の登場です。作者のつじいこうじさんは25歳。マンガ家を志して5年目のデビューという事で、念願叶って…というところでしょうか。
最後は第56回赤塚賞(02年上期)準入選受賞作の登場です。作者の松本宗二郎さんは弱冠19歳。本格的にマンガを描き始めて半年での受賞という事で、将来性溢れる新人さんですね。 ◇総評◇ ……と、いうわけで、少し偉そうな事を言い過ぎた様な気がしますが、今回のレビューはこれまでです。また来週のゼミをお楽しみに。 |