駒木博士の社会学講座
仁川経済大学社会学部インターネット通信課程

開講1周年記念式典
1st anniversary of Dr.Komagi's class

2002年12月1日(日)〜2日(月)

 

当講座の助手・栗藤珠美(右)とアルバイト・一色順子です

珠美:「本日は当社会学講座の開講1周年記念式典にご来場いただき、誠に有難うございます。私、当講座の助手・栗藤珠美と申します。今回の式典では、この衣装で皆様のお世話をさせて頂きます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます」
順子:「いらっしゃいませ〜! わたし、駒木研究室のアルバイト・一色順子です! 今日は一生懸命、駒木博士と珠美先輩のお手伝いをさせていただきます。よろしくお願いしま〜す!」
珠美:「この式典では、2日連続で実施する記念イベントをメインに、記念品・“1周年記念壁紙”を頒布するイベント等も実施致します。以前からの受講生の皆さんは勿論のこと、今日初めていらっしゃったビジターの皆様にもお楽しみ頂ける記念式典となっていますので、どうぞごゆっくりお過ごし下さいませ」 

 

1周年記念式典 スケジュール

初日
12/1

(Sun)

コスプレ・トークライブ
「社会学講座プレイバック〜講義で振り返るこの1年〜

※当講座の専任講師・駒木ハヤトが、普段とは違った衣装に身を包んだ研究室の“看板娘”2人と共に、この1年で実施した講義をピックアップしながら思い出話に華を咲かせます。
 開講までの経緯や名物講義の舞台裏事情など、これまで明かされなかった「社会学講座」の裏話が次々と飛び出すはず。
 開講当初からの受講生の皆さんには、今となっては懐かしい講義を振り返りながら、ビジターの皆さんには社会学講座の魅力に触れて頂きながら、3人のトークをお楽しみ下さい。

2日目
12/2

(Mon)
演習(ゼミ)「現代マンガ時評」年間総括
「仁川経済大学コミックアワード」

※「週刊少年ジャンプ」「週刊少年サンデー」の読み切り・新連載作品を中心に詳細なレビューをお送りする、当講座のゼミ「現代マンガ時評」。
 今回はその年間総括としまして、この1年間でレビューした作品の中で特に優秀な(もしくは最悪な)作品を選定し、表彰します。
 審査委員は勿論、全ての作品のレビューを担当して来た、当講座の専任講師・駒木ハヤト。曰く、「日本で最も権威・格式・価値の低い漫画賞」。果たして、栄冠(?)に輝くのはどの作品でしょうか?

 ※両日とも、イベントは深夜23時30分頃より開始予定です。
 ※記念式典は12/4深夜まで、このページでお楽しみ頂けます。


記念品(社会学講座開講1周年記念壁紙)頒布会場

☆Aタイプ☆

(ご使用の解像度をお選び下さい)

800x600(121KB)
1024x768
(185KB)
1600x1200
(357KB)

★Bタイプ★

(ご使用の解像度をお選び下さい)

800x600(79KB)
1024x768
(112KB)
1600x1200
(215KB)

◎この壁紙は、栗藤珠美と一色順子のトータルコーディネートをお願いしている藤井ちふみさんに製作して頂きました。有難うございました。(藤井さんのウェブサイト=Winter GardenAngelCase


仁川経済大学社会学インターネット通信課程
開講1周年記念式典

2日目(12月2日) 
演習(ゼミ)「現代マンガ時評」年間総括
「仁川経済大学コミックアワード」

 こんばんは。仁川経済大学社会学部インターネット通信課程専任講師・駒木ハヤトです。今日は僕1人でイベントを進行させて頂きます。
 本当は、ウチのアシスタントで“「ジャンプ」打ち切りマンガ・ファン”を自称する一色順子に司会をさせようかとも思ったんですが、初日のイベントが余りにも長くなり過ぎたんで、懲りました(笑)。本人からは「『短期打ち切りマンガ大賞』やらせて下さいよ〜」とか言われたんですが、これ以上死人に鞭打つような賞を新設するのもどうかと思うので止めておくことにします。
 …ちなみに、彼女が推す今年の“ベスト・オブ・ザ・打ち切り”は『A・O・N』作画:道元宗紀だそうです。理由は、「連載開始前から次回打ち切り候補の筆頭に挙げられていて、本当にそうなったのが凄い。ジャスト10回っていう連載回数とか最終回巻末コメントの“ダイイングメッセージ”に、「ジャンプ」打ち切りマンガの哀れさが出ててメッチャ良い感じ」……とのことです(苦笑)。「メッチャ良い感じ」って、それは言い過ぎだろうと思うんですがね(笑)。

 ……まぁそういうわけで、本題に移りましょう。まずは改めまして、この『仁川経済大学コミックアワード』についてご説明申し上げます

 この社会学講座では、毎週1回ゼミとしまして「現代マンガ時評」なる講義を実施しております。
 そしてその講義では、「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年サンデー」に掲載された読み切り・新連載作品、及びその他の雑誌に掲載された注目作品について、随時詳細なレビュー及びランク付けを行っております。
 で、この『仁川経済大学コミックアワード』とは、そんな1年間のレビュー対象作品の中から特に素晴らしい作品、あるいは最悪な作品を表彰しようというもの、つまりは、「現代マンガ時評」の年間総括というわけです。
 ただし、物理的事情からレビュー対象作の幅は極めて狭くなってしまっていますし、レビューにしましても、先入観を排して客観性を重視してはいるのですが、レビュアー・駒木の譲れない部分だけは独自の価値観に基づいて押し通す形でやらせてもらっていますので、どこまで普遍的な価値が見出せるかは我ながら極めて疑問であります。
 ですので、ご出席の皆様には、“権威も格式も価値もヘッタクレも無い漫画賞”それが『仁川経済大学コミックアワード』である」…と解釈して頂ければ、このイベントを素直に楽しめるのではないかと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ……それでは、まず各賞及び、ノミネート作品の紹介をしておきましょう。今回はグランプリを含めまして5つの賞を設けました。
 なお、紹介文中に登場します、“A”または“A−”という評価は、当ゼミのレビューにて使用しております7段階評価(A+ → A → A− → B+……→ B− → C)おけるランク付けです。大体の目安として、B+以上でマンガ好きなら一読の価値有り、A−以上なら普段マンガを読まない人にも薦められる作品…ということになります。
 

※各部門ノミネート作一覧※

◎仁川経済大学賞(グランプリ)
 …“グランプリ”という名の通り、この1年の間に当ゼミでレビューした作品の中で最も優秀な作品に送られる賞。
 ノミネート資格は、“ジャンプ&サンデー”の名の付く3つの賞の受賞作と、「ジャンプ」、「サンデー」両誌以外のレビュー対象作の中でA評価(但し、連載作品については最新に発表された評価)を獲得した作品。

●(ジャンプ&サンデー・最優秀長編作品賞受賞作)
●(ジャンプ&サンデー・最優秀短編作品賞受賞作)
●(ジャンプ&サンデー・最優秀新人作品賞受賞作)
『ブラックジャックによろしく』作画:佐藤秀峰/「週刊モーニング」連載)
『立位体前屈物語』作画:河谷眞/「週刊ビッグコミックスピリッツ」29号掲載)

◎ジャンプ&サンデー・最優秀長編作品賞
…「週刊少年ジャンプ」系と「週刊少年サンデー」系の雑誌で長編連載された作品が対象。
 ノミネート資格は、「ジャンプ」、「サンデー」に連載されたレビュー対象作品の内、A−以上の評価(但し、連載作品については最新に発表されたもの)を得た作品。

『アイシールド21』作:稲垣理一郎/画:村田雄介
『ヒカルの碁(第2部)』作:ほったゆみ/画:小畑健
『少年エスパーねじめ』作画:尾玉なみえ
  《以上、「週刊少年ジャンプ」連載》
『一番湯のカナタ』作画:椎名高志
『いでじゅう!』作画:モリタイシ
  《以上、「週刊少年サンデー」連載》

◎ジャンプ&サンデー・最優秀短編作品賞
…「週刊少年ジャンプ」、「週刊少年サンデー」系の雑誌に掲載された読み切り作品、または短期集中連載作品が対象。
 ノミネート資格は、長編作品賞と同じく評価A−以上。

『ヒカルの碁・番外編(奈瀬明日美)』作:ほったゆみ/画:小畑健)  
『怪盗COLT』作画:村田雄介
『CRIME BREAKER !!』作画:田坂亮
『呪いの男』作画:藤嶋マル
『司鬼道士 仙堂寺八紘』作画:かずはじめ
『だんでらいおん』作画:空知英秋
 《以上、「週刊少年ジャンプ」系雑誌に掲載》
『葵DESTRUCTION!』作画:井上和郎
『背番号は○(マル)』作画:あおやぎ孝夫
 《以上、「週刊少年サンデー」系雑誌に掲載》

◎ジャンプ&サンデー・最優秀新人作品賞
…「週刊少年ジャンプ」や「週刊少年サンデー」の本誌や増刊で連載経験の無い作家の発表した、読み切り作品または初連載作品が対象。ただし、他誌で連載経験があっても有資格とする“大リーグ方式”を採用。ノミネート資格は、やはりA−以上。

『アイシールド21』作:稲垣理一郎/画:村田雄介
『怪盗COLT』作画:村田雄介
『CRIME BREAKER !!』作画:田坂亮
『呪いの男』作画:藤嶋マル
『だんでらいおん』作画:空知英秋
  《以上、「週刊少年ジャンプ」系雑誌に連載または掲載》
『葵DESTRUCTION!』作画:井上和郎
『背番号は○(マル)』作画:あおやぎ孝夫
  《以上、「週刊少年サンデー」系雑誌に掲載》

◎ラズベリーコミック賞(最悪作品賞)
…映画のアカデミー賞に対するゴールデンラズベリー賞をモチーフにした、最悪な作品を表彰する賞。対象作はレビュー対象にした全作品で、あらゆる意味において“最悪”(not最低)な作品を選出する。ただし、ノミネート及び審査基準は駒木ハヤトの独断。

『しゅるるるシュールマン』作画:クボヒデキ/「週刊少年ジャンプ」掲載)
『旋風の橘』作画:猪熊しのぶ/「週刊少年サンデー」連載)
『365歩のユウキ!!!』作画:西条真二/「週刊少年サンデー連載」)
『エンカウンター 〜遭遇〜』作画:木之花さくや/「週刊コミックバンチ」掲載&連載)

 それではまず、「ジャンプ&サンデー」系の3部門賞から発表に移りますが、「新人作品賞」は、他の2部門とノミネート作が複数重複しておりますので後に回し、先に「短編作品賞」と「長編作品賞」の方から発表したいと思います。

◎ジャンプ&サンデー・最優秀短編作品賞

 ……それではまず、8作品がノミネートされました「ジャンプ&サンデー最優秀短編作品賞」の選考過程及び受賞作の発表をさせて頂きます。

 読み切り作品中心の部門だけあって、若手・新人を中心に、作品全体から勢いのあるものが多く見受けられました。全体的なレヴェルからしても、なかなかの粒揃いであったと言って良いのではないかと思います。

 選考する過程におきましては、まずは8作品から、早い段階で以下の3作品に絞って最終的な判断をする事にしました。

 ●『CRIME BREAKER !!』作画:田坂亮
 ●『だんでらいおん』作画:空知英秋
  ●『葵DESTRUCTION!』作画:井上和郎

 ここから受賞作決定まで絞り込んでいったわけでありますが、その前に、この時点で選考に漏れた作品についても、一言ずつ申し上げておきましょう

 まず、『ヒカルの碁・番外編(奈瀬明日美)』作:ほったゆみ/画:小畑健)でありますが、この作品は、原作担当・ほったゆみさんの高いストーリーテリング力に支えられ、元々はエキストラ的存在だったキャラクターを使ったとは思えない完成度の高い作品でありました。
 ただし、この話は番外編であって純粋に独立した作品では無いという点、また、特定のキャラクターに思い入れが無ければ作品そのものの魅力が減退してしまう点なども否定できず、受賞するには至らずと判断しました。

 『怪盗COLT』作画:村田雄介)は、後の出世作・『アイシールド21』に通じる、スピード感のある描写と展開が極めて秀逸でしたが、それが逆に、限られたページ数におけるシナリオ部分の充実度が犠牲になってしまった感がありました。

 『呪いの男』作画:藤嶋マル)は、藤嶋さんがまだ高校在学中・18歳の時の作品でありますが、そういう事情を全く感じさせないほど完成度の高い、“お金の取れる”作品と言えるでしょう。
 しかしながら、全体的に動的表現に乏しい絵柄がアクションシーン等での迫力を削いでしまい、特にハイライト・シーンにおける読者に与えるべき効果が、作者の意図に反して大きく損なわれてしまったのが“痛手”となり、選考から除外となりました。

 中堅作家さんからのエントリーとなった『司鬼道士 仙堂寺八紘』作画:かずはじめ)ですが、全く不自然さの無い高いレヴェルの脚本力が目立つ作品でありました。
 が、シナリオやプロットそのものは既存のパターンの域を越えることが出来ず、“非常に高い完成度を誇る凡作”止まりになってしまった感がありました。

 最後に『背番号は○(マル)』作画:あおやぎ孝夫)でありますが、この作品は学校の部活動スポーツを舞台にしたもので、突飛な設定や安易な勧善懲悪に走らない、等身大で爽やかな作風が高い好感度を与えてくれました。
 しかし、あまりにもミクロな世界でのストーリーということで、多くの良作・傑作の中で頂点に立つにはインパクトに欠けてしまう作品でもありました。つまりは“good”にはなれても“the best”にはなれない弱みというわけで、このような賞レースには縁の薄い作品と言わざるを得ませんでした。

 選考に漏れた作品も、全てが魅力のある佳作ばかりでありましたが、以上までで挙げた理由を持ちまして、選考から除外と相成りました。

 ……それでは改めて、ここまで残った3作品について話を進めてゆきましょう。
 ここまで残った3作品は、どれも決め手とインパクトに富んだ作品ばかりで、非常に甲乙つけ難いものばかりでした。
 まず『CRIME BREAKER !!』には、これがデビュー以来2作目の新人とは思えぬ程の卓越した画力と演出・画面構成力が見られ、『だんでらいおん』にも高いシナリオ・場面構成力とコメディ作家としてのセンスが認められました。
 また、『葵DESTRUCTION!』は“38歳の父親、しかし容姿は女子小〜中学生”というインパクトのある設定と、それを自信を持って活かし切る思い切りの良さにおいて特筆すべきものがあったと言えるでしょう。

 ……このような魅力ある作品、しかも全く作風の異なるもの中から更に絞込みをかけるのは、まさに断腸の思いでありましたが、以下のような結果となりました──。

「ジャンプ&サンデー最優秀短編作品賞」
受賞作
 

 『CRIME BREAKER !!』作画:田坂亮
 『だんでらいおん』作画:空知英秋
《2作品同時受賞》

 申し訳有りません。いきなりのズルです(苦笑)。
 本当は3作品同時受賞まで考えたのですが、さすがにそれはマズいだろうという事で、『葵──』に関しては“ハナ差の3着”ということで決着させました。
 この“写真判定”の決め手となったのは“緻密さ”でした。『CRIME──』は、前半部分の何気ない一場面を見せ場の伏線にするキメ細かさが、『だんでらいおん』には1場面ごとの完成度の高さがあったのです。それに対して『葵──』においては、“1つの勢いで突っ走る”という作品方針故か、やや大味な印象が否めませんでした。
 勿論、『葵──』にもセールスポイントは多々あるのですが、最終的には駒木の独断でこういった結果とさせて頂きました。『葵──』ファンの方もどうぞご了承下さいませ。


◎ジャンプ&サンデー・最優秀長編作品賞

 “最優秀新連載作品賞”とも言えるこの部門は5作品のノミネートとなりました。しかし、既にその内2作品が打ち切り終了(またはその決定)の憂き目に遭い、やや寂しい賞レースとなりました。

 この部門におきましても、まずは第一の絞込みを実施し、以下の作品が最終的な選考に残りました。

 ●『アイシールド21』
 
作:稲垣理一郎/画:村田雄介
 ●『ヒカルの碁(第2部)』
 
作:ほったゆみ/画:小畑健

 ……では、選考漏れの3作品についてもコメントしておきましょう。

 まずはギャグ作品である『少年エスパーねじめ』作画:尾玉なみえ)と『いでじゅう!』作画:モリタイシ)でありますが、それぞれの作品に確かなギャグセンスが感じられ、良作と呼ぶに相応しい作品と言えるでしょう。
 しかし作品全体を通して見た場合、ギャグの“打率”、“爆発力”、“普遍性”などについて既存のヒット作品と比較してみると、若干の物足りなさは否めず、“最優秀”の冠を戴くにはやや格不足であると判断しました。
 次に
『一番湯のカナタ』作画:椎名高志)でありますが、この作品は椎名さんのストーリーテリング能力が作品に反映していない嫌いがあり、更には打ち切りの直接の要因となったであろう、連載中の“中だるみ”が大きな痛手となり、受賞には至りませんでした。

 よってこの賞は、「週刊少年ジャンプ」連載原作者と作画担当者の分業制、更には一般的にはマイナーで、マンガとしては手垢の付いていない題材を選んでいる…と言う、多くの共通点を持った2作品による争いとなりました。
 この結果は、仰々しい言い方をすれば、これからの少年マンガの在り方に一石を投じるようなものなのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

 さて、こちらも実力伯仲の接戦でありましたが、次のような結果となりました──

「ジャンプ&サンデー最優秀長編作品賞」
受賞作
 

 『アイシールド21』
 
作:稲垣理一郎/画:村田雄介

 『アイシールド21』は、とにかくストーリーの構成力に素晴らしいものがありました。
 まず、アメリカンフットボールという、初心者のとっつき難さでは定評のある難しい題材を見事に料理したという上手さ。これが成功の第一要因です。
 しかしそれ以上に、個性に満ち溢れた登場人物やその活かし方の良さ、更には対決モノでありながら単純な善悪二元論に頼らずに質の高いドラマを展開させるという、極めてハイレヴェルなストーリーテリング能力が冴え渡っています。
 一見アクの強いシナリオにして、“努力と友情を重んずる”少年マンガとしての完成度も高く、まさにこの賞に相応しい作品と言えるでしょう。
 また同作品は、作画から見ても素晴らしい作品です。既存の表現技法に飽き足らず、大胆なコマ割りや構成を駆使した製作姿勢に非常に好感が持てますし、技量そのものもハイレヴェルです。
 問題点としては、序盤の展開にややモタつきが見られる点が挙げられますが、これまでに紹介した長所の質・量が、この短所を圧倒しています

 一方の『ヒカルの碁』も当然、素晴らしい作品であることは間違いありません。
 (第一部から通算して)長期連載作品にありがちのダレ場が全く無いのがまず素晴らしいですし、原作担当・ほったゆみさんの繰り出すハイテンポかつ緻密なストーリーは、現在の少年マンガの中では随一と言えるものです。
 その上、この魅力あるストーリーに華を添える作画能力の高さについてもケチの付けようが無く、受賞する資格は十分にあると言えるでしょう。

 しかしながら。
 『ヒカルの碁』の連載再開以後の展開を見てみますと、高いレヴェルで安定はしているものの、読者に“サプライズ”を与えるインパクトに乏しく、やや“上げ止まり”の傾向が見られます。
 その一方で『アイシールド21』には、作家サイドの「次から次へ斬新なモノを見せてゆこう」…という意気込みが確かに感じられる作品であり、既にその一部は作品の中身に反映されています。
 このように、少なくとも、作品全体としての斬新さ&オリジナリティと、それを追求する作家サイドの姿勢については『アイシールド21』の方が勝っており僅かながら優劣の差が生じたと判断いたしました。

 ……以上の理由により、この「ジャンプ&サンデー最優秀長編作品賞」は、『アイシールド21』の単独受賞ということとしました。

◎ジャンプ&サンデー・最優秀新人作品賞

 新人作品賞は7作品のノミネートです。
 しかし、ここまで2部門の賞の結果を見ても明らかなように、この賞は既に別の賞を受賞した3作品の争いに絞られています
 そして、その3作品のセールスポイントについても既に詳述していますので、ここは早速結果発表に移りたいと思います。
 受賞作は1作品。作品の総合的なレヴェルにおいて、今年のルーキーの中では、やはりこの作品がずば抜けておりました。

「ジャンプ&サンデー最優秀新人作品賞」
受賞作
 

 『アイシールド21』
 
作:稲垣理一郎/画:村田雄介

 『アイシールド21』はこれで二冠達成です。

 ……駒木個人の感想を述べさせてもらいますと、この作品、「まさかここまで大化けするとは思わなかった」というのが実感だったりします。(読み切り版や連載の初期に行ったレビューの評価は高くなかったのです)
 この『アイシールド21』は、何と言いますか、自分の“相馬眼”を磨く余地を痛感させられる作品でした。今後は“作品の将来性とはどこにあるのか?”という点をテーマにおいて研究を進めてゆきたいと思っています。

 

 さて、これでグランプリ・「仁川経済大学賞」の最終候補作が決定いたしました。ここで、改めましてノミネート作をご紹介いたしましょう。

 ●『CRIME BREAKER !!』作画:田坂亮
 ●『だんでらいおん』作画:空知英秋
 ●『アイシールド21』
 
作:稲垣理一郎/画:村田雄介
 ●『ブラックジャックによろしく』作画:佐藤秀峰
 ●『立位体前屈物語』作画:河谷眞

 ……こうして並べてみますと、得体の知れない賞であることだけは確かに伝わって来るのが分かりますね(笑)。
 まぁ、三流の経済大学が贈る漫画賞ですから、ノミネートの時点では「ナンダコリャ」って感じで良いと思います。

 さて、これからグランプリの選考に入るわけですが、その前に、“裏グランプリ”とも言えます「ラズベリーコミック賞」の発表を先に行っておきましょう。

◎ラズベリーコミック賞(最悪作品賞)

 映画界には、年度最優秀作品に贈られる「アカデミー賞」のアンチテーゼとして、「ゴールデンラズベリー賞」なる年度最悪作品を表彰する映画賞が存在します。
 この「ゴールデンラズベリー賞」は、毎年アカデミー賞の前日に発表され、授賞式も開催されます。映画ファンの間では「アカデミーよりもラズベリー」という人も多いくらい、実は人気のある賞です。ちなみに、これまでの“最悪主演男優賞”受賞者には、シルベスター=スタローン、ブルース=ウィルスなど錚々たるメンバーが名を連ねています。
 なお、この賞の授賞式では、ガラクタで作られた時価1ドル相当のトロフィーが受賞者に送られます。もっとも、この授賞式に現れた俳優や関係者は皆無だそうでありますが。(追記:その後、受講生の皆さんから、『ちゃんと出席した豪気な方も複数いらっしゃるとのご指摘がありました。訂正してお詫び申し上げます)

 今回設置しました、この「ラズベリーコミック賞」は、その「ゴールデンラズベリー賞」をモデルとし、この1年間でレビューした作品の中で最悪であると認められた作品を表彰するものです。
 審査基準は駒木の独断。とにかく、この1年で最もダメで、情けなくて、イケてなくて、酷くて、ツマらなくて、イタくて、下らなくて、どうしようもない作品を決定したいと思います。

 ところで。
 今日ご来場の方の中には、受賞及びノミネート作を「面白い」「好きだ」とおっしゃる方もいらっしゃるかも知れません。
 しかし、こちらとしましても極力支持者の少ない作品をノミネート作として選ぶ努力は致しておりますので、ここはどうぞ、ご自分が少数派である事を認識して頂きまして、結果を笑い飛ばすか、読み飛ばすかして頂ければ幸いです。
 当方といたしましても、こんな下らない事で揉め事を起こしたくありませんので、どうぞよろしくお願い申し上げます(笑)。どんなエグいシャレもシャレと思える寛大な方だけ御笑覧下さい。こっちはそういうつもりでやってますので、
抗議は一切受け付けません。

 ……それでは早速、受賞作の発表と参りましょう。まず結果を明らかにした後に、ノミネート各作品のダメッぷりについてコメントしたいと思います。

「ラスベリーコミック賞」
受賞作
 

『エンカウンター 〜遭遇〜』
作画:木之花さくや

 ……というわけで、今年度の「ラズベリーコミック賞」は、木之花さくやさん『エンカウンター 〜遭遇〜』に決定いたしました! 
 木之花さんと『エンカウンター』は、世界漫画愛読者大賞とラズベリーコミック賞との二冠達成という、非常に趣深い結果となりました。なお、「ラズベリーコミック賞」には賞金はありません。

 ではこれより、選考過程についてご説明致します。
 この「ラズベリーコミック賞」は、ノミネート作品こそ4作品でありましたが、極めて実力伯仲、ハイレヴェルならぬ超ローレヴェルでの接戦となりました。

 まず『しゅるるるシュールマン』作画:クボヒデキ)は、代原新人作家による習作原稿でありましたが、そのキャリアの浅さを感じさせまくるダメさ加減が光っておりました。
 何しろこの作品、題名に「シュール」と冠し、作者本人もシュールギャグを描いていると自覚しているはずなのですが、実際に描かれているギャグは全くシュールではないのであります。作品全編にわたって普通のギャグで、しかもその技術も極めて稚拙としか言いようの無い低レヴェルのギャグ作品でありました。
 ところが、そんな作品にも関わらず、この作品は都合4回代原として「ジャンプ」本誌に掲載されてしまったから大変です。
 遂には駒木ハヤト宛に、

「自分は『しゅるるるシュールマン』が面白いとは思えないんですが、余りにも頻繁に掲載されるので、これは自分のギャグ感覚を修正しないといけないかと思っていました。でも、『現代マンガ時評』の評価を見たらちょっと安心できました(苦笑)」 

 ……という内容のメールが、マンガ家志望の方から届くと言う始末。危うく尊い才能の芽を潰すところであったわけで、これは非常に罪深い話でありました。
 まさに伝染性のダメっぷり。これが『しゅるるるシュールマン』の持ち味であります。

 次に『旋風の橘』は、長年のアシスタント生活の末、前作『SALAD DAYS』スマッシュヒットを記録した苦労人の作家・猪熊しのぶさんの作品でしたが、週刊連載2作目にして、見事にやらかしてくれました

 まず、剣道マンガであるにも関わらず、作者に剣道の知識が全く無いどころか勉強する気も無い…というやる気の無さが第1の“ダメ・ポイント”として挙げられるでしょう。
 このダメさは作品全編を大きく蝕みました。剣道シーンや修行シーンにもリアリティは全く無く、話が進むに従って、作者本人もマトモに描写する事を諦めたフシすら感じ取れるまでになったのであります。特に試合シーンは単純化の一途を極め、最後には“必殺技の語彙が貧弱な『剣道版・リングにかけろ』”の様相に至りました。
 しかし、この作品最大の“ダメ・ポイント”はまだ他に存在しました。
 この作品、これまで述べたような内容のお粗末さから人気は低迷。敢え無くテコ入れが施されることになりました。が、このテコ入れの手法が、「これまで展開して来たストーリーを一切廃棄して、主要キャラのみ持ち越しで再出発」という強引なものであったため、まるでマンガそのものが打ち切られたような錯覚を抱かざるを得ませんでした。しかも1度ならず2度3度と。
 これはまさに“擬似打ち切り”で、読者にしてみれば、しょうもない打ち切りマンガとその続編を繰り返し見せられているようなもの。何と言いますか、無間地獄のようなダメさ加減であります。
 連載末期には、他の作品が終了するたびに「この作品切るなら、『橘』先に切れ」と引き合いに出させるようにもなり、読者以上に作者が痛い状況にも陥りました。猪熊さんにとってみても、早いところ記憶の彼方に追いやって、次回作の構想に移りたいところでしょうね。

 「サンデー」からはもう1作、『365歩のユウキ!!!』作画:西条真二)がノミネートされました。
 この作品にも、作者の題材(将棋)に対する知識も熱意も愛情も無いというネガティブなダメさが炸裂していました。おまけに一流プロ棋士が監修しているのに全然フォローしてくれないという業界ぐるみのダメさ加減も特筆すべきものです。
 さらに、知識不足を補うためにハッタリに頼ったストーリー展開を続けたにも関わらず、主人公たちの最終目標がアマチュア中学生名人で、こちらは全くハッタリの効いていない点にも注目であります。これは二律相反のダメさです。
 このように、この作品には様々なダメ要素が満載しており、まさにダメ要素のデパートと言うに相応しい作品と言えます。最終回が必要以上に打ち切りフォーマットを適用したものだったのも、数々のダメ要素に彩りを添えたと言えるでしょう。

 ……と、このように、ノミネート作品はどれもこれも素晴らしいまでにダメな作品ばかりでありました。

 が、しかし、これらの3作品に欠けていて、『エンカウンター』には確かに備えていたものがありました。これが授賞の決め手となったのです。

 それは、ダメ要素のスケールのデカさです。

 とにかく『エンカウンター』のダメっぷりは、そのスケールのケタが違うのです。これは、この作品にダメ出しする時に使用されるフレーズを振り返ってみれば一目瞭然です。

 「5000万貰っておいて、これ?」 
 「読者投票でグランプリ獲っておいて、これ?」
 「連載1年保証されたのに、3ヶ月で打ち切り?」
 「単行本1冊分のネームが出来てたって、これで?」
 「構想7年って、これで?」

 ……このスケールの大きさたるや、他の作品や作者では決して到達できない“極み”であります。

 また、ゾンビに追いムチ食らわすみたいで恐縮なのですが、
 「伏線張っておいて、それを天然で無視」
 「ベテラン作家なのに、まるで甘っちょろいマンガ家志望者のようなペンネームに改名」
 「しかもヒロインも同じ名前」
 「やっぱり『エヴァンゲリオン』だよねぇ」
 「勢い余って公式ウェブサイトを自前で製作」
 「そのサイトに自己満足的な設定を満載しようとして頓挫」
 「終いには、エスパー清田と面会して“超能力”にビックリ」
 「この期に及んで、まだ連載再開予定」

 ……などといった部分も、微妙なスパイスとなってダメっぷりを補強しており、まさに敵なしであります。

 以上の理由をもちまして、この作品こそ「ラズベリーコミック賞」に相応しいものと判断させていだだきました。

 
仁川経済大学賞(グランプリ)

 ……さて、エゲツない時間も終わりまして、いよいよイベントも大詰めであります。

 ラズベリー賞の余韻が残りまくっているでしょうから、ここでもう一度グランプリのノミネート作を振り返っておきましょう。

  ●『CRIME BREAKER !!』作画:田坂亮
 ●『だんでらいおん』作画:空知英秋
 ●『アイシールド21』
 
作:稲垣理一郎/画:村田雄介
  ●『ブラックジャックによろしく』作画:佐藤秀峰
  ●『立位体前屈物語』作画:河谷眞

 ……以上の5作品がノミネートされたわけでありますが、これまでの賞の選考過程をご覧頂きました通り、「ジャンプ」系3作品内の情勢は、既に『アイシールド21』に一本化されています。
 また、「小学館新人コミック大賞・青年部門」の大賞受賞作・『立位体前屈物語』は、あの立位体前屈を本格的な競技スポーツとしてスポ根ドラマの題材にした上で、全体を俯瞰すると優秀なナンセンスギャグに仕上がっている……という、趣向の凝らされた良作であります。が、重厚な内容の長期連載で人気を博している作品と比べると格不足は否めず早い段階で選考から除外されることになりました。

 ──そういうわけで、このグランプリは『アイシールド21』『ブラックジャックによろしく』の一騎討ちの様相となりました。
 果たしてグランプリの栄冠に輝いたのはどちらでしょうか? いよいよ発表であります。


 仁川経済大学賞(グランプリ)
受賞作
 

  『ブラックジャックによろしく』
作画:佐藤秀峰 

 ……グランプリに輝いたのは、“ワイルドカード”からノミネートされました、『ブラックジャックによろしく』でした。

 この作品の魅力を挙げ始めると、本当、枚挙に暇が有りません。
 連載開始以来、極限状態まで上がったまま全く落ちようとしないテンションの高さがまず素晴らしいです。
 更に、「正義とは、命とは、医療とは、人間とは果たして何であろうか」…という答の出ないテーマを求めながら、そして現実と言う絶対的強者の前に圧倒されながら、それでも自分なりの方法で懸命に生きようとするキャラクターたちを、見事なまでに生々しく描写する力量が素晴らしい。特に、力無き正義を振りかざす主人公の無力さをエグいほどに描き切ったところが秀逸です。
 “大部分の苦しみや絶望と一握りの希望“に占められた現実というものを究極に現実的に描こうとし、またそれに成功しているからこそ、ダークな話であっても読者は共感でき、また説教臭さが感じられないのでしょう。
 また、これまでの“英雄外科医”型の医療マンガと一線を画した斬新さも見逃せず、オリジナリティという点でも他の追随を許しません。
 タイトルは『ブラックジャックによろしく』もしも手塚治虫先生がこのマンガを読んだらどういった感想を抱かれるのでしょうか? 個人的には「その才能に思い切り嫉妬する」に1票を投じたい気分でありますが(笑)。

 この作品を前にしては、さすがの『アイシールド21』も力及びませんでした。しかし、立派な“準グランプリ”だと思います。ここでも改めて、その作品の素晴らしさを大いに称えたいと思います。

 

 ……と、以上が「仁川経済大学賞」の発表でした。ここで最後に、各賞の受賞作を振り返っておきましょう。

※各部門受賞作一覧※

 仁川経済大学賞(グランプリ)
 
 
『ブラックジャックによろしく』
 
作画:佐藤秀峰

 ジャンプ&サンデー・最優秀長編作品賞
 ジャンプ&サンデー・最優秀新人作品賞

 
『アイシールド21』

 
作:稲垣理一郎/画:村田雄介

 ジャンプ&サンデー・最優秀短編作品賞

 『CRIME BREAKER !!』
 
作画:田坂亮
 『だんでらいおん』
 
作画:空知英秋
 

 ラズベリーコミック賞(最悪作品賞)

 『エンカウンター 〜遭遇〜』
 
作画:木之花さくや

 ……皆さんのお好きな作品は、果たして受賞されたのでしょうか? 
 返す返す言いますが、もしも「ラスベリー賞」を受賞してしまってたらゴメンなさい。

 では、これでイベントを終わります。皆さんどうも長らくの御清聴、有難うございましたこれからも社会学講座を宜しくお願い申し上げます。

(…本日のイベントはこれをもちまして終了致しました。なお、これで全てのイベントが終了いたしましたが、式典は12月4日深夜まで続きます。どうぞごゆっくりご滞在下さいませ)

 

初日(12月1日) コスプレ・トークライブ
「社会学講座プレイバック〜講義で振り返るこの1年〜」

珠美:「改めまして申し上げます。本日はご来場頂き、有難うございます。只今より、記念式典初日のプログラム・トークライブを開始致します。私、このイベントの司会進行役を務めさせて頂きます、当講座助手の栗藤珠美と申します。お聞き苦しい点、色々あるかと思いますが、しばらくの間ご容赦下さいませ。
 ……それでは早速、このトークライブに出演するメンバーを紹介させて頂きます。まずこちらが、当講座アルバイト助手の一色順子──」

順子:「一色順子です。あんまり式典らしくない格好してますけど、よろしくお願いします(笑)」
珠美:「──そして、こちらが当講座の専任講師で、このウェブサイトの管理人・駒木ハヤトです」
駒木:「駒木ハヤトです。本日はお忙しい中ご来場いただき、有難うございます。皆さんのご支援のお蔭でここまで来ることができました。今日は少しでもご恩返しが出来れば…と思っております。どうぞ楽しんで行って下さい」

珠美:「……さて、あまり堅苦しくなると、お聴きの皆さんも緊張されてしまうでしょうから、ここからは少し砕けた感じでトークさせてもらいますね。
 本日のこのトークライブは、開講以来ほぼ毎日実施された講義を振り返りつつ、駒木博士に裏話なども交えながらこの1年間について色々とお話して頂こうというものです。
 博士、今日はこれまでなさらなかったお話もして頂けるとお聴きしてるんですが──?」

駒木:「まぁ、そうだね。今日は区切りの日と言うこともあるし、これまでは敢えて話さなかった事についても出来る限り話してみようかな…と思ってるんだ。
 ただし、このウェブサイトの世界観を壊すような事を喋っちゃうとさすがに興醒めなんで、キワどい所は適当に煙に巻かせてもらうけどね。まぁ喩えて言うなら、プロレスラーが雑誌のインタビューで、初めから勝ち負けが決まってた試合について真剣勝負っぽく振り返るようなモンだと考えてくれたらいい。
 ……まぁ、ここまで言っても『駒木は妄想の入った知ったかぶり野郎』とか言う輩が出て来るんだろうけど、それはもう仕方ないやね(苦笑)。世の中にはお笑い芸人に『ふざけるな、真面目にやれ』って本気で怒る人もいるくらいだしさ」
順子:「最近の博士って、『脳内博士号と脳内助手を妄想する学歴コンプレックス男』とか散々言われてますもんね〜(笑)」
駒木:「まぁ、現実と虚構の区別がつかない人間からしたら、僕が現実と虚構の区別のつかない人間に見えるってことなんだろうさ(苦笑)。そこまで錯覚してくれたら、本当の悪人だと誤解された悪役俳優みたいで、逆に少し誇らしくもあるけどね(笑)。
 ……と、前置きが長すぎだ。珠美ちゃん、そろそろ進行よろしく」
珠美:「ハイ。それでは博士には、開講に至った経緯から順にお話して頂きますね」

◆社会学講座開講まで◆

珠美:「それではまず、昨年11月末の開講に至るまでの経緯についてお話して頂きたいんですが、博士は開講以前、別のウェブサイトでプライベートな活動をなさっていたんですよね。皆さんの視点では左フレームのアーカイブに見えます、『今日の特集』というコンテンツが、その頃にお書きになったテキストだとお聞きしていますが──?」
駒木:「そうそう。まぁ言ってみれば今の社会学講座の前身にあたるモノになるのかな」
順子:「…ということは、去年の8月からこういう活動を始めたってことになるんですか?」 
駒木:「いや、実はそうじゃないんだよ。話すと少し長くなるんだけど、まぁこういう機会だし喋らせてもらおうか。
 僕がウェブサイト上の活動を始めたのは2000年の8月からだから……2年4ヶ月前だね。今はもう休眠状態になってるけど、ジオシティーズでスペースとドメインを借りてサイトを開いて、そういう活動を始めたんだ。
 初めは「KTRの趣味の館」さんみたいな総合的なサイトを目指してたんだけど、情けないことに見通しが甘くてね。そうしない内に、ダラダラ書く日記を毎日更新するだけで精一杯になっちゃった。まぁ、初心者がよくハマる罠だね(苦笑)」
順子:「あ〜、よく“ダメなテキストサイトの典型例”を紹介するサイトとかで出て来る、“どこへ行っても工事中のサイト”みたいなものですね(笑)」
駒木:「そうなんだよ(苦笑)。で、当然の事ながらアクセス数が全く伸びない。前からの知り合いが何日かおきに見に来てくれていて、それでやっと1日10ヒットするかどうか。だから、たまに“大ネタ”をカマしても情報が外部に行き渡らないから全く反応が無い(苦笑)。
 今、ここで講義したら大反響間違いナシの凄いネタもあったんだよ。ほら、シドニーオリンピックの競泳選手選考で揉めた事があったじゃない?」
珠美:「あ、千葉すず選手の一件ですね?」
駒木:「そう、それ。それでスポーツ界が騒いでいた頃、ちょっとした縁で、オリンピック代表の競泳選手を何人も送り出した学校の先生と知り合いになってね。で、色々と内部事情を聞かせてもらって、書ける範囲で日本水連の腐敗振りを告発するレポートを発表したりしたんだよ。ある意味、サッカーW杯の不正ジャッジ問題以上のインパクトを持った話だったんだけど、残念ながら縁が無かった」
順子:「でも、それってなんだか『探偵ファイル』さんのレポートみたいな話ですね(笑)」
駒木:「あー、今で言えばそれだね。アクセス数は4000分の1だったけど。……って、何だよ、4000分の1って。ガシャポンのロボット模型の縮尺かよ(苦笑)」
珠美:「(苦笑)。……と、そういう期間がしばらく続いたんですね?」
駒木:「そうだね。だからそれが1年くらい続くかな。その辺りでようやく、今のままじゃ、どうやったってダメだっていう事に気付いた。これは根本的に活動内容を改めないと、いつまで経っても知り合いにしか見てもらえないぞ…と。しかも知り合いたちとは、毎日チャットするかメール交換するかで接触持ってたから、それだったら、わざわざサイトでテキスト発表する意味が無いんだよ。
 というわけで、サイトを閉めるか、根本的に考え方を変えて外部向けのコンテンツを提供するかの二者択一を迫られて、当然の事ながら後者を選んだわけ」
珠美:「そこで始まったのが『今日の特集』ですね。でも、何故、『今日の特集』という名前に──?
駒木:「ああ、それは日記のコンテンツに書いてたから。日記の中の『今日の特集』って意味だね。イメージで言ったら、『ニュースステーション』の日替わり特集みたいなモノだと解釈してくれたら良いかな。
 これを始めた動機は、
 『ネットの閲覧者は、自分の知らない無名の男の私生活なぞ見たくも聞きたくも無い』
 という事と、
 『ネットの閲覧者は、自分が知りたい情報か、もしくは自分の知らなかった情報を求めている』
 ……という至極当然の事に今更ながらで気付いたから。で、そんな求められている情報を提供してみようじゃないかって思ったんだよ。勿論これは、この社会学講座の大前提でもある」
珠美:「そうだったんですか……。では、『今日の特集』時代のコンテンツの中で、博士自身が印象に残ってらっしゃるものはありますか?」
駒木:「そうだねぇ。当時は暗中模索って感じだったんで、今から考えるとお粗末な記事が多くて恥ずかしいんだけど(苦笑)、今のスタイルの雛型になってると言えるのは、

 『モー娘。新メンバー決定!』(全5回/01年8月26〜31日)
 『シアトルマリナーズ・イチロー選手個人2冠達成』(全5回/01年10月9日〜16日)

 ……といったあたりになるのかな。今と比べたら身軽な分だけ指が滑りまくってる印象があるけれども、これはご容赦願いたい」
順子:「……というより博士、『ちゆ12歳』さんの影響がモロに感じられるんですけど?」
駒木:「(ゲフンゲフンと激しく咳き込む)……いや、それはホラ、時期的なもの(当時、『ちゆ12歳』の人気がピークだった)もあるし、『模倣から始め、一歩先の創造を』って言うかね(苦笑)。まぁ、そういう事やってるから、この時期もアクセス数が大して伸びなかったんだろう(笑)。当時は必死だったんだけど、今から考えたら自業自得だね。
 ……当時のコンテンツの中で、まだ内容に自信が持てるものは、

 『椎名林檎ファンクラブ、こっそり閉鎖』(全3回/01年10月19〜21日)
 『田原成貴調教師、覚せい剤所持・使用で逮捕』(全4回/01年10月22〜28日)『後日談』(全2回/01年11月15、16日)

 ……ってところかな。椎名林檎ファンクラブの話は、『なりなりヘッドライン』さんに売り込みかけて、ニュースで採り上げてもらったから特に印象深いんだ。
 あと、田原成貴のニュースは、記事の対象に擁護する余地が全く無い状況だったから、思う存分指を滑らせた記憶があるなぁ。正直、反響が怖かったんだけど、随分後になってから、『私は競馬のことが全然分からないんですが、田原成貴の記事は楽しく読めました』って意見を貰って、あぁそういうものなのかって思ったりした(笑)」
順子:「わたしが気になるのは11月12日付の『特集』ですね。ゴマキの相手は誰だったのか、実際に聞くまで興味津々でしたよ〜」 
駒木:「あぁそれか(苦笑)。未だにメールで『答を教えて下さい』とか来るんだよね(笑)。けどもう訊かれても答えない事にするんで、メールは止めてください(笑)。もう昔話だし、別に本気で付き合ってたわけでも無いらしいから意味無いよ」
珠美:「……と、こうして2ヵ月半の活動の後、現在の『駒木博士の社会学講座』に移行するわけなんですが、この辺りの経緯について、お話を聞かせて頂けますか?」
駒木:「はいはい。…とまぁ、そうやって活動を続けていたらある時、以前からの知り合いで、当時個人でANSI(合資会社アスカネットワークサービス)っていう会社を運営してた平田さんから、『独自ドメインとサーバーを無料で提供してあげるけど、どう?』って太っ腹なオファーを貰ってね。それだったら、これを機に全く別物のウェブサイトにしてみようと思ったわけ」
珠美:「そうだったんですか。そういうわけで私たちの大学(仁川経済大学)に働きかけて講座を開設したわけですね。でもそれって、物凄い発想の転換じゃありませんか?」
駒木:「いや実は、発想そのものは『今日の特集』時代からあったんだよね。

 ◎『教養講座・彼氏にしてはいけない競馬ファンの見分け方』(全4回/01年9月26日〜10月1日)

 ……がそれ。このコンテンツ自体は、浅田次郎さんの著書・『初等ヤクザの犯罪学教室』と、タモリの往年の密室芸・『教養講座』ミックスしてパロディに仕上げたものだったんだけれどね。ミもフタもない言い方をしてるのも、実はそういうわけだったりするんだけど……」
順子:「え? タモリって、あの『笑っていいとも!』のタモさんですか?」
駒木:「あぁそうか、順子ちゃんの世代は知らないんだよね。タモリって人は、『笑っていいとも!』始めるまでは、密室芸っていう1人芸を得意にした天才コメディアンだったんだよ。4ヶ国語麻雀とか、ハナモゲラ語相撲中継とか、他には真似できない芸でカルトな人気を誇ってたんだ。今じゃ、年1回年末に出演する『徹子の部屋』でしか芸をやらないけど。
 で、その密室芸の1つに『教養講座』ってのがあってね。怪しげな大学のセンセイが、デタラメな事を本当のように講義するネタがあるんだよ。ジャズの起源がアフリカ人の遠距離同士の意思疎通に使う合図から来てる…ってところから始まって、いつの間にか業界用語講座になって終わる…みたいなね(笑)。
 んで、これを僕なりにやったらどうだろうって言うのが発想の第一点。ただ、“デタラメな事を本当っぽく”じゃなくて、“どうでもいい事を真面目な学問のように、でも中身は面白おかしく”…って感じにアレンジしてるから、これはパロディじゃなくてオマージュを捧げた別物なんだけれども」
珠美:「その怪しい大学っていうのが、仁川経済大学ですか?(苦笑)。ウチの大学の偉い人が怒って来そうで怖いんですけど(苦笑)」
駒木:「“教養講座”のタモリが、中洲産業大学芸術学部のタモリ教授って役ドコロなんだよ。それならこっちは仁川経済大学社会学部だと(笑)。どちらも大学の名前と学部がズレてるのが良い感じだろ?」
珠美:「まあそうですけど……(苦笑)」
駒木:「でもアレだよ、仁経大(=仁川経済大学)の偉いサンは物分りが良かったよ。講座の開設どころか、『学士の身分じゃ心細いだろうから、ウチの大学が出すバッタモンみたいな博士号で良かったらやるよ。とりあえずパパっと論文書け』とまで言ってくれたし。
 ただ、『名前は貸してやるが、正規のカリキュラムじゃない講義に給料は出せんぞ』とも言われたから、いい加減なんだかシッカリしてるんだか分からない(苦笑)」
順子:「通っておいて言うのもナニですけど、とんでもない大学ですね〜(笑)」
駒木:「ここはフォローして『懐が深い』と言っておくよ。ギャンブル社会学と競馬学を付属高校のカリキュラムから必修に据えるなんて、素晴らしいじゃないか(笑)。
 ……で、平田さんから『事務的な問題で、しばらく“www.komagi.com”のアドレスが使えないんだけど、どうする?』って言われた時に、じゃあ博士号も取った事だし“Dr.komagi.com”にしようと。ピリオドの位置が絶妙だろ?
 そして僕だけだったら、いくら努力しても嫌な男臭さが抜けきらないんで(苦笑)、仁経大を飛び級卒業した後、身分が宙ぶらりんになってた珠美ちゃんをスカウトして、助手をやってもらう事にしたんだ。大学側も『どうせ遊ばせておくなら』って快諾してくれた。」
珠美:「今の日本だと、20歳で四大卒しても困惑されるだけなんですよね。それで学内に残ったんですけど、そこでも居場所が無くて、“社会学部付”という肩書きで雑用ばかりしてたんです。だから、このお話が来た時は嬉しかったですね。まさか夜9時から朝5時の勤務で働かなくちゃならないとは思ってませんでしたけど(苦笑)」
駒木:「そういうわけで、珠美ちゃんには研究室に詰めてもらって、色々な雑務に加えて日誌を書いてもらうことにしたんだよ。男が自分で書いた日常なんかそれだけで面白くないだろうし、珠美ちゃんという“ワン・クッション”を置くことで余計な事を喋らなくなるだろうってね。実際、この狙いは当たったと思ってるけど」
順子:「結局、この時期のアクセス数ってどれくらいだったんですか?」
駒木:「11月時点でRead Me!(以下、リドミとします)の得票数が30程度だったんじゃないかな。以前からの“基礎票”が10ほどあったから、2ヵ月半かけて20アクセス/日だけ増加したわけだね。
 結局この期間は、労力の割にはなかなか報われない苦しい時期だった記憶が大きいなぁ。だから逆に言えば、当時から駒木を支えて下さった人たちには足向けて寝られない思いで一杯。まぁどっちの方角で寝てらっしゃるのか判らんのだけれども」

◆開講から2001年12月末まで◆

珠美:「では、ここからは一月ごとに区切って思い出を語って頂きましょう。まずは11月末の開講から12月一杯までになりますね。
 ……まず正式開講に先立ってオープンキャンパスを実施したんですよね。題材は競馬学特論で、ジャパンカップのレース回顧でした」

駒木:「『今日の特集』の常連さんたちへの挨拶も兼ねての予行演習ってところだね。本当はレース予想をするつもりだったんだけど、いきなりネットワークのトラブルがあって予定が狂ってしまったんだよね。なんて幸先が悪いんだろうと思ったけど、実際にこれから数ヶ月間は肝心なところでトラブルに泣かされる事になるから、やっぱり暗示してたんだなぁ。
 ……ところで、この時に嬉しかったのは、『@改造工房』さんから開講前日と当日に直リンク張って告知してもらえた事だったね。『今日の特集』時代からリンク集に載せさせてもらってたから、多分アクセス解析経由でチェックして下さったんだろうけど、それまでそういう経験無かったからねぇ」
順子:「TV初出演の新人歌手が、楽屋で有名歌手から励まされて感激する…みたいな話ですね、それ(笑)」
珠美:「そして11月29日に正式開講となりましたが、その初日の講義の内容が……(汗)
駒木:「あぁ、そう言えば第1回の講義はコレだったんだっけ(笑)。

 ◎マス・コミュニケーション論『マンガ新人賞の新しい姿』(全1回/01年11月29日)

 今は色々あって廃刊になってしまった『カラフルBee』っていう成年向マンガ誌があったんだけど、その雑誌の新人賞について講義した話だったね。
 その新人賞なんだけど、審査を担当した編集者が、新人の描いたエロマンガについてメチャクチャ細かい講評を書くんだよ。それが面白くて講義の題材にしたんだけどね。内心では結構狙ってたんだけど、ファウルチップで終わった感じ(苦笑)」
珠美:「ね、狙ってたんですか?」
駒木:「実はね(苦笑)。でも、受講者数が増えてからやった続編02年2月25日付講義)の時にはソコソコ反応があったから、題材としては悪くなかったはずなんだけどね。でもまぁ、面白いとは思っても他人に『これ、どうよ?』…とはなかなか言えないよね。第一、恥ずかしいし(笑)」
順子:「講義してる本人がそれ言ってどうするんですか(笑)」
珠美:「……そして12月に入りまして、6日から『現代マンガ時評』が始まります。現在では最も受講者数の多い講義になりましたが、博士ご自身は、こういう事になると予想してらっしゃいましたか?」
駒木:「いや、全然(苦笑)。実は『現代マンガ時評』の日というのは、翌日に朝イチ出勤を控えた曜日に実施してるんだよね。少なくとも題材探しから始めなくて済むから、時間短縮ってわけ(笑)。だけど年明け頃から反響が大きくなるに連れて手抜きが出来なくなって、今では一番準備時間のかかる講義になってしまったよ(苦笑)」
珠美:「そういう裏事情があったんですよ、皆さん(笑)。
 ……さて博士、12月の講義の中で思い出深いものはありますか?」

駒木:「そうだなぁ、この時期はまだ『今日の特集』のカラーが抜け切ってなくてアレなんだけど、

 ◎法学(一般教養)『日本国女帝誕生へ向けての諸問題』(6回までで未完/01年12月10日〜02年3月7日)

 ……この講義は思った以上に反響が大きくてビックリした覚えがあったね。結局この講義は、話のスケールが大きくなり過ぎて、先が見えないまま尻切れトンボになっちゃったんだけど、受講生の皆さんが“教科書に載ってない歴史話”に飢えている事が分かって興味深かった。
 で、これが後に『学校で教えたい世界史』に繋がっていくことになるわけ。
 あとは……、これは僕が担当したわけじゃないんだけど、

 ◎馬事文化学特論・ステイゴールド号G1制覇記念ショートストーリー・「Stay Gold Forever」《作:栗藤珠美 監修:駒木ハヤト》(全1回/01年12月20日)

 ……が、思い出深いなぁ(笑)」
珠美:「!!」
順子:「わっ、珠美先輩の短編小説ですか !?」
珠美:「博士〜、そんな“古傷”をここで出すなんて酷いですよ〜(半泣)。内容もそうですけど、句読点の打ち方が下手で下手でどうしようも無い作品ですのに……」
駒木:「一晩で原稿用紙30枚分書いたんだっけ? 僕は成績面の監修だけだったんだけど、珠美ちゃんの悪戦苦闘振りは他人事に思えなかったなぁ(笑)」
珠美:「あーもう! 次行きましょう、次!」

◆2002年1月◆

珠美:「1月ですが、社会学講座は三が日も返上で連日講義を実施しました。私も、晴着姿の女の子たちを横目に毎日出勤したのを覚えていますね」
順子:「博士も珠美先輩も働きすぎです(笑)。普通、お正月も徹夜で営業してるのってフリー雀荘くらいですよ(苦笑)」
駒木:「この頃は無我夢中だったよね。それに、今年の正月はフードファイト(大食い&早食い)番組ラッシュだったから、休むわけには行かなかったんだよ。

 ◎文化人類学『フードバトルクラブ・キングオブマスターズ』プレビュー&TV観戦レポート(全5回/02年1月2日〜1月10日)

 ……これね。当時はフードファイト関連の講義が“看板講義”だったんだよね。フードファイト・ファンの人にターゲットを絞って新規受講生の獲得を目指してた時期なんだ。この頃になってやっと、1日平均の受講者数が100人を超えたのかな」
珠美:「フードファイトの競技を、スポーツの試合を見るように真面目に解釈したスタンスが好評だったんですよね」
駒木:「他のフードファイト・ファンの人のサイトって、特定の選手を応援するものが多いからね。だから余計に新鮮に映ったんだろうなぁ」
珠美:「この1月で、他に紹介したい講義はありますか?」
駒木:「そうだなぁ。周りの反応は今一つだったんだけど、自分の中では完成度の高い講義が出来たと思ったのが、

 ◎環境社会学「漂流クジラの行方」(全2回/02年1月27〜29日)

 ……これなんだけどね。この当時の講義スタンスでは、一応完成形に近い形かな。体調最悪だったせいか、肩の力が抜けて良い感じになってるみたい(笑)」
順子:「ここまで話を聞いて思ったんですけど、力んだらダメなんですね、博士って(笑)」 
駒木:「そうみたいだね(苦笑)。これからもそんなパターンの連続だしね」

◆2002年2月◆

珠美:「2月と言えば、私にとっては何と言っても学園祭の『ちゆデー』なんですけれども……」
駒木:「そうだね。これは僕にとっても思い出深いよ。仁経大は休み中の2月と8月に学園祭をやるんだけど、インターネット通信課程でもこれに便乗しない手は無いと思ってやってみた。ネット学園祭だね。

 ◎仁経大学園祭2002年冬・社会学部インターネット通信課程の部『バーチャル・バーチャルネットアイドル栗藤珠美21歳』(02年2月2日)

 ……これは、言ってみればこの講座の“メジャーデビュー”みたいなものだった。インディーズ上がりの無名バンドが『HEY! HEY! HEY!』に出て、浜ちゃんに頭シバいてもらうような感じ(笑)」
順子:「でも、どうして『ちゆデー』なんですか? 確かに“ちゆフォーマット”(『ちゆ12歳』のようなデザインのフレームページ)を使ってはいますけど、『ちゆ』さんとは全く面識が無いですよね?」
駒木:「これは開講当初に話が遡るんだけどね。デザインが“ちゆフォーマット”で、日誌欄に珠美ちゃんのデフォルメイラストが載っていたせいか、この頃はよくバーチャルネットアイドル・サイトと間違えられたんだよね。『バーチャルネットアイドル・ほかん庫』にも載ってたし。紛らわしいのは確かだけど、苦笑するしかなかった」
珠美:「でも、私が博士に『ウチは違いますって言いましょうか?』ってお訊きすると、『いや、せっかくリンク張ってもらってるんだから、そのままにしておいてもらいなさい』って(笑)」
順子:「博士、セコい(笑)
駒木:「……で、それを逆手に取るってわけじゃないけど、敢えて珠美ちゃんを1日バーチャルネットアイドルに仕立て上げる事で、『でも実は違うんです』という宣言をさせてもらったんだよ。だから、“バーチャル・バーチャルネットアイドル”。架空の架空ネットアイドルってことだね」
順子:「でも、本当に『ちゆ12歳』さんそっくりのデザインになってますね〜」
駒木:「そりゃそうだ。本家のページを編集して作ったんだから似てて当たり前だよ。ご本人さんも『大歓迎』って言ってたしね」
順子:「……博士って本っ当に、セコいですね
駒木:「強調しなくていいんだよ、そんな事は(苦笑)。……まぁ、この『ちゆデー』は大成功だったね。沢山のビジターさんにも来てもらえたし、評判そのものも悪くなかったしね」
珠美:「あと2月と言えば、やっぱり、

 ◎文化人類学『2001年度・フードファイター・フリーハンデ』(全4回/02年2月15〜21日)&『2002年中間レイト』(全4回/02年7月29日〜8月18日)

 ……ですか?」
駒木:「そうだね。フードファイト関連講義の総決算みたいな企画。フードファイト選手の能力を、記録を参考にして完全数値化したという、恐らく世界初の試みだね。『世界で他にこんなヒマな事する奴ぁいねぇ』ってだけだとも言うけど(笑)」

◆2002年3月◆

珠美:「さて3月です。この月はいかがですか?」
駒木:「前半はフードファイト関連と、西宮競輪場最終開催レポートが中心か。まぁ、このあたりはこれまでのスタンスを踏襲してる感じだね。
 後半になると今度は、現在の社会学講座で主流になって来てる、地道な取材と“教材研究”に基づいた長期シリーズ講義が続々と始まり出す。過渡期だったんだね、要は。
 で、講義としては、やっぱり、

 ◎現代社会学特論『椎名林檎、高らかに現役復帰!』(全16回/02年3月19日〜5月27日)

 ……が印象に残ってるよね。椎名林檎さんの幼少期から現在までを追いかけたもので、特にアマチュア時代の話を中心にしたから、一般的なディスコグラフィーとは一味違う出来に仕上がったかな…との思いはあるね。
 この講義、2ヶ月がかりということもあったし、受講生さんからの評判も地味だけど上々だった。あぁ、あと、完結寸前になって林檎さんが離婚したのがインパクト強かったなぁ」

◆2002年4月◆

珠美:「4月は3月後半からの長期シリーズが中心ですね。あとはやっぱりフードファイト関連講義ですか」
駒木:「この4月は、ほとんど題材探しをしなくて済んだんで、かなり精神的に楽だった覚えがあるなぁ。で、月末にには、開講当初からの“どうでもいい事を真面目な講義っぽく”って感じの単発講義も出来ているし、形としては充実しているね」
順子:「神戸に住んでる人間としては、

 ◎広報産業概論「駅の吊革広告に『ときメモ』」(全1回/02年4月28日)

 ……が、身近な話で笑えたんですけど、これは他の地方の人には理解できたんでしょうか?(笑)」
駒木:「今から考えたら無茶だよね、確かに(笑)。まぁ、そういう講義をするのが社会学講座の持ち味だって思い込んでたフシもあったからなぁ。
 この頃のアクセス数は、リドミの得票数で150前後。2月の学園祭以来、この数で落ち着いてしまった感があって、もう“上げ止まり”かなっていう諦念みたいなものも沸き出してたかな。この社会学講座のスタンスが、本質的にアクセス数が伸びるようなものじゃない事が分かりかけて来た事もあったし」
順子:「それはどういう事ですか?」
駒木:「ん〜、テキストサイトでアクセス数を伸ばす所っていうのはね、大抵は以下に上げた4つの特徴のどれかを満たしているんだよね。

 1.エロゲーやアニメの話題を中心に扱っている。
 2.多くの協力者に支えられて、膨大な数の詳細なニュースを紹介している。
 3.1つの分野に特化して“狭く深く”コンテンツを作成している。
 4.同系統のサイトと友好関係を結んで、直リンクを張り合いながらお互いをサポートする体制が完成している。

 ……この社会学講座って、全部合ってないんだよね(苦笑)」
順子:「あ〜、確かに……」
駒木:「特にウチは、同系統のサイトが無いから“直リンク交流”が出来ないんだよ。大手サイトの管理人さんたちからは『いつも拝見させてもらってますよ』という有り難い声はかけてもらえたりしてたんだけどね。“有名人の通う路地裏の小料理屋”みたいだな(笑)」

◆2002年5月◆

珠美:「ところが、そんな事を考えていた矢先、とんでもない事が起こるんですよね。この5月に、社会学講座の最大の転機が訪れます」 
駒木:「その話に行く前にさ、この月は大変だったんだよね。無償で貸してもらっていたANSIさんのサーバーが深刻な故障に遭ってしまって、こちらからのアップロードが出来なくなってしまったんだよ。この頃は2回目の学園祭、

 ◎仁経大2002年新歓祭・社会学部インターネット通信課程の部『バーチャル・バーチャルネットアイドル栗藤珠美21歳』(02年5月2日)

 ……があって、新規受講者さんが増えた直後だけに、このロスは痛くてねぇ。こちらから無理に頼み込んで、HTMLファイルをANSIさんにメールで送って、手動でアップロードしてもらったりしてた。辛かったり、厚意を受けて有り難かったり…だったね」
珠美:「それでも、その苦労が報われる時がやって来たんですよね。

 ◎特別演習『徹底検証! 世界漫画愛読者大賞』(全3回/02年5月20〜22日)

 ……この講義を、『最後通牒・半分版』さん、そして『ちゆ12歳』さんで大きく採り上げて頂いた結果、物凄い数のビジターさんに受講して頂く事が出来ました
駒木:「瞬間最大的にアクセス数が伸びて、その後の受講生さんが数倍に膨れ上がったんだよね。『ちゆ12歳』経由のビジターさんが大半だったんで、僕たちは“ちゆインパクト”と呼んでいたりするけど(笑)。
 ちなみに、この時のアクセス数の増え方こんな感じ売れない演歌歌手がいきなり紅白に出たみたいだ(笑)。
 でも、実はこの講義も怪我の功名なんだよね。この時期、開講以来最悪のスランプに苛まされててさ。仕方ないから、笑いの要素全く無しの真面目な講義で態勢を立て直す事にしたんだ。
 そうしたらソコソコ良い感じの講義になったんで、『よし、それなら』って、『最後通牒・半分版』さんに『こういうの書きましたが、いかがですか?』ってお伺いを立てたんだ。それで大きく採り上げて頂いて、“ちゆインパクト”に繋がった……と。だから、本当の恩人は『最後通牒』の高嶺颪さんと言うべきだね。この場を借りて改めて御礼させてもらいます。有難うございました

◆2002年6月◆

珠美:「そして6月も色々な出来事がありましたが……」
駒木:「そうだね。でもとりあえず、自分的にはベスト1の講義とも言える、

 ◎メディアリテラシー特論「『探偵ファイル・電脳探偵マル秘レポート』に対する論題〜“宮村優子裏ビデオ”解題」(全2回/02年6月10、11日)
 ◎メディアリテラシー特論「『探偵ファイル・電脳探偵マル秘レポート』に対する論題・その後」(全1回/02年6月18日)

 ……これを紹介しておきたいね。宮村優子さんの名誉のためにも、まだ未受講の人には是非ご覧頂きたい講義だよ」
順子:「あ〜、これって『探偵ファイル』さんに真正面からメール送って問いただしたんですよね。講義の後は色々言われたんでしたっけ?」
駒木:「『あそこはヤバい、本名と住所晒されるぞ』とか言われたよ。んなわきゃないって(苦笑)。人を猫殺しとか集団レイプ魔とかと一緒にするなって(笑)
 ……結局、その『電脳探偵マル秘レポート』って、文章書いた山木氏の部下が1人で関係者に聞き込んで作ったんだよね。山木氏が雑誌のインタビューで言ってたよ。あれだけエグい事を書いてる割には随分と取材が杜撰に感じたのは僕だけかな? 全部がウソってわけじゃなさそうだけど、間違いなくガセネタも混じってるよね、とりあえずは。
 それにこの前も、『BLACK CAT』がアンケート最下位爆走中とか根拠の無い事言ってたよなぁ、山木氏。もしそうだったら問答無用で打ち切りになってるって(苦笑)」
珠美:「……と、そういう事もあったんですが、やはり6月の講義と言えば、

 ◎スポーツ社会学(ニュース解説特別編)『2002年W杯・韓国についての諸問題」』(全5回/02年6月27日『ニュース解説』〜7月8日)

 ……ですね。『知らされなかった韓国サッカーの“裏側”』(既に閉鎖)さんで採り上げて頂いて、“ちゆインパクト”の再現となりました。私たちは“セカンドインパクト”って呼んでますけど(笑)」
駒木:「この時は熱かったなぁ。この講義で溜飲を下げた老若男女、様々な人から激励のメールを頂いてね。こんなスカタンな社会学講座でも人のお役に立てたのかと思うと、グッと来るものがあった」
順子:「そう言えば、例のモレノ審判って、その後どうなったんですか?」
駒木:「地元エクアドルの試合で、ロスタイムを12分も取る不正ジャッジをやらかして謹慎喰らったところまでは9月に紹介したね? で、どうやらその後、市会議員選挙にも惨敗して審判業も引退今は哀れなプータローだそうだよ(笑)」
順子:「うわ〜、因果応報〜(爆笑)」
珠美:「そして、この“セカンドインパクト”の最中に、通算アクセス数が10万を突破しました。その前の日あたりに、駒木博士と『明日の今頃あたりに10万アクセスですね』…なんて、しみじみとお話していたら、実感を味わう間もなく……(苦笑)」
駒木:「でも、これは本当に嬉しかったんだよね。今だから言えるけど実は、『今の活動を1年やって、10万アクセス行かなかったら、これは才能が全く無いという事なんだから、一切の言論活動から足を洗ってしまおう』って決めてたんだよ。で、その前の月まではそうなっちゃうペースだったから、余計にね。こんな自分でも捨てたモンじゃないなぁって泣きそうになった

◆2002年7月◆

珠美:「……そして、いよいよ下半期に突入ですね。でもこの7月は、駒木博士が高校の教員採用試験を受けなければならなくなったので、変則的なカリキュラムになりましたね」
駒木:「試験勉強はともかくとして、睡眠時間を確保する必要があったんでねぇ。さすがに、いつもみたいに“3時間睡眠+2日に1度3時間仮眠”って生活じゃ、試験どころじゃなくなってしまうからさ。
 で、講義も短めのものが中心内容も世界史とか採用試験関係のものが多いよね。

 ◎歴史学(一般教養)『短期集中企画・駒木博士の歴史覚え書き』(全4回/02年7月9〜19日)
 ◎教科教育法(高校地歴)『実録! 平成15年度兵庫県教員採用試験レポート』(全3回/7月21〜23日)

 ……『歴史覚え書き』は予想外の大好評と続編のリクエストを頂いて、9月からの『学校で教えたい世界史』に直結してゆくし、『採用試験レポート』も、一般の方にはインパクトが強かったみたいだね」
順子:「博士……わたし、採用試験の問題、見るだけで頭が痛くなっちゃうんですけど……」
駒木:「そういう人多かったみたいだよ(笑)。『こんなので良い先生が選べるのか?』って意見を頂いたりしてね。でも兵庫県はまだマシなんだよ。他の県なんかだと、教員採用が全部コネで決まっちゃうところもあるくらいだから」
順子:「全部コネって(苦笑)」
駒木:「そういうところでは、頼んだ相手の“格”と、包む賄賂の金額で採用が決まるんだよ。県会議長に1千万積んだら、どんなバカでも教員になれるよ。信じられないような本当の話」
珠美:「……それでも7月の末頃になりますと、次々と新しいテーマの講義が始まりますね」
駒木:「溜まってたエネルギーがストレスと共に発散された感じかな。この頃になると、コンスタントに一定のレヴェルで講義が出来るようになった感じがする。あと、色々な講義を同時進行させていくシステムが確立されたから、それが良い気分転換になってたのかも知れないなぁ。

 競馬学特別講義「目指せ回収率アップ! 馬券学基本講座」(全4回/02年7月27日〜8月24日)
 社会経済学概論「映画業界の異端児・アルバトロス風雲録」(第4回までは別タイトル)(全15回/7月10日〜9月25日)

 ……『アルバトロス風雲録』は、途中から全く別の内容になって終わっちゃうところなんて、タモリの“教養講座”そのまんまだよね(笑)。このアルバトロスの講義に関しては、一般受講生の方だけでなく、B級映画好きの人からも好評を頂いたんで、とても嬉しかったのを覚えているよ」

◆2002年8月◆

珠美:「そして8月です。8月の講義は前の月からの続き物が多かったんですけれども、月初めの学園祭で、いよいよ順子ちゃんが登場したんですよね」 
順子:「やっと出番が来ましたね。麻雀ネットアイドル・一色順子で〜す!」
駒木:「実は春の新歓祭でデビューという話もあったんだけど、諸事情があって夏まで延びてしまってね。この8月にようやく登場という事になった。

 ◎仁経大2002年夏祭り・社会学部インターネット通信課程の部『麻雀ネットアイドル一色順子18歳』(02年8月4日)

 ……ギャンブル社会学・麻雀部門担当、それから珠美ちゃんの週休2日制導入に伴う欠員補充という事で、現役フリー雀荘メンバーの順子ちゃんを仁経大からスカウトして来たってわけだね」
順子:「この学園祭は一生懸命頑張ったんですけど、肝心の『ちゆ12歳』さんが休眠状態で、ビジターさんにはほとんど来てもらえなかったんですよね〜(苦笑)」
駒木:「かなりの力作だったんで、これは残念だったよね。研究室のメンバー、みんなが張り切ってやってたんだけど……。
 この後、順子ちゃんには火、水曜に研究室に来てもらうようになって、麻雀関連の講義の時にはアシスタントも務めてもらうようになったんだよね」
順子:「でも、最近は全然麻雀関連の講義が無いので、出番が全然ありません(苦笑)」
駒木:「秋から火曜日が休講日になっちゃったからねぇ。まぁ年が明けて、高校の仕事の方が緩くなったら麻雀プロの世界について講義をするつもりでいるから、アテにしないで待っててくれ」
順子:「分かりました(笑)」

◆2002年9月◆

珠美:「9月です。この頃になりますと、受講生さんの数も落ち着いて来て、良い意味で安定した運営が出来るようになって来ましたね。20万アクセスを達成したのもこの時期です」
駒木:「リドミの得票数で950前後、ただしゼミだけ受講する人が多い金曜日だけ1050前後『思えば遠くに……』って感じだよねぇ。本当に有り難いなぁ……。
 最近は講義の準備に時間がかかりまくってて、平日はナポレオンみたいな睡眠時間で仕事に向かう事が多いんだけど、これだけ多くの人が応援してくれてると思うと、活力が沸いて来る」
珠美:「この頃になりますと、本当に世界中、色々な所からの受講生さんに来て頂けるようになりましたよね」
駒木「特に多いのが、現役の大学生の人。学校のパソコンからわざわざ見に来てくれてるんだよね。
……ちなみに、大学別の逆アクセスランキングを発表すると、まずダントツで1位が東京電機大学。こんなガチガチ文系の講座なのに、何故か電機大学が1位(笑)。
 そして2位、3位も不動で、これが驚いた事に東京大学京都大学。その“3強”へアメリカのウィスコンシン州立大学が迫る勢いと、もうメチャクチャ(笑)」
順子:「こんな講座なんか受講していて、本当の単位の方は大丈夫なのか、ちょっと心配ですね(笑)」
駒木:「『こんな講座』って、キミが言うなキミが(笑)」
珠美:「……さて、この9月からはカリキュラムが変わりまして、原則的に平日は歴史学の講座を行う事になりました。

 ◎歴史学(一般教養)『学校で教えたい世界史』(現在21回まで終了/02年9月4日〜) 

 ……高校の教科書をベースに、時間等の制約により学校では語れない範囲まで広げて、全般的な歴史学のお話をするという試みでした」
駒木:「本当ならこれで来年春まで突っ走るつもりだったんだけど、敢え無く2ヶ月で休講→大幅ペース低下という事になってしまった。内容は全然進まないわ、講義内容が最新の学説に合致してるかのチェックは大変だわで、身も心も保たなくなっちゃったんだよね。題材としては申し分ないだけに、我ながら残念でならないんだけど。
 でも、これはライフワークとして、これからもコツコツと続けるつもり。とにかく長い目で見守って下さい」

◆2002年10月◆

珠美:「さぁ、もう一息ですね。長丁場のトークライブになりましたけど、皆さんも頑張って聞いて下さいね(苦笑)」
順子:「わたしたちが一番辛いんですよ(笑)」
駒木:「何を漫才師みたいな事言ってんだ(苦笑)」
珠美:「10月は、世界史の講義がメインで、他の講義は週1ペースで実施していました。ですから、少し講義の種類も少なめですね」
駒木:「まぁ敢えて挙げるとすれば、受講生さんたちのリクエストでボツネタから昇格した、落語立川流の“前座哀史”こと、

 ◎伝統文化論『江戸落語界出世事情』(全2回/02年10月13日〜20日)

 ……これぐらいがこの月のトピックスかな。『学校で教えたい世界史』の難航と高校講師の仕事が体に堪えてて、心身ともに疲れてたって記憶しかないなぁ」 

◆2002年11月◆

珠美:「そして先月になったばかりの11月です。この月は一転して、色々な題材の講義が実施されました」
駒木:「11月はね、受講生さんには悪いんだけど、僕のやりたい講義だけを楽しんでやらせてもらったって感じ。その最たるものが、

 ◎文献購読(小説)『駒木博士のショート・ショート発表会』(全3回/02年11月4〜13日)

 ……だね。いつも『現代マンガ時評』で偉そうな事を言ってるクセに拙い作品ばっかりだけど、眼高手低(己の審美眼以上の作品は生み出せない、という意)を承知で描かせてもらったわけ。賛否両論だったけど、反応が返って来たってだけで嬉しかったね。それなりにインパクトだけはあったって事なんだろう。
 あとは現在進行中の講義から、

 ◎ギャンブル社会学「toto(サッカーくじ)売上げ低迷、その原因を探る」(現在2回まで終了/02年11月24日〜)

 ……これは久し振りの本格的なギャンブル社会学なんで、是非これからもどうぞよろしくって宣伝しておこう(笑)」

◆そして、これから……◆

珠美:「……というわけで、このトークライブもまとめということになりました
駒木:「長々と話しちゃったねぇ。やっぱり色々溜まってたものがあったのかな(苦笑)」
順子:「アンチの人たちの『この自己満足野郎、氏ね!』っていう声が聞こえてきそうですね(笑)」
駒木:「まぁこれは1回限りのお祭りだからね。どうかご容赦願いたい」
珠美:「さて最後に、これからの社会学講座なんですけれども、どういった展開になるんでしょう?」
駒木:「そうだねぇ。とりあえず、今のような体制は来年の3月まで。これは確定ね。さすがに最近、体力と気力の減退が進んで来て、色々な意味の限界が近づいて来てるんだよ。
 それに、1日区切りじゃなくて、もっと腰を据えて書きたい題材も溜まってたりするしね。今の体裁のままで更新頻度が落ちるだけなのか、それとも全く違った形になるのかは未定だけど、僕にとっても受講生の皆さんにとっても不幸にならない形でどうにかしたいとは考えているので、もうしばらくお付き合い下さい。今日はどうも有り難うございました
珠美:「……というわけで、ご来場の皆様、これからもどうぞよろしくお願いします。今日は有難うございました
順子:「ありがとうございました〜

(…本日のイベントはこれをもちまして終了致しました。なお、明日12月2日には、この会場にて『仁川経済大学コミックアワード』を開催致します。どうぞ、足をお運び下さいますよう、宜しくお願い申し上げます)


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