「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
5月30日(木) 演習(ゼミ) |
今日は“ちゆインパクト”後、初めてのゼミになりますので、新しい受講生の方たちのために改めてこのゼミについての説明をさせて頂きます。 このゼミ・「現代マンガ時評」はその名の通り、新しく発表されたマンガについてのレビューを行う講義です。新人マンガ賞受賞者など、ニュース系の話題もお送りしますが、こちらは補助的なものと思ってください。 現在は、駒木1人だけでゼミを担当しているため、「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年サンデー」の2誌を中心に、他誌の注目作を若干扱うのみに留まっていますが、将来的には非常勤講師をお招きして他誌のレビューも実施する計画です。 また、レビューの最後にはA+からCまで7段階の評価を付記しています。評価の基準はこちらを参照して頂ければと思いますが、端的に言えば、Bで「可も不可もなく」、B+で「マンガ好きにお薦め」、A−で「一般人にもお薦め」、Aで「文句なしの傑作」……となります。A+は10年に1度出ればいいレヴェルと考えてください。 ……と、いったところでしょうか。それではゼミの本題へと移りたいと思います。 まずは情報系の話題から。 もうインターネット業界では既報も良いところなんですが、元「週刊少年ジャンプ」連載作家・しんがぎん氏が急逝されました。29歳の若さでした。死因等については、病死という以外に確定情報がありませんので、記述を控えることにします。 このニュースは、例の「徹底検証! 世界漫画愛読者大賞」の講義と相前後して飛び込んで来まして、何とも言えない気持ちにさせられました。 しんがぎん氏の冥福をお祈り致します。
それでは今週のレビューの方へと移らせて頂きます。今週のレビュー対象作品は、ちょっと寂しくて「ジャンプ」からの2作品のみ、と言う事になります。もう少し時間的に余裕が有れば、他誌からも1〜2作品紹介したかったのですが……。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年25号☆ ◎新連載(連載再開)『ヒカルの碁』(作:ほったゆみ/画:小畑健) 「佐為編」の最終回で予告された通り、6回の読み切り番外編を挟んで、連載が再開されました。今回がその第1回となります。 もうすっかり完成された感のある作品ですので、改めてレビューするのもどうかという話なのですが、気後れせずに頑張ってみたいと思います。 まずは絵ですが、もうコレは文句のつけようがありませんよね。これだけの高いレヴェルや密度の作品を週刊ペースで発表できるというだけで驚異的でしょう。 …と、それだけでは芸が無いので、今回改めてジックリと読んでみて気になった点を1つ。 …と、絵に関してはこれくらいにしておきまして、ストーリーに関しても少々述べさせてもらいます。 ネーム担当のほったさんの素晴らしい所は、とにかく脚本力の豊かさなんですよね。できる限り説明的なセリフを排した流れるような会話文の構成、さらにセリフとモノローグの使い分けもほぼ完璧です。主に堅苦しい表現なんかはモノローグにするわけなんですが、これが出来そうで出来ないものなのです。 とりあえずしばらくはヒカルの高い実力を見せつけるようなエピソードが続く事になりそうです。そして、それが終わり次第、「日中韓Jr.団体戦」の国内予選に突入していくのでしょう。 さて、続いては『プリティフェイス』の3回目についてのレビューなんですが、叶さんの経歴について新たな事実が判明しましたので、そちらの報告から。 先週号(25号)の巻末コメントに、叶さん本人から「連載は10年ぶりで──」という旨の発言がありました。これは、これまで知られていた「デビュー10年目にして初連載」という経歴と食い違うものです。 さて、では作品のレビューへ。 3週間読んでみて、やっぱり思うのは「絵が上手いよなぁ」という事。叶さんは、何と言いますか、マンガ的表現に優れている作家さんなんですよね。表情のデフォルメ表現がとても激しいんですが、その割には不快感を感じさせないんです。余程自分の絵に自信を持っているんだろうなあ、という事が伝わってきます。 まぁ少なくとも、続きを読んでみたいな、という気分にはなって来ました。評価も上げたいと思います。前回はB寄りB−でしたが、今回はB+へ。1段階半の上昇です。現在厳しい生き残り合戦ですが、まとまった話になるところまで続いてくれればなぁ、と思います。
……と、以上でレビューは終了です。今回は作品が少なかった分だけ密度を濃くするように努めましたが、どうだったでしょうか? 次回は「ジャンプ」「サンデー」の他、「世界漫画愛読者大賞」準グランプリ作『がきんちょ強』についても扱う予定です。お楽しみに。ではでは。 |
5月29日(水) 社会経済学 |
では、前回に引き続きいての実践編であります。前回をまだ未受講の方はこちらからレジュメの閲覧を。 ……さて。 そのヒントを前回の講義から探ってみますと── ◎ミル=マスカラスのマスクのように、有名人の品ならインパクトも強いし、盛り上がること間違い無し。 ……といったところでしょうか。 男性タレントなら、やっぱりキムタクでしょうか。彼の体のパーツならいくらでも買い手がつきそうです。何せ、最強の消費者・F1層(19〜29歳の女性)がついているのですから。 ただこの場合、マスカラスのマスクではありませんが、出品内容が全て「キムタクの○○」となってしまいますので、オークションが進むごとにマンネリ化するのは否めません。それに、キムタク自身も子持ちの妻帯者になってしまいましたので、往年のカリスマ的な人気と比べると、やや色褪せた感もあります。ですので、とりあえずキムタクの臓器を売るのはしばらく保留としておきましょう。 それでは女性タレントではどうでしょうか? ……まぁこれには皆さんも色々と意見があるでしょう。巨乳好きな人、微乳好きな人、美人タイプが好みの人、可愛い系が好みの人、ヴァーチャルな“ぺったんこ・ほそい・うすい”18歳の幼女しか愛せない人、様々でしょう。 ※「徹底検証! 世界漫画愛読者大賞」をご覧になって初めて受講されている方に一応申し上げておきますが、この講義はシャレですので、その辺りを把握の上、ご覧下さい。硬軟取り混ぜた講義を提供するのが、この社会学講座なのです。 ……さて、オークションを仕掛けるにあたって最大の問題となって来るのは、やはり“商品”選びであります。レア度が高く、M1層の購買力をそそるようなモノでなくてはなりません。 例えばこういう話があります。かつてフジTV系で放送されていた人気番組『ハンマープライス』で、アイドルの唇で型を作り、それをグミキャンデーにしたモノが競売に出され、たかがグミキャンデーにも関わらず数十万円の高値で落札された事がありました。 ですから、今回のオークションも第二の悲劇を生み出さないようにしなければならないのです。 モー娘。というモデル、レアな体のパーツ、そして理論武装可能なモノ………。 これだけ限定されてしまうと、なかなか適するモノを見つけ出すのは難しいのではありますが、ただ1つ、ただ1つだけ条件をクリアするモノが存在していました。
そう、それは陰毛であります。
…「モー娘。の陰毛」という言葉の響き、レア度、そして大義名分、全ての条件を兼ね備えた、まさに理想的な一品です。どーですか、お客さん? まぁ、中には「まだ生ぬるい!」などとおっしゃる方もいらっしゃるかも知れませんが、そこは売上金を受け取る立場になって考えてあげましょう。 しかし、いくら大義名分を確保したとは言え、このままでは女性団体から「女性の性の商品化だ」などといった非難が浴びせられる事は必至であります。辻元清美みたいな 「モー娘。の陰毛&つんく♂の陰毛セット」 まさに男女同権。こうすればヨシでしょう。何かの弾みでモー娘。のとつんく♂のとが混ざってしまえば、「うおぉぉぉぉぉ!」と咆哮しながら悶絶する事間違いナシの、危険な香りの漂う商品に仕上がりました。 が。 ここで大問題が降って沸いてまいります。 そもそも以前から、このようなアイドル関連のグッズ等には疑惑が付いて回っています。 とまぁ、そういうわけで、今回のオークションをするにあたり、それが本物だということを証明しなくてはなりません。財産全てを処分してまで購入したモノが、適当に男子便所から拾ってきた毛であってはならないのです。 ……と、下衆な提案をするだけしたところで時間が尽きてまいりました。こんな講義をする事もありますが、新受講生の皆さん、これからもどうかよろしくお願いします。(この項終わり) |
5月28日(火) 社会経済学 |
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いやはや、大混乱の社会学講座であります。 しかし、せっかくたくさんの受講生に恵まれている今、講義を実施しないというのも勿体無い話ですので、疲れた体に鞭打って講義を開始します。物理的事情もありますので、今回の講義は今日付・明日付2回に分けてお送りする事になります。 では、早速本題へ。 まずはこちらのニュースをご覧頂きましょう。
……なんと、有名スポーツ選手が手術で摘出した体のパーツまで競売に出してしまおうという、ある意味とんでもない試みについてのニュースでした。 しかし、スポーツ選手が自分の“お宝グッズ”を市場に放出し、その売上金をチャリティーに寄付するという試みは、かなり以前から現在に至るまで頻繁に行われています。 特に駒木にとって想い出深いその手のオークションと言えば、もう10年以上前に消滅してしまったプロレス団体・ユニバーサルプロレスで行われたグッズオークションでした。これは、日本一マイナーなプロレスマンガとして名高い『最狂超プロレスファン列伝』でも紹介されていた話ですので、ご存知の方も若干いらっしゃるかもしれませんが…… このユニバーサルプロレスという団体は、日本で初めてメキシコ式プロレス・ルチャリブレを専門としたプロレス団体でして、現在活躍している多くのプロレスラー(メキシコ式に言えばルチャドール)を輩出した事で知られています。 ……とまぁ、こんな団体が実施するオークションでありますから、オークションそのものも至ってエエカゲンなモノでした。そもそも、日々の運営費にも事欠く団体がチャリティーオークションをやる事そのものが間違っています。そんなもの、昨年度の源泉徴収票記載金額が630,720円である駒木が、恵まれない人のための募金を決行するようなものです。──えぇ、桁は6ケタで合ってますよ。アダルトビデオ借りる時も、“1泊2日”で100円増の最新作など贅沢すぎて手が出せません。 …まぁしかし、その時会場に詰め掛けたファンは、そういう事情を清濁併せ呑んでオークションに参加しているわけですので、イベントそのものは極めて和やかなムードで進展していきました。 「さぁ、いよいよ、ミル=マスカラスのマスクです!」 おおーぅ! と、どよめく観衆。 と、閑話休題。 と、落札者も決まり、これ以上レアな商品も望めない状況になりました。ここで当然オークションもお開きか、と誰しもが思っていたところ、司会の団体代表は更にグッズを取り出しました。 「では、続いてマスカラスのマスクで〜す!」 場内ドバー、であります。これが吉本新喜劇ならば数百人が一斉にズッコケる壮観な場面が展開されるところでありました。 が、しかし。 リング上の団体代表は三たび、グッズが入っていた大きな紙袋に手を突っ込むではありませんか。 嫌な予感が漂い始めました。そして…… 「は〜い、これもマスカラスのマスクで〜す!」 ……後ろの穴を許すかどうかで全裸のまま揉め始めたカップルのような寒い雰囲気の中、3枚目のマスクは驚くほど安値で落札されたとのことでした。 ──などというケースもあり、オークションというものは1つ間違えると大失敗に終わってしまう“水物”です。 では、どんなイベントを実施すれば良いのでしょうか? 明日の講義にはその辺りを更に下衆に迫ってみたいと思います。(次回へ続く) |
5月27日(月) 現代社会学特論 |
およそ2ヶ月前、3月19日から16回にわたってお送りして来ましたこの現代社会学特論も、いよいよ今日で最終回という事になりました。 ↓過去の講義のレジュメ一覧 前回は、急遽入って来た「椎名林檎、離婚していた!」のニュースについて扱った“番外編”でしたので、講義の本筋は、前々回の第14回からの続きになります。
2000年3月31日、まさに年度末ギリギリというこの時期に発売された林檎さんの2ndアルバム『勝訴ストリップ』は、店頭に並ぶや瞬く間に店頭からレジを経由して消費者のカバンやCDプレイヤーの中へと消えていきました。 前作『無罪モラトリアム』を遥かに凌ぐこの売れ行きに、どれ位の倒産間近なレコード屋さんがトイチへの返済資金を確保できたか分かりません。もしも受講生の皆さんの住まいの近くに2000年5月前後に閉店したレコード・CD店があったとしたら、それは多分、林檎さんのCDのおかげで命が1月ほど伸びたお店です。 ……と、こうして『勝訴ストリップ』は多くの人が聴くところとなったのですが、発売からしばらくすると、周囲からはチラホラとこんな声が聞こえてくるようになりました。 「こんなの、私が好きな林檎さんの曲じゃない!」 ──それは、前作『無罪モラトリアム』で椎名林檎ファンになった、比較的ライトなリスナーからの“拒否反応”でした。 確かに『勝訴ストリップ』の収録曲は、一言で表現すると“アクの強い”楽曲のオンパレード。まさに全編“手加減抜き”の椎名林檎といった具合でありました。何せ、あの看護婦コスプレ&巻き舌炸裂の『本能』が普通の歌すぎて浮いているくらいです。 もっともこの『勝訴ストリップ』、コアな林檎ファンにとっては非常に満足いく作品であった事も、また事実であります。ライト層にはキツい楽曲も、コアなファンには心地良く、それどころか心の支えにもなり得る作品だったのです。 他人のプライベートが絡んでくるので詳しくは述べられないのですが、駒木の周りでカップル成立や結婚の報告が相次いだ事がありました。 ……と、コアなファンにとって、『勝訴ストリップ』はこんな風に心の支えになってくれる、素晴らしい1枚なわけです。まさに真の林檎ファンかどうか見極める分水嶺とも言うべき作品でありました。 それにしても、何故に林檎さんはここまでライトなファンを切り捨てるような行為に走ったのでしょうか? 誰もが認める一流アーティストになったとは言え、林檎さんはまだデビュー2年に満たない新人。『勝訴ストリップ』も、まだ2枚目のアルバムです。もう少し『無罪モラトリアム』のようなライト・リスナー寄りの路線で実績を積み重ねても良いのではないか、という声も聞かれました。 実は、林檎さんはデビューからしばらくした後から、人知れず大きな苦悩を抱えながら音楽活動を続けていたのです。 年を重ねて20代になったメジャーアーティスト・椎名林檎は、当然の事ながら自分の歌を唄います。ただ、それは今の彼女の歌ではなく、10代の頃の自分を投影させた歌がほとんどです。 そんな状況の中、林檎さんは1つの決心をしました。 そして、2枚目のアルバムで早くも路線変更を決断した理由は、他でもなく「アルバムを3枚しか出さないのに、悠長な事など言ってられない」というわけなのでした。1枚目のアルバムは“売れなければ、注目を浴びなければ話にならないアルバム”でした。だから『無罪モラトリアム』だったのです。 そんな林檎さんの“手加減抜き”の活動は、まだまだ続きます。流通形態はアルバム扱いながら、“8cmシングル3枚組”という形式のため、オリジナルアルバムとしてはノーカウントとなった作品集『絶頂集』が、2000年9月13日に発売されました。 正直、この頃の駒木は、林檎さんのこれからについて強い危惧を抱いていました。このままだと林檎さんは、“ソロアーティスト・椎名林檎”を全うする前に潰れてしまうのではないか──? そう、思ったのでした。 しかし、それは当然の事ながら杞憂に終わりました。 椎名林檎という人は、アーティストとして以上に、エンターテイナーとしての才能を持った人です。そうでなければ、ライブやコンサートで観客を魅了するようなパフォーマンスを見せつけたりすることなど出来ません。 駒木が個人的に圧巻だったのが、3曲目・カップリングとして収録された『愛妻家の朝食』でした。 …どうですか? 他のアーティストは真似しない、真似できない、真似したくも無いこの楽曲。これこそが椎名林檎の真骨頂であります。 こうして、「椎名林檎、健在!」をアピールした林檎さんは、お腹の中の新しい命のために1年間の休養に入りました。 こうして、ますます順風満帆な状況の下、ソロ活動としてのラストスパートを開始した林檎さん。恐らく2〜3枚のシングルと、『唄い手冥利』の続編、そして活動の集大成となる3枚目のアルバムが、彼女に残された活動の余地となると思われます。 ──さて、最後はかなり蛇行と駆け足の繰り返しになってしまったこの講義ですが、とりあえずはこれで終了します。次はいつになるか分かりませんが、またこの講義で林檎さんの事を採り上げる事が出来れば、と思っています。長らくの受講、どうもありがとうございました。(この項終わり) |
5月26日(日) 競馬学特論 |
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駒木:「さてここからは、珠美ちゃんと一緒にダービーの結果を受けてのレース回顧を始めたいと思います。それじゃ、よろしく」
駒木:「詳しい事は後に話すとして、それにしても武豊騎手はオイシイところを持って行くよねぇ(苦笑)。せっかくの穴狙いだったのに、一番安めの的中になっちゃったよ。まぁ、当たっただけでも儲けモノの当たり方だったから、滅多な事は言えないんだけどさ。 |
5月25日(土) 競馬学特論 |
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駒木ハヤトです。日誌でお伝えした通り、急遽講義を実施させて頂きます。 時間もありませんので、内容は出馬表と予想印、簡単な解説のみとなります。
※駒木ハヤトの見解※ 馬連 11-17 8-11 8-17 2-11 3-11 5-11 ※栗藤珠美の見解※ 私も先行有利の流れと見て、タイガーカフェを本命に推しました。調子も絶好調みたいですし、タイミング良く抜け出せれば、府中の長い直線も克服できると思います。 馬連 1、2、3、15、17のBOX10点、6-17、8-17、11-17 ……と、我々の見解はこういう事になりました。 |
5月23日(木) 演習(ゼミ) |
3日間の特別講義に引き続きまして、ここからはレギュラーのゼミを始めます。 それではまず、情報系の話題から。 ……今週、このゼミで扱わなくてはならない情報はこれくらいでしょうか。時間もありませんし、粛々とレビューの方を進行していきたいと思います。 今週のレビュー対象作品は、「週刊少年ジャンプ」から1作品と、「週刊少年サンデー」から2作品の、計3作品となります。
☆「週刊少年ジャンプ」2002年25号☆ ◎新連載『NUMBER10』(作画:キユ) さぁ、注目のキユさんの登場です。 まず絵柄からですが、さすがにプロらしく無駄の無いスッキリとした線で描かれていますね。 じゃあストーリーは、といいますと、これもソツなくまとまってはいます。読んでて不快になる事は無いですし、及第点以上ということは確かでしょう。 悪くは無いけど、とびきり良い作品でもない。こういう作品が一番扱いに困るところですよね。しかも今の「ジャンプ」は、ここ最近で最も激しいサバイバル競争が展開されている時期ですし……。
☆「週刊少年サンデー」2002年25号☆ ◎新連載第3回『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ)《第1回掲載時の評価:A−》 それにしても、ホントに熱いですねぇ、この作品。 それに加えてテンポも良いですね。1つ1つのイベントをジックリと濃く描いていますが、イベントとイベントの間をどんどん省略していってるので、メリハリが利いてます。この辺は前作・『リベロ革命!』で培った感覚なのでしょうね。 何はともあれ、安心して読めそうな作品が1つ増えました。惜しむらくは、これが新人作家さんの作品じゃないという事なんですが、まぁその辺りは「ジャンプ」とは違うってことで仕方ないんでしょうね。 ◎読み切り(前後編)『ガクの詩』(作画:藤崎聖人、詩:三代目魚武濱田成夫) 非常に珍しい、というか初めての試みと思われる、『即興ヒップホップバトルマンガ』(なんじゃそりゃ)の登場です。もう少し分かりやすく言うと、“詩のボクシング”をライブハウス版にして、それをマンガにしたものと思ってもらえればいいかと思います。 作画担当の藤崎聖人さんは、以前「コミックGATTA」で『蟲』というホラー作品を連載し、ブレイク寸前までいった新進作家さんです。残念ながら掲載誌が休刊となり、全てが宙に浮いた形になってしまったのですが……。 では、作品のレビューへ。 まずは絵から。他の雑誌で描いていた時はどうか分からないんですが、さすがに「週刊少年サンデー」執筆陣に混じると、見劣りは否めないかなという気はしますね。どっちかというと「マガジン」系の荒っぽい絵柄、という感じでしょうか。「サンデー」でこれからやっていくとなると、多少のモデルチェンジが必要になってくるのではないかと思います。 そしてストーリーなんですが、これがどうにも判断が難しいんですね。 先に述べた通り、評価は保留です。ただ、シナリオ的には平凡なものなので、B+を上回る事は無いような気がするのですが。
……と、ちょっと駆け足でバタバタしましたが、今週のゼミがここまでです。また来週をお楽しみに。では。 |
5月22日(水) 特別演習 |
いよいよ今回の特別演習も最終回となりました。前回までの講義レジュメはこちらから→第1回/第2回 さて今日は、今回の特別演習の題材である「世界漫画愛読者大賞」の改革試案を提示する、という内容でお送りします。 それでは早速本題へ。まず、どこからお話すれば良いか迷うところではありますが、まずは現在はアンケート葉書の郵送のみで行っている、読者投票の手段・方法から改革案を提示してゆきましょう。 現行のアンケート葉書郵送という方法は、コストが安く済んだり集計の手間がかからない…などの長所があります。また、全国各地からの投票を得ることができるという事もメリットでしょう。 そして次が肝心の集計方法、そしてグランプリの選出方法です。いくら多くの客観的な投票を集めたところで、これが不味いものであれば、一切の価値を失ってしまいます。まさにこの企画の肝心要の部分です。 改革すべきにあたっては、この特別演習の第1回で指摘した問題点を克服するようなものでなければなりません、すなわち…… 1.肯定意見だけでなく、否定意見も結果に反映させるようにすること。 2.不公平感の否めなかった、個別人気票と総合人気票の票数格差の是正、および個別人気票の支持率と得票数のズレの是正を図ること。 3.全く機能しなかった“信任投票”に替わる、得票第1位の作品がグランプリに相応しいかどうかを判断する新たなシステムを確立すること、つまり、グランプリまでの“ハードル”を高くし、支持率の低い作品がグランプリを獲ることを阻止するようにすること。 ……という、以上3点のポイントを改革案に取り入れることが必要である事は言うまでもなく、改革案そのものも、当然その3点に沿ったものになります。
現行のシステムの問題点は、個別人気投票で支持票だけをカウントし、不支持票は一切カウントせずに結果へ何ら影響を及ぼさないというところです。大雑把に人気の動向をリサーチする通常のアンケートならいざしらず、厳格な審査を必要とする漫画賞でこれはやはり問題です。 では、続いて2のポイントに関しての改革案です。 現行のシステムでは、個別人気投票がアンケート葉書返信総数によって左右され、支持率と得票数が連動しないという問題を抱えていました。また、システム上、総合人気投票の得票総数の方が多くなってしまい、結果的に個別人気投票が軽視されるような形になりました。改革案では、これらの点を克服するようなものでなかればなりません。そこで、 そして、いよいよ3のポイント。改革案の中でも最重要課題がこれです。 今回の第1回「世界漫画愛読者大賞」の結果を受けての評判の中で、最も多かったものが、 そのために、ここでは複数の案を提示します。まず1つ目として、 次に、1つ目の案に関連した2つ目の案として、 ただ、この2つの案だけでは、“優れた複数の作品が票を食い合って、グランプリ受賞レヴェルにある作品が除外される”という事態も予想されます。そこで第3の案として、
――駒木が提案する改革案は以上です。 「世界漫画愛読者大賞」は、既に第2回の募集が始まっています。第1回の評判の悪さから考えると、早くも正念場を迎えたといって良いでしょう。このままズルズルと失敗を重ね、かつての「海賊杯」の二の舞に陥ってしまうのか、それとも優れたエントリー作に恵まれて非常に意義深いイベントとなるのか、それはまだ分かりません。 |
5月21日(火) 特別演習 |
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さて、昨日に引き続き、「週刊コミックバンチ」の「世界漫画愛読者大賞」についての講義を行います。前回の講義レジュメはこちらから。 この「海賊杯」は、正式名称を「黄金の女神像争奪ジャンプ新人海賊杯」といい、文字通りジャンプ系新人作家による新作マンガのコンペテイション・イベントとして、1994年と95年の2回実施されたものでした。
なにぶん7〜8年前のイベントでもあり、「海賊杯」関連の資料がネット上でほとんど検索できませんでした。そのため、ひょっとしたら細かい点で誤りがあるかもしれませんが、大方はこの通りであると思います。 …要するにこの「海賊杯」は、「世界漫画愛読者大賞」で言うところの個別人気投票だけで白黒つけてしまおうという、今から考えるとかなり乱暴な企画でありました。また、「世界漫画愛読者大賞」のような高額賞金は無く、公募制でもありません。あくまで「ジャンプ」が抱えている新人から“使えそうな人”を選抜するためのイベントだったのです。 …というわけで、前回の講義であれほど制度上の欠陥を指摘した「世界漫画愛読者大賞」を、さらに簡略化というか杜撰にした企画・「海賊杯」。このイベントは「世界漫画愛読者大賞」と同様、編集部サイドの肝煎りで開催されたは良いものの、やはりと言うか当然と言うかたちまち問題点が噴出。その結果、この「海賊杯」は、ちょうどその頃「ジャンプ」の部数低迷を受けて人事異動と編集方針の変更が行われた事もあり、わずか2回で廃止の憂き目に遭ってしまいました。 それでは、どのような経緯でこの「海賊杯」が失敗に終わったのか、これから述べていきたいと思います。 『快心少年エム!!』(作画:佐藤央樹) そしてこの第1回「海賊杯」で第1位に輝き、見事に連載権を獲得したのは『MIND
ASSASSIN』でした。 『MIND
ASSASSIN』は、そのようにして連載が開始されたものの、「海賊杯」当時よりも内容的に伸び悩みの傾向が見られ、当初から人気が低迷。懸命にテコ入れが図られましたが事態は好転せず、とうとう翌95年29号までの約30回で打ち切り終了となってしまいました。 そして、こういう現象は『MIND
ASSASSIN』だけではなく、以前からジャンプの連載作品で見受けられるものでした。 ──この事は、ある意味「海賊杯」の限界を示すものでもありました。 さて、この回の「海賊杯」で露呈した問題は、実はまだ他にもありました。 『MIND ASSASSIN』の終了直後、この作品に入れ替わるようにして、「海賊杯」第2位に入賞した『モートゥルコマンドーGUY』の連載が開始されました。 こういう事が起こった一方で、「海賊杯」3位の『ふわふら』を描いた八神健さんは、この作品を大幅リニューアルした『密・リターンズ!』の連載を開始。 ……これらの事を総合すると、この「海賊杯」での読者の投票行動には、「ストーリーよりも絵柄の綺麗な作品を評価する」という傾向が見られることが分かります。 ……というわけで、「海賊杯」は第1回にして大きな壁にブチ当たってしまったのです。 が、しかし。 …第2回「海賊杯」は、昨年に比べて規模が縮小され、4作品での実施となりました。エントリー作は以下の通りです。 『抜繪道士』(作画:山川かおり) そして昨年同様の読者投票の末、1位は『鬼が来たりて』が獲得して連載権を獲得。以下、2位『心理捜査官三島清人』、3位『かおす寒鰤屋』、4位『抜繪道士』という結果になりました。 本来ならば、この結果に従って、まずは『鬼が来たりて』の連載が始まるところですが、なぜかそれより先に3位の『かおす寒鰤屋』の連載が開始されます。 その後、ようやく第1位作品『鬼が来たりて』の連載が開始されます。しかしこの作品は、第1回の『モートゥルコマンドーGUY』と同様に、ストーリーよりも絵柄の評価によって票を伸ばした作品だったため、これも連載開始早々から行き詰まりを見せ、わずか13回で打ち切りに。読者によって持ち上げられた作品が、同じ読者によって厳しく裁かれてしまうという奇妙な事態が起こってしまいました。 悲劇はさらに続きます。2作品の連載が不調に終わった後、第2位の『心理捜査官 三島清人』のリメイク作・『心理捜査官 草薙葵』の連載が開始されます。 連載に踏み切った3作品が3作品とも無残な打ち切り。これだけでもこの第2回「海賊杯」の失敗は明らかで、編集部サイドに企画続行の意欲を失わせるに十分なものでしたが、ここへ更に追い撃ちを掛けるような出来事が起こります。 それは第2回「海賊杯」で最下位に終わった『抜繪道士』の山川かおりさんの事です。 いくら便宜主義の「ジャンプ」編集部とは言え、さすがに最下位の作品を連載させるわけにもいきません。そのため、山川さんは第2回「海賊杯」エントリー作家の中で唯一連載を果たせなかったわけですが、その屈辱を胸に、リベンジの機会を窺っていました。 この事はつまり、「海賊杯」で一番評価が低かった作家が、現役作家や編集者の評価では新人としての最高のものを与えられたという事で、「海賊杯」の意義を根本から揺るがせるものでした。 こうして、様々な問題点を露呈し、打ち切り作品を山のように生み出した「海賊杯」は、わずか2回で廃止。唯一の救いは、かずはじめさん、八神健さんといった、その後も少年マンガ界で活躍した作家さんを輩出できた事でしたが、その代償もまた大きなものだったのです。
──そして、「世界漫画愛読者大賞」です。 ただ、さすがにここへ至って「海賊杯」の失敗を反省したのか、「世界漫画愛読者大賞」では、これらの問題点を解決しようという意気込みは感じられました。 ……と、以上の3点により、「海賊杯」の失敗を克服しようとしたわけです。 まず、連載用のネーム提出を課したものの、それは結局、最終審査の審査員である一般読者の目には届かないままでした。連載用ネームの出来が最終審査に反映されないのでは、せっかくのネーム提出も意味が希薄なものになってしまいますし、「1年以上の連載に耐えられる作品」という審査基準を投票に反映させる事も難しいでしょう。 …というわけで、主催者側の努力は認められるものの、「世界漫画愛読者大賞」は、やはり課題が山積みのままだと言わざるを得ません。少なくとも楽観的な観測ができる状態ではないのはお分かりになって頂けると思います。 それではこの賞は、いっそのこと廃止してしまった方が良いのでしょうか? 確かにそういう余地もあるでしょう。膨大なコストに比べて、得られるメリットが明らかに少ないイベントであるのは明らかでありますし。 ……というわけで、次回、この講義の最終回では、当社会学講座による「世界漫画愛読者大賞」改革試案を提示してみたいと思います。それではまた明日、もう一度受講されますよう、よろしくお願いします。(次回へ続く) |
5月20日(月) 特別演習 |
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先週木曜日付講義でお約束した通り、今日から「週刊コミックバンチ」主催の「第1回世界漫画愛読者大賞」(これまでの文中で賞の名称が誤っておりました。お詫びして訂正します)についての特別演習を実施します。この講義は、3日連続のシリーズでお送りする予定ですので、どうぞよろしく。 では初めに、今回の講義で採り上げる「世界漫画愛読者大賞」について、簡単な解説をしておきたいと思います。 この賞は「週刊コミックバンチ」が主催した、賞金総額1億円(グランプリ賞金5000万円)という、前代未聞の高額賞金を謳った新作マンガのコンペテイション・イベントです。 これまでの雑誌主催のマンガ賞は、原則的に新人発掘を目的としたものでした。そのため賞金も安く、受賞しても担当編集者が付くだけで、本格デビューや連載が保証されるわけではありません。 しかし、この「世界漫画愛読者大賞」は、高額賞金の上、グランプリ受賞作に1年以上の週刊連載を保証した、まさに“即戦力”をスカウトするための賞として誕生しました。もちろん、出版社側にはアニメ・実写での映像化やその他のメディアミックスを展開していく意向もあることでしょう。 また、この賞はその名前に「愛読者」という言葉を冠している通り、作品の審査に一般読者が関わっている事でも、これまでの漫画賞とは一線を画しています。 ……と、以上が概要なのですが、これをご覧になっただけでも、受講生の皆さんにはこの賞が特殊なものだということがご理解頂けると思います。これ以降の講義も、この点を踏まえてお付き合い願いたいと思います。
さて、今回栄えある初代グランプリに輝いたのは、『エンカウンター -遭遇-』(作画:木之花さくや)でした。作者の木之花さくやさんとは、実は現役連載マンガ家夫妻・西野つぐみさん&Denjiroさんの合作ペンネーム。まさにこの賞を象徴するような即戦力の受賞者となったわけでした。 が、しかし。 今回の受賞作『エンカウンター』に関しては、雑誌に掲載された当初から、その作品の内容レヴェルに関して疑問を呈する声が多く上がっていました。 確かに、これらの例示はサンプル数が少なく、駒木の主観的判断も入っているためミスリードの恐れもあります。が、それにしても、読者の絶対的支持を受けた作品であるはずのグランプリ受賞作に対して、これほどまで否定的な意見がぶつけられる(少なくともその余地がある)のは、やはり問題と言って良いのではないかと思います。
……しかし、であります。こんな鳴り物入りで大掛かりなプロジェクトが、どうしてこのような微妙な事態になってしまったのでしょうか? ──それはどうやら、最終的にグランプリを決定する、最終審査の読者投票システムに大きな問題があったように思えるのです。以下ではそれについてしばらく検証します。 さて、「世界漫画愛読者大賞」をはじめ、公募制のマンガ賞を審査する場合、ノミネートされた作品を2つの方向から評価する事になります。すなわち… 1. 相対的評価 この種のマンガ賞では、まずノミネートされた作品群に相対的な序列をつけていきます。序列の付け方は、各賞によってまちまちですが、この「世界漫画愛読者大賞」では、読者投票の集計結果がそのまま序列になります。 2. 絶対的評価 さて、1の過程で作品に序列がつきました。しかし、その序列で1位の作品に最高ランクの賞──「手塚賞」と「赤塚賞」では“入選”、「世界漫画愛読者大賞」では“グランプリ”etc…──を与えるわけではありません。その序列1位の作品が、どのランクの賞に相応しいかを絶対的な基準で判断することになります。
──と、いうことですね。 この2つの評価の中でも特に重要なのが、後者の“絶対的評価”。ここでどの水準の作品にどのランクの賞を与えるかで、賞全体のグレードが決まってゆきます。大抵の場合は賞金の額にグレードが反映されるようですが、結局それを決めるのは審査員たる編集者や現役マンガ家ということになります。 ところが「世界漫画愛読者大賞」の場合、この“絶対的評価”をする際に大きな問題が発生するのです。 先から述べている通り、この賞の最終審査は読者投票のみが判断材料で、そこに特定の審査員が介入する事はありません。ですので、“相対的評価”と“絶対的評価”の両方を読者投票だけでやってしまわなくてはなりません。 では、この「世界漫画愛読者大賞」はどのようなルールを設定して、読者投票から“相対的評価”と“絶対的評価”ができるようにしたのでしょうか?
この3種類の投票の中で、[1] と [3] が“絶対的評価”で、[2] が“相対的評価”という事になるでしょうか。なるほど、一見すれば読者投票の欠点をフォローするようなルール設定に見えなくもありません。 しかしよく見てみれば、このルールには重大な欠陥が潜んでいるという事が浮き彫りになってきます。特に、肝心の“絶対的評価”を判断する[1] と [3] の投票がかなり“危うい”ルールになってしまっています。 まず、[1]
の個別人気票ですが、このルールでは読者のプラス評価は反映されますが、マイナス評価は全く反映されません。さらにアンケート葉書の返送枚数や雑誌の売上率そのものがアンケート結果に深く影響を及ぼしてしまいます。
もうお分かりですね。このルールだと、投票結果が歪んだ形で反映されてしまう可能性が出て来るのです。 さらに “絶対的評価”を決めるもう1つの投票である、[3]
のグランプリ信任投票のルールも、よく考えたらおかしいものです。 では、今回のグランプリ受賞作『エンカウンター』の“真の信任率”は、一体どれくらいだったのでしょうか? 以下に今回の集計結果を転記しましたので、どうぞご覧下さい。
(※先程述べましたように、個別人気票が、結果的に軽視されているのがお分かりになると思います) 『エンカウンター』の総合人気票による得票率は、約19.5%。さらに不信任票を除外すると、“真の信任率”は、わずか18.5%程度になってしまいます。この数字は、今回の講義の冒頭で述べました、「『エンカウンター』の日記サイトでの評価は賛2:否8」というところとほぼ合致しており、非常に興味深いものといえるでしょう。 また、この投票結果をご覧になると分かりますが、やはり得票総数の少なさ、つまり投票率の低さは否めません。 ……さて、このように、今回の「世界漫画愛読者大賞」は、表向きは成功したようになってはいますが、その実情は、実質支持率18%強の作品がグランプリを“強奪”したものでありました。 ……このような状況ですから、これから1年以上の連載に臨む『エンカウンター』、そしてこの「世界漫画愛読者大賞」の前途は非常に暗いものと言わざるを得ないのです。先にも述べた通り、低レヴェルの作品を延々と1年間連載せざるを得ない状況に陥る可能性もあります。やはり極めて状況は微妙です。 その賞とは「週刊少年ジャンプ」の「ジャンプ新人海賊杯」。そう、現在の「コミックバンチ」の主要スタッフが「ジャンプ」編集部にいた時代に行われた壮大な実験でありました。次回はこの「新人海賊杯」についてお話をしてみたいと思います。(次回へ続く) ※追記:総合人気投票のカウントについて、「投票は10週講読してなくても可能で、投票葉書に貼られた応募券の枚数に応じて、1枚辺りにカウントされる票数が異なる(例:10枚の応募券を貼られた葉書は1枚で5票とカウント)形式だったのではないか?」と指摘がありました。 |
5月19日(日) 現代社会学特論 |
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さて、久しぶりの講義を……と思っておりましたら、とんでもねえニュースが入ってまいりました。今日は前回までの話の筋を無視して、そちら関係の話題からお話を進める事にします。 ↓過去の講義のレジュメ一覧 さて、ニュースとはこちらであります。まずは引用文をご覧下さい。
「マリナーズ・佐々木投手、離婚へ!」とスクープをかましたところ、当の佐々木投手本人から「告訴するぞ、ゴルァ」とマジツッコミされてしまい、さらにはあの東スポにまでバカにされるほど評判ガタ落ちの報知新聞ですが、威信を賭けてとんでもない大ネタを持って来ましたね。 …しかし、それにしてもこのニュース、読み直せば読み直すほど奇怪なニュースでもあります。 ただ、林檎さんが離婚した事そのものは「さもありなん」な話ではあります。普通、乳飲み子を連れた女性の離婚と言うと何かとハードルが高いものですが、そこは1億円以上の高額納税者であります。いくら「結婚は人生の墓場」とはいえ、「地獄の沙汰も金次第」との言葉もありますゆえ、大抵の決断はアッサリと出来てしまうものです。思わず「それだけ稼いでるなら50万円くらいくれ!」と叫びたいです。 ……まぁとにかく今は、事態の推移を見守るしかないと思われます。公式コメントや各種報道の進展を待ちたいと思います。 更なる付加価値もついてますますお得! 『唄い手冥利』は5月27日発売です。 |
5月18日(土) 競馬学特論 |
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駒木:「さて、日本一遅いG1予想が始まるよ〜」
珠美:「私も博士も、印を付けた馬はほとんど同じなんですけど、順番が全然違いますね」
※駒木博士の“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“反省文” |
5月16日(木) 演習(ゼミ) |
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スケジュールがズレまくってしまって、申し訳ありません。体調は正直ですね。目の疲れが酷すぎて講義どころじゃなくなってしまいました。随時、調節していくんで、どうかお許しを。 さて、今週は賞レースのニュースが多くありました。順番に紹介していきましょう。 まずは「週刊コミックバンチ」の「世界漫画愛読者大賞」から。グランプリに「賞金5000万円と連載1年保証」を謳った、日本マンガ界史上最大のコンペテイションです。グランプリ賞金の高さ、また、最終審査を読者投票に委ねた事などが論議をかもしました。 と、いうわけで、今日は主な受賞作の発表だけに留めておきたいと思います。
受賞作『エンカウンター』のレビューは、3月13日付ゼミのレジュメに掲載されています。受講生の皆さんには、どんな作品がグランプリを獲ったのか、復習&予習の上で20日の講義に臨んでもらいたいと思います。 次の話題は講談社漫画賞。以前、『カメレオン』が少年部門を受賞した時は、審査員全員が『ONE PIECE』を推したにもかかわらずの受賞で、いわゆる大人の事情が窺える結果でしたし、昨年も『ラブひな』が審査員の反対を押し切って受賞するなど、こちらも何かと論議をかもす漫画賞であります。
そして最後に、今週は「週刊少年ジャンプ」の月例新人賞「天下一漫画賞」の発表がありました。
特別賞受賞の川口幸範さんは、01年11月期にも特別賞を受賞している……はずなんですが、年齢が1歳若返ってるんですよね(苦笑)。まぁ、年齢詐称は手塚治虫先生もやってたことですけど、それにしてもこの場合は1歳ごまかして、何がやりたかったんでしょうか……? さて、情報系の話題は以上です。長者番付についても採り上げた方が良いのかも知れませんが、マンガ家さんって、スタジオを会社組織にしてしまうと納税額から稼ぎが見え辛くなるんですよねえ。数字だけ見ると誤解の元になるんです。だから、このゼミではあえて採り上げない事にします。 では、今週のレビューを。対象作品は「週刊少年ジャンプ」から新連載と読み切り2作品、「週刊少年サンデー」から新連載3回目の1作品、そして他誌から読み切りの1作品をそれぞれ採り上げます。「サンデー」の前後編読み切り『ガクの詩』については、次回に2回分併せてのレビューを行う予定です。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年24号☆ ◎新連載『プリティ フェイス』(作画:叶恭弘) 「週刊少年ジャンプ」春の新連載シリーズの開幕です。昨年からの“打ち切り候補”に全てケリがついたところでの新連載とあって、なかなか生き残るための壁が厚そうですが、果たして今シリーズの作品レヴェルはどうでしょうか? まずは今シリーズの“先頭バッター”・叶恭弘さんの登場です。 それでは本題へ。 ただ、ストーリー。こちらはかなり危なっかしい、というのが第一印象です。 評価はB寄りB−としておきましょう。打ち切りの場合、話を急展開させて、なし崩し的にハッピーエンドが迎えられそうなのが唯一の救いでしょうか(救いになりませんが)。 ◎読み切り『さとふ2002』(作画:さとう○○○) 今週は『ピューと吹く! ジャガー』が休載で、短ページの代原が掲載されました。一時期、よく代原として掲載されていた『さとふ──』シリーズが久々の登場です。作者のさとう○○○さんは、このシリーズを中心に増刊などでも作品を掲載させている、若手ギャグ作家さん。そろそろ連載を狙ったキャンペーンを展開したいところですが── さてこの作品、風間やんわり氏風の個性的な絵柄がまず目に付くのですが、まぁこれは作品の足を引っ張っているわけでもないので、これでいいでしょう。ただ、本来ならこの絵柄が良い“味”となって、ギャグを引き立たせるようにしなくてはならないでしょうが。 ギャグの方は、見る人によってはツボにハマりそうなレヴェルではあるのですが、ただオチの弱さが気になりますね。起承転結の「転」までは上手くいってるのに、最後で落としきれていないのが残念です。これでオチに威力がつけば、十分連載に耐え得るだけのパワーが出そうなので惜しいところですね。 評価はB寄りB−。奇しくも『プリティ フェイス』と同評価になってしまいました(苦笑)。ううむ、マンガって奥の深いジャンルですなあ。
☆「週刊少年サンデー」2002年24号☆ ◎新連載第3回『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第1回掲載時の評価:A−》 さて、第3回となりましたが、今のところは一話完結型の“ほのぼのお色気コメディ”なので、改めて特筆すべき点はありません。全体的なクオリティも安定しており、作者の椎名さんの高い力量が窺い知れます。 しかし、それにしてもこのマンガに出てくる女の子キャラクターは脱ぎますなあ(笑)。裸で見せても成人指定されない部分は全部見せてる感じです。しかも銭湯が舞台だけあって、女の子が自主的に脱いでいくのでヤラしさがありませんし。あ、女の子がみんな健康的な体型だから余計に良いのかもしれませんね。 あぁ、レビューになってない気がするんですが(笑)、とにかく、この作品は安心して読めます。中学生男子とかだと人前で読むのは恥ずかしいでしょうがね。
《その他、今週の注目作》 ◎読み切り『CRASY MANIAX』(「ヤングキング」2002年11号掲載/作画:安西信行) 「週刊少年サンデー」で『烈火の炎』を長期連載していた安西信行さんが、なんと少年画報社の青年誌「ヤングキング」に登場です。「ヤングキング」らしくない絵柄の表紙でビックリした受講生の方もいらっしゃるかも知れませんね。 ……というわけで、絵柄は全く少年誌の頃から変わってません。特に主人公の顔の形が『烈火の炎』の花菱烈火に似ていたりしますので、『BSマンガ夜話』で、いしかわじゅん氏から「彼は綺麗な絵を書くように見えて、実は全然上手くないんだよ」とか言われてしまいそうです。 そしてストーリーなんですが、これがなかなか素晴らしいです。 中でも特に評価したいのが、この作品における読者へのカタルシスの与え方です。 評価はA寄りA−。「ヤングキング」だとどうしても浮いてしまう絵柄がアレですが、まぁ前途有望な作品といえるでしょう。せっかく青年誌でやってるんですし、連載するならもう少しお色気要素を入れた方がウケも良いでしょうね。 ……というわけで、レビュー終了です。 |