「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
5/15 文献講読(小説)『さようなら──』(2・完結) |
5月15日(水) 文献講読(小説) |
※この講義は小説です。第1回はこちらからどうぞ※ “彼”の机の上にある目覚し時計が、ちょうど16時半を指していた。 これ以上、ぼくたちは何も言葉を交わすことはなかった。何を話したらいいのかも分からなかった。
その日の夜から、ぼくはあれやこれやと忙しく動き回った。“彼”に告げた「遊び回る時間が無い」というのは本当のことだった。 ところでぼくは、“彼”本人から1日遅れで“彼”の両親たちに別れの挨拶をした。
そしてとうとう、ぼくが20世紀の世界で過ごす最後の1日がやって来た。 夕方になって、“彼”が学校から帰って来た。今日はケイコの無い日だったので、“彼”はぼくといっしょに同じ部屋にいたけれど、いつも通りの会話の他、特に何を話すでもなく、ただ時間は過ぎた。話さなくちゃいけないことはたくさんあるはずなんだけど、思考回路のどこかで言葉が事故渋滞を起こしているような感覚がした。多分、“彼”も同じだったんじゃないかと思う。“彼”は、珍しく夕方から受験勉強をしていた。 その後、“彼”や“彼”の両親と色々な話をした。それから“彼”の両親に最後の挨拶をすませて、“彼”といっしょに“彼”の部屋へ向かった。最後の最後は、やっぱり“彼”と2人きりになった。 それからぼくたちは、思い出話を始めた。5年分たまったエピソードは、話しても話しても尽きることが無かった。
──ペットボトルのジュースは、もうずいぶん前に無くなってしまっていた。せっかく包んでもらったドラ焼きも、いつの間にか2人でみんな食べてしまった。それでも、ぼくたちはいつまでも話し続けていた。 タイムマシンに乗り込んで、ぼくはまずホームタウン機能を解除した。これでもう、“彼”の机の引き出しとタイムマシン乗り場が繋がることは無い。今頃“彼”の机は、ごく普通の机に戻っているはずだ。 …………………でも。
「…ウ……ウゥ……」 ──“彼”はこの時、初めて知ることになる。
……窓の外から見える空の色は、もうオレンジ色に染まっていた。もう灯りが点いている家もいくつか見ることができる。 “彼”はしばらくアルバムを眺めた後、バフッと音をさせてそれを閉じ、そのまま小脇に抱える。そして、再び机の前に立って、今はもう普通のものに戻ってしまった、その机の中で一番大きな引きだしを引っぱり出して、そこにアルバムを押し込んだ。 ──そこにはただ、誰もいない部屋だけが残った。 |
5月14日(火) スポーツ社会学 |
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※ 昨日の分のレジュメはこちらから 1992年、あるオープン戦の始球式で、その事件は起こりました。 バッターボックスでは、その日の阪神タイガース先発の1番打者、高橋慶彦選手がスタンバイしていました。彼は広島東洋カープで長年活躍した名選手で、盗塁王など数々のタイトルを獲得した後、阪神に移籍。この年が移籍2年目でありました。 普通の始球式でピッチャー役を務めるゲストは、女性アイドルであったりとか年配の“偉いサン”であったりします。ですので、始球式で投げられるボールは緩やかで、バッターはそれを微笑で見送りながら義理で空振り、というのが定番であります。これは昨日の講義でも申し上げました。 しかし、当時の山田雅人はまだまだバリバリの若手タレント。「バシッと速球で決めてみせますわ〜」と言ったかどうかは分かりませんが、マウンドで意気揚揚、投げる気満々でありました。 そんな山田雅人の手から投げられた球は、その意気込みの通り、勢いのある直球。他の始球式ではちょっと観られないようなナイスピッチでした。 ほのぼのした風景から、一転して異様な雰囲気に包まれた球場。前代未聞の始球式デッドボールを喫した高橋慶彦選手はその場に倒れこみ、立つことが出来ません。ついには担架に乗せられて医務室へと運ばれて行きました。 結局、高橋慶彦選手は骨折していることが判明し、開幕を前にして戦線離脱。この年はそのまま調子が上がらず、1軍での試合出場も20試合足らず。そして、そのままシーズン終了と共に、現役引退を表明しました。 もともとこの山田雅人が本格的に芸能界デビューを果たしたのは、“3冠獲得”から遡る事4年の1988年でした。当時同じ松竹芸能に所属していたタレント・森脇健児とコンビを組んで、夕方の近畿ローカル帯番組『ざまぁKANKAN!』に出演した彼は女子中高生を中心に人気を集め、それを足がかりに芸能界へのステップを踏み出したのでした。 まぁ何はともあれ、山田雅人はそれ以後、競馬から阪神タイガースまでと言う、白木みのるのストライクゾーンのような範囲で仕事を獲得してゆきます。 彼の活躍はTVやラジオだけにはとどまりませんでした。芸能界の舞台裏でも彼は大活躍。その持ち前の腰の低さと如才の無さは群を抜き、“アイサツテイオー”との異名を取るほどでした。 ……が、そんな山田雅人につい先日、芸能生活最大のピンチが訪れました。『渡る世間──』を降板させられるかどうかの瀬戸際に追い込まれたのです。 第1部開始以来12年が経過。現在、既に第6部にまで到達した、“プライムタイムの水戸黄門”こと『渡る世間は鬼ばかり(略称:『渡鬼』)』。長セリフの域を越え、既に長文暗誦大会の様相を呈しているこのドラマは、登場人物が異様に多いことでもよく知られています。なんと現時点でのレギュラー&準レギュラー登場人物は60名。このままいけばあと数年で、『水滸伝』よろしく108名の梁山泊が結成されそうな気がします。 しかしこの『渡鬼』、ただ登場人物が多いだけではありません。いつの間にか人知れず、闇から闇へと葬り去られていった登場人物もまた、非常に多いのです。 例えば、中華料理屋『幸楽』の2代目主人(角野卓造)の妹役だった沢田雅美さんは、石井ふく子プロデューサーの舞台を勝手に降板したことから、夫(岸田敏志)と離婚してニューヨークに永住する事になりました。しかも可哀想な事に、彼女の子ども役だった米沢由香さんと伊藤淳史くんまで巻き添えになりました。 また、第1部でレギュラーを務めたものの、その直後にトレンディードラマでブレイクし、『渡鬼』に出られなくなった唐沢寿明さんは、「私を捨ててトレンディードラマに走ったのね」と、橋田先生の逆鱗に触れてしまいました。結果、第2部では「自分の都合で妻を捨て、永住権目当てでアメリカ人女性と結婚した酷い男」という設定になって、『渡鬼』の世界から永久追放になりました。 あと三田村邦彦さんなどは、離婚問題をこじらせたために橋田先生からの印象が悪くなり、「自分勝手なファザコン男」と罵られて、無期限謹慎処分になりました。現在では謹慎は解かれていますが、滅多に出てきません。 ……と、このようにレギュラーを獲得しても全く気の抜けないのが、『渡鬼』出演者の宿命でもあるのです。 が、しかし。ここからがアイサツテイオーの本領発揮でした。なんと、わずか2週間で復帰を果たした彼は、またレギュラーの地位に納まってしまいました。どうやって橋田先生のご機嫌を取ったかは皆目不明ですが、芸能界では「恐るべし、山田雅人」という印象を植え付けた出来事でありました。 ……と、このように(?)、始球式とは大変恐ろしいイベントであります。 さて、今日行われた台湾での始球式はどうだったのでしょうか? 松浦亜弥は無事だったのでしょうか?
……なんと、これまた前代未聞の、始球式見逃しアウトでありました。なんて大人気ないんでしょうか、台湾行政院長。罰ゲームとして『チュッ! 夏パーティ』をコスプレ振り付で歌わせたい気分であります。 …しかし、どうやら今回の始球式は無事に済んだようであります。松浦亜弥が第二の高橋慶彦にならなかったことに安堵しつつ、今日の講義を終わらせて頂きます。(この項終わり) |
5月13日(月) スポーツ社会学 |
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せっかく高校での仕事が3連休だと言うのに、結局ほとんど研究室にこもっていた駒木です(苦笑)。 さて、プロ野球ファンの方ならご存知でしょうが、明日14日から台湾において、日本プロ野球戦後初の海外での公式戦が行われます。 …と、普通ならここで「安泰、安泰」とばかりにアグラをかいてしまうところですが、さすがはダイエーホークス。ダイエーの店舗には閑古鳥が鳴いても、福岡ドームには客を絶やさない商売上手ぶりを、ここでも見せ付けてくれます。まずは、こちらのニュースをご覧下さい。
なんと、松浦亜弥です。そう、あの“平成のビッグフェイス”SAYAKAを相手にせず、現在、現役最強正統派アイドルの名を欲しいままにする松浦亜弥であります。 今回は彼女を台湾にゲストとして招聘するだけでなく、「君が代」独唱と始球式までさせてしまおうという贅沢な企画を実現させました。
普通、始球式と言いますと、 ところで、この始球式というイベント、我々もプロ野球球団サイドも気軽な気持ちで見ていますが、実は結構危険なものであったりするのです。少なくとも、このたび放送休止が決まった『筋肉番付』くらいの危険度があります。 |
5月12日(日) 文献講読(小説) |
※この講義は小説です※ バタン、というドアの閉まる音とその振動で、ぼくは浅い眠りから目を覚ました。 “眠り”までの時間待ちをしている間、ぼくは“彼”のことで色々と思いを巡らせていた。
……ぼくがここに来たのは、“彼”がまだ小学4年生だった1月のこと。それからもう丸5年の月日が過ぎ去っていた。初めて出会った時、いかにも間の抜けた顔で皿の上のモチを眺めていた“彼”も、今ではあと1ヶ月ほど先に高校受験を控える中学3年生になった。
…さっきのグラビア雑誌うんぬんの話だけじゃなく、これから先、“彼”にとってぼくに見られては困る時やシーンがどんどん増えてくるはずだ。例えば、今の“彼”なら、高校に上がったら両親のいない時にガールフレンドの1人でも家に連れて来ることだってあるかもしれない。その時、ぼくはどうすればいいのか?
……やっぱり、今が潮時なんだろう。まだギリギリのところで、ぼくと“彼”との関係が昔のままの均衡を保っている今こそが、ぼくが“彼”のもとを去る一番いいタイミングなのだと思う。
間もなくして、ぼくの体の機械部分を冷やすためのファンが動き出した。調子が悪い時は人間のイビキに似た音を出すこのファンが回り始めてから30秒すると、ぼくはアイドリングモードに入るように設計されている。 |
5月11日(土) 競馬学概論 |
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駒木:「さて、今週の競馬学概論は少し変わったレースを採り上げようと思うんだ」
駒木:「う〜ん、今日のレースは出馬表を出しても出さなくても、ほとんどの人にはチンプンカンプンかもなぁ(苦笑)。まぁ、仕方ないかな。 |
5月10日(金) 現代社会学特論 |
実際に講義が皆さんの目に届くのは同じ時刻になるのかもしれませんが、形式的には振替講義という形になります。バカ正直に書きますが、現在11日の15時34分です。(もっとバカ正直に書きますが、書き終えたのは12日の0時30分でした)一度研究室から自宅へ引き上げた後、また4時間ほど寝てしまいました。これだけ寝られるなんて、 ◎第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回/第7回/第8回(事故で消失しました)/第9回/第10回/第11回/第12回/第13回 前回は『本能』とマキシ盤『幸福論』の同時発売&セールス大健闘のお話をしていたところで時間切れとなったのでしたね。 デビューから1年余りにして(シングルの)ミリオンアーティストの仲間入りを果たした林檎さんは、その年の秋、恐らく最初で最後となる学園祭ツアー「学舎エクスタシー」に出陣します。 …そして当日の会場前には、「林檎のチケット余ってませんか」などといったプラカードを持った林檎ファンが終戦直後の街娼の様に立ち尽くし、その脇をボンテージや看護婦コスプレのコアなファンが練り歩くという、まさに世も末な光景が広がっていました。ちなみにその日の状況をレポートした某音楽専門誌にはこんな一文が。 ともあれ、この学園祭ツアーは大成功。予算の都合のためか、バックバンドをプロミュージシャン中心の“虐待グリコゲン”からセミプロ中心の“天才プレパラート”に切り替えたこのツアー、当初は技術的な不安も囁かれましたが、それも杞憂に終わったようでした。 この年はその後も、バースディ・ライブの実施や、タイトルがエロビデオみたいで買いにくいビデオクリップ集・『性的ヒーリング・其の壱』の発売など、精力的な活動を続け、非常に充実した1年となりました。それが1999年という、何かと曰くのある年であった事も、いかにも林檎さんらしかったかもしれません。 そして年が明けて2000年。ミレニアム気分に正月気分が加わった奇妙な高揚感が漸く抜け去ったばかりの1月26日、待望のニュー・シングルが発売となりました。 識別番号上、6thシングルとなるのが『ギプス』。力強いピアノの旋律が印象的なこの曲は、「林檎さんが全力でラヴソングを歌ったらこうなるのか」というような圧巻の1曲。感情移入して聴いているうち、自然と涙がこぼれて来て止まらなくなった方も随分といらっしゃるのではないでしょうか。週間オリコンランキング最高3位で、累計売上枚数は71万枚。 しかし、CD売上の数字上は全く変わった印象を見せない林檎さんですが、発表する楽曲の中身は、この頃から徐々に変わっていったように思えます。 これまでも林檎さんの作る楽曲は、これまでの売れセンの曲──所謂“耳ざわり”の良い曲──とは一線を画したモノであったことは繰り返し述べてきました。が、それでも最低限の暗黙の了解というか、“本格的な音楽ファンじゃない人も含めて、なるべく多くの人に聴いてもらえるように”という意図が楽曲に込められていたように思えたのです。 その微妙で大きな“異変”をファンの多くが嗅ぎ取る事になったのはそれから2ヵ月後。 |
5月9日(木) 演習(ゼミ) |
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さて、不安定な環境で申し訳ありませんが、講義はちゃんと実施します。しかも今週はちょっとした特別企画付ですので、どうぞお楽しみに。 まず情報系話題から。「ちゆ12歳」さんからリンク貼られていたんで皆さんご存知かもしれませんが、「探偵ファイル」さんの、「週刊少年ジャンプ」のアンケートについての話が興味深かったので、こちらにも要旨を書きたいと思います。
……まぁ、ビデオリサーチの視聴率調査とかと比べると、まだまだ精度の高そうな標本調査という気がしますが、遠隔地だと速達で出さない限り“参政権”が無いというのは正直言って不公平感が否めませんね。 しかも、どうやら人気上位常連作品以外は得票数3ケタの争いらしいんで、組織票が有効そうなんですよね。 さて、それではレビューに移ります。今週は「ジャンプ」が合併号で休みですので、本来は「サンデー」のレビュー対象作2作品だけなのですが、ちょっとした特別企画を用意しました。それは… レビュー文中の7段階評価の表はこちらから。 ☆「週刊少年サンデー」2002年23号☆ ◎新連載『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ) つい最近まで『リベロ革命!!』を連載していた田中モトユキさんの新連載が早くも登場です。前作はバレーボールマンガでしたが、今回は野球マンガで登場です。 この作品は、2000年50号に掲載された、ほぼ同名の読み切りを連載作品にアレンジしたものになりますね。 そして今回の作品ですが、読み切り時代からのテンションの高さに加えて、ある程度は設定やストーリー的な厚みも加わり、キッチリと連載に耐え得るような作品にアレンジ出来ています。この辺りはさすがですね。 それと前作の『リベロ──』の時も感じたのですが、この田中さんは、一見手垢が付いている題材から、見事にスキ間を突いて来るのが非常に上手なんですね。あ、これは褒め言葉ですよ。 さらにもう1つこの作品の良い所を挙げると、“心地よいバカさ加減”といったところでしょうか。 ……なんか褒めまくりですが、短所が見当たらないから仕方ありません。敢えて言うなら、主人公の名前(鳳啓助)は狙いすぎのような気がしますけどね(笑)。
◎新連載第3回『史上最強の弟子ケンイチ』(作画:松江名俊)《第1回掲載時の評価:B》 さて、連載第3回の後追いレビューです。 3回目まで読んで、なんとなくこの作品のコンセプトが見えてきました。 まぁ、そういう路線もアリだとは思うんですが、しかし他誌や「サンデー」の中でも萌えキャラのライバルは非常に多いのが現状です。しかも他誌の萌え系作品は複数ヒロイン制で、こちらは現状単独ヒロイン制。お色気インパクトの上でもやや弱いかもしれません。それに、このノリで週刊連載を続けていく上で、果たしてワンパターンに陥らないだろうかという懸念も生じます。 ◆特別企画:「赤マルジャンプ」完全レビュー◆ ……というわけで、特別企画のスタートです。 ◎読み切り『翼人機ゼロイド』(作画:岡野剛) 真倉翔さんとのコンビを解消して苦戦の続く岡野剛さんですが、今回もやはり持ち前の話作り力の無さがモロに出てしまっているかな、と。
◎読み切り『逸者〜HAGUREMONO〜』(作画:武藤健司) 今冬に発売された前号の「赤マルジャンプ」でデビューを飾った新人作家・武藤健司さんの2作目です。
◎読み切り『CRIME BREAKER !!』(作画:田坂亮) 1年前の「赤マルジャンプ」冬号で、原作付のマンガ担当としてデビュー、これが実質デビュー作となる田坂亮さんの作品です。最近、『NARUTO』の岸本さんの所でアシスタントを始めたようです。
◎読み切り『SANTA!―サンタ―』(作画:蔵人健吾) 7年前の95年に「月刊少年ジャンプ」のマンガ賞で受賞し、3年のブランクを置いてから赤塚賞で佳作を受賞。その後は主に増刊で、時には週刊本誌で読み切り作品を断続的に発表している蔵人健吾さんの新作です。 ◎読み切り『ミイラカイザー』(作画:イワタヒロノブ) 去年秋の手塚賞で準入選。その作品が前号の『赤マルジャンプ』に掲載されたイワタヒロノブさんのデビュー2作目です。
◎読み切り『monochro stroke』(作画:瀬戸蔵造) 「少年ガンガン」出身の若手作家・瀬戸蔵造さんの卓球マンガです。「ガンガン」では野球マンガを描いていたそうですが……。
◎読み切り『呪いの男』(作画:藤嶋マル) 今年1月期の「天下一漫画賞」の佳作受賞作。もちろん作者の藤嶋マルさんはこれがデビュー作になります。
◎読み切り『泥棒ネコライフ』(作画:夕樹和史) 去年夏の「赤マルジャンプ」でデビューを飾った夕樹和史さんのデビュー2作目。
◎読み切り『神斬蟲―かみきりむし―』(作画:小涼おぐり) 昨秋の手塚賞佳作受賞者・小涼おぐりさんのデビュー作になります。受賞作とは別作品ですので、受賞後第一作にもなりますね。
◎読み切り『STAND BY ME』(作画:中山敦支) 99年に手塚賞で最終候補となった後、しばらく雌伏の時を過ごして、このたび“スカウトキャラバン”出身作家としてデビューした中山敦支さんのデビュー作。
◎読み切り『ライジングインパクト〜succeed to the force〜』(作画:鈴木央) 待望の続編兼番外編なのですが、かなり確信犯的にコテコテの勧善懲悪モノにしてしまいましたね。
◎読み切り『抱きしめて! ベースボールラブ』(作画:セジマ金属) 代原でもお馴染みの、新人若手コンビによるギャグ作品です。
……ふう。やるんじゃなかった、こんな企画(苦笑)。長々とお送りしましたが、今日の講義はこれで終わらせて頂きます。 |
5月7日(火) 労働問題 |
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今日の講義はまさに取って出し、自転車操業での講義になってしまいました。クオリティに自信が持てませんが、どうかお手柔らかに。 ……さて、今更ながらのお話でありますが、今、日本は不景気の真っ只中にいます。 ただ、少年時代と青春のほとんどを不景気で過ごした駒木にとっても、ここ1〜2年の景気の悪さと言うものは、直に肌寒さが感じられるような深刻なものに思えるようになって来ました。 なにしろここ最近というもの、辺りそこらの店が潰れまくっています。 コンビニや昔ながらの商店が、いつの間にか携帯電話ショップに変わっていたり、その携帯電話ショップが今度は金券屋に変わっていたりします。 …と、それはさておき。
臨床検査アルバイト、俗に言うと新薬の人体実験で被験者になるお仕事ですね。 今、我々が薬局や病院などで受け取る医薬品、これらは厚生労働省から(本当にそうかは別として)安全である旨の認可を受けています。しかし、一言で「安全」と言っても、本当に安全かどうか確かめるには最低1回は人間相手で実際に試してみないとハッキリした事が言えないわけです。 そしてこの仕事、記事中でも分かるように大変報酬の良い仕事であります。これは規定の期間ずっと拘束されている状態のため、“労働時間”が長いためでもあります。 ただ、世の中のオイシイ仕事には大抵は裏があるわけで、手放しで高収入を喜んでもいられません。やはりこの仕事、ある程度はリスクの高い仕事でもあります。
……つまりこの男性(37)さんは、 ただ、本当にかなりの確率で命に関わる仕事なのであれば、バイト代はもっと高くなるはずです。せめて腎臓1個が買える値段じゃないとやってられないでしょう。 ……ちなみに、その先輩からお聴きした「臨床検査アルバイト」の実態は以下のようなものでした。
……以上の事から推測するに、もし万が一、本当にヤバい薬であっても1/2の確率で助かるという事になりますね。つまり、運が良い人なら屍を乗り越えても生きてゆけるという事になります。何だ、やっぱり割のいいアルバイトじゃないですか。ねぇ、皆さん? ここまで話を聞いて、「う〜ん、お金欲しいからやってみたくはあるんだけど、本当に大丈夫なんだろうか?」と、思った方もいらっしゃるでしょう。では我が講座推奨の「運試しシミュレーション」を紹介しますので、是非実践して頂きたいと思います。 1.競馬場かウインズ(場外馬券売り場)に行って、出走頭数が10頭以上で偶数のレースをピックアップする。 2.競馬新聞などの余計な情報を一切排して、全くのランダムで出走馬の中の半分を選び出し、その馬たちの単勝馬券を買う。 3.レースを観る。 さて、善は急げ。臨床検査アルバイトを考えている人は、是非、次の土日にはお近くの競馬場、またはウインズへどうぞ。 ……などと、密かにJRAの売上に貢献などしつつ、今日の講義を終わらせて頂きます。(この項終わり) |
5月6日(月・休) 現代社会学特論 |
それでは、現代社会学特論の第13回講義を始めます。過去の講義を未受講の方は、前もってレジュメを閲覧する事をお薦めします。
……さて、前回の最後で思わせぶりな“引き”をしたのですが、その話の核心に触れる前に、少しばかり時計の針をグルグルと回す作業から始めましょう。 前回の講義では1999年10月7日の“東芝EMIガールズ”結成までお話したのでしたね。とりあえずここから半年分くらい話を急ピッチで進める事にします。 あ、そう言えば“東芝EMIガールズ”のメンバーである宇多田ヒカルさんが卵巣腫瘍の手術を受けて休養というニュースが入ってきましたね。10代の若さで大変な話ですが、回復後はメゲずに音楽活動を続けて欲しいものであります。 ……と、いきなり話がズレましたが、本題の方へ入って行きましょう。 “東芝EMIガールズ”公演の余韻褪めやらぬ10月27日、約9ヶ月ぶりにシングルCDがついに発売されました。しかも2枚同時発売です。東芝EMI営業サイドの「ガッチリ稼ぎまっせ〜」という雄叫びが聞こえてきそうですね。 …この講義を受講されている方は既にご存知のように、東芝EMIという会社は、才能あるアーティストの苗を集めて来ては、育て方を間違えて枯らしまくってしまう厄介な会社なのです。 それを証明したのが、この時発売された2枚のマキシシングルのタイトルです。1枚は新曲の『本能』でしたが、もう1枚のタイトルは『幸福論』。そう、あの椎名林檎史に残る汚点とも言うべき1stシングル・『幸福論』に1曲カップリングを追加し、マキシシングル化したものの再発売でした。 これでこの、リメイク版『幸福論』が再びセールス不調に終わったとすれば、林檎さんは立ち直れない程の屈辱にまみれたことでしょう。しかし、ファンは気付いていました。『幸福論』は、本来の林檎さんのイメージとは全く違う曲ではあるものの、彼女の名曲の1つには相違無いという事を。 「え〜! なんでなんで〜!?」 実際に放送を観ていた駒木の脳裏には、その時の林檎さんが見せた、唖然としてポカンと口を開けた“素”の顔が未だに鮮やかに焼きついています。さすがの駒木も「『なんでなんで〜?』はアカンやろ」と思いましたが、事情が事情ですので仕方ありません。 おっと、肝心な話を忘れておりました。もう1枚のシングル『本能』の方は、スマッシュヒットどころかミリオンの大ホームランを炸裂させていました。 こんな奮闘の甲斐あって、『本能』は売上も絶好調。オリコン週間1位こそ、ラルクアンシエルや嵐、SPEEDといったところに惜敗して達成できませんでしたが、オリコン上位(最高2位)を長期間維持して売上は約100万枚のミリオンを達成。後に林檎さん本人が「『本能』は売れすぎです」とコメントを残すくらいの大ヒットとなりました。 ……と、ここで時間が来てしまいました。話の途中ですが、この続きは次回に。何だか15回での完結も暗雲が立ち込めてきましたが、その時はその時で考えたいと思います。それでは、また。(次回へ続く) |
5月5日(日・祝) 文化地理学 |
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ウェブサイトの管理人にとって気になる事柄と言えば、何をおいてもアクセス数であります。 中には「アクセス数なんて関心ありません」とおっしゃる管理人さんもいらっしゃるようですが、どうもそうおっしゃる方に限って、総じてアクセス数が多いサイトを運営されているケースが多いようです。よって、これは“無関心”というよりも、“持てる者がゆえの達観”と言った方が相応しいように思えます。 そういう当講座は、本来は仁川経済大学の一施設ではありますが、“インターネット通信過程”という性格上、ウェブサイトの形式を採っております。ゆえに、当講座の責任者である駒木もまた、“ウェブサイトの管理人”ということになります。 今日は、そんなアクセス数にまつわるニュースを題材にして講義を行います。
元チェッカーズのボーカリストにして、現在はソロ・アーティストとして活躍中の藤井フミヤ氏が、愛知万博の名古屋市パビリオンのプロモーション活動に一役買った、というニュースであります。 愛知万博と言えば、元参議院議員の末広まきこが「愛知万博は環境破壊である!」という
……と、空前の自民党優勢の流れにも乗り切れずに落選。 それにしても、24位までと25位以降の得票数の断層といい、24位〜26位の3人並びによる“日本一嫌なドリカムもどき”といい、その偽ドリカムに負けたのが普通の現職議員である事といい、非常に趣深い得票順位であります。日本国を挙げて完成させたこの芸術、当講座では多いに評価したいと思います。 …閑話休題。
1日あたり30アクセスとありますが、アクセスカウンタの回り具合が気になった担当者などの“身内”が1日数回カウンタを回しているでしょうから、実質のカウントは20強といったところでしょうか。あ、みみっちい割にシビアな推察ですいません。 しかし、この20強/日というアクセス数、果たしてどう評価をしていいやら微妙な数であります。 ところがこのサイト、計画に藤井フミヤ氏が絡んだ途端、大きな動きを見せることになりました。
記事中の「担当職員」が「おー、スゲースゲー」などと言いながら、ニヤケ顔でモニター眺めてマウスをカチカチやっている光景が目に浮かぶようであります。 しかし、気持ちは分かるのですがこの「2日で1600」というアクセス数、やはり全盛期の『侍魂』さんなら15分ほどで稼いでしまう数字でありまして、「記録的」とは言ってもそれは、「1日5回射精した」程度の“マイ記録”に過ぎないというのが現実なのです。世の中、そうは甘くありませんね。 それにしても、この「2日で1600」という数字は、当大学が2月と先日に学園祭として行った、「ちゆデー」の際のアクセス数とよく似ています。 まぁ何はともあれ、名古屋市の愛知万博パビリオン計画は見事なステップアップを遂げました。
この際「何をどうプラス思考したらそういう考えになれるのか」とか「メール80通分全員来場するとして、それでどうなの?」とか、的確でシャレにならないツッコミを入れる事は止しておきましょう。 |
5月4日(土・休) 競馬学特論 |
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珠美:「皆さん、こんばんは。競馬学特論のお時間です♪ 今日もよろしくお願いしますね。
珠美:「……というわけで、今年の天皇賞(春)は、2番人気のマンハッタンカフェが優勝。菊花賞、有馬記念に続くG1レース3勝目を飾りました。2着、3着にもそれぞれ人気馬が入着し、払戻金も馬連540円と堅くおさまりました。そして、私たち2人も予想的中ということになりました♪」
珠美:「…NHKマイルカップは、断然の1番人気に推されたタニノギムレットが3着に敗退。馬連40倍台とやや波乱気味の決着になりました。 |
5月3日(金・祝) 演習(ゼミ) |
皆さん、新歓祭はいかがでしたか? 駒木と珠美ちゃんの体を張ったパフォーマンス、喜んで頂けたら幸いです。 さて、今日から再び通常講義に戻ります。当講座はゴールデンウィークとはいえ、キッチリ講義を実施しますので、受講生の皆さんも頑張って受講してください。 …というわけで今日の講義は、新歓祭で実施が遅れていた、今週分のゼミ・『現代マンガ時評』を振替実施します。 あ、今日は初めての受講生さんも多いようなので、改めてこのゼミについて簡単な説明をしておきましょうか。 このゼミは、『現代マンガ時評』という名の通り、その週に発表された読み切りや新連載のマンガ作品に関するレビューを行うものです。 ……という方針で講義を行いますので、よろしくお願いします。 さて、それでは講義の本題に移りますが、今日はレビューの前に、情報系の話題を。 まず、「週刊少年ジャンプ」・春の新連載シリーズのラインナップが発表されました。 情報をもう1つ。たびたび掲載作品のレビューをしている「週刊コミックバンチ」の発売日が、次号から金曜日に変更されます。このゼミは、通常は毎週木曜実施なので、今後は実質1週間遅れのレビューとなりますが、ご了承頂きたいと思います。 と、それではいよいよ今週分の作品レビューに。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年22、23合併号☆ ◎読み切り『ヒカルの碁・番外キャラ読切シリーズ・藤原佐為』(作:ほったゆみ、画:小畑健) 不定期読み切りシリーズの第6弾です。26号から本編の新シリーズが始まるため、このシリーズはこれが最終回となります。もう少し続くのかと思ったのですが、「本編で大きく扱えるキャラは本編で」という方針のようですね。 さて、今回の藤原佐為編なのですが、やけにベタベタで、『名探偵コナン』の小学生グループ編みたいな展開だなと思ったら、欄外にコッソリとこんな一文が…… 「この作品は、昨年のジャンプフェスタで公開されたスペシャルアニメ『裁きの一局! いにしえの華よ咲け!!』を原型に、漫画としてリメイクしたものです」 ……どうやら、短編アニメの絵コンテやシナリオをマンガに“おろした”作品のようですね。 ではストーリーのレビューなんですが、一言で表現するならば、「短編アニメの功罪明らかな作品」といった感じになっていますね。 ただ、良い点も1つ。今回の主役と言うべき藤原佐為のイキイキと喜怒哀楽を表現出来ている点、これは良かったと思います。この事で、番外編としてのギリギリのラインは守られたのではないでしょうか。 評価は、今回に関してはB+寄りのBという事に。ともかく、もうすぐ連載再開の本編に期待ですね。
◎読み切り『踊れ! 刑事ダンス !!』(作画:山田一樹) 最近、とみに休載の多くなった『ROOKIES』の代原作品です。今回は“作者都合”ではなく“急病のため”休載との事で、最近体調面が優れないのかもしれませんね。先週“急病のため”休載していた富樫義博さんは、本当に入院加療していたようですし(今号の巻末コメント参照)。 この作品の作者・山田一樹さんは、現在「天下一漫画賞」の募集ページで“研修生”としてカットを担当している新人マンガ家さん。「天下一漫画賞」の選外から編集者に目をかけられ、そこからデビューを果たした叩き上げタイプのギャグ作家さんみたいですね。 まず絵からですが、一言で言うと下手ですよね。 そしてギャグの出来。色々なギャグのパターンを試しているのは良いのですが、どれも踏み込みが甘い感じがしますね。 現時点の総合評価ですが、C寄りのB−という事で。まるで才能が無いわけではないのでしょうが、前途はまだまだ多難ですね。
《その他、今週の注目作》 ◎新連載『レムリア』(「週刊コミックバンチ」2002年22.23合併号掲載/作画:岸大武郎) 「バンチ」が「少年ジャンプ」の元執筆陣から引き抜いた作家さんの中でも隠し玉中の隠し玉、岸大武郎さんの長編新連載がいよいよ登場です。 岸さんは「バンチ」移籍後は『せんせい』という、ノンフィクションのシリーズ読み切り作品を発表していたのですが、このシリーズの評判が上々だったようで、遂にこの度、新連載枠獲得と相成りました。「週刊少年ジャンプ」時代は、発表する作品があまりに異色過ぎたために不遇をかこっていた岸さん、果たして今回の作品の出来はどうでしょうか? まず絵柄に関してですが、以前から岸さんの絵柄は“動”というより“静”の印象が強く、それが時には「動きの無い平板な絵」という批判を浴びる原因となっていました。 そして圧巻なのはストーリーでした。 この作品の正確な評価を出すには、もうしばらく様子を見ないといけないでしょうが、この第1話だけでも岸大武郎さんの力量の片鱗を見せつけられた気がします。
……というわけで、いかがでしたでしょうか? 当講座では毎週木曜日にこのようなゼミを実施しております。新受講生の方は、これからもどうぞよろしく。 |