「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
7月14日(日) 歴史学(一般教養) |
さて、ちょっと今日はタイムリーな話題を。 先週の新聞紙面でも大きく採り上げられました通り、アフリカで700万年以上前の人骨化石と思われるものが発見されました。 ところで受講生の皆さんは、人類と類人猿はどこで区別するのかご存知でしょうか? では何故、猿人はサルではなくて人類の仲間に入れてもらえるのか? それは、猿人には類人猿に無くて人類だけにある特徴を持っているからなのです。 ん? ちょっと誰ですか、「それ四十八手だろ?」とか言ってる男子校の高校生みたいな困った人は(笑)。 脱線はこれくらいにして、正解を発表しますね。 そう言えば今回の大発見で、気になる事がもう1つあるんです。 とりあえず、ここから先は一生懸命研究されている考古学・人類学者さんたちのお仕事ですので、歴史学の講師としての無責任な詮索はやめておきましょう。でも、ちょっと無責任ながらもワクワクする想像をしてみる、これも歴史学の1つの魅力でもあるんですよね。 とりとめのない話になりましたが、今日はこんなところで失礼します。(次回へ続く) |
7月13日(土) 社会経済学概論 |
※前回のレジュメはこちらからどうぞ。 さて、本題に入る前に前回分の訂正からです。
……さて、それでは今回の講義内容に入ってゆきたいと思います。今回はセレクトセール誕生のお話からでしたね。 前回お話した通り、バブル崩壊後の競走馬セリ市不況は深刻なものでありました。事前審査で上場馬を選別するようなセリ市でも落札率は低迷し、ましてや売れ残り感の漂う通常のセリ市は半ば開店休業状態という状況に。こうなると、セリ市を開催する意義そのものが大きく揺らいでしまいます。 例えばその1つが、それ以前に海外で行われ、一定の評価を得ていたトレーニングセールの日本導入でした。このトレーニングセールとは、地方競馬でデビューできる時期の直前になっても未だ買い手のつかない2歳馬のために行われる、公開調教付きのセリ市です。 これと少し似たパターンが見受けられるのが、駒木の古巣である学習塾業界ですね。この業界では、受験生向けの夏期講習などでビジターを大量に勧誘し、その中で見込みのある生徒を見つけては2学期以降に正式塾生になるように説得します。 さて閑話休題。 この「セレクトセール」は、サラブレッド生産牧場の業界最大手・社台グループが中心となって1998年に開始されたもの。そしてその全て、何から何までが従来のセリ市とは趣を異とするものでした。相違点は色々ありますが、ここでは特に大きな2つのポイントを紹介しておきましょう。 さてまず、何が違うといって、上場される馬が違います。 また、セリの方法も他のセリ市とは微妙に違います。 ……と、こういった盛況の中、セリが行われるわけですが、やはり会場の雰囲気が一番盛り上がるのは、“目玉”上場馬が登場した時である事は言うまでもありません。 ……さて、ここまで講義をお聴きになった方の多くは、 ──しかし、よくよく考えてみれば、このセリ市というスタイルによる投資の成功・失敗、さらにはその道の奥深さの現れというものは、競馬以外の業界でもよく見受けられるものです。 |
7月11日(木) 演習(ゼミ) |
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また後でお話しますが、来週から「週刊少年サンデー」で新連載ラッシュが始まります。しかも新鋭・大物の実力派が揃っていてなかなかのラインナップ。楽しみではあるんですが、よりによって採用試験の直前に始まらなくても……。 あと、直リンク付きで『ロロスポ』さんから質問されちゃったんでお答えしますが、駒木が「週刊少年マガジン」の新連載&読み切りレビューをやらない理由は、物理的な事情に加えて、どうも「マガジン」のマンガと駒木の感性が合わないからなんですよ(苦笑)。 ……と、私信が長くなってしまいました。取り急ぎ、情報系の話題からいきましょう。 まず、「週刊少年ジャンプ」の月例新人賞・「天下一漫画賞」の5月期の結果発表から。
今月は佳作こそ出なかったものの、なかなかの豊作だったようです。特に注目なのが13歳の最終候補ですよね。絵柄とか見ると、確かに13歳とは思えないレヴェルに達しています。あとは人生経験が少ない部分を、話作り・キャラ作りの上でどうフォローしていくかでしょうね。 さて、次に「週刊少年サンデー」の話題を。 そして読み切りのラインナップは、青山剛昌さんのライフワーク的作品・『まじっく快斗』(前・後編)と、武論尊さん&あだち充さんという豪華タッグによる『白い夏』の2作品。恐らくレギュラーの作品を休載させて調整しつつの掲載になるでしょうが、こちらも楽しみにしておきましょう。 ……それにしても「サンデー」は勝負をかけてますね。最近部数低迷が囁かれる「マガジン」相手に猛追をかけに行ってるのか、それとも「チャンピオン」の猛追を防ごうとしているだけなのか(笑)。 さて、それでは今週のレビューへ。今週は「サンデー」から読み切り1作品、そして「ビッグコミック・スペリオール」から新連載1作品を紹介します。文中の7段階評価はこちらをどうぞ。
☆「週刊少年サンデー」2002年31号☆ ◎読み切り『プレイヤー〜禁断のゲーム〜』(作:若桑一人/画:田中保左奈) 「少年サンデー」の若手・新人読み切りシリーズ・“荒ぶれ昇竜!”の第2弾は、「少年サンデー超増刊」連載作品の本誌逆上陸です。 それでは早速レビューへ移っていきましょう。 で、次にストーリーなんですが……。 評価はB+。結果的に話が平坦になってしまったので、これでも甘めの評価になるんでしょうが、ストーリーそのものの構成力と、絵の見栄えは良かったので、プラマイ相殺してこの評価で良いんじゃないかと思います。
《その他、今週の注目作》 ◎『ギラギラ』(ビッグコミックスペリオール掲載/作:滝直毅/画:土田世紀) 名作『あずみ』の実写映画化が決まり、さらに『本気のしるし』や『医龍』などの佳作・秀作が出揃って、にわかに水準が高くなっている「ビッグコミックスペリオール」ですが、今回、また期待できそうな作品が新連載ということになりました。題材はヤング〜大人向雑誌ならではのホスト業界のお話です。 原作の滝直毅さんは、随分昔から手広くマンガの原作の仕事をされている方で、最近では『サラリーマン金太郎』のノベライズも担当したりもしています。ちょっと変わった所では、第1回「世界漫画愛読者大賞」で『満腹ボクサー徳川。』が最終候補に残った日高建男さんが、新人・若手の頃に出した単行本の原作を担当されてもいます。 話のあらすじは、「若い頃はNo.1ホスト、しかし結婚と共に引退し、その過去を隠してサラリーマンになった主人公だが、30歳を過ぎた矢先にリストラの憂き目に。残ったローンを返すため、さらにリストラを知らない家族を養うために、かつてNo.1に君臨していたホストクラブに復帰して──」、というもの。ストーリーを詳しく説明し過ぎるとアレなんで詳述は避けますが、いかにも大人向マンガ雑誌らしい、分かり易いサクセス・ストーリーになりそうです。 評価はA−。ちょっと新鮮味に欠ける点が無きにしも非ずなので、少し評価を控えめにしましたが、ちゃんと楽しませてくれる作品になりそうです。あとはダレる事無く話を展開してもらえれば良いのですが……。
……というわけで、今週のレビューは以上です。来週は採用試験直前で原則休講なんですが、ゼミだけは実施しますので、どうぞよろしく。 |
7月10日(水) 経済学概論 |
競馬に詳しい受講生の方ならご存知かと思われますが、昨日、一昨日(7/8・9)の2日間、北海道は苫小牧のノーザンホースパークにて、日本最大のサラブレッド競り市である「セレクトセール2002」が開催されました。 …というわけで今回の講義シリーズは、そんな「セレクトセール」について、そしてそこから色々な方面へ話を発展させていこうと思います。とりあえずは今回と次回2回の予定です。
……さて、というわけで競走馬競り市の話なのですが、もともと日本の競馬界では、「セレクトセール」のような競り市で行われる競走馬取引はそれほど多くありません。血統の良い馬を中心に、過半数を軽く超えるかなりの割合の競走馬は、牧場と馬主間による直接の取引──庭先取引──で売買されます。 競走馬がデビューするのは満2歳になってからなのですが、良い(と思われる)馬ほど売買のタイミングは早く、時には種付けが済んで受胎が確認された時に仮契約が結ばれる時すらあるそうです。この場合、馬じゃなくて馬の受精卵を買ってるわけですね。 ですので、国との関わりが特に深い特殊法人であるJRAなどは、出来るだけ庭先取引を減らして競り市での取引を増やそうと努力しています。例えば、JRAのレースで競り市で売買された馬が入着した場合は、賞金に加えて“市場取引馬奨励賞”が加算されますし、JRA自らが競り市で競走馬を購入し、調教を積んだ上で希望する馬主に安価で頒布する…という事までやっています(抽選馬制度)。 ですので、ここ数年の「セレクトセール」を除く競り市の状況は本当にお寒い限り。実際にセリが行われている会場の様子も、非常に冷たく乾いた西高東低・冬型の空気が充満しています。 「300ま〜ん、300ま〜ん、ありませんか?」 ここで誰かが手を挙げればセリが始まるのですが、それも無いまま、ただオークショニアの甲高い声が空虚に響くのみ。お代は大抵、種付け料と必要経費を引くとプラマイゼロ程度になるギリギリの線で設定されているのですが、それでも買い手は付きません。そして最後には「カーン!」と、鐘が鳴らされて強制退場となってしまいます。ちなみにこれを「主取り」と言います。 「300ま〜ん、300ま〜ん、ありませんか?」 ……これでは競り市なのか叩き売りなのか分かったモンじゃありません。例に挙げたこのケースだと、生産者は100万円以上の赤字になるわけですが、それでも「肉屋に売ったら5万か10万だしなあ」と思って、断腸の思いで決断するわけで、まさに修羅場であります。そんなわけで、不況下の馬産地を体現するようなものが、これまでの競走馬競り市だったのです。 ……と、そんな閉塞した状況の中、従来の競り市とは一線を画す形で創設されたのが「セレクトセール」だったのです──。(次回へ続く) |
7月9日(火) 歴史学(一般教養) |
皆さんもご存知の通り、教員採用試験が近付いて来まして、ここ最近は、なかなか講義に時間が割けなくなってしまいました。 覚え書き・1 金庫番たちのマル秘訓練 これは中国最後の王朝・清王朝(1636〜1911)でのお話。 普通、兵士たちにとっての栄誉といえば、軍功を挙げ、それを認められて将軍へと出世する事でありますが、平和が続き、兵士たちに厭戦ムードが漂い、戦争に価値が見出せなくなって来ますと、そういう出世欲も失せてしまったりします。 さて、どうやって持ち出したんでしょう? 答えは正にコロンブスの卵。体の中に金塊を隠して出て来たんです。 隠した場所は、なんと尻の中なんです。そうです。尻の穴からズブズブと金塊を埋め込んでいったんですね。タチの悪いホモビデオみたいな話ですが…。 戦い方の訓練よりも、尻の穴を緩める訓練。 というわけで(?)、こんな風潮が蔓延してから間もなく、清王朝は近代化が遅れていた事もあって、ヨーロッパ諸国との戦争にボロ負けするようになってしまいます。そしてやがて、それまで歯牙にもかけていなかったアジアの小国・日本に日清戦争で完敗し、半植民地化への道を転がり落ちてゆくことになるのです。 ……と、こんな感じでお送りしてゆきます。次回もどうぞよろしく。(次回へ続く) |
7月8日(月) スポーツ社会学(ニュース解説特別編) |
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本日の講義は、6月27日から7月1日にかけて当講座で「ニュース解説特別編」として扱った、「2002年W杯・韓国についての諸問題」と、それに関する受講生の皆さんからのご質問・ご指摘を踏まえての質疑応答をお送りします。未読の方は、まず本編をお読み下さい。(→こちらをクリックして、文末のリンクを辿っていって下さい。ただし、相当の長文です) Q.貴方の抱く、“韓国人”のイメージはどんなものですか? また、今回のW杯を通じて、そのイメージはどのように変化しましたか? A.全ての韓国人の方を平均化したイメージを一言で表現するなら、「気難し屋の隣人」といったところでしょうか。せっかく隣に住んでるんだから仲良くした方がベターだと思っています。ただし、もう少し西暦1945年以前の事にこだわらないお付き合いが出来たらいいなあ、とも思っています。 Q.ズバリお訊きします。貴方は韓国人が好きですか、嫌いですか? A.どちらでもありません。「韓国人だから」という理由で、いや、特定の国籍を理由として人を好きになる事も嫌いになる事もあり得ません。あくまで、その人個人によります。 Q.今回の企画を立ち上げた動機は何ですか? A.誤解を恐れず端的に言うと、「需要があったから」という事になります。受講生の皆さんから要望が無ければ、今回講義で述べた内容は、永久に駒木の胸の中にしまわれていたと思われます。 Q.文中に但し書きがありましたが、それでもちょっと内容に客観性を欠いていたのではないのですか? A.まさか今のような事態(大手サイトからリンクを繋げられて、10000人以上のビジターさんたちに受講してもらう事)になるとは思ってなかったので、結果的に説明不足となりましたが、これは今回の企画が「ニュース解説」コンテンツの特別編だという事が大きく影響しています。 Q.今回採り上げられていないけれども、他にも“不正ジャッジ”が行われた場面があったのではないですか? また、それとは逆に、“不正ジャッジ”として扱われていた場面の中に、そうとは思えないものもあるのではないですか? A.今回の「ニュース解説・特別編」を公開して以来、多くの方から指摘のメールを頂きました。その多くが「あのプレーが“不正ジャッジ”扱いされていないのはおかしい」、又は「あの判定は納得のゆくものだったはずだ」という内容のものでした。 それでは駒木がコンテンツ内で述べた内容はどうなのかと申しますと、実は内容にある程度の客観性を保つために、以下のような基準を満たす場面やエピソードのみをチョイスしていました。そして、それを受講生の皆さんに強制しないよう、あくまでも事実の羅列に駒木の感想を少しだけ付記する形にとどめる事に留意しました。
これには、「どうしてマスコミを信頼できないと言っておきながら、ここではマスコミに採り上げられたかどうかを基準にするのか?」という疑問を抱かれる方もいらっしゃるでしょうが、それは「本来なら韓国の利益に反する事を書きたくないマスコミが敢えて書いている」…という事実を重く見たからです。歴史資料研究の世界でもそうなのですが、一番信頼できるものは、自分に不利な事についてのべた内容なのです。 ……と、そういう一定のガイドラインに基づいて採り上げる内容を選択したという事をご理解下さい。 Q.サポーターの乱行については、韓国サポーターのものばかりを指摘していて、アンフェアじゃないですか? 他の国のサポーター(例えばアルゼンチンに対するイングランドサポーター)にも、“今回の韓国サポーターがやった酷い行い”と同じような行動をとっていた人たちもいました。その事についても併記すべきだったと思いますが? A.今回の「ニュース解説・特別編」は、あくまでも韓国のサポーターの行動と、それに関して虚偽の報道をした日韓のマスコミの姿勢について述べたものであって、他国のサポーターを非難する目的は全くありませんでした。また、相対的な基準ではなく、絶対的な基準によって韓国サポーターの行動を“かなり問題のある行動”として指摘する目的の論旨でしたので、他の国・地域のサポーターの問題行動との比較は敢えて行いませんでした。 また、今回の一連のマスコミ報道の中でも「韓国サポーターの行動は、多少度が過ぎたものもあったが、それは他の国のサポーターもやっている事であって、必要悪・あるいは文化の一種である」という趣旨のものが幾つか見受けられました。 以上の事をご理解頂けますよう、よろしくお願いいたします。 Q.「韓国の選手は正々堂々戦った」との記述がありましたが、それにしては随分とラフプレーが多かったような気がするのですが? A.これは、「正々堂々(サッカーで)戦う」という言葉をどのような意図で使うか、という観点から来たご質問だと思われます。恐らく、このご質問をなさった方は、「正々堂々戦う」とは、「ラフプレーや反則を犯す事なく、フェアプレーで勝利を目指す」という認識をされているのでしょう。 サッカーの世界においての現在の一般的な認識として、「反則やラフプレーもサッカーのうち」というものがある、これは大多数の方が納得して頂ける見解だと思います。つまり、「反則やラフプレーが上手い選手はサッカーが上手い選手である、そして逆もまた真なり」、または「反則やラフプレーもサッカーの内」という事です。 確かに韓国の選手はラフプレーが多かったように思えます。しかし韓国絡みの試合全体を俯瞰してみますと、“お互い様”という感があるくらい相手チーム(特にイタリア)もラフプレーを多用して戦っていましたし、よしんば韓国チームが一方的にラフプレーを多用していても、それはそれで構わないと思います。ラフプレーもサッカーのオプションですから、サッカーのルールに従って戦われている限り、“(サッカーの常識内で)正々堂々戦った”という事にしてしまっても構わないとすら思います。 Q.問題となった韓国絡みの試合では、経験の浅い審判が起用されていました。彼らは不正を働こうとしたのではなく、物凄い韓国サポーターからのプレッシャーに圧されてしまって、なし崩し的に韓国寄りのジャッジをしたのではないかと思うのですが、どう思われますか? A.確かに、韓国絡みの試合で不正ジャッジを犯した審判たちは、いわゆる“サッカー発展途上国”の、経験の浅い審判たちでした。そういう経験の浅さが肝心な場面で出てしまった、そういう見解を持たれた方もかなりの数いらっしゃったようです。 Q.タレント・明石家さんまさんのTV番組での行動(ドイツユニフォームを着て韓国×ドイツ戦中継に出演、さらに「私はサッカーファンですからドイツを応援した」という趣旨の発言)についての記述が無かったのですが……? A.はい、確かにそのような発言が為された事は存じ上げております。ただし、明石家さんまさんが、どのような意図でそのような発言をしたのか、正確に把握する材料に乏しかったため、誤った解釈をしてコンテンツ全体の価値を落としてしまうよりは、敢えて採り上げない方が良いだろうと判断し、「ニュース解説・特別編」では採り上げませんでした。
……と、今回の質疑応答は以上です。これに関してのご質問はBBSにて受け付けますが、迅速な対応はしばらく出来なくなりますので、ご了承ください。 それでは、今回のW杯関連の話題はこれで区切りとさせて頂きます。どうも皆さん、ご清聴ありがとうございました。(この項終わり) |
7月6日(土) 教育実習事後指導(教職課程) |
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色々ありまして、ほぼ2週間ぶりのシリーズ再開となります。特編カリキュラムということで、進み方は遅々たるモノになってしまうのですが、頑張って講義を進めていきますんで、どうぞよろしく。 これまでのレジュメはこちらから↓ いくら実習と言っても、やる事は本物の先生と変わりません。50分間の授業を1人でやります。担当教諭は原則として教室の後ろに待機してるだけで手は貸してくれません。たとえその実習生が口下手で、なおかつ人前で喋った経験が皆無であろうと──驚かれるかもしれませんが、そういう実習生は結構いるのです──関係ありません。そのため、テレビやラジオで言うところの放送事故状態になる事もしばしばなのです。 本来ならば落語の稽古のように、まず師匠(指導教諭)に模範演義をしてもらって、それを完璧に真似るところから始める、というのがスジなのでしょう。しかし、残念ながら教育実習ではそんな事をしている時間はありません。最低2週間で“プロの卵”程度になるくらいには仕上げないといけないわけですから、面倒くさい事は抜きにして、数回授業を見せてもらったら、後はとにかく授業、授業、授業です。 ところで、駒木は教育実習の時点でキャリア3年のバイト塾講師。ですので、教育実習の場で初授業の苦しみを味わう事はありませんでした。むしろ、あまりにも手慣れた感じで授業を進めていくので、生徒から「何故そんなに慣れてるのか?」とざわめきが起こったほど。まぁ、3年やってて「やっぱり慣れてない感じが実習生らしい」とか言われると、“永遠の若手”リットン調査団になったみたいで辛いものがありますので、それはそれで当たり前とも言えますが。 しかし、駒木は実習初授業を迎えるにあたり、他の実習生とは全く別の意味で非常に苦しい立場に置かれていたのです。 話は教育実習の開始から約2週間前に遡ります。 その日の夕方、駒木は大学から自宅に戻るや、休息もソコソコにバイト先の学習塾へ向かっておりました。 ──と、そう書いてしまうと、スクーターを刎ね飛ばした挙句に乗ってた人を1kmくらい引きずった的な大惨事を想像する人がいるかもしれませんが、さすがにそこまではいきません。あ、いや、「あら残念」とか「何だ、ヌルい話だな」とかおっしゃらないで頂けますか? もし、そんな事故だったら教育実習の初授業で3年のキャリアを生かすどころか、地方裁判所の初公判で3年の論告求刑を受けてしまってますんで、そこのところをよろしくお願いします。 事故のあらましは以下の通りです。 ブレーキ、踏んでなかったんです。 程なくして、ドーン! という、喪黒福造に気合を入れられたような衝撃が全身に走りました。そうです。前の右折待ちの車に追突してしまったわけです。 ……おい、これがどう教育実習と絡んで来るんだよ、と訝しんでおられる貴方、話はここで終わらないのです。 事故翌日、駒木の自宅に電話がかかって来ました。Jさんからです。 交通事故を体験された方はよくご存知だと思いますが、交通事故で物損と人身の差というのは、たとえそれが軽微なものであっても全く次元の異なるものになってしまいます。 ※ちょっと補足※ それからしばらく経って、いよいよ警察から出頭の要請が来ました。それ自体は覚悟していたんで構わないんですが、その日付を聞いてビックリです。教育実習期間中のど真ん中、しかも授業実習初日じゃありませんか。
……という和泉元彌真っ青のケツカッチン・スケジュールで進行する事に。担当教諭のT先生にだけ事情を説明して許可を得て、無事に学校を抜け出す事に成功しました。 そして数十分後、ようやく警察署着。 部屋に入って要件を告げると、まだJさんが到着してないので、到着するまで待つように言われてしばし待機。それから15分くらい経ってJさんが到着。まず簡単に事情聴取をされて、それから現場検証へ行くことになりました。 「え〜とりあえず、お2人さんだけ先に現場に行って待っておいて下さい。Jさんの車で」 ……かくして駒木は、被害者のJさんが運転する、駒木が追突して車体を凹ませた車の助手席に乗って、2人きりでドライブする羽目になったのでした。 しかもまた、現場に着いてからも警察が来ないんです、これが。仕方ないので世間話などをするんですが、これがまた弾まないわけです。まぁそこで、「『機動戦艦ナデシコ』のTV版最終話についてどう思うか?」というネタでドッカンドッカン盛り上がってもアレだと思うんですが。 ♪バッドコミュニケイショ〜ン! 言われんでも分かっとるわ! それから20分程度経って、ようやくパトカーに乗って警察登場。しかし、現場検証そのものは10分程度で終了してしまいました。なんだか、現場検証がメインだったのか、Jさんとの強制ドライブがメインだったのか分かりません。恐るべし、近代警察であります。 警察署に戻ったら、最後にもう一度締めの事情聴取。 容疑者! 調書! もう、体中から力がヘナヘナと抜けてゆきます。 喋った事を生徒にノートとってもらわなきゃいけない時に、喋った事を警察に調書取られてどうすんだよ自分! ……しかも、その事情聴取が結構マヌケで、余計に脱力してしまいました。
…そうして、最後に妥協の産物のような調書を読み上げてもらい、拇印を捺印して全てが完了しました。この時、既に午後からの授業にはギリギリ。交通事故の生っぽい話をした1時間後には、教壇に立って古代ローマの話をしなければならない現実に頭を痛めつつ、慌しく帰途に就いたのでありました。 まぁ、最終的には授業もソコソコの出来、そして事故の方も無事に事故が軽微&示談好調とのことで不起訴(起訴猶予)となり、罰金ゼロで行政処分も減点2だけで済みました。ドタバタした割には帳尻だけは合った形になったのですが、いやはや、こんな体験はもう御免被りたいですね。 そういや当時のバイト先の塾の上司、その後、生徒に対する盗撮がバレて、駒木が事情聴取受けたのと同じ警察署で事情聴取受けたんですが、縁は異なもの味なもの、ですよね。 ……などと、まとまってるんだかまとまってないんだか分からない締め方で、今日の講義をしめくくらせて頂きます。次回は授業実習についての話題の続きをお送りする予定です。(次回へ続く) |
7月5日(金) 文化人類学 |
さて、6月25日付講義でお知らせしました通り、今年もアメリカ独立記念日である7月4日の正午(日本時間7月5日未明)から、ニューヨークのホットドッグ店「ネイサンズ」にて、「ネイサンズ・国際ホットドッグ早食い選手権」(以下、「ネイサンズ選手権」と略)が実施されました。 今年のネイサンズ選手権は、ホスト国アメリカの他、前年度王者・小林尊選手を擁する日本、さらにはカナダ、ドイツ、そして数年来、フードファイト熱が高まりつつあるタイからも選手が派遣され、いつにも増して国際色豊かなものとなりました。 彼の戦法は極めてスピード重視の機能的なもので、まずホットドッグのパンとソーセージを分けます。そしてソーセージを2つに折って口に運ぶと同時にパンを飲用の水につけて柔らかくし、ソーセージが胃に収まり次第、それも胃に一気に流し込んでしまうのです。 そんな豪快な食べっぷりを今年も披露して、小林選手は見る見るうちに他の選手との差を広げてゆきます。中には日本の一流選手顔負けのハイペースで追いすがるアメリカ人選手もいましたが、それでも小林選手との実力差は如何ともし難いものがありました。間もなく興味は、小林選手が昨年の記録50本を更新できるかどうかに絞られてゆきます。 ところで、今年からは従来の試合前計量に加えて、優勝者は試合後にも計量することとなり、小林選手は表彰式の際に体重を量ることになりました。 まだ正式発表はありませんが、恐らく秋の番組改変シーズンには、TBSやテレビ東京でフードファイト特番が製作・放映されることと思います。その舞台で小林選手や現在の実力No.1選手である“ジャイアント”白田信幸選手などが、世界最高峰の実力を見せ付けてくれることを期待しつつ、とりあえずこの場を締めくくりたいと思います。 それでは、短めですが講義を終わります。次回の文化人類学は7月下旬に、2002年度「フードファイター・フリーハンデ・中間レイト」を3回程度のシリーズでお送りする予定です。どうぞ、お楽しみに。 |
7月4日(木) 演習(ゼミ) |
“ちゆインパクト”に次ぐ、“セカンドインパクト”(笑)が進行中ですが、カリキュラムは一応平常のものに戻ります。今日は木曜日付講義ということで、現代マンガ時評をお送りします。 さて、まずは情報系の話題から。 あとは情報と言っていいのか分かりませんが、「週刊少年ジャンプ」系新人月例賞・「天下一漫画賞」7月期の審査員は冨樫義博さんと発表されました。相変わらずマンガの方は休載ばっかりなんですが、まさか賞の審査で復帰とは(笑)。この人の場合、体調不良で休載してるのか、ネームが描けなくて休載してるのか判断に苦しむところなんですが、少し前みたいに入院してるわけではなさそうですね。 それでは、今週のレビューに移ります。 文中の7段階評価はこちらをどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年31号☆ ◎読み切り『Elephant Youth!』(作画:西公平) 今週のレビュー1作品目は、「赤マルジャンプ」で2回読み切り掲載の実績がある若手作家・西公平さんの作品です。 では作品の評価へ。 次にストーリーなんですが、これは率直に言うと「あと一押し」という感じでしょうか。
◎読み切り『白い白馬から落馬』(作画:夏生尚) 先々週掲載の『あつがり』に引き続いて、2002年上期の「赤塚賞」佳作受賞作の登場です。 というわけで、この作品も佳作受賞作ということで、あくまでも習作のレヴェルを超えるものではないと思います。 形式は1ページのショートギャグを14本というもの。絵柄や形式は、かつて「週刊少年サンデー」に連載されていた『ファンシー雑技団』(作画:黒葉潤一)に似てるような感じでしょうか。新人のギャグ作家さんにしては絵が上手い方ですし、1本ごとに違う絵柄にチャレンジしてみようという意欲が感じられるのは、なかなか好感が持てます。
☆「週刊少年サンデー」2002年31号☆ ◎読み切り『怪盗NAO!』(作画:杉信洋平) 今週から「サンデー」では、5週連続で読み切りシリーズが始まりました。今日はその第1弾・杉信洋平さんの『怪盗NAO!』のレビューをお送りします。 杉信さんは、どうやらこれがデビュー作となる新人作家さんのようです。「サンデー」系の新人賞についてはデータベースが少ないので、正確な受賞歴は不明ですが、少なくとも当講座の開講(01年11月末)から「サンデー」系の新人賞を受賞したというデータはありません。 では、作品の内容へ話を進めていきましょう。 そしてストーリーなんですが、こちらはちょっと前途多難かなあ…という印象です。どうも、力を入れるベクトルを完全に間違えているような気がするんですよね。 とりあえず言える事は、まだ本誌に出てくるには力不足であるという事。そして、もっと真剣にマンガを描くという事を再検証してもらいたい、という事です。 ……と、いうところで今週のレビューは終了です。来週、再来週と、どこまで時間が取れるか分かりませんが、ゼミそのものは実施しますので、どうぞよろしく。 |
7月1日(月) スポーツ社会学(ニュース解説特別編) |
※お断り※ 今日の講義は「ニュース解説」との連動企画であり、駒木ハヤト本人の主観的意見が中心の内容となります。客観性を欠く部分があるかと思いますが、コンテンツの性格をご理解ください。また、文体は常体(で、ある調)となります。 ※本日付講義は6/27付ニュース解説、6/28付講義(特別編)、及び6/30付講義(特別編・続編)の続きになります。未読の方は、まずそちらをどうぞ。 今回のW杯に関する諸々の出来事の中で、駒木が最も憤りを感じたのは、日本のマスコミ──特に大手全国紙とTV各局──の偏向報道だった。 彼らの報道姿勢は一貫していた。まるで韓国×イタリア戦の主審・モレノ氏がそうしたかのごとく、徹底的に韓国を賛美、そして擁護すること。それが彼らの第一目的だった。 ここで改めて駒木はマスコミの方たちに問いたい。
…駒木の心は今、理不尽な思いで一杯である。 それではこれから、あるスポーツライターから「共産主義国家の共産党機関紙よりも偏っていた」と揶揄された、自称・報道機関の偏向報道のありのままを語ってゆく事にする。 まずは全国一般紙を中心とした新聞の報道姿勢から、時系列に沿って追いかけてみよう。 まず、マスコミの韓国代表チームに対する超好意的な報道は、早くもW杯開幕前後から始まっていた。しかしこの時はまだ、“偏向”という表現を使わないといけないレヴェルまでには達していなかっただろう。朝日新聞などは、韓国で日本×ベルギー戦が放映された時に、「日本の敵に回ったから」という理由でベルギーを応援する韓国サポーターの姿をさりげなく報道したりもしていた。 例の悪夢のような試合が終わった翌朝、朝刊各紙はスポーツ面を飛び出して、一面トップや社会面でも韓国の“快挙”を報じた。その大量の記事のほとんどは韓国代表チームを手放しで褒めるもので、ダイナミックなヒディング采配や韓国選手の技術や不屈の闘志が勝因の全てであった、という論調だった。そんなわけだから、例の罵詈雑言を記した横断幕があった事など、全く無かった事になってしまっていたのも当然だった。日本の新聞社は全国の一流大学から秀才を掻き集めておいて、ただの1人もイタリア語が読める者がいなかったのであろうか、いやはや。 アン・ジョンファンのペルージャ解雇報道に至ってはもっと酷い。どうしてペルージャのガウチ会長が彼に対して激怒したのかといった理由(一連の不正ジャッジ問題&アン・ジョンファンが、イタリア戦に関して酷く傲慢なコメントを発したという虚偽情報がガウチ会長の耳に入った事)を全く記さずに、ガウチ会長がただ誹謗中傷の罵詈雑言を発したように報道したのである。 スペイン戦の時もイタリア戦と同様だった。読売ジャイアンツのサヨナラ勝ちを報じる報知新聞のように、とにかく「韓国凄い、最高!」と書きたてた上で、明らかな不正ジャッジの事は可能な限り隠蔽しようとした。もしどうしてもジャッジの事を記事にしなければならない時は、「微妙な判定」という異様に便利なマスコミ常套句を使用した。どうやら新聞社においてある国語辞典は、我々の持っているそれとは、記されている内容が大きく異なるようである。 しかし、これがもしも無知から来る過失であるなら、まだ救いがあった。もともと新聞というものは、歴史・考古学分野と野球以外のスポーツに関しては、からっきし弱いものと昔から相場が決まっている。サッカーの事や、業界の事情に疎い記者たちが一連の記事を書き垂らしているのであれば、怒る前に冷笑を浮かべるだけでも溜飲が下がっただろう。 新聞記者たちと同じく韓国に長期滞在していた硬派なスポーツ専門誌やスポーツ専門ウェブサイトのスタッフたちは、当然のように不正ジャッジと韓国サポーターの乱暴狼藉を非難する記事を書いていた。隣で新聞記者が自分たちと同じ論調の記事を書いているのを目撃もしていた。そして彼らの書いた記事は、幸いにも握りつぶされる事無くネット上で公開されることになった。 ドイツ戦やトルコ戦の直後になされた報道について書くのは蛇足が過ぎるだろう。要はこれまでと同じであったという事だ。 大会総括と言っても、一般マスコミにとって今回のW杯とは、日本と韓国が出ていたサッカー大会という認識を大きく超えるものではない。ロナウドとカーンとベッカムに簡単に触れて、1次リーグでの強豪国敗退ラッシュについて一くさり述べたら、あとは「韓国代表のサッカーは特に素晴らしかった!」のオンパレードである。 まず、韓国代表のヒディング監督と比較されたのは、当然日本代表のトルシエ監督であった。 そして、韓国の選手を賞賛する時の論調はこうであった。 こうして韓国代表に過剰な賛美をした側から、今度は「誤審報道」についての“韓国擁護”をやってのける。 W杯総括の最後は、今大会の共催の意義についてだった。恥と嘘の上塗りは最後まで続いた。 ……と、こうして新聞各紙は、厚顔無恥な偏向報道を1ヶ月に渡って繰り広げて、大いに信頼を損なった。 まず、試合の生中継番組だが、韓国代表は日本代表に準じる扱いの“応援実況”を受けた。ただ、これは視聴者のニーズの問題もあったので(特に開幕当初)、それ自体はまだ納得できる範囲と言えよう。 中継番組以上に酷かったのは、その結果を報道する役目を担っていたはずのニュース番組やワイドショー番組であった。
……さて、こうして今回のW杯報道で、新聞やテレビといった、企業体の大手マスコミは大きくその信頼と評判を落とすことになったわけだが、その一方で大きく株を上げたのが、インターネットによるニュース・ネットワークであった。 今回の不正ジャッジ問題と、それに伴うマスコミの情報操作問題が起こったのが、もしもインターネットが普及する前、例えば8年前のアメリカ大会だったら、果たして我々はどうなっていただろうか。そう思うと、駒木は恐怖すら感じる。 マスコミ関連のエピソードの中で、数少ない救いであったのは、W杯閉幕直後に発売されたサッカー専門誌のW杯特別増刊における、不正ジャッジの報道姿勢が極めて妥当なものであったという事だ。 さて、余りにも長くなってしまった今回の「ニュース解説」・特別編だが、ここで全体を締めくくるとしよう。 サッカーは素晴らしいスポーツである。 胸を張ってそうやって言える事を祈りつつ── ※質疑応答編があります→こちらをクリック |