「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
2月27日(水) 演習(ゼミ) |
今週もゼミのお時間がやってまいりました。 それにしても、皆さん、今日発売の「週刊少年マガジン」13号は読みましたか? これを描かされた、仕事の断れない立場にある新人作家・杉山真弓さんは、どうにも災難としかいいようがありませんね。ま、早いトコ売れて、この作品を“消した過去”にしちゃって下さい。 ……それでは、今日は扱う作品も多いので、とっととレビューに行っちゃいましょう。 ※文中の7段階評価はこちらを。簡単に言えば、B+はマンガ好きに推奨の作品、A−以上は、誰にでも推奨したい作品、と考えてください。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年13号☆ ◎新連載『少年エスパーねじめ』(作画:尾玉なみえ) 一部では連載前から大きな話題になっていた、尾玉なみえさんの新連載作品ですね。 さて、今回の『少年エスパーねじめ』ですが、以前掲載された同題名の読み切りとは大きく内容・設定を変えてきました。おそらく、「面白ければ何でもアリ」と開き直った結果だと思われますが、これが大成功でしたね。 で、この作品の面白さについて。 評価ですが、少なくとも今回はA評価にしても良いと思います。問題はこのパワーの持続性ですが、それは第3回の時に検討するという事で。 ◎新連載第3回『あっけら貫刃帖』(作画:小林ゆき)《第1回掲載時の評価:B+》 巷ではあんまり良い評価を聞かないのですが、駒木の好感度は依然として高いです、この作品。もっとも、大物感の無さも相変わらずなので、ジャンプの看板作品に成長する見込みは薄いままですが……。 ◎読み切り『ヒカルの碁・番外キャラ読切シリーズ・加賀鉄男』(作:ほったゆみ、画:小畑健) キャラクター人気投票で上位に食い込んだ、『中学囲碁部編』のバイプレーヤー・加賀鉄男のサイドストーリーですね。巧みに葉瀬中囲碁部の後日談にもなっている一石二鳥的な試みが、実に心憎いですね。ホント、ほったさんって、タダでは読み終わらせてくれません。 それにしても、この回は完全にセルフパロディになってますね。ジャンプで発表せず、同人誌にして夏コミ売った方が良いような感じがするくらいですよ(恐ろしい行列できるでしょうけど)。名作家はパロディの名手でもあるんだな、とじみじみ実感する次第です。 ◎読み切り『偉大なる教師』(作画:郷田こうや) 第54回赤塚賞で、島袋光年さんの猛プッシュを受けて佳作を受賞した、郷田こうやさんの読み切りです。『HUNTER×HUNTER』の代原なので、習作段階の作品を編集部が預かっていたものだと思われますが。 で、今回なんですが、有り体に言うと「永久に編集者の机で眠ってた方が良かったかな」と。ショートギャグにしてしまったせいか、現時点での唯一に近いウリの“強引さ”が翳ってしまったような気がします。
☆「週刊少年サンデー」2002年13号☆ ◎短期集中連載・最終回(第4回)『ダイキチの天下一商店』(作:若桑一人、画:武村勇治)《第1回掲載時の評価:B》 長期連載を賭けた短期集中連載が終了しました。この期間のアンケート結果を見て、本格連載か月刊への左遷かが決まる事になります。 ……と、いうわけで一長一短のこの作品、評価は据え置きでBとします。個人的な見解としては、「連載になっても構わないが、敢えて読みたいとも思わない」というところでしょうか。 ◎読み切り『ピー坊21』(作画:佐藤周一郎) 「サンデー特選GAGバトル7連弾」の第2回です。 まず絵なんですが、多少デッサンが狂うなどの初々しさが漂うものの、拙くは無いと思います。メジャーデビュー直後のゆうきまさみさんを髣髴とさせるものがあります。と、いうことは、修行すれば相当上達しそうですね。これはまぁ、ちょっと甘いですが合格点をあげてもいいかと思います。 どうもこの佐藤さん、残酷なようですがギャグ作家を目指す事自体が間違っている気がしますね。ストーリーの構成力をつけて、コメディ作家に転身すれば芽が出るチャンスも大きいと思うのですが……。 《その他、今週の注目作》 ◎読み切り(週刊コミックバンチ13号掲載・世界漫画愛読者大賞・最終審査エントリー作品『灰色の街』(作画:江口孝之) 消えたマンガ家&マンガ家予備軍敗者復活戦の様相を呈してきたこの企画も、ついに折り返しの第5回となりました。 さて今回の『灰色の街』なんですが、江口さん自身もインタビューで語っているように、複数の作家さんの影響が複合的に表われているような感じですね。駒木はとりあえず、『はっぱ64』時代の山本直樹さんを感じたりしましたが。 評価は減点・加点入り混じってのB評価というところでしょうか。これがデビュー作だというのならばまだしも、デビューから4年以上経過して、作風も自分で固めてしまった人という事を考えると、ちょっと大成は難しい気がします。 しかしこの賞、大賞賞金5000万円なのですが、ここまで5作品見た感じだと、1/10でも高いくらいだと思ってしまいますねぇ。 ◎連載第3回『キメラ』(「スーパージャンプ」掲載/作画:緒方てい) 『キメラ』の第3回は、急遽巻頭カラー&増ページになりました。「SJ」編集長の期待の表われでしょう。 これは第1回のレビューでも述べたのですが、大事なポイントなので、もう1度述べます。 一応、今回で『キメラ』レビューは一時中断とさせて頂きます。次にレビューする時は、『キメラ』が大化けした時になると思います。評価は据え置きでB+。 ……と、今週は8作品のレビューを行いました。大変です、ハイ(苦笑)。 |
2月26日(火) 労働経済特論 |
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普段、この講座で競馬の話をするのは土曜日だけなんですが、今日は競馬に興味の無い方にもついていけそうな話題なので、別枠「労働経済特論」として実施する事にします。 競馬ファンならご存知でしょうが、昨年秋、公営・笠松競馬のNo.1騎手・安藤勝己騎手がJRA(中央競馬)の騎手免許試験を受験するも、不合格になるという“事件”が起こりました。 まず1点目。この騎手免許試験では、安藤勝己騎手の他にJRA競馬学校在籍の騎手候補生が受験しており、彼らは全員合格しています。 2つ目。安藤勝己騎手は、これまでも試験で落ちた先のJRA(中央競馬)のレースに数え切れないほど騎乗し、正規のJRA所属騎手の大半よりも優れた成績を残しています。 ……と、毎度の事ながら回りくどい説明文になりましたが、以上2つの理由から、この「安藤勝己騎手、JRA騎手試験不合格」は、“事件”と言って申し分ないでしょう。年がら年中事件にてんてこ舞いの、「ホテル」での高嶋(弟)も真っ青です。 さて、当然の事ながら、この事件はあちこちで大きな話題となりました。競馬ファンはもちろんの事、競馬評論家の重鎮クラスまでがJRAの姿勢を批判したのです。 これにより、今年のJRA騎手免許試験を皮切りに、公営競馬のトップ騎手たちが、続々とJRAに移籍するという
例えば、業界トップの武豊騎手になると、週に20レース前後騎乗しますから、騎乗手当だけで週80万円以上になります。その上、大抵2〜3勝はしますので、進上金が最低でも150万円程度は加算されます。週230万以上、月収約1000万円、というところでしょうか。もしG1レースなんか勝った時には、さらに数百万円加算です。 一方、公営競馬の騎手はどうでしょうか。各競馬場ごとに詳細が異なるのですが、ここでは代表的な例を紹介します。
胴元の経済力に差があるとは言え、ちょっとコレは酷いですよね。 まさに、恐ろしいまでの収入格差ですよね。 というわけで、これだけの収入格差があるなら、JRAでも通用する技量のあるトップ級騎手は移籍を考えるのが当然。恐らくは、ここ数年の内に公営競馬のトップ級騎手の大半が中央競馬に移籍する事になると思われます。まぁ、実力のある者がそれ相応の収入が得られるのは、プロスポーツとしては極めて正しい姿ですので、これはこれで喜ばしい話と言えるでしょう。 しかし、物事には全て功罪共にあるのが普通です。このJRAとNARの規則改正、実は大きな問題も孕んでいるのです。 今回の規則改正は、公営競馬所属騎手のJRA移籍を円滑に進めるためだけのもので、逆のケース(JRA→公営)は、全く保証されていません。 ところが、こちらのJRAから公営への移籍に関しては、全くの白紙状態になっています。 騎手問題から見え隠れする、日本競馬界の構造的な問題。我々競馬ファンも、日本調教馬の海外での活躍に浮かれる前に、少しはこの事を真剣に考えなければならないかも知れませんね。 まずは、最寄の公営競馬場に、少しずつお金を落とす事から始めましょうか。あ、難しい事を考えなくても大丈夫です。どうやったって馬券じゃ勝てませんので、普通に競馬をするだけでお金を落とす事が出来ますのでね。 と、問題提起だけで結論が出せたわけではありませんが(出そうと思っても出せないです)、今日の講義はこれで終わりにしたいと思います。競馬に興味の無い方は、「JRAの騎手って、こんなに儲けてるのか」とでも思って頂ければ、それで結構です(笑)。 (この項終わり) |
2月25日(月) マス・コミュニケーション論 |
おかげ様で当講座も、間もなく正式開講から3ヶ月になります。最近は学園祭効果もあり受講生も増えまして、以前に比べて4〜5倍にまでなっております。 さて、この約3ヶ月間で行った講義は、今回を含めて76回。本当に、様々な題材を採り上げてまいりました。しかし中でも、これらの講義を振り返ってみて、講師自ら最も異色と思えるのが、第1回の講義、11/29付の講義・「マンガ新人賞の新しい姿」だったように思えます。 そして、今日はこの第1回講義の続編にあたる講義を行います。何だか、気が付いたら何度も同じネタの文章を書いている山崎“銀玉親方”一夫氏みたいで気が引ける思いですが、まぁそこは竹書房や白夜書房の雑誌を読むような生暖かい気持ちで、ご容赦ください。 ……… 受講生の大半の方はご存知ないでしょうが、マンガ界には「カラフルBee」という、極めて実用性に富んだ成年向けマイナー月刊誌が存在します。 また、この雑誌が個性的なのはマンガだけではありません。この雑誌の将来をいずれ担ってゆく新人作家を発掘するための新人賞・「カラフルトライアル」も、極めてオリジナリティに満ち溢れているのです。 しかし、本当にこの新人賞が個性的なのは、別の部分にあります。その“別の部分”とは、入選作紹介の際に担当編集者が書き記す講評であります。 ……… この講義は、そんな「カラフルトライアル」の講評を紹介した上で、マンガ界、ひいてはマスコミ界の新しい姿を模索しようか、というものです。 ところで今回の内容、「微に入り細に入り」な講評を扱うわけですので、かなりキワどい部分もあります。よって、性描写等に不快感を感じる方、若しくは15歳未満の方は閲覧をご遠慮頂いた方が良いと思いますので、これから先は別ページにて、お送りしたいと思います。 それでは、15歳以上で、なおかつキワどい描写でも笑い飛ばせる方は、こちらをクリックして下さい。
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2月24日(日) 日本文化特殊講義 |
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さて、少々予定が遅れてのスタートとなりました、日本文化特殊講義の2回目です。 さぁ、2日前の講義の続きです。 皆さんは、定年から数年経った60過ぎの熟年男性がポルノ小説を執筆、と聴くとどう思われるでしょうか? 自分が路上で、女子大生にこの質問をしている風景を想像するだけで鬱になり、統計を取る気にもなりませんが、まぁ、大半の人は、様々な反応をしながらも「60過ぎた男性が、ポルノ小説書くなんて、珍しい話だなぁ」と思う、というところでしょう。 しかし、文学業界の人からしてみると、初老、若しくは老人の男性がポルノ小説を描く事は、別段珍しい事でもないようです。 ここに一冊の本があります。 と、それはさておき。 まず、ノンフィクション系は“戦記モノ”が多いそうです。
しかも、内容と言えば、
これじゃ戦記というより、「中国北部・軍隊体験ツアー参加レポート」といった趣です。そりゃ傑作は無いな、と思ってしまいますね。 と、まぁ、以上がノンフィクション新人賞の実態です。 次に、フィクションの小説新人賞で、定年後の男性がどのような作品を応募してくるか? 具体的にどんな小説が送られてくるのかと言いますと、
…ほう、これはオーソドックスながら、発想の広がりそうな題材だなぁ………などと思っていましたら、その内容たるや、まさに「老いてますます壮ん」系でありました。
駒木も恥ずかしながら、多少、小説を描いたりしまして、ゆくゆくはこれでメシを食っていければ……とも思っている小説家予備軍なのですが、自分の経験から考えても、原稿用紙100枚で濡れ場22箇所というのは、いくらなんでも多すぎると思います。 凄まじい密度の官能地獄変であることは確かなようですが、これではマトモなストーリーが紡げるはずがありません。
ちなみに駒木は、掌に収まるくらいの小振りの……いやいや、そんな事はどうでも良いのです。 また、この他、『下読み嬢の告白』で紹介された「老いてますます壮ん」系小説をダイジェストで紹介しますと、 ・年金受け取りの方法を相談するところから、信用金庫の女の子と仲良くなり、遂に手に手をとって、老妻には“戦友会”と偽って一泊旅行。(70歳) ・明治末期、鯨漁を題材にした浮気小説(69歳・元漁師の会社役員) ・詩人の文学館建設という夢を追う初老の男性が、若い女と情事するだけの小説(65歳・会社嘱託) ・30歳半ばの愛人が女主人公の小説。キスシーンで「チューをした」などと表現(64歳・大手企業を退職後、子会社の顧問) ……いやはや、年老いても考える事は、“「ネプ投げ」が見たくて、眠い目を擦りながら起きていた13歳・中1”と大して変わらないものですね。 と、ここまで講義を進めておいて、この講義の本題が何かを見失いかけていました。 そうです、元校長の描いた、ストリップを題材にしたポルノ小説の中身でありました。 ストリップが題材でありますから、主人公は60を過ぎた男性客。おそらく、これは自身を投影した姿であると思われます。 …などといった内容が、ストリップ嬢同士のレズ関係&濡れ場という、本筋に関係無い部分を挿入しつつ繰り広げられる、原稿用紙200枚クラスの長編小説、とお見受けしましたが、どうでしょうか。 それでは、時間となりました。今日の講義はこれで終わりにしたいと思います。 |
2月23日(土) 競馬学概論 |
珠美:「今日の講義は海外のレースなんですね、博士」 |
2月22日(金) 日本文化特殊講義 |
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怒涛の文化人類学週間も終わりまして、しばしの間、平常講義に戻ります。 受講生の皆さんは、当時世間を震撼させた、「酒鬼薔薇」を名乗る少年による殺人事件を覚えておられるでしょうか? そう言えば、この手の事件では、事件発生当初に、“識者”を名乗る人たちが犯人像の予想をやりますよね。そう、いつも和久峻三が大ハズレをかましているアレです。 「『酒鬼薔薇』の『薔薇』は同性愛の象徴である。だから犯人は同性愛者である!」 この一文を読んだ時の駒木の心境を端的に表しますと、以下のようになります。↓
(´口`;;) ……どうやらこのセンセイは、『薔薇族』の読者であったようですが、いやはや。 まぁ、この事件は数ヵ月後、無事に解決。地域の住民はホッと一安心、深夜の客が減ったタクシーの運ちゃんはガッカリ、という結果に落ち着きました。 「酒鬼薔薇の校長、卒業式当日にストリップへ!」 “酒鬼薔薇”少年が通っていた中学校の校長が、卒業式当日にストリップ小屋へ行ったところを写真に撮られてしまった、というものでした。 しかし、それから数年。沈黙を破って、彼は帰って来たのです。
いやはや、再登場までストリップ絡みとは。
いや、I
氏も、別にマスコミとの軋轢をきっかけに小説書いているわけじゃないでしょうけど…。 それにしても、この
I 先生。自分の知識を生かして小説を書こうと言うあたり、なかなかの見識ですね。 中でも、一番多いのはプロレスを題材にしたケースですね。真剣勝負と虚構の狭間で揺れ動きつづける、極めて特殊な格闘技、プロレス。これを題材にマンガを描こうなどとして、なかなか上手くいくはずがないのです。 ……ん? プロレスは真剣勝負だ、馬鹿にするな? ……話を戻します。まぁ、このように、プロレスマンガはリアリティを持たせて描くのが難しいわけです。 他のジャンルでも、競走馬の青毛(真っ黒な毛色)を文字通り解釈してしまい、真っ青なサラブレッドがターフを駆け巡った『風のシルフィード』など、失敗例を挙げればキリがありません。 話が脱線しました。 ……おっと、話を脱線させすぎて、講義時間が終わってしまいました(汗)。申し訳ないですが、続きは次回という事に。明日は競馬学概論の日ですから、この講義の続きは明後日ということになります。 |
2月21日(木) 文化人類学 |
まず初めに、今回も訂正から。 では、本題へ。今日は3回にわたってお送りして来た「フードファイターフリーハンデ(以下:FFFハンデ)」の総括を行います。 まず、全カテゴリ・ハンデ一覧表ですね。 こちらをクリックして下さい 一覧表の最下部には、これまで3回分の講義のリンクも付けましたので、各カテゴリごとの解説がご覧になりたい方は、そちらからでも閲覧できます。どうぞ、ご利用ください。 それでは、総括に移ります。といっても、一覧表載せるだけじゃ能がないので、「フードファイトについて、何か書いてみようか」と思っただけですので、全然総括になってないかも分かりませんが…… 激動の2001年を経て、フードファイト界はかつてない転換期に入ったと言えよう。 まず、長時間競技を繰り返し、“大食い”系の最高実力者を選ぶ「大食い選手権」の独占状態が終焉を迎えた。 この事実は、これまで我々ウオッチャーが抱いて来た、「60分以上の長時間で最も多くの食材を食べられる選手こそが、最強のフードファイターである」という、「大食い選手権」が我々に植付けて来た固定観念の崩壊に直結してゆく。何故なら、「フードバトルクラブ」の誕生により、「超短時間で一定量の食材を食べる事の出来るフードファイターもまた、最強のフードファイターに相応しい」という新しい概念が生まれたからである。 そもそも、 では、これから“大食い”と“早食い”のどちらがメジャー扱いされてゆくのであろうか? フードファイト界に起こっている、起ころうとしているこれらの事、実は、とあるスポーツの約300年前の姿と、多くの面で相似している。 約300年前、当時イギリスで盛んになりつつあった近代競馬は、現在とは全く違うレース方式で行われていた。 そんな閉鎖的な状況を憂い、一部の競馬関係者が新しい競馬のレース方式を模索した。 ……お分かりだろうか? 競馬の話で言うところのヒートレースを「大食い選手権」に、ダービーのような一発勝負レースを「フードバトルクラブ」に当てはめると、理解しやすいかと思われる。 という事は、である。 「大食い選手権」時代の終焉、しかし、それに代わって天下を取ったはずの「フードバトルクラブ」の地盤が極めて脆弱。加えて、それに伍するような第三勢力の登場も望み薄。これが現状である。 ……ここまで難しい事ばかり書いて、全く総括になっていないので、ここらへんで総括らしい事も書いておこう。 そして、2002年シーズンの開幕戦である「大食い選手権」地方予選から、既に続々とニュースターが現れ始めている。近畿地区予選で優勝した山本卓弥選手は、予選決勝で新人離れしたパフォーマンスを見せ付け、暫定ハンデ62を獲得した。一部地区予選では大きな不手際があったとの情報も得ているが、大半の地区からは、山本卓弥選手のような新たなるタレントが出現していることであろう。 ところで、今回の「FFFハンデ」では、「フードバトルクラブ」と「大食い選手権」をハンデ対象競技会として採用し、記録の信用性に欠けるバラエティー系番組の企画や、チェック不能なローカル番組、さらに地方での非TV系競技会は対象外とした。 この競技会は、今回の「FFFハンデ」でベスト10にランクインした選手の過半数が出場しているという、言わば史上最大の非公式戦である。また、ハンデ対象競技会の少ない大食い60分カテゴリにあてはまる競技会であるため、ハンデ制定用資料としての価値も大きい。 問題は、このビデオの販売本数を増やすために、競技会の結果を完全非公開にしている事である。駒木は幸いにも、高橋信也選手のウェブサイト内のコンテンツ(現在は削除)でおおまかな模様と順位を知る事が出来たが、その結果を今、ここで書くことさえ出来ない。正確には、しても良いのだろうが、それをすると、恐らく日本大食い協会サイドから削除要請が来るであろう。 競技会ビデオの売上は、協会の運動資金、つまりフードファイト振興に使われるわけで、売上を伸ばそうとする考え自体は間違ってはいない。しかし、やり方は大きな過ちを犯しているとしか言えない。 最後はまた脱線してしまった。総括としては失格の文章かもしれない。しかし、駒木のフードファイトに対する真摯な思いだけでも伝える事が出来れば幸いである。 ……長々と失礼しました。講義時間もオーバーしてますし、ここで終わりたいと思います。 |
2月20日(水) 演習(ゼミ) |
文化人類学ばっかりやってますが、演習もちゃんとやります。今週は忙しい時に、レビュー予定作品が多くて泣きそうですが(苦笑) まず、今週の動きを少々。 2つ目。1月第4週分の演習でお知らせした内定の通り、小学館漫画賞受賞作が決定しました。 さて、それではレギュラー企画のレビューへ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年12号☆ ◎新連載『いちご100%』(作画:河下水希) 桂正和、高橋ゆたかと引き継がれていった、“話なんかどうでもエエから、とにかく絵の上手さでお色気担当”の3代目・河下水希さんの連載復帰作です。 ◎読み切り『ヒカルの碁・番外キャラ読切シリーズ・塔矢アキラ』(作:ほったゆみ、画:小畑健) ここで扱うのが失礼な程のクオリティを誇る、『ヒカルの碁』。いよいよ今週から読切シリーズがスタートです。 余談ですが、ツボにハマって、大爆笑したのが、以下のやりとり。(予算不足でスキャナが買えないのが悔やまれます) 「それにしても、さすがは「子ども名人戦」で優勝しただけのことはありますな」 わはは。一刀両断であります。ヤラレ役キャラにこんな事言われたら、中学生名人目指して、連日流血戦を展開している『365歩のユウキ!!!』はどうしたらいいんでしょうか。 両作品の、そして作者のスケールの違いを見事に醸し出しているセリフ回しでありました。 ◎読み切り『怪盗COLT』(作画:村田雄介) 洗練された絵の上手さの割に、ちょっと見慣れない名前のこの村田さん、調べてみますとなかなかの苦労人でありました。 そして今回の『怪盗COLT』。その期待通り、絵の上手さを活かした短編アクション・ストーリーでした。 ☆「週刊少年サンデー」2002年12号☆ 短期集中連載第3回の『ダイキチの天下一商店』ですが、次号で最終回を迎えるため、レビューは来週に回します。 ◎読み切り『笑福祈願ダルマイト・ガイ』(作画:モリタイシ) 今週から始まった「サンデー特選GAGバトル7連弾」の第1回です。講義の題材が出来るのは嬉しいですが、最近、この手の読み切り連作・競作が多すぎます(汗)。 作品を読んで、まず思ったのが、「この人、ギャグマンガを分かってるな」ということ。最近のギャグ作家さんにしては珍しく、理詰めでギャグマンガを描く人ですね。こう言う人は、才能の枯渇が遅いので将来性があります。 《その他、今週の注目作》 ◎読み切り(世界漫画愛読者大賞・最終審査エントリー作品)『がきんちょ強』(作画:松家幸治) 「世界漫画愛読者大賞」も4回目に突入です。 何だか、「漫画愛読者大賞」と言うより、「漫画家人生敗者復活戦」にした方が良いような気がして来ました。 それはさておき、レビューなのですが。 面白い作品である以上、評価は高くなります。B+。 ……と、今週はこんなところでしょうか。 それでは、今日の講義を終わります。 |
2月18日(月) 文化人類学 |
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講義の実施が遅れており、御迷惑をおかけしております。 まず初めに、前回の「FFFハンデ」の早食いカテゴリで2箇所訂正があります。 ……と、この事でもよく分かりますように、言うは易し、行うは難しとはよく言ったものでして、まさかここまで資料整理が難航するとは思ってもいませんでした。しかし、今回の作業で明確な基準が出来ましたので、次回以降は比較的迅速な対応が出来るのではないかと思います。 「2001年度・フードファイターフリーハンデ」
〜大食い45分カテゴリ〜
〜大食い60分カテゴリ〜
2000年秋デビューの小林尊を初めとして、続々とスーパールーキーがデビューしてゆく中、2001年春の段階での白田信幸の存在は、さほど大きなものではなかった。他のルーキーに比べてスピードが完全に不足しており、せっかくの巨体を持て余しているような印象が否めなかったものだった。 白田の大活躍で、少々影が薄くなったものの、「大食い選手権」2001年新人王・射手矢侑大の活躍も、特筆に価するものであった。 “早食い”系競技では押される一方のベテランたちも、このカテゴリでは、まだまだ健在振りを示した。 “早食い”系競技では無敵を誇った小林尊は、「大食い選手権」欠場のトラブルもあって、とうとう“大食い”系競技では、「フードバトルクラブ」勝ち上がり段階の競技、「ウェイトクラッシュ」での2勝にとどまった。それも秋の大会では、得意の飲料系を絡めての“辛勝”であり、ここ数ヶ月で、小林が“大食い“系競技での覇権を失ってしまった事が如実となった。 山本晃也は、明らかに胃袋の容量に限界がある選手であり、一応は60ポイントを超えて一流選手の一角を占めてはいるものの、これ以上の能力の伸張は、やや望み薄だろう。 “早食い”系カテゴリと同様、“大食い”系カテゴリでも、高い実力を誇るバイプレーヤーが多数登場してくれた。 「大食い選手権」組の稲川祐也、清遠学、田澤康一、渡辺人史といった面々は、ポイントが伸び悩んだ。 ところで、「フードバトルクラブ」では多数の海外招待選手が参加している。これは、恐らくフードファイトを良く知らない新規ウオッチャーに日本の一流フードファイターの高い能力を知ってもらうために、ある種の“モノサシ”を提供したものだと思われる。 繰り返し述べてきたように、2001年はスーパールーキーが多数現れ、フードファイト界が大いに隆盛した記念すべき年であったが、唯一残された課題が、女性大食い選手のコマ不足である。 以上で、各カテゴリのフリーハンデと解説が一通り終了しました。 なお、明日(火曜日)は日程調整のため休講、明後日(水曜日)は演習(現代マンガ時評)がありますので、次回の文化人類学講義は木曜日になります。 |
2月17日(日) 文化人類学 |
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今日の講義は、一昨日からの続きになります、「フードファイターフリーハンデ(以下、「FFFハンデ」)」です。 「2001年度・フードファイターフリーハンデ」
※主な競技結果※
〜早食いカテゴリ〜
2001年のフードファイト界は、わずか半年余りの内に、大食いから早食いへ、そしてスプリントへと、針が右端から左端まで振り切れてしまうような激動の年になった。 しかし、そこへ大きな一石を投じたのが、後発のTBSが大々的に開催した「フードバトルクラブ」であった。 ところで、「フードバトルクラブ」の誕生により、様々なレギュレーションの競技が実施された事で、大きな混乱を招いたのが“早食い”と“大食い”の境界線の解釈に関する問題だった。 フードファイトの高速化の流れにいち早く乗り、見事に才能を開花させたのが、小林尊であった。 山本晃也は、“早食い”の隆盛が無ければ、恐らく埋もれたままになっていたフードファイターだろう。 新井和響にとっての2001年シーズンは、前年とは打って変わって、苦渋に満ちたシーズンとなった。 黄金世代・2001年組の1人である高橋信也は、今回全カテゴリで高いポイントを獲得、稀代のゼネラリストとして幅広い活躍を見せている。各大会に出場しては好記録や見せ場を作り、今や大食い競技会には欠かせない存在だ。 現在“大食い”では無敵に近い存在の白田信幸だが、そのパフォーマンスを支えているのは、実は相当な高水準の早食い能力である。 ここに来て急成長を遂げつつあるのが、自衛隊員という異色のフードファイター・山形統である。胃の容量には明らかな限界があり、“大食い”での台頭は望めないが、ここしばらく“早食い”能力の成長がめざましい。今年の「フードバトルクラブ」では台風の目となり得る可能性を秘めており、要注目と言えよう。 以下のランキングにも2001年組がズラリと顔を並べる。 一方で、時代の流れに取り残されそうになりながら、懸命に頑張っている、かつての主役たちがいる。 …と、いうわけで、早食い系のフリーハンデをお送りしました。次回はいよいよ大食い系のフリーハンデです。どうぞ、お楽しみに。 (明日に続く) |
2月16日(土) 集中講義・競馬学特論 |
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駒木:「今日から、今年度の競馬学特論を始めることにしよう。今年も、中央競馬の平地G1レースが実施される週の、土曜深夜に講義を実施するよ。ジャパンCダートについては、また秋に考えよう。
珠美:「G1馬が1、2、3………わ、10頭もいるんですね。半分以上がG1勝ち馬ということになります」
※駒木博士の“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“喜びの声” |