「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
8月31日(土) 競馬学概論 |
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珠美:「丸2ヶ月ぶりの競馬学概論ということになりますね、博士」
駒木:「菊花賞っていうのは、上位陣以外の出走馬レヴェルは下がりがちなんだけど、この年は特にさびしいねぇ。G1常連と言えるのは、このレースの上位3頭(ライスシャワー、ミホノブルボン、マチカネタンホイザ)と、後の天皇賞2着馬・セキテイリュウオーくらいだね。敢えて付け加えるなら、ダート路線で重賞を勝ったバンブーゲネシスは、今ならダートグレード競走でG1常連になっていたかも知れない。 |
8月29日(木) 演習(ゼミ) |
先週のゼミで実施した緊急特集に関しては、各方面から(刺激的なモノを中心に)様々な声を頂きました。 また、今回から「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年サンデー」の連載作品について、特筆すべき点のあった作品について述べる、「今週号のチェックポイント」を開始します。これにより、連載が進むにつれて段々“味”が出てきた作品についてフォローが出来るようになると思いますし、レビュー作品が少ない新連載の谷間期のゼミをいくらか充実させる事が出来ると思います。 さらに今週と来週の2回に渡って、「週刊少年ジャンプ」夏季増刊「赤マルジャンプ・2002SUMMER」の全作品レビューを行います。ただし、作品数が多いので、普段のレビューに比べると、かなり簡単な内容になってしまうと思われます。あらかじめご了承下さい。 ……では、ゼミを始めましょう。 まずは情報なんですが、今週は1つだけ。 ……では、今週のレビューですが、新連載の谷間に入ってしまったため、今回の「ジャンプ」「サンデー」のレビュー対象作は、『──たけし!』打ち切りに伴う代原読み切り1作品しかありません。しかも、その代原を描いた作家さんが、島袋光年氏の猛プッシュでデビューを果たしたという経歴を持つ郷田こうやさん。何というか、凄まじいまでの因縁を感じさせるお話ですね(苦笑)。
☆「週刊少年ジャンプ」2002年39号☆ ◎読み切り『青春忍伝! 毒河童』(作画:郷田こうや) ……というわけで、“しまぶーの忘れ形見”という有り難くない異名を戴く事になりそうな、郷田こうやさんの代原作品レビューです。 郷田さんは第54回赤塚賞(01年上期)の佳作受賞者で、描いた原稿が代原として本誌に掲載されるのは、これで4回目という事になります。 さて、今回の『青春忍伝! 毒河童』ですが、まず結論から言ってしまうと、“代原の域は越えているが、連載を前提とする作品としては不満”という微妙なレヴェルのギャグマンガという事になるでしょうか。 しかし、これを郷田さん本人の過去作品と比較すると、格段の進歩が窺えます。 ただし、最初に触れたように、ここまでレヴェルアップを果たしても、まだまだ未熟な点も多くあります。これからの課題としては、間の取り方(ページをまたいでオチを見せる…など)の上達、もっとオチ部分にインパクトを持たせる事、そしてギャグのパターンを増やす事…などが挙げられるでしょう。 評価はちょっと甘目かもしれませんが、B+寄りのB。とにかく次回作が楽しみな作家さんです。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)《第3回掲載時の評価:B+》 主人公・セナの視点を通じて、アメフトの基本ルールを読者にさりげなく伝えたポイント、秀逸です。
☆「週刊少年サンデー」2002年39号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)《開講前に連載開始のため、評価未了》 語弊のある言い方かも知れませんが、相変わらず“人の死なせ方”が抜群に上手いですね。 ◎『ふぁいとの暁』(作画:あおやぎ孝夫)《第3回掲載時の評価:B》 やや良化の兆しです。今回みたいに、読者にストレスを与える一方で、少しずつ救いのある話が続けられるようになれば、画風が活きて来るのではないかと。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)《第3回掲載時の評価:A−》 回を追うごとに、どんどん良くなって来ています。レギュラーキャラ4人に、週代わりで準レギュラーキャラを交えていく作戦が功を奏している格好です。 ◎『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)《第3回掲載時の評価:A−》 正直、ここ最近は息切れ気味だと思っていたんですが、新キャラ・ワネットの登場で一気に形勢逆転! 見事にテコ入れ大成功ですね。
……と、いうわけで、以上がレビューと「今週のチェックポイント」でした。 それでは、これから「赤マルジャンプ」全作品レビュー(前編)です。前回と同様、本誌連載陣のショートギャグは対象外としました。 ◆「赤マルジャンプ」完全レビュー(前編)◆ ◎読み切り『電人タロー』(作画:小林ゆき) 本誌連載デビュー作『あっけら貫刃帖』が12回打ち切りの憂き目に遭い、一敗地にまみれた小林ゆきさんの復帰作です。 評価は微妙ですが、B寄りB+というところでしょうか。
◎読み切り『アマツキツネ絵巻』(作画:海図洋介) 昨年に『犬士ヒムカ』で天下一漫画賞佳作を受賞し、本誌デビューを飾った海図洋介さんの1年ぶりの新作となります。
第58回手塚賞(99年下期)で準入選を受賞、その後も散発的に「ジャンプ」系雑誌で作品を発表している吉田真さんの新作です。
高野ひろさんは、「週刊少年ジャンプ」系の雑誌には初登場となる新人作家さん。恐らく女性作家さんですね。 絵の方は、キャリア実質2年(プロフィールより)という事を考えると、線にも無駄が少なくてアマチュア臭さが感じられないのが良い感じです。ただし、表情の描き分けが全くと言って良い程出来ていないので、妙なぎこちなさが残っているような気もします。まぁこの辺りは、これからのキャリアが解決してくれる事でしょう。 第63回手塚賞(02年上期)で佳作を受賞、今回が受賞後第一作&デビュー作となる新人・安藤英さんの作品です。
第62回手塚賞(01年下期)で準入選を受賞したゆきとさんの受賞後第一作&デビュー作という事になります。 絵柄はまだ完成手前という感じ。トビラのダンクシュートシーンなんかは、下手な人には描けないアングルでしょうから、実力不足というわけでは無さそうです。どうやらペンではなくロットリングを使っているようですが、それがプラスになっていないのが問題点でしょう。 ◎読み切り『なるほど納得てんこもり !! おバカちん研究所』(作画:日の丸ひろし) 第49回赤塚賞(98年下期)で佳作を受賞以来、増刊号や本誌の代原で度々作品を掲載している日の丸ひろしさんのショートギャグ作品です。 ……というわけで、今週は目次順に前半の7作品のレビューをお送りしました。残るはまた来週です。 では、今週のゼミを終わります。また来週この時間に |
8月28日(水) 社会経済学概論 |
このシリーズも8回目。今のところ、キリよく10回目あたりで終わらせようと思っていますが、こればかりはどうにも分かりません。まぁ、『3×3EYE’S』みたいに14年半も伸ばしたりしませんので、それだけは安心して下さい。 ※前回までのレジュメはこちら↓ この年のアルバトロス最大のヒット作は、いきなり1月に飛び出します。マイナー映画中心のアルバトロス作品とは言え、ひょっとしたら題名だけでも聞いた事がある受講生の方も多くいらっしゃるかも知れません。
『キラーコンドーム』
……この映画は、大半の方のご想像の通り、ナニをガブリと噛み千切るコンドームが暴れ回るドイツ映画(またドイツ!)です。男性受講生の方たちは、この設定を聞いた時点でキンタマがキューッっとなるでしょうが、まぁしばらくお付き合い下さいませ。 ……さて、この『キラーコンドーム』ですが、妙にスタッフが豪華であるのが特徴的です。 怪物の造型がどうとか言う前に「仕事選べや、オッサン」とツッコミを1つ入れたくなる話なのですが、こうした草野球の試合に松坂大輔が先発するような豪華スタッフによって、『キラーコンドーム』は非常に印象的な作品となる事が出来たのでありました。 もう題名聞いた時点で大バカ映画確定の『キラーコンドーム』でありますが、その内容は意外と真面目なタッチの刑事モノ。ただし、出発点が出発点なので、評論家筋からは「文学座がドリフのコントをやるみたいなもんだ」と酷評されたりしたのですが……。 舞台はニューヨークのダウンタウン。とあるラブホテルに、大学教授が教え子の女子学生を連れ込むという、非常に ……とまぁ、ストーリーはこんな感じです。確かに硬派な映画と言えなくもありません。何せ映画全体のテーマは「愛は地球を救う」です。来年辺りにはキラーコンドームが24時間テレビの公式マスコットに指名されてもおかしくありません。モー娘。が笑顔でキラーコンドーム人形を持つ風景が、今から目に浮かびます。 とにかくこの映画は単館上映としては記録的な大ヒットを記録。しかも薬局で売られてるようなコンドーム箱の形をした変形パンフレット(中にキラーコンドームのグッズ入り。1000円)までバカ売れし、アルバトロスは一気にこれまでの損害を取り戻します。 やはり時代はバカ映画なのか。そう考えたアルバトロスは続々とバカ映画を日本に送り出します。 しかし、アルバトロスの道のりはそんなに容易なものではありませんでした……。 (次回へ続く) |
8月27日(火) ギャンブル社会学特論 |
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駒木:「3週間連続でお送りして来たフリー雀荘関連のギャンブル社会学特論だけど、とりあえず今回で“第一部完”という事にさせてもらうよ」 考察1.点5(1000点50円)フリーの期待値 駒木:「さて、まずは大都市圏のフリー雀荘では最も一般的なレートである、点5においての期待値の考察からだね。
駒木:「……と、こんな具合かな。ゲーム代や点数によって随分と変わってくるけど、大体63.5%弱〜75%強の範囲に落ち着くんじゃないかな」 考察2.点ピン(1000点100円)の期待値 駒木:「さて、次はちょっと大人向け、点ピンと呼ばれる1000点100円のレートの場合だ。順子ちゃんの働いてる雀荘では、点5と点ピン両方やってるんだよね?」
順子:「やっぱりレートが上がると、期待値も上がってきますね」 |
8月26日(月) 犯罪社会学 |
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さて、8月もいよいよラストウィークです。駒木は勤務先の高校から40日以上の無休休暇を貰っていたのですが、様々な事情でロクに遠出も出来ず終い。気が付いたら社会学講座だけに専念していた2002年の夏でありました。 本来ならば今日辺りから、お約束していた「授業で教えたい世界史」を開講するはずだったのですが、手持ちの資料一式を職場に置きっぱなしでありまして、今月一杯はどうにもなりません。 それでは本題に移ります。 …え〜、珠美ちゃんの「観察日誌」でもお伝えしたんですが、この夏、駒木の自宅にいきなりYahoo! BB(ブロードバンド)のモデムが宅配されて来るという出来事が起こりました。これはどうやら、Yahoo側から営業活動を委託された代理店が、電話帳から無差別に電話をかけて営業てきたものだと思われます。 ただ、今回のケースは、とりあえず現物を送りつけた後に確認の電話が入り、そこで「不要だ」と言えば無料で回収しに来てくれるそうなので、こちらとしてはひとまず安心であります。 ……それにしても、何故か夏になると駒木宛には様々なモノが届き始めます。 そして去年の夏に届いたのは、一通の奇妙な封筒でありました。水色のシンプルな封筒、そして裏面の差出人欄には見知らぬ名前だけ。
…どうしてこんな手紙が…と言いますと、実は当時、駒木の自宅のある兵庫県では兵庫県知事選挙の真っ最中だったのです。察しの良い受講生の方なら、もうお気づきですね? この手紙を受け取った時に駒木が思った事は、 そしてそれから5日後の夜── 駒木の自宅に、突然電話のベルが鳴り響きました。駒木の携帯にならともかく、自宅の電話にこんな夜半の電話は珍しいのですが、その時は何も考えず受話器を取ったものと記憶しています。 「ハイ、駒木ですが」 キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ ! いきなり一足飛びの展開に興奮を隠せない駒木は、 …まぁそういうわけで、要件はまさにその手紙の事でありました。簡単に事情を訊かれた後、翌日に事情聴取も兼ねて、その手紙と封筒を証拠として任意提出してくれないか、という依頼が。もちろん了承。 電話を切った後も駒木のテンションは上がる一方で、勢い余って翌日提出する手紙を全文起こして、パソコンに保存させたりしました(だから今になって手紙が再現できるのです)。まるで遠足前夜の小学1年生のようなハイテンション。自分がいかに野次馬根性にまみれているのか、嫌と言うほど自覚させられたものです。
そして翌日の昼、自宅のインターホンからピンポーンという音が。 刑事キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ ! 刑事VS駒木の激しいトークバトルの幕が切って落とされたのでした── (次回へ続く) |
8月25日(日) 社会経済学概論 「映画業界の異端児・アルバトロス風雲録(7)」 |
※前回までのレジュメはこちら↓ 先週辺りまで、6本の講義を同時進行させていた当講座ですが、気が付けば毎週やってるゼミと、この社会経済学概論だけになってしまいました。 …さて、今日の講義では、もうお馴染み・人畜“有害”映画配給会社・アルバトロスの1998年からの歴史を追いかけていく事になります。相変わらずのスローペースですが、どうか何卒。 前回までの講義でお送りしたアルバトロスの歴史は、一部の例外を除いて、血みどろスプラッター映画に彩られた、スクリーンの中で流された血と鑑賞者が思わず催したゲロの上に成り立つ歴史でありました。 しかし、今回扱う1998年からのアルバトロス映画は、同じ血を見るホラーでもこれまでのような、死体が腐っていく様子を映して行くような作品とは違います。 …この1998年の春には、今なお記憶に新しい“酒鬼薔薇”少年の連続児童殺傷事件が起こりました。 そんな出来事があったせいか、この1998年前半のアルバトロスから、目を引くようなスプラッタやホラーの映画はリリースされませんでした。 アルバトロスが本格的に活動を再開させたのは6月。ここでついに“バカ映画路線”の幕が上がります。 映画が始まってまず登場するのは、アフリカ某国に国連治安部隊総司令官として派遣された男。彼には妻がいますが、ゲイの上に重度のマゾという、牛フィレ肉のソテーをフォアグラで挟んだような脂っこい性癖の持ち主であるために、自宅で留守を守る妻は処女のままです。 ……この映画やアルバトロスの事をよく知らないままで、偶然この映画の試写会に紛れ込んでしまった一般の映画評論家の皆さんは、大体ここでギブアップされたようです。 この映画はその後、舞台となっているアフリカ某国の独裁者が、大陸弾道ミサイルを作ってアメリカのホワイトハウスに向けて攻撃するのですが(しかもそのミサイルに何故か自分が乗り込んで特攻)、これを阻止すべく人間ミサイルとなって飛んでゆくのが、○ン○型(呼び方は2パターンです)頭の5歳の坊やです。 ……というわけでこの映画、全編「ナンジャソラ」精神に支配された、得も言われぬテイストの超バカ映画でした。 ……以上、まさにテツandトモに12時間くらいぶっ通しで「♪なんでだろう〜」と唄わせたいような映画・『ユナイテッドトラッシュ』の説明だったわけですが、さすがにこれでヒットを飛ばすのには無理があったようでした。 この映画の“主役”であるラットマンは、ネズミと猿の遺伝子を合成されて作られた…という、確かにどこかで聞いた事があるような設定の怪物です。 「CGというニセモノの"恐怖"が幅をきかす今、禁じ手とも呼べる最終兵器が遂にベールをぬぐ!」 「全世界が驚愕!想像を絶する実在の奇形人間が恐怖のドン底にたたき落とす!」 「最も残忍でケダモノ以下!この世界に実在する狂暴な生命体が人間を呪い人類に復讐を開始する!」 「これは人間なのか?もうこれ以上ない変態指数500%!狂気ホラーの最高峰!」 「世紀末奇形人間誕生!」
……いくら何でも失礼だろ、と思ってしまうのですが、しかしストーリーを俯瞰してみると、それも致し方なしかと思わせてしまうのが、この映画の凄いところです。 …というわけで、この映画は諸事情あってか劇場公開も出来ず、レンタルの方でも“トンデモ映画”としてカルトな話題は呼ぶもののヒットには至らずに終わってしまいます。 『ネクロマンティック』の大ヒット以来、なかなかブレイクに至らないアルバトロス映画。このままアルバトロスはフェードアウトしてしまうのでしょうか? いや、そうではありませんでした。 その様子についてはまた、次回のお楽しみ(?)としたいと思います。それでは、今日の講義を終わります。(次回へ続く) |
8月24日(土) 競馬学特別講義 |
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駒木:「2回の予定で始めたこのシリーズも、やっと今日で最終回だね」 実戦編3:“穴党”向け実戦講座 3−1:少数の勝ち組と多数の負け組──それが“穴党”の真実 珠美:「これなんですけど、ギャンブルにおいては当たり前のような話ではないんですか?」 3−2:「○倍の馬券を当てた」事よりも、「賭け金を○倍に増やした」事に注目しよう! 駒木:「さぁ、ここからは具体的な話に移っていくんだけど、ただ、“穴馬の見つけ方はこうだ!”…みたいな話が出来ないのが辛いよね(苦笑)。…ていうか、それが分かってたら、僕はもっと楽な生活が出来てるはずだからねぇ……」
駒木:「……と、いうわけで、さっきのテーマからこう繋がって来るわけ。賭け金を何十倍にも増やそうと思ったら、何点も馬券を買ってちゃ間に合わない」
実戦編4:確率論から見た多点数買いの危険と“本命党”の限界 駒木:「……というわけで、いよいよこのシリーズも最後の講義になるね。
珠美:「……あ、ありますねー」
駒木:「……この場合、期待値75%で固定すると、的中率7.75%、的中の時は賭け金を9.41倍させる事になる。これだけ穴狙いしてるのに、結局10倍に届かないんだよね(苦笑)。 |
8月22日(木)・23日(金) 演習(ゼミ) |
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今週もゼミを始めます。 あと、最近よく当ゼミについて頂くご意見として、 ……それでは、気を取り直して講義へ。まずは情報系のお話ですが、今週は「週刊少年サンデー」系の月例新人賞・「サンデーまんがカレッジ」の6月期分の発表がありましたので、受賞者・受賞作を紹介しておきます。特に、今月は“入選”作が出て、受賞作の掲載が確定していますので、どうぞご注目を。
入選受賞作については、本誌か増刊に掲載決定、という事で、審査員サイドもべた褒めといった感じですね。当ゼミでも、本誌掲載の時は勿論、増刊で掲載になった場合でも、評価によっては「その他注目作」のカテゴリ内でレビューを掲載したいと思っています。 次は「週刊少年ジャンプ」関連ですが、どうやら鳥山明さんが『ドラゴンボール』の続編か、非常に関係の深い作品の連載を開始する模様です。 ……と、いうわけで情報系の話題は以上で、続いて今週分のレビューをお送りします。 今週は「週刊少年ジャンプ」が合併号休刊のため、レビューもお休み。春にやった「赤マルジャンプ」レビューも、現在のところは考えていません。(受講生の皆さんのリクエストが多ければ考えますが……) 文中の7段階評価はこちらをどうぞ。 ☆「週刊少年サンデー」2002年38号☆ ◎新連載『きみのカケラ』(作画:高橋しん) 「週刊ビッグコミックスピリッツ」で、『いいひと。』、『最終兵器彼女』とヒットを連発して来た高橋しんさんが、心機一転(?)して、少年誌に進出です。 …と、蛇足が過ぎました。作品の内容に触れてゆきましょう。 まずはいつもながら独特の絵柄なんですが、適度にシリアスとデフォルメを使い分けていますし、世界観とミスマッチな絵柄でもないですので、これで良いんじゃないかと思います。 次にストーリー。 ただ、第1話のストーリー全体を俯瞰してみると、とにかく与える情報量が多すぎるのが気になるところです。 なので、本来の良い作品ならば、最終ページを読み終わった後には「続きが気になる。早く来週号読みたいなぁ」…と思わせるんですが、この作品は「やっと終わった…。とりあえずしばらく休ませて」と思わせてしまうんですね。これはちょっとさすがにマイナスかなぁ、と思います。 ……まぁ、色々言いたいことを言いましたが、この『きみのカケラ』、話のスケールも大きいですし、これでもう少し主役2人のキャラが立ってくれば、十分サンデーの主翼を担う作品になれる可能性はあると思います。 とりあえずの評価はB+寄りのA−としておきましょう。ただし第3回では変動の可能性が大です。 ◎新連載第3回『ふぁいとの暁』(作画:あおやぎ孝夫)《第1回掲載時の評価:B》 さて、「サンデー」では久々のバスケットマンガ『ふぁいとの暁』の後追いレビューです。 どうやらこの作品のスタイルは、「無茶な要求をされ続ける主人公が、決して笑顔を絶やさず、黙々と努力して課題を達成していくサクセス・ストーリー」で固まったような気がしますね。 …まぁそういうわけでして、『ふぁいとの暁』は、かなり使い古されたパターンのストーリーです。それが悪いとは言いませんが、同タイプの作品が多数出回っている以上、何がしかこの作品の独自性を出していかないと凡作で終わってしまいます。 評価はB−寄りBで据え置きです。現時点ではかなり苦戦が強いられそうです。何せ、今の「サンデー」にはスポーツ系連載作品だけで9作品もあったりしますから、その中に埋没しないだけでも大変だと思います。 ……と、いうわけでレビューも終了。続いて、今週のゼミの目玉・緊急特集をお送りします。 緊急特集! 「『がきんちょ強』は、何故『じゃりん子チエ』になれなかったのか?」 ……さて、冒頭で述べた通り、今週は緊急特集として、「週刊コミックバンチ」連載中の『がきんちょ強』(作画:松家幸治)についての分析を行いたいと思います。 ご存知の通り、『がきんちょ強』は、第1回「世界漫画愛読者大賞」で読者投票ポイント2位を獲得し、準グランプリを受賞した作品です。このゼミでも「世界漫画愛読者大賞」エントリー作(読み切り)掲載時と、新連載第1回にレビューを実施しました。(それぞれ2月20日分、6月6日分レジュメに掲載) 当ゼミでの評価は2回ともB+(漫画好きに推奨できる作品)。相当な数の問題点や、連載を続けて行く上での課題は山積みになっているものの、作者である松家さんの持っているセンスを高めに評価して、このランクをつけたのを記憶しています。 そういう状況に至って駒木は、「何故、ここまで『がきんちょ強』は嫌われるのか?」という疑問を持ち、その答えを出すために、この作品が強く影響を受けている名作マンガ・『じゃりん子チエ』(「週刊アクション」連載《完結》/作画:はるき悦巳)との比較・分析を行ってみる事にしました。 ──とまぁ、大袈裟な事を言いましたが、内容はそんなに大仰なものじゃありませんので、過大な期待と緊張は遠慮して頂いて、気軽に受講して頂ければと思います。 ※注:8月23日発売・現時点で最新号での『がきんちょ強』では、これまでの路線からの大幅な転換が図られました。これについても分析の最後に述べますので、分析自体は先号までの内容について行ったものだとご承知おき下さい。 1.『がきんちょ強』と『じゃりん子チエ』との関係 まず、この分析の前提条件として、『がきんちょ強』と『じゃりん子チエ』との関連性について説明しておきたいと思います。 『がきんちょ強』の読み切りが「コミックバンチ」に掲載された時点で、既に気がつかれた方も多かったと思いますが、この作品は、『じゃりん子チエ』の影響をかなり色濃く受けています。 まず、大阪かそれに近い地区の下町エリアが舞台で、登場人物の大半が関西弁(大阪の方言)で喋っているという点からして、かなり『じゃりん子チエ』に近いです。 そしてもう1点、これは意外と知られていないようですが、『がきんちょ強』の中で、鳥取出身のテキ屋が、語尾に「〜とっとり」をつけて話し、それを鳥取弁として通用させる…という事をやっているのですが、これも『じゃりん子チエ』で酷似した設定があるのです。 ──というわけで、『がきんちょ強』は『じゃりん子チエ』の影響をかなり色濃く受けているという事は間違いないと思われます。 それでは、次のトピックからは、そんな酷似した設定・内容の両作品の中で明らかに異なる点を指摘しつつ、その中で『がきんちょ強』の問題点を浮き彫りにしていきたいと思います。 2.『がきんちょ強』における、主人公と脇役の設定ミスについて 『がきんちょ強』と『じゃりん子チエ』の間で異なる点として真っ先に挙げられるのは、何と言っても主人公とそのキャラクターでしょう。 このポイントについては、両作品を見比べると一発で判りますので、あえて詳しくは述べませんが、『がきんちょ強』の主人公・強は、『じゃりん子チエ』では主人公・チエの“愚父”テツにあたるキャラクターです。よく言えば怖い物知らず、悪く言えば好き放題・やりたい放題な傍若無人キャラ、という事になります。 一方の『じゃりん子チエ』では、この“劇薬”キャラ・テツのエグい部分を程よく中和させる事に成功しています。 ……このように、『じゃりん子チエ』では巧みにテツという“劇薬”を中和して上手く活かしているわけですが、先に述べたように、『がきんちょ強』では、それに大失敗してしまっています。 『がきんちょ強』の登場人物を使って、本当に面白いギャグを作るなら、強の妹をチエみたいな主人公にして、強の傍若無人振りを痛快に阻止するような話が良いでしょう。『じゃりん子チエ』そのまんまですが、そこまで設定を真似ておいて何を今更、という話です。 当然の事だとツッコミを受けそうですが、『がきんちょ強』では、主人公・強は他のキャラとは完全に“格”の違う絶対的な主人公になっていて、話も一貫してずっと強の視点から描かれています。小説で言えば“一人称”のお話です。 では、一方の『じゃりん子チエ』はどうかというと、実はこの作品、チエを一応の主人公にしながらも、場面場面で主役級キャラが代わってゆく“三人称”ドラマなのです。 ……ですから、『がきんちょ強』をもっと質の良い作品にするためには、強以外のキャラクターを主役級に据えた話を散りばめて、脇役のキャラをどんどん立てていく事が必要だと思われます。
さて、これまで『がきんちょ強』と『じゃりん子チエ』にある、多くの共通点といくつかの相違点を挙げて来ましたが、ここで両作品に最も大きな違いを挙げて、この分析の締めくくりとしたいと思います。 その“最も大きな違い”とは、小見出しに挙げた、「ギャグ満載の人情モノ」と「人情味溢れるギャグマンガ」との差であります。勿論、前者が『じゃりん子チエ』で、後者が『がきんちょ強』ということになります。 『じゃりん子チエ』は、とても“笑い所”の多いマンガでありますが、実はギャグマンガではなくて人情モノマンガです。ストーリーの間に非常に多くのギャグが散りばめられていますが、最終的には人の心の暖かさを重視したドラマになっています。読者を感動させるべき所では、完全にギャグを抜いて感動させます。そのため、いくら作中で「フンドシから漏れたスカ屁以下のような…」という下品な表現が連発されても、読後感が爽やかなのです。 そういうわけで、『がきんちょ強』はギャグと人情のメリハリが利いていないのです。これを何とかしない事には、多数読者の支持は得られないことでしょう。
──と、思ったら、最新号(8/23日発売号)にて、『がきんちょ強』は大幅なイメージ転換が図られました。最後にこれについて述べておきましょう。 5.『がきんちょ強』に未来はあるのか?〜人情路線への大転換 !? 最新号の『がきんちょ強』は、これまでの話とは明らかに違う話が掲載されました。主人公・強が引き起こすエゲつないドタバタを描いた話ではなく、ほぼギャグを封印した人情モノマンガになっていたのです。 ポイントは、強が学校の友人たちと空き地でサッカーをしている途中に、ボールが塀を乗り越えて人家の盆栽鉢植えを壊してしまうシーンです。 今回の話は、メタファー(暗喩)の利かせ方も見事で、非常に良質な話に仕上がっていました。なので、こういう話になっても評価はできるのですが、急に良い子になってしまった強に違和感を感じたのも確かです。萩原流行が『いいひと。』の主役を張るくらい、これはヘンな事なのです。 ……結局、この“路線変更”は、『がきんちょ強』が「バンチ」の看板作品になることを諦め、ウェブサイト「OHP」のしばたさんが仰るところの“ごはん系”のポジションを目指して、ただ雑誌の片隅で細々と生き残る道を選択した、という事になるのでしょう。 ……と、いうわけで、今週号の路線変更もあって締まらない終わり方になりましたが、以上で今回の特集を終わります。 次回のゼミは「ジャンプ」の代原レビューを中心にお送りする事になりますが、他にも何か佳作・良作が見つかれば、それも紹介したいと思います。 では、また来週のゼミをお楽しみに。 |
8月21日(水) 社会経済学概論 |
さてさて、講義する方も受講する方も、何故だか気が重い社会経済学講義の時間がやってまいりました(苦笑)。どうしてこんな講義になっちゃったんだろうなぁ……。 では、前回までのレジュメを紹介した後に、講義本題へ移ります。 …さて、この3年間、アルバトロスと買い付け担当の叶井俊太郎氏は、とにかくドイツ・スプラッター映画に傾倒しまくっていました。 駒木もこの講義の準備を進めていく上で始めて知ったのですが、ドイツという国は、何故だか(マニアにとっての)良質スプラッター映画がバンバン誕生する所のようです。とにかく、他の国では発想も出来ないようなキ○ガイ映画が撮られては上映禁止になってゆく……という感じです。 ただ、そんな本国でも上映禁止を喰らうような映画を堂々とTSUTAYAでレンタルさせてしまう、我が日本も大概な国であります。『E.T.』が大ヒットした同時期、その次にヒットした映画が『食人族』だった…という凄まじい話もありますし、日本人というのも他の国の人から見たら、とんでもないグロ好きなのかも知れません。 閑話休題。 まず手始めに叶井氏が日本に持ち込んだのは、今なおスプラッタ映画及びB・C級映画ファンの間では名高い超残酷映画・『ネクロマンティック』でありました。 ……で、この『ネクロマンティック』なんですが、日本ではまず、『1』、『2』を合体・編集した『特別編』がリリースされました。当然というかこのビデオ、全国各地で有害指定を受けたのですが、それでも日本のスプラッタマニアにバカ受けしまして、レンタルビデオ業界で超大ヒット。主演男優呼んできてイベントするわ、翌年には『完全版』として、『1』と『2』のノーカット版が発売される“祭り”状態に至りました。 このヒットが、さらに叶井氏の心に火をつけたのは言うまでもありませんでした。アルバトロスは、更に血みどろ路線へと突っ走っていくのです。 『ネクロマンティック』が(全人口比0.03%くらいのコアな人たちに)大ヒットした後、アルバトロスは『死の王』という映画を買い付けてR-15指定で単館公開し、これでまたも(例によってコアな層を中心に)スマッシュヒットを記録します。 さて、この『死の王』の後にアルバトロスが送り込んだドイツ・スプラッター作品は、『バーニングムーン』という作品。頭のイカれた兄ちゃんが妹を寝かしつけるために、2つの大量殺人犯が更に人殺しをする話をし、話が終わった後は兄の手によって妹も永遠の眠りにつく…という、心底救いようの無い話です。 ……この映画、どんなスプラッター好きでも気が重くなるという、加藤鷹が泣いてションベン漏らしながら『勘弁してください』とNGを出す企画のアダルトビデオみたいな作品であったために、さすがにヒットというところまで届きませんでした。まぁ、ヤクザ実録雑誌「実話ドキュメント」並にコンビニで売られているのが不思議な、アングラ誌・「GON!」に推奨を貰ったのが致命傷だったかもしれませんが。
……以上が1995〜97年にアルバトロスが買い付けたドイツ・スプラッター映画5部作でした。 ──あ、この時期に1つだけありました。万人受けするようなヒット作が! ──おい、やっぱりそんな映画かい! …ちなみに、題名の「マッシュルーム」とは、強盗の死体の腕をエサにして育った鶏が排泄した糞で作ったマッシュルームのことでありました。 ……まぁ、これはブラックコメディ映画なんで、スプラッタ5部作とは、中川家とエスパー伊東くらい芸風が違うモノなんですけど、日本人の趣味嗜好って、やっぱり変かも知れません。
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8月20日(火) ギャンブル社会学特論 |
※前回のレジュメはこちらから→第1回 順子:「博士〜、もう朝の4時過ぎてますよ〜。遅いじゃないですか〜!」 |
8月18日(日) 文化人類学 |
いよいよ、このシリーズも今日で最終回、総括という事になりました。 ※前回までのレジュメ…第1回(早飲み系競技)/第2回(早食い系競技)/第3回(大食い系競技)
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……次に、総括文に移ります。例によって、文中敬称略・文体を常体に変更しますので、どうぞよろしく。 2001年の総括の際に駒木は、2001年という年を「激動」という言葉で表現した。 だが、同じ言葉を用いるにしても、その意味合いは随分と違う。2001年の“激動”はフードファイト界という狭い世界の中での“激動”だったが、今年のそれは、業界の外からの圧力によって、フードファイト界そのものが地盤もろとも揺るがされたという意味での“激動”であった。 今更ながらの話ではあるが、実はこの“激動”の素因のようなものは、随分と前から業界内外にくすぶってはいたのだ。 ……と、どうやら、やや抽象的な事を長々と話し過ぎたようだ。これでは、受講生の方には余りにも不親切に過ぎよう。
2001年暮れ、テレビ情報誌に掲載された年末年始の番組表を見て、多くのフードファイト・ファンは思わず天を仰いだ事だろう。 また、この番組バッティングは、TV業界内の確執も呼んだ。いや、冷戦状態が高まって、ついに直接衝突に至ったと言うべきか。 この確執の原因は勿論、お互いが同日同時間帯に同種の番組をぶつけて来た(そして視聴率戦争で後発のTBSが大差で勝利した)ことであるのだが、それ以前からの伏線めいたものも存在する。
さて、この年末年始のフードファイト番組ラッシュの後、昨年以来、徐々に増加していたフードファイト選手のテレビ番組への露出や、全国各地のフードファイト・イベントの数が更に増えていった。
…こうして、フードファイト選手の各方面への露出が進んでいくと、本来は“素人”であったトップクラスの選手たちのタレント化が進んでいったのは言うまでも無い。
3月下旬、FFAの設立と相前後して、春のメジャー系フードファイト競技会が開催された。TBS主催の「フードバトルクラブ3rd ザ・スピード」と、テレビ東京主催の「全国大食い選手権・全国縦断最強新人戦」である。
こうして、今年春までのフードファイト界は、まさに順風満帆であり、業界内の情勢判断も極めて楽観的なものが多かった。不況の影響は確かに感じられたが、その悪条件を補って余りあるだけの勢いが、確かにその時のフードファイト界には備わっていた。 だが、勢いはあくまで勢いであった。 4月27日、何の前触れも無く、新聞各紙の社会面に「中学生、テレビ番組をまねて給食パンで窒息死」という記事が踊った。その内容は、 そしてこのニュースをきっかけにして、フードファイト界に対しては猛烈な“逆風”が吹き荒れ始めた。4月下旬から予定されていたフードファイト・イベントやローカル系の競技会が続々と中止となり、さらにはテレビのワイドショーを中心とした“フードファイト・バッシング”も開始された。 この突然の“逆風”に、フードファイト界は何ら為す術が無かった。FFAはまだ設立当初で、団体がまとまってこの事態に対応できる状況に無く、他の個人で活動している選手やフードファイト・ファンたちは、自分たちの意見を幅広く広める手段を持ち得なかったし、テレビなど大手マスコミに対するパイプも無かった。いや、もしパイプが有ったとしても、フードファイトを擁護する立場の人間が、望むような形で新聞やテレビに出演する機会は与えられなかったであろう。マスコミとはそういうものである。 いや、その状況の中で、表立った行動を取ったフードファイト選手が1人いた。フードファイト界の早食い・スプリント競技反対派の急先鋒・岸義行であった。 岸は、メジャーデビュー当時は早食い系競技会にも多く出場していた。テレビ東京系の「早食い選手権」では3位入賞の実績もあるし、ローカル系競技会においては、わんこそばの早食い日本記録まで樹立して未だにそれを保持している。だが、昨年秋以降を境に突如として早食い系競技を批判し始め、その廃止を訴えるまでになった。事故の報道直後から、岸自身の運営するウェブサイトにも「危険な早食いより安全な大食いを推進しよう」旨の主張が掲載されたのは記憶に新しいところである。 結論の出ない話はひとまず棚に預け、とりあえず話を戻そう。 こうしてフードファイト界は未曾有の大打撃を被ったが、辛うじて救いだったのは、この激動を経験した選手やファンが、フードファイト界を離れる事無く、懸命にこれを支え、復旧・復興を目指そうとした事だった。人は宝である。人的損害が無ければ、どんな深刻なダメージを受けてもリカバリーは早いことだろう。
では最後に、下半期の展望めいたものを付け加えて、今回の総括の締めとしたい。 まず、未だ無期限休止が撤回されていないテレビ局主催のメジャー系競技会であるが、テレビ局側の様子を窺う限り、どうやら少なくとも「大食い選手権」のオールスター戦は実施できそうである。ディフェンディング・チャンプの白田信幸をはじめとする大食い系のトップ選手や、さらには山本卓弥、舩橋稔子といったルーキーたちの活躍によって大いに大会を、そしてフードファイト界を盛り上げてくれる事を祈ろう。 6月頃に入ってようやく活動が軌道に乗ってきたFFAは、7月のネイサンズ国際で早速その力を発揮した。 最後に最近はすっかり影が薄くなってしまった岸義行主宰の「日本大食い協会」についても述べておこう。フードファイト界第4位の団体である。大食い協会は、この秋には第2回の「全日本大食い競技選手権」を開催予定だという。
……さて、いささか総括としては長くなりすぎたが、これで今回の企画の締めくくりとしたい。最後に、フードファイト界に幸あらんことを── (この項終わり) |
8月17日(土) 競馬学特別講義 |
※前回までのレジュメは以下の通りです。 駒木:「さて、今日からは“中穴党”、“穴党”の人向けへの実戦講座なんだけど、先週の講義の冒頭で話に挙げたサンデーサイレンス、なんとかまだ踏ん張ってるみたいだね(注:8/18未明現在)」 実戦編2:“中穴党”向け実戦講座 2−1:まず知っておこう、“中穴党”の希望と現実。 駒木:「前回の講義で、『“本命党”の人は、回収率80%程度が限界じゃないかな』…なんて話をしたんだけど、“中穴党”の人たちにも、まずこれを話しておこうかな、と思うんだよ」 2−2:予想印に惑わされるな。信じられるのは己自身だけ。 珠美:「これ、基礎編の続きですね。競馬新聞の予想印は人気のバロメーター代わりにだけ使えって事ですよね?」 2−3:連複は原則3点買い。馬単・三連複はここぞの勝負馬券。 珠美:「“本命党”の時は2点まででしたけど、今度は3点ですか?」 2−4 “中穴党”は穴馬券のみで生きるにあらず。 珠美:「なんだか、いきなり哲学っぽくなってきましたね(笑)」 2−5:最後に勝つのは理屈よりも勝負勘 駒木:「最後は、ちょっと上級編っぽい内容を入れてみたよ」 |
8月16日(金) 教育実習事後指導(教職課程) |
もう再三申し上げていますが、ここ最近の当「社会学講座」は、いつの間にか講義6講座同時進行という、まるで『まんが道』で原稿落とす寸前の足塚茂道先生のような状態になっておりまして、そのため各講座の進行が遅れ気味になっています。ちょうど1週間ぶりの教育実習レポになります。お待たせしてすみませんでした。 前回までのレジュメはいずれもアーカイブに収録されています。復習をご希望の方は、どうぞこちらからご覧下さい↓
さて、いよいよこのシリーズも最終回。今日は実習生社会学講座アーカイブの打ち上げ(呑み会)での模様を中心にお送りします。 この打ち上げとか呑み会などという言葉で表される、いわゆる無礼講の宴席。これが乾杯の音頭から数十分経過して“宴もたけなわ状態”になりますと、しばしば無礼講の範囲が仲間内から宴会場の従業員、さらには他の客にまで波及してしまう事があります。 宴会場のあるホテルや飲食店関係者の方たちによりますと、そういう粗相をしでかす傍迷惑な宴会客グループのワースト3は、医師、警察官、そして学校や塾の教員・講師とのことです。 こうして発散されずに残ったストレスは、日本道路公団の抱える負債のようにどんどん蓄積されます。それは、ハードボイルド風に喩えれば、人の心の中で溜まりに溜まったヘドロ。某深夜ラジオ番組風に喩えれば、「女のアソコが見てぇよぉ〜!」と叫びながら床の上をゴロゴロ転がって悶絶する男子中学生の溜まりまくった性欲とアレであります。 ……とまぁ、そういうわけでして、賢明な受講生の皆さんはもうお分かりでしょうが、そのジレンマによって蓄積されたストレスが一気に放出される場、それが宴会の席なのです。 例えば、駒木が体験した学校教職員の宴会。駒木が勤務する職場の宴会は、以前の職場(学習塾)等に比べて非常に大人しい方なのでありますが、そんな“大人しい宴”でも、2時間弱で店中のビールを飲み干して“飲み放題”を崩壊に追い込んだ挙句、呑みに呑まされた若手教員のゲロで便所を詰まらせたりしました。 ……でもまぁこんなのは、まだ一般でも常識の範囲でしょう。しかし、これは“非常に大人しい”宴会での出来事であります。本格的に盛り上がった宴会の様子は、公ではお話できるような類のモノではありませんので、そこのところをどうか、ご了承下さい。
ご存知の通り、実習生は、この時点ではまだ一介の学生、教員予備軍にすぎません。 ではこれから、駒木が体験した教育実習打ち上げの模様をお送りしていきましょう。 駒木ら教育実習生20名が打ち上げ会場に選んだのは、神戸三宮の繁華街にある大きな居酒屋。週末の夕方ともあって、店内は既に満席に近い状態で、駒木たちの周りでも華やかな宴の席が設けられておりました。 さて、このシリーズの第5回でも述べたのですが、駒木が実習に参加した時の実習仲間は、男女比2:18という女性優位の状況の上に、ドラマ『ショムニ』シリーズを髣髴とさせるような女傑揃い。江角マキコや戸田恵子級の猛女が3人も4人もいるという、客引きノルマに苦しむホストクラブの黒服も、あたふたと尻尾を巻いて逃げ出すような凄まじいメンバー構成です。 と、いうわけで宴会です。 さて、そんなフィーバーの中で駒木はどうしていたかと言いますと、普段と勝手の違う状況に若干の戸惑いは覚えつつも、「まぁいいや、この場はこの場で楽しもう」という、やや刹那的な感情のもと、このバカ騒ぎに身を投じておりました。もうこうなりゃヤケのヤンパチ、「踊る阿呆に見る阿呆──」というヤツであります。 ──ただその時の駒木は、恥ずかしながらやや調子に乗り過ぎていたのも否定できません。 恥を忍んで、イタかった場面を告白します。それは駒木が始めに座っていたテーブルから別のテーブルへ移動・乱入する際の事でした。 ……とまぁ、荒れも荒れたり、という雰囲気の中で小一時間経過しました。というより、ここまででまだ小一時間かよ! と、さまぁ〜ずの三村マサカズがツッコミを入れそうな状況でありますが。 「さー、一緒に盛り上げるよぉ!」
嫌な予感がしました。
「さー、いくよぉー。タカユキの! ちょっといいトコ見てみたいー!」
予感は的中しました。
「それ、イッキー! イッキー! イッキー! イッキー!」
有無を言わさぬ場のペースの押え方で、見ず知らずの男にイッキ呑みを強要する江角・戸田軍団。そして、されるがままにコップに並々と注がれたアサヒスーパードライを飲み干していくタカユキ君。風呂上りの牛乳イッキの時よろしく、腰に当てられた左手が哀愁をそそります。 そして、イッキ終了後、放心状態のタカユキ君を無視して、“戸田”さんが雄叫びを上げます。
「さぁー、次行くよー!」
「お願いだから、もう『次』とか言わずに、このままア・バオアクーかどっかへ行ってくれ」という駒木の切なる思いをよそに、軍団は次のターゲットを求めて店内を彷徨します。 そして、数十秒後、今度は駒木たちのいるテーブルの奥の方で“狩り”が始まりました。
“Hi! Nice
to meet you!”
今度の獲物は、なんとアメリカ人の若者男性グループ。そうです。よりにもよって、江角・戸田軍団には、留学経験のある英語科の実習生も混じっていたのです。
「あ、マイケルのー! ちょっといいトコ見てみたいぃー!」
やはりコップに一杯に注がれたアサヒ・スーパードライを片手に、イッキ呑みをするマイケル君。彼もまた、哀愁漂う左手を腰に手を当てるポーズ付きであります。このポーズは万国共通なのでありましょうか。
「いやー、日米親善やねぇー」 その光景を他人の振りをしながら遠巻きに眺めていた駒木は、「いや、お願いですから、そういうのはクリントンとか橋本龍太郎に任せて下さい」…などと思ったものでした。
この2次会は、江角・戸田軍団が、客引きの兄ちゃんを半泣きにさせるくらい料金割引とワンドリンク無料を強要して確保した場末のカラオケボックスで行われました。 が、しかしここで受講生の皆さまにお詫びです。 勿論、この2次会での模様も詳しくお送りしたいのですが、恥ずかしながら、駒木は1曲目で『アニメタル』を絶叫したっきり、その後の記憶が曖昧でありまして、状況をよく覚えておりません。ブルーハーツの『トレイン・トレイン』か何かが唄われている時、女子実習生4〜5人と共にソファーへ土足のまま乗り上がり、「ヒャッホー」とか叫びながらタテノリをしていたのは、何となく覚えているのですが……。 まぁ、どっちみち覚えていても人前で話す事が出来ない事ばかりでしょうから、結局は一緒のような気がしないでもないですが──。
……とまぁこうして、多くの人にお世話になり、それ以上に迷惑をかけながら、実習は打ち上げも含めて滞りなく終了したのでした。 今頃、どこかで日米親善のイッキ呑み交歓会が行われているのかと、嫌な感傷にふけりながら、このとりとめも無く2ヶ月に渡り続いて来たシリーズに、一応の幕を引きたいと思います。どうも、ご清聴ありがとうございました。(この項終わり) |