「社会学講座」アーカイブ
※検索エンジンから来られた方は、トップページへどうぞ。
講義一覧
9月15日(日・祝) 社会経済学概論 |
他のシリーズの話で恐縮ですが、またしても競馬学講義で単純かつ致命的なミスをやっちまいまして、自業自得的な落胆をしております、駒木です。 ※前回までのレジュメはこちら↓ ……いよいよ佳境に入りましたこのシリーズ。今日は2001年上半期のアルバトロス映画についてお話を進めていきましょう。 1999年にヒット作を連発して調子に乗りすぎ、2000年に大コケを連発して大損害を被ったアルバトロスですが、この会社は、ここで戦略的撤退をするようなタマではありません。言ってみれば、「生理が止まってる」と彼女から聞かされて、「それやったら、どっちにしろもう妊娠せえへんから大丈夫やー」と、鋭意中出しに励むバカ男のような会社、それがアルバトロスなのです。 2001年、新世紀を迎えたアルバトロスは、何を血迷ったか、6月までに月イチペースで5本の映画を次々と劇場公開にかけるという荒業を披露します。しかも、そのジャンルが余りにもバラバラだったために、アルバトロスの宣伝部が大パニックに陥るという惨事に発展してしまいました。 それでは、2001年上半期にアルバトロスがどんな映画を上映していたのか、ここで簡単に紹介しておきましょう。 まずトップバッターは2月公開の『デルフィーヌの場合』。フランス映画であります。前年に『日曜日の恋人たち』がコケたにも関わらず、1年も経たない内にもう一度フランス作品を持ってくる辺りにアルバトロスイズムが炸裂していますね。 …まるでソフトオンデマンドかV&Rプランニングのアダルトビデオ、もしくはベタなハード・エロマンガみたいなお話ですが、実はこれがセミ・ドキュメンタリー映画で、しかもフランス本国ではソコソコのヒットを記録したというから凄い話であります。 この後、3月に公開されたのが、『ザ・クリミナル』。 次は5月。ここでようやくいかにもアルバトロスらしいスプラッタ映画が登場します。その名も『ザ・コンヴェント』。 …と、ここまで3本の映画がヒットに至らず、更にムキになったのか、アルバトロスは翌6月に一挙に2本の映画を劇場公開するという、エヴァンゲリオン初号機のような暴走を開始します。 1本目は、2年前に公開され、スマッシュヒットを達成したイタリアンエロス映画・『肉屋』のティント・ブラス監督による作品『郵便屋』。この映画も『肉屋』の時と同様に、大した宣伝もしないまま、熟年&老年男性が日頃は縁の無い単館上映系映画館に大挙集結。比較的好評を得る事に成功しました。 ……こうして月イチペースでジャンルバラバラの映画5本を劇場公開するという、怒涛の半年間を終えたアルバトロス。この時点で、7人の社員たちは1つの考えを共有するに至りました。
やっぱ、月イチは無理。
……というわけで彼らは、下半期には、社運を賭ける程の予算を費やして買い付け&広報活動を行った2本の大作映画に力を注ぐ事に決めました。「人生ゲーム」で言えば、資金10倍か貧乏農場行きかの大博打であります。
『クィーン・コング』
…嗚呼、何だか『深海からの物体X』と同じようなキナ臭さが漂います。しかし、アルバトロスの人たちはその事にまだ気付いていません。まさに「志村、後ろ! 後ろ!」状態。どうなるのか、アルバトロス! その運命や如何に──?(次回へ続く) |
9月14日(土) 競馬学概論 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
駒木:「今日でこの講義も18回目なんだけど、『90年代名勝負プレイバック』と謳っておきながら、今まで肝心なレースを採り上げてなかったね(苦笑)。いつかやろうとは思っていたんだけど、延び延びになってしまってた」
珠美:「確かに、今となっては種牡馬とか繁殖牝馬としての方が馴染みのある馬ばかりですね」 追記:このレースの中のG1ウイナーに、牝馬G1ウイナーが3頭いた事を瞬間的に失念しておりました。エイシンサニー、サンドピアリス、キョウエイタップのファンの方及び関係者の皆さんに御迷惑をおかけしました事をお詫び申し上げます。 |
9月13日(金) 歴史学(一般教養) |
前回はサルからヒトになったばかりの人類である猿人についてお話をしました。今回はその続き、原人から我々の直接の祖先である現生人類(=新人)までの事についてお話をしてゆきたいと思います。 ……前回の講義の最後で、今から約150万年前にアフリカ大陸東部でホモ=エレクトゥスという、原人の祖先にあたる人類が誕生した事をお話しました。 この新しいタイプの人類は、従来の猿人よりも脳容量が大きく(猿人の500cc前後に対して800〜1000cc)、体格も一回り以上大きかったと推定されています。その容姿はと言えば、頭蓋骨の形は未だ類人猿的だったものの、下半身の形は驚くほど現代人的であったようです。 こうして猿人に比べて大きなアドバンテージを得た原人は、あっという間にそのテリトリーを広げて行きます。これも確証は持てませんが、原人の登場からしばらくして猿人がアフリカから姿を消したのは、この原人が猿人たちを片っ端から駆逐して行ったのではないか…という説もかなり有力です。 現在のところ、原人の人骨化石が発見されている地域は、アフリカ以外では西ヨーロッパと東および東南アジアに偏っています。特に有名なのは、中国の北京原人、インドネシアはジャワ島のジャワ原人、そして原人としてはかなり進化したタイプと言われているドイツのハイデルベルク人で、いずれも約70万年〜40万年前に存在していた人類ではないかと推定されています。東南アジアの島から人骨化石が発見されるというのは不思議に思われるかも分かりませんが、ジャワ原人がいた頃のジャワ島は大陸と地続きだったんですね。 原人の頃の人類の生活実態を知る上において、最も参考になるのは、中国東部の周口店で発見された北京原人が暮らしていたと思われる洞窟の遺跡です。 …で、この原人たちの消息は、約30万年前を最後に杳として知れなくなります。恐らく猿人の時と同じように、原人のまま滅亡していったり、更に進化を続けていったりしたものだと思われます。 ネアンデルタール人は、容姿などに現代人と多くの類似性を持ちます。筋肉が著しく発達し、脳容量も現生人類とほぼ同じかそれ以上になるまで発達しています。もう完全に“人間”と呼ぶに相応しい存在と言えるでしょう。 さて。 彼ら新人は、ユーラシア大陸に進出するや、瞬く間にそのテリトリーを広げて行きます。それまでの住人であった、ネアンデルタール人ら旧人は、新人に駆逐されたり、または混血して、“吸収合併”される形で姿を消してしまいます。約4万年前には、地球上の人類は全て現生人類に占められるようになっていました。ここに現生人類による“天下統一”が成ったのでありました──。 ……さて、ここから我々の祖先である新人たちについて述べてゆく所でありますが、今日は残念ながらここで時間となりました。 |
9月12日(木) 演習(ゼミ) |
||
さて、今週もゼミを始めたいと思います。 まず初めに情報系の話題から。
今月は審査員特別賞が出ただけで、佳作以上の受賞者はありませんでした。しかし、マンガについては一家言ある冨樫義博さんが審査員ですから、それも仕方ないか…という気がしますね(苦笑)。今月はその分、審査員特別賞に価値が有りそうですね。受賞者の大西さんには今後も注目したいと思います。 あと、新連載&読み切り攻勢が一段落ついたばかりの「週刊少年サンデー」ですが、来週にもう1本新連載が始まります。 最後にもう1つ。この秋から選考が開始される「小学館漫画賞」の読者による作品の推薦が、今回からウェブ上で出来るようになりました。(詳しくはこちらのサイトへ) …というわけで、情報系の話題は以上。それでは、今週分のレビューに移りましょう。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年41号☆ ◎読み切り『なるほど納得てんこもり !! おバカちん研究所』(作画:日の丸ひろし) 先々週・8月29日付ゼミの「赤マルジャンプ」完全レビューで紹介した、日の丸ひろしさんの『おバカちん研究所』が、今度は『たけし』の代原として本誌に登場です。 今回も題名が同じとあって、「赤マルジャンプ」の掲載作と同じノリの作品です。絵柄や作風にも変化は無く、その辺りの比較検討は必要ないと思います。 で、今回の内容なんですが、C評価をつけてしまった「赤マル」の時と比べると、今回はページ数に余裕があるせいか、前作よりは酷い作品になっていないような気はします。ダイナミックなコマ割りをした方がギャグが活きて来る気がしますね。 ですから、今度は「一人ごっつ」みたいに受け手を突き放すくらいのギャグを連発してみてはどうでしょうか? 今回の評価はB寄りB−としておきましょう。とりあえず、前回のレビューで述べた、『将来性に期待できず』という部分は撤回しておきたいと思います。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『ヒカルの碁』(作:ほったゆみ/画:小畑健)《再開後第3回掲載時の評価:A》 当面のヒカルのライバルと思われていた、関西棋院の社初段は、なんと北斗杯予選限定のライバルという事が判明。 ◎『SWORD BREAKER』(作画:梅澤春人)《第3回掲載時の評価:B−》 巷の噂では、本来なら打ち切り確定なくらいアンケート順位が低迷していると言われているこの作品ですが、余りにも分かりやすいテコ入れをして来ましたね。さすがは梅澤氏(笑)。でも、これが人気上昇の決め手になるとは思えないんですが…。 ◎『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作画:秋元治)《開講前に連載開始のため、評価未了》 食パンを嫌がるレモンの表情を見るにつけ、「ああ、作風が完璧に変わっちゃったんだなぁ」と思ってしまいました。あ、「ちょっと可愛い」とも思いましたが(笑)。 ◎『ROOKIES』(作画:森田まさのり)《開講前に連載開始のため、評価未了》 今回のハイライトとなったクロスプレーは、本当ならセーフなんだそうで。でもまぁ、「マンガ史上に残る世紀の大誤審」ってことで良いんじゃないですか(苦笑)。
☆「週刊少年サンデー」2002年41号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『史上最強の弟子 ケンイチ』(作画:松江名俊)《第3回掲載時の評価:B》 大量の登場人物もどうやらこなれて来たのか、やや良化の兆し。やっぱり主人公がソコソコ強くならないと面白くないですね、こういう作品は。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)《第3回掲載時の評価:A−》 やっぱりこの人、可愛い女の子を描く才能がありますね。それを前面に出さないところが、また味があって良いんですよね。
……さて、今日のゼミは以上です。いつもより短めの講義となりましたが、これ以上長くなると追加振替講義&翌日休講になってしまうので、どうかご容赦を。 それでは、また来週。 |
9月11日(水) 社会経済学概論 |
本来なら、『アメリカ同時多発テロ1周年特別企画』とか言って、アメリカとイスラム社会の因縁について講義をしなくちゃいけないところなんでしょうが、それは現在進行中の「学校で教えたい世界史」の中で徐々に語ってゆく事にしまして、今日も今日とて平常講義であります。 ※前回までのレジュメはこちら↓ 前回はアルバトロス映画の中でも指折りのスカタン映画に数えられる『深海からの物体X』のストーリー解説だけで時間を潰してしまいましたが、今日は『深海──』以後の2000年のアルバトロス史全般についてお話を進めたいと思います。 1月に『深海──』で大コケをカマしてしまったアルバトロスですが、この後も そんなアルバトロスが『深海──』の次に劇場公開に踏み切った映画は、4月公開の『日曜日の恋人たち』というフランス映画でした。 この映画の主人公は、生きる事に対する気力を失い、乱交やハードSMから僅かな活力を得て日々を暮らす男・ベン。職業は検死官であります。 …………………え? ハイ。そういう映画なのでした。 …と、話は内容こそ歪んではいますが、筋自体は単純なもの。しかし、これがまたフランス映画の悪い所ばかり出た映画だったようで、観た人の大半に映画の内容が伝わって来ないという困った映画になってしまいました。 立て続けの失敗にも関わらず、アルバトロスの無鉄砲さは影を潜めるどころか、更に勢いを増します。 『ドイツチェーンソー大量虐殺』 しかし、何と言う並びでしょうか、この上映順。 鬼畜スプラッタ→スプラッタ風B級刑事物→不条理アクション→人肉パイ販売映画→支離滅裂スプラッタ→イタリアン・エロス→Z級スカタン・アクション→自殺奨励映画… まさにケンカを売ってるとしか思えない並びであります。まだ『ザ・キャッチャー』が入ってなかっただけマシかもしれませんが……。 ちなみにこの時初公開された映画についてお話しておきますと、『魔処女』はバンパイアの少女が主人公の、『ポリスアカデミー』みたいなノリのコメディ映画。試写段階では好評を博していたにも関わらず、土壇場でお蔵入りになってしまった…という、これまたアルバトロスらしい経緯を辿った映画でした。 ……こんな感じで2000年上半期が終わりましたが、まだまだアルバトロスの挑戦は終わりません。下半期に入ると、今度はいきなりインドやイランなどのアジア・ムービーに手を染め始めます。 これにもメゲずに(いい加減メゲて欲しいですが)12月に公開に踏み切ったのが、イラン映画『サイレンス』。“本国で上映禁止処分!”というのが売り文句にされました。 こうして散々な興業成績のまま、アルバトロスは2000年を終えます。 |
9月9日(月) 歴史学(一般教養) |
※過去の講義のレジュメはこちら→第1回 前回は思い切って“歴史のスタートライン”を7000万年前まで下げ、霊長類が地球上に登場してから、現在のアフリカ大陸で人類が誕生するまでの歴史を述べてゆきました。 ……さて、前回の講義の中で「人類が誕生した年代を特定するのは、未だ難しい」と述べました。これは、人類誕生の年代が考古学上の発見とその検証結果に大きく左右されるためであります。 閑話休題。 受講生の皆さんも、恐らく中学・高校で学習したように、人類は進化の段階によって4つに分けて語られます。即ち、時代の古い方から“猿人”、“原人”、“旧人”、“新人”…とされる分類であります。この講義でも、この4分類に沿ってお話を進めて行きたいと思います。 まず初めに“猿人”。文字通り、類人猿に近い人類というわけですね。このタイプの人類についてお話をしてゆきましょう。 …さて、件の700万年前の物と思しき“猿人化石と言われている霊長類の化石”など、未だ検証中のモノはとりあえず扱いを保留して考えますと、現在発見されている中で最も古い人骨化石は約450万年前の物であります。 さすがに400万年以上前の人骨化石となると、ラミダス猿人の他に人類と確証の持てるものは発見されていませんが、これ以降の年代のものとなると、これはかなりの種類が発掘されています。 …で、この猿人たちなのですが、どうやらこの猿人たちは1つの種としてまとまっていたわけではなくて、それぞれ各地で異なる種の猿人が独自の進化を遂げつつ代を重ねていったようです。つまり、進化の枝分かれは人類になってからも続いていて、猿人の中には猿人のままで滅亡していった種も多数あったという事になります。 こうして人類はゆっくりとした歩みながらも、確実に進化を続け、より人間っぽい動物へと変わってゆきました。 ……と、今日は猿人の歴史だけで時間を費やしてしまいましたが、次回は少しペースを上げて、原人から新人までの歴史をお話してゆきたいと思います。(次回へ続く) |
9月8日(日) 社会経済学概論 |
このシリーズもついに大台の10回目となりました。 ※前回までのレジュメはこちら↓ 今日は前回のラストで予告した通り、題名からして「侍魂」に対する「痔根」のような存在になる事を甘受しているような諦念漂う作品・『深海からの物体X』を紹介するところから始めたいと思います。 まずこの作品、ビデオパッケージからして既に迷作確定であります。 「全国劇場大ヒット作品」 …という、「ケンちゃんラーメン、新発売!」並の詐称コピーが踊っています。さすがに「全米No.1ヒット」とは書けなかったようですが、これでも大概です。 …と、パッケージを見た瞬間に脱力しそうな、この『深海からの物体X』でありますが、ビデオをデッキに挿入して再生ボタンを押すと、その脱力感は更に増大すること間違いナシであります。ストーリーを紹介しましょう。 主な登場人物は、主人公マイクと、そのフィアンセであるマーガレス、そして友人のボビー(♂)、ジュディー(♀)、ドロシー(♀)の若者5人です。 舞台はイタリア。人気の無い夕暮れの海辺で戯れる5人のシーンから始まります。 …その後、何故かゴムボートで沖に出かけることにした5人ですが、あっという間に嵐にも遭ってしまい、遭難の危機となります。 しかし、必死の思いで辿り着いたその船内は、異様な雰囲気に包まれておりました。 その後、船内唯一の生存者である、実験室付の博士(狂ってて役に立たず)を発見したり、ボビーが船内から麻薬を発見して大騒ぎするなどありましたが、キリが無いので端折ります。 それは船内探索が一段落着いてからの事でした。突如、ドロシーが腹痛を訴えて嘔吐します。そして、そのゲロの中からは何故かクワガタが数匹……。 …で、ここに至って一連の怪現象の理由を突き止めようと実験室のコンピューターに向かうマイクですが、当然のごとく思うようにいきません。恐らくインターネットを始めた初日にエロサイトでダイヤルQ2に繋げてしまいそうな彼ですから、一晩経っても何も分からず終いです。 ……さぁ、こういう展開になって来ると、もう後の展開は読めたも同然であります。 こんな状況下にも関わらず、ボビーとジュディーがHし始めまして、そこへ古代魚が乱入。哀れにもボビーは魚と融合して半魚人になってしまいます。しかしもっと哀れなのは、その半魚人相手に生本番を展開していたジュディーでありました。ジュディーは卒倒し、その行為中の記憶を失ってしまいます。 ……ちょっとこれ以上ストーリーを解説していると、駒木の頭までおかしくなりそうなので、例によってここからはペースを上げてお話します。辻褄の合わない部分が多数あると思いますが、そういう映画ですから諦めてください。 翌朝、マーガレスが起きだして洗面所の蛇口をひねると、半魚人・ボビー(密かに洗面所を支配下に置いていたらしい)の体が変形したタコの足が出てきて、彼女の首を締め付けたりします。 それが解決したと思ったら、昨晩汚染された魚を食ってしまっていたドロシーの背中から魚(蟹のハサミ付で歯は入れ歯)が出現。しかし、鉄の意志を持ったドロシーは変身した自らと戦い、死んでゆきます。勿論、宿主を失った魚も死にます。 この時点で、船を爆破して脱出する事に決定。 突然、ジュディーが魚の卵を産卵して死にます。 マーガレスも半魚人になりかけ、自分の運命を悟って自殺します。 船内に放射能が漏れ始めます。 結局狂いっ放しだった博士が、半魚人・ボビーに戦いを挑みますが、小川直也に挑んだガファリのように秒殺されます。 半魚人が博士を食ってる間にマイクは逃亡。船は2代目引田天功の大脱出のような手加減の入った爆破で沈没。最後にマイクが絶叫。 「二度とこんな目に遭ってたまるかー!」 スクリーンやブラウン管の向こうで、鑑賞者が「その言葉、そっくりそのまま返したらぁ!」と怒り狂う中、物語はようやく終わってゆくのでした……。 ……… さて、この映画、先程ビデオパッケージには「全国劇場大ヒット作品」と書かれていたと言いましたが、実は全国どころか単館でも歴史的な不入りでありました。 このように、浮き沈みが激しすぎるアルバトロスでありますが、これもまだ、その後に続くエピソードからすればまだ序章に過ぎません。その続きに関しては、また次回以降のお楽しみという事で、今日はとりあえずこれで終わりたいと思います。(次回へ続く) |
9月7日(土) 競馬学概論 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
珠美:「この講座でG1レースではないレースを扱うのは珍しいですね」
珠美:「G1ホースが3頭いるんですね」 |
9月5日(木) 演習(ゼミ) |
|
さて、新学期1回目のマンガ時評です。 今週は特に紹介する情報系の話題がありませんので、いきなりレビューとチェックポイントに行きたいと思います。 ☆「週刊少年ジャンプ」2002年40号☆ ◎読み切り『DAI-TEN-GU』(作画:鈴木新) 今週はいわゆる代原ではなく、若手作家さんの中編(45p)読み切りが登場しました。 それではいつも通り、絵とストーリーに分けてレビューをしていきましょう。
…書き方が意地悪かも知れませんが、どうですか? どうにも違和感が拭えませんよね。 あと、ヒロインの描写も随分と都合が良すぎます。 もう1つ、セリフ回しの稚拙さ。特に、後半に集中して出て来る、異様に説明的なセリフが気になって仕方ありません。上手い作家さんならば前半でさりげなく伏線を張る部分が全く説明できていないため、後半で一気にゼロから説明しなければならない羽目に陥ってしまったのでしょう。それを考えると、セリフ回し以上に構成力に問題があるのかもしれませんね。 評価はC寄りB−。ラストシーンを見ると、この作品は連載を前提にしたお話のようですが、今の状態でこの作品を連載にしてしまうのは、文字通り百害あって一利なしであるような気がしてなりません。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)《第3回掲載時の評価:B+》 2週連続の登場です。今週はやけに勿体ぶって引っ張るなぁと思ったら、どうやら次回で1回戦が決着すると、単行本1巻でそこまでキッチリ収まる計算なのだとか。何と細かい計算!(笑)。 ☆「週刊少年サンデー」2002年40号☆ ◎新連載第3回『きみのカケラ』(作画:高橋しん)《第1回掲載時の評価:B+》 さて、第3回の後追いレビューなのですが、作品の方向性が定まっていないためか、レビューの論旨もなかなか定まりません(苦笑)。幸い、“チェックポイント”のコーナーも新設されましたし、今回はここまでの印象を半ば箇条書き的に述べてゆく事にし、作品全体の評価はまた後の機会に回す事にしましょう。 まず、深刻なシナリオと背景の割に、妙に雰囲気が能天気でコメディータッチであるのに違和感が拭えないんですよね。 次に、主人公の1人であるシロのキャラクター像が未だにボヤけているために、読者がなかなか感情移入出来ないのも問題点のような気がします。記憶喪失のまま暴走する主人公なんて、ちょっと規格外です。 あとは“設定説明役”及び“場の雰囲気弛緩させ役”のクロ、これはハッキリ言って余計です。こういう便利キャラを使わないで全てを表現してこそマンガ家の本道という気がするのですが……。 ……で、さらに問題なのは、これだけの懸念を抱えながらも、並の作品以上に“読ませて”しまう所なんですよね(苦笑)。まさに第1回のレビューでも述べた、「打球はどう考えても凡フライのそれなのに、力に任せてスタンドインでホームラン」状態なんです。 ……まぁこの『きみのカケラ』、相当にスケールの大きな作品である事は間違いないですし、今後しばらく経つ内に抜群に面白くなっていく可能性もあります(長期連載主体の「サンデー」では、そういうケースがままあるのです)。勿論その反対になる可能性も充分なんですが(苦笑)、しばらく暖かい目で見てみようという気持ちになっています。 で、今回の時点での暫定評価なんですが、とりあえず問題点が山積していますし、一応1段階減点してB寄りB+に。正確な評価が下せる段階になったら「チェックポイント」で採り上げます。
◎『名探偵コナン』(作画:青山剛昌)《開講前に連載開始のため、評価未了》 事件のプロローグというよりは、高木&佐藤刑事とその他大勢によるラブコメみたいになってますが(笑)、こういう遊び心とキチンとした仕事が両立できているのがさすがですよね。
◆「赤マルジャンプ」完全レビュー(後編)◆ ◎読み切り『モモ・一文字』(作画:海和雅実) 2001年夏の「赤マルジャンプ」でデビュー以来、今回が2回目の登場となる海和雅実さんの新作です。 絵に関しては、プロとして最低限ギリギリのレヴェルまで漕ぎ付けている…という印象ですね。まだ荒削りな部分、洗練されていない部分が残っています。週刊本誌で連載するには、まだ足りないものが残っているはずです。 今回が「ジャンプ」系雑誌初掲載となる、新人・森本尚司さんの作品です。この秋23歳、マンガを描き始めてまだ3年…との事ですので、恐らく今回がプロデビューか、それに近い作家さんということになると思われます。 絵に関しては、一見細かくて綺麗に見える絵柄なんですが、よく見てみると細かいミスが随所にあって、まだまだ未熟さが窺えます。特に動的表現が出来ていなくて、アクションシーンが止め絵に見えてしまうというのは、プロとしては致命傷に近いと思われます。 こちらも今回が「ジャンプ」系初登場。新人・船津創さんの作品です。今年26歳ということで、少年誌のマンガ家デビューとしてはかなり遅い方なのですが、どうやら浅美裕子さんの『ワイルド・ハーフ』のアシスタントを務め、今でも矢吹健太朗さんの非常勤アシスタントをしているとのこと。背景やトーンの処理などが手慣れているのが印象的だったのですが、さもありなんです。 昨年秋発売のギャグ増刊で「ジャンプ」系デビューを果たした若手作家・はちもりよしえさんの登場です。プロフィールによると、北海道から上京し、アルバイトしながらマンガ家を目指す26歳…とのことで、少なくとも修行歴は相当の長さに及んでいる事が想像出来ますね。
第63回回手塚賞(02年上期)の準入選受賞作・『とどろきJET』の登場です。作者のつじいこうじさんは25歳。マンガ家を志して5年目のデビューという事で、念願叶って…というところでしょうか。
最後は第56回赤塚賞(02年上期)準入選受賞作の登場です。作者の松本宗二郎さんは弱冠19歳。本格的にマンガを描き始めて半年での受賞という事で、将来性溢れる新人さんですね。 ◇総評◇ ……と、いうわけで、少し偉そうな事を言い過ぎた様な気がしますが、今回のレビューはこれまでです。また来週のゼミをお楽しみに。 |
9月4日(水) 歴史学(一般教養) |
お約束どおり、いよいよ当講座開講以来のロングラン・シリーズ・「学校で教えたい世界史」のスタートとなります。 昨日のガイダンスで言い忘れていたのですが、現在の駒木研究室はスキャナすら無いという悪環境に置かれており、そのため皆さんには地図を含んだビジュアル資料の提示が出来ない状況にあります。 前置きは以上。それでは本題に入ります。 さて、世界史を語るにおいて、まず語り手を困らせるのは、そのスタート地点をどこから置くのか…という事であります。 一番簡単なのは“有史以来”、つまり信用するに足る文献資料が残されている時点から語る事でありますが、これだと多めに見積もっても紀元前3000年頃からの5000年程度にしかなりません。旧約聖書等の半ば神話的な史料を用いても1万年は下らないでしょう。 しかし、人類はいきなり人類として地球上に姿を現したわけではありません。現在の人類とは似ても似つかないような祖先から長い年月をかけて進化を繰り返した末に辿り着いた姿、それが人類なのであります。(注:一部の宗教には、人類は人類として誕生したとする説をとるものもありますが、ここでは一般的、科学的な観点から話を進めます) ──7000万年前に現れた霊長類の祖先は、サルというよりも、むしろネズミのような極めて原始的な姿をしていたと思われます。そしてそれは、住む環境に合わせて体の一部、または大部分を特殊化してしまった他の哺乳類とは異なり、原始哺乳類から極めてバランス良く進化した姿でありました。馬のように走り易いように四肢の指を退化させる事無く、象のように体の一部分を著しく変形させる事も無く、牛のように消化器の構造を変えてしまう事も無かったのです。 …こうして全哺乳類の中のエリート的存在として誕生した霊長類は、さらにバランス良く進化を続けてゆきます。当然、この徐々にネズミからサルに近付いてゆく原始動物の中に、我々人類の直接の祖先がいた事になります。 こうしてかつての仲間・原猿亜目に別れを告げた真猿亜目に属する霊長類は、やがて明らかにサルと言って良いような容姿にまで進化を遂げます。体長も大きくなり、2本の前足は手としての用途を果たすように発達。木の枝を掴んで、枝から枝へと移動してゆく“枝渡り”が出来るようになりました。 このヒト科の類人猿が進化を続けてゆく中で、アフリカに住んでいた一部の連中が、ある時から樹上生活を放棄して、完全な陸上生活を始めます。いや、正確に言えば、自然環境の変化で住んでいる地域が草原になってしまい、樹上生活が難しくなっただけだったのですが。 この進化の枝分かれが人類誕生の瞬間となるわけなのですが、これがいつ起こったかというのは未だ正確に把握できていません。 ……何はともあれ、こうしてアフリカ大陸に原始的な人類が誕生し、人類の歴史が始まりました。この極めてサルに近い人類が、どのような歴史を辿って我々現生人類にまで至ったのでしょうか。次回の講義はこれをテーマに話を進めてゆきたいと思います。 それでは、今日の講義を終わります。(次回へ続く) |
9月3日(火) 基礎演習 |
|
さて、今日は通常の講義をお休みしまして、この秋以降の当講座のカリキュラムについての説明と、明日から始まります歴史学(一般教養)の長期シリーズ・「学校で教えたい世界史」のガイダンスを行いたいと思います。 ──ではまず、この秋以降の講義についてでありますが…。 当講座では昨年11月末の開講以来、様々なテーマを題材に日替わりで講義を行ってきましたが、この2002年度後期(02年9月〜03年3月)では、原則的に固定した時間割で講義を実施することにしました。
当然ながら、講師・駒木ハヤトの都合により、突発的な休講がある場合がありますが、悪しからずご了承下さい。 ……さて、この予定表をご覧になった方の中には、「随分と歴史学に偏っているなぁ」と思われる方もいらっしゃると思いますが、これには2つばかり事情がございます。 まず1点目。この度開講する歴史学講義は、人類誕生から現代・21世紀に至るまでの世界の歴史(日本史は他国史との関連した部分に限られると思いますが)をお送りするという、当講座開講以来最大のスケールの講義となります。 そして2点目。これは先程の1点目の理由と少し関連しているのですが、この「社会学講座」は今年度末をもって大幅に業務を縮小する予定なのです。とりあえず来年度においては、当講座の主要3講座(マンガ時評、競馬学講義、フードファイト関連講義)は実施する予定でいますが、これもどうなるかは分かりません。ただし、閉鎖は今のところ全く考えておりませんが。 突然の発表で驚かれる方もいらっしゃるでしょうが、現在のボリュームの講義を毎日実施するのは、正直言って心身ともに限界に来ているのです。 今回の決定は駒木にとっても苦渋の決断であります。どうかご理解頂ける様、お願い申し上げます。また、来年3月までの“ラストスパート”を暖かく見守って頂けると幸いです。(注:重ねて言いますが、講座の閉鎖はしません。業務の大幅縮小ですので誤解無きよう) ……というわけで、以上が今年度後期についての講義ガイダンスでありました。 さて、次に明日から始まります、一般教養の歴史学講座「学校で教えたい世界史」についてのガイダンスです。 今回開講いたします「学校で教えたい世界史」は、文字通り駒木が高校の授業で実施したい内容を提供する…という企画です。 駒木が高校で世界史を教えるようになって、間もなく丸2年になりますが、キャリアを積むたびに思うのが、「時間が足りない。話したい事をそのまま話せる自由が無い」という事です。 最近の“ゆとり教育”政策の影響もありまして、とにかく今の学校現場では時間が足りません。そのため、歴史の授業に費やせる時間数が年々減っています。 また、高校という機関は、本来ならばただ純粋に学問をするための場所のはずなのですが、現在の日本社会では「高校=大学受験のための準備機関」という意味合いも強くあります。そのため、どうしてもある程度は“受験を前提にした世界史”の授業をしなければなりません。 そして、世界史の中では、下世話で下品な、それでいて非常に人間臭くて面白いエピソードが多数残されているのですが、学校現場でそれを話すわけにはいかないのです。「教育上好ましくない内容は取り扱うこと罷りならぬ」というわけです。その結果、学校で学ぶ世界史は更に無味乾燥なモノになってゆきます。 ……とまぁそういうわけでして、現場の教員は妥協に次ぐ妥協を強いられている。これが現状であります。 …そういう趣旨の下で実施される講座でありますので、内容は高校世界史のレヴェルがベースとなります。 また、あらかじめお断りしておきますが、駒木は高校レヴェルの世界史の授業を滞りなく実施できるだけの知識は蓄積していると自負しておりますが、歴史学の“プロ”としてはまだまだ新人・下の下の存在であります。ひょっとしたら、講義の中で至らぬ点が出て来るかも知れません。 その他の細かい点に関しては、またおいおい講義の中でお伝えする事にします。 ……それでは、これで今日のガイダンスを終わります。今後とも、この仁川経済大学社会学部インターネット通信課程をどうぞよろしくお願い申し上げます。(この項終わり) |
9月2日(月) 社会経済学概論 |
珠美ちゃんも日誌に書いてくれたんですが、今日は私こと駒木ハヤトの27歳の誕生日であります。 ※前回までのレジュメはこちら↓ さて、前回は『キラーコンドーム』の話だけで1回の講義を費やしてしまいましたが、今回はこの大ヒットの後のアルバトロスの奮闘振りについて、時系列に沿って述べてゆきたいと思います。 『キラーコンドーム』は、アルバトロスにとって会社創立以来初の劇場公開映画としての大ヒット作となりました。その後に発売されたビデオや関連グッズの売上も絶好調で、周囲のアルバトロスを見る目も多少は変わって来たようでした。 この全国のレンタルビデオ屋にVIP待遇で並んだ映画・『ザ・キャッチャー』は、今なおアルバトロス史の中でも札付きの問題作とされている迷作であります。 しかし、そんなエピソードも映画のストーリーをお聴きになれば、納得して頂けると思います。 まず、映画は星一徹のようなスパルタ親父が息子にシゴキを入れているシーンから始まります。まるでスポ根アニメのようなオープニングであります。 ……ははぁ、これでHに持ち込んだところを殺される、『13日の金曜日』パターンだな…と思った貴方、残念ながら甘すぎます。そんな映画なら、買い付け担当の叶井さんの眼鏡に適うはずがありません。 ……えー、お願いですから駒木をフレームメールのキャッチャーにする事のないようにお願い申し上げます。駒木は善意の第三者でありますので。 まぁそういうわけで、「結局アルバトロスはアルバトロス」という事が周知の事実となり、再びアルバトロスは零細経営に逆戻りします。 ちなみにそのヒット作とは、昨年来からご老人方を中心に固定ファンを集めていたイタリアンエロス映画の新作『肉屋』と、床屋で殺した男たちの人肉ミートパイがバカ売れする映画・『スィーニートッド』、そしてここぞという所で飛び出す傑作コメディ・『奇人たちの晩餐会』でした。 それを証拠に、『奇人たちの──』の大ヒットを受けて、翌00年1月に送り込んだ映画の題名は、
「深海からの物体X」
|
9月1日(日) 犯罪社会学 |
さて、前回は思い出話ついでに、駒木がとあるチンケな選挙犯罪に巻き込まれていった……という話の途中で時間切れとなったのでしたね。 ※前回のレジュメはこちら→第1回
刑事さんの来訪を受け、駒木が自宅の玄関前まで出迎えに出ると、スラックスに開襟シャツという軽装に身を包んだ2人の男性が立っていました。刑事さんです。1人は40代後半と思しきベテラン、もう1人は20代半ばの若手の2人組。 この時点で駒木の中では、 とりあえず、自宅の応接間に2人の刑事さんを通すと、ボス刑事の方から「あ、一応…」と警察手帳の提示。本来なら一番初めに提示をするのが決まりだそうですが、あまりに駒木が協力的なので、出すタイミングを逸していたようでした。東南アジアならこの時点で撃たれてても文句言えません。テンション上がると恐ろしく軽率になる自分が怖いです。 それから早々に例の手紙の提示を求められましたので、それに従いますと、「この手紙と封筒をこちらで預かりたいので、書類を書いてください」との申し出。 で、その書類にペンを走らせている最中、色々と事情を訊かれました。しかも手紙を受け取った経緯や、その後どのようにしたか…など、かなり細かい所まで。そして、それを一言一句聞き漏らさないようにヤスが警察手帳に書き込んでゆくのを見るにつけ、この事件が結構な大事になっているのだと実感。さらにテンションが上がってゆきます。大体、クソ映画を罵倒する時の井筒監督くらいのテンションだったと思われます。 その後、作業や事情聴取が一段落ついたところでしばし雑談。しかし、話題はどうしても今回の事件の事になってゆきます。 こうして場が盛り上がって来たのを見て、駒木も逆に質問を。コンパで雰囲気がデキあがると、警戒心の強い女の子でも携帯の番号くらいは教えてくれるのと同じようなモノで、結構核心に近い部分もアッサリと教えてくれました。 「え〜と、これは大学関係者とかに大量に送られてるんですよね。ひょっとしたら、対立候補の支援者に届いてバレたんやないか、と思ったんですけど」 ボスが「ちょっと困った質問だけど、しゃあないか」みたいな顔をしましたが、すぐに答えてくれました。 「う〜ん、警察関係者にも送られて来たんよ」 結局、この日はここまでで刑事さんは退場。「これから書類を作成する段で、また連絡することもあるかも知れませんのでよろしく」…と言われた駒木がますます浮き足立ったのは言うまでもありませんでした。 ……さて、これ以上は冗長過ぎる嫌いがありますので、足早にお話しましょう。 この数日後、またも兵庫県警から電話があり、この前に駒木が喋った内容を調書に起こしたので、それに署名・捺印をして欲しい旨の依頼があり、快諾。さらに数日後、“ヤス”刑事と、また違うボス役の刑事さん2人組が駒木宅を来訪。話によると、各署の刑事課総出で捜査にあたっているらしく、コンビ分けも日替わりなのだとか。 …これで後は、この件が事件になるのを待つのみ……だったんですが、それから間もなくして起こった花火大会の将棋倒し事故の捜査に忙殺されてしまったのか、それとも別方面から圧力が掛かってしまったのか、この事件はこれ以上の進展がなく沙汰闇に。残念なんだか、安堵すべきなんだか分からない結末になってしまったのでした。 今回の駒木のケースは投票依頼の手紙だったのですが、刑事さんの話によると、候補者やその関係者からモノを受け取って違反にならないのは今回のような手紙だけなのだとか。その他の場合は、例え粗品のようなものであれ、受け取った時点で貰った方も公職選挙法違反になるので気をつけて下さい…などと言われました。受講生の皆さんも、どうぞお気をつけ下さい。 ……といったところで、最後はバタバタしましたが、この講義を終わらせてもらいます。 (この項終わり) |