「社会学講座」アーカイブ
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講義一覧
3/30(第120回) 社会調査「ヤフーBBモデム配りアルバイト最終報告」(1)
3/29(第119回) 競馬学特殊講義「駒木博士の高知競馬観戦旅行記」(1) 3/27(第118回) 競馬学特論「駒木研究室競馬予想No.1決定戦〜04年春シリーズ・暫定第2戦・高松宮記念」 3/26(第117回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(3月第4週分・合同) 3/19(第116回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(3月第3週分・後半) 3/16(第115回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(3月第3週分・前半) 3/12(第114回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(3月第2週分・合同) 3/9(番外) 人文地理「続々・駒木博士の東京旅行記」(7・最終回) 3/6(第113回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・分割版」(3月第1週分・合同) 3/2(第112回) 演習(ゼミ)「現代マンガ時評・『青マルジャンプ』特集」 |
2003年第120回講義 |
◎第1期(「潜入レポ」)のレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回 「総受講者数200万人突破記念講義シリーズ」の第2弾は、何故か半年ごとに蘇る当社会学講座の人気講義シリーズの“最終章”です。 というわけで始まりました最終シリーズ、今日の第1回目は、恐らく受講生の皆さんが一番興味のある事柄と思われる、例の顧客情報流出についてのお話をさせて頂きます。 ──さて、お話を始めましょう。駒木が勤務していたような電器量販店の“パラソルブース”でヤフーBBに申込む場合、お客さんは所定の申込書に必要事項(住所、氏名、電話番号等)を記入する事になります。現在使用されている申込書は複写式になっており、スタッフはその場で複写された方を控えとしてお客さんに手渡し、原本の方をお客さんの目の前で受理して、これで店頭での手続きは完了となるわけです。 手続きを完了したお客さんをブースから送り出すと、接客に当たったスタッフは、まず申込書記載事項の中からお客さんの氏名と電話番号を“顧客名簿”のような別紙に控え、申込書の方はその日の内に量販店の担当者(大抵はOAコーナーのチーフ)に手渡します。担当者は申込書の内容をウェブ上でソフトバンクに送信して“公式エントリー”の作業を行い、その後、申込書は量販店の管理するファイル等に綴じられて店内に保管されます。 また、申込書引渡し前にスタッフによって控えられた“顧客リスト”の扱いも、恥ずかしながらかなりいい加減です。これは全国のスタッフを勝手に代表して駒木が皆さんにお詫び申し上げておきます。 ──というわけで、今日はいきなり核心に迫った話をしてみました。ちょっとアクセルを吹かし過ぎたような気がして、駒木も今頃になって背中が薄ら寒いのですが、事実は事実ですし、こういう事を言わせるような杜撰な情報管理をしている方が悪いのですから、ここは胸を張って皆さんの反応を窺いたいと思います。 |
2003年第119回講義 |
予告通り本日から「総受講者数200万人突破記念講義シリーズ」の開幕です。要は講義回数が増えるだけなんですが(笑)、本格的に忙しくなる前の最後の一仕事という事で、出来る限り頑張ってみたいと思います。どうか何卒。 ……というわけで、本日はその第1弾として、高知競馬場観戦記の1回目をお送りします。勿論、あの3月22日、ハルウララ号が武豊鞍上で出走して全国的にニュースで報道された、あの日の高知競馬です。 そしてこれも予告しておりました通り、ここで受講生の皆様へ「200万アクセス御礼プレゼント」を実施いたします。 ……では、前置きが長くなりましたが、レポートを始めます。例によってレポート中は文体を常体、人名等は原則敬称略にしております。 ◎0日目(3月21日) それでも閉店寸前の金券ショップで「青春18きっぷ」2日分を何とか入手し、時計を見ると19時30分。夜行までは5時間も余っている。時刻と言い、余った時間の長さと言い、実に中途半端である。 ……と、そうやって、すっかり心を荒ませた状態で、駒木は旅行初日をJR三ノ宮駅の駅構内で迎えた。旅行前から既に懐具合の心配をしているという、何とも締まらないというか情けない出発直前の佇まいである。 さて、この旅行で駒木が利用する列車は「ムーンライト高知」。京都─高知間を7時間20分ほどで結ぶ夜行快速だ。 つまりはこういう事だ。まず三ノ宮─岡山間を「ムーンライト山陽」の指定席で行き、「青春18きっぷ」を利用する。ただし午前3時過ぎ着の岡山で2時間以上も始発を待っていてはラチが開かないので、ここからは必要最小限の区間(岡山─阿波池田間)だけ追加料金(2800円)を支払って「ムーンライト高知」のグリーン車に乗車する。細かい話だが、この区間ならグリーン席の料金は“短距離割引”と言う事でかなり格安になっている。 そんなゴクドーなアクセスだけ紹介してもアレなので、ここで蛇足ながら、京阪神圏又は首都圏からの高知までの真っ当なアクセスも紹介しておこう。 閑話休題。旅行レポートに戻ろう。 そうする内に列車は、明石、加古川、姫路と兵庫南西部のキー駅を次々と通過して、いよいよ岡山方面へ。ここに来て、未だ前日までの睡眠不足が抜けきらない上、乗車以来ずっと細かい活字を追いかけていたので駒木も徐々に眠たくなってきた。ヤバい。広島直行か? ……というわけで、やはり行きの車中で終わってしまいました(苦笑)。まぁ、高知競馬場までのアクセス講座もやったんで、どうかご容赦を。次回は何とか競馬場まで辿り着けるはずです。お楽しみに。(次回へ続く) |
2003年第118回講義 |
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諸事情により、講義の準備開始がドバイワールドカップの終了とほぼ同時刻になってしまいました。毎度毎度、開始時刻の遅い講義でご迷惑をおかけしております。アドマイヤドンの惨敗グセがここに来て出るとは残念至極であります。
純粋な逃げ馬はギャラントアローのみ。前走同様、強引にでもハナを切っていくだろう。単騎ゆえにマイペースの逃げが打てる可能性もあるが、前々でレースをしたい馬の位置取り争いに巻き込まれて厳しい展開になる可能性が高い。ちなみに逃げ脚質の連対は、このレースが今の条件に変わって以来、ショウナンカンプの1頭だけ。 ●駒木ハヤトの「負け犬エレジー」● フェブラリーSに引き続き、手堅いにもほどがあるフォーカスになって申し訳無い(苦笑)。
有力馬が多くて目移りしてしまうこのレースですけれども、やはりここは、休み明けでも秋の短距離チャンピオンに敬意を表してデュランダルを本命にさせてもらいました。サニングデールも迷ったんですが、実績の差でこっちを選びました。博士と本命被るのも怖いですし(笑)。
差し、追い込み有利ってことは誰でも分かるレースなんですけど、それだけに強い差し馬はどれも人気になってて、わたしとしては困ったところですね〜(苦笑)。デュランダルもサニングデールも、もうちょっと人気薄になると思ったんですけど甘かったです。
駒木博士も珠美サンも順子サンも、みんな口を揃えて「難しい、難しい」って言ってるんですよね、今日のレース(苦笑)。そんなのワタシに分かるわけないんで、本当はやっちゃいけないと思いながら、馬の名前で決めちゃいました。デュランダルとサーガノヴェルなんて、いかにもファンタジーっぽくてカッコいいですよね。で、そのノヴェルのタイトルが日本語で「天使の奇跡」というコトで(笑)。
図らずも、4人の印が変に偏った感じもしますが、そこは駒木研究室ということで、どうかご容赦を。でも、順子ちゃんの買い目はオッズを見るからに恐ろしいですね(笑)。さて、結果はどう出るか、お楽しみに……。
※駒木ハヤトの“勝利の雄叫び”(単勝・馬連・馬単的中) ※栗藤珠美の“喜びの声”(馬連のみ的中) ※一色順子の“終了しました……”(不的中) ※リサ=バンベリーの“ハッピー・ハッピー・グッドラック”(馬連のみ的中)
(ポイント・順位の変動について) |
2003年度第117回講義 |
旅行等の取材活動で講義の間隔が開きましたが、今日から高校の仕事が始まる4月上旬まで、目一杯カリキュラムを組んで頑張る所存です。どうか何卒。 さて、今日は今週発売の「週刊少年ジャンプ」17号、および「週刊少年サンデー」17号の内容についてゼミを行います。 ……それでは、今週分のレビューとチェックポイントへ。レビュー対象作は、「ジャンプ」から新連載と新連載第3回の後追いが各1本、そして「サンデー」から新連載が1本、都合3本ということになります。 ※7段階評価の一覧表はこちらからどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年17号☆ ◎新連載『少年守護神』(作画:東直輝) 「ジャンプ」の新連載シリーズも今週でラスト。東直輝さんの連載再復帰作・『少年守護神』のレビューです。 東さんは1978年3月生まれということですから、26歳になったばかり。駒木より3つ(2学年)年下と知って、ちょっと驚きました。 ──とはいえ、やはり作品の内容は別の話。今回も読み切り版同様、残念ながら厳しい事も述べなくてはならなくなりそうです。 まず絵からですが、基本的には描き込まれた見応えのある絵柄だと思います。若干、シリアスタッチとマンガタッチの区別が曖昧で妙になった部分(やたら目の大きなシリアス女の子キャラ)も見受けられますが、「ジャンプ」連載陣に混じっても標準的なレヴェルには達しているのではないでしょうか。前回、大顰蹙を買った現代風のコスチュームデザインも一応修正されており、減点箇所は多くないと思います。 次にストーリー・設定ですが、こちらはシナリオの破綻していた読み切り版のプロットを踏襲してしまったため、端的に言って、かなり無茶苦茶な内容になってしまっています。 というわけで評価はC寄りB−。読み切り版に比べて改良の跡も窺えますので“死刑宣告”は控えましたが、前途は多難だという印象は変わりません。 ◎新連載第3回『未確認少年ゲドー』(作画:岡野剛)【第1回掲載時の評価:保留】 そしてこちらは新連載シリーズのトップバッター・『未確認少年ゲドー』。今後の運命を分けると言われる第3回時点での後追いレビューです。 さて、ここまで3回の内容は、『地獄先生ぬ〜べ〜』スタイルの、少人数のレギュラーキャラにゲストキャラ(未確認生物)を絡めていく…といった、一話完結型のコメディで進行していますね。大方の予想通りといったところでしょう。 評価は、読み切り版や第1回時より若干の上積みがあったという事でB+にしておきます。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントで、大亜門さんが「“先生”と呼ばれるのに抵抗があったが……」という若手作家さんらしいモノが。でも確かに、マンガ業界内では“先生”というのは役職名みたいなところがありますよね。祝うつもりも無いのに出す祝儀みたいなもので、敬うつもりも無いのに呼ぶ「先生」みたいな感じでしょうか。 ……でもよく考えたら、本当に「先生」って大した敬称じゃないんですよね。だって駒木も行く所行けば「先生」って呼ばれるくらいですから、価値無ぇったらありゃしない(笑)。生徒にとっては、ひょっとすると部活の「先輩」よりも格下だったりするかもですね。 ◎『スティール・ボール・ラン』(作画:荒木飛呂彦)【現時点での評価:A/第1期総括】 最後は『みどりのマキバオー』の有馬記念を思わせるような展開で、主人公・ジャイロ=ツェペリが1stステージ優勝となりました。この辺の澱みの無い演出はさすがといった所ですね。 と言う事で、評価はA−寄りAで据え置き。現時点では当ゼミの今年度No.1長編作品という事になりますね。
遂に“王”が誕生したわけですが、生まれながらにしての容赦無さ過ぎな暴虐さが、往年の鳥山明チックでシビれますねぇ。やっぱり本当の敵役はベラベラ喋っちゃいけないんですよね。喋らせなきゃ悪役だと判らないようなキャラばっかり出すマンガもありますが、まぁ…うん。(長井秀和風に) ☆「週刊少年サンデー」2004年17号☆ ◎新連載(シリーズ再開)『DAN DOH!!〜ネクストジェネレーション〜』(作:坂田信弘/画:万乗大智)【前シリーズ終了時の評価:B+】 再三お知らせしていたように、今週から“アニメ化に伴う復活”という特殊なケースで、『DAN DOH!!』の新シリーズが連載開始となりました。足掛け8年でやっと終わらせた作品を、商業的な理由とは言えもう一度蘇らせるとは、恐るべしマンガ業界ですよね(笑)。 さて、今回は特殊なケースですので(何しろ一度連載総括までしちゃった作品です)、作者紹介は省略し、レビューに関しても、前シリーズまでの内容を念頭において、後追いレビューというか、チェックポイントのようにサラリといきたいと思います。第3回のレビューも一応はやりますが、こちらも同じくと言う事で何卒。 ……というわけで、新シリーズの内容についてですが、今シリーズは「ネクストジェネレーション」というタイトルとは裏腹(?)に、前シリーズ終了からほぼ間もない時点から、キャラクターもそっくりそのまま引き継いでのリスタートとなりました。新庄樹靖の“ネクストジェネレーション”たるダンドー、という事なんでしょうかね。 ただ、今回のエピソード──ダンドーがチンケなヤクザと賭けゴルフして圧勝──はちょっと頂けないかなぁ…とも思います。主要キャラ紹介を最優先させるため、敢えて中身の薄いシナリオでお茶を濁したとも言えるのですが、8年以上引っ張った作品の再出発となるべき回を、そんな悪い意味で陳腐なシナリオにしてしまうのは如何なものでしょうか。全英オープン準優勝の天才少年に相応しい華々しい再登場シーンが欲しいと個人的には思いました。 評価は、とりあえず今回だけで8年分の評価を揺るがせるのもどうかと思いますので、保留の意味も込めてB+で据え置き。まぁ、真価が問われるのは“オールスター戦”か、その前の新庄VSダンドーに突入してからでしょうね。 巻末コメントのテーマは、「すぐに挫折してしまった挑戦って、ありますか」。 ちなみに駒木の挫折はアコースティックギター。定番ですね(笑)。Fコードとかは何とかクリア出来たんですが、アルペジオとかスリーフィンガーが全く……(苦笑)。時間が出来たらもう一度基礎から練習し直したいんですが、時間が出来るなんて有り得ないですからねぇ。 連載作品については、特に語りたいモノが無かったので今回はパスさせてもらいます。いや、低調だったというわけじゃなくて、ただ単にネタ不足だっただけの話です(笑)。 次週のゼミについては、他の講義も増える関係上、週後半に合同版で実施する事になると思います。では。 |
2003年度第116回講義 |
モデム配り関連講義の続編でもそろそろ始めようかと思っていたんですが、とりあえずレギュラー講義を済ませておかないと……と言う事で、今日はこちらを。週明けから色々バタバタしちゃいますので、やるべき事だけ今の内…てな感じです。 というわけで、今日は今週発売の「週刊少年サンデー」16号を教材にゼミを実施します。 まずは新連載についての情報から。 ☆「週刊少年サンデー」2004年16号☆ ◎読み切り『ダグラーバスタークウ!』(作画:松浦聡彦) 今週から「週刊少年サンデー」は創刊45周年特別企画月間。巻頭から大小様々な特別企画が誌面を飾っていますが、その1つがこの読み切り。久々に松浦聡彦さんが週刊本誌に登場という事となりました。 では、例によって作者紹介です。今週分前半の大亜門さんに続き、この松浦さんも幸か不幸かネタに事欠かないキャリアを積んでおられるので、じっくりとお話させて頂きます。 まず、松浦さんのデビューは「少年サンデー」月刊増刊の94年2月号という事ですから、キャリア丸10年ということになりますね。ベテラン揃いの「サンデー」の中でも、もう中堅という扱いで差し支えないと思います。 ──しかし、これからの松浦さんの歩みは苦闘の歴史そのものでした。 まずは連載終了の余韻も未だ鮮やかな00年17号より、サバイバル冒険モノ作品・『ブレイブ猿S(モンキーズ)』を連載開始しますが、これはわずか19回で終了の憂き目に。連載作品の新陳代謝の鈍い「サンデー」では異例の短期打ち切り。「ジャンプ」で言えば1クール・9回光速突き抜けに匹敵する“惨敗”でした。 ……というわけで、作品の内容についてお話してゆきましょう。 まず絵ですが、技術的な面で駒木が口を挟む余地は全くありませんね。さすがは濃密なキャリアを経て来た作家さん、これは恐れ入りましたといった所です。 ストーリー・設定の方も、キャリアに裏付けられたテクニックが各所で見受けられ、好感度の高い作品に仕上がっていると言えます。特にページ数に合わせたキャラクターの人数やシナリオのボリュームの絞り込み方が秀逸で、読み手に作品内容の理解について負担をかけないでよう見事に配慮されています。この辺のバランス感覚はさすがですよね。 さて、評価です。作品の完成度を大きく損ねるような欠点は見当たらないものの、安全策を採り過ぎてこじんまりとした作品になってしまった……と言う事で、B+としておきます。いわゆる「名作崩れの人気作」っぽい所もありますし、これくらいが妥当ではないかと。
◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「忍者になれるとしたら、どんな忍法を使いたいですか」。 必殺技が無い主人公の格闘マンガって、実は相当描くのって難しいはずなんですよね。どうしても地味になりがちだし、技の名前叫んで見開きページでドカーン! ……みたいな楽も出来ませんし。
しかし、この期に及んでミスターベーターもどきが悪役って……(汗)。 次週のゼミは、旅行やらモデム配りやらで忙殺されるので、多少遅れるかもしれません。どうか何卒。 |
2003年度第115回講義 |
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……いきなりですが、
……などと言ってみたくなる、3月第3週前半のゼミをお送りします、駒木ハヤトです(笑)。 ……さて、今週は公式アナウンスによる情報系の話題はありませんが、ネット上の信憑性の高い未確認情報によると、『スティール・ボール・ラン』(作画:荒木飛呂彦)が来週号で1stステージ終了&一時休載となるとのこと。連載再開は6月頃とのことで、どうやら10週程度の31ページ連載と“充電休載”を繰り返すスタイルを採る事になるようです。 ……それでは、今週の「ジャンプ」掲載分のレビューとチェックポイントをお送りしましょう。レビュー対象作は、新連載1本と読み切り1本の計2本となります。 ※7段階評価の一覧表はこちらからどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年16号☆ ◎新連載『無敵鉄姫スピンちゃん』(作画:大亜門) 「ジャンプ」春の新連載シリーズ第2弾は、当講座も期待の新鋭ギャグ作家・大亜門さんの『無敵鉄姫スピンちゃん』です。 大亜門さんは77年5月29日生まれという事ですから、現在26歳。「ジャンプ」の若手作家さんとしては、キャリアの割に年長者という事になりますか。 ──さて、それで闘志に火が点いたのかどうかは判りませんが、この直後から大亜門さんはハイペースで習作原稿を「ジャンプ」編集部に持ち込み、代原の形ではありますが02年34号にて「ジャンプ」デビューを果たします。主人公は先述の投稿作品に続いて偽・江田島平八、しかも冒頭に『あずまんが大王』のキャラと思しき女の子たちが裸に剥かれて登場…という、「天下一」の時の出来事を知る者からすると開き直りもいいとこな作品でしたが、何はともあれ、これで仮デビューとなりました。また、その後同年44号でも、代原(「天下一」の最終候補作)掲載を果たしています。 ……というわけで、長くなりましたが以上がプロフィール紹介。それでは今回の新連載作品について述べさせて頂きます。 まずは絵からですが、昨年に読み切りを発表してからの短期間に随分と上達しているのが窺え、正直言って驚かされました。シリアス、通常のマンガ用、そしてディフォルメと3種類の絵柄が使い分けられており、それがギャグにも活かされて良い結果に繋がっています。前作で指摘した動的表現やセリフを喋っている時の表情の不自然さもほとんど解消されており、気がついたら歴代の「ジャンプ」系ギャグ作家さんの中でも中〜上位クラスの画力にまでなっているように思えます。 そしてギャグについてですが、例によって個人的な“笑った/笑えなかった”は別にしても、確かな技術に支えられたハイレヴェルな作品だと思われます。特にツッコミが上手いのがポイントで、これが展開の単調さを避けたり、一つのネタから多くの“笑い所”を作り出したり…という結果に繋がっているのではないかと。 評価はA−をつけた読み切り版よりも進歩が窺えるという事で、A−寄りAとします。低年齢層にある程度受け入れられれば、長期連載も狙える逸材だと思うのですが、さてどうなるでしょうか。 ……それにしても今回のこの作品、絵柄といいシナリオといい何故か既視感が強いと思ったら、高校時代に読んだSF研究部(という名の漫研&ライトノベル研&TRPG研)の会報に載ってたマンガと小説と感じがソックリだったからでした(笑)。 さて雑感はさておき、例によって作品の内容を細かく分析してゆきましょう。 まず絵ですが、全体的に画力が未完成なのは仕方ないにしても、ディフォルメの使い方が全くなってないのが気になります。シリアスな場面(特に戦闘シーン)で不用意にディフォルメキャラが描かれているケースが非常に多く、強い違和感を感じてしまうんですね。 次にストーリー・設定についてですが、まずメインアイディアである「ヘンテコ」の設定全般は、そのネーミングも含めて良かったのではないかと思います。というか、このアイディアだけで「手塚賞」佳作まで行ってしまったような気がしないでもありません。 ……そういうわけで、良く言えば「荒削り」、悪く言えば「実力不足」というのが、現状の千坂さんが立っているポジションではないかと思います。まずはマンガを描くにあたっての意識をプロ仕様に変えないと、「ジャンプ」での飛躍は難しいでしょう。 評価はB−。もうちょっと高くても良いような気もしますが、技術面を重視して採点するとこの辺に落ち着いてしまうんですよね。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週も空知英秋さんと編集さんのバトルは続行中。打ち切り回避したとなったら、筆も滑らかですなあ(笑)。 「僕の担当は家に来ると冷蔵庫を勝手に物色するチンピラ編集者です。全ての指を突き指しろお前は」 ……とやったと思えば、担当さんも例の柱スペースで、 「なぜか電話が繋がらず連絡が取れない空知英秋先生の作品が読めるのは週刊少年ジャンプだけ!!」 ……などと、オチまでつけて逆襲。絶対仲良いだろお前ら、と言いたくなるような連携プレーが見事ですね(笑)。今週の『銀魂』は笑い所が少なかったので、こういう所で小ネタを利かせたんでしょうか。 あーあと、今週の巻末コメントでは、 ◎『武装錬金』(作画:和月伸宏)【現時点での評価:A−/雑感】 ところで、斗貴子さんの「スパルタンだけど、完全な冷血漢になり切れない部分」の描写は秀逸でしたよね。特にカズキの腕を切り裂いておいて、自分も痛そうにしている表情を挟むのが絶妙です。しかし、それでもいくら本気度を示すためだとはいえ、身内に目潰しはやり過ぎだろうと(苦笑)。
数少ない03年度生き残り組の一角も、低迷する人気には勝てず、3クールで打ち切りとなってしまいました。巻末コメントによると、『サバイビー』の時のように単行本最終巻での加筆修正があるみたいですね。 最終確定評価は、打ち切りが濃厚になった終盤でやや展開が拙速になった分を差し引いてB寄りB+としておきます。
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2003年度第114回講義 |
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「ギラン・バレー症候群に酷似した免疫系の原因不明の病気」みたいな厄介な病気の手術(と言うか、免疫系の病気で外科手術?)を、民間の普通の総合病院でやっちゃう影にはどのような深遠な裏設定が? ……などと、とりあえず思ってみた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか駒木ハヤトです。 さて、今週は情報系の話題が多いので、取り急ぎ本題へと移りましょう。 まずは新人賞の話題から。今週は「ジャンプ」、「サンデー」共に、月例新人賞の審査結果発表がありましたので、こちらでも受賞者・受賞作を紹介させて頂きます。
受賞者の過去のキャリアについては以下の通りになります。(もしチェック漏れがありましたら、BBSでご指摘下さい) ※「ジャンプ十二傑新人漫画賞」 ※「サンデーまんがカレッジ」 ……今回は、飛び抜けた逸材には恵まれなかったものの、“新人予備軍”発掘という観点から見ればなかなかの豊作…といったところでしょうか。 まず、「ジャンプ」16号には03年下期「手塚賞」佳作受賞作・『ヘンテコな』(作画:千坂圭太郎)が掲載されます。 一方、「サンデー」の16号に掲載されるのは、『ダグラーバスター クウ!』(作画:松浦聡彦)。かつて『タキシード銀』をスマッシュさせ、最近では系列誌の『サンデーGX』でも連載されていた松浦聡彦さんが、“創刊45周年記念特別読み切り”という名目で久々の週刊本誌復帰となりました。 ……それでは、今週分のレビューとチェックポイントです。レビュー対象作は、「ジャンプ」の新連載1本、「サンデー」は新連載第3回と読み切りが各1本で計3本。また、チェックポイントも今週は増量でお送りします。 ※7段階評価の一覧表はこちらからどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年15号☆ ◎新連載『未確認少年ゲドー』(作画:岡野剛) 今週から始まりました、春の新連載シリーズ。トップバッターは、2連続の短期打ち切りを克服しての再登場、ベテラン・岡野剛さんです。 岡野さん──かつてはのむら剛のペンネームでも活動──は88年上期の「赤塚賞」で『AT(オートマチック)Lady』が入選を受賞し、88年33号に受賞作掲載の形でデビュー。この作品は89年に連載化され、岡野さんは現役の学生との兼業というハンデを抱えつつ初の週刊連載に挑みますが、これは残念ながら1クール・10回打ち切りに終わります。 ……では、作者紹介が長くなりましたが、作品の内容へ参りましょう。 まずは絵についてから。もうこれは岡野さんの作品をレビューする度に申し上げている事ですのですが、非常に完成度の高い“マンガ用の絵”だと思います。 一方、ストーリー・設定なんですが、この第1回は、昨年発表のプロトタイプ版をベースに微調整を加えて仕上げた、一話完結型のエピソードでした。主要キャラクターや世界観の提示をする一方で、物語全体のプロローグ的なシナリオを上手く展開させており、こちらも好感度の高い仕上がりではないかと思えます。 さて評価なのですが、先述した通り、まだ読み切り版のエピソードを再構成したプロローグが終わったばかりなので、今回は保留としておきます。ただ、ここから目新しい展開がない限りは、読み切り版の評価(B寄りB+)を超える事は無いとお考え下さい。 ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 「バレンタインチョコ届きました」という、駒木にとっては心底どうでもいいコメントが複数見受けられる中、チョコはチョコでも、小説・『グミ・チョコレート・パイン』(作:大槻ケンヂ)について述べていたのが和月伸宏さん。そう言えば、パイン編出たんですよね。駒木は相当後からの読者ですから知らなかったんですが、8年待ちとは(笑)。 ◎『ONE PIECE』(作画:尾田栄一郎)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 デービーバックファイト2回戦はゾロ&サンジ組の勝利で終了。駒木の勝敗予想は外れてしまいました(笑)。それにしても、往年のクラッシュギャルズVS極悪同盟を思わせるあのレフェリングには笑わせてもらいました。 ◎『遊☆戯☆王』(作画:高橋和希)【開講前に連載開始のため評価未了/連載総括】 96年から中断を挟んで足掛け8年。『こち亀』を除けば最古参の連載作品だった『遊☆戯☆王』もついに完結となりました。最近は掲載順も低迷していましたが、センターカラー&大増ページでの“円満完結”タイプの最終回となりました。 ……これほどまでに商業的な成功を収めた作品について、駒木なんぞがあれこれ言うのは僭越だと言わざるを得ません。が、それでも敢えて、このゼミとしての連載総括をさせて頂きます。ファンの方には少々耳の痛い事もお話しなければならないかと思いますが、ちょっとの間だけ、スルーをお願いします(笑)。 さて、この作品を語るには、やはり一連の“カードバトル”をどう評価するか…という事に尽きると思います。 あと、ストーリー全般については、各方面からの不可抗力が強かったにせよ、連載期間、特にカードバトル路線で引っ張った期間が長過ぎ、ストーリー全体が冗長に陥ってしまったような気がします。連載終盤の掲載順と単行本売上げの低迷は、その辺りを客観的な部分で示していたのかも知れません。 当ゼミとしての最終確定評価は、“功労賞”的なボーナス点も加味してBとしておきます。「大人の事情で名作になる事を許されなかった悲運の人気作」といったところです。 今週もまた演出の素晴らしい事! それがまた理詰めの計算で出来ているから恐れ入ったというところですね。 いやはや、キてますなあ。強烈なハードコア&スピーディ展開。普通の少年マンガのバトルシーンが展開されていたはずなのに、いつの間にか凄い状態になってますね。 ◎『いちご100%』(作画:河下水希)【現時点での評価:B/久米田康治先生をリスペクトした雑感】 ※今週月曜日、駒木と順子ちゃんの電話による会話の一部を再現。 順子:「……あ、そう言えば博士、今週の『ジャンプ』読みました?」 そこまでやられたら、もう何も言えません。
◎新連載第3回『思春期刑事ミノル小林』(作画:水口尚樹)【第1回掲載時の評価:B+】 2週間前の13号から連載が始まったこの作品も、今回で第3回。後追いレビューを実施させてもらいます。 まず、ギャグを効果的に見せるテクニックに関しては、前回のレビューで申し上げた通り申し分無いと思います。今回では反則スレスレのパロディも挟みつつ、ギャグの密度を濃くしようという意欲が窺えますね。 評価はランクを下げてB+寄りBと一旦後退させておきます。地力はある作家さんですから、持ち直せば改めて高い評価をつけられると思うのですが……。
さて、先週のこの時間でも紹介しましたように、今週は読み切り作品が掲載されています。 では、レビューへ。 次にストーリーと設定について。 評価はB−とします。とりあえず力を注ぐベクトルを変えた新作をもう1回拝見してみたいところです。 ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「今までで一番の親孝行は何ですか?」。 ちなみに駒木の親孝行は……困ったな、無いぞ(苦笑)。それこそ健康で死ななかった事だけで、親不孝だけは数え切れないほどしてますからねえ。この年になって、未だに毎年就職で苦労してるんですから……。まぁ出世払いする心の準備はあるんで、長生きしてもらいたいものです。 ところで、今週の「サンデー」で駒木が一番笑わせてもらった箇所は、『美鳥の日々』の最終ページ柱の煽り文、 ◎『うえきの法則』(作画:福地翼)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 引っ張りに引っ張り続けてきた、森あいの能力がついに発動。なんと「相手をメガネ好きにする能力」という洗脳系能力でした。 ◎『かってに改蔵』(作画:久米田康治)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 今週、当講座の談話室(BBS)で盛り上がってるのが、今週の『改蔵』に出て来た、マンガ錬金術について。大体答えも出揃って来たようですが、「サンデー」作品をネタにしていないのは、没になったのか、それとも武士の情けでしょうか。 ◎『ハイスクール奇面組』+『ボンボン坂高校演劇部』+柔道=? ……とか、ミもフタもないネタはいくらでも作れるわけですが(笑)。まぁ、ミもフタも無さ過ぎてネタになりませんか。 ところでお忘れかも知れませんが、当社会学講座ウェブサイトは、 『ちゆ12歳』+タモリの密室芸『教養講座』+浅田次郎さんのエッセイ集『初等ヤクザの犯罪学教室』 ……の練成によって誕生したものであります(笑)。 |
番外 |
◎前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回 長らく無意味に引っ張って来てしまいました年末の旅行レポも、これにて最終回。見切り発車もいい加減にしろという教訓になりました。何度目の同じ教訓か、もう覚えきれないくらいに回を数えてますが。 さて、それでは今回は旅行3日目(12/30)の午後、コミケ会場である東京ビッグサイト東1・2・3ホールから再開となります。 さて、2日間に渡るコミケ潜入もいよいよ大詰め。駒木がコミケにサークル参加する場合、恐らく選択する事になるであろう評論カテゴリの実地調査である。 ……さて、あまりダラダラと見聞録を書き連ねても芸が無いので、ここは実地調査で得た印象をトピック形式でお届けする。 ●少数精鋭・完全実力主義。無名の伏兵も多し。 サークル数はマンガ等に比べるべくもないが、遊び半分ではなかなか参加出来ないカテゴリだけに、少数精鋭の趣。中には著名人やプロ作家が運営しているサークルもチラホラ見かけるが、そういった所もマンガとは違い、結構平気で苦戦していたりする。 ●重要なのは、評論のテーマと飛ばし読みした時の印象度 文字本の難点は、パッと見で本の内容を伝える事が難しい事。マンガなら表紙絵さえ達者なら手に取ってもらえるが、評論カテゴリではそれが原則不可能。(ただし、逆に言えば綺麗な表紙絵で勝負できればかなり有利とも言える。要熟考。) 大半の実力派サークルは、見栄えのする表紙で中身の濃いオフセット本を500円以下で売っている。これ以上の値をつけていては太刀打ち出来ない。薄いコピー本なら100円、200円くらいまでか。また、分厚い本なら値段が高くても大丈夫に思えるが、それでは一見さんは二の足を踏む。1冊1500円の分厚い本よりも、それを上・中・下巻に分けて各500円で売る方が無難。本の種類が多い方がブースも華やかになって、何だか活気付いて見える。
さて、実地調査の結果から考えるに、もしもコミケに駒木研究室としてサークル参加するならば、やはり「現代マンガ時評」関連の本がベストだろうと思う。 埼京線直通のりんかい線に乗って、まずは池袋。それから山手線に乗り換えて1駅、次なる目的地の最寄駅・JR大塚駅に到着した。ここから歩いて数分の所にある「萬スタジオ」という小劇場でこの日行われる、「通好みのオトナのためのプロレス・トークライブ10〜新装開店! 通好み汁続出!!! お前、通の中の通だよ2003」という、タイトル聞いただけでいかにもアレなイベントを鑑賞するのが、この旅行の最終行程となる。“通”じゃない皆さんは「どんなイベントなんだよ?」…と、お思いだろうが、それについてはまた後ほど。 てりやきマックバーガーのMセットを5分で胃袋に押し込み、隣の本屋の地図コーナーで「萬スタジオ」の位置を確認してから小走りで会場へ向かう。それにしても余裕の無い旅行だ。傍らの道路をのんびりと走っている路面電車が羨ましく感じる。 ……などと考え事をしている内に、気が付いたら午後3時45分。時間にルーズなプロレス業界らしく、開場時刻が遅れている。その間も行列は伸び続け、いつの間にか最後尾はスタジオのあるビルを回り込むように近くの住宅街にまで至っていた。 「今日のトークライブ、有名な人って誰が来るの?」 ……なんていうイベントに長蛇の列を作る人たちの事を広く理解してくれ、という方が間違っている。プロレスマニアと一般人の間には、バカの壁というかドアホウの壁みたいなものが横たわっているのだ。 結局、数十分遅れで開場。細い通路と階段を通り抜けて、地下にあるキャパ100人強のホールへ、客席は瞬く間に埋まり、いわゆる“超満員”の状態に。「ここで火事が起きたら全滅だな」と嫌な発想が脳裏をよぎる。 ……と、ここまで開演前の様子で引っ張って来て恐縮だが、ライブの内容について具体的な話は殆ど出来ない。というのも、このトークライブはいわゆるオフレコのイベントであり、公の場でトークの内容を紹介する事は固く禁じられてしまっているのだ。何しろ、かの2ch掲示板でも緘口令が守られていたというのだから、従うしかあるまい。 ……と、そんなイベントが午後4時過ぎの開演から、途中40分の夕食休憩(!)を挟んで、なんと午後11時10分まで。イベントそのものは爆笑の連続で大変面白かったのだが、帰りの夜行の発車時刻の事を考えると、最後は気が気じゃなかった。この夜、駒木が乗車予定の臨時便・「ムーンライトながら」は品川駅発。そう、山手線で言うと大塚駅の真裏に当たる駅なのである。 状況を把握した駒木は、イベントの余韻がまだ色濃く残るスタジオを速やかに退出し、駆け足で駅までの道のりを逆走する。実は、休憩の際には「まだ食ったばかりだし、どうせ10時過ぎにイベント終わってから時間が余るんだから、後でゆっくり食えばいいや」…などと思って夕食タイムをスルーしてしまっていたのだが、当然の事ながら、そんな悠長な事を抜かしているヒマも無くなった。とりあえずスタジオ近くの「SHOP99」に飛び込んで、所要時間2分で弁当と朝食用のパン、それと車内で飲む飲み物をチョイスしてレジに持ち込む。しかし、まさか東京で食べる最後の食事が299円のチーズハンバーグ弁当とは……。それも電子レンジで温めるヒマも無いので、チーズもハンバーグもカチカチに冷やされたまま。さすがにこの時ばかりは「どうして東京まで来て、こんな目に遭わなければならないのか」と、理不尽と不条理が入り混じった暗黒な気持ちに陥った。 息をゼェゼェ切らしながら、これまたスケールのみみっちい達成感に浸っていると、車内アナウンスが聞こえて来た。 「えー、京葉線で人身事故発生でダイヤが乱れております関係上、当列車も5分ほど発車を遅らせます。今しばらくお待ち下さい」 思わず、吉本新喜劇でチャーリー浜が「ごめんくさい」とやった時に取るリアクションを実演しかけた。誰がオチをつけろと言ったのか。しかもコミケ客御用達の京葉線が原因って、話が出来すぎだ。 そんなわけで、定刻より5分遅れの23時59分に臨時便の「ムーンライトながら」は品川を発車。日付が変わってからの発車だと、青春18きっぷを使った際の運賃が変わる(品川−横浜間の運賃を取りそびれる)からだろうが、それにしても見事な時間調整だ。 ◎4日目(12月31日) 車内では、いつものように、読書をしながら眠くなった時にその都度うたた寝する…の繰り返し。例の弁当の味が極度に侘しかった事も付け加えておく。 そうやって駒木が狭っ苦しい簡易リクライニングシートに押し込められたまま、列車は静岡県を横断し、名古屋、そして大垣へ。朝6時前の到着までほとんど眠らずじまいだった。これだけ疲れているのに眠れないという自分の体が何だか神秘的なモノに思えて来る。 神戸方面へ向かう新快速の車窓から見える風景に、見慣れたものが目立って来た。それはそのまま、非日常から日常へと戻っていく過程を映像化しているものに他ならない。いつの間にか、車内のあちこちから漏れ聞こえる人の話し声も100%関西弁に染められている。 ……なぁキミさぁ、同じコミケ参加者として言わせてもらうけれども。 車内アナウンスから、三ノ宮駅到着を告げるアナウンスが流れて来た。最後の最後で最悪だ。誰がオチをつけろと言ったのか。(了) ……と、最後の最後で旅の余韻を台無しにしたところで、レポート無事完結となりました(笑)。 では、そんなところで番外編終了です。長い間有難うございました(この項終わり) |
2003年度第113回講義 |
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「青マルジャンプ」のレビューとモデム配り仕事でゲンナリしている内に、いつの間にか土曜日に……。お待たせしてしまって申し訳ありませんでした。 では時間も押してますし、早速情報系の話題から。
今回も前回の年末シリーズに続いて、“標準モード”の3作品となりました。いずれもプロトタイプ読み切りからの昇格組、また、かなりの準備期間を置いての連載始動という事になりますね。 ところで今回のラインナップですが、当講座的には、「コミックアワード」のグランプリ候補(=最優秀新人ギャグ作品部門受賞)の『スピンちゃん』とラズベリー候補の『少年守護神』が同居するという、非常に趣深いモノとなりました(笑)。 ……さて、今日は情報をもう一件。「サンデー」から読み切りの情報を。 ※7段階評価の一覧表はこちらからどうぞ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2004年14号☆ ◎読み切り『BULLET CATCHERS』(作画:夏生尚) 今週は2作品取材休載ということで、読み切り作品の掲載となりました。今回は、「手塚賞」と「赤塚賞」の告知も兼ねて、前回の「赤塚賞」(03年下期)で準入選を受賞した夏生尚さんが、その受賞作で初の“正規読み切り枠”獲得です。 それでは内容についてお話してゆきましょう。 そして、これまで懸案だったギャグについてですが、確かに前回までに比べると、格段に見違えています。これは恐らく、1ページマンガをやめ、通常スタイルに転向した事が功を奏したのではないかと思います。夏生さんはいわゆる“起承転結”をハッキリさせる事を苦手としていましたから、オチをつけないまま小ネタを繋げていくスタンスは本質的に向いているはずですしね。 評価は、「連載ギャグマンガでスランプ気味の回くらいの出来」ということでBとしましたが、どうでしょうか。
◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 以前、コメント欄で話題になり、以来密かにコアな読者の間で注目されているのが、空知英秋さんが『銀魂』の欄外の告知(「○○先生の作品が読めるのはジャンプだけ」/「○○先生にお便りを」)でどう紹介されているか…というもの。 「エアコン無くて凍えそう!」 ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 アメリカ横断ウルトラトレーニング(笑)。 そういや、単行本7巻ゲットしたんですが、今回のおまけページは主要キャラクターの中学時代の卒業アルバム(想い出の写真、本人のコメント&将来の夢、恩師や当時の友人の寄せ書き)。で、これまた芸が細かくて……。特にまもり姉ちゃんの寄せ書きに女子グループ独特の雰囲気が出てて、「さすが」と思ったりしました。 ◎『武装錬金』(作画:和月伸宏)【現時点での評価:A−/雑感】 ◎『銀魂』(作画:空知英秋)【現時点での評価:B/雑感】 今回はデビュー作『だんでらいおん』を思い出させる、非常に良質な人情芝居だったと思います。「意外と可愛い女の子描かせると上手い」という空知さんの才能が、やっと作品の出来と結び付きましたね(笑)。
1クール・ジャスト10回にて無念の打ち切り終了。見事なまでの“純正突き抜け”(=語源の意味となった『ロケットでつきぬけろ!』の連載回数、また「ジャンプ」創刊時からの伝統的な1クール打ち切り回数が10回のため)となってしまいました。 連載を振り返ってみると、「過去の梅澤作品から、テーマと主人公たちの夢を取っ払ったような作品」になってしまったような。まさに第1回レビューから申し上げて来た“縮小再生産”作品だったのではないでしょうか。 あ、忘れるところでしたが(正確に言えば8日の午後まで忘れていましたが^^;)、最終評価は問題点を解消しないまま、中身に乏しいシナリオをズルズル引きずってしまった…という事で、第3回時点から大幅に減点してB−とさせてもらいます。 ☆「週刊少年サンデー」2004年14号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 巻末コメントのテーマは、「苦しい時は、どんな事を思い出して頑張りますか」。 ◎『からくりサーカス』(作画:藤田和日郎)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【現時点での評価:B−/連載総括】 10週に渡る敗戦処理が終了。こういう形の完結のさせ方は、恐らくあらゆる読者が望んでいなかったと思うんですけどね……。続けるんなら、とことんまで面倒見るべきだと思いますし、打ち切るんだったら休載の段階で打ち切っておいた方が、まだ救いがあったんじゃないかと。 こちらは大団円で連載完結。最後は典型的なエピローグ的最終回でしたが、まぁ王道と言えば王道ですよね。
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2003年度第112回講義 |
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お待たせしました。「週刊少年ジャンプ」の新増刊・「青マルジャンプ」の作品レビューをお送りします。 ところで今回の「青マル」は、週刊本誌や「赤マル」に比べて質の良い紙が誌面に使われていましたね。メイン企画の主役・荒木飛呂彦さんに敬意を表したのか、それとも荒木さんのメイン読者層(高年齢層)を見込んで「50〜100円程度の価格差よりも紙質」と考えたのか、どちらにしろ読み易くて良かったです。 ……と、余談はさておき、早速レビューへと参りましょう。レビュー対象作は、少ページで“余興色”の強い『スティール・ボール・ラン』番外編を除く、新人・若手作家さんの11作品です。長丁場になりますが、最後までどうぞお付き合いを。 当ゼミの7段階評価についてはこちらをご参照下さい。 ◆「青マルジャンプ」新人・若手作品レビュー◆ ◎読み切り『いのちやどりしは』(作:高野勇馬/画:落合沙戸) トップバッターは、「ジャンプ」の出世頭・「ストーリーキング」ネーム部門の準キング受賞作。この賞と言えばマイナージャンル作品ですが、今回はなんと日本の伝統芸能・文楽が題材。いやはや、「ジャンプ」は本当に懐の深い少年マンガ誌ですね。 さて、作者のお2人ですが、まず原作者の高野勇馬さんは、今作で03年下期「ストーリーキング」ネーム部門準キングを受賞したばかりの新人原作者さん。よって、これがデビュー作という事になりますね。 では、作品の内容について。 ただ、残念ながら、その絵の完成度の前に肝心の原作ネームのクオリティが負けてしまったように思えます。 評価は絵の分を0.5ランク加点してB+寄りBとします。 ◎読み切り『歌歌』(作画:角石俊輔) 2番手は今回デビューの新人・角石俊輔さんが登場です。角石さんは03年4月期「十二傑新人漫画賞」で最終候補に残り“新人予備軍”入りを果たしていましたが受賞歴は無し。今回は恐らく掲載作品決定のプレゼンを一次段階から潜り抜けての掲載枠獲得かと思われます。 それでは作品についてですが、まず絵は、一言で言って「紙質が良くて助かりましたね」といったところでしょうか。通常の紙質なら細かい線やスクリーントーンの目が潰れたりしてヤバかったでしょう。全体的に黒っぽい絵柄だけに、下手をすると“パッと見で読んでもらえない級”の悲惨な事になっていたかも知れません。 次にストーリー・設定について。こちらも残念ながら短所の方が目立ちます。 評価は絵の分の減点もありますので、厳しめにいってB−。センス皆無というわけではありませんが、「ジャンプ」で成功するためにはかなりの精進が必要だと思います。 ◎読み切り『ピアニカぼうや』(作画:真波プー) さて、3番手は「クセのある新人作家を集めた増刊」(荒木飛呂彦ロングインタビューより)というコンセプトが最も似合う、真波プーさんの登場です。 で、作品の方ですが……。 ──どうレビューせえと(汗)。 ……と、いうのが第一印象でした(苦笑)。作品紹介に「異才」とか「超新感覚」とかいった、“「普通じゃない」という事を表現するフレーズ”がバンバン飛び出すのも肯けます。普通のマンガのフォーマットで作られてないですね。どちらかと言うと、子供向けの絵本に近いスタイルでしょう。 絵は主流から完全に外れている画風であるものの、洗練されたタッチで好感が持てます。表情を「ワー」という擬音で表現するあたりなどにマンガ黎明期の実験的作品を思わせる妙なレトロさが感じられ、味わい深い仕上がりになっています。良いんじゃないでしょうか。 しかし、本当に対処に困るのがストーリーについてです。 まぁ、それでもとりあえず、シナリオの流れや技巧の凝らされ具合に着目して話を進めてみます。 というわけで評価です。昔懐かし「ボキャブラ天国」で、“シブ知”と“バカパク”の作品を比べるような難しさはあるのですが、減点材料のほとんど無い作品をBクラスにするわけにも行きませんので、ここは謹んでA−を進呈したいと思います。
超異色作に続いては、これがデビュー2作目となる坂本裕次郎さんの登場です。 それでは今作の内容について。それにしても、こちらレビューし辛い作品でした(笑)。 まずは比較的論評し易い絵の方から。未熟な画力を迫力で誤魔化している印象の強かったデビュー作から一転、随分とアカ抜けて来たように思えます。持ち味を残しつつ、画面構成がスッキリして見易くなりましたね。 さて、問題はストーリー・設定。恐らくこちらは読み手によって、評価が大きく真っ二つに分かれるのではないかと思います。
…という島本和彦イズム漲るというか、丹波哲郎・『大霊界』イズム溢れるというか、そのような堂々たる開き直りが読み手に伝播して、妙な爽快感を喚起するのでしょう。よく見れば登場人物も、そんな非現実的な世界観に対応するように、気持ち良いほど現実社会に適応出来ない連中ばかりが揃えられており、意外な所でキチンと計算された設定構築が為されている事実が窺い知れます。 また、そんな突飛な設定に隠れがちですが、シナリオ構成も興味深いモノになっています。 さて、評価です。どのファクターを加点・減点の対象にすれば良いのか非常に迷うところではありますが、それでもやはり、「世界観が突飛過ぎて読み手を選んでしまう」という点は大きな減点対象になってしまうと思います。シナリオの全編ダイジェスト化も反則と言えば反則ですし、よって今回はB+が妥当と判断させてもらいました。 ◎読み切り『生涯おやじ道』(作画:楠優一郎) さて、次に登場するのは、今回唯一のギャグ作品。今回がデビューとなる楠優一郎さんの登場です。 それでは作品の内容、まずは絵についてから。 しかし、ギャグに関しては優れたセンスの片鱗を感じさせる、なかなかの出来だったと思います。前フリの段階の踏み方、小ネタで間を繋ぐ技術などには非凡なモノが窺え、確かな才能を感じさせます。タイプで言うと、「サンデー」の水口尚樹さんに似たような作風でしょうか。 評価は画力の減点も加味してB+寄りBとしておきます。 さて、やっと折り返し地点です(笑)。ここで文字通りセンターカラーで登場は中島諭宇樹さん。目次の扱いから見て、今回の若手・新人枠では“大将格”という事になりますか。 ……それでは、今回の作品について述べてゆきましょう。 絵については、基本的な部分では全く問題ないですね。村田雄介さんのスタジオで鍛えられた成果か、かなり手間隙のかかる俯瞰シーンなども恐れず挑戦しており、モチベーションの高さも窺えます。「ジャンプ」系の若手作家さんの中ではトップクラスの水準に達しているのではないでしょうか。 ストーリー・設定は、今作もデビュー以来の好感度の高い“中島ワールド”が展開されていますね。スケールの大きな世界観は健在ですし、ストーリーテリング力にも確かなモノを感じます。 評価はラストシーンの素晴らしさを最大限評価しつつ、諸々の減点部分を相殺してA−としておきます。ちょっと甘めでしょうか?
さて、ようやく峠を超えた7番手は、これがデビュー2作目となる田中靖規さんの登場です。 では、作品について。 デビュー時から定評のあった絵に関しては、今回も特に大きな欠点は見当たりませんでした。表情やアングルぼバリエーションがが単調なのが少々気になりましたが、作品の完成度を落とすまでには至っていません。ディフォルメ表現も出来るみたいですし、絵柄にメリハリをつければもっと良くなるでしょう。 ただ、一方のストーリー・設定は、肝心なところで詰めを誤ってしまった感が拭えません。 「不死であるという事がメリットよりもデメリットの方が勝るという実感を読み手に与える作業」 「バトル等において主人公の肉体的な痛みを強調して、読み手に“ハラハラドキドキ感”を与え、主人公への感情移入を促進する作業」 「神が主人公に与えた試練やそのルールに理論武装を加え、話全体にもっともらしさを出す作業」 ……以上3つの作業が欠如しており、結果として読み手が作品世界に没入する事を阻害する原因を多く作ってしまったのです。もう少しネームを練っていれば、随分と印象が違っていただろうと思えるだけに、本当に勿体無い気がしてなりません。 評価はBとしておきましょう。ただし、将来的には大化けする可能性も残されている作家さんだと思いますので、今後に期待したいところです。 続いてもデビュー2作目の作家さんが登場。これが2年半振りの復帰作となる萩野英貴さんです。 というわけで、作品の内容について。 そしてストーリーと設定は、根本的な部分も含めて問題点が山積です。 評価はC寄りB−。何とか凝ったお話にしようという意気込みは買えるのですが、それでもここが精一杯といったところ。妥協の無いシナリオ作りが今後の課題となるでしょうね。
ここからは全てデビュー作の新人作家さんで固められています。まずは03年下期「ストーリーキング」マンガ部門準キング受賞者・岩代俊明さん。デビュー前から積極的な同人活動を展開していたようで、念願かなってのプロデビューといったところでしょうか。 ……では作品について。ストーリーキング受賞作という事で、シナリオ・設定に目が行きがちになりますが、ここは絵もキチンと見させて頂きます。 ということで、まずは絵から。投稿作品が即受賞というキャリアを考えると致し方ないのですが、デッサンの荒さや背景の寂しさが目立ちますね。“マンガの文法”的な表現技術は出来ていると思いますので、あとは手にプロとしての技術を染み込ませるだけでしょう。 さて、注目のストーリー・設定ですが、こちらは高いセンスと才能の萌芽は窺えるものの、作品全体のクオリティとしてはまだまだ未完成…といったところでしょうか。 以下、多分に推測が混じりますが、現在の岩代さんはストーリーテリングに必要な技術を理詰めではなく感覚で身に付けている状態なのでしょう。言い換えると、「これをすると良い結果に繋がる」という事は分かっていても、「何故、これをすると良い結果に繋がるのだろう」という部分は理解出来ていないんではないかと思うのです。それ故に、肝心な部分で歯抜けがあっても気がつき難いという次第。 これも評価が難しい作品ですが、短所も目立つがセールスポイントも確かにある…という事でB+にしておきましょう。次回作に期待です。 ラスト2作は昨年秋の「十二傑賞」受賞デビュー組から。月次順ということでしょうか、03年10月期佳作&十二傑賞受賞の里谷竜希さんが“先攻”となりました。 絵に関しては、背景処理や動的表現などは受賞作デビューとは思えないほど手馴れていますね。詳しくは判りませんが、かなりのアシスタント経験があったと考えるのが自然でしょう。 一方、ストーリー・設定は、ただ一言「見るも無残」といった感じです。 評価はギリギリでC寄りのB−。あとほんの少しで“死刑宣告”になるところでした。
いよいよラスト。皆さんここまでお疲れ様です。でも駒木の方がずっと疲れてるんですよ……などと、独演会で3席目の高座に上がる落語家のようなネタをかましつつ、まずは作家さんの紹介から。 ここでデビューを果たす村瀬克俊さんは、03年11月期『十二傑新人漫画賞』で佳作&十二傑賞を受賞し、デビュー権利を掴みました。他に受賞歴等は無いのですが、後述するように洗練された絵柄からすると、この人もアシスタント経験があるのかも知れません。 ……では、作品についてお話してゆきましょう。 まずは先ほども話題に挙げました絵から。 ストーリー・設定は、小説のショートショートを思わせるような渋いシステムを採用していますね。 さて、ではこの『福輪術』がどれくらいこのシステムを上手く活用出来ているのでしょうか? まず、大筋のストーリー展開は上手く構成出来ていると思います。回想シーンを挿入して主人公のキャラクター付けに深みを出す一方で、その過去を現在にフィードバックさせ、シナリオの完成度を高める事に成功しています。 評価はA−寄りB+という事にします。あと一押しなんですけどね。あ、あとこの作品は「ジャンプ」の主流からはかなり外れていると思われますので、コンスタントに人気投票で上位に食い込むためには、作風の大幅変更も厭わない覚悟が必要だと思います。
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