「社会学講座」アーカイブ
※検索エンジンから来られた方は、トップページへどうぞ。
講義一覧
2月28日(金) 労働経済論 |
※前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回/第7回/第8回/第9回/第10回/第11回/第12回 今日もクソゲーム屋編の続きです。 しかし、そういう悪いムードが店の外にダダ漏れていたのでしょう、日を追うごとにお客さんの動きが目に見えて鈍くなってきました。 そうなると当然のごとく、商品の売り上げも鈍ります。いや、初めから鈍かったんですが、もっと鈍くなりました。ニューヨーク・メッツの新庄が更にアホになるみたいなもんです。 ……とまぁ、こういうわけですから売り上げは悲惨なものです。オープン1ヶ月目の売り上げ総額を本部に送信した翌日、岡山から「ドロンズ兄さん」が血相を変えて素っ飛んで来た…と言えばどれくらいヤバかったかお分かりになると思います。 ドロンズ兄さん:「いやー、月間の売り上げねぇ、他の同規模店と比べて桁が1つ違うんですわ……」 …この会話がなされた日、仕事終わりのバイト集会では「次の給料もらえるまで店が保つのかどうか」…という話題で持ち切りでありました。 ──こうして、絶望的な日々がチンタラチンタラと続いていたクソゲーム屋。ところが開店から1ヶ月余り経ったある日、突然駒木たちバイトの身に激震が走りました。 その日も朝から店内は弛緩した空気がお父さんがクソした後の便所の臭いくらい充満していました。 と、そこへ── どうも様子がヘンです。 「ダビスタ」で馬の骨が折れた…みたいなフレーズになってしまいましたが、本当にそうなのですから仕方ありません。 ──え、ひょっとして、経営不振のため閉店? 突如として店内は、もし2ch掲示板に「クソゲーム屋実況スレ」があったら、たちまち「クソゲーム屋あぼ〜ん祭り」が始まりそうな緊迫した状況にさらされました。ただ1人、「ポンカス息子」だけが平然とエロゲー雑誌を読んでいました。あぁ、蜀が滅びた時の劉禅はこんなだったのだな…などと思いました。 しかしやがて「店長」がロッカールームから現れると、いきなり駒木ともう1人のバイト店員を呼んでロッカールームへ行くように促されました。 「見ての通りお店の状態が良くないんで、駒木君と○○君(もう1人のアルバイト)は、今月の給料締めの日で辞めて頂戴」
電撃解雇キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!! で、何故駒木が解雇されたのかというと、どうやら以前から「高校の臨時採用があったら辞めます」と言っていたので、「ここを辞めてもすぐにどうにかなる」と誤解されたからだったみたいです。オーナーが人の話を全く聞かないというのは既に証明済みですから仕方有りませんが、それにしたってあんまりです。まぁ、本当のところは2ヶ月以内に辞めるつもりだったんですけど。 そして、どうして2人の解雇が執行されたかという理由も後日判明しました。
|
2月27日(木) 演習(ゼミ) |
さて、月刊作家さんには地獄の2月も最終週となりました。ちなみに週刊作家さんは毎日が地獄で、連載を持たない駆け出しの作家さんは、ボンヤリと自分の将来を考えた時が地獄だったりするわけですが。 とまぁ雑談はさておき、ゼミです。今週はお伝えする情報も無くて、レビューも1本だけと寂しい中身になってしまいました。ただ、駒木の体調もイマイチですから、正直助けられた…という気もしますが。 というわけで、今週のレビューとチェックポイントへ。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年13号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ ◎『アイシールド21』(作:稲垣理一郎/画:村田雄介)【現時点での評価:A/雑感】 ◎『Ultra Red』(作画:鈴木央)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 新連載2作品が不調という事もあり、どうやら打ち切り圏内から脱出しちゃったみたいですね。理不尽な打ち切りに泣かされてきた鈴木さんですが、凄いところで反動が(笑)。ノルマン現象改めウルトラノルマン現象ですか。なんか、変身ヒーローのバッタモンみたいな現象だな。 ◎『BLACK CAT』(作画:矢吹健太朗)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感?】
☆「週刊少年サンデー」2003年13号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ 今週は『金色のガッシュ
!!』と『モンキーターン』が取材休み。駒木は『モンキーターン』→『ガッシュ』の順で読み始めるので、物凄く戸惑いました(笑)。 ◎『ワイルドライフ』(作画:藤崎聖人)【現時点での評価:B/作品の再評価】 連載開始以来、この作品に関しては酷評を続けて来ましたが、今回分を読む限り良化の兆しが見えてきたような気がします。キャラが増え、話を展開させる上での役割分担が上手くいくようになり、ストーリーの説得力が増して来ました。 ◎『いでじゅう!』(作画:モリタイシ)【現時点での評価:A−/雑感】 どうも今回についてはネット界隈で不評みたいですが、個人的には先週と併せて高い評価をしても良いんじゃないかと思っています。小ギャグ、小ギャグで積み重ねていって、最後の最後でドカーンと大ネタ…というメリハリの効いた展開にモリさんの技術的向上を見たような気がするんですよね。
☆第2回☆ ◎エントリーNo.4 『華陀医仙 Dr.KADA』(作画:曾健游) 「愛読者大賞」シリーズもあっという間に折り返し地点。ここまでは第1週をピークにどうも尻すぼみの印象が否めないのですが、何とか巻き返してもらいたいものですが……。 さて、今回は香港在住の曾健游さんが登場です。 ……さて、本題に映りましょう。 まず絵ですが、既に多くの人から指摘をされているように雰囲気は鳥山明さんによく似ていますね。ただ、細かい部分と見ると相当違った印象もありますので、これは日本での修行時代に徐々に形成されていったオリジナルの絵柄なのでしょう。 で、ストーリーですが、こちらも一定の水準には届いていると思います。全体的な話の流れには大きな矛盾点はありませんし、多少手垢は付いていますがキッチリと起承転結も成立しています。設定的にも連載に向いていますし、話の広がりも望めますので、将来性もあるでしょう。そういう意味では、これまでの4作品の中では最も今後に期待できそうな作品と言えそうです。 しかし、残念ながらこの作品は、手放しで賞賛できるモノである…とも言えないのです。 まず、作品の対象年齢が「バンチ」読者層とはギャップがあり過ぎます。少年向けならまだしも、この作品はどう考えても児童向けです。小学生向けの作風では、いくら(コアな読者にはあまり好まれないとしても)ノスタルジーで勝負できる余地のある「バンチ」でも苦戦は必至と言うものです。 更に、「主人公・華陀のキャラが定まっていない」という部分にも問題があります。 ……さて、最後に総括と行きましょう。 評価は児童向けマンガとして扱った上で、加点・減点要素を相殺してB+とします。どこか良い雑誌が拾ってくれればいいんですが……。 なお、投票行動は以下の通りです。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(作品は良いと思っていても、だからといって「バンチ」で連載されるわけにはいかないので、敢えて不支持に。ハッキリ言ってジレンマ感じてます)
……では、今週のゼミはこれまで。来週も短めになると思いますが、副業多忙のため、どうかご容赦を。では。 |
2月26日(水) ギャンブル社会学特論 |
|
駒木:「麻雀関連講義ということで、今日は久しぶりに順子ちゃんとの対談形式で講義をします。こんばんは、駒木ハヤトです」
順子:「あ、代表の名前、麻雀ゲームに出て来る人がいっぱい(笑)」 |
2月24日(月) 歴史学(一般教養) |
※過去の講義レジュメ→第1回〜第19回/第20回/第21回/第22回/第23回/第24回/第25回/第26回/第27回/第28回/第29回 進行度合が遅れ気味の上、講義の間隔が開いて申し訳有りません。どう考えても3月一杯で区切りがつけられるとは思えませんが、前々から言っておりますように、この「学校で教えたい世界史」はライフワーク的に今後もジワジワと進めていくつもりですので、業務縮小後もどうぞよろしく。 ──時に紀元前522年、物凄い勢いでオリエント世界を征服していったアケメネス朝ペルシアに新しい王が誕生しました。その名はダレイオス1世。エジプトに没した先王・カンビュセス2世の跡目を巡る戦いを制して、王座に君臨した人物だという事は、既にお話した通りであります。 ところが、ダレイオスの治世も半ばを過ぎた紀元前500年、その“ダレイオスの手足”が突如、暴走を始めます。 アナトリア半島の南部沿岸にミレトスというギリシア植民市がありました。そこは僭主政が採用されており、当時はアリスタゴラスという人物がペルシアの権力を背景にその座を占めておりました。 紀元前500年、進退極まったアリスタゴラスは突如ペルシアに反旗を翻します。アリスタゴラス本人が、果たしてどこまで事の成り行きを考えていたのかは分かりませんが、これが長い長いペルシア戦争の直接のきっかけになったのでありました。 が、奇策が通じるのはあくまでも短期決戦の時だけ。一時、ギリシア反乱軍はアナトリア半島のペルシア都市へ次々と攻め込んでいったのですが、第一波が跳ね返されると、たちまち情勢は逆転してしまいました。 結局、この大反乱は5年で完全に鎮圧されてしまいます。ミレトスなど反乱を起こした植民市は再びペルシアの支配下に置かれる事になりました。ダレイオス1世は暴君ではなかったので、ギリシア人たちが表向きに懲罰的な仕打ちを受ける事は無かったようですが、かと言ってタダで済むわけでは有りません。溜めたツケは、いつかムリヤリにでも返さねばならない羽目になるのです。 このように、ペルシア戦争とは視点によって、その価値が大きく変わって来る戦争です。アケメネス朝ペルシアの歴史からすれば、たくさんあった戦史の1つに過ぎないかも知れません。しかし、少なくともこのエピソードの主役であるギリシア人たちにとって、これは“天下分け目の大戦争”であった事は間違いありません。彼らは必死に戦い、時には大勢の同朋を失いながら、それでも決して屈服する事は有りませんでした。その時のギリシア人の姿は、勇ましく、美しく、それとおなじくらい痛ましいものでした。 ……さぁ、冗長なプロローグはここらで終わりにしましょう。いよいよ次回からは本格的に古代ギリシア史上に残る“天下分け目の大戦争”についてのお話を始める事にしましょう。 (次回へ続く) |
2月23日(日) 労働経済論 |
※前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回/第7回/第8回/第9回/第10回/第11回 前回まで2回にわたって、クソゲーム屋の開店当初におけるトホホ話を聴いて頂きました。原則的にはこのペースでしばらく店は運営されていったわけですが、似たような話をパターンで続けていくのもアレですので、今日は駒木の視点から見た「クソゲーム屋の1日」といった体でお送りしたいと思います。
いきなり汚い話で申し訳有りませんが、駒木は夜型の消化器官を持っており、いわゆる“朝の快便”というのとは縁遠い人間なのですが、クソゲーム屋の仕事をしていた2ヶ月間だけは例外でした。朝、出勤しようと思い立った瞬間に腹痛に襲われ、急激に催すのです。まるで自分の体が全力を挙げて脳に出勤拒否を訴えているかのようでした。 やがて、店に到着。近くの月極駐車場(店が代金負担)にクルマをぶち込み、裏口からロッカールームへ。すかさずタイムカードをレコーダーに差し込みます。 チキンレースが終わると、ロッカーから制服代わりの安っぽいエプロンを着用し、いよいよ仕事開始です。 掃除が終わると、アルバイトはオーナーか「店長」から指示された仕事を手分けしてやり始めます。基本的にはこれが閉店まで続く事になります。 12時過ぎから交代で45分の昼食休憩。中途半端な時間なので外食もままならず、大抵の場合は近くのコンビニで弁当などを買って来て済ませます。ロッカールームの側に3畳ばかりの小さな和室がありましたので、めいめいそこへ食料を持ち込んで食べる事になります。 昼の休憩が明けると、少しだけ客入りが増えます。しかし、店内のお客さんの数が店員の数を超える事はまずありません。人口密度はオーストラリア並です。たまに商品が売れても、レジは「アルバイトがレジを触ると釣銭にミスが出る」とのことでオーナー一家が占領しているのでアルバイトたちには関係有りません。「じゃあ、何のためにキミたちいるの?」…という方もいらっしゃるでしょうが、こちらも「分かりません!」…と、明朗活発にお答えするしか術は無いのです。 19時頃に2度目の45分休憩。今度はメシを食うことも無く、寝るか、もしくは「ポンカス息子」の悪口を言うかでダラダラと過ごします。 営業時間残り1時間を切った21時過ぎ、来客は完全に途絶えるため、早くも店じまいの準備が始まります。店内のモップ掛けや棚の整理などをやりながら時間を潰します。その間、「店長」と「ポンカス息子」は格闘ゲームの対戦プレイ中であるのは言うまでもありません。 店を出た後は、大抵の場合バイトだけで集まってジュースなど飲みつつ、オーナー一家の悪口大会が始まります。ジュースの自動販売機は店のすぐ前にありますが、その自販機はオーナー一家の所有(店の赤字補填用)なのでアルバイトは絶対にその自販機を使いません。「あいつらには一銭もくれてやらん」という鉄の意思表示です。 ……こんな感じで駒木たちアルバイト店員は週5日働いていました。みんな口々に「もうすぐ辞めてやる」と口走りながら。 しかし、そうして開店から1ヶ月余経過したある日、アルバイト店員たちの想像の斜め上を行く大事件が発生します。次回はそれについてお話する事にしましょう。では、お楽しみに。 (次回へ続く) |
2月22日(土) 競馬学特論 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
駒木:「さぁ、今年もJRAのG1シリーズがいよいよ開幕だね」
駒木:「メンバー見てても、芝の馬が『ちょっくらついでに』ってパターンが随分減ったよねぇ。今年で言えばエイシンプレストンぐらいかな。改めてダート競馬の普及が進んだのを実感するね」
※駒木博士の“敗戦の弁” ※栗藤珠美の“喜びの声” |
2月21日(金) 労働経済論 |
※前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回/第7回/第8回/第9回/第10回 受講生の皆さんもご存知の通り、現在リアルタイムでは、この講義のきっかけとなった「Yahoo!! BB」キャンペーンのアルバイトについて駒木自ら“取材活動”中です。 で、その開店3日目、開店以来初めて出勤した駒木は、目に映った光景に己の網膜を疑いました。 だって、店内の様子がほとんど変わってないんです。開店前と。 普通の商品を並べた陳列棚は勿論、開店セールのワゴンに乗っていた商品までほとんど変わりがないではありませんか。クソゲーばかりの特売品やCD-Rはともかくとして、原価スレスレまで割り引いた当時絶賛品薄中のプレステ2までが、時代劇の殿様よろしくデン! …と鎮座しています。 これで確定です。そうです、この店、初日から大コケだったんです。 とまぁそんな中で、開店3日目の営業が開始されました。 そうこうしている内に、チラホラとですがお客さんがやって来るようになりました。しかし、今度は商品がなかなか売れません。皆さん広い店内をウロウロしては、手ぶらのままで去ってゆきます。たまにレジが動き出したかと思ったら、売れたのは小学生が買った遊戯王カード1パックとかだったりします。まるで菓子の無い駄菓子屋状態です。 夜10時、営業終了。レジと直結しているパソコンに本日の売上額がはじき出されます。その額、8万円也。信じられないかも知れませんが、これが1日12時間の営業であがった売り上げです。しかもこの8万円の中にはプレステ2の売り上げが1台分混じっています。 仕事着のエプロンを脱ぎつつ、「これは辞める前に店潰れるかも知れんなぁ」…などと考えながらロッカールームへ引き上げようとする駒木の耳に、「店長」の甲高い声が届きました。 「あれ〜? レジの金が合うてないがなー!」 ……あの少ない客数の中で、どうやってレジの誤差を生じさせるのか。世の中って不思議なものであります。まぁ、こんな店が存在する事がもっと不思議なんですが。 この辛気臭い話、更に続きます。 (次回へ続く) |
2月20日(木) 演習(ゼミ) |
|
今週は久しぶりにレビュー対象作が3本もありますので、駆け足でお送りします。日常生活がバタバタし始めた途端にレビュー対象作が増えるなんて、人生ままならんもんです(笑)。 さて、まずは情報系の話題から。今日は1点だけです。 高橋昌俊氏の死去以来、バタバタとしている「週刊少年ジャンプ」の人事ですが、今週号(12号)の「編集人」(=編集長)は茨木政彦氏になっていました。鳥嶋氏は本当に名義だけのワンポイントだったんですね。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年12号☆ ◎読み切り『少年守護神』(作画:東直輝) 昨年、『ソワカ』を連載するも2クールで打ち切りとなった東直輝さんが、今回読み切りで復帰となりました。 さて、この「ジャンプ」で読み切りと言えば、アンケート次第で連載化される“プロトタイプ”の性格が強い作品です。果たして今作が連載に足るレヴェルに達しているのかどうか、一応の判断を下してみたいと思います。 まず絵ですが、こちらは以前とほとんど変わった感じは見られませんね。しかし、東さんは元々がプロとしてはあまり絵が達者な方では無いだけに、これはやや残念な材料ではあります。 しかし、ストーリー・設定面の方は、遺憾ながらもっと残念な材料となってしまいました。ぶっちゃけて言ってしまうと、とにかく全編マイナスポイントだらけという悲惨な内容です。その全てを採り上げると『碼衣の大冒険』(作画:イワタヒロノブ)の時みたいに顰蹙を買うだけになりそうなので、ここでは特に大きな問題2点に絞ってお話をします。 まず1点目。これはやはり世界観を無視した主人公たちの服装でしょう。戦国時代劇なのに服装だけが現代風という訳の分からない設定になっていました。これはもう内容以前の“最低限の約束事”が守られていません。 2点目。作品全体の“ノリ”がコメディを突き抜けてギャグの範疇まで飛び抜けてしまっています。しかもそのギャグもテンポが早いだけで何の工夫も無い稚拙なものでした。 この他にも必然性が無かったり、無理のあるストーリーテリングの問題点が山積みです。一体、どうしちゃったんでしょうか。東さんの今後が心配になってしまいましたね。 評価は厳しくCとしておきます。別の分野のクリエーターの人から「あれ? マンガの世界ってのはこの程度で連載持てちゃったりするんですか?」…などと言われても言い訳の出来ない作品ですので。 ☆「週刊少年サンデー」2003年12号☆ ◎短期集中連載第1回『電人1号』(作画:黒葉潤一) それでは作品の内容に話題を移しましょう。 絵は“ギャグ作家さんにしてはマズマズ”…といった感じでしょうか。『ファンシー雑技団』時代よりは上手くなっているように思えますが、動的表現を苦手にしているように思えるのが気になるところで、これが作品全体の迫力を弱めてしまった感もあります。 そして肝心のギャグですが、「第1回からアンケート人気を獲らなくちゃ!」…という意気込みが空回りしてしまったのか、とにかく間の悪さが気になります。これは前の短期集中連載作・『少年サンダー』(作画:片山ユキオ)でも見られた面で、1コマ間を置いた方が良かったのに……というシーンが良く目立ちました。 良かった頃の黒葉さんって、ちょっとシュール気味のギャグで勝負していたような気がするんですけど、気のせいでしたかねぇ。とりあえずドタバタギャグに向いている作風とは思えないので、もうちょっと工夫してみて欲しいと思っています。現時点の評価はB−。 ☆第2回☆ ◎エントリーNo.3 『摩虎羅』(作:茜色雲丸/画:KU・SA・KA・BE) 今週のエントリー作家さんは作画分業制の2人組。共に35歳という茜色雲丸さんとKU・SA・KA・BEさんのコンビです。 ──さて、では作品のレビューの方へ。 この作品については、先週のゼミの終わりの方で「これは“『エンカウンター』的な作品”だ」…みたいな事を話したと思うんですが、ここでそれはどういう意味なのかを、もう一度お話しておきます。“サードインパクト”組の受講生さんたちには多分話していなかったと思いますので。 この「世界漫画愛読者大賞」や、その前身である「ジャンプ新人海賊杯」では、ある特定のタイプの作品が、いつも上位に入賞して連載を獲得し、漏れなく短期で打ち切られる…という現象が起こっています。 1.絵の見栄えが良い(パッと見の画力が高い)。 ……というもの。つまりは読み切りの時は誤魔化せても、連載に突入すると構成力の不足がたちまち露呈して破局を迎えてしまう…ということですね。
……わはは。キッツイ事言ってますねぇ。全部当たってますけど(笑)。 …とまぁ、こういうタイプの作品の事を『エンカウンター』的と読んでいるわけです。お分かりになったでしょうか? ──ではこの『摩虎羅』のどういったところに問題があったのか…といった話になるわけですが、ここでは2つ具体的な“ストーリーの破綻”ポイントを指摘しておきます。 まず1つ目。ゴブ族のブローカーが、何故弱いはずの人間を試合に出す事にそんなに固執するのか? …といった点です。 2つ目。摩虎羅はどうして第1戦の巨神族戦の時から奥の手・インドラの瞳を使わなかったのか? 「水戸黄門」の印籠じゃあるまいし…という話です。 ……この作品、喩えて言うなら「プロレスやってる」って感じなんですよね。話を盛り上げるためにキャラクターがわざわざ自分から窮地に陥って、そんでもって劇的な展開で逆転すると。 以下、駒木のエエカゲンな推測なんですが、この失敗はどうも、原作の茜丸さんがゲームシナリオ畑の人であるところに原因がありそうな気がしています。 さて、とりとめもない話はこれくらいにして評価です。 では、最後に投票行動の公開です。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(ダメモトで賭けてみたい思いもあるが、少なくとも「愛読者大賞」の看板を背負っての連載はリスクが大きすぎるとの判断。通常のアンケートにも票は入れていません)
……というわけで、以上で今週のゼミを終わります。 |
2月19日(水) 比較文化史概論 |
||||||
講義に先立って言っておきます。普段はフザけきった内容の講義しかやらない割に、マンガの話題になると妙に理屈っぽく真面目になる当講座ですが、今日のはそんな大層なモノじゃなく、単なるしょうもない雑談風になってますので、肩の力を抜いて受講してもらえれば幸いです。 ──さて、講義テーマにありますように、この度、往年の名作・『がきデカ』(作画:山上たつひこ)が1980年の連載終了後、23年のブランクを経て復活する…というお話です。 ただし、普通のリバイバルと違う所は作品の内容が以前と大きく異なっている事。昔の雰囲気をそのまま現代に持ち込むからこそのリバイバルですが、ちょっと『がきデカ』は勝手が違う模様です。
……なんと主人公のこまわり君が38歳。連載開始の1974年から律儀に28歳年齢を加算してしまったようです。しかもタイトルが『がきデカ』改メ『中春こまわり君』。「中春」とは中年と青春を併せた造語との事です。
そういう事情があるとは言え、6年間の連載中に1つも年を取らないで、ここへ来ていきなり28年素っ飛ばすと言うのも凄い話ですが、その内容もかなりのモノです。
……何だか、15年前にウジャウジャいた“ファミコン名人”のその後みたいな話ですね。“40歳手前で係長”という、微妙に定年退職時の階級が窺い知れる身の上がリアルでたまりません。 ──しかし、1980年代に活躍していたメーカー各社のファミコン名人たちは今頃何してるんでしょうか。高橋名人=ハドソンの課長、毛利名人=「ファミ通」のスタッフ、橋本名人=スクウェアの重役……といった辺りは割と有名ですが、他の方たちは今頃何処へ──? ……と、閑話休題。こまわり君の話でした。
…いや、共感と言われましても、良い共感とイヤゲな共感ってものがありますよね。 実際、この作品を掲載する予定の「ビッグコミック」側は、以下のようなコメントを残しています。
「読者の共感を」…という作者の願望を、掲載前の時点で全否定。ちょっとは気ィ使うたれよと言いたくなってしまいますね。 ところで、今回の『中春こまわり君』と同様の作品としては、藤子・F・不二雄先生の短編・『劇画オバQ』があります。奇しくも掲載誌は同じ「ビッグコミック」誌でした。 話の内容をかいつまんで話すと、こんな感じです。
……と、思わず叫んでしまいそうになりますが、全編こんな調子です。 で、Qちゃんの帰郷を懐かしみ、かつてのメンバーが集まって大騒ぎしたのも束の間、次の日に正ちゃんに子どもが出来た事を知ったQちゃんが、既にそこに自分の居場所が残っていない事を悟って静かに町を去っていく……という、カタルシス一切なしの虚無感溢れるエンディングに繋がっていきます。 ──で、どうやら『中春こまわり君』もこんな作品になりそうですよね。まさに「ファンが期待する作風ではないが、面白いものになる」…といった感じ。確かにインパクトの強い作品になるとは思いますが、これが果たして読者にどう受け取られるかは未知数と言えます。どうなるんでしょうか。 しかし、『中春こまわり君』や『劇画オバQ』で思う事ですが、何が題材であっても、リアルな視点で近未来を描くと物凄く辛い形になりますよね。 他にも28年を追加して想像してみますと、もうイタい具体例が次から次へと出てきます。 ……ですが唯一、駒木が見てみたいと思う、本編から28年後を舞台にした企画モノがあります。それは──
『天までとどけ』28年後バージョン 脚本:橋田壽賀子
──10数組の嫁姑問題、そして10数家族の巻き起こす諸々の騒動を分かり易く同時進行的に描き切るという、これぞ橋田ドラマの総決算的作品です。
……とまぁ、しょうもない話をしている内にお時間となりました。何と言いますか、年はとりたくないものですよね、皆さん(苦笑)。 (この項終わり) |
2月17日(月) 労働経済論 |
|
※前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回/第7回/第8回/第9回 苦し紛れの穴埋めのはずが、いつの間にかカリキュラムのメインに据えられてしまったこの講義、いよいよ大台突入の10回目です。 で、今回からは、いよいよクソゲーム屋話の本編に突入です。これまで紹介したキャラたちがどんどん他人を不快にさせてゆく様にも注目しつつ、駒木の苦労話に耳を傾けて頂けてもらいます。
というわけで初仕事当日、駒木は詳しい事は何も知らないまま出勤したのです。が、そこで内装が出来上がったばかりの店内を目の当たりにし、駒木は愕然としました。 そして、この秋風は間もなく冬の北風に変化しました。つい数十分前にはチューブが歌っているかと思っていたら、ダークダックスが小さい秋を見つける間もなく、あっという間に広瀬香美にバトンタッチです。
…ご覧のように、明治の紡績工場じゃあるまいし…という勤務体系ですね。しかも面接の時に休みやら希望勤務時間を訊いていたのが完全に無視されている横暴振りです。 週末&祝日→仕事と学校が休み→近所中から家族連れと子供が殺到→広い店内に人が溢れかえる→あちこちから『ちょっと店員さん!』の声→嬉しい悲鳴、人手不足→バイトは全員出勤してもらわなくては大変な事になる! ……という図式が出来上がっていたようです。 ちなみに後から聞いた話ですが、他のバイト4名も、コレを聞かされた瞬間、「よし、このバイトは適当なところで辞めるぞ!」…と、心に決めていたそうです。新婚カップルで言えばハネムーンの1泊目に成田離婚を決心した新婦の心境ですね。 こうして駒木たちアルバイト一同は始業1時間弱にして、店に対する忠誠度を『信長の野望』なら謀反寸前になるまで下げたわけですが、とりあえず時給は欲しいので仕事にとりかかりました。 しかし、そうやって感情を押し殺して仕事をしているにも関わらず、商品を陳列する内に「これで大丈夫なのか?」…という事が頻発します。 結局、予定の時間を2時間ほどオーバーしてその日の仕事は終わりました。翌日も同様に機材などの搬入と整理が行われ、結果、準備作業だけは無事に終了しました。 |
2月16日(日) スポーツ社会学 |
|||
今からもう8ヶ月も前の話になりますが、受講生の皆さんは、サッカーのW杯に便乗してFIFA公認の“サッカー最弱国決定戦”が行われた事を記憶されていたでしょうか?
“世界最弱”を争ったのは、203あったFIFA加盟国・地域の中で、当時ランキング202位だったブータン王国と、203位だったカリブの小島・イギリス領モントセラト。共に小国で、国土の多くが山地で占められている事に特徴がありました。 しかし、この記事によると、これまで知られていなかった事実関係が報道されています。
……なんと、どうやらこの試合そのものがドキュメント映画作成を前提としたものであったようですね。 ──これは今から8〜9年前の話になりますか、駒木が某ラジオ番組のオフレコイベントに参加した時の事です。 で、その“最弱国決定戦”は、ブータン王国のチャリミタン競技場において、王族の出席のもとで賑々しく行われました。結果はホームのブータンが4−0で完勝。 ──しかしまぁ、今回の件に限らず、こういうワースト1を決める作業というものは、ベスト1を決めるのと同じくらい面白いものだったりします。ベスト1を争う試合は名誉を賭けますが、ワースト1決定戦は、その当事者に残されたギリギリのプライドを賭けるもの。人間味がより一層溢れてくるのです。また、なまじ、実際に行われる事が滅多に無いだけに、想像力が喚起されて面白さが増したりもします。 一番想像しやすいパターンとしては、プロ野球の両リーグ最下位チーム同士の7番勝負。 個人競技で言えば、格闘技が面白いでしょう。格闘技の世界は選手個人のプライドが非常に高いですから、まさにうってつけです。 当社会学講座と関わりの深い競馬でも、同様の企画が設定可能です。いわゆる“年度最弱馬決定戦”ですね。 駒木が同様の企画を立てるとすれば、その世代の未勝利戦全ての中からトップとの着差順に18頭をエントリーし、更にそれらの馬に跨るジョッキーとしてJRAで年間成績ワースト18の騎手たちを連れて来て、最弱騎手決定戦までやってしまう…というのも面白いかも知れません。いや、当事者にしてみれば面白くはないでしょうが。 この他、競輪で成績不良でクビになる予定の選手9人を集めて来て、“勝者クビ免除サバイバルレース”なんかやるも良いですね。スタミナ不足の選手たちによるレースは誰もスパートを掛けようとしない見苦しいものになる事必定でしょうが、それもまた“味”です。 ……そして、この“最弱決定戦”構想は、スポーツ以外の媒体にでも有効です。 例えばマンガに関しては、既に当社会学講座では「ラズベリーコミック賞」と銘打って、レビュー対象作品中の年間最悪作品を選定するイベントを実施した事があります。これを他のやり方でしてみるのも面白い試みです。 具体的に例を挙げるなら、「週刊少年ジャンプ・最低人気打ち切り作品決定戦」などはどうでしょうか。過去に1クールで打ち切りとなった作品たちを1冊の雑誌に集めてアンケート投票を集めるという恐ろしい試みです。勿論、ハガキの質問は「この中からあなたが面白くないと思うマンガを3つ答えて下さい」です。
…こうして、改めてラインナップを眺めてみますと、意外とネームバリューのある作家さんが名を連ねているのが判ってビックリしますね。また、大抵の作品は題名を見ただけでは何のマンガかサッパリ分からない…といった辺りに1クール打ち切り作品の特徴が見受けられるように思えます。一度、現在『Ultra Red』連載中の鈴木央さんにお話を聴いてみたいテーマですよね。 ──この企画、さすがに当講座では持て余してしまいますが、他の方にどこかで実施してもらいたいものです。どなたか、本当にやってみませんか?(笑) さて、講義も長引いてきましたので最後にもう1つ企画案を紹介して、終わりにしたいと思います。 で、その企画案とは『逆M−1グランプリ』。昨年に実施された第2回『M−1グランプリ』の第1次予選で敗退したプロの漫才コンビを集めて来て、更に予選を繰り返します。そうしてトコトン面白くない漫才コンビを10組選抜し、本当の『M−1』決勝大会と全く同じ舞台・キャストで最悪コンビを決定させるのです。 ……さぁどうでしょうか、この企画? |