「社会学講座」アーカイブ
※検索エンジンから来られた方は、トップページへどうぞ。
講義一覧
2月15日(土) 競馬学概論 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
※過去のレジュメはこちらから→ビワハヤヒデ編(第1〜3回)/ライブリマウント編(第4回/第5回) 駒木:「いよいよライブリマウント編も今日で最終回だね」
珠美:「……前回は、ライブリマウント号の全盛期ということで、95年末の東京大賞典までをお話して頂きました。今日はその続きですね」 |
2月14日(金) 労働経済論 |
|||
※前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回/第7回/第8回 さぁ、またしても困ったお時間がやってまいりました(笑)。今日もクソゲーム屋話・人物紹介の続きです。 ──さて今回は、前2回でお話した「店長」と「ポンカス息子」のプロデューサーであるところの母親、即ちオーナーの人となりについてお話をします。 で、そのオーナーですが、一言で言えば「イヨッ! さすが2人の遺伝子供給者!」と言いたくなるようなお方でした。
いや、確かに人格は疑われているでしょうけどね。 ……で、そんな“激論”の結果、現実はどうだったかと言いますと、それは「オーナーがその商品の到着が翌日に変更されていた事を忘れていた」…という、お粗末なもの。事の顛末を脇から見ていた駒木は、「交通安全を呼びかけてる土屋圭一(元首都高の走り屋)並に人の事言えんオバハンやな」と、しみじみ思ったのを覚えております。 これについては、次回以降でお話する予定の内容も含まれておりますので、ここではその狂い振りを象徴するエピソードを各1つずつ紹介しておきたいと思います。 ☆オーナーの金銭感覚を示す具体例 オーナーが自分のパチンコ成績について語りました。
……この理論が破綻している事、分かりますよね? 分からなかったらウチの受講生としては失格でございますよ。 「勝った金」=「勝った時に浮いた金」−「勝った時に投資した金」−「負けた時に投資した金」 つまり、このオバハンが「200万勝った!」と言う時には、投資金がゼロでないといけないんですね。 ☆オーナーの経営感覚を示す具体例 駒木がこの店で働いていたのは、ちょうど「ドラクエ7」が発売になった時期なのですが、これは発売日から1〜2週間ほど経った時の、オーナーと「店長」の会話です。
補足説明いたしますと、この時期には既に店の経営は迷走を始めており、新品商品は「ドラクエ7」を除いては在庫過多の状況でありました。言わば、「『ドラクエ』売らんで、何売るねん!」…といった状況だったのですが……。 ちなみに、こういう会話がなされていたすぐ側では、この頃「ドラクエ7」と同じように在庫過多状態になっていた「FF9」の中古を、在庫無しのような高値でバシバシ買い取りしていたりしました。爆笑問題の田中に来てもらって思う存分ツッコんで欲しい光景ですよね。 と、以上がこのエピソードの主要人物であるところの、オーナーファミリーの紹介でした。 この他、登場人物としては駒木を含めた5人のアルバイト、それから面接を担当してくれた本部社員の「ドロンズ兄さん」などがいますが、ごく普通の良い人の紹介をしても面白くもなんともありませんので割愛します。 では、次回からいよいよ本編に突入です。どうかお楽しみに── (次回へ続く) |
2月13日(木) 演習(ゼミ) |
||
ちょっとばかり、のっぴきならない事情がありまして、講義の開始時刻が遅れています。(現在14日午前5時) 先に言っておきますが、今週のレビューは「世界漫画愛読者大賞」の1作品のみになります。デキ次第では「週刊ヤングジャンプ」に掲載された尾玉なみえさんの新作もレビュー対象作にする予定だったのですが、高い評価を出せそうに無いので今回は見送ります。ん〜、「卵管」は良かったんですけどねぇ(笑)。
なお、受賞者の過去の経歴は以下の通りです。 ◎審査員特別賞の川口幸範さん…第64回「天下一」(01年11月期)で編集部特別賞を、第68回(02年3月期)「天下一」で審査員(武井宏之)特別賞をそれぞれ受賞。 ……川口さんは、これで3回目の特別賞受賞。佳作の壁の前に相当な苦戦を強いられている印象ですね。今回は「少年誌向けではない」という作風が足枷になってしまったようですね。難しいものです。 さて、次に新連載の情報を。 そして3点目。「週刊少年ジャンプ」前編集長・高橋俊昌氏の死去に伴う、今後の「ジャンプ」編集部の体制についての情報です。
☆「週刊少年ジャンプ」2003年11号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週の「ジャンプ」は、『HUNTER×HUNTER』取材休載なのに新人読み切り無し。これはたまたま載せられるような原稿が無かったのか、それとも方針変更なのか、どっちなんでしょうねぇ? ◎『ヒカルの碁(第2部)』(作:ほったゆみ/画:小畑健)【現時点での評価:A/雑感】 いやぁ、久々に熱い『ヒカ碁』を見ました。本当は静かなテーブルゲームを、ここまでスピード感と迫力溢れる描写をするとは、さすがです。 ◎『シャーマンキング』(作画:武井宏之)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 シュールだなぁ、今週は(笑)。真面目に読ませたいのか、笑わせたいのか、両方なのか、ようワカランです(笑)。 ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)【現時点での評価:B+/雑感】 なんだ、結局は2週間前に立てた仮説(夏緒が乱堂の正体を知って協力者になる)がキッチリ当たっちゃったなぁ。何だか競馬で審議の結果、繰り上がりで馬券が当たった…みたいな感じが(苦笑)。 ◎『Ultra Red』(作画:鈴木央)【第3回掲載時の評価:B/雑感】 “関東の噛ませ犬(笑)”東堂院光のヘタレぶりをみて、
☆「週刊少年サンデー」2003年10号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『ファンタジスタ』(作画:草葉道輝)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 ん〜、全体的には地味な話が続くんですが、こまめにヤマ場がありますよね、この作品。小エピソードを積み重ねてゆくというのは長編の基本ではあるのですが、週刊連載ではなかなか難しいはず。伊達に何年も連載続けてないって事でしょうね。 ◎『鳳ボンバー』(作画:田中モトユキ)【現時点での評価:B+/雑感】 なんか最近、妙にキャラの平均美形率(ナンジャソラ)が上がってる気がするんですが、これも一種のテコ入れなんでしょうかね(笑)。まぁ確かに読んでる途中に男性読者がどこかを凝視する場面は飛躍的に増えた気がしますが(笑)。
☆第2回☆ ◎エントリーNo.2 『鬼狂丸』(作画:新堂まこと) 今週も「世界漫画愛読者大賞」の最終エントリー作品についてのレビューをお送りします。 今回のレビュー対象作・『鬼狂丸』の新堂まことさんは、大阪府出身・在住の25歳。今回の作品がデビュー作になる、全くの新人さんだそうです。 では、レビューの方へと移りましょう。 まず絵ですが、これは有り体に言ってお粗末としか言いようがありません。部分部分では上手く描けているように見える箇所もありますが、描写の難易度が少しでも高くなると、途端に絵柄が荒れ始めます。特に、アクションシーンが多いというのに、殴られた顔面の描写がとんでもなく稚拙なのが気になります。 次にストーリー。こちらも正直言って、問題点が相当あると言わざるを得ません。 さて、評価のお時間です。絵、ストーリー共にプロとしては“赤点”の内容。ただ、マンガとして成立しないほど酷い作品でもありませんので、C寄りB−くらいの評価でよいのではないかと思います。 以下、投票行動の公開です。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(現時点では週刊連載に耐え得る作品ではないとの判断です。勿論、通常の人気アンケートにも票は入れていません)
|
2月12日(水) 歴史学(一般教養) |
※過去の講義レジュメ→第1回〜第19回/第20回/第21回/第22回/第23回/第24回/第25回/第26回/第27回/第28回 全体の10%行っているかどうかだと言うのに、早くも10回目を数えてしまった「地中海世界」編ですが、今日も古代アテネ社会の変遷についてお話をします。次回からペルシア戦争という、この章におけるヤマ場の1つがやって来るため、“尺あわせ”で短縮気味の講義となりますが、ご了承下さい。 さて、前回は僭主・ペイシストラトスと、その後の息子たちによる政治について講義をしました。ペイシストラトスの子・ヒッピアスが暴政の末に追放され、スパルタまで介入しての大混乱となった…といった辺りまで話が進んでいたかと思います。 クレイステネスは貴族出身の政治家で、ヒッピアス追放後に台頭して来た有力者の1人です。彼は一時、政敵の圧力によって亡命を余儀なくされたりもしましたが、巧みに一般民衆を味方につけて勢力を挽回し、紀元前508年(ヒッピアス追放の14年後)にアテネの実質的政治指導者の地位に就きます。 そんなクレイステネスが行った施策は、大きく分けて2点あります。 まず1点目は部族制の改革です。 と、こうして民主政の基礎を創り上げたクレイステネスは、次にそれを守るための制度を設置します。日本語では「陶片追放」の名で呼ばれている、オストラキスモスの制度です。すなわちこれが、クレイステネスの改革の2点目となります。 しかし、ここまでの内容で「おや?」と思われる方がいらっしゃるかも知れません。こんな疑問を抱かれた方もいらっしゃるでしょう。 そして実際、このオストラキスモスは数十年ではありましたが、その意図するように働き、アテネの民主政を(半ば無理矢理にではありましたが)守り抜く事が出来たのです。 ……というわけで、クレイステネスはアテネの社会システムに大改造を施し、それを軌道に乗せる事に成功しました。この安定した状態が今しばらく続けば、アテネの、いやギリシアの歴史も大分変わったと思われるのですが、現実はそれを許してはくれませんでした。 ──クレイステネスの改革が始まって、まだ10年も経たない紀元前500年。ギリシア本国から地中海・エーゲ海を隔てたアナトリア半島の西端にある植民市・ミレトスから、この地を事実上支配下に置いていたアケメネス朝ペルシアに対する反乱の火の手が上がります。 ギリシアにとって長く、そして辛い戦争が、今まさに始まろうとしていました── (次回へ続く) |
2月10日(月) 文学と人間心理 |
||||
今日の講義は、いつものコッテリとした続き物ではなく、コッテリとした単発モノの講義をお送りします。四六時中コッテリですかウチは。 ではまず、こちらのニュースをご覧下さい。
「五行歌の会」という、そのまんま直球勝負なクラブ名が印象的ですね。「オフィスへらちょんぺ」みたいで良いじゃないですか。 「五行歌は、音数も自由です。長くても、短くてもかまいません。ただ、詩歌の感じになっていればよいということになっています」 …とのこと。なんだか最近の小泉首相の答弁並に随分と投げやりな定義付けではありますが、要は“語呂合わせもオチも無くていい大喜利の「あいうえお作文」”と思えば良いようです。 で、今回の「恋の五行歌展」の最優秀作はこの歌でした。
選考にあたった「五行歌の会」主宰・草壁氏の、この作品に対する選評は、「きわどい内容ながら、隙なく完成されていて、その度合いとエロスの極限の内容が同時に存在する不思議さがある」……というもの。 ……この他、ニュース記事の中では“秀作”5作品が紹介されていますので、こちらでも引用しましょう。
……さすがに“秀作”らしく、どの歌も味わい深いものばかりですね。 ちなみに駒木は、“最優秀作”や“秀作”から漏れて“佳作”に留まった、88歳の田中潔さんが亡き妻を思って作った歌、
……が一番のお気に入りです。少なくとも「どんと恋」よりは上だと思うんですが、やはり駒木の詩や歌に対するセンスというのはどこかおかしいようです。 ──しかし、ここで余計な事と承知の上で一言申し上げさせて頂きたいのですが、駒木にとってはこの五行歌、語呂が合っていないのがどうにも気になって仕方ありません。 この七五調、よほど日本語の発音と相性が良いのか、日本の文学で七五調を採用しているジャンルは数多くあります。万葉集の時代から存在する短歌をはじめとして、俳句、川柳、都都逸などなど。そして、口語・散文が中心となって久しくなった現在でも、七五調は日本語の世界に深く根付いています。 例えば、間もなく発売される椎名林檎さんの最新アルバムのタイトルです。その名も「加爾基 精液 栗ノ花(カルキ ザーメン クリノハナ)」。どうです、見事な七五調ではありませんか! 21世紀の最新Jポップの世界にも日本の伝統文化は息づいているのです。 春風や 加爾基 精液 栗ノ花 朝顔に 加爾基 精液 栗ノ花 五月雨の 加爾基 精液 栗ノ花 ……どうです、上に季語をつけるだけで松尾芭蕉も顔負けの趣深さ。まさに元禄文化と平成文化のコラボレーションであります。 しかも七五調はJポップシーンだけのものではありません。今ではスポーツ新聞の三行広告でも七五調が採用されているそうです。 顔騎・3P・フェチ・匂い ……といったものがありました。これも素晴らしいまでの七五調となっています。 そして、この一見、文学と全くかみ合わなさそうなフレーズでも、日本の古文学との融合が可能です。 旅行けば 顔騎・3P・フェチ・匂い ──まさに「旅の恥はかき捨て」。せっかく旅行に来たんだから、割り勘でホテトル呼んじゃおうぜ! 出張費あるからオプションもバリバリだぜ! ……という出張中の営業部・体育会系若手サラリーマンを詠んだ一句です。 柿食えば 顔騎・3P・フェチ・匂い ──セックスは衣食住と同列に扱うべき、人間にとってなくてはならない文化である…という性の解放のメッセージを含んだ作品ですね。いや、素晴らしい。 すずめの子 顔騎・3P・フェチ・匂い ──これなどは、生命の神秘を題材に選んだ哲学的な作品でしょうか。 月見して 顔騎・3P・フェチ・匂い ──気持ちは分かりますが、野エロは犯罪です。
と、一応の結論が出たところでお時間となりました。それでは最後に五行歌の会関係者、並びに椎名林檎様へのメッセージを発信しながら、今日の講義を終わらせて頂きます。 ネタにして ゴメンなさいと 土下座する お粗末様でございました。 (この項終わり) |
2月9日(日) 労働経済論 |
※前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回/第7回 さて、受講生よりも講師の方がやけにノリノリ&暴言・放言上等…という、実に困ったお時間が今週もやってまいりました(笑)。 「観察日誌」でも書いてもらった通り、先週の水曜日に件のクソゲーム屋の跡地を見に行ったんですが、まぁ現場は完璧な廃ビル状態でした(笑)。もう1年以上入居者が無く、「テナント募集中」の看板すら剥がされたままという惨状。 ……まぁ冗談はさておきまして、クソゲーム屋であります。前回は「店長」の紹介をしたところで時間切れとなりましたが、今日も経営陣ファミリーの人となりを紹介してゆきましょう。 今日紹介するのは、オーナーファミリーの三男坊。彼はこのクソゲーム屋唯一の平社員にして最凶の人物で、この店にバイトとして勤めた人間全員が極めて明確な殺意を抱く…という人間のクズであります。 ……この仇名、今から考えたらさすがに酷いと思いますが、その当時はバイト連中の総意をもって実際に職場内で使用されていたのですから仕方ありません。 ──というわけで、「ポンカス息子」です。 まず彼奴の年齢ですが、当時確か21〜2歳だったと思います。長兄の「店長」と同様に専門学校を出たまでは良いのですが、本人の不徳と親の過保護の致すところで就職先が得られず、かといってバイトする気も無いままで、ずぅっと家に引き篭ってゲームばかりして過ごしていました。ハイそうですね、入った筋金すら腐食していそうなロクデナシですね。 そして彼は、原則的に仕事が出来ません。というか、しようともしません。 ……しかし、そこで終わるならば、この「ポンカス息子」も「心底使えない困った奴」止まりです。が、そこで終わらないのがポンカスがポンカスたる由縁なのです。 ……受講生さんの中には、背筋に怖気が走った方もいらっしゃるかも知れませんね。でも駒木はそんな輩がいる職場で2ヶ月働いていたのです。しかも時給750円で。 もっと語りたい事はあるのですが、ちょっとこれ以上続けて「ポンカス息子」について語っていると、頭がおかしくなって満員の地下鉄の中で車掌アナウンスのモノマネなどしてしまいそうになりますので、他のエピソードは別の日に回しまして、今日はここまでにしたいと思います。 そして次回は、この「店長」と「ポンカス息子」をこの世に産み落とした母親──クソゲーム屋のオーナーについてお話したいと思います。この講義で不快になった方、申し訳有りません。今後、受講されるのが辛かったら、このシリーズだけは自主休講なさっても結構です。 では、次回もお楽しみに(「渡る世間は鬼ばかり」の、石坂浩二のナレーション風に)。 (次回へ続く) |
2月8日(土) 競馬学概論 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
※過去のレジュメはこちらから→ビワハヤヒデ編(第1〜3回)/ライブリマウント編(第4回) 駒木:「はい、今年に入ってから全く馬券が当たらず、『こんな講義してるヒマあったら、キッチリ予想しろ』と言われそうな駒木です」
駒木:「先週はデビューから3歳9月のシーサイドオープンまで話をしたんだよね」 |
2月7日(金) 文化人類学 |
※第1回(早食いの部・確定レイト)のレジュメはこちらから。 先週の第1回に引き続いて、「2002年度フードファイター・フリーハンデ(以下「FFハンデ」とする)」をお送りします。 ではまず、ハンデ一覧表から。レイアウトの都合上別ページとなりますので、リンク先を辿ってご覧下さい。 こちらをクリックして下さい では、以下より総括文です。文中では敬称略・文体を常体に変更してお送りします。 既に何度も述べた事ではあるが、何度でも繰り返さねばならないだろう。02年春以降のフードファイト界は、未曾有の氷河期と言うべき状況に晒された。 ──さて、そういうわけで、テレビを主体とした活動を封印されてしまったフードファイト界ではあるが、そんな厳しい環境の中でも地道な活動を続けている選手たちもいる。 そんな選手たちの中で、1人代表的な存在を挙げろと言われれば、加藤昌浩の名前を真っ先に挙げねばならないだろう。 勿論、この他にもトップクラスの選手たちによる地道な活動は数多く見られた。02年秋以降、沈黙するテレビ界と対照的に、全国各地では徐々にローカル系競技会や“大食いイベント”の数が増えており、そこへトップクラスの選手が司会やゲストとして出向き、ある種の普及・啓蒙活動を行うというケースが多く見られている。 しかし、一たびフードファイト界全体の様子を俯瞰してみれば、その勢力がピーク時に比べて退潮著しいのは明白である。どれだけ地道に活動を続けようと、一般の認識からすればフードファイトは既に“過去のモノ”となっており、今では最もマスコミ媒体に露出の多い小林尊ですら、夕刊紙の手にかかれば“あの人は今”である。やはり失われたものは非常に大きかったのだ。 この活動停止劇はまさに青天の霹靂であった。ある日、突然岸の、そして「日本大食い協会」の公式ウェブサイトである「大食いワンダーランド」から、メインコンテンツであったBBSを含む大半のコンテンツが削除されたのである。しかもこれは何ら予告する事無しに行われた。岸の周辺の事情を知る人物によると、このコンテンツ削除はBBSの管理人である別府美樹にも無断で行われたそうで、どうやら岸の独断専行で実施された“暴挙”のようである。 ……それにしても、どうしてこんな事になってしまったのだろうか。また、「全日本大食い競技選手権」の開催が遅延し、その理由が開示できない訳は何か? その部分を解き明かすためには、岸のフードファイト業界における活動と他の関係者との関わりについて語らなければならない。 そもそもの話、この岸義行ほど、業界の内と外で評判が異なる人物も珍しかった。彼はフードファイト・ファンの間では絶大な信頼を得ているにも関わらず、業界内での評判は外でのそれと全く対照的であったのだ。 この確執の出発点は、いみじくも新井が語ったように、第1回の「全日本大食い競技選手権」にあったそうだ。 そして、この芽生えた確執にトドメの一撃を打ち込んだのが、その直後に実施された「フードバトルクラブ2nd」であった。そう、フードファイト・ファンの間では未だに解決されていない論争が燻っている、あの競技会である。 ……ここまで述べても、まだ「それでは100%クロとは言えない」と思われる方もいるだろう。しかし事実として、この「フードバトルクラブ2nd」を境に、岸は完全に業界内における信頼を失った。これだけは確かである。 ともあれ、こうして岸は業界内で孤立した存在となった。「大食いワンダーランド」閉鎖直前の時点では、彼と親しいフードファイト選手は、主流派から外れた数名だけだったと聞く。これでは第2回の「全日本大食い競技選手権」など開催出来るはずもない。そして、その事情を自分の口から公言できるはずもない。岸と「日本大食い協会」はフードファイト界から消えるべくして消えたのである。 ……やや余計な事を書き過ぎたかも知れないが、これが事の次第である。今後、岸がFFA勢と交わることは全く考えられず、もしテレビ局主催のメジャー競技会が復活したとしても、彼の居場所はどこにもないであろう。岸の大食い系競技における才能は捨てるに惜しいが、ここまでトラブルを起こしてしまっては、フェードアウトするのも致し方ない気がする。 とにかく現時点のフードファイト界はどん底である。だが、どん底になっても業界そのものが消滅しなかったという事は幸いであった。生きている限り、望みはある。望みはある限り、それを自ら捨ててはいけない。今後のフードファイト界に望みあらん事を、幸あらん事を祈りつつ、02年度の年間総括を締め括る事にする。 ……というわけで、本当に長くなりましたが、これをもって「2002年フードファイター・フリーハンデ」を終了します。次回は7月4日のネイサンズ国際終了後の「03年度中間レイト」となります。では、講義を終わります。(この項終わり) |
2月6日(木) 演習(ゼミ) |
|
いつの間にか月が変わって2月最初のゼミとなりました。この「現代マンガ時評」については、業務縮小となる4月以降も形を若干変えて継続するつもりでいますが、現体制ではあと丸2ヶ月・今回を入れてあと8回という事になります。 ……では、今週も情報系の話題から。ただ、今週は賞レースや新連載関係の話題が無かったため、雑多なモノが中心となります。 まず1点目は話題になりそうな(というか、もうなっていますが)読み切り情報から。 次に2点目。これは情報と言うより半ば雑談なのですが……。
……大手出版社における新人の原稿料は1ページ1万円が相場(ただし、カラー原稿は倍額)だそうなので、1週平均20ページとして10週で200万強。「ジャンプ」では、その他に僅かな専属料や研究費等が出るそうですが、これは焼け石に水でしょう。「週刊連載作家は原稿料では暮らしていけない」という話を時折聞きますが、それはこういう理由なのですね。 ところで、道元さんと同じように打ち切りを連発し、「ジャンプ」を“追放”処分になったと言われていた尾玉なみえさんですが、この度「週刊ヤングジャンプ」の方で読み切りながら復帰が決まったそうです。来週・2/13発売の11号に掲載されるという事ですので、ファンの方は是非ともチェックして下さい。 ……以上、情報及び雑談のコーナーでした。では引き続き、今週のレビューと“チェックポイント”へと移らせてもらいます。 では、まず“チェックポイント”から順番にお届けします。どうぞ、よろしく。 ☆「週刊少年ジャンプ」2003年10号☆ ◆「ジャンプ」今週のチェックポイント◆ 今週号の巻末コメント、見事なまでに新年会関連で埋め尽くされていましたね(笑)。よほど印象深い新年会だったのか、それとも新年会に出るために仕事漬けで他にネタが確保できなかったのか……。 ◎『テニスの王子様』(作画:許斐剛)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 しかし、このマンガのセリフはどうしてここまでダサいんでしょうか(苦笑)。徐々に作品の“高橋陽一化”が進行しつつあるのが、心配なようで楽しみなようで……。 ◎『プリティフェイス』(作画:叶恭弘)【現時点での評価:B+/雑感】 とんでもない勢いでの急展開。先週やったストーリー予想なんか微塵も当たらなかったですね(苦笑)。 ◎『ピューと吹く! ジャガー』(作画:うすた京介)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 久しぶりのハマー解禁。やっぱり主要キャラが全員出揃った方が良い感じですね。 ☆「週刊少年サンデー」2003年10号☆ ◆「サンデー」今週のチェックポイント◆ ◎『きみのカケラ』(作画:高橋しん)【現時点での評価:B−/雑感ほか】 かなり力の入ったセンターカラーです。この前の『一番湯のカナタ』(作画:椎名高志)もそうだったんですが、人気がそんなにあるわけでもない作品が唐突にセンターカラーをもらった時は、連載終了の理由作りである事がままあるんですよね。今回で23話ですから、最短コースなら次の入れ替えで打ち切りという事もあり得ます。 また、その大量加筆単行本ですが、各所の細かい描写をまんべんなく追加しているという印象で、単行本オリジナルの追加エピソードは皆無でした。 ◎『モンキーターン』(作画:河合克敏)【開講前に連載開始のため評価未了/雑感】 この全日本選手権編は、正直言って最初ダレ気味かと思ったんですが、最後の最後でキッチリと一盛り上がりしましたね。淡々とした構成でそれなりに迫力を出して見せ場を作るんですから、さすがです。 ☆第2回☆ ◎エントリーNo.1 『軍神の惑星』(作画:谷川淳) 作者の谷川さんは千葉県出身の33歳。「バンチ」誌上に掲載されたインタビュー記事によると、映像関係の専門学校からテレビドラマ製作の道へ進むも、27歳の時にマンガ家へ方向転換。アシスタントをしながら試行錯誤しつつ現在に至る……とのことです。どうやら今回が実質的なデビュー作ということになるのでしょうか。 ……では、作者紹介はこれくらいにしまして、いつも通り絵とストーリーに分けてレビューさせてもらいます。 まず絵ですが、実質デビュー作にしてはなかなか手慣れていると言って良いのではないでしょうか。パワードスーツ等のメカ系描写も出来ていますし、少なくとも及第点は出せるものと思います。 次にストーリーですが、端的に言って、こちらも絵と同じくなかなか良く出来ているのではないでしょうか。ページ数に見合った人数に主要キャラクターを絞り、また、キャラそれぞれの行動に一貫して必然性があるという点は高く評価できると思います。話が途中で切れてしまったのは残念ですが、(オムニバス形式でない、長編作品という)ストーリーの性格を考えると、それも止む無しでしょう。 しかし、やはりストーリー面にも問題点が残されています。独自性・オリジナリティが極めて弱く、今後のストーリー展開に大きな期待が抱き難いという点がそれです。 さて、悪い癖が出てしまい、また長いレビューになってしまいました。早いところ最終的な評価に移りましょう。 ところで、今回は駒木も“参政権”を活用して読者投票に参加する事にしましたので、その投票行動も公開したいと思います。 ・「個別人気投票」…支持しないに投票。(続編を読んでみたい気持ちはあるが、看板作品としての長期週刊連載ではなく、単行本1〜4冊程度の長さになる短〜中期の連載で読んでみたい。なお、通常のアンケート投票ではこの作品に1票を投じた) 《その他、今週の注目作》 ◎『美食王の到着』(作画:藤田和日郎/「少年サンデー超増刊」2月号掲載) 「サンデー」本誌で『からくりサーカス』連載中の藤田和日郎さんの作品が、特別読み切りで増刊号に登場しました。 この作品の最大のポイントは、主に新本格ミステリ小説で使われている叙述トリック(わざと誤解を招く文章表現を使って、読者のキャラクターに対する認識を狂わせる技法。特に綾辻行人氏がよく使用する)を見事なまでにマンガ、しかもミステリではない作品に応用してしまった点にあります。 とにかくこの作品は、作家・藤田和日郎の才能と技巧の限りを尽くされた名作中の名作です。受講生の皆さんも、この作品を読む機会があれば、是非ご一読の上、脳裏に焼き付けてもらいたいと思います。 |
2月5日(水) 特別演習 |
||
昨年の11月17日以来、長らくお休みしていたこのシリーズですが、3ヶ月ぶりに復活、そして最終回という事になります。 中断の理由は色々あったのですが、どうしても揚げ足取りみたいな内容になってしまうのに嫌気が差した…という事もありますし、読者審査会へ実際に参加された銀次さんが詳細なレポートを作成して下さったので駒木のやる事が無くなってしまった…という部分もありました。 ……では、既に「バンチ」誌上で大分前に発表済ですが、ここで改めて最終選考にエントリーされた8作品の顔ぶれを紹介しておきましょう。
本来10個あった最終エントリー枠は8つしか埋まらず、何かと論議を醸していたフリースタイル部門に至っては、全作品が読者審査会までで落選という極めて厳しい結果となりました。 で、その最終エントリー8作品について大雑把ながらジャンル分けをしてみますと、 ●現代劇人情モノ系 2作品 ……ということになります。(注:ジャンル分けにあたっては「バンチ」ウェブサイトの紹介文を参考にしているため、実際と異なる可能性があります) また、今回の最終エントリー作品は、最終選考進出が確定した時点で、編集者との協議の上で相当量の加筆修正が行われました。 ところで前回においては、最終候補まで残った応募者の多くが長年のアシスタント経験、または過去に他誌の新人賞受賞歴があった事が大変印象的でしたが、今回の最終エントリー組においてもチラホラとそのような情報が入って来ています。
駒木の頭の片隅にも、おぼろげながら「かつて香港の人が『ジャンプ』の新人賞を獲った」…という記憶があったのですが、それがまさか曾さんだったとは正直驚きです。 それでは、いよいよ語る事も尽きましたし、ここで一旦区切りとさせて頂きます。今後は舞台を「現代マンガ時評」に移しまして、各作品のレビューをしてゆきながら「愛読者大賞」の成否について述べてゆく予定です。そちらも是非ご受講下さいますよう、よろしくお願い致します。(この項終わり) |
2月3日(月) 歴史学(一般教養) |
※過去の講義レジュメ→第1回〜第19回/第20回/第21回/第22回/第23回/第24回/第25回/第26回/第27回 前回からギリシア一のポリス・アテネの歴史をお送りしていますが、今回は改革者・ソロンの引退後に訪れた混乱を収拾する人物が現れたところからお話を始めましょう。 その混乱するアテネに現れたニュー・ヒーローは名前をペイシストラトスと言い、アテネの中でも最も貧しい人たちが住む山地部出身の人物でありました。 ……と、ここで「あれ、ちょっとおかしいぞ?」と思った方は鋭い。よく講義の内容を覚えてらっしゃいます。 ……では、どうやってペイシストラトスは政権を奪取出来たのでしょうか? このペイシストラトスのように、非合法的手段──つまりクーデターでポリスの政権を奪い、独裁者になった人物を“僭主”と呼びます。僭主政治は、スパルタ率いるペロポネソス同盟の主要ポリス・コリントで紀元前7世紀に発祥した政治形態で、古代ギリシア世界ではたびたび見られるものであります。 ではここで、そのペイシストラトスが挙げた政治上の実績を紹介しておきましょう。 まずは農業の振興。かねてからの混乱で亡命した有力者の土地を一旦国有化し、それを無産市民や小農に再分配することで中小農民を育成しました。特に困窮する貧農には最大限の配慮をし、種子の貸し出しや税率の低減、さらには土地問題を審議するための裁判所出張サービスまでしたそうです。この辺りは“庶民派君主”の面目躍如といったところでありましょうか。 次に商業の奨励。アテネのあるアッティカ地方は、元々それほど農業に向いた土地ではありませんでした。ですので、商業の発展はアテネにとって死活問題であります。勿論、当時のアテネの有力者の多くは大商人だったわけですから、そちらの対策という意味合いもあったでしょう。 そしてペイシストラトスは、更に文化の面でも功績を残しています。パン・アテナイ(アテネ)祭や、ディオニソスの秘儀などの宗教的イベントを大々的に開催し、その祭りの中で全ギリシア規模の文化祭のようなものを催す事で、アテネの国力を周囲にアピールすると共に観光事業まで推進したようです。 ……と、このように、ペイシストラトスの時代にアテネは飛躍的な発展を遂げました。先に紹介した後世の歴史家の筆もそんなに誇張されたものではない事がお分かりになると思います。 このイレギュラーは他のポリスにとっても痛恨事だったようで、当時の全ギリシア情報センター&政治ご意見番と言われるデルフォイ神殿で、「アテネを解放せよ」という神託が下っています。 こうしてまたもや混迷の政情となったアテネですが、ここでまたしても1人の有能な政治家が現れ、アテネを見事に軌道修正させます。度重なるアテネの浮き沈みの激しさには呆れ返るばかりですが、それ以上にその生命力の強さにはただ驚くばかりであります。 では、やや短くなりましたが今回はここまで。次回はアテネ民主政の成立まで話を進めてゆきたいと思います。(次回へ続く) |
2月2日(日) 労働経済論 |
||
※前回までのレジュメはこちらから→第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回 この講義シリーズの最終章となります、世紀末的ゲーム屋の回想話、今回が2回目です。 ──さて、それでは本題に移りますが、まずはこのクソゲーム屋の経営陣の紹介からお送りしたいと思います。「クソゲーム屋」などと言うと、まるで「たけしの挑戦状」の中に出て来る店みたいになってしまいますが、実際にそうなのでこのまま続行しましょう。 「店長」は当時で駒木よりやや年上でしたので、ちょうど今の駒木と同い年くらいだったでしょうか。30歳に近い20代後半だったと記憶しています。
……というもの。仕事を決める理由が全部「○○が好きだから」というのがシビれますね。 で、そんな一切管理職経験どころかマトモな社会人経験すら乏しい人間が、「オーナーの長男だから」という理由だけで駒木たちアルバイトを束ねる店長に。これだけでも経営コンサルタントが聞いたら胸ポケットから「救心」を取り出しそうなシチュエーションですが、そこへ追い撃ちをかけるのが、この「店長」の性格でした。ここで当時、駒木が書いていた日記の一文を引用しましょう。ストレス溜まりまくってましたので、余裕も無い暴言になってますがご了承下さい。
今になって冷静に振り返りますと、余裕が無いだけ的確だな…と思ったりもします。ええ、誇張抜きでこのまんまです。化粧品会社・DHCのCM風に言えば、「学研の学習雑誌が選ぶ、担任にしたくない先生の性格 第1位!」みたいなモンでしょうか。さぁ、皆さんも切羽詰った口調で音読を。ハイ、がっけんのがくしゅうざっしがえらぶたんにんにしたくないせんせいのせいかくだいいちい〜! 最後の「いちい〜」だけ上げ調子で叫ぶところがミソです。 ……さすがにこれ以上好き放題言っていると、嫌味のある人格攻撃になっちゃいますので控えますが、とにかくこれが「店長」です。 と、いうわけで残る2人の“登場人物紹介”に移るところなのですが、このままだと余りにノリが良すぎて講義がとんでもなく長引きそうなので、今日はここで区切ります。その代わり、次回は長丁場の講義も覚悟していますので、どうぞよろしく。 (次回へ続く) |
2月1日(土) 競馬学概論 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
※過去のレジュメはこちらから→ビワハヤヒデ編(第1〜3回) 駒木:「さて、今週から新章に突入だ」
珠美:「ライブリマウントは、結局G1タイトルは獲得できなかったんですよね……」 |